都立中の「作文」③

南多摩中は、「体験」をオミットしています。

この2年は、「説明」をさせる「作文」を出しています。

 

「パターン作文」では太刀打ちできない問題です。

 

 

それにしても、南多摩中は、作問者によって試験問題の「内容」が大きく変わることがあるかもしれないので、ちょっと注意が必要かもしれません。

 

 

南多摩27

〔問題2〕

あなたも実行委員として、会話 に参加しているとします。

まず、あなたは、たまお君とみなみさんのどちらの意見に賛成するか書きなさい。

次に、その意見が〝やさしいきびしさ〟または〝きびしいやさしさ〟のどちらにあてはまるか書きなさい。

さらに、あなたの体験をあげながら賛成する理由を書きなさい。

以上のことを四百字以上五百字以内でまとめなさい。

 

南多摩28

〔問題2〕

文章1・文章2をふまえ、あなたが「わかったつもり」から、具体的な経験を通して、本当に「わかった」ことを書きなさい。

以上のことを四百字以上五百字以内でまとめなさい。

 

南多摩29

〔問題3〕

「あなた自身、困こまったとき、「どうしたらいいだろうか」「どんなことをすればいいのかな」と無意識に自分や周りにいる誰かに問いかけているはずです。」と筆者は言っています。

では、私たちの社会や地域の中で、あなたが「どうしたらいいだろうか」と困っていることは何ですか。そして、それを少しでも良くするためにあなたは周りにどのように働きかけますか。次のページの〔手順〕にしたがって、四百字以上五百字以内で説明しなさい。

 

〔手順〕

1. あなたが「どうしたらいいだろうか」と困っていることを書く。

2. 1.で挙げたことに対して、なぜ困っているのか、理由を説明する。

3. 今の状きょうを少しでも良くするために、周りにどのように働きかけるか。あなたにできることを説明する。

 

南多摩30

〔問題3〕

自分の主張が受け入れられないとき、あなたはどのような歩み寄りの提案をしますか。

本文の内容をよくふまえ、次の〔手順〕にしたがって、四百字以上五百字以内で説明しなさい。

 

〔手順〕

1 自分の主張を理由とともに、具体的に書く。なお、何について主張するのかは自分で決める。

2 想定される別の意見を書く。

3 別の意見を言う人の意図をふまえ、歩み寄りの提案をする。

 

 

 

立川国際は、近年も、「体験」をふまえた「作文」を書かせるような出題が続いています。

ある意味で、「保守的」ですね。

立川国際は、いまや「特殊な」出題傾向の中学となっているので注意が必要です。

 

しかし、この中学も、ある年にいきなり「トリッキーな出題」がありそうで、ちょっと怖いですね。

 

 

立川国際27

〔問題3〕

「読書のたのしみとは、ほかでもない、この「どのように」を味わうことにあるのだから。」の「どのように」をわかりやすく説明した上で、自分の読書体験をふまえ、「読書のたのしみ」とはどのようなものか、あなたの考えを三六〇字以上四〇〇字以内で書きなさい。

 

立川国際28

〔問題3〕

「質問すること」が生み出すことは何だと筆者は言っているか。その筆者の考えをふまえて、「質問すること」に対するあなたの考えを、自身の経験をまじえて四六〇字以上五〇〇字以内で書きなさい。

 

立川国際29

〔問題3〕

筆者は、私たちが「自然に無理解になってきているようです」と述べていますが、本文を通して筆者は自然を理解するとはどのようなことが分かることだと考えていますか。また、この筆者の考えについてあなたはどう思いますか。あなたの考えを身近な具体例をあげて四百二十字以上四百六十字以内で述べなさい。

 

立川国際30

〔問題3〕

「本来のやさしさ」とは、どのようにすることだと筆者は述べていますか。また、その考えについてあなたはどう思いますか。あなたが今までに実際に受けたやさしさの経験を交え、あなたの考えを、四百六十字以上五百字以内で書きなさい。

 

 

 

(ivy 松村)

 

 

平成30年度の南多摩中適性検査②

「適性検査Ⅱ」をみてみましょう。

 

 

大問1

 

〔問題1〕

 

さいころの展開図です。絶対に落とせない問題です。

 

 

〔問題2〕

 

「かけ算の答え」と「割り算の答え」を足して、7になる計算式を考える問題です。

使えるのは1から6までの整数のうち、異なる4つだけです。

 

□×□+□÷□=7 (□÷□+□×□=7)

 

 

答えが7になる「足し算」の式は、以下の3つです。

 

・4+3=7(3+4=7)

・5+2=7(2+5=7)

・6+1=7(1+6=7)

 

「4と3」、「5と2」、「6と1」の組み合わせになるものを考えます。

 

 

・4×1+6÷2

・5×1+4÷2

・5×1+6÷3

 

 

以上のような解答があります。

(「6と1」の組み合わせは存在しません。)

 

 

〔問題3〕

 

使われているさいころは、「1」の面を上に置いているので、「6」の面が下になっています。

したがって、2・3・4・5が横の面になっています。「2と5」、「3と4」は向かい合っているので、となりあうことはありません。「2と3」の組み合わせを除くと、以下の組み合わせが残ります。

 

・2と4

・3と5

・4と5

 

図6と同じように、8個のさいころを書いて「見えている面」の合計を出せば、「60」になることがわかります。

そうすると、太朗さんのいう「おもしろいこと」というのは、「1の面を上にした」さいころの「見えている面」の合計は、常に「60」になるということなのではないかと推測できます。

 

「6」以外の面はすべて4つずつ存在します。

したがって、「見えている面」の合計は、常に「60」になるわけです。

 

(1+2+3+4+5)×4=60

 

 

 

大問2

 

〔問題1〕

 

東京スカイツリーは634mです。

一方、東京タワーは、333mです。

 

私たちの目には、「近く」にあるものは大きく見え、「遠く」にあるものは小さく見えます。

東京スカイツリーは東京タワーの2倍の高さです。
東京タワーが、東京スカイツリーと同じ高さに見えるということは、東京タワーが自分の「近く」にあるためであるということになります。

 

 

〔問題2〕

 

・三大都市圏・・・東京都市圏(首都圏)・名古屋都市圏(中京圏)・大阪都市圏(近畿圏)

・三大工業地帯・・・京浜工業地帯・中京工業地帯・阪神工業地帯

 

東海道新幹線は、「三大都市圏」・「三大工業地帯」を結ぶ高速鉄道であるととらえることができます。

 

表1の「人口」の資料からは、さらに横浜と京都を説明に加えることができます。

表2の「工業地帯・工業地域」の資料からは、さらに東海工業地域を説明に加えることができます。

 

 

〔問題3〕

 

グラフと割合の計算です。

 

定規を用意するように、という指示があったので、「グラフ」かもしれないと受検生に伝えていたのですが、やはりそうでしたね。

 

図4は、家電製品や乗用車などの普及率が大きく上昇していることが示されています。

 

図3のグラフの「その他」の支出割合は、1965年から1990年の間に増加しています。それは、多くの家庭で家電製品や自動車などの「耐久消費財」を購入するようになったからだということがわかります。

 

「食料」の支出が減っているのは、いわゆる「エンゲル係数」が低下しているということを示しています。

 

 

 

「東京都」には、オリンピック・パラリンピックを盛り上げ、成功させたいという大願があります。

「都立中学」の入試問題に、そうした「意気込み」が反映されていると考えることができます。

たぶん、「都立高校」の入試問題にも、同じような「傾向」が見られるでしょう。

 

 

 

大問3

 

〔問題1〕

 

この問題が、本年度の入試の「要所」となりました。

 

「1㎠」は「1㎝×1㎝」、つまり「10㎜×10㎜」=「100㎟」です。

したがって、「4㎟」の25倍です。

 

しかし、「2.5倍」であると勘違いをした受検生が多くいたはずです。

 

「単位」をきっちりと「攻略」していない受検生は当然失点したでしょう。

のみならず、普段なら間違うはずのない学力レベルの受検生でも、何人かは失点をしてしまったのだろうと思います。

 

「算数」の試験であれば慎重に対処できたはずの問題であっても、「適性検査」では、落としてしまうことがあります。

「適性検査」は、問いの説明や構成、解答形式がより複雑で、さらにスピードが求められます。

正確に、速く問題を「処理」しなければならないことが「あせり」を生み、受検生の「注意力」を散漫にしてしまいます。

 

 

〔問題2〕

 

会話文を読んで図をみれば、解答を導ける問題でした。

 

 

〔問題3〕

 

・「図5」→① 夏になると雨が降るので、地表の砂はかわいた状態ではなくなる

・「図6」→×

・「図7」→② 夏になると強い風が吹く回数が減るため、砂が巻き上げられなくなる

・「図8」→③ 夏になると東に向かう風が弱まるため、砂が日本まで運ばれない

 

 

 

今年の入試は、かなり易化しました。

「ボーダー」は相当高くなりそうです。

 

 

本年度の南多摩中の入試の「ポイント」を2つ挙げることができます。

 

1つ目は、調査書の点数の比重が高まったということです。

入試問題が易化するということは、多くの受検生の得点が、高得点域で均衡するということを意味します。したがって、調査書の点数が乏しい受験生は、「逆転」が難しくなります。逆にいえば、調査書の点数=学校の成績が良い受検生ほど有利になります。

 

2つ目は、私立中受験の勉強をしてきた受験生ほど有利になる「傾向」がいっそう強まったことです。

「適性検査Ⅰの問題1・問題2」は、私立中の入試問題と遜色ありません。

「適性検査Ⅱ」は、よりいっそう私立中入試に近接しました。

 

「共通」の入試問題を作成するということは、ある意味で、都立中の「適性検査」の「一般化」「普遍化」を促しているといえると思います。

それは、また同時に「易化」を進行させています。

つまり、「訓練を積んだ受験生」にとって「解きやすい」問題であるということです。

 

 

 

南多摩中は、これまで、「理科」や「算数」などの理系科目で、難解な問題が出されることが多くありました。そのため、理系科目を攻略することは、合格へ大きく近づくことを意味しました。

しかし、理系科目が易化しています。おそらく、大問1と大問3では、受検生の得点に大きな「差」はつかないでしょう。

 

したがって、今年の南多摩の入試は、「適性検査Ⅰの問題3」=「作文」が、合格への「鍵」になったかもしれません。

 

 

(ivy 松村)

 

平成30年度の南多摩中適性検査①

私立中、都立中の入試が終わりました。

おつかれさまでした。

 

南多摩中の入試問題の分析をしてみようと思いますが、ちょっと。

 

南多摩中を受けた生徒は、読まない方がいいと思います。

いずれにしろ、間もなく「結果」が出ます。

 

「塾の人間」は、過去に目を向けます。そういう「習性」なのです。

でも、「受験生」の目は未来を向いていなければなりません。

 

 

人生の大きな「節目」を乗り越えて、ひとつ、大きな財産を手に入れました。

 

明日から中学準備講座です。

さっそく、人生の次のステージの勉強を始めましょう。

 

 

 

まず、「適性検査Ⅰ」です。

 

「問題1」は第二の自己表現のタイプである「攻撃的自己表現」について記述する問題でした。

 

「どのように何を守ることですか」と問われているので、

 

①どのように、

②何を守る

 

という2つの「要素」を組み込んで解答を作ります。

文末は「~こと。」です。

 

 

①ですが、以下の箇所を解答に使えます。

 

第二段落「自分のことだけをまず考えて行動し」

第十二段落「自分が正しいかのように言い張り、相手を黙らせようとしたり、同意させようとしたりする」

同「自分と異なる意見やものの見方に耳を傾けようとせず」

 

 

②ですが、以下の箇所を解答に使うことができます。

 

第十一段落「自分の言い分や気持ちを通そうとする」

 

 

「自分のことだけを考えて行動し、自分の言い分や気持ちを守ること。」

「自分が正しいかのように言い張り、自分の言い分や気持ちを守ること。」

「異なる意見やものの見方を尊重せず、自分の言い分や気持ちを守ること。」

 

上のような解答であれば、大きく点数を落とすことはないと思います。

 

 

 

「問題2」は「アサーティブな自己表現」における「葛藤が起こる可能性」があるのはどのようなときかを答える問題でした。

 

解答の文末は「~とき。」です。

 

 

「葛藤」という言葉の意味を知らない、あるいは類推できなければ、解答を導くことができません。

 

 

解答には、第二十、二十一段落が使えます。

 

「意見や考えが一致せず、合意が得られないとき。」

 

 

 

いずれ学校から正式な「解答例」が公表されます。

 

「解答例」はいろいろな「情報」を示唆してくれますが、ちょっと注意しなければならないことがあります。

 

それは、「解答例」は、決して「的確な解答」というわけではないということです。

実は、都立中や都立高校の「記述問題」の「解答例」は、かなり「ルーズ」に書かれています。

 

「解答例」とかけ離れた表現で書いても、「内容」と「解答形式」に不備がなければ正解になります。

 

当たり前といえば当たり前の話ですが、「決まり切った答え」を求めるような入試問題ではないので、「解答」は「特定の様式の文」に収束しないのです。

 

さらに、学校側が、採点に「幅」を持たせるために、あえて課題文中の言葉を外して「解答例」を作ることもあります。

 

 

つまり、自分の解答に使用した「文中の箇所」や「語彙」が「解答例」に近似しているかどうか、だけで「正誤」や「部分点」を判断してはいけないということです。

 

「解答例」こそが「規範」であると勘違いしてしまうと、正しい筋道の思考が滞ってしまうので、受験勉強が「手詰まり」になってしまうこともあります。

「解答例」にたどり着くためにはどのように考えるべきなのか、というアプローチにこだわりすぎてしまうと、他の「間違っていない考え」も排除されてしまいます。

 

「解答例」は唯一の「正解」というわけではなく、ひとつの「例」にすぎません。

これは、都立中に限らず、あらゆる入試に挑む受験生が注意しておかなければならないことのひとつなのかもしれません。

 

 

 

「問題3」は「手順」が指示されています。

 

 

1 自分の主張を理由とともに、具体的に書く。

2 想定される別の意見を書く。

3 別の意見をいう人の意図をふまえ、歩みよりの提案をする。

 

 

人によって意見が分かれる「テーマ」を選ぶ必要があります。

つまり、自分に対する「反対意見」を提示する必要があるわけです。

ただし、それに「反論」するわけではなく、「歩み寄りの提案」をしなければなりません。

 

①自分の主張「~すべき」

②理由「~ためだ」

③別の意見「~という考えもある」

④別の意見をいう人の意図「~ためだろう」

⑤歩み寄りの提案「~することで、双方が納得できるのではないか」

 

 

 

都立中の「受検」では、「いりたま作文」というのが猛威を奮っていて、かなうのであれば、都立中の先生にどう思われるのか率直な「本音」を聞きたいと日頃思っているのですが、今年の南多摩の問題は、「いりたま崩し」だと思います。

 

「いりたま」を念頭において、これに依存して作文を書こうとした受検生は、大きく点数を落としたと思います。

 

都立中の「作文」は、ちょっと読めないところがあって、「いりたま」ががっちりハマる年もあれば、強烈な「いりたま崩し」となる年もあります。

 

「いりたま作文」というものについて都立の先生方が知らないはずはないので、「いりたま」がハマるような出題がなされたときには、先生方がある種の「諦念」のもとに「いりたま」に迎合したのかな、と思ったりします。しかし、その後、また、「いりたま崩し」が見られたりします。

 

そのうちだんだん、出題傾向の変化は「意図的なもの」ではなく、単に作問の担当が替わって、当年の担当者が「自分好み」の問題を作っているだけなのかな、と思うようになりました。

 

 

 (ivy 松村)

 

 

八王子東高等学校と南多摩中等教育学校

八王子東は、他の都立トップ校と比較して、募集に「かげり」が出てきました。

 

もともと、倍率が高騰しづらい高校でしたが、本年度、特に男子の応募が低調でした。

 

 

八王子東を志望する受験生が減少している理由は、おもに2つあります。

 

ひとつは、南多摩中が、「将来」高校受験で八王子東を目指すはずだった「潜在的な受験生」を吸収しているためです。

もうひとつは、「地元」の学力上位層が、他のトップ校に流れているためです。

 

 

 

南多摩中の受験層は、私立中と併願をしない「都立専願」の志望者が多いことがわかっています。

別のいいかたで述べるなら、「私立志向ではない受験生」が多くを占めているわけです。

 

他の都立中は、私立中と併願する受験生が主流になってきました。つまり、私立中受験を目指す「層」を取り込んでいるわけです。

 

一方、南多摩は、「公立中学→都立高校」というルートを採るはずだった「層」を、豊富に取り込んでいるわけです。

 

初期の南多摩中の入試問題が、適切な選抜ができるような水準のものであったか、疑問の余地はあるわけですが、それでも、地域から、一定人数の学力の高い生徒を「青田買い」できたことはまちがいありません。

 

 

 

八王子東高校と南多摩中等教育学校は、ともに八王子市にあります。

八王子市は、かつて、日野市、町田市とともに旧第7学区を形成していました。

 

旧第7学区の「序列」は、首席が八王子東、次席が南多摩中の前身である「南多摩高校」でした。

 

「南多摩高校」が一貫校となり、中学受験に「進出」したことによって、本来ならば高校受験時に学区のトップ校を受験するはずだった生徒が、南多摩中に引き寄せられることになったわけです。

 

 

興味深いデータがあります。

 

西高は、自校に入学した生徒の出身市区を公表しています。

 

八王子市から西高に進学する生徒は、南多摩中が開校して後、減少しています。

(南多摩中の入試の「初年度」は22年度です。この年の受験生は、25年度の西高の入試を受ける可能性があった学年です。)

 

 

 

         年度 28 27 26 25 24 23 22 21 20 19 18
八王子市出身の西高進学者数 7 8 14 16 21 20 14 22 21 20 13

 

 

 

このようなデータを公表しているのは西高だけです。もちろん、他の高校の状況とつき合わせてみなければ、確かなことはいえません。

まったくか細い論拠ではありますが、「高校受験時に、都立トップ校を志望する学力上位層」が、八王子市内で減少している可能性があります。

 

西高を受験するはずだった生徒が一定数、南多摩に入学してるというのであれば、いうまでもなく八王子東は、ということになります。

 

 

 

さて、八王子東の受験応募者数の低迷をもたらしているもうひとつの理由についてです。

 

それは、一言でいえば、「地政学的な要因」です。

 

 

実は、都立の進学指導重点校のなかで、八王子東はちょっと独特なのです。日比谷、西、国立、戸山、青山、立川が旧制中学を前身とする伝統校であるのに対し、八王子東は1976年に新設された高校です。

八王子東が「進学校化」した経緯も異彩を放っています。新設校のため「学校群制度」に組み込まれなかったことが「好条件」となって、恐るべきスピードで進学校としての地位を確立しました。学区内の学力上位層を確実に受容し、80年代中ごろには、学区内のトップに君臨する進学校にのぼりつめました。

 

 

ある意味で、八王子東は、学校群制度や学区制度という「しばり」を背景として、進学校として成長したわけです。

 

 

しかし、学区制が廃止されたことで、都内の受験生は他学区の都立高校への進学が可能になりました。

そのため、旧第7学区からの「流出」が活発になったのです。一方、「流入」は強く刺激されませんでした。

 

 

「立地的」に、旧第7学区は、東京都の「エッジ」に位置します。「エッジ」に流れる「人員」よりも、「中央」へ向かう「人員」が多くなるわけです。

 

 

また、2000年代に入って、他の都立トップ校が「独自入試問題」と「特別選考」を両輪として、都内各地から学力の高い生徒を集めようとしたのに対し、八王子東は「特別選考」を行うことがありませんでした。そのために、他のトップ校が受験者数を増加させていく中で、八王子東の受験者数は抑制されたのです。

 

この時期に、八王子東の「地位」は、相対的に低下しました。

 

 

 

多摩地区内で比較しても、立川や国立が旧第7学区、第8学区、第9学区、第10学区などから広範囲に受験応募者を集めているのに対し、八王子東は旧第7学区内の応募者に大きく依存しているといえます。

 

それは、「地元志向が強い」といういい方もできますが、端的に「エッジ」に人が流入しづらいともいえるわけです。

旧第7学区が、多摩地区という「回廊」の「最果て」に位置するため、学区が廃されても「人の流れ」が双方向に活性化されないのです。

 

また、学区制の廃止にともない、町田市の東部や南部は、小田急線や田園都市線、バス路線を使って東に抜ける「通学路」が活用できるようになりました。この地区では、八王子東を「迂回」する受験が既定になっています。

もちろん、中央線、京王線の沿線では、「中央」へ向かう「流圧」が強まります。

 

首都圏の交通網は、「都心」に人を運ぶ「設計」になっているわけです。

まったく単純に、その「機能」にもとづいて、旧学区内から「人員」が流出するわけです。

 

 

八王子東のほか、旧第7学区の日野台、町田といった高校の倍率が停滞するのも、このような立地条件を理由のひとつとして挙げることができます。

 

 

そしてまた、南多摩中も、「募集面」では、同様の構造をかかえているわけです。

 

 

 

当塾は、日野市西部、豊田駅近くの多摩平にあります。

八王子東高校までは徒歩十数分、南多摩中等までは一駅です。

 

地元の進学校の良い部分は、よくわかっているつもりです。

 

生徒たちには、八王子東や南多摩を目指して頑張ってほしいと思っています。

 

 

しかし、両校には、「変化」の必要な時期が来ているのかもしれないと思ったりもします。

 

 

 

少し「テーマ」からはずれますが、学校の「特徴」について閑話。

 

現代は、学校が受験生を集めるためには、大きな「特徴」が必要とされる時代です。

 

近年、中学や高校が「特徴」を打ち出そうとして、反対に、まったくありきたりなアイデアに飛びついてしまうのが目につきます。

大きく分けて、学校が打ち出す「特徴」のパターンは3つあります。

 

①進学コース

②英語関係

③理系関係

 

 

どれも「月並み」ですね。

 

そこで、私は考えてみたのですが、いっそのこと「文系実学方向」に特化した学校にしてみたら面白いのではないでしょうか。

 

たとえば、中学・高校のうちから専門的に法律を学びはじめ、早期に司法試験を目指す高校とか。

あるいは、報道やジャーナリズム、政治を学べる高校とか。

他にも、起業、経営を学ぶ、とか、金融を学ぶような学校があってもいいと思います。

 

何だかよくわからない高校が「人寄せ」のためにやるのではなくて、都内有数の進学校が本域でやるというのであれば、すごく意義深い挑戦になると思います。

 

「大学入試の先」を見すえた教育です。

 

 

正直いって、「文化祭がさかんだ」とか、「部活がさかんだ」というのも、現代の進学校にとっては「割とありふれた特徴」のひとつとなりつつあります。

 

 

これからの時代、学校の「魅力」を形作っていくのに、「専門性に触れる」ということが意外といいのではないかと、密かに思っています。

 

 

「逆流」を起こすには、「そこを目指す理由」が必要なのです。

 

 

 

(ivy 松村)

 

 

都立中学の志願傾向分析③

都立中の「入学辞退」のデータを見てみましょう。

 

まず、小石川、白鷗、両国、桜修館、富士、大泉、南多摩、立川国際、武蔵、三鷹の10校すべての都立中の「入学辞退者」の人数です。

 

 

年度 男子 女子 合計
29 31 48 79
28 47 55 102
27 43 41 84
26 55 52 107
25 66 55 121
24 36 56 92
23 42 46 88

22

52 46 98

 

 

 

本年度は、当初、「入学辞退者」の合計は87人であると発表されましたが、後日訂正が入りました。

小石川中の「入学手続人員」の報告に不備があったということです。

 

当初、小石川の「入学辞退者」は37人と発表されました。

しかし、これは誤りで、実際の小石川の「入学辞退者」は29人であるということです。

 

つまり、小石川中の「繰上げ合格者」は37人ではなく、29人だったわけです。

 

「入学辞退者」が出た場合、「補欠番号」の順に、「繰上げ合格」が出されます。「入学辞退者」の数は37人であると発表されていたので、「補欠番号」が37番以内であれば、必ず「繰上げ合格」になるはずだったのです。

ところが、「補欠番号」を得て待機していた受験生に連絡がこない…そこで、保護者が中学に確認をしたところ、「実際に入学手続を行った人数」と「発表された入学手続人数」が違っていたことが発覚したのだそうです。

 

報道によれば、このような「誤り」が起きたのは、「入学手続締切」の時間を過ぎてから手続に来た8人の入学を認めてしまったことが原因だということです。

 

 

どうやら、  記事の書き直しです。

 

 

しかし、ともかく本年度、全ての都立中の「募集人員」と「入学手続者」の「差」は、79人だったということになります。したがって、「入学辞退者」も79人だったということになります。

 

「別の観点」から言及するならば、79人の「繰上げ合格」があったわけです。

さらに言葉をかえて述べるならば、2月9日の合格発表以降、増えた合格者の数は、79人を超えることは、常識的には、あり得ないわけです。もし、そうではないとしたら、それは、多分、きっと、気のせいです。

 

 

 

本年度の、都立中の「入学辞退者」の内わけを見てみましょう。

 

 

小石川中等教育 11

9

26

20

37

29

白鴎高等学校附属 1 3 4
両国高等学校附属 8 3 11
桜修館中等教育 4 8 12
富士高等学校附属 0 0 0
大泉高等学校附属 2 3 5
南多摩中等教育 0 3 3
立川国際中等教育 1 3 4
武蔵高等学校附属 5 4 9
三鷹中等教育 1 1 2
 計 31 48 79

 

 

 

当初の発表から人数が減ったわけですが、それにしても、他の都立中に比べて、小石川の「入学辞退者数」がひときわ多いのがわかります。

 

小石川は、他の都立中とは一線を画した「ポジション」に座しています。

 

多くの入学辞退者が出るということは、人気が薄いということを意味しているわけではありません。

小石川中は、都内(首都圏)のトップレベルの私立(国立)中学と競合する「序列」に位置しています。

 

本年度、都立中の中でもっとも応募者数が多かったのが小石川です。

そして、もっとも「受験欠席」が多く、もっとも「入学辞退者」が多いのが小石川中なのです。

 

 

 

小石川中の「入学辞退者」の推移を見てみましょう。

 

 

年度
29 9 20 29
28 13 15 28
27 11 11 22
26 9 11 20
25 20 11 31
24 7 9 16
23 6 8 14
22 12 11 23
21 9 14 23
20 4 4 8

 

 

つぎに、武蔵中をみてみましょう。

 

 

年度
29 5 4 9
28 5 7 12
27 6 5 11
26 8 8 16
25 9 7 16
24 5 10 15
23 7 5 12
22 6 7 13
21 6 8 14
20 5 6 11

 

 

続いて、南多摩中です。

 

 

年度
29 0 3 3
28 5 1 6
27 4 3 7
26 3 4 7
25 2 1 3
24 1 8 9
23 5 1 6
22 5 0 5

 

 

 

3校の中で、南多摩の「入学辞退者」の少なさが目立ちます。

 

都立中全体で「入学辞退者」は減少傾向にあります。本年度、富士の0人、三鷹の2人は、大きな驚きをもたらしました。

 

例外的に小石川だけが多くの「入学辞退者」を出し続けています。

 

 

 

合格者が「入学辞退」をする理由を考えてみましょう。

 

①都立中入試の後で、より志望順位の高い私立中の合格が得られた

②最初から地域の公立中学に進むつもりだったが、「力試し」で受験し合格した

③合格したが、気が変わり、地域の公立中学に進学することにした

④都立中に合格したら進学するつもりでいたが、気が変わり、合格した私立中学に進学することにした

⑤「本命」の私立中学に進学が決まっていたが、「力試し」で受験し合格した

 

 

 

もっとも一般的で、「まっとう」な理由が①です。

 

 

都立中の進学実績が上がってきたことで、②や③を理由とする「入学辞退」は、もうほとんどみられなくなってきているのではないかと思います。

④も、都立中の評価が上がってきたので、少なくなっているはずです。

 

 

「入学辞退者」が減っているということは、進学するつもりがないのに入学試験を受ける受験生が少なくなってきているということが一因なのでしょう。

 

都立中は、「繰り上げ合格」による欠員の補充が行われるので、「入学辞退」をすることに精神的な負荷がかかりません。

ですから、志望校の合格を得た後で、ある種の「余興」として受験したり、塾の「要請」で受験したりする生徒がみられることがあります。

自分が合格して、「入学辞退」をしても、入学の権利を得る人数は変わらないので、「気楽」に入試を受けることができるわけです。

そうしたケースが減っているのでしょう。

 

(他方、たとえば、都立高校入試のような入試の場合は、「入学辞退者」の補充が行われません。ですから、入学の意志がないのに都立高校を受験し、「入学辞退」をすることは、モラルに反する行為であるといえますが、まあ、いるのでしょう。)

 

 

 

「入学辞退者」の減少は、全体としては、私立中受験を「本筋」としている受験生が、都立中を「本命」にする受験パターンを組むようになったことが原因ではないかと思います。

この傾向は、「東部」で強まっているように思います。

 

一方、「西部」では、「逆の状況」が進展しているのではないかという気がします。

つまり、「都立専願」の「受検生」が増えているのではないかと思われるわけです。

 

 

う~ん、どうなんでしょう。

 

 

 

小石川中と南多摩中の著しい対照性は、非常に興味深く思います。

 

東京都の都市機能の「重心」は、「東側」にあります。小石川中は、その中心に位置します。

 

一方、八王子市の南多摩中は、「その意味」で、東京の「エッジ」に位置します。

 

地理的な条件をベースとして形成される産業的、文化的、そして社会構造的な「文脈」が、受験の「状況」を規定しているわけです。

 

 

 

(ivy 松村)

 

 

都立中学の志願傾向分析②

「受験欠席」のデータについて、もう少し考えてみましょう。

 

前回の記事で示した3校のデータを比較してみると、南多摩の「受験欠席者数」が少ないことがわかります。

南多摩中は、自校を「本命」とする応募者が多く集まっているといえるでしょう。

 

八王子周辺で、適性検査型の入試を行う中学が増え、また、その受験者が増えているので、単純に、南多摩中と私立中を併願する受験生は増加しているのでしょう。

しかし、南多摩中と私立中を、「進学先」として「天秤」にかけている受験生が少ないことがわかります。

 

 

 

本年度の南多摩中の「受験欠席者数」は男女計15人です。武蔵はその倍以上となる36人、小石川はさらに倍以上の78人です。

 

南多摩より武蔵のほうが「私立中との併願」をしている受験生が多く、さらに小石川のほうが多いことがわかります。

 

 

 

注目したいのは、武蔵の「受験欠席者数」の推移です。

 

28年度は、男子、女子ともに「受験欠席者」が一時的に減少しています。

 

男子は27年度21人だった「受験欠席者」が28年度10人に減りました。

女子は15人から9人に減っています。

 

29年度の「受験欠席者」は再び増加し、27年度と同数になりました。

男子21人、女子15人です。

 

男子は、28年度、例年の半数以下にまで「受験欠席者」が減ったわけです。

これは、武蔵を「本命」とする受験生の割合が、この年、にわかに高まったことを意味しています。

 

 

進学校の募集は、大学合格実績に大きく影響されます。

特に男子は、「連動している」といってもいいでしょう。

「志願傾向」は、大学合格実績と対照させて分析、考察する必要があります。

 

 

武蔵は、年々順調に大学合格実績を伸ばして来ましたが、27年度は、いわゆる「踊り場」を抜ける、さらなる「ブレイク・スルー」がありました。

そのため、翌年の28年度に、難関大学を志す受験層の進学先として、武蔵の「評価」が高まったわけです。

 

つまり、武蔵への進学を優先に考える受験生の割合が増えたために、「受験欠席」が減少したわけです。

 

本年度は、さらに上位の私立(国立)を志望する受験生にとって、武蔵の併願受験が戦略的に「視野」に入ってきたために、再度「受験欠席」が増加したのだろうと思います。

 

 

 

しかし、武蔵の応募倍率は減少傾向にあります。

 

確認してみましょう。

 

 

    応募人数      応募倍率
年度 男子 女子 合計 男子 女子 合計
29 261 237 498 4.70 4.20 4.45
28 306 258 564 5.27 4.45 4.86
27 318 239 557 5.65 4.23 4.94
26 302 236 538 5.28 4.18 4.73
25 355 340 695 6.32 5.95 6.13
24 362 337 699 6.42 5.98 6.20
23 408 395 803 7.25 6.93 7.09
22 454 416 870 8.10 7.30 7.70
21 690 618 1308 12.05 10.97 11.51
20 864 913 1777 15.27 15.95 15.61

 

 

 

武蔵は、本年度、都立中のなかで、もっとも倍率が低い中学でした。

開校初年度の入試が15倍もの倍率だったことを考えれば、その下落幅の大きさに驚かずにはいられません。

男女合わせて、1200人以上も応募者を減らしています。

 

 

武蔵中は、問題の質、応募者の学力 、ともにハイレベルで、過酷な選抜になることが広く知られるようになり、都立中専願受験者の「敬遠」傾向が強まっています。

 

同時に、大学進学実績の伸長が著しく、難関私立中との併願受験をする受験生増えつつあります。

しかし、データからみれば、まだ、小石川との「差」がかなりあります。

 

小石川の応募者数は例年男女合わせて1000人程度で推移し、かつ、「受験欠席者」は武蔵の倍にのぼります。

 

 

武蔵中は、小石川中とともに、都立中の、双璧をなす最難関校に位置づけられるべき中学だと思いますが、立地や地域性が影響して、小石川ほど多くの難関私立中との併願受験者を集めていません。

 

さらに、都立を「本命」とする受験生が、受験を回避する傾向が強まっている(おそらく立川国際、三鷹に流れているのでしょう)ので、受験者数が減少しているのです。

 

 

 

ところで、前回の記事に示した南多摩、武蔵、小石川のデータには「欠席率」を掲載しましたが、これには注意すべき点があります。

 

まず、「欠席率」は、「応募者数」で「受験欠席者数」を割って算出します。これは当たり前ですね。

 

それから、「率」=「割合」の概念というか、その「数値」が意味するもの、その「本質」を理解したうえで取り扱わなければなりません。

 

両校のデータを確認してみましょう。

 

本年度の武蔵の男子の「欠席率」は7.4パーセントです。

一方、小石川の男子の「欠席率」は7.8パーセントです。

 

「率」だけを見れば、両校の「欠席の状況」は大差ないもののように思えます。

 

しかし、「人数」を見ると、武蔵の男子の「欠席者数」は21人、小石川の男子の「欠席者数」は41人となっています。

小石川は、武蔵の倍近くの数の「欠席者」を出しているわけです。

 

 

自明のことですが、「欠席率」だけでは正しい分析はできません。

 

 

単純に、小石川の「応募者数」が武蔵の倍近い人数になっているために、「欠席率」が近似しているわけです。

 

 

 

受験にまつわる「数値」を扱う際に、――「倍率」などもそうですが――「率」=「割合」に過度にコミットするのは危険です。「率」だけでは情報を正確に読み取ることができないからです。

 

 

「率」=「割合」は、「抽象的な数値」です。

「人数」は、「具体的な数値」です。

 

 

「人数」を把握しなければ、「受験の実像」はつかめないのです。

ですから、「志願傾向分析」は、必ず「人数」のチェックを行います。

 

特に、都立中受験のような「高倍率」の受験では、算出された「率」による「数値」が、「観念的なラベル」になってしまいやすいので、注意しなければなりません。

 

 

 

ところで、南多摩、武蔵、小石川の「私立中との併願」の状況を探る「資料」は他にもあります。

 

国私立中受験指導に定評のある大手進学塾の合格実績です。

 

SAPIX、日能研、早稲アカの本年度の南多摩、武蔵、小石川の合格実績を見てみましょう。

 

 

南多摩 武蔵 小石川
 SAPIX 1 4 30
 日能研 2 16 26
 早稲アカ ? 13 17

 

 

 

もちろん、南多摩中のある八王子市周辺は、上掲の進学塾が注力して展開している地域ではありません。

やはり、南多摩の合格実績は低調になるわけですが、そういった「立地」や「業界の情勢」をもすべて包含して、それぞれの学校の特徴やコンテクストが形成されるわけです。

 

つまり、南多摩中には「都立専願」の生徒が集まる傾向があり、小石川中には私立中受験のための勉強をしてきた生徒が集まっているわけですが、それが、その学校の「カラー」となっていくということです。

 

 

そして武蔵中は、ちょっと「予断をゆるさない時期」なのだろう、と思います。

 

 

(ivy 松村)

 

 

 

 

都立中学の志願傾向分析①

都立中の受験データを比べてみましょう。

 

すべての都立中のデータを分析しましたが、全部扱うと「ゴチャゴチャ」してしまうので、南多摩、武蔵、小石川を比べてみましょう。

 

 

今回は、「受験欠席」のデータです。

 

応募した人数のうち、試験を受けなかった人数です。

 

 

まず、南多摩です。

 

 

年度

   受験欠席

     欠席率

  男   女   計
29   9   6 15 2.5% 1.4% 1.9%
28 10   8 18 2.5% 1.6% 2.0%
27   4   8 12 1.0% 1.6% 1.4%
26   7   6 13 1.6% 1.1% 1.3%
25   7 11 18 1.3% 1.7% 1.5%
24 13 18 31 2.4% 2.8% 2.6%
23   8 19 27 1.4% 2.6% 2.1%
22 12 18 30 1.8% 2.1% 1.9%

 

 

 

次に、武蔵中です。

 

 

年度    受験欠席      欠席率
  男   女   計
29 21 15 36 7.4% 6.0% 6.7%
28 10 9 19 3.2% 3.4% 3.3%
27 21 15 36 6.2% 5.9% 6.1%
26 15 15 30 4.7% 6.0% 5.3%
25 24 17 41 6.3% 4.8% 5.6%
24 23 22 45 6.0% 6.1% 6.0%
23 27 21 48 6.2% 5.0% 5.6%
22 32 22 54 6.6% 5.0% 5.8%
 21 33 40 73 4.6% 6.1% 5.3%
20  52 44 96 5.7% 4.6% 5.1%

 

 

 

そして小石川中です。

 

 

年度    受験欠席      欠席率
  男   女   計
29 41 37 78 7.8% 7.8% 7.8%
28 45 44 89 8.2% 9.4% 8.7%
27 29 27 56 5.8% 7.1% 6.3%
26 27 43 70 4.8% 9.8% 7.0%
25 24 51 75 4.6% 11.2% 7.6%
24 50 36 86 8.1% 7.0% 7.6%
23 53 43 96 7.4% 7.7% 7.6%
22 34 34 68 5.5% 6.7% 6.0%
 21 34 35 69 4.9% 6.5% 5.6%
 20 81 42 123 9.8% 5.1% 7.5%

 

 

 

3校のうちで、もっとも「受験欠席」が少ないのが南多摩です。

もっとも多いのが小石川です。

 

 

受験を欠席する理由として、以下のようなものが考えられます。

 

 

①体調不良、事故、諸般の事情

②受験する気が無くなった

③志望順位の高い中学に合格した

④同日に行われる別の受験を選択した

 

 

 

都立中入試がはじまったころには、とりあえず出願してみよう、というような物見遊山的な応募が見られ、受験者数も膨れ上がりました。それにともなって、気軽に受験を「キャンセル」する応募者が一定数存在しました。現在は、よくも悪くも都立中受験の「シビアさ」が広く知られるようになり、②のような欠席は少なくなりました。

 

 

近年の「受験欠席」の理由のおもなものは③と④になるでしょう。

 

③は、2月3日の朝までに受験結果が判明する「私立中併願受験者」ということになります。

 

私立中入試は2月1日に始まります。

2月1日当日、あるいは、2月2日に「本命」の合格を得た受験生は、「基本的に」都立中の受験を取りやめます。

 

 

また、私立中受験では、「流動的な受験パターン」を組む受験生がいます。

すなわち、2月3日に入試を行う複数の中学にそれぞれ出願をしておき、直前に受験校の「変更」が可能となるように準備しておくような受験パターンです。これは、「ダブル出願」などと呼ばれることがあります。

2月1日、2日の結果などを考慮して、前日や当日に、どの中学を受験するのかを決めるわけです。

 

2月3日は、国立大附属中学の入試日でもあります。

何人かの受験生は、国立、都立、私立の中学を、「同日併願」しているわけです。

 

当然、そのうちの何人かは都立中ではなく別の中学を受験するという戦略を取ることになるので、都立中の「受験欠席」が生じることになります。

 

 

 

以上のような点を鑑みれば、都立中の「受験欠席者数」は、私立中との併願がどれくらい活発なのかを測る指標のひとつであると考えることができるわけです。

 

 

ただし、すこし注意が必要です。

 

「私立中との併願」と一言でいっても、「内実」は様々です。

 

都立中受験者の中には、私立中に進学する意思はまったくないけれども、「調整」のために私立中を受験するようなグループがいます。

また、私立を「本命」とする受験生のなかにも、都立への進学意欲の高い受験生もいれば、万が一の「保険」のひとつと考えている受験生もいます。

 

 

都立中に出願する受験生の中には、たとえば、東海大菅生や八王子学園といった中学と併願受験する受験生がいるでしょう。これらの中学は、「適性検査型」の入試も行っているので、併願のハードルはいっそう低くなります。都立中入試に比重を置いた受験勉強をしていても十分に対応できる併願です。

あるいは、穎明館や桐朋を併願する受験生もいるでしょう。このランクの中学になると、国私立向けの勉強をしていなければかなりきつくなります。

さらに、私立武蔵中あたりになると、今度は都立中入試との親和性が高くなります。

 

 

「都立専願」の受験層が私立に手を広げる、という場合もあるでしょう。

逆に、私立を「本命」とする受験層が、都立に手を広げるという場合もあります。

そして、私立と都立の受験を「一体的」にとらえている受験層があるわけです。

 

こうした多様な受験の「戦略」を、すべてまとめて「私立中との併願」と言ってしまうのは、少し乱暴なのかもしれません。

 

 

私は、このブログで「都立中の私立併願」についての記事を何回か書きましたが、私が「論点」としているのは、どちらかというと、国私立中入試を照準とした勉強をしてきた受験生が都立中受験をどのくらい「視野」に入れているのか、というものです。

 

「正味」の話をしてしまえば、「都立専願」の受験生が私立中を「併願」することについては、都立中の「受験動向」を探るうえで、それほど深い考察や分析にはならないわけです。「併願」してもしなくても、「状況」は変わりません。

 

(こういういい方をすると短絡的な誤解をする人がいるので付け加えますが、「都立中受験」は、非常に重要なテーマであり続けます。)

 

 

 

※都立中の受験は「受検」と表記する慣例があるということなのですが、この種のテーマを論じるときには使いわけが煩雑になってしまうので、 すべて「受験」に統一しました。まあ、正直、もう全部「受験」でいいのではないかと思っていますが。

 

 

 

 (ivy 松村)

 

 

 

平成29年度の南多摩中適性検査④

ところで、受検前、南多摩中の、今年の倍率の下落が話題になりました。

 

いろいろな「意見」や「分析」を拝見しましたが、故意なのか、あるいは見落とされているのか、ある「事実」に触れたものを目にすることはありませんでした。

 

 

端的に、都立中受検の「巨人」であるenaの占有率が高い中学ほど、倍率が下がっています。

 

 

 

都立中の「受検熱」がようやく冷却され、都立中全体の「志願者」が減少しています。

 

もう少しディテールに触れるならば、以下のような理由を挙げることができます。

 

①私立中の「受検熱」が回復しつつある

②公立中から都立トップ校への進学の評価が高まった

③「ライト層」が減少した

 

 

 

おそらく、都立中を「単独受検」する受検生は、いっそう大幅に減っているはずです。

 

小石川や桜修館などの東部の都立中学が、ある程度倍率を維持しているのは、私立中と併願する受験生が「流入」しているからです。

 

つまり、SAPIXや日能研など、私立受験を「本命」とする受験生が、東部の都立中の倍率を下支えしているわけです。

 

 

一方、多摩地区では、まだ、都立と私立難関校の併願が、それほど一般的ではありません。

 

「都立最難関」のひとつに位置付けられる武蔵中が倍率を下げているのは、そのハードルの高さから、「都立中単独受検」の層が武蔵の受検を敬遠し、他の都立中に流れたためなのでしょう。

さらに、武蔵は、小石川のように「私立難関校との併願」の受験生を吸引しているわけではないので、志願者数が減少しているわけです。

 

(立川国際は、ちょっと例外です。この中学は、都立中の中でも傑出した特色を持った中学であるということと、進学実績に対する評価の高まり、一般募集枠の少なさなどが要因となって、倍率の下落が抑制されています。)

 

 

 

南多摩中の過去の合格者の「塾別出身」を調べてみると、他の都立中と比べて、個人塾をはじめとする中小規模の塾の合格者が多いことがわかりました。

 

つまり、南多摩中の合格者は、6割ほどがena出身者によって占められ、残りは地域のあちこちの塾から集まっていたということになります。

 

 

enaは東京都西部を「根拠地」とし、東部へ展開中ですが、まだ、東部を「制圧」することができていないという見方もできます。

 

一方、「地元」ともいえる多摩地区では、完全に「一人勝ち」の状況です。

 

もともと多摩地区は「私立難関校との併願」が活発ではないので、「都立中単独受検」の「メリット・コスト・リスク」が割に合わないということが明らかになれば、志願者が散逸せざるを得ないわけです。

 

これは推測ですが、おそらく、南多摩中学受検者数に占めるena生の割合は高まっていると思います。

 

 

ちょっといろいろと考えさせられますが、とりあえず置いておいて、都立中入試が私立中入試に近接してきたということについて、です。

 

 

実際のことはよくわからないので、イメージでの話ですが、東部では、「私立難関校との併願」がいっそう活発化するかもしれません。一方、西部では、「独占」がいっそう強まるかもしれません。

また、東部と西部では、入試問題によって検査される「学力」に、格差が生まれるかもしれません。

 

 

(ivy 松村)

平成29年度の南多摩中適性検査③

「適性検査Ⅱ」を見ていきましょう。

 

 

まず、「大問1」です。

 

 

〔問題1〕は、立方体の「切断」です。

 

これは、私立中受験の勉強をしてきた生徒に有利な問題でした。

「切断面」の図形を覚える勉強をしてきているからです。

 

 

「解答例」では、「三角形イクケ」と「三角形イシタ」が挙げられています。

 

「三角形イシタ」の「切断面」は、正六角形になりますが、「異なる3個の点を結んでできる正三角形」という設問なので、整合します。

 

 

その他「三角形アオソ」も正解になります。

ほとんどの受験生は、簡潔に求められる「三角形イクケ」と「三角形アオソ」のバリエーションを解答しているでしょう。

 

 

 

〔問題2〕は、難度の高い問題でした。

 

線対称の軸が3つあるというヒントをもとに、図2に三本の線を引いて考えます。

 

並べたフロアマットの中心にある「き」の真ん中から放射状に線が引かれることになります。

 

白色と黄色を、放射状に「安定的な組み合わせ」で並べればよいということを理解する必要があります。

 

つまり、正三角形の角を「回転」させても色のパターンが変わらないように配置するわけです。

 

 

また、白色と黄色を「交互」に配置したくなりますが、片方の色が9枚以上、あるいは、7枚以下になるパターンがあるので、白色や黄色を連続して並べることもできると気づかなければなりません。

 

 

 

〔問題3〕も難しい問題でしたが、〔問題2〕ほど難解ではありません。

 

 

「上向きの正三角形」の数と「下向きの正三角形」の数を足せば、並べたフロアマットの数になります。これには、容易に気づけると思います。まあ、「当たり前」です。

 

さらに、「見かけ上の辺の数」は「上向きの正三角形」の数の3倍であることに気づくことができれば、部分点を確保することができるでしょう。

 

 

この問題は、「下向きの正三角形」を無視して考えるとわかりやすくなるかもしれません。

 

「下向きの正三角形」の辺は、すべて「上向きの正三角形」の辺と重なっています。

 

「下向きの正三角形」を取り除いてみると、すべての辺が、「上向きの正三角形」の辺であることがよくわかります。

 

つまり、「見かけ上の辺」は、すべて、「上向きの正三角形」の辺であるといえるわけです。

 

言うまでもなく、三角形の辺の数は3つです。

 

ですから、「上向きの正三角形」の数の3倍が、「見かけ上の辺の数」となるわけです。

 

 

 

大問2を見てみましょう。

 

 

〔問題1〕は、確実に得点を取らなければならない問題です。

 

地面は温まりやすいので、8月の日中、土中は高温になります。

グラフをみれば、藁を敷くことで、畑の土の中の温度が上がり過ぎないようにしていることがわかります。

 

 

〔問題2〕は、割合の計算です。これも落とせない問題です。

 

 

〔問題3〕は、「特色のある農業」の問題です。

 

私立中入試の「社会」に限らず、都立中入試でも、近郊農業、促成栽培の知識は必須です。

 

「中学受験」のための勉強をしてきた受検生の多くは、容易に何を答えればよいのか気づくことができたと思います。

 

 

 

大問3は理科です。

 

 

〔問題1〕は、解答しやすい問題でした。

 

時間を計るためには、「振り子」のように、一定の速度で動いたり、「太陽」や「ろうそく」のように、時間の経過にしたがって状態や形状が変化したりするものを使えばよいわけです。

 

 

〔問題2〕は表とグラフを照らし合わせれば、容易に解答できる問題でした。

 

 

〔問題3〕も、「無難」な問題でした。

 

実験の「手順」や「きまり」を問う問題は、都立中入試では、割と「定番」です。特に、南多摩中の入試問題では、この種のテーマは、過去に頻繁に取り上げられてきました。

 

 

今年の「大問3」は、複雑な内容ではなかったので、しっかり対処できた受験生が多かったのではないかと思います。

 

 

 

総論としては、私立中入試に近づいている、といえると思います。

 

 

記号や数値を答える問題が目立ちました。

 

記述の「量」は多いですが、大問2,3に関しては、それほど複雑な答えが求められているわけではありません。

むしろ、その「内容」は、「受験勉強」に即したものでした。

 

 

ある意味で「易化」しています。したがって、これまで以上に「逆転」が難しい入試になったように思います。それは、つまり、「取りこぼし」をしてしまったら、厳しい結果に近づくということでもあります。

 

 

今年の入試問題が「堅い内容」であるということは、正統な受験勉強を積んできた生徒が得点を取りやすいということでもあります。

 

(ivy 松村)

 

 

平成29年度の南多摩中適性検査②

南多摩中の「適性検査Ⅱ」は全問「共通問題」が使用されています。

 

全体としては「堅い内容」だったように思います。

 

前年のような「変化球」はありませんでした。

 

 

 

ところで、すごくどうでもいい話かもしれませんが、私、実は、けっこう入試問題を予想するのが得意なのです。昨年も、「歴史」が出題されることを見抜きました。

 

 

元来、身のまわりのことや世の中の出来事を考察したり分析したりするクセがあるのですが、入試問題の「出題の流れ」や「作問者の心理」を考えるのが好きなのですね。

 

 

「歴史」は、どこかのタイミングで、必ず出題しなければならなかったのです。

 

 

「都立中側」からすれば、受検生の「学力」を検査するうえで、「歴史」は、実は「ノイズ」になります。

 

「歴史」は、初等教育、中等教育では、「知識(つまり、暗記)」中心の学習がメインになります。

ところが、都立中入試では、「知識」に依存する作問は戒められています。

一方で、「歴史」は、「出題範囲」に含まれているため、「無視」できないわけです。

 

 

ある意味で、都立中は、国私立中に比べて、作問の自由度が低いといえます。

許容された形式や素材のなかで、「素質」の高い生徒を「選抜」しなければなりません。

 

科学的、客観的、合理的な思考力を検査するためには、「歴史」ではなく「地理」の問題が適切なのです。

 

そのため、都立中入試はスタート以来、「地理」に偏った入試問題が続きました。

 

 

実際、昨年まで「歴史」の出題がなかったために、ちまたの塾講師の間で、「都立中は『歴史』を出題しない」という「固定観念」が広がりつつありました。

 

「公立中学」にとって、これは看過できないわけです。

受検生に「歴史を捨てた」受検勉強をされるのは「マズい」わけです。

 

 

「出題の流れ」を考えると、「出題者側」は、「歴史」を「投入する」タイミングをうかがっていた、といえるのかもしれません。

 

共通問題の初年度で「変化球」を出すのは避けたい、だから、共通問題の2年目の昨年に「歴史」が出題されるのではないかと、考えたわけです。

 

 

 

で、今年です。

 

「出題の流れ」から考えれば、今年は「地理」が出題されるだろう、と予測できるわけです。

 

私は、気候か、あるいは産業に関するトピックになると予想しました。

また、資料としてグラフが用いられ、「割合」を扱う出題になると見込んでいました。

 

結論からいえば、「大問2」(文系)は、5~6割くらい当たった、という感じです。

 

 

同様に、「大問1」(算数)は、昨年は「条件」「速さ」の出題だったので、ことしは「図形」を予想しました。

そして「大問3」(理科)は、昨年は「生物」だったので、今年は「化学」、したがって「観察」ではなく「実験」が狙われると予想していました。

 

 

割とよく当たったように思いますが、それを証言してくれるのは、そのことを伝えた生徒だけで、ブログをお読みになっている方からすれば、「後出し」でしかないのですが…。まあ、一応。

 

 

(ivy 松村)