「外国籍の受検者に対する特別措置」について

本日は、休講でした。

台風が接近し、強風が激しく、夕方から夜に小中学生が外を出歩くのはちょっと危険な状況でした。学校も、午後から下校になったようです。

 

 

 

さて、前々から気になっていることについて、ちょっと書いてみます。

 

東京都立高校の、「外国籍の受検者に対する特別措置」についてです。

 

現在、東京都立高校の入試では、在日期間が3年以内の「受験生」は、以下のような「特別措置」を受けることができます。(→この期間をさらに「6年以内」にのばそうという動きもあるようです。)

 

・漢字に「ルビ」(読みがな)を振った問題を使用できる

・国語以外の試験に辞書を持ち込める

・辞書を持ち込む場合、試験時間が10分延長される

 

 

 

「入学試験」というものは、その生徒が、高校に進学し、学習を続けていくことができる「学力」を有しているかどうか、を試すものであるといえます。

 

つまり、入試問題を通して、「受験生」の学力を測るわけです。

その入試問題を解くのに辞書が必要な生徒に入学の許可を出すということに、少なからず疑問を感じます。

 

 

 

この制度は、入学試験の「公正さ」を著しく毀損します。

 

もちろん、外国出身の人が、日本で差別を受けたり理不尽な目にあったりしないように、私たちは、いろいろな面で、彼らをサポートするべきだと思います。

 

 

しかしながら、高校の「入学試験」において、「外国出身者」を「優遇」すべき「正当な理由」は、基本的には存在しません。

少し論理的に、まともな思考を巡らせて考えてみればすぐにわかることですが、「入学試験」は、「学力検査」です。

「学力」が「水準」に達していないものは不合格になる、というのが原理原則です。

 

 

 

特定の生徒だけが、辞書を持ち込み、しかも、辞書を引くのに時間がかかるという理由で、10分多く試験時間をもらえます。

 

「日本語の読み書きに全く問題のない生徒」でも、「条件」を満たせば、10分の「特別ボーナス」を得ることができるわけです。

 

 

平成31年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会」に、興味深い「事例」が報告されています。

 

・検査会場で、持ち込んだ辞書を活用する場面がほとんどないと監督教員から聞いている。辞書を持ち込むことよる検査時間の延長のためだけに申請している受検者も中に入ると考えられる。(p24)

 

検査時間が長くなるので受検が有利になると考え、取りあえず申請しようとする受検者がいる。また、外国人を支援する人たちの中には、ルビ振りの措置だけではなく、辞書持込みの措置申請をするよう助言している人もいると聞いている。本当にこの制度を必要とする生徒のためになっているのかが不明である。(p24)

 

 

 

以下のような意見もありました。

 

・心理的な配慮という点で効果はあるかもしれないが、一般の受検者やルビのみの措置申請をした受検者と比べて過度な措置のように思う。他の受検者と比較したとき、選抜が適正に行われたと言ってよいか疑問である。(p24)

 

 

 

さらに、皮肉なことに、この制度自体が、外国出身の受検者に「格差」をもたらしています。

 

英語やフランス語、ドイツ語、中国語そして朝鮮語などの「メジャーな言語」を母語とする生徒は、すぐに必要な辞書を用意することができます。

 

しかし、自分の母語と日本語の辞書を手に入れることができない生徒もいます。

 

「平成31年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会」によれば、教育委員会の「アンケート」に答えた生徒の約35パーセントが、母語と日本語の辞書について、「存在しない(見たことがない)」と答えています。(p23)

 

(この資料、ちょっとおかしくて、グラフは「35%」ですが、「数値」が「20.9%」になっています。)

 

 

つまり、これは、辞書を手に入れられる生徒にとってのみ、有効な制度であるということなのです。

 

 

(一応念のため:韓国や北朝鮮で話されている言語は、正式には「朝鮮語」です。韓国人は「韓国語」と言いますが、これは朝鮮半島の言語なので、「朝鮮語」が正しい呼称です。NHKなどでは韓国、北朝鮮の双方に配慮して「ハングル語」などという呼称を「開発」しましたが、ハングルは文字のことなので、本来「ハングル語」といういい方はおかしいのです。その辺、「きちっとした教育機関」ほど「朝鮮語」といいます。)

 

 

 

常識的に考えれば、外国籍の生徒を対象とした「独自の選抜」を実施するべきだと思うのですが、ちょっとよくわからないエクスキューズがなされています。

 

・公平性を確保するため、在京外国人生徒対象の選抜において学力検査を実施することに肯定的な意見もある。しかし、第一次募集・分割前期募集と同日程で実施することになれば受検機会が1回減ることになり、簡単に結論は出せない。また、どのような学力検査をするのがよいかを決定することも難しい課題である。 (p26、p27)

 

 

どういうことを言っているのか、ちょっとよくわからないのですが、「外国人」対象の入試を、都立高校の一般入試日(第一次募集・分割前期募集)に行うと、一般入試を受ける「受験機会」が減ってしまうということを言おうとしているのでしょうか。

 

一般入試を受けるのが厳しい「外国人」の生徒は、一般入試を受けるのではなく、「独自の試験」を受けてもらえばよいわけです。ということで、どちらを受けるにしても、「1回」です。

 

どうして「受験機会」が減ることになるのか、ちょっとよくわからないのですが、私のとらえかたが間違っているのでしょうか。

 

それとも、「外国人」は「外国人」対象の選抜と、一般入試選抜の2回の試験を受けられるのが当然だということなのでしょうか。ちょっとよくわかりません。

 

しかも、この意見、丁寧に2か所に掲載されています(p26とp27)。なぜなのでしょう。

 

ちょっとよくわかりません。

 

 

一般入試で、「外国人」に「配慮」しようと思うからおかしくなるのであって、一般入試とは別の選抜を行えばよいはずです。

 

 

 

また、「日本国籍」でも、日本語を十分に習熟していない生徒は、「特別措置」を受けられるようにするべきだという意見があったみたいです。

 

・東京都においては、外国籍の生徒とともに、日本国籍で日本語を母語としない生徒も増加傾向にある。外国籍の生徒に限らず日本国籍を有している生徒の中にも、日本語指導が必要な生徒は少なくない。入学者選抜において、日本語指導が必要な日本国籍の生徒に対しても、共通問題でルビを振る措置の対応を可能としていただきたい。(p24)

 

 

じゃあ、日本語=国語が苦手なウチの子も「特別措置」を受けさせてくれ、という意見があちこちから出てこないか、心配です。

 

 

 

わざわざ述べなければならないようなことではないかもしれませんが、「入試選抜」というのは、同一の試験問題を用いて、同一の基準で学力を測る、というものです。

 

「平等で、公平な選抜が行われている」という「前提」があるからこそ、不合格となってしまった者も、「その結果」を必死に受け入れることが出来るのです。

 

 

テニスの大会で、この選手はテニスの経験がなくて、テニスの実力が十分ではないから、特別なルールで試合をしてもよい、などということはありえません。

 

 

 

少し補足すると、都内にはたくさんの都立高校があって、例年「定員割れ」となる高校も少なからずあります。定時制の高校もたくさんあります。

 

一般的に、受験生は、自分の「学力」に見合った高校を受験します。

 

いずれの都立高校も、外国籍の生徒を受け入れているわけですから、都立高校を志望する外国籍の生徒も、同じように、自分の「学力」に相応した高校へ進学することを目指せばよいわけです。

 

 

 

それにしても、この制度は、より上位の高校を狙う「ある特別な立場」の生徒にとんでもなく有利なわけです。

 

 

まあ、それとなく具体的に「要点」に言及すると、国際高校です。

 

 

 

さて、どうして、このような不条理な制度が実現してしまったのでしょうか。

 

「平成31年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書」を読んでみると、多くの教員や関係者が、この制度に疑問を感じていることがわかります。

 

 

 

世の中には、「弱者」に対して「配慮」を行うことをすべて「正義」であると信じている人がいます。

 

もちろん、私たちは、この世界をより良いものにしていきたいという希望を携え、この世界に横たわる様々な問題を是正していきたいと考えます。

 

しかし、「勝敗を決める」あるいは「序列を決める」というような営為において、そのような「配慮」は、矛盾、というよりも、自己否定となってしまいます。

 

少なくとも、「入試選抜」において、「学力」の劣ったものに「配慮」をすることは、「入試選抜」というシステムそのものを根底から蝕みます。

 

そういった当たり前の認識が欠如した人間が、運悪く「それなりの立場」に立ってしまうことは、社会にとって悲劇です。

 

合理的、巨視的な思考を持たない浅薄なヒューマニストが、自身の寛大で慈悲深い人間性に酔いしれるために、ルールや制度に「穴」を開けてしまうわけです。

 

 

 (ivy 松村)

 

 

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