「私立志向」について②

「私立大学の定員の厳格化」について考えてみましょう。

 

 

近年、私立大学の「合格難度」が上昇しています。

 

学生数が「超過」状態にあった大学に対して、「適正な収容力」に見合った「学生数」とするように、文部科学省からの「指示」があったためです。

 

「定員数」が減らされ、「合格者数」も減少しました。

 

そのために、「倍率」が高騰し、合否の「ボーダー」が著しく上昇しました。

 

 

 

もうすこし、「ディテール」を見てみましょう。

 

 

最難関の国立大学を目指した受験生のうち、少なくない人数が、国立だけでなく早慶などで厳しい結果となってしまいました。

 

従来であれば、早慶などの合格を得られたはずの「層」が、MARCHの合格のみに留まってしまうわけです。

 

それで、上位国立大学相当の学力を持った学生が、MARCHに流れます。

 

 

一方で、浪人が増えます。

 

この1、2年、浪人生の数が回復しているといわれています。

そのもっとも大きな理由のひとつは、私立大学の「収容力」が低下してしまったことです。

 

 

 

日本の経済状況がよくなかった時期には、地方の学生の、東京の大学への進学が下火となりました。

東京で「一人暮らし」をするのは、経済的に大きな負担です。

 

また、同時に、地方では「少子化」が著しく進行しました。

 

結果として、この15年ほどの間に、東京の大学に在籍する地方出身者の割合は低下しました。

 

 

他方、東京やその近県の大学進学者数が増加しました。

 

「地方からの参戦」が抑制される状況で、私立大学が「キャパ」を大きく超える数の「合格」を出したからです。

 

近年、都立高校をはじめ、「大学進学実績」を向上させる都内の高校が多く現れましたが、それは、上記のような、都内居住者に有利な「構造」が強化されたことが背景にあるわけです。

 

 

 

今年は、私立大学の合格者が絞られてしまいました。

その「あおり」で、「進学実績」が頭打ちになってしまった高校がありました。

 

「変化」をつかみ切れず、「合否の可能性」を読み違えてしまった高校も、あったかもしれません。

 

これから、いくつかの高校は、進学校としての「成長」を鈍化させてしまうかもしれません。

 

 

 

さて、本題の「私立志向」についてです。

 

私立大学の「難度」が上昇しました。

しかし、「私立大学離れ」は起こらないと思います。

 

むしろ、私立大学入試が激化するかもしれません。

 

 

国立大学と私立大学の両方を受験することは、「勉強量」において、非常に大きな負担になります。

 

上で述べたように、国立大学志望でありながらMARCHに進学することになる学生がいるわけですが、その中の何人かは、「私立大進学」に絞って受験勉強していれば、早慶の合格を得られた可能性が高かったのだろうと思います。

 

つまり、「現在の状況」は、ある意味で、国立大学受験の「リスク」がより高まっている、という側面があるわけです。

 

 

また、前回の記事でも述べたように、国立大学と私立大学を比べて、国立大学の「アドバンテージ」が、相対的により小さくなっているという見方が強まると、国立大学受験は回避されるでしょう。

 

「ハイリスク・ハイリターン」ではなく、「ハイリスク・ローリターン」の傾向が強まると捉えられることになるからです。

 

 

実際、国公立大学の受験者は、減少傾向にあるといわれています。

 

 

 

今年の「高校入試」でも、私立大学附属校の「倍率」が高騰しました。

また、「中学受験」でも、附属校の人気が再燃しています。

 

ある意味で、「中学受験」や「高校受験」は、「先物取引」のようなものであるといえます。

 

早期に、国立大学を回避する方向性が固まったのであれば、「大学受験」のタイミングを待つ必要はないわけです。

 

 

 

ところで、国立大学と私立大学の「差異」の捉え方、というのは、とても難しい問題です。

それだけではなく、「大学」に対する「目線」も、人によって「ばらつき」があります。

 

「その人」の主観的なものの見方、考え方、見通し、人生観、価値観、教育観、思惑あるいは思想そして経験などが、直接的に反映されてしまうからです。

 

人の言うことをうのみにせず、自分なりに調べたり、考えたりしましょう。

 

(もちろん、この記事も、うのみにしないようにしましょう。)

 

 

(ivy 松村)

 

高校の国公立大学合格実績③(データの「信頼性」について)

私は、高校の大学合格実績を調べるのに、高校のホームページから資料を入手しています。

また、毎日新聞出版が毎年発行しているサンデー毎日特別増刊の「高校の実力」という冊子を参考にしています。

 

「高校の実力」は、調査会社が取材したデータをもとに、全国の進学校の「大学合格者数」を掲載しています。

 

書かれてある「説明」によれば、ほとんどの私立大学は「高校別合格者数」を公表しているのだそうです。

 

一方、国公立大学は、その多くが「高校別合格者数」を公表していません。

「高校別合格者数」を公表していない国公立大学の合格者数の調査は、各高校に対して実施したアンケート調査をもとにしているということです。

 

したがって、基本的には、多くの国公立大学の合格者数は、各高校がホームページで告知している合格者数と変わらないものになります。

 

 

しかし、比較してみると、合格人数が違うこともあります。

 

もちろん、なにかしらの「ミス」の可能性がありますが、そうではない場合には、合格人数に「変化」があったために、高校が合格者数を「更新」したのだということになります。

 

そのほとんどは、人数が増えているケースです。

おそらく、アンケート調査の後に、合格の報告があり、判明した合格者を加算したのだろうと考えられます。

 

 

また、ごくまれに合格人数が減っていることもあります。

 

高校が、雑誌のアンケートに答えた後に、自校の合格者数を減らしたのだとすれば、それは、ちょっと「イレギュラー」であるように思います。

 

 

 

さて、「高校の実力」によれば、以下の国公大学などが「高校別合格者数」を公表しているとされています。

 

・岡山大学

・金沢大学

・京都工芸繊維大学

・千葉大学

・筑波大学

・東京農工大学

・鳥取大学

・広島大学

・横浜国立大学

 

 

上記以外の公立大学では、大阪市立大、大阪府立大、首都大学東京などが「高校別合格者数」を公表しているそうです。

 

「高校の実力」では、これらの大学の合格者については、大学から直接データを入手し、それをもとに合格者数を記載しているということです。

 

 

 

以下のように考えることができます。

 

・「高校別合格者数」を公表していない大学の合格者数については、高校がリリースしている資料のほうが「信頼性」が高い

・「高校別合格者数」を公表している大学の合格者数は、「週刊誌の情報」のほうが「信頼性」が高い

 

 

また、次のような「興味」をかきたてられました。

 

 

果たして、高校は、どこまで正確に合格者数を把握できているのだろうか。

 

 

大学が、本当に、合格者の出身高校の正確な情報を流しているのであれば、少なくとも当該の大学の合格者数について「実数」が明らかとなるわけです。

 

一方、高校がリリースしている合格者数は、基本的に、受験生の「報告」もとに作成されています。

(私立大学などの合格者数を確認するのに「週刊誌の情報」を取り入れる高校もありますが。)

 

都立高校のホームページには、まだ「報告」に来ていない卒業生に向けて、連絡をよこすように呼びかけているものも見られます。

 

つまり、高校が把握できていない「受験結果」があるわけです。

 

 

両者を照らし合わせることで、「受験結果の回収」の実像が、わずかばかりでも垣間見えるのではないかと考えたわけです。

 

 

 

そこで、上記の大学のうち、千葉大、筑波大、横国大の3大学の合格者数について、都内のいくつかの高校をピックアップして、チェックしてみました。

 

 

もちろん、同じ数の合格者数の高校もありましたが、合格者数が違う高校も多くありました。

調べた高校のうち、3分の1ほどの高校で、合格者数に違いが見られました。

 

また、興味深いことに、高校が公表している合格者数のほうが多かったのです。

 

 

 

筑波大学

  千葉大学

横浜国立大学

週刊誌

合格者

高校

合格者

週刊誌

合格者

高校

合格者

週刊誌

合格者

高校

合格者

西         5 3 -2
駒場東邦 4 3     9 8 -2
学芸大附属         6 5 -1
小松川 6 5         -1
豊島岡     8 7     -1
本郷     9 8     -1
城東     4 5 1 0 0
筑波大附駒場     4 5     +1
青山         2 3 +1
国立     10 11     +1
九段         1 2 +1
駒場         7 8 +1
八王子東         10 11 +1
都立武蔵     0 1     +1
麻布     13 14     +1
國學院久我山     2 3     +1
国分寺     3 4 4 5 +2
日比谷 8 9     3 4 +2
吉祥女子         12 13 +2
錦城     4 5 3 4 +2
戸山     15 16 8 10 +3
小山台     6 8 6 7 +3

 

 

 

このような数値の「不同一」が起こる原因は、限られています。

「大学の情報」が正確でないか、「週刊誌の情報」が正確でないか、または、「高校の情報」が正確でないか、です。

あるいは不正確な情報が複合しているのかもしれません。

 

もちろん、何が間違っているのかは、「だれにも」わからないことですが。

 

 

 

私も、度々「入力ミス」などをしてしまう人間なので、その「差異」は単なる「何かの間違い」である可能性を常に考えます。

 

しかし、「週刊誌」の合格者数を一応「現実のもの」と仮定して読み解くのであれば、「高校側が集めた情報」か「高校が公表している情報」のどちらか、またはどちらもが正確ではないのだということになります。

 

 

合格者数が少なくなるケースは、容易に想像が可能です。

その場合は、高校に「合格」を報告していない合格者がいるわけです。

 

 

一方、合格者数が増えているケースです。

 

その場合は、合格していないのに「合格」の報告をしているものがいるということになります。

 

考えてみれば、「虚偽の合格報告」の可能性はあります。

 

これは、広く一般にあり得る「可能性」について検討するものですが、合格しても行くつもりはないけど、一応、「後期試験」を受けました、と。で、合格したけれど、浪人するつもりです、と。

 

実際には、不合格だったけれど、体面を保つために「そういう報告」をするような人間は、世の中に、思いの他存在するのではないかというような気がします。

 

 

あるいは、他にも、いくつかの理由が思いつきますが。

 

 

 

それにしても、情報の「信頼性」は大きく揺らぎます。

 

 

 

けっこうあれこれ考えましたが、結局、「それ以外」のほとんどの国公立大学については、週刊誌も「高校の情報」に依存しているわけです。

結果としては、いろいろなものを飲み込んで、高校がリリースしている合格者数に依拠して、分析や考察をしてみようということにしました。

 

「情報源」が同一であるほうが、いくぶん、気分的に許容できるような気がしたわけです。

 

 

(ivy 松村)

 

 

 

高校の国公立大学合格実績②(都立G7)

都立高校「G7」の大学合格実績を比べてみましょう。

 

 

まず、「東京一工」の現役の合格者数です。

 

 

現役 東大 京大 一橋 東工
日比谷 33 3 6 4 46
国立 6 3 18 7 34
西 14 2 7 6 29
戸山 5 3 12 7 27
青山 6 1 4 5 16
立川 1 3 5 1 10
八王子東  0  0 4 5 9

 

 

八王子東と立川の合格実績が、他校に引き離されていることがわかります。

 

 

 

次は、浪人生も加えた「合格人数」です。

 

 

合格人数 東大 京大 一橋 東工
日比谷 45 8 9 5 67
西 27 14 10 10 61
国立 17 6 26 9 58
戸山 10 5 14 7 36
青山 6 1 6 7 20
立川 2 5 7 5 19
八王子東 2 0 7 9 18

 

 

日比谷、西、国立の「特徴」がくっきりと表れています。

 

 

・日比谷→東大

・西→京大

・国立→一橋

 

3校の「ストロングポイント」が明確です。

 

(西に関しては「全方位」に強さを発揮するというという見方もできるかもしれませんが。)

 

 

国立の一橋大合格者26人というのは、特筆すべきものです。

これは、全国1位の「合格人数」となります。

 

よく知られているように、一橋大学は国立高校に隣接しています。

国高は、その「アドバンテージ」を最大限に生かしているということになりそうです。

 

 

 

浪人生を加えると、八王子東、立川と青山の「差」が小さくなっています。

 

青山の「東京一工」の浪人生の合格者は4人しかいませんが、八王子東と立川の浪人生の合格者はそれぞれ9人います。

 

 

 

「条件」をそろえて比べてみましょう。

 

「合格率」を算出します。

 

今年の各校の卒業生数をもとに、「100人あたりの合格者」を求めることができます。

100人のうち何人が合格したのか、を確認するわけです。

 

現役の合格者における「合格率」は、今年の卒業生の人数を用いて「適正な数値」を求めることができますが、浪人をあわせた合格人数を、今年の卒業生数で割って「合格人数の合格率」を求めるのは、少し「微妙」です。

 

それでも、「条件」をそろえて「合格率」を比べることで「見えてくるもの」があります。

精密なデータであるとはいえませんが、「参考」として、各校の「合格率」を算出して、比較してみましょう。

 

 

 

現役の「東京一工」の「合格率」と現役と浪人を合わせた合計の「東京一工」の「合格率」です。

 

 

 

卒業生

人数

現役

合格率 

合計

合格率 

日比谷 321 14.3 20.9
西 328 8.8 18.6
国立 369 9.2 15.7
戸山 357 7.6 10.1
青山 286 5.6 7.0
立川 314 3.2 6.1
八王子東 311 2.9 5.8

 

 

「序列」に変化は生じていないように見えます。

 

 

「東京一工」という指標は、非常に一般化されていて、多くの人がこれを「基準」として高校の「合格力」を測ろうとします。

 

これに基づくならば、日比谷、西、国立の「トップ3」に戸山が続き、青山、立川、八王子東の3校が遅れをとっているという「構図」になります。

 

 

特に、立川と八王子東が「苦戦」をしているという「見立て」になるわけです。

 

 

さらに、別の指標を用いて7校の比較をしてみましょう。

 

 

 

「東京一工」に、以下の大学の合格者数を加えたデータを確認します。

 

・北海道大学

・東北大学

・名古屋大学

・大阪大学

・九州大学

 

・筑波大学

・千葉大学

・横浜国立大学

・東京学芸大学

・東京外語大学

・お茶の水大学

・神戸大学

・東京医科歯科大学

・東京藝術大学

 

 

 

まず、現役の「難関国立大」の合格者数のデータです。

 

 

 

現役

日比谷 46 2 2 0 0 0 7 7 3 2 3 5 1 3 0 81 25.2
戸山 27 2 4 2 1 0 1 14 7 5 7 7 1 1 2 81 22.7
国立 34 7 5 1 0 0 4 5 7 3 8 2 1 0 2 79 21.4
西 29 5 2 2 3 1 5 4 3 1 4 4 1 1 0 65 19.8
八王子東 9 7 6 0 1 0 2 1 8 12 3 4 0 0 0 53 17.0
青山 16 3 0 1 3 0 3 7 2 1 6 1 0 1 1 45 15.7
立川 10 3 5 1 1 1 6 1 1 7 3 0 0 0 0 39 12.4

 

 

八王子東の実績が「上昇」していることがわかります。

 

次に、現役と浪人生を足した「難関国立大」の「合格人数」のデータです。

 

 

合格人数

日比谷 67 3 5  0 1 2 9 8 4 2 4 7 1 5 0 118 36.8
国立 58 11 9 1 2 2 7 11 13 4 11 2 1 1 2 135 36.6
西 61 9 4 2 4 2 7 6 3 2 6 4 1 2 1 114 34.8
戸山 36 6 6 2 1 1 1 16 10 6 7 7 1 1 3 104 29.1
八王子東 18 8 7 2 1 2 3 2 11 16 4 5 0 0 0 79 25.4
立川 19 9 8 3 2 3 8 1 5 12 5 0 0 0 2 77 24.5
青山 20 4 0 1 4 0 4 10 3 4 7 3 0 1 1 62 21.7

 

 

 

青山が遅れをとっていることがわかります。

 

 

立川の「浪人指向」が明確に表れています。

「現役」の数字は厳しくなりますが、現役と浪人を合わせた「合格人数」は他校に迫ります。

 

特に、東大、京大以外の「旧帝大」に強さを発揮しています。

北大、東北、名大、阪大、九大の計25人は、日比谷に並ぶ数字です。

 

 

八王子東は、「最難関」の下の「カテゴリー」で強さを発揮します。

横国10人、学芸16人です。

 

ちなみに、農工大26人、首都大27人です。

 

八王子東の受験指導の「真骨頂」は、校内中位層の学力を、中堅の国公立大学合格までに引き上げるところにあるのかもしれません。

 

 

 

最後に、7校の「国公立大学」の「合格者数」と「合格率」を見てみましょう。

 

まず、「現役」のデータです。

 

 

現役 現役

合格者

現役

合格率

八王子東 120 38.6
戸山 116 32.5
国立 119 32.2
日比谷 100 31.2
西 90 27.4
立川 86 27.4
青山 58 20.3

 

 

次に、現役と浪人を合わせた「合格人数」と「合格率」です。

 

 

合格者 合格

人数

合格率
八王子東 185 59.5
国立 201 54.5
立川 156 49.7
西 162 49.4
日比谷 158 49.2
戸山 158 44.3
青山 85 29.7

 

 

ともに八王子東がトップに立っています。

 

国立は、「母数」が多いということもありますが、国公立大学の合格者数が唯一200を超えました。(その中には、学位の認定されない「航空大学校」の合格者も含まれていますが。)

 

「現役」では6番手だった立川は、浪人生を合わせた「合格率」で、3位に浮上しました。

 

 

多摩地区の3校が「合格率」の「トップ3」を占めています。

 

 

 

おそらく、多摩地区の3校と、日比谷、西、戸山の「受験指導」には「差異」があります。

 

前者のグループは、「国公立大学」という「カテゴリー」で最大限の成果を出そうとしているはずです。

また、「浪人→国公立大学受験」という「路線」が、現実的な選択として、受験の「戦略」に組み込まれているように思います。

 

一方、後者のグループは、校内の学力上位層に対して、医学部を含めた「最難関」へのチャレンジを積極的に「後押し」するような指導体制になっているのではないかと想像します。

 

 

 

多摩地区3校のうち、特徴的な八王子東の「方向性」は、ちょっと評価が分かれると思います。

「東京一工」のような「強力な指標」のもとでは「埋没」してしまい、印象が悪くなってしまうからです。

 

今の「方向性」では、「入口」の「応募者」に対する訴求力が弱まって、じりじりと「出口」の「ターゲットゾーン」が後退しそうです。「学芸に行くなら、八王子東。」というように。

 

そうなると、さらに最難関大学を目指す生徒の受験回避傾向が強まり、「負のスパイラル」に陥る可能性があります。

 

個人的には、「最難関の実績」というのは、やはり「進学校」の宿命だと感じます。

 

 

 

そして、青山は、ちょっと「劣勢」に立たされていますね。

 

それは、「青山高校、今年、現役で東大6人」という「部分」だけを見ていても、わからないわけです。

 

 

 

(ivy 松村)

 

 

高校の国公立大学合格実績①(前書き)

今年の都内の高校の国公立大学の合格実績を調べてみました。

 

データを紹介しようと思いますが、まず、つらつらと「前置き」を。

 

 

大学合格実績をみるうえで注意すべきことが何点かあります。

 

 

ひとつは、データの「出所」です。

 

高校の大学合格者のデータは、高校のホームページで確認することができます。

 

また、『週刊朝日』や『サンデー毎日』などの週刊誌に掲載されたものを確認することができます。

両誌にデータを提供しているのは同じ調査会社なので、ふたつを比べても、データにちがいはありません。

(過去に、両誌で「合格人数」が違っている箇所を見つけたことがありますが、それは「調査結果」の相違ではなく、おそらく、集計の「タイムラグ」とか、「単純なミス」によるものなのでしょう。)

 

 

で、高校がホームページで公表している「合格者数」と、週刊誌に掲載されている人数が違っていることがあります。

 

この場合、週刊誌のデータの方が正しい場合が多いでしょう。

 

なぜなら、週刊誌は、いくつかの例外を除いて、基本的に大学から直接データを収集しているからです。

 

一方、高校は、受験生の報告をもとに合格者数をカウントしているので、合格しても高校に報告をしない者がいた場合には、「その合格」が数値に反映されなくなります。

そのため、いくつかの高校のホームページの「合格者数」は、週刊誌に掲載された人数よりも少なくなっています。

 

(「その逆」も、あるようです。麻布高校が公表している東大合格者数は、週刊誌の人数よりも1人多くなっています。)

 

 

というわけで、より「信用」できるデータは週刊誌が紙面に載せているものであるということになるわけですが、私は、あえて、高校が公表している「合格人数」をカウントしました。

 

ある種の「こだわり」のようなものなのかもしれません。

 

ただし、ホームページで確かなデータを得られない高校のデータは、週刊誌で確認しました。

 

 

それで、一人でせっせと作業をしてきたわけですが、「入力ミス」などをしていないとは言い切れません。データに不正確なものもあるかもしれませんが、そのことをお見知りおきの上で「参考」としてお読みいただくようにお願いします。

 

 

要するに、週刊誌やインターネットサイトの数字と違っている場合があるかもしれないということなのです。

 

また、私は、週刊誌の方が「正確な人数」を示している可能性が高いということを十分に認識したうえで、あえて高校が発表しているデータを用いているということをご理解いただきたいわけです。

 

 

 

さて、大学合格実績を見るうえで気をつけなければならないことは他にもあります。

 

「大学合格者数」のデータは、どのような枠組みで計測しようとも、「常に不完全な指標」であるといえます。

 

高校の「合格力」を正確に反映することはありません。

 

 

「国公立大学」という「カテゴリー」を基準とした「ランキング」に疑問を感じる人も多くいます。

 

難関私立大学よりも「入りやすい」地方の国公立大学が存在するからです。

 

 

一般的に、国公立大学の合格者数は、高校の「合格力」を測る最も確かな指標であると考えられています。しかし、実際には、「レンジ」が広すぎて、「最難関」に照準した「合格力」を測ろうという場合には、有効な「ものさし」であるとはいえないわけです。

 

極端な話、地方の公立大学に10人合格しても、一橋大学に10人合格しても、「国公立大学の合格人数」は変わりません。

 

また、ある高校から早慶に10人合格しても「国公立大学の合格人数」は0人ですが、地方の公立大学に10人合格すれば、「国公立大学」に10人合格したことになります。

 

最難関の国公立大学の実績と、中位下位の国公立大学の実績を「十把一絡げ」にできないという所見には、十分な理があります。

 

 

そういうわけで、巷では、より精細な「合格力」を測るために、再構成された「カテゴリー」が提唱されたりするわけです。

 

たとえば、「旧帝大+早慶」などの「カテゴリー」のほうが、より的確に高校の「合格力」を測ることができると考える人も多くいます。

 

しかし、どのように「ユニット」を編集しようとも、「完全な指標」とはなり得ません。

 

 

 

現代は、国内の「学力最上位層」の医学部医学科指向が、極限にまで高まっている時代だといえると思います。

 

理由はおもに3つあります。

 

まず、「医者」という職業が、あらゆる意味で「魅力的」であるということです。

 

2つ目は、国内の「学力最上位層」の医学医学科志向が年々強まったことで、「医学部合格」が「能力の証明書」とみなされるようになってしまったことです。

そのために「学力最上位層」が医学部医学科受験に集中しする傾向が激化し、難度が著しく上昇しました。それが、よりいっそう 「医学部合格」の「ステイタス」を高め、さらにまた「学力最上位層」を吸引しているわけです。

 

3つ目は、他の「上級職」の「インセンティブ」の低下によるものです。

端的に、法律家(法曹三者)や研究者、政治家・官僚を目指す「学力最上位層」が減りつつあります。

 

 

 

したがって、今の時代は、「上位校」になればなるほど、「東大」よりも、医学部医学科を志向する生徒の割合が高くなります。

 

これはあくまであるひとつの「観点」による見立てですが、東大の理Ⅲや文Ⅰ以外の類科に合格するよりも、地方の国公立大学の医学部医学科に合格するほうが難しいわけです。

 

あるいは、私立大学の医学部医学科を「射程」に入れることができる受験生は、国公立に拘泥しません。

 

 

つまり、「上位校」には、「東大」を最終目標としない生徒が数多くいるわけです。

「東大」に合格する学力を有していても、「東大」を受験しません。

 

そういった潮流を受けて、「上位校」では、医学部医学科の実績を重視する傾向が強まっています。

当然、保護者・生徒もそれに着目します。

 

 

 

それで、難関大学の合格者数に、医学部医学科の合格者数を足して…というような新たな「カテゴリー」が試作されるわけですが、結局、どのように「カテゴリー」を組織しようとも、その枠組みでは汲み取れないようなケースが存在するわけです。

 

 

さらに補足するならば、「上位校」には、「東大」より高い評価を受ける外国の大学に進学する生徒もいるわけですから、――適切な言葉であるかどうかわかりませんが――、国内の大学のみを対象とした「カテゴリー」である限り、他の高校に対して「飛車角落ち」の「大学進学実績」となるわけです。

 

 

 

ちなみに、余談ですが、比較対象となる2つの高校の合格実績が近似していても、詳細に内実を比べてみると、「地力の差」が見えてくることがあります。

 

たとえば、日比谷高校の大学合格実績が、学芸高校を上回っているかどうか。

 

もちろん、現在、学芸高校は「厳しい状況」にあります。

遠くない将来、両校の「序列」に変化が生じることは否定しきれません。

 

議論の余地は多々ありますが、それでも、医学部医学科などの実績を加味して総合的に判断すると、まだ、学芸高校の「地力」が勝っていることが明らかとなります。

 

 

 

では、高校の「合格力」を測るうえで、どのような「カテゴリー」を設定するのがよいのでしょうか。

 

私の回答は、結局「国公立大学」になります。

 

なぜかといえば、この塾の「ありかた」に照らし合わせると、「そこ」に最大公約数的な「リアリティー」があるからです。

 

 

しかし、1つの指標のみに依拠するのではなく、複数の「カテゴリー」を用いて、多元的に高校の「合格力」を測るのがよいと考えます。

 

 

そこで、今回は、「国公立大学」に加えて、「東京一工」、「旧帝大+一工」、「難関国立大」の4つの「カテゴリー」を設定して、データの比較を行いました。

 

 

 

「東京一工」は以下の大学群による「ユニット」です。

 

・東京大学

・京都大学

・一橋大学

・東京工業大学

 

 

この4大学は、一般的に国内最難関の大学群であるとみなされます。

 

 

「旧帝大+一工」は、上掲の4大学に、以下の大学群を加えたものです。

 

・北海道大学

・東北大学

・名古屋大学

・大阪大学

・九州大学

 

上記の5大学に東大、京大を加えた7大学は、国内最高峰に君臨する総合大学です。

いずれも旧帝国大学を前身とする伝統ある名門大学です。

 

 

「難関国立大学」は、上記の9大学に、以下の大学群を加えたものです。

 

・筑波大学

・千葉大学

・お茶の水大学

・東京医科歯科大学

・東京外語大学

・東京学芸大学

・東京藝術大学

・横浜国立大学

・神戸大学

 

 

この「カテゴリー」に入れる大学の選定に、異存のある人もいるだろうと思いますが、どこかで「区切り」を設定して、カテゴライズしなければならないわけです。

 

大学ランクに加味して、個人的に合格者数を確認したかった大学を加えました。

 

 

 

ところで、「国公立大学」の合格実績に、以下のような「大学校」を含んでいる高校があります。

 

・防衛医科大学

・防衛大学校

・海上保安大学校

・水産大学校

・航空保安大学校

・職業能力開発総合大学校

・気象大学校

・国立看護大学

 

 

これらは、文部省所管外の大学で、いわゆる「準大学」と呼ばれるものです。

 

おもに省庁が設置する高等教育機関ですから、一応「国立大学」であるという「論理」です。

 

これを「国立大学」の合格実績に含めるかどうか、異論があります。

 

「準大学」の合格者を「国公立大学」の合格者に含めている高校と、含めていない高校があります。

 

私は、「準大学」の合格実績も「国公立大学」の合格実績に含めました。

「準大学」を含めた数値に「リアリティー」があると考えたからです。

 

 

 

これはまったくの「主観的な意見」ですが、高校がリリースする「大学合格実績」を直接確認することの「意味」は、その高校が、進路指導に対して「どのような哲学」を持っているのかを確かめられるということなのかもしれません。

 

「カテゴリー」の設定、学部学科まで表示するかどうか、医学部医学科受験に積極的かどうか、「現浪」の表示、「進学者数」を公表するかどうか…。見るべきところがたくさんありますね。

 

 

 

公立大学は含めることにしました。

 

公立大学を含めて「国公立大学」の合格者数を基礎的な数値として扱うことに決めました。

もちろん、これも議論が分かれるところですが、どこかに「線」を引かなければならないわけです。

 

 

 

あともう一点、気になっていることがあります。

 

推薦入試を導入したために東大が後期試験を廃止してしまいました。

そのために、東大志望者にとって、国公立大学の後期試験が「空洞化」しました。

おそらく、浪人をするつもりで「別の大学」の後期試験を受ける受験生が増えているのではないかと思います。

 

このことが、近年の国公立大学の合格者数に影響を与えているかもしれません。

 

 

 

さて、ずいぶん長い「前書き」となってしまいましたが、次回から、実際のデータを見ていきましょう。

 

 

(ivy 松村)

 

国公立大学の経済性

国公立大学に入る「メリット」のひとつに「経済性」があります。

 

国公立大学の「経済性」について書いてみます。

 

 

国公立大学の学費は、私立大学よりも安くなっています。

しかし、実は、国立大学のほうが、私立大学よりも経済的に余裕のある学生が多いといわれています。

 

名門の国立大学に通う学生の親の所得は「平均」よりもかなり高いことが、各種データで明らかになっています。つまり、国立大学には、裕福な家庭の学生が多いわけです。

 

一方、奨学金などを頼りに、私立大学に通う学生が多くいます。

国公立大学の方が私立大学よりも学費が安いわけですから、ある意味で、「ねじれた」状況だといえるかもしれません。

 

 

この状況について、さまざまな分析や考察がなされていますが、今回はちょっと置いておきましょう。

まず、何よりも国公立大学の「学費」は安いわけです。

 

 

 

「学費」についてもう少し。

 

大学には、家庭の所得に応じて授業料を免除したり減額したりする制度があります。

実は、この減免の「審査基準」は、私立大学よりも国公立大学の方が「ゆるく」なります。

国公立大学の方が、授業料の免除や減額を認められる可能性が高くなるわけです。

 

もし、親に頼らずに、自分で学費を稼いで大学を卒業しようと考えている人がいたら、調べてみることをお勧めします。扶養からはずれてアルバイトなどで自活をしているのであれば、授業料の減免が認められやすくなると思います。

 

 

 

また、蛇足の話ですが、私立大学は、一般的に「休学」をしても学費を払わなければなりません(大学によって制度が違います)が、国公立大学は、「休学」している期間の学費を納める必要はありません。

 

 

 

それから、多くの大学生はアルバイトをしますが、国公立大学に通う学生は「いいアルバイト」をみつけやすいかもしれません。

学内に多くの「アルバイト先」があるからです。

学内の施設や研究室などで、「人手」が必要なときに、学生に声がかかることがあります。

 

これはあくまで私の主観ですが、国公立大学は「他の機関」に比べて、「運営」や「研究」にかかる「人件費」をきっちりと「予算」に反映させるため、良い条件のアルバイトが多いように思います。

 

 

 

話は変わりますが、少し前に、塾や予備校に一切通わずに今年現役で筑波大学に合格した「進学指導特別推進校」の卒業生に話を聞く機会がありました。

 

どんな受験勉強をしたのかいろいろと教えてもらったのですが、とにかく高校の授業を大切にした、という話が印象的でした。

教科書を使ってしっかりと勉強し、高校で配られる教材に丹念に取り組み、わからないことは先生にききに行くようにしていたのだそうです。

センター試験用の問題集や過去問は買ったけれど、特にそれ以外に問題集や参考書は使わなかったということです。

(一部の教科は、「進学指導重点校」や他の進学校に比べて「進度」が遅かったので、受験直前はけっこう大変だったと言っていましたが。)

 

はっきりいってしまえば、「特殊なケース」なのでしょうが、それでも、いろいろと興味深く思いました。

 

 

塾や予備校に通わずに、早慶などの一般入試に合格するのは至難のわざです。

受験生個人では習得することが困難な膨大な知識やテクニック等の装備が必要になるからです。

 

むしろ、「個人」で勝負するのであれば、国公立大学入試のほうに勝算があるということになります。

 

 

しっかりとした見通しをもって受験に臨むことができる強靭な意志と実行力の持ち主にとっては、国立大学受験は、「低コスト」の受験となりえるのかもしれません。

 

 

(ivy 松村)

 

 

「学歴」の中身

時代によって、「大学」の「ありよう」が大きく変わります。

 

高度経済成長期の1960年代、「大学紛争」が起こりました。

大学は荒廃し、授業も、入試も中止されました。

東大は、特に「大学紛争」が激しかった大学です。

 

当時、大学は「政治運動の場」だったわけです。

 

 

バブル期の1980年代には、大学が「レジャーランド」化していると論じられるようになりました。

この頃の大学は、「大人になる前の時期」を過ごすための、いわゆる「モラトリアムの場」としての色彩を帯びるようになります。

学業をおろそかにして遊びまわっている大学生がたくさんいました。

 

当時、大学は「遊び場」だったわけです。

 

 

そして、2010年代は、大学は、まるで「就職予備校」のようであると評されるようになりました。

現代の学生は、「就職のために」大学に進学します。そして、将来の「就職活動」の準備に余念がありません。

仕事も勉強もしないで遊びまわっている一昔前の大学生と比べれば、まったくもって感心すべきことです。

 

現在大学は、「就職の準備をする場」となっているわけです。

 

 

 

いまや「学歴」は、多くの人にとって、就職を左右する重大な関心事です。

みな、「イイ大学」に入って、「イイ会社」に入りたいと、考えています。

 

 

塾や予備校で働く人間は、みな、生徒たちに、なるべく「レベルの高い大学」に入ってほしいと願います。

 

私も、もちろんそう願っているわけですが、私の場合は、すこし他の人たちと考えが違っているかもしれません。

 

 

多くの学生は、「就職のために」大学を目指すわけですが、それのみにとらわれていては、何というか、落語の「オチ」だけを聞きたがるような、ずいぶん「もったいない行為」のように思えます。

 

 

「レベルの高い大学」に入れば、「レベルの高い学問」を修めることができます。

 

 

 

たとえば、もし、経済学を学びたいのなら、できれば、「レベルの高い国立大学」に進学したほうがいいと思います。

 

経済学は、多くの場合「文系」に分類されますが、これを「きちんと学ぶ」ためには、数学の素養が絶対に必要です。

 

ところが、一部の中堅大学の経済学部では、数学の素養を前提としない授業が行われています。もちろん、「正統な経済学の授業」もあるはずですが、「数学ができなくても経済学部を卒業できる」ような、いわば「ゆるいカリキュラム」となっているわけです。

 

そこでは、経済学を「きちんと学ぶ」ことはなかなか大変だと思います。

 

 

なぜ、数学の素養を前提としない経済学の「授業」が行なわれるのかといえば、その大学の経済学部の入試科目に、数学が含まれていないからです。

つまり、その大学の経済学部は、入学する学生に数学の素養を求めていないわけです。

したがって、数学の素養を前提とするカリキュラムを作成することはできません。

そうしてしまうことは、むしろ理不尽なことであるとさえいえます。

 

(もちろん、これは「傾向」の話をしているわけで、そういった大学の中にも多くの素晴らしい学部・学科があり、また、素晴らしい教員の方が数多くいらっしゃいます。)

 

 

 

さて、何の話をしているのかといえば、たとえ「看板」は同じでも、大学によって「中身」が全然違うということについてです。

 

当たり前の話ですが、「中身」のある大学に入ったほうが、深く学べるわけです。

どの大学に進学するかによって、「何を得るのか」が変わってきます。

 

 

「学歴」について、「一家言」をお持ちのかたは多くいますが、そのほとんどは「就職」や「生涯賃金」についてのものです。

 

もちろん、そのすべてを否定するような野暮な考えはありませんが、それでも、大学に行くのに、もうすこし「純粋な理由」を求めてもいいのではないかと思ってしまうのです。

 

 

 

近年、「学歴フィルター」というものが、世間に認知されるようになってきました。

大手の人気企業は、「就職活動」の際に、「あるレベル以下の大学」の学生の「応募」を、事実上拒絶するような措置を取っています。

 

平たくいえば、「イイ会社」は、「イイ大学」の学生しか採用しないということです。

 

そして実際、「イイ会社」に入る人は、「イイ大学」の人が圧倒的に多いわけです。

 

 

多くの人は、「イイ大学に入る」ことが「イイ会社に入る」ための「条件」だと考えてしまうわけです。

 

 

 

思慮深い視座を持てる人は、「別の現象」をとらえることができます。

 

新卒社員を募集する会社は、その学生が「どこの大学に属しているのか」ではなく、「大学で何を得たのか」ということを評価しようとしています。

 

 

なぜ、「レベルの高い大学」の学生ほど、高い評価を得られるのか。

 

それは、単純に、「レベルの高い大学」の学生は、「正統な学問」を「きちんと学ぶ」という経験を積んでいるからです。

 

結局、「学生としての本分」に誠実である学生ほど、「就職」に強いと思います。

 

 

 

「学歴」の本質は、「入学試験」にあるわけではなく、「入学後」にあると考えるべきなのです。

 

そして、「入学試験」は、その大学で学ぶ「資格」を審査するためのものであると考えるべきなのです。

 

 

(ivy 松村)

大学入試改革の話

大学入試改革が「ごたごた」しているさまを見て、大学の受験を憂慮する声があがります。

 

国立大学入試がどうなるかわからない→それで、私立の附属へ進学、という「方策」が提唱されるわけです。

 

結論からいえば、今のところ、それはちょっと「過敏」だと思います。

 

 

まず、多くの場合、こうした話をリードするのは、「受験産業」や「教育産業」の「関係者」であるということに留意が必要です。

 

塾や予備校、通信教育などの「受験産業」は、歴史的に、教育や受験への「不安」を煽ることで、「需用」を喚起し、成長してきました。

 

また、それ以上に注意深く聞き分けるべきであると思われるのは、国公立大学の「競合者」の思惑です。端的に、私学を経営する「産業組織」は、これを「ビジネスチャンス」に変えようと血眼になっているわけです。

 

私立大学(や私立学校)は、大学入試改革を「利用して」学生(生徒)を集めたいわけです。

 

 

 

少し冷静になって考えてみればわかりますが、国立大学への進学が難しくなるわけではありません。「募集人数」が少なくなるわけではないのです。

 

国立大学が受け入れる学生の数が減らされるわけではありません。

 

 

選抜の制度が変わります。

それが不利になる人もいれば、有利になる人もいるでしょう。

なぜか、「新しい制度は不利だ」と誰もが考えてしまうわけですが、むしろ、新しい制度を「追い風」にすることができるかもしれないわけです。

 

そうでなくても、落ち着いて、「なすべきこと」を考えてみれば、新しい制度に対応した勉強をしていけばよい、という結論にたどり着くはずです。

 

 

 

現在議論されている「改革」の内実は、ものすごくざっくりといえば、「記述式(論述式)の問題」を導入したいということです。

(で、「採点をどうする?」ということでもめているわけです。)

 

ということは、「記述式の問題」に対応できる学力を身につけいけばいいわけです。

それは、「国立大学への進学を念頭においている中学生」にとって、「本来必要とされる学力」です。

よく知られているように、国立大学の二次試験では「記述式の問題」が出されるわけです。

 

従来の国立大学入試にくらべて、度し難いほどの大きな負荷が課せられるということはなさそうに思います。

現時点では何ともいえない部分もありますが、むしろ、自分の得意なタイプの試験に様変わりして、有利になるかもしれないわけです。

 

 

 

多くの中学生、高校生が「記述」を苦手としています。

そのため、「記述式の問題」に対する不安が大きくなるのも理解できます。

 

しかし、「記述」は、ある意味で避けては通れない「宿命」なのです。

 

大学入試を、「社会的上昇」のための「関門」であると考えるならば、そこで「記述する能力」を問われることは、まったくの「必然」です。

 

 

国立大学が、入試選抜で「記述」を重視するのには理由があります。

 

 

「入試選抜」の本質的な「機能」は、能力のあるものを引き上げて高度な教育を施し、最終的に、知識や技能、技術を有した人材を、社会のある一定のポジションに割りあてたり、配置したりすることです。

 

それは、産業組織や官僚組織のなかで、生産性を上げるための企画を策定したり、社会や組織全体を管理したりするような「上部の職域」であるといえます。

 

こうした「企画・管理」部門を担う人材には、「記述する能力」が求められるわけです。

 

たとえば、「論文」、「報告書」、「企画書」、「契約書」、「意見書」、「説明書」…など。

 

社会的に高い地位、評価を与えられるような「仕事」には、「書く」という業務が付随しています。

 

つまり、文書(文章)を作成する技量がなければ、「上部の職域」を担うことができないわけです。

 

 

国立大学の二次試験では「記述式の問題」が出されます。それは、志願者に「記述する能力」を錬成させたうえで、それを審査するためです。

 

また、入学後、大学で行われる授業の成績評価の方法も、「記述式の試験」を受けたりレポートを作成したりすることが中心になるわけです。

 

 

 

現在進められている「改革」の「社会構造的」問題点は、あらゆる「階層」に「記述の能力」を求めようとしている点です。この視点は、「完全に見落とされている」と思います。

 

上述したように、社会の「上部の職域」には文書(文章)を作成する技量が要求されます。

しかし、すべての職域で、その技量が必要であるというわけではないのです。

 

「書くこと」とは別の能力や技能、才能を育むべき職業もたくさんあります。

職人とか、技術者とか、漁師とか、デザイナーとか…。

 

こうした仕事を担う人たちは、自分の中にある「書くこと」とは別の能力を開発していくことで、一流の職業人になることを目指すわけです。

 

 

 

「ゆとり」のときもそうでしたが、教育や入試選抜の制度を変えようとする人たちは、どうも、「理想」というか、「思い込み」を優先してしまうように見えます。

 

 

 

それにしても、「新テスト」ですが、いろいろと「骨抜き」になるのは間違いなさそうです。

 

もちろん不安も大きいわけですが、「チャンス」でもあるわけです。

 

「入試」のことだけに目を奪われるような層の一部は、いち早く私学へと「方向転換」します。幸いなことに、競争相手がいなくなってくれるわけです。

「どうしても国立大学に入りたい」という人にとっては、「好都合」です。

「煽り」を真に受けてしまった人たちが国立大学受験を忌避してくれるおかげで、「国立大学に入りやすくなる」かもしれません。

 

 

再度記しますが、国立大学が受け入れる学生の数が減るわけではないのです。

 

 

(ivy 松村)

 

 

浪人生の話

春頃から「大学浪人生」に関するデータや資料を集めています。

暇を見て、その「まとめ」を書こうと思っていたのですが、もう夏期講習が近づいてきて、まとまった記事を書くのが、ちょっと困難になってきました。

それで、ちょっと「簡易版」の記事だけでも書くことにしました。

 

夏期講習が来る前にこれを書いておきたかったのです。

 

 

 

しばらくいろいろ調べていたのですが、ちょっと難航して時間を取られてしまいました。

 

2年前に、文部科学省が発表している「学校基本調査」のデータを使って浪人生についての記事を書きました。

 

その後、「追跡」ができなくなりました。

昨年の「学校基本調査」から、「高校卒業年別入学者数」の項目がなくなってしまったからです。そのために、昨年の大学進学者のうちの浪人生の割合はわからないままです。

 

それから、全国の進学校の進学状況を調べていて、ちょっと気になったので、「東京都の大学進学率」を調べてみようと思ったのですが、これを調べるのがちょっと難しいということがわかってきました。

 

東京都に設置されている高校からの大学進学率を得ることはできそうでしたが、「東京都の大学進学率」を調べることは、ちょっと厳しそうです。

 

 

さらに、「大学浪人生」を正確にカウントできないという問題がありました。

「大学に進学しなかった浪人生」を大学進学率に含むことはできませんが、彼らの多くは将来大学進学します。当然、現役生だけを対象とした「進学率」には意味がないので、「将来大学に進学する浪人生」を加えた大学進学率を出したいわけです。

 

しかし、浪人生が進学するまでは大学進学率に反映させることができないので、現役と浪人の「大学進学者数」を合わせて「現役世代の人数」で割って、とりあえずの大学進学率を出すことしかできないわけです。

将来大学に進学する「見込み」の浪人生の数と、その年の浪人を経て大学に進学する過年度生の数は、ある程度「相殺」されて実際の数値に近づくでしょうが、やはり正確な数値であるとはいえません。

 

それでは、東京に住む同年齢の大学生人口を同年齢の人口で割ったらどうか、と思いましたが、大学進学に合わせて上京してきた学生が多くいるので、これも意味がありません。「東京都の大学進学率」に地方出身者が含まれてしまうからです。

 

 

「東京都の大学進学率」が、他県に比べて高いことは間違いありませんが、正確な数値はわからないままです。およそ6~7割になるように思いますが。

 

 

 

私は、東京の大学進学率を高めている二つの要因に着目しています。

 

ひとつは、東京は、地元に多くの大学を抱えた地域であるということです。

選択肢が多く、かつ、親元から通学できるという経済的なメリットがあります。

 

また、もうひとつは、東京は人口が多く、同時に高校の数が多いので、高校ごとの学力が非常に細分化されるということです。

地方の進学校では、偏差値70オーバーの生徒と偏差値58程度の生徒が混在することは珍しくありませんが、東京都の、特に都立高校は、同じ高校に通う生徒の偏差値は非常に近似します。それは、進学指導や受験対策の「密度」をより高めるはずです。

 

 

こうした要因が、「浪人指向」にどう影響しているのか知りたかったのですが、それは、今後の課題ですね。

 

 

 

さて、私は、全国の進学校と東京都の高校を中心に、各学校の浪人の割合を調べました。

 

そのうち、都立高校の「浪人率」を中心にして見ていくことにしましょう。

 

 

去年の卒業生を対象に、都立高校の浪人の割合を算出しました。今年のものではないので注意してください。

下のデータは、進路の情報を公表している高校を対象に、平成27年度の「浪人率」を出したものです。

 

 

 

現役大学

進学率

 浪人率
西 47.7% 52.0%
日比谷 54.6% 45.1%
国立 54.9% 45.1%
立川 62.8% 36.9%
武蔵 66.7% 33.3%
八王子東 67.1% 32.9%
戸山 72.5% 27.2%
青山 73.8% 25.1%
小山台 73.5% 24.4%
大泉 73.0% 24.0%
国際 73.1% 22.9%
富士 76.8% 22.7%
豊多摩 72.4% 21.7%
国分寺 77.0% 20.8%
新宿 79.4% 20.3%
調布北 76.9% 19.7%
日野台 77.7% 18.5%
町田 78.5% 18.3%
竹早 81.3% 17.5%
白鷗 76.6% 17.4%
駒場 80.0% 16.7%
両国 82.2% 14.7%
城東 83.3% 12.6%
北園 81.5% 12.4%
三田 81.5% 12.2%
小金井北 84.9% 12.1%

 

 

 

高校の「ランク」と浪人の割合は非常に高い相関があるといえます。

偏差値の高い高校ほど、浪人する生徒の割合が多くなる傾向があるわけです。

 

上位の進学校では、大学進学を妥協をしない生徒が多くいます。そのために、浪人という「選択」は極めて「現実的」なものなのです。

 

 

 

上のデータでは、戸山高校の序列と「浪人率」が相応していません。

別のデータでは、戸山高校の「浪人率」は32.9と出ています。こちらの方が正しいのかもしれません。

 

複数のデータを対照させてみると、照合しないものがいくつかありました。

元のデータ(生徒数や進学者数)が間違っている可能性もありますので、あくまでも「参考程度」にお読みいただきたいと思います。

 

 

 

参照として、東京都の国立大附属校も見てみましょう。

 

 

浪人率
学芸 49.3%
筑附 42.3%
筑駒 41.7%
東工大附科技 32.1%
お茶の水 28.6%

 

 

 

やはり、高いですね。

あえて載せませんが、私立も、伝統的な進学校の「浪人率」は非常に高くなっています。

 

ひとついえることは、ある「人生観」を共有する者たちにとっては、浪人は一般的な事象であるということです。

それは、あまりにも身近な人生の1ルートなのです。

 

 

 

女子校の「浪人率」は男子校や共学校に比べて相対的に低くなります。

それは、女子の方が、「進学先」よりも「現役」を優先する傾向があるからなのかもしれません。

 

ただ、ちょっと桜蔭だけは「特殊」に思います。桜蔭の「浪人率」は23.7パーセントです。

やはり、同列の共学や男子校に比べて低くなっているわけですが、桜蔭の場合は「現役」で合格する受験生が多いために、「浪人率」が他校よりも抑えられているようです。

ちなみに、今年の桜蔭の東大合格者数は59人ですが、そのうちの52人が現役生です。

 

 

「医学部指向」の強い高校は「浪人率」が高くなります。

特に顕著なのがラ・サールで、その「浪人率」は65.6パーセントとなっています。

 

 

私立学校は、校風や進路指導による特徴が「浪人率」に強く反映されますね。

(いろいろと紹介したいのですが、またの機会にします。)

 

 

再び都立高校のデータです。

浪人を経て、どれくらいの人が国公立大学に合格するのかを見てみましょう。

 

 

今年国公立大学に合格した浪人生が、昨年度浪人をした人数のうちのどのくらいを占めているのかを調べてみました。

 

もちろん、今年の合格人数には「多浪生」の合格が含まれるので、正確な数値ではありませんが、それでもひとつの目安、参考になると思います。

 

 

 

27年度

卒業生

人数

 

 

27年度

浪人生

人数

 

 

28年度

浪人生

国公立大

合格者数

 

28年度

浪人生

国公立大

合格割合

 

西 327 170 107 62.9%
国立 325 147 94 64.1%
日比谷 315 142 83 58.4%
八王子東 316 104 60 57.7%
戸山 316 86 40 46.5%
立川 320 118 46 39.0%
国分寺 312 65 25 38.5%
駒場 318 53 17 32.0%
青山 275 69 21 30.4%
新宿 310 63 19 30.2%
両国 191 28 8 28.5%
小山台 275 67 18 26.8%
町田 279 51 12 23.5%
武蔵 197 66 15 22.9%
大泉 204 49 10 20.4%
城東 318 40 8 20.0%
武蔵野北 238 21 4 19.1%
白鷗 235 41 7 17.1%
北園 314 39 6 15.4%
南平 322 38 5 13.2%
三田 275 34 3 8.9%
日野台 314 58 5 8.6%
豊多摩 272 59 5 8.5%
昭和 275 24 2 8.4%

 

 

 

 

現代は、大学に行けない人間が浪人をするのではなく、大学を選ぶ人間が浪人をする時代です。

今の時代に「浪人」はひとつの「生き様」です。

 

 

 

正直、わけ知り顔で浪人の大変さを思いやったり、野暮な励ましをしたりするのは、なんというか、よそよししい行為のように思えます。それでも、なにか、ひとつの「エール」のようなものを書きたいと考えました。

 

まったくもって奇特な内容ですみません。

 

 

がんばってください。応援しています。

 

 

 

(ivy 松村)

 

立川高校の大学合格実績

立川高校は、ホームページでかなり興味深いデータを公表しています。

毎年の「進路決定者数」です。

 

今年のデータを見てみましょう。

 

 

平成27年度3月卒業生の進路決定者・進路決定率

 

    男子     女子     合計
卒業者数 170 150 320
国公立大 47 (27.6%) 34 (24.7%) 81 (25.3%)
私立大 42 (22.7%) 78 (52.0%) 120 (37.5%)
専門等 0 1 (0.7%) 1 (0.3%)
予備校等 81 (47.6%) 37 (24.7%) 118 (36.9%)

 

 

今年立川高校を卒業した生徒のうち、国公立大学へ進学したのは男子47名、女子34名です。その合計は81名です。これは、卒業者数320名のうち、男女計25.3パーセントに当たります。

 

つまり、4分の1の生徒が、現役で国公立大学に進学したのだということになります。

 

国公立大学の進学率は、その前の年度が、近年で最も低い数値になっていましたので、昨年度は低迷を脱した年になりました。

 

ここ数年の立川高校の国公立大学の進学率は、20パーセント前後から25パーセントとなっています。

 

「ざっくり」とまとめれば、立川高校の生徒は、2割強の「確率」で国公立大学に進学する「可能性」を手にするということになります。

 

 

 

私立大学への進学者は、男子42名、女子78名で、合計120名となっています。

男女計37.5パーセントが私立大学に進学します。

 

「予備校等」は男子81名、女子37名で、合計118名となっています。男女計36.9パーセントです。

「ざっくり」と、3分の1の生徒が現役では大学に進学しないということになります。

 

男子に限れば、47.6パーセントが「予備校等」であり、逆にいえば、現役での大学進学率は5割強であるということになります。

この数値は非常に興味深く思います。もちろん、進学・就職等の意思がない卒業生もこれに含まれていると思われますが、その多くは大学進学を希望して「浪人」という選択をしていることが推察されます。

 

立川高校は、一部の関係者のなかで、ある意味で、「浪人」に「積極的」な生徒が多い高校であるという見方があります。

現役での大学進学にこだわらないタイプの生徒が集まってくるような「校風」とでもいえるでしょうか。それは、立川高校の「伝統」と無関係ではないのかもしれません。私立の桐朋高校にも似たようなところがあります。

 

最近は、都立のトップグループの高校群は、相応の大学合格実績を上げることが求められていますので、先生方の指導にも熱が入っていらっしゃると感じます。

であるにもかかわらず、というべきなのか、あるいは、そのために、というべきなのか、わかりませんが、いずれにしても、浪人も辞さない受験に挑むような生徒が、あるいは、浪人を覚悟して高校生活をおくるような生徒が、一定数いるのでしょう。

 

 

 

では、浪人して国公立大学に進学する生徒はどれくらいになるのでしょう。

 

 

立川高校が公表している「合格状況」によれば、昨年度の「既卒」=浪人生の国公立大学の合格者は53名となっています。

立川高校の一昨年度の「予備校等」の数は、近年では最も多く、男女計132名となっています。

「ざっくり」と考えて、132名のうち53名が国公立大学に進学するとなると、浪人生の約4割が国公立大学に合格するという計算になります。

 

 

もちろん、これは、過年度の卒業生の合格者の数ですから、必ずしも全員が合格した大学に進学するとは限りません。しかし、一般的に考えて、浪人生が国公立大学を受験し、合格を手にして、進学を辞退することは考えにくいことですので、およそ、進学者数と一致する数であると推定することができると思います。

 

また、「既卒」には、いわゆる「二浪」以上の学生が含まれます。

一方で、大学受験から「フェードアウト」していく卒業生もいるだろうことを考慮すれば、浪人生全体の数は、その年度の「予備校等」の人数より少し多いくらいの数字に収束するのではないかと思います。

 

 

細かい数字を気にせず、「ざっくり」と、立川高校の進学状況を見わたしてみると、学年の約25パーセントが現役で、また、15パーセントほどが浪人をして国公立大学に進学します。

学年全体では、最終的に、約40パーセントが国公立大学に進学すると推測することができると思います。

 

 

 

難関私立大学の合格実績も加えてみましょう。

 

「サンデー毎日」6月28日号や「週刊朝日」6月26日号に、「有名・難関大学」への「現役進学者数」が掲載されています。

このデータは、「株式会社大学通信」が行った調査によるもので、週刊誌が独自に調べたものではありません。これだけの取材を行う労力は、並大抵のものではないと思います。

 

いくつかの数値が、高校が公表しているものとずれていることが確認できます。

しかし、「ざっくり」とした概況を把握するためには、比類なき資料であると考えます。

 

 

 

週刊誌のデータによれば、昨年度の、立川高校の「早慶上理」(早稲田大・慶應大・上智大・東京理科大)への「現役進学者数」は、合計32名です。

立川高校が発表している資料によれば、現役での「早慶上理」の合格者数は88名ですから、合格者数のうちの約36パーセントがこれらの大学群に進学したという計算になります。

 

 

また、「MARCH」(明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大)への「現役進学者数」は46名です。

立川高校が発表している資料によれば、現役での「MARCH」の合格者数は210名ですから、合格者数のうち約22パーセントが「MARCH」に進学したという計算になります。

 

 

整理してみます。

 

立川高校の現役での国公立大学の進学者は81名です。

「早慶上理」への進学者は32名です。その合計は113名です。

したがって、昨年度の卒業生の約35パーセントが、国公立大学か「早慶上理」へ現役で進学したことになります。

 

また、「MARCH」への進学者は46名です。

上記の人数にこれを加算すると、その合計は159名になります。

したがって、昨年度の卒業生の約50パーセントが国公立大学か「早慶上理」+「MARCH」に進学したことになります。

 

そのうえ、ICUや学習院といった名門私立大学への進学者も含めると、「進学実績」の数値はさらに上昇します。

 

 

立川高校の生徒は、5割以上が「MARCH」以上の大学に進学する「可能性」を手にする、と考えると、これもまた興味深いデータです。

 

逆にいえば、現役で私立大学に進学した120名のうちの3割ほどは、これら「以外」の大学に、現役で進学したのだということになります。

 

 

 

さて、これまでにも何度も述べてきたことですが、立川高校という「ブランド」をまとったからといって、「その先」が約束されているわけではありません。

 

入学して、その3年後には、「序列」がくっきりとあらわれてしまうわけです。

入学を「目標」にしてしまっては、「その先」がしりすぼみになってしまいます。

 

 

 

「進学校」に通う「メリット」のなかでもっとも価値があるのは、実は、「高水準」の教育を受けることができるというものではありません。

 

 

本当の「財産」となるのは、周りの友人たちなのです。

 

自分がまったく歯が立たない問題を解くライバルがいる、驚愕するほどの知識を持ったライバルがいる、たった数分間で課題を終わらせてしまうライバルがいる・・・そういう「環境」が重要なのです。

 

ここに記しているのは、そんなライバルたちが「何パーセント」いる!ということなのです。

 

 

立川高校を受けようと思っている中学生は、彼らと張り合えるだけの力をつけて入学しようと思わなければダメなのです。

 

高校入試をどのように乗り越えていったのか、という「経験」は、非常に重要です。ですから、都立入試だけを対象に、「省エネ」の受験勉強をすればよいという安易な考えに反対なのです。

 

そして、立川高校に合格した生徒は、彼らに食らいついていくだけの意志を持たなければダメです。

 

せっかく「そこ」にいるのに、そういう「環境」を無視してしまったり軽んじてしまったりすれば、自分が成長していくことができなくなります。

 

 

(はっきりいって、都立トップ校の生徒であっても、相応の大学を受験するのであれば、塾や予備校に通う必要があります。もちろん、素晴らしい先生方がいらっしゃることをうかがい知っています。でも、「指導」への期待ではなく、「環境」への期待を大きく持ってほしいと思います。)

 

 

 

「入学者」に無条件で「可能性」がプレゼントされるわけではありません。

「可能性」は結局、「皮算用」です。

 

「可能性」ではなく、「実力」を手にするために、努力しなければなりません。

そのために、ハイレベルな高校に入るのです。

 

 

(ivy 松村)

 

高校の大学合格実績の話③

『週刊朝日』は、毎年7月に、有名大学への現役の進学者数を掲載しています。

今年はまだ、掲載時期になっていません。昨年のデータを見てみたいと思います。

2014年7月4日号の『週刊朝日』に掲載された「全国1954高校の有名大学現役進学者数総覧」という記事です。

 

国公立大学進学者を比べてみましょう。

(現役進学者/現役合格者)

 

国立高校    136/136

日比谷高校   80/97

西高校     85/89

戸山高校  73/87

八王子東    113/116

立川高校    63/67

 

 

特筆すべきは、国立高校です。136人が現役で国公立大学に合格し、全員が合格した国公立大学に進学したということになっています。

136人合格、という「人数」も群を抜いていますが、驚くべきなのは、100パーセントの進学率です。

 

この数字が正しいものであるならば、国高の生徒で、合格を辞退する者はいなかったのだということになります。

つまり、進学する意志のない大学受験を行う者はいなかったということです。

現役での進学にこだわりが感じられます。

 

国立高校は、「現役・国公立大学」志向が強いといえるでしょう。

 

ちなみに、この年の国立高校の「既卒」(浪人生、過年度生)の国公立大学の合格者数は95人です。

 

 

国高を、西、日比谷と比べて一段低く見る向きもありますが、大学受験トータルでみると、決して、2校に遜色のないことがわかります。

大学受験実績が語られる際には、象徴的な数字である東大・京大の合格者数が、どうしても中心になってしまいます。

しかし、実は、国立高校が最も強さを発揮するのは、これらの最難関の次のボリュームゾーンでの勝負なのです。地方旧帝大や、おひざ元である一橋大などの合格者数では、国高が他の2校を上回ります。

 

国高の大学受験指導には、堅実に合格を勝ち取ろうとする傾向があると思います。

 

 

今年2015年度、国立高校は国公立大学合格者の合計は、197人と発表しています。しかし、現役と既卒の合計の合格者数しか発表していません。

 

 

 

日比谷高校は、97人の現役の国公立大学合格者のうち、80人が国公立大学へ進学しました。しかし、日比谷高校が公表している資料では、2014年度の現役の国公立大学合格者数は103人となっています。

 

つまり、『週刊朝日』のデータによれば17人、日比谷高校の資料によれば23人もの入学辞退者がいたことになります。

中には、東京外語大、筑波大、千葉大、横浜国立大などの合格者で、入学を辞退している者もいます。

そのうちの何人かは、もしかしたら、さらに上の大学を狙っていたけれども、センターテストの得点の影響で、2次試験を受ける大学のランクを下げざるをえなかったのかもしれません。あるいは、前期のみの受験に敗れたのかもしれません。

そのために、合格しても、入学しないという選択をした可能性があります。

 

その仮定の上に立つならば、日比谷は、妥協せず、何としてでも最上位の大学に進学するのだという、強い意志のもとに大学受験を戦う生徒が多いのだとみることができます。

 

今年2015年度は、日比谷高校が公表している国公立大学の合格者数は、現役107人、既卒75人で、合計182人となっています。

 

 

 

 

私立大学を見てみましょう。やはり、昨年度の2014年度のデータです。

(現役進学者/現役合格者)

 

国立高校  ・早稲田大学 16/56 ・慶應大学 8/26

西高校   ・早稲田大学 11/54 ・慶應大学 18/41

日比谷高校 ・早稲田大学 23/108 ・慶應大学 23/69

戸山高校  ・早稲田大学 37/69 ・慶應大学 12/25

八王子東高校・早稲田大学 10/31 ・慶應大学 4/15

立川高校  ・早稲田大学 16/40 ・慶應大学 8/17

 

 

これは、各高校が公表している早稲田大学と慶応大学の現役合格者数と、『週刊朝日』に掲載された現役進学者数を並べたものです。浪人生を含めた合格者数はこれよりも多くなります。

 

早稲田大学や慶応大学に合格しても、進学するのは、多くても半数程程度です。もちろん、複数の学部・学科に合格した受験生もいるでしょうが、国公立大学と比べて、入学率が低いと一目瞭然にしてわかります。

 

 

 

早稲田大学の合格者数が慶應大学よりも多くなっています。

これは、早稲田大学の方が、規模が大きく募集人数が多いために合格者の絶対数が多くなるためです。さらに、早稲田大学は、「センター試験利用入試」で受験者を集め、より多くの合格者を出しているという背景もあります。

 

一方、慶應大学は、「センター試験利用入試」を行っておらず、一般入試でも試験科目に小論文を課す学部が多くあります。

したがって、センター試験のための勉強がそのまま入試対策となる早稲田大学の「センター試験利用入試」に比べて、慶應大学の受験のハードルは高くなります。

 

国公立志向の強い国立高校からの慶應大学への合格者数は、西や日比谷よりもずいぶん少なくなっています。それは、上記のような理由で受験者が少ないためかもしれません。

 

 

 

話はそれますが、近年、慶應大学の「ブランド力」が早稲田大学のそれを突き放しつつあります。「早慶」と並び称されている両大学ですが、慶應の「一強」時代になっていくのかもしれません。

 

90年代頃までは、早稲田大学の方が優勢でした。

文学者や文化人、芸能人を数多く輩出した文化的伝統を持ち、自由で独創的な校風を持つ早稲田大学は多くの人をひきつけました。

 

2000年代に入ってから、じわじわと差がついてきたように思います。慶應は、SFCの設置、AO入試の導入など、世間の耳目を集める改革や実験的な試みを意欲的に行ってきました。

小泉さんが首相になり、そのときに新札が発行されたのもいいタイミングでした。

 

それに対して、早稲田大学は、人気芸能人の入学、野球人気などでは、一時話題になることはありましたが、大学の「価値」を引き上げることにはつながっていなかった印象です。むしろ、学生が事件を起こして大きく報道されたり、大学運営や新しい学部の設置に疑問の声が多く上がったりと、逆風が強くなっていきました。

さらに、博士論文の審査に重大な問題があったと思わせる一連の事件によって、研究機関としての権威も傷つけられてしまいました。

 

 

慶應大学の強みは、「就職に強い」ということです。

慶應大学はネームバリューも社会的信用も非常に高く、その「威信」は、もちろん就職に有利です。

しかし、それだけではなく、慶應大学生というつながり、ネットワークが、人生を通して貴重な財産となるのです。

 

慶應大学の「魅力」は、連帯感、仲間意識だといわれています。

就職活動も、サークル、ゼミなどのメンバーが一丸となって協力し合って、行うことが多いのだそうです。OBやOGも積極的にバックアップしてくれるそうです。

そして、社会に出てからも、同じ大学を出たというつながりに、非常に助けられることが多いのだそうです。

 

慶應大学の同窓会組織である「三田会」のことが、メディアでとりあげられることが多くなりました。

 

 

早稲田大と慶応大の同系の学部・学科に「ダブル合格」を果たした学生がどちらの大学を選ぶのか、をみても、やはり慶應の方が総合的に優位になっています。

 

 

今の時代と、早稲田の、個性を重んじ、自由と冒険を求め、雑多と熱気を愛する気風には少しギャップがあるのかもしれません。

 

今の時代には、慶應大学のカラーが合っているのだと思います。

 

 

 

(こういうことを書いてしまうと、早稲田大学出身の人はあまり気分がよくないとは思いますが、実は、私の母の母校は早稲田大学なので、誠に勝手ながら早稲田大学にはいくばくかのシンパシーを感じているのです。

それで、ぜひ、がんばってほしいと思いながら。)

 

(ivy 松村)