政治の話⑧(「派閥」)

現在の自民党を支える「三鼎」は、以下の3派閥です。

 

・「清和会」系「細田派」

・「宏池会」系「岸田派」

・「経世会」系「竹下派」

 

 

自民党総裁であり、内閣総理大臣でもある安倍さんは、「細田派」の出身です。

 

「細田派」の正式な派閥名称は、「清和政策研究会」ですが、「清和会」と表記して話を進めていきましょう。同じく、「岸田派」は「宏池会」、「竹下派」は「経世会」と表記します。

 

 

少し補足ですが、その他、自民党内には「麻生派」、「二階派」などの派閥があります。

 

「清和会」に次ぐ大勢力の「麻生派」は、「宏池会」の流れをくむ派閥ですが、派閥の会長である麻生さんは、安倍政権を支える閣僚でもあります。

 

「二階派」の会長であり、また、自民党幹事長でもある二階さんは、もともと「経世会」出身の政治家で、「根回し」や「調整」を得意とします。ある意味で、二階さんはもっとも「経世会」的な政治家であるといえるかもしれません。

 

 

 

さて、安倍さんの出身派閥である「清和会」ですが、ときに皮肉交じりに「保守傍流」と呼ばれることがあります。

 

他の「宏池会」と「経世会」は、日本の戦後政治の礎を築いた吉田茂の系譜に連なる「名門派閥」です。

2派閥は、ある種の自負心から、自分たちを「保守本流」であると称しました。おのずと「清和会」は、「保守傍流」という位置づけになるわけです。

 

 

しかし、最近20年ほどの間、「清和会」は常に自民党の「主流派」を構成してきました。

その間、自派閥から、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三(第一次)、福田康夫、安倍晋三(第二次)の「5人」を総理大臣に排出しました。

 

「傍流」などと皮肉られてきた「清和会」ですが、現在は、名実ともに保守政権の「中枢」を担っているわけです。

 

 

また、「清和会」は、政治評論家などに「タカ派」と呼ばれることがあります。

「タカ派」というのは、強い保守的傾向を示す「政治用語」です。

 

一方、「宏池会」「経世会」は、自民党内の「ハト派」であると位置づけられることがあります。

 

一般的に、ハトという鳥は「平和の象徴」であるとみなされることから、「ハト派」というのは、平和主義的な穏健派、を指すものであるとされています。

 

反面、「タカ派」というのは、強硬的、武断的な政治姿勢を暗示し、どちらかというと、悪い評価であるとみなされます。

 

 

「清和会」という派閥は、かつては「保守傍流」、「タカ派」などと「揶揄」される対象だったわけです。

 

 

 

80~90年代は、「清和会」にとって不遇の時代でした。

 

2000年代に入り、特に小泉さんの「登板」を契機として、「清和会」は「最盛期」を迎えます。

 

小泉さんは、古い自民党の「構造」を壊して、党組織を刷新しようとしました。

「派閥」を失くそうとしたのです。ところが、その後、「派閥」が復活し、「清和会」が自民党内の「主導権」を保持し続けました。

 

現在、自民党内にいくつかの派閥が存在していますが、総理・総裁を擁する「清和会」の発言力は、強大です。

 

ある意味で、「自民党全体」が「清和会」に染まりつつあるといえるのかもしれません。

 

つまり、「自民党全体」が「タカ派」的な色彩を強めているわけです。

 

 

 

「清和会」の最大の特徴は、「親米」です。

 

歴史的に「清和会」は、アメリカ合衆国との「連携」を深めてきました。

 

別の面からいうならば、「清和会」の政治家は、基本的に、米国の利益を損なわないような政策を実施してきました。

 

 

小泉さんは、アメリカ合衆国大統領だったブッシュさんと緊密な関係を築きました。

 

安倍さんは、オバマさんの対日不信を払拭しました。

安倍さんは、また、今、トランプ大統領との「関係」を強化しつつあります。

 

 

 

ついでに述べると、「清和会」は、かつては韓国とも「太いパイプ」でつながっていました。

 

冷戦下、日本、米国、韓国は、資本主義の同盟国として、協調して社会主義に対抗する必要があったわけです。

 

ところが、韓国が「民主化」され、冷戦が終結したことで、韓国国内の政治状況が大きく変化しました。

北朝鮮に対して宥和的な「左派」の政治勢力が台頭しました。

 

90年代後半から、韓国は「右派」と「左派」が交互に政権を取り合います。

 

「振幅」の激しい政治状況で、両者ともに共振することができたのが、「反日」だったわけです。

 

さらに近年、韓国は中国への経済的依存を強め、「親中反米」に傾斜しました。これは、厳密には「親北反米」工作です。

 

 

つまり、日本が米国との関係を強める一方で、韓国は、日米との距離を広げていったわけです。

 

 

あまり話題に上ることはありませんが、安倍さんのお父さんは、安倍晋太郎さんという方で、「清和会」のリーダーでした。安倍晋太郎さんは韓国に「コネクション」を持つ「親韓派」の政治家として知られました。

 

 

 

「清和会」の話の続きです。

 

ちょっと俗な直言をすれば、「清和会」の「バック」には、アメリカがいるというわけです。

 

したがって、他の政治勢力は、アメリカ以外の国との「連携」を模索します。

 

「経世会」は、中国に接近しました。(が、歴史的に、中国と「太いパイプ」を構築したのは、小沢一郎さん、二階俊博さんなど、「経世会」から離脱していった人たちでした。)

 

そして、「保守本流」を自認する「宏池会」ですが、80年代に入って以降、急速に「リベラル」色を強めました。中国や韓国に対して、さまざまな面で配慮や歩み寄りを行いました。

 

 

 

90年代までの日本では、「反米」というような政治的立場をとる人たちが、一定の勢力を保っていました。日本は、米国への依存を脱し、「自主的な国」になるべきだという考えが根強くあったわけです。

 

つまり、「清和会」の「旗色」は、あまり良くなかったわけです。

 

しかし、2000年代以降、中国や韓国との間で「対立」が鮮明化しました。また、ロシアが国力を高めましました。北朝鮮の問題もありました。

 

日本は、やはりアメリカとの関係を強化するべきだという「世論」が高まったのです。

 

 

「清和会」が台頭するのは、ある意味で「必然」だったわけです。

 

 

「民主党」による政権奪取を経て、現在、日本は、再び自民党の政権下にあります。その「中枢」に座しているのは、やはり「清和会」です。

「民主党政権」は、「清和会」の「権勢」を決定づけたといえます。

 

 

 

現在、北朝鮮問題が「山場」を迎え、日米両国は強調して、事態に臨もうとしています。

 

しかし、実際には、安倍さんは、トランプさんに振り回されています。

 

「今」も、「土壇場」になって「アドリブ」が飛び出さないか、ひやひやしているかもしれません。

 

 

トランプさんは、アメリカ合衆国の歴史の中で、特異な大統領です。トランプさんは「ビジネスの世界」と「テレビの世界」で活躍してきた人で、本来「政治の世界」の人ではありません。

 

つまり、自民党「清和会」が、長い年月をかけて築き上げてきた「パイプ」を使って「意見」や「利害」を調整することができない相手であるということです。

 

 

トランプさんは一般的な政治の文脈や、国際政治の慣例などを無視して、予想外の行動に出たり、突発的な発言をしたりします。

 

それは、政治家としてありえない短慮な言動だったり、感情的なリアクションだったりすることもありますが、ときとして、それは、「ビジネス」の経験をもとにしたトランプさんの「交渉術」の一端であるわけです。

 

 

表面上、安倍さんとトランプさんは、非常に友好的な関係を築いているように見受けられますが、実際には、海千山千の「ビジネスマン」は、「自分の利益」を冷徹に見積もっているでしょう。

 

日本の「顔」を立ててやれば、「見返り」を要求できる、と考えているかもしれません。

 

 

 

アメリカ合衆国に、日本の「国益」の一部が流出することに対しては、「世論」は一定の理解を示すと思います。回りまわって、日本に一部の「利益」が還流することもあります。

 

しかし、朝鮮半島情勢に日本が関与しなければならなくなるとすると、「世論」の反応は大きくなるかもしれません。

 

 

安倍さんは、米国との関係を強化する一方で、周辺国に対して譲歩しないことで支持を集めてきました。

ところが「これから」は、「それぞれ」を「別々」に対処することができなくなるかもしれないわけです。

 

 

(ivy 松村)

 

 

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