平成28年度都立高校入試の社会の問題③

本年度の都立高校入試の社会の、大問5と6の解説をします。

 

○大問5「公民」

 

〔問1〕

 

社会権のうちのひとつである「生存権」について述べられている選択肢を選ぶ問題です。

この問題を落とすことはできなかったはずです。

 

平成26年度の大問5の〔問1〕で、「生存権」を答える問題が出されました。

2年前に出題された内容を確認していない受験生がいたとすれば、それは「致命的」です。

 

また、平成20年の大問5〔問1〕でも、「社会権」を答える問題が出されています。

 

 

2年前の問題の内容が「そのまま」書かれている「ア」が正解になります。

 

「イ」「ウ」の選択肢には「自由」という言葉がみられます。

これらは「自由権」について述べられているということに気づくことができれば、これらの選択肢を消去できます。

また、「エ」は、公務員の地位や参政権(選挙権)について述べられたものです。

 

過去に「基本的人権」について出題された例は、平成23年度の大問5の〔問1〕や、平成22年の大問5の〔問1〕、平成21年の大問5の〔問2〕、平成17年の大問5の〔問4〕などがあります。

これらの問題には、本年度の問題の選択肢「イ」「ウ」「エ」の「内容」が「ほぼそのまま」書かれた選択肢が使われています。

(憲法の条文なので、言い換えられることはないのです。)

 

 

〔問2〕

 

労働基準法について書かれた「ウ」が正解となる選択問題です。

 

このトピックも、過去にあつかわれています。

 

まず、平成20年度の大問5の〔問3〕です。本年度の問題とほぼ同じ内容でした。

「1日8時間、週40時間の労働時間」を定めた法律を選ぶ問題です。

 

また、平成15年度の大問5の〔問2〕でも、「労働基準法」を答える問題が出されました。

 

 

〔問3〕

 

グラフを読み取る問題です。

 

文章で述べられている内容にあてはまらない選択肢を消していけば、正解の「エ」にたどり着くことができます。

 

 

〔問4〕

 

わが国の社会保障の課題について、資料を用いて説明する問題です。

 

この問題は、「因果関係」にあてはめて記述をすることで、解答しやすくなります。

 

「グラフⅠ」をみると、社会保険料による収入と、社会保障給付費は、ともに増加していますが、その「差」が年々大きくなっていることがわかります。

つまり、「収入」と「支出」の差が増大して、「赤字」が拡大しているのです。

 

これが、「結果」です。

 

 

「グラフⅡ」をみると、65歳以上の「高齢者人口」が増加していることを示すグラフであることがわかります。

(同時に15歳以上~64歳の「生産年齢人口」が減少していることもポイントです。)

 

これが「原因」です。

 

 

高齢者人口の割合が増えているため(原因)、社会保障給付費による支出が増えています(結果)。

また、生産年齢人口の割合が減っているため(原因)、社会保険料による収入が増えなくなっています(結果)。

 

 

受験生は、「少子高齢化」によって「社会保障関係費」による支出が増大していることが、わが国の財政上の大きな問題となっていることを知っておく必要があります。

 

この問題は、「財政」、「社会保障」、「人口問題(少子高齢化)」など、複数のトピックに関係しています。

 

 

 

○大問6「融合問題」

 

〔問1〕

 

「Ⅱ」の文章で述べられている国を選ぶ問題です。

 

A=ブラジル

B=カナダ

C=インド

D=フランス

 

 

「ア」は、森林面積がもっとも広く、国土に占める森林面積の割合が大きいことから、ブラジルだとわかります。ブラジルには「アマゾン」と呼ばれる熱帯林が広がっています。

 

「イ」は、森林面積が広いことと、針葉樹の伐採が盛んに行われていることから、カナダであるとわかります。カナダは木材の生産国です。

針葉樹は涼しい気候でも生長するので、「亜寒帯」に広く生い茂る樹種です。これは社会の「基礎的な知識」として知っておかなければなりません。

 

 

「ウ」と「エ」を比較します。

 

国土の広さから考えて、インドの方が、森林面積が広くなるはずであると推測することができます。また、人口の多いインドの方が木材の需要が大きいので、木材伐採高が高くなるはずです。

 

したがって、「ウ」がフランス、「エ」がインドであると特定することができます。

 

 

「Ⅱ」の文章には、「18世紀後半には、市民を中心とした、自由で平等な社会を目指す動きがあった」という記述がみられます。

これは、フランス革命のことを述べているので、正答は「ウ」になります。

 

 

また、「森林面積及び国土面積に占める森林面積の割合は増加している」というヒントによって、「ア」と「イ」の選択肢を消し、さらに、「東部国境から南東部に広がる山地には針葉樹が分布している」(これはピレネー山脈のことです)という記述に着目して、針葉樹伐採高が高い「ウ」を選ぶことで正答にたどり着くこともできます。

 

 

〔問2〕

 

この問題は、ちょっと「やっかいな問題」ですが、「環境庁の設置」が1971年であることを知っていれば、正しい答えを見つけ出すことができます。

 

 

「環境庁の設置」に関しては、平成22年の大問5の〔問3〕、平成15年度の大問6の〔問2〕の年表、平成10年度の大問6の〔問3〕など、度々取り上げられてきました。

 

また、平成26年度の大問6の〔問2〕でも「環境関連」の問題が出されています。

 

67年 公害対策基本法

71年 環境庁の設置

72年 国連人間環境会議

:   :

 

といった「出来事」は、おさえておく必要があります。

 

「公害問題」と「高度経済成長」は、現代日本史の「陰と陽」をなすトピックです。「高度経済成長」と同じ時期に「公害問題」が大きくなり、法整備や政府機関の設置が求められたのです。

 

 

〔問3〕

 

この問題は、「記述問題」と「記号問題」の2つのパターンが用意されていたことがわかっています。

 

東京都教育委員会がホームページで発表している本年度の「入試問題」の大問6の〔問3〕は、「記述問題」となっています。

 

しかし、東京都教育委員会が2月26日にホームページで公表した入試日に起こった「不備」の内容を読んでみると、本年度の受験生に配られた入試問題の大問6の〔問3〕は、「記号問題」だったことになっています。

 

「記号問題」を配布しなければならないのに、誤って2名の受験生に「記述問題」を配ってしまったと記載されています。

 

ちょっとよくわかりませんね。

 

 

また、理科の入試問題でも、大問6の〔問3〕などの「記述問題」が、「記号問題」として作られている「別バージョン」のものが存在することがわかっています。複数の入試問題の「候補」が作られ、最終的に、大問6の〔問3〕が「記述問題」となっているものが入試問題として「採用」されたのだということになります。

さらに、公表された内容を読み解くと、理科の「別バージョン」は、「全て記号で答える」入試問題であったということがわかります。

 

 

なんだか、いろいろ考えさせられますね。

 

 

さて、大問6の〔問3〕ですが、「記述問題」としては、やはり、「因果関係」の構造を使って解答することができる問題です。

 

 

「変化の様子」と「その理由」を答える問題です。

 

ですから:

 

①森林面積がどうなった(増えたか減ったか)「変化の様子①」(結果)

②農地面積がどうなった(増えたか減ったか)「変化の様子②」(結果)

③それはなぜなのか「その理由」(原因)

 

という3つの「要素」を記述する必要があります。

 

 

「Ⅲ」から、記述の対象がアフリカ州であることが読み取れます。特に、「ナイル川」のヒントは見落とせません。

 

「Ⅱ」から、アフリカ州の人口増加率が27.7パーセントと他の地域よりも高いことがわかります。これが「その理由」(原因)の「要素」になります。

 

「Ⅰ」から、アフリカ州の森林面積が大きく減少し、農地面積が拡大していることがわかります。これが「変化の様子」(結果)です。

 

 

よって、記述する内容は、

 

①農地が拡大している

②森林が減少している

③なぜなら、人口が急増しているためである

 

というものになります。

 

 

ただし、「上位校」の場合には、この記述では不十分です。

(「本年度から」学校ごとの基準で「部分点」を採点するのだそうです。)

 

・人口増加→「より多くの食料が必要」

・農地の拡大→「農地を広げるために森林が減少している」

 

上記のような「補足」をしなければ整った解答にならないので、「部分点」を引かれてしまうかもしれません。

 

 

「解説」は以上です。

 

私が、授業で平成28年度の入試問題を解説するとしたら、ここまで書いてきた内容の、さらに倍くらいの情報を「肉付け」して生徒に伝えると思います。

 

「入試の日」まで、どういった「受験勉強」をしていくのか、考えることはたくさんありそうですね。

 

 

 (ivy 松村)

 

 

平成28年度都立高校入試の社会の問題②

本年度の都立高校入試の社会の「歴史」の解説をします。

 

 

○大問4「歴史」

 

〔問1〕

 

奈良時代の選択肢を選ぶ問題です。

 

ア=弥生時代・・・「稲作」「鉄器」「青銅器」「銅鐸」

イ=鎌倉時代・・・「宋」「道元」「座禅(=禅宗)」

ウ=奈良時代・・・「シルクロード」「聖武天皇」「光明皇后」「東大寺正倉院」

エ=室町時代・・・「明」「倭寇」「足利義満」「勘合」「水墨画」

 

キーワードから、それぞれの時代を特定することができます。

答えは「ウ」になります。

 

この問題の正答率は、かなり高くなると思います。

 

 

〔問2〕

 

伊能忠敬が活躍した時代を特定する問題です。

 

「ア」は、鎌倉時代です。

「イ」は室町~安土桃山時代です。

「ウ」は、安土桃山時代~江戸時代前期です。

「エ」は江戸時代中期~幕末です。

 

伊能忠敬は、江戸時代に精密な日本地図を作製した人物として知られています。

ほとんどの受験生は、答えを「ウ」か「エ」にしぼることができます。

 

年表に登場する新井白石は、5代将軍綱吉と8代将軍吉宗の間の時代に政治を行った人物です。その治世を「正徳の治」といいます。

 

江戸時代に関する「知識」として、綱吉や新井白石は「儒学者」であったということを知っておいたほうがいいでしょう。

その後将軍の座につく吉宗は、儒学に対する「こだわり」が薄かったため、蘭学を認めるという「英断」ができたのだと思います。

 

吉宗以降、蘭学が盛んになります。

 

地図を作成するためには、測量の技術が必要です。そして、伊能忠敬が身につけた測量技術は、ヨーロッパからもたらされたものです。つまり、伊能忠敬は、「蘭学」を学んだ人物であるということになるのです。

 

ですから、この問題の解答は「エ」となります。

 

 

新井白石を知らなくても、「元禄文化」が栄えたのが16世紀後半~17世紀前半であるということは知っておかなければなりません。綱吉の時代です。

(綱吉といえば「生類憐みの令」が有名です。さぞ息苦し時代であっただろうと、思ってしまう人もいるかと思いますが、非常に文化が栄えた時代でした。)

 

選択肢「ウ」は、「安土桃山文化」~「元禄文化」の時代であると読み取ることができます。

 

「化政文化」は江戸時代後期、19世紀のはじめに栄えた文化です。

ですから、選択肢「エ」は、「化政文化」の時代と重なります。

 

伊能忠敬が日本地図を作製したのは、「化政文化」の時期であると知っていれば、その知識から「エ」を選ぶことができます。

 

また、伊能忠敬が作った地図が国外へ持ちだされそうになった「シーボルト事件」を知っている受験生は、伊能忠敬が活躍したのは江戸時代の後半期であることも理解しているはずです。

 

 

それほど難しくもないこの問題の解説に多くの字数を割きました。

都立高校入試の社会の対策として、どのような「勉強方法」が有効なのか、気づく人がいるかもしれないと思ったからです。

 

 

〔問3〕

 

中世の運送業者「馬借」について、資料を用いて説明する「記述問題」です。

 

琵琶湖沿岸の港を拠点としていた「馬借」は、北陸で生産される「物資」を京都などへ運ぶ役割を担っていました。琵琶湖の水運を利用して京都や比叡山に近い「大津」や「坂本」に運ばれた物資を引き上げて、そこから陸路で輸送するのが「馬借」の仕事です。

 

「大津」の馬借に関しては、平成17年の大問4の〔問2〕の選択肢「イ」に記載があります。

 

「延暦寺の門前町としてだけでなく、琵琶湖水運の物資の集散地としても発達し、馬で物資を運ぶ運送業者や酒屋、土倉などの金融業者が多くあつまっていた。」

 

 

この問題に触れたことのある受験生は、有利だったと思います。

 

 

〔問4〕

 

時代順に出来事を並べ替える問題です。

 

ア=明治時代後期・・・「ポーツマス条約」「南満州の鉄道」

イ=昭和時代・・・「所得倍増」「積極的な経済成長策(=高度経済成長)」「東海道新幹線」

ウ=大正時代・・・「普通選挙」「民主主義の風潮」「女性車掌」

エ=明治時代前期・・・「官営工場」「殖産興業」「新橋と横浜間に鉄道」

 

大きなヒントとなるキーワードがちりばめられてあるので、比較的容易に時代を特定できます。

 

 

ところで、私は昨年度の都立高校入試の直前にこのような記事をブログに書いています。

これを読んだことのある受験生は、本年度の大問4の〔問3〕と〔問4〕で、容易に得点できたはずです。

 

都立高校の入試では、中世史では「馬借」などのトピックが、大正時代では「バスの女性車掌」というキーワードが出題される傾向にあるということを指摘しています。

 

一年後に「どんぴしゃ」でした。

 

 

(ivy 松村)

 

平成28年度都立高校入試の社会の問題①

本年度の社会の問題は、「本質的な対策」を行った受験生は点数が取りやすい問題構成でした。

奇をてらったような問題がほとんどなく、「正統的」な問題が並べられていました。

 

本年度の都立高校の作問は、非常にに難しい部分があったと思いますが、さまざまな制約の中で、かなり作りこまれた問題を出されていると感じ入りました。

 

受験勉強として「きちんとした対策」を行ってきた受験生ほど点数が取りやすかったと思います。

 

 

本年度の都立高校の社会の入試問題を解説します。

 

 

○大問1「融合問題」

 

〔問1〕

 

「時差」の出題は平成18年度、平成16年度に出題されています。

 

平成18年度の大問1〔問の1〕の問題は、本年度の問題とほとんど同じです。

同一の地図が使われていて、日本とイギリスの時差を求めるものです。

 

この問題を解いたことのある受験生は、取りこぼすことはなかったと思います。

 

 

中学の「社会科」のなかで、「時差」は2度、学習機会があります。

中1の「世界地理」を学習するときと、中2の「日本地理」を学習するときです。

(ほとんどの中学の1年生の1学期、そして、2年生の1学期で、「時差」の問題が出されます。)

 

そこで、「時差」に関する基本的な知識を身につけていれば、平成18年度の問題に触れたことがあるかどうかにかかわらず、この問題は、容易に解けるはずです。

 

・イギリスのロンドンを通る本初子午線が経度0度であること

・日本の標準時子午線は東経135度であること

 

以上の「知識」は必ず知っておくべきものです。

さらに、以下のことも知っておくか、少なくともすぐに求められるように「理解」しておかなければなりません。

 

・経度15度ごとに1時間の時差が生じること(360度÷24時間)

・イギリスと日本の時差は9時間であること(135÷15)

 

 

本年度の「時差」の問題は「基本中の基本」といってもよい問題です。

 

一方、平成16年度の問題は非常に高度な解答作業が必要となる問題でした。本当に「厳しい問題」というのは、平成16年度の大問6の〔問3〕のような問題のことをいうのでしょう。

 

 

 

〔問2〕

 

「幕末」における事件などの「場所」を特定する問題は、近年の「定番」となっています。

「御三家」、「桜田門外の変」というヒントとともに、「徳川光圀=水戸黄門」という「一般常識」から、水戸=茨城県を特定することができます。

 

 

〔問3〕

 

都立の社会の「語句筆記」問題は、明らかな「傾向」があります。

それに気づいている受験生は、その周辺の「用語」をおさえておくはずです。

 

「三審制」という答えは、「ど真ん中」でした。

 

 

 

○大問2「世界地理」

 

〔問1〕

 

条件にあてはまる国の位置を特定する問題です。

 

A=アメリカ

B=オーストラリア

C=中国

D=ナイジェリア

 

 

「表Ⅰ」を確認します。

「ア」が、世界で最も穀物の生産量が大きな国である、アメリカだとすぐにわかります。

 

次いで穀物の生産量が大きい「ウ」が、人口が多いため消費量が大きくなる中国であるとわかります。また、「米」の生産が多いということからも、「ウ」が「アジアの国」であると特定できます。

 

そして、残りのうち、小麦の生産力が高いオーストラリアが「エ」であるとわかれば、もう一方の「イ」がナイジェリアであると特定できます。

 

次に、「グラフⅡ」をみると、6~8月に気温が下がっているのが確認できますので、簡単に「南半球」の国の雨温図であることがわかります。

ナイジェリアは、「北半球」に位置しますが、それを知らなくても、雨温図の年平均気温が13.3度となっているので、「D」の選択肢を消去できます。

 

情報を正しく読み取っていけば、正解の「エ」にたどり着くことができます。

 

 

〔問2〕

 

地図中のWにあてはまる国を選ぶ問題です。

 

W=アルゼンチン(南アメリカ州)

X=タイ(アジア州)

Y=エジプト(アフリカ州)

Z=イギリス(ヨーロッパ州)

 

 

「パンパ」という広大な草原を有するアルゼンチンで牧畜が盛んであることを知っていれば、牛や羊の数が多い「イ」が正解であると、すぐに特定できます。

 

 

また、国民総所得に着目すれば、4か国のなかで唯一の「先進国」であるイギリスが「イ」であることがわかります。

 

さらに、距離的、地域的に日本とつながりの強いタイに、日系現地法人の数が多くなることに気づけば、「エ」がタイであることがわかります。

 

そして、国民総所得がもっとも低く、もっとも日本と「疎遠」である「ア」の国がエジプトになります。

 

 

〔問3〕

 

この問題は、スペイン、イタリア、ギリシャで生産が盛んな農作物を選ぶ問題です。

わが国においては、その農産物の93.5パーセントが香川県で生産されています。

 

 

「ア」のコーヒーは、南アメリカやアフリカで生産が盛んです。

「イ」のバナナは、東南アジアや南アメリカで生産されます。特にバナナは、フィリピンが上位に来るはずです。

 

そもそも、コーヒーやバナナを育てるのに、香川県の気候が適しているはずがありません。

 

「エ」のぶどうは、「ワイン」という連想から迷ってしまう選択肢ですが、日本のぶどうの生産量の1位は、当然山梨県です。

山梨県が日本で最も多くぶどうを生産しているという知識は、「基本中の基本」です。

 

正解は「ウ」のオリーブですが、南ヨーロッパの料理に、よくオリーブオイルが使われることを知っている受験生は、なんとか答えることができたと思います。

 

この問題は、どちらかというと「思考力」によって正答にたどり着く問題だと思いますが、「香川=オリーブ」という「知識」を持っていた受験生は、容易に解答することができたはずです。

 

実は、香川県でオリーブの生産が盛んであるという知識は、「特別」なものではないのです。

 

なぜなら、平成26年度の大問3の〔問1〕の選択肢「ウ」で取り上げられているものだからです。

 

過去問に「丹念に」取り組んだ受験生であれば、地中海地方で多く生産されているオリーブが、香川県で栽培されているのだということを知っているわけです。

 

過去問を解くのは、「そのような知識」を身に付けていくためです。

 

 

 

○大問3「日本地理」

 

〔問1〕

 

AとBの略地図の情報から、正答は「イ」の福岡県か、「エ」の広島県にしぼられます。

 

「文章」に書かれている「第二次世界大戦前から鉄鋼業」=「八幡製鉄所」というヒントを拾うことができれば、「イ」の福岡県を選ぶことができます。

 

 

〔問2〕

 

「Ⅱ」の文章で述べられている県を特定する問題です。

 

①=青森県

②=静岡県

③=鳥取県

④=宮崎県

 

 

青森県は、年平均気温が低く、「りんご」の生産が盛んなので「エ」であるとわかります。

 

静岡県は、「茶」の生産が盛んなので「ア」であるとわかります。

 

宮崎県は、畜産が盛んであることと、促成栽培を行って「きゅうり」を生産していることから、「エ」であるとわかります。

 

残りの「イ」が鳥取県ですが、「過疎地域」である鳥取は農業産出額が低いこと、そして「日本なし」を生産していることがヒントになっています。

 

 

それぞれの県の特定は、比較的容易です。

 

 

「Ⅱ」の文章に、「北から南」に複数の河川が流れているという記述がみられます。

 

青森県は、本州最北端に位置し、北側に海岸線があるので、川が流れるとすれば、「南から北」になります。

ですから、文章の条件にあてはまりません。

 

同じく、鳥取県も北側に海岸線がありますので、条件にあてはまりません。

 

宮崎県は、東側に海岸線があるので、やはりこの条件にあてはまりません。

 

したがって、答えは、唯一南側に海岸線を有する「ア」の静岡県となります。

複数の河川とは、富士川、大井川、天竜川などを指しています。

 

 

また、「温暖で水はけのよい土地での栽培に適した作物や果実」の栽培が盛んであるという記述がみられます。

これは、「茶」と「みかん」のことを述べています。「社会科」の知識として、特に、「みかん」は「温暖な気候」が栽培の条件であることは知っておかなければなりません。

「みかん」の生産が確認できるのは「ア」の選択肢だけですので、このヒントから正答にたどり着くこともできます。

 

最後に、「米、野菜、果実、畜産に分類されない農産物の農業産出額は、約600億円である」という記述がみられますが、このヒントを用いて「答えを出す」のは「最後の手段」です。

 

実際、計算して「ア」が約607億円になることを算出できれば正解にたどり着くことができますが、何というか、それは「エレガント」ではない答えの求め方です。

 

受験において、その「執念」は大事なものだと思います。

また、作問側も、「数値をあつかう能力」を評価しているからこそ、そのような「作り」の問題となっているわけですが、やはり、そこは「本流」ではないわけです。

 

 

〔問3〕

 

それぞれの選択肢に書かれている内容をよく読めば、「エ」であることがわかります。

これは、落とせない問題です。

 

 

(ivy 松村)

 

 

学年末テストの勉強

今日から、いくつかの中学では学年末テストがはじました。

二中、ひよ中、小山中、そして横山中の一年は、テスト期間に突入しています。

 

明日から、一中、四中、平山中、七生中、横山中の学年末テストがはじまります。

週が明けてから、打越中、加住中、川口中の学年末テストがはじまります。

 

今日も、中学生たちが集まって、テスト勉強に取り組んでいました。

何人かの生徒は、10時半までがんばっていました。

 

 

インフルエンザ流行の影響や、スキー教室の延期のために、日程が変更になった中学がありました。

また、直前になって試験範囲が変更になったり、ある教科の試験の実施が取りやめられたりするハプニングもありました。

 

3学期の定期テストは「範囲」が広くなるので、けっこう大変だと思います。

今回は、「実技のまとめノート」を導入して、四教科対策を強化しました。

 

明日も定期テスト勉強のために教室を開放します。

塾で勉強するほうがはかどる人は、利用するようにしてください。

 

 

(ivy 松村)

 

 

 

平成28年度の都立高校入試③

平成28年度の都立高校入試の社会ですが、個人的には「易化」したように思います。

 

しかし、もしかすると、私が「社会」を教えるときに、特に「ポイント」にしている内容が多く出題されたためにそう感じるのかもしれません。

 

社会という教科において、重要とされている知識や基本的な考え方をベースにした問題が多く、非常に「正統的」だと思いました。

 

 

昨年度4題だされた記述問題が、本年度では3題となっています。

 

他の教科と比べて出題の形式に大きな変化はありませんが、難度は下がっている印象です。

昨年度の大問5「公民」は、かなり厳しい問題が並びました。

 

近年の都立の社会は、どれかの大問に、厳しい問いが集められた「山場」があるのですが、今年にはそれがないように感じます。

 

 

気になった問題は、大問3の問1でしょうか。

 

「第二次世界大戦前から鉄鋼業」=「八幡製鉄所」で福岡県であるとわかりますが、広島県を選んでしまった受験生も多くいたと思います。

 

 

また、大問6の問2も、正答率が低くなりそうな問題です。

 

「環境問題」は非常に重要なトピックなので、現代史の中で「環境会議」の開催、公害や環境に関連する法律の整備、「政府機関」の設置などがいつ行われたのかを確認しておく必要があるのですが、環境庁をチェックしていなかった受験生はかなり多くいたと思います。

(「環境庁」の設置については、過去に出題されたこともあります。)

 

 

 

ところで、記述問題に関して、また、認識を変えなくていけなくなりました。

 

先日、都立高校の入試に「採点基準」が存在しているということをこのブログに書きました。

 

 

昨年度、東京都の教育委員会が、都立高校入試における記述問題の「部分点の基準」をホームページで公表していたので、常識的に考えて、すべての高校で統一の基準で採点されることになったのだと思いました。

 

個人的には、にわかには信じがたい話だとは思いましたが、なにしろ、そう書いてあるのです。

 

本日、本年度の記述問題の「採点」の方針についてホームページで確認してみると、「表現」が大きく変わっていました。

各学校で「部分点の基準」を決めて採点するということです。

 

まあ、その方が現実的ですよね。

 

 

ある組織の体裁としての「形」や「建前」と、「執行」や「運営」といった実務の間には、ほぼ確実に「ギャップ」が生じるので、本来ならば、組織として「外部」に「説明」をしなければならない場合には、「リスク管理」として「あいまいな」表現を用いるのが「鉄則」です。

それは、「はぐらかし」といったような幼稚な行為ではなく、ある意味で社会的な「責任」として行われるものです。

 

個人的には、「採点ミス」をなくすように、という「圧」が、想像を絶するほどに強かったのだろうと思っています。

 

 

石原さんが都知事をされている間に、都立高校の存在感は非常に大きくなりました。

もしかすると、それで非常に困っていた人たちが、ようやく大きな声を出せるようになってきたということなのかもしれません。

「採点ミス」を根絶することが「本当の目的」ではないと、だんだんと思い至る人も増えていくのかもしれないという気がします。

 

 

 

それにしても、都立高校入試が終わって、まだ1日と経っていません。

 

取り急ぎ確認したところですので、記入ミスや間違いがあるかもしれませんが、ご容赦ください。

 

 

詳しい情報が入ってきてから、今後の都立高校の入試についてじっくりと考えてみたいと思います。

 

 

(ivy 松村)

 

平成28年度の都立高校入試②

平成28年度の都立高校入試の英語についてみてみましょう。

 

英語も、選択問題中心の作りになっています。

 

共通問題では、大問4の文章題で「出題」に変化がみられました。

例年必ず2題出されていた、英語の質問に英語で答える形式の設問が選択問題になりました。

 

英単語を答える問題が1題のみとなり、しかも正答となる「made」は、文中から容易に見つけ出すことができます。

 

大問2は、情報を組み合わせたり、文章以外の情報を読み取ったりする必要があったので、少し戸惑った受験生もいたかもしれません。

 

 

全体としては、やはり英語も「易化」していると感じます。

 

 

リスニングは、昨年と比べて正答率が上がりそうです。

 

昨年度は、問題Bの2題がいずれも難度の高い問題でしたが、本年度はそこまで難しいという印象ではありません。

 

受験生の内の何人かは、Q2に苦戦したかもしれません。

「Why~?」に対して「To~」で答える形式を意識すれば、聞き取った「該当箇所」をそのまま答えるだけの問題です。

しかし、おそらく「because」で答えようとして、文法的に混乱した解答を記入してしまった受験生が多かっただろうと思います。

 

 

 

「G7」の英語の出題状況も確認してみました。

 

1 2 3
日比谷 共通 独自 A
青山 共通 A A
八王子東 共通 A B(独自?)
国立 共通 独自 A
戸山 共通 A C(独自?)
西 共通 B A
立川 共通 B A

 

 

 

「G7」の英語も、国語と同様に、「シンプル」な解答の問題が増えているようです。

「解答」を見くらべて感じた単純な印象を述べると、構成が私立の入試問題に接近しているように思います。

 

 

 

「G7」の数学の出題状況も見てみましょう。

 

1(1) 1(2) 1(3) 1(4) 1(5) 2 3 4
日比谷 A 共通 A A A A A 独自?
青山 B 共通 独自 A A B B 共通
八王子東 B 共通 B B A B B 共通
国立 A 共通 A A A A A 独自?
戸山 B 共通 B B B B B 独自?
西 A 共通 A A B A A 独自?
立川 B 共通 B B A B B 共通

 

 

 

「G7」の数学の問題は、完全に2系統に分かれています。

 

日比谷、西、国立が、似たような組み合わせの入試問題となっています。

「グループありき」なのか、「偶然」なのかはわかりませんが、興味深いですね。

 

 

 

(ivy 松村)

 

 

平成28年度の都立高校入試①

本年度の都立高校の入試が行われました。

 

 

全校でマークシートが導入されたことが、作問に大きく影響しています。

数学以外の教科で、「記述問題」が減っています。

 

特に驚きが大きかったのは、国語でした。

共通問題では、漢字、作文以外の設問は、全て選択問題になりました。

 

出題形式の変更も含めて考えると、「易化した」といえると思います。

 

マークは面倒ですが、記述が減ったので「作文」に使える時間が増えたことも大きいと思います。

 

大問4の「書の芸術論」について述べている課題文は、10年前の平成18年度に出題された課題文とほとんど同じ「テーマ」の文章でした。

過去問を解いてしっかり準備してきた受験生は、有利だったと思います。

 

 

 

入試問題の「グループ作成」を行う「G7」の問題も、選択問題が中心の作問となっていました。

 

八王子東と国立は、漢字、作文以外の設問は、すべて選択問題です。

 

青山、戸山、立川は、漢字、作文以外の設問のうち、大問5の問4(10字)を除くすべてが選択問題です。

 

日比谷は、漢字、作文以外の設問のうち、大問4の問3の①②(それぞれ14~20字)と大問5の問4(10字)を除くすべてが選択問題です。

 

また、日比谷は、漢字の「書き」を出題する大問2で(1)を差し替えています。

(日比谷は「編む」、他校は「幼い」。)

 

西は、漢字、作文以外の設問のうち、大問4の問2(40~50字)と大問5の問4(10字)除くすべてが選択問題です。

 

 

かつては、重厚な「記述問題」が課せられていたので、その「落差」に驚きます。

私立高校の入試では、ある年度の「出題」に大きな変化がみられることが珍しくありませんが・・・。

 

 

「G7」の国語の出題状況を表にまとめてみました。

 

1 2 3 4 5
日比谷 共通 (1)差替 共通 B(独自?) A
青山 共通 共通 共通 A A
八王子東 共通 共通 共通 A B
国立 共通 共通 共通 A B
戸山 共通 共通 共通 A A
西 共通 共通 共通 C(独自?) A
立川 共通 共通 共通 A A

 

 

 

 

新宿、国分寺、墨田川の問題は漢字、作文以外の設問のうち、大問3の問5の①(3字)②(40~45字)、大問5の問4(15字)を除くすべてが選択問題です。

 

このグループは、漢字の読み書きの問題数や順番、組み合わせが高校によって大きく違っています。

 

○新宿高校

・読み・・・しょうそう(尚早)、こくじ(酷似)、さえぎる(遮る)

・書き・・・枚挙、航空券、減らす

 

○国分寺

・読み・・・ほろびる(滅びる)、さえぎる(遮る)、しょうそう(尚早)、りゅうりゅうしんく(粒粒辛苦)

・書き・・・勇んで、練る、枚挙、官庁街

 

○墨田川

・読み・・・ほろびる(滅びる)、さえぎる(遮る)、こくじ(酷似)、しょうそう(尚早)

・書き・・・練る、枚挙、寒暖、暴飲暴食

 

 

 

白鷗、両国、富士、大泉、武蔵の「グループ作成」問題は、ある意味で、「都立らしい」作りだといえるかもしれません。

選択問題ではない問題の割合は従来の入試とそれほど変わっていません。

 

選択問題ではないない設問:

 

・大問3の問1(10~15字)

・大問3の問2(~25字)

・大問4の問2(~50字)

 

 

(ivy 松村)

 

きみやとくらむ

2月になると、ある和歌を何度もつぶやいてしまいます。

 

 

 

袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ

 

 

(夏の日に)袖をぬらすようにして両手ですくえた水が

 

(冬の間に)氷ってしまっているのを

 

春のおとずれの(立春の)今日の風が

 

(今まさに)とかしているのだろうか

 

 

 

紀貫之の代表作です。

 

 

歌に詠みこまれた夏→冬という季節の移ろいを、どうしても夏期講習・冬期講習になぞらえてしまいます。

 

そして、「氷をとかす春の風」というのは、私たちにとって、やはり特別な「隠喩」であると感じずにはいられません。

 

 

 

何度つぶやいたとしても、その度に、この歌のもつ「力」に感じ入ってしまいます。

 

 

貫之は、視覚や聴覚によってではなく、「想像力」によって「春のおとずれ」を知覚しています。

 

 

「風やとくらむ」の「らむ」は現在推量の助動詞です。

 

「今ごろ~しているのだろう」と訳されますが、自分から遠くは離れた場所にいる人や、遠く離れた場所で起こっている出来事について、思いや考えを巡らせるときに使われる表現です。

 

 

「風やとくらむ」・・・今ごろ風が(氷った水を)とかしているのだろうか。

 

 

「想像力」を喚起された私は、ある情景に思いをはせます。

いや、むしろ、ある情景が思い浮かんでしまうからこそ、この歌をつぶやいてしまうのかもしれません。

 

 

・・・生徒たちは、今まさに、入試問題を「といている」のだろうか。

 

 

 

24日は、都立高校の入試ですね。

 

25日に、国公立大学の二次試験がはじまります。

 

 

がんばってください。

 

 

 

「そのとき」に、きっと私は、この歌をつぶやいているはずです。

 

 

(ivy 松村)

 

 

都立高校入試の社会の記述問題について

都立高校入試が近づいてきました。

 

社会の「記述問題」(論述問題)のポイントを書こうと思いますが、その前にまず、ある情報について書きます。

 

もしかすると、知らないままの受験生がいるかもしれません。

それで、この記事を書いておこうと思ったのです。

 

 

 

都立入試の各教科の記述問題の採点基準は、以前は、おそらく各高校にある程度「裁量」がゆだねられていたはずです。

しかし、一昨年度の入試で、都立高校の「採点ミス」の問題が大きく取り上げられ、それをきっかけとして都立高校入試の制度が「改革」されることになりました。

 

耳目を集めた変化のひとつに「マークシート」の導入がありましたが、実は、記述問題の「採点基準の統一」も、その大きな流れの中で明確化されていたのです。

 

 

都立高校入試の理科・社会は、上位校であろうとなかろうと、同じ基準で採点される「方針」となっています。

 

もし、「採点基準」を知らないまま受験勉強をしている受験生がいるとすれば、それはちょっと「怖い」状況です。

今の時点で知らないという人がいたら、東京都教育委員会のホームページで確認しておきましょう。

 

 

当然ですが、記述問題は、「何となく」書けばよいというものではなく、何を、どう書けば点数が得られるのかを認識したうえで「解答」を作らなければなりません。

 

「部分点」の集積によって「解答」が成り立つという、記述問題の基本的な「設計」を理解していなければ、「組み上げる」記述ができずに、点数を取りこぼしてしまうことも起こり得ます。

 

 

 

記述問題の基本的なアプローチは、「資料」から読み取れる複数の「要素」を「言葉」に置き換えて、設問に対して整合するように連結して「解答」を作るというものです。

 

能動的に「言葉」を使うことに対して、苦手意識を持っている中学生は多くいるのだろうと思います。

こうした訓練の経験が少ない人は、かなり高度な能力が求められているように思うかもしれません。

しかし、記述問題は、ある程度定式化された「作業」を行うことで、得点を確保することができるものです。

 

 

 

昨年度の社会の入試問題を使って、記述問題を「攻略」してみましょう。

 

 

◎平成27年度 都立高校入試問題 社会 大問3〔問3〕

 

次のIの表は,ある町の1965年から2010年までの総人口,0~14歳の人口,15~64歳の人口,65歳以上の人口を示したものである。Ⅱの文章は, 2009年4月からこの町で施行された事業の一部を示したものである。IとⅡの資料から読み取れる,この町がⅡの事業を施行した理由と目的について,簡単に述べよ。

 

 

1965年 1980年 1995年 2010年
総人口 15479 11972 9536 7304
0~14歳 6393 3077 1595 643
15~64歳 8164 7543 5729 3837
65歳以上 922 1352 2212 2824

 

 

○奨励金の支給年度において,定住世帯構成員の一人以上が満45歳未満であれば,定住世帯に奨励金を支給する。奨励金の基本額は,定住世帯一世帯につき15万円とし,単身世帯の場合は5万円とする。

 

○中学生以下の子供がいる場合,基本額に,当該中学生以下の子供一人につき5万円を加算した額の奨励金を支給する。

 

○満65歳未満の人が,定住する目的で,町内の土地を取得し,町が定めた期限までに住宅を建築することを確約すれば,一世帯につき奨励金を30万円支給する。

 

 

 

 

①問題の形式を確認する(解答の形式を定める)

 

 

→「理由」と「目的」を答える

※理由・・・どうして「奨励金」を支給するのか(どんな問題があるためなのか)

※目的・・・何のために「奨励金」を支給するのか(何を求めてのことなのか)

 

 

「理由」と「目的」という言葉について、同一の概念をわざわざ2語並べて使っているのだと勘違いしてしまうと、「解答」の形が設問に対応しなくなってしまいます。

 

「と」という、「語を並立させる助詞」を使っているので、「理由」と「目的」の2つを答えるのだと考えなければならないわけです。

 

正答例では、「~ため、~を目的としている。」という記述形式になっています。

他にも「~から、~ため。」「~ので、~しようとしている。」といった記述の形が考えられます。

 

 

 

②「解答」の「構造」を把握する

 

 

この問題の「解答」には、「理由」と「目的」という2つの要素を組み込めばいいということがわかりました。

 

しかし、「理由」と「目的」という2つの「似たような」概念を結びつけるのは、ちょっと大変だと思います。

 

もしかすると、こういった問題を攻略する鍵になるのは、さまざまな事柄の結びつきを「発見」することができるような、抽象的な思考力なのかもしれません。

 

この2つの要素は、大きくとらえると「因果関係」にあると考えることができます。

 

 

「理由」 「目的」
=(問題点) =(対応策)
=原因 =結果

 

 

実は、社会の記述問題の「解答」は、「因果関係」の説明を求めるものが非常に多いのです。

 

「難解」に感じた記述問題は、まず「因果関係」に照応させることができるかどうかを考えてみるとよいかもしれません。

 

 

 

③必要な「情報」の「所在」を確認する

 

 

「因果関係」という「構造」をとらえることができたら、次に、「資料」から「理由」(因)と「目的」(果)の情報を得られるかどうかを確認します。

 

 

「資料」を用いた記述問題で「因果関係」を説明するときには、以下のうち、どのタイプの問題を解いているのかを判断する必要があります。

 

※「資料」から「因」の情報が読み取れる / 「資料」から「果」の情報も読み取れる

※「資料」から「因」の情報が読み取れる / 「資料」から「果」の情報は読み取れない

※「資料」から「因」の情報が読み取れない / 「資料」から「果」の情報は読み取れる

 

 

この問題の場合、多くの受験生は、ほとんど直感的に「Ⅰ」が「因」の情報を示していることを読み取ることができます。

すなわち、「奨励金」という事業が施行された「理由」は「Ⅰ」を使って記述するということになります。

 

 

原理的に、「Ⅱ」から「果」の情報を読み取るのだと把握できれば、「解答」に大きく近づきます。

しかし、「Ⅱ」には、「果」の情報が「直接」述べられていないので、「奨励金」という事業が施行された「目的」については、言葉を補って記述しなければならないということになります。

 

 

 

④「資料」から、記述に必要な「要素」を抽出し、言語化する

 

 

「Ⅰ」は、「少子高齢化」と「過疎化」が進行していることを示す「資料」であると気づかなければなりません。

 

日本の「人口問題」に関して、受験生のほとんどは、すぐに「少子高齢化」に思い当るでしょう。これが、「解答」を構成する「要素」のうちのひとつになります。

 

同時に、(「過疎」が進行し)「総人口」が減少していることを「要素」として「解答」に組み込まなければなりません。

(そこに、「部分点」である「1点」が設定されています。)

 

 

「人口問題」は常に2つの面から考えなければなりません。

ひとつは、人が「生まれる」「死ぬ」という「生物的要因」です。

もうひとつは、「流入する」「流出する」という「社会的要因」です。

 

過密/過疎、都市化、ドーナツ化現象、ベッドタウン、昼間人口/夜間人口、移民などの問題は、要するに「社会的要因」から人口にまつわる現象をとらえたものです。

つまり、「社会科」という教科においては、地理的な人口の分布や移動の状況を、「人口問題」の対象として意識しておかなければならないのです。

 

 

「総人口の減少」に言及して「部分点」を獲得するのは、上記のような、「社会科」の知識や問題意識などを装備している受験生か、問題の構成を精密に読み取って、「総人口の減少」を必要な「要素」として解答に組み込むことができる「センス」を持った受験生ということになります。

 

(一応、念のために述べておきますが、「センス」とは、「頭のよさ」といったような胡散臭いものを表しているわけではありません。試験時間の、まさにその問題を解いているそのときに、誠実に問いに相対し「考え尽くす」ことで研ぎ澄まされる「得点感覚」のことをいっているのです。それは、「誰」であっても身につけられるものです。)

 

 

都立高校入試の社会の記述問題は、基本的に、表、グラフ、図、年表、文章などの「資料」を活用したものになっていて、直接「知識」を問われることはほとんどありません。しかし、「背景」を知っていることで、設問の「意図」や、答えるべき「内容」に気づける場合があります。

 

何を答えていいのか迷ったときには、落ち着いて、問いの「周辺知識」を洗い出してみると、思いあたることがあるかもしれません。

 

 

次に、「Ⅱ」の内容から、必要な「要素」を拾わなければなりません。

 

○その町に45歳未満の人が住んでいると「お金」がもらえる(「家族」だと多くもらえる)

○町に住んでいる「家族」に「子供」(中学生以下)がいれば、さらに「お金」がもらえる

○高齢者ではない人がずっと定住するつもりであれば、さらに「お金が」もらえる(家を建てたり土地を取得したりする)

 

→若い人がその町に住むと「経済的なメリット」が得られる

(その町に引っ越してくる「動機」を作った)

 

※このような事業を行う「目的」:

 

・町の人口を増やすため

・若い人を増やすため

・定住(ずっと暮らしてくれる)してくれる人を呼び寄せるため

 

 

 

④「部分点」を意識しながら「解答」を「組み上げる」

 

 

 

記述に使う「言葉」は、抽象的な語彙を用いたほうが「きれい」にまとまりますが、そういった語彙が思いつかなければ、「資料」の表現を使ってまとめるとよいでしょう。

 

たとえば:

 

「・・・45歳未満の人や中学生以下の子供を持った世帯の定住を増やすという目的で奨励金を支給している。」

 

というような表現でもぎりぎり許容されると思います。

 

 

正答例:

「総人口の減少と少子高齢化の課題があるため、町外から若年層の定住者を増加させることを目的としている。」

 

 

「Ⅰ」で読み取った「少子高齢化」という「理由」と対応した「目的」を書かなければならないので、「若い」定住者が求められていることを記さなければなりません。

ですから、単に「定住者の増加」と記述した場合には、「部分点」の「2点」を得ることはできないということなのでしょう。

 

 

 

部分点の基準:

 

・理由として,「総人口の減少」について述べられている。(1点)

 

・理由として,「少子高齢化」について述べられている(2点)

※少子化又は高齢化のどちらかのみについて述べられている場合は部分点を与えない。

 

・目的として,「町外から若年層の定住者を増加させること」について述べられている。(2点)

※年齢層(若年層,子育て世代など)又は定住者の増加のどちらかのみについて述べられている場合は部分点を与えない。

 

・誤字・脱字が1か所以上ある。(1点減点)

 

 

 

この問題の正答率は69.3パーセントとなっていますが、5点満点を獲得した受験生はあまり多くないと思います。

(この正答率は「部分点」を得た受験生をカウントしたものです。したがって、「0点」だった受験生が3割以上いたわけです。)

 

 

 

記述問題は、「部分点」を組み合わせて作られています。

逆にいえば、「部分点」に分解できるというわけです。

 

ですから、「部分点」を構成する「要素」を組み上げて「解答」を作る、という意識を持つことが大切です。

そうすることで、「部分点」を確実に確保することができ、かつ、失点を防ぐことができます。

 

 

また、「部分点」を意識することで、解答への筋道をより速く、正確につかめるようになるでしょう。

問いの「構造」を分析的に考えることで、「何」をどう「解答」に組み込めばいいのかが見えてきます。

 

 

 

ここに書いたものは、特定の問いに対するアプローチの一例にすぎませんが、それでも、多くの示唆を含んでいると思います。

 

 

最初は、もっと総合的な攻略法を書くつもりだったのですが、「文字」だとなかなか難しいですね。ちょっと冗長な説明になってしまいました。授業であれば、もう少し簡潔に包括的な説明ができるのですが。

 

 

本当は、今年は、都立高校入試の「支援」を書くつもりはなかったのです。

思い立って勢いで書いてしまいましたが。

そのせいで、文章が散漫になってしまいました。

 

それでも、このブログを覗いた受験生にとって、参考になれば、と思います。

 

 

 

受験生のみなさん、悔いのない受験を。

 

 

 

(ivy 松村)

 

連絡「定期テスト対策」「春期講習」

学年末テストが近づいています。

 

土日に校舎を開放しますので、勉強に来てください。

 

 

◎定期テスト勉強会:

 

・2月20日(土)午後2時~

・2月21日(日)午後2時~

 

・2月27日(土)午後2時~

・2月28日(日)午後2時~

 

 

 

1年生、2年生には、それぞれの学校のテスト範囲の問題プリントを渡しています。

うまく活用してください。

その他、学校のプリントや資料などをコピーしてほしい人は声をかけてください。

 

 

 

今日が「実技教科のまとめ」の提出日でした。

ほとんど手を付けていなかった人が何人かいました。

 

次の提出日は24日(火)です。

それまでに進めておきましょう。

 

 

この1週間は、いつもよりも時間に余裕があるので、授業時間以外で対策授業を希望する人は、申し込んでください。

時間を取って説明をしたり、教材を用意したりできます。

 

特に、社会に不安がある人は相談してください。

 

・ヨーロッパ/アフリカ/北アメリカ/南アメリカ/オセアニア

・日本の気候/人口/資源/産業

・九州地方/中国・四国地方/近畿地方/中部地方/関東地方/東北地方/北海道地方

 

・縄文時代/弥生時代/古墳時代/飛鳥時代/奈良時代/平安時代

・安土桃山時代

・江戸時代

・絶対王政/市民革命/帝国主義

・幕末・明治時代

 

など。

 

 

 

二中は、今回は他の中学より早い日程になっています。

土日前の2日で終わってしまうので、来週が山場です。

 

一中とひよ中は、土曜日に試験があります。

ひよ中も休日前に試験が終わってしまうので、のんびりとはできません。

 

 

他の中学で、27・28日に「つめこみ」をすればいいと考えている人、その甘い考えが「命取り」になります。

明日、明後日までに、一通り暗記して、来週からは確認・定着をはかるくらいのペースでないと苦しくなります。

 

緊張感を持って、取り組んでいきましょう。

 

 

 

◎春期講習:

 

2月の初旬に、春期講習のご案内をお渡ししています。

 

まだ、受付をしておりますので、参加ご希望の方は校舎までお申込みください。

また、日程等のご相談があれば、校舎の方までお問い合わせください。

 

(ivy 松村)