平成30年度都立高校入試の社会の平均点

今年の都立高校入試の社会の平均点は、昨年と比べて少し上昇しました。

 

◎社会の平均点

 

・平成30年度…「61.5」

・平成29年度…「58.6」

 

昨年と比べて、2.9ポイント上がったことになります。

 

この結果は、少し意外な気がしました。

今年の平均点は、もう少し低くなると感じていたからです。

 

それで、ちょっと子細を確認してみました。

 

 

 

東京都教育委員会が公表している「東京都立高等学校入学者選抜学力検査結果に関する調査」によれば、今年の社会の小問、大問ごとの「正答率」は以下のようになっています。

 

 

大問 小問 小問正答率  大問正答率
1 1 95.7 65.9
2 28.4
3 73.5
2 1 53.8 45.6
2 38.8
3 44.2
3 1 75.7 72.4
2 75.1
3 66.5
4 1 41.6 52.1
2 62.4
3 58.5
4 45.8
5 1 94.5 72.0
2 78.1
3 60.2
4 55.3
6 1 24.4 38.8
2 59.4
3 32.5

 

 

 

このデータは、「抽出調査」によって求められたものです。

そのことには、ちょっと気をつけなければならないと思います。

つまり、これらは、都立高校の受験生のすべての得点状況を集計したものではないということです。

 

平均点と得点分布は、全ての受験者の得点から算出されていますが、「正答率」は、一部の受験生のデータをもとに、「全体」の数値を「推測」する手法で算出されています。

 

 

受験生一人ひとりの得点は、採点の際に、各校ごとにデジタルのデータで入力、保存されます。それを合算すれば、平均点や得点分布を出すことができます。

しかし、さすがに小問ごとにすべての得点を入力するのは手間がかかりすぎるのでしょう。

受験生全体の学力差をふまえて、いくつかの学校を選び、そこで得られたデータを「処理」して「正答率」を出しているのだと思います。

 

調査法が示されていないので、詳細はよくわかりませんが、きっと、「統計学」の理論にもとづいて、「信頼度」が担保できるような方法がとられているのだろうと思います。

 

 

 

「小問正答率」から「平均」を求めると、「58.2」になります。(「大問正答率」から「平均」を求めると、「57.8」になります。)

 

先ほど述べたように、「小問正答率」は全受験生のデータではないので、実際の平均点と齟齬が出るわけです。実際の平均点は「61.5」なので、その差は「3.3」になります。過去10年の「小問正答率」を出して確認してみましたが、今年は、例年に比べて差異が大きくなっています。

 

 

また、「正答率」は、「部分正答も含めた割合」になっています。

 

つまり、「記述問題」などの解答に不備があり、点数を引かれていても、「正答」としてあつかっているわけです。

都立高校入試の社会は全ての問題が5点の配点となっていますが、そのうち、4点や3点、2点や1点しか得られなかった場合でも、その解答を「正答」に含めて「正答率」を出しているわけです。

 

そうすると、「小問正答率」の「平均」は、そうした「満点ではない解答」を「5点」として計算することになります。

 

したがって、「正答率」を算出するのに用いられた「サンプル」の「実際の平均点」は「58.2」よりもさらに低い数値になるはずです。

 

 

 

まあ、ともかく、「正答率」のデータを信頼して読み解いてみましょう。

 

 

 

データをよく見てみると、「正答率」が、90パーセントを超えた設問が、2題あります。

大問1の〔問1〕と大問5の〔問1〕です。「正答率」はそれぞれ95.7パーセント、94.5パーセントになります。

 

この2題が、今年の社会の「平均点」を押し上げました。

 

仮に、この2題の「正答率」が80パーセントだったならば、「小問正答率」の「平均」は、「56.7」まで下降します。

 

 

 

過去10年間で、「正答率」が90パーセントを超えた設問は、3題しかありません。

そのうちの2題が、「今年」だったわけです。

 

ちなみに、「正答率」が90パーセントを超えているもう1題は、平成25年度の大問1の〔問2〕です。「正答率」は、91.0パーセントです。

 

 

今年の都立高校の入試の社会は、ほとんどの受験生が造作もなく答えられる設問が2題あり、約95パーセントの受験生が、10点を易々と確保できたわけです。

 

また、それ以外にも、「正答率」70パーセントを超える設問が、さらに4題ありました。

 

 

 

その一方で、今年は難度の高い出題がみられました。

 

「正答率」30パーセントを下回る設問が、2題あります。

大問1の〔問2〕と大問6の〔問1〕です。

 

 

過去10年間で、「正答率」が30パーセントを下回った設問は、9題あります。

そのうちの2題が、「今年」だったわけです。

 

ちなみに、その9題のうち、5題が、「世界地理/世界史」の問題です。

今年の2題も、「世界地理/世界史」の問題でした。

 

 

また、「正答率」30パーセントを下回った9題のうち4題は「完全一致問題」です。また、2題が「語句筆記」の問題です。残りの3題が、「4択問題」です。

 

 

くじ引きのように、完全に恣意的な選択を行った場合、「4択問題」の「正答率」は25パーセントに収束します。したがって、「4択問題」の「正答率」が30パーセントを切って25パーセントに近似するということは、その設問はことのほか受験生を苦しめる問題だったということになります。

 

 

今年の社会の入試問題の大問1の〔問2〕は、「4択問題」で、「正答率」は28.4パーセントでした。

 

大問6の〔問1〕は「完全一致問題」で、「正答率」は24.4パーセントでした。

 

 

 

今年の社会の入試問題は、正答を求めるのが難しい設問が用意されました。その設問の印象から、私や、何人かの教師は難度が上がったと判断しました。

 

その一方で、ほとんどの受験生が正答できるような、著しく簡単な出題があり、平均点を押し上げました。

 

こうした点が、入試問題に対する「印象」と平均点に乖離をもたらした、というわけです。

 

 

 

今年西高に合格した生徒が、過去問演習時に比べて、入試本番で点数を少し落としていました。

 

得点分布をみても、やはり「95~100点」の割合が、昨年に比べて減っています。

 

 

このあたりは、難度の高かった例の2題の影響ですね。

 

 

 

(ivy 松村)

 

 

平成29年度都立高校入試の社会の平均点

今年の東京都立高校入試の各教科の平均点や得点分布表などが、教育委員会のホームぺージで公表されました。

 

社会の平均点は、58.6点でした。

昨年は59.3点でしたので、昨年と比べて、0.7点下降しています。

 

平均点だけで判断すれば、ごくわずかに「難化した」、ということになりますが、「難易度」の議論は、少し入り組んでいます。

 

得点分布表をみると、昨年に比べて、グラフの「山」がなだらかになっていることに気づきます。

受験者の得点がある得点域に集中するような「高い山」になっていません。

 

つまり、受験者の得点分布が「分散」したわけです。

 

また、「分布のピーク」は、昨年は65~69点でしたが、今年は55~59点に推移しています。

さらに、高得点を取った受験者の割合が増えています。

 

ということは、今年は、高い点数を得た受験生が増え、かつ、低い点数を取ってしまった受験生も増えているということになります。

 

 

 

「単純な見解」に従えば、今年の社会の入試問題は、より機能的に受験生の学力を検査することができたという見立てになります。

 

しかし、話はそう「単純」ではありません。

 

 

 

今年の入試問題は、記述問題が削減されました。

2題減らされたので、10点分が、選択問題に「振り替えられた」ということになります。

 

選択問題は、完全に設問を「攻略」しなくても、点を得ることが可能です。

 

何人かの受験生は、「勘」で、正解となる選択肢を選び、得点を手にしています。

選択問題は、問われている内容を理解していなくても、点数を得る場合があるわけです。

かつ、選択問題は、正解を導いているのにもかかわらず、失点をする受験者を生み出すことはありません。

 

したがって、選択問題の数が増えるほど、「幸運な得点」を得る受験者が多くなるわけです。

 

 

一方、記述問題は、設問に整合する内容を書き記す必要があります。

 

あらためて述べるまでもないことですが、学力をより正確に、適切に測ることができるのは、記述問題です。

 

 

 

そういうわけで、一般的に、選択問題の方が、記述問題よりも「得点の上乗せ」をしやすいといえるわけですから、もし、昨年と同じ「難易度」の選択問題が並べられていたのであれば、今年の平均点はもう少し上がってもよかったわけです。

 

しかし、今年の平均点は、昨年と比べて、下降を示しています。

 

選択問題で、得点を取り切れなかった受験生が多かったわけです。

 

 

そうすると、今年の入試問題の「難易度」は、「実質」的には、さらに下降しているといえるようにも思えます。

 

 

特に低得点域で、「本来の学力」よりも数点、「幸運な得点」を得た受験者が思いのほか多くいるはずです。

そのため、全体の平均点が「実質」よりも押し上げられ、また、得点分布における「上りの勾配」が、「右側」へ押し込まれていると考えられます。

 

 

 

ところが、一方で、高得点を得た受験者が、昨年に比べて増加しています。

また、実際に、都立トップ校の受験者平均のデータは、昨年と比較して顕著な上昇を示しています。

 

ですから、今年の都立の社会の入試問題は、学力上位層ほど得点を取りやすく、学力下位層ほど苦戦をする内容であったということになります。

 

 

私は、今年の都立高校入試の直後に、社会の入試問題の「解説」の記事を書きました。

そこで書いたことが、データで証明された、ということになります。

 

 

平成29年度都立高校入試の社会①

 

 

 

今年の都立高校入試の社会の問題は、受験者の得点分布が「分散」したわけですが、学力上位層に限れば、その得点分布は高得点域に密集しています。

 

つまり、上位校の入試では85~100点の攻防となっているわけです。

 

 

先の記事にも書きましたが、設問あたりの情報量が増えたことが、学力上位層にとって有利に作用しました。

 

また、今年の社会の入試問題は、「幸運な得点」のアシストを得た受験生が、最上位層を追尾することが可能となる「構成」だったわけです。

 

 

 

「全体」の得点分布は「分散」しましたが、学力上位層の得点分布は高得点域に偏り、「飽和」の兆候を見せつつあります。

 

 

その点をふまえて、都立高校入試の理社についても「独自問題」を解禁するべきではないか、という意見が聞かれるようになってきました。

 

確かに、それは魅力的なアイデアですが、現実的にはなかなか困難です。

近年の都立高校入試は、入試問題の質よりも、作問と採点の「効率と正確性」を優先させなければならなくなっているからです。

 

 

しかし、実は、ある有力な「一手」が、私たちの記憶に横たわっています。

 

来年から、英数国の「自校作成」が復活し、「グループ作成」の体制に終止符が打たれるわけですが、「グループ作成」は、もう、「お終い」なのでしょうか。

 

 

理社を「グループ作成」にするというのが、最も賢明な選択であると、個人的には考えます。

 

 

 

ところで、まったく話は変わりますが、都立高校入試の英語で「スピーキング」の検査を導入することが「検討」されるのだそうです。

 

こういう場合、「方向性」は決まっているわけですから、なんとなく、どうなるかは予想がつくものですが、これは、けっこういろいろな問題をはらむことになりそうです。

 

気になるのは、検査されるのが「英語の学力」といえるのかどうか、ということです。

単純に、人前で話すことが苦手な生徒が「不利」になるわけですが、人前で臆することなく話せることを、「高校入試」で検査するべき「学力」の要件に含むということなのか、という「観点」に行きついてしまうと思うわけです。

(もうちょっと「実際的」な指摘をするならば、「日本語を話す能力」の検査は?優先順位、あってますか?となるわけですが。)

 

もちろん、中学生が、「話す力」を養い、発達させていくことは望ましいことです。しかし、それを「英語」の「一般入学試験」で評価するのかどうか。

 

考えられるのは、「そういった部分」も考慮して、「ゆるい内容」に落ち着くことですが、そうなると、それを導入する意味はあるのか、という話になるわけです。

 

 

もちろん、「コスト」の問題があります。

私が反射的に考えたのは、各校で行うのは無理、外部に委託するのも無理、という話になって、「内申」のように、中学校で「検査」を行い、それを数値化して、入試得点に加算する、というものです。

 

 

はたして、どうなるんでしょうね。

 

 

 

あ、そうそう(←わざとらしい)、英検の二次試験が迫ってきましたので、来週から面接の練習を始めますよ。

 

 

今年の入試には「スピーキング」が導入されることはありませんが、英検に向けて、しっかり「スピーキング」の練習をしていきましょう。

 

 

(ivy 松村)

 

 

平成29年度都立高校入試の社会④

平成29年度都立高校入試の社会の解説の最終回です。

 

 

○大問5 公民

 

 

〔問1〕

 

自由権のうち、「経済活動の自由」について書かれた憲法の条文を選ぶ問題です。

 

正解は、「イ」になりますが、この問題、ちょっと気になります。

実は、過去に「全く同一の内容」が出題されています。

「憲法の条文」なので、答えの選択肢の内容も一字一句そのまま同じです。

平成25年度の大問5〔問1〕です。

 

故意なのか、それとも別の理由があるのか。

どうなんでしょうね。

 

 

 

〔問2〕

 

「株式会社」という「テーマ」はこれまでにないものでしたが、「○×の組み合わせ」を答える問題は、平成23年の大問5〔問2〕、22年の大問5〔4〕でも出されています。

 

「知識系」ですが、2つの項目について正誤判断を行うだけなので、それほど「難しい」問題というわけではありません。

しかし、これまでにない「テーマ」で、「単純すぎる構成」の作りがちょっと気になります。

 

 

 

〔問3〕

 

2000年代以降の「現代」がとり上げられています。

受験生の「記憶」にあるような「身近な時代」が出題されるのは、ちょっと珍しいと思います。

 

しかし、本問の「テーマ」は「グラフの読み取り」なので、「知識」に頼らなくても、しっかりとグラフを見て、選択肢の記述と照らし合わせて検討することで、正答を導くことができます。

 

 

「ア」…景気は緩やかに回復した

「イ」…景気回復を目指し…景気は2年間回復したが、その後すぐに後退した

「ウ」…景気が急速に回復

「エ」…大幅に景気が後退…景気回復は短い期間にとどまった

 

 

景気が回復に向かう時期を示している「ア」と「ウ」が、BとDのいずれかに当てはまります。

したがって、Cに当てはまらない「ア」と「ウ」を解答の候補から除外します。

 

 

一応、それぞれの記号の対応を確認しましょう。

 

Bの時期に、後退する局面もありましたが、わが国の経済成長率は「-1パーセント」から「1パーセント」に回復しています。

Dの時期には、わが国の経済成長率は「-2パーセント」から「2パーセント」に回復しています。

 

「全体」で、Bの時期に経済成長率は「2パーセント」回復し、Dの時期には「4パーセント」回復したことになります。

つまり、それぞれの選択肢を整合させると、「ア」がB、「ウ」がCに当てはまるということになります。

 

「ウ」で述べられている「新たな経済政策」というのは、いわゆる「アベノミクス」です。また、消費税が8パーセントに引き上げられたのは、2014年です。

最近のことなので、ほとんどの受験生はDの時期が「ウ」であると判断することができたでしょう。

 

 

さて、Aの時期を見てみると、景気が後退→2年間景気が回復→2年間景気が後退、となっています。

この時期の「全体」では、経済成長率は「2パーセント」から「-1パーセント」に後退しています。

 

A~Dの中で、「2年間景気が回復した後に、後退する」という経過を示しているのはAとBだけですが、Bは、先に述べたように、「景気が回復に向かう時期」になるので、「イ」の内容に合致するのはAの時期ということになります。

 

 

正解は「エ」になります。

 

 

Cは、グラフに示された18年間で、もっとも景気が後退した時期です。

2009年に、経済成長率は「-6パーセント」にまで落ち込みます。

翌年、景気は回復し、「2パーセント」となりますが、次の年には再度景気が後退し、経済成長率は「-2パーセント」となります。

これは、「エ」の選択肢にある「大幅に景気が後退」、「景気回復は短い期間にとどまった」という記述と一致します。

 

 

Cは、2007年から2011年の期間なので、今年の受験生の「小学校時代」と重なります。

この時期の「世相」が記憶にあれば、かなり有利でした。

「アメリカ合衆国の証券会社の破綻」というのは、2008年に起こった、いわゆる「リーマンショック」です。翌年に、日本だけでなく世界中の景気が後退することになりました。

 

 

 

〔問4〕

 

これは、何というか、「都立らしくない」問題でした。

〔問2〕もそうですが、本問も、「不親切」というか「大雑把」な作りになっていて、ちょっと気になりました。

(もしかすると、当初は「記述問題」として作られた設問だったのかもしれません。)

 

 

 

「テーマ」は、「消費者問題」です。これは、わりとよく出題される「テーマ」です。

過去には、平成25年度の大問5〔問3〕、平成18年度の大問1〔3〕、平成12年度の大問5の〔問2〕などでも出題されました。

 

 

Ⅰの文章に書かれてある法律は「製造物責任法(PL法)」です。

「製造物責任法」については、平成19年度の大問5〔問2〕(2)の「ア」、平成13年度の大問5〔問3〕の「ウ」でもとり上げられています。

 

 

「製造物責任法」が制定されたのは1994年です。

 

Ⅲのグラフを見ると、1993年ごろから、「危害や危険がある可能性のある製品の情報件数」が増加していることがわかります。

 

「消費者の権利」への関心が高まってきた時期に「製造物責任法」は、制定されました。

そして、また、この法律が制定されたことによって、さらに「消費者の権利」への関心いっそう高まっていったことを、グラフは示しているというわけです。

 

 

正解は「ウ」になるわけですが、Ⅰで述べられている法律を、2004年に改正された「消費者基本法」のことだと勘違いし、「エ」を選んでしまった受験生も多くいたのではないかと思います。

 

この設問は、「製造物責任法」というワードを、あえて出さない「作り」になっているわけですが、それが意図的なものなのか、それとも「作問上の成行き」なのか、ちょっと気になります。

 

 

 

それにしても、今年の大問5は、ちょっと「奇異な印象」を受けます。作問をした人がどんな意図を持っていたのか、気になりますね。

 

 

 

○大問6 融合問題

 

 

〔問1〕

 

A メキシコ

B ベトナム

C バングラデシュ

D エジプト

 

 

「ア」のヒント

・フランス領インドシナ→東南アジア

・1976年に社会主義国として統一

・米の輸出国→アジア諸国

・ドイモイ政策

→B ベトナム

 

「イ」のヒント

・オスマン帝国による支配

・運河→スエズ運河

・人為的な国境線→緯線・経線に沿った直線の国境線

・石油、天然ガス→中東・北アフリカ

→D エジプト

 

「ウ」のヒント

・ムガル帝国による支配→南アジア

・パキスタンから独立

→C バングラデシュ

 

「エ」のヒント

・アステカの遺跡

・1968年の夏季オリンピック

・隣国の巨大な消費市場→アメリカ合衆国

→A メキシコ

 

 

 

「ア」の「フランス領インドシナ」というワードは、近現代史に登場します。

第二次世界大戦が勃発し、ドイツはフランスを占領します。それに乗じて、フランスの植民地だった「フランス領インドシナ」に日本軍が侵攻します。

当時、そう呼ばれていた地域が、東南アジアであると特定できれば、「ア」とBを整合させることができます。

 

ちなみに、「インドシナ」は、「インド」と「シナ」を合わせた造語です。「シナ」とは「China」のことで、フランス語で「シナ」と発音します。

「東シナ海」という海がありますが、もちろん、「中国の東の海」という意味です。

 

 

 

19世紀から20世紀にかけての東南アジアの「状況」をおさえておきましょう。

 

・ベトナム、カンボジア、ラオス…フランスの植民地

・マレーシア、ミャンマー、シンガポール…イギリスの植民地

・インドネシア…オランダの植民地

・フィリピン…スペインの植民地→アメリカの植民地

・タイ…フランスとイギリスの「緩衝地帯」として独立を維持

 

 

 

「イ」の選択肢は、ヒントとなるワードが多くあるので、比較的容易にDと特定することができます。

 

エジプトのスエズ運河に関する問題は、ちょっと前の入試では、よく出題されていました。

平成11年の大問6〔問3〕、平成10年の大問6〔問1〕、平成7年大問2の〔問4〕、平成6年大問2の〔問4〕などです。

 

 

 

「ウ」は、やはり「ムガル帝国」から、南アジアを選ばなければなりません。

ちょっとびっくりさせられますが、インドをはさんで東西に位置するパキスタンとバングラデシュは、かつては同じ国だったのです。

(まあ、でも、アメリカ合衆国も「メインランド」とアラスカ州がカナダにはさまれているので、似たようなものでしょうか。)

 

インド、パキスタン、バングラデシュは、ともにイギリスの植民地でした。

第二次世界大戦後、この地域が独立することになるのですが、インドは、ヒンドゥー教徒が多くを占める国で、パキスタンとバングラデシュはイスラム教徒が多い地域でした。

そのため、インドとは別に「その東西の地域」がパキスタンとして独立したのです。

そして、その後、「東側」がバングラデシュとしてパキスタンから分離独立したわけです。

 

バングラデシュは、なじみの薄い国なので、受験生はちょっと迷ったかもしれませんが、他の国の位置と記述内容を整合させていくと、最終的には、「ウ」とCを一致させることができます。

 

ちなみに、バングラデシュは、本問とは別のテーマでしたが、平成16年の大問2〔問1〕および〔問2〕でとり上げられました。

 

 

 

「エ」は、「アステカの遺跡」というワードから、Aのメキシコであると特定できます。

 

余談ですが、サッカーの日本代表が、国際大会で初めて「入賞」を果たしたのがメキシコオリンピックでした。この大会で、日本代表は銅メダルを獲得しています。

近年、日本のサッカーは大きく発展し、アジア大会やアジアカップでは何度も優勝するまでに躍進しました。しかし、「世界大会」で3位になったのは、このときだけです。

(女子は、ワールドカップで優勝し、オリンピックで銀メダルを獲得しています。)

 

メキシコオリンピックは、1964年の東京オリンピックの「次に」開かれた大会でした。

日本サッカー協会は、当初、東京オリンピックに向けて計画的に代表チームの強化を図ったのですが、「結果」が出たのは、その4年後だったわけです。

 

サッカーに限らず、何事も、実力を養うには一朝一夕にはいかないものですね。

 

まあ、というわけで、この問題も、サッカーファンに有利な問題だったのかもしれません。

 

 

また、アジア・アフリカ諸国の中で、オリンピックを開催したことがあるのは日本、韓国、中国だけであるということを知っていれば、必然的に「ウ」の選択肢はAのメキシコとなることがわかります。

 

 

 

ちなみに、私はメキシコにも行ったことがあるんですね。

下の写真は、メキシコのビリャエルモサという町の、野外博物館で撮ったものです。

そこは古代文明のいろいろな石像がたくさんあって、楽しかったですね。

 

 

Villahermosa

 

私がかぶっているメキシコの独特のぼうしをソンブレロというのですが、これが気に入って、キューバに行くまでずっとかぶってましたね。

 

そうそう、メキシコに行って、そこからキューバに入国したのです。

キューバの飛行機の「ドライアイス」の写真が見つかったので、ついでに載せておきますね。

 

 

Cubana_air

 

…機内が「ドライアイス」の煙だらけですね。でも、ちょっとお祭りみたいで楽しかったですよ。

 

 

 

〔問3〕

 

Ⅱの文章には、「この時期の前半…中東依存度は下降傾向を示した」とあるので、「ウ」と「エ」の選択肢が消去されます。

「エ」の時期に中東依存度の下降が見られますが、これは、この時期の「後半」に起こっているので、「エ」は当てはまりません。

 

さらに、この時期の前半に「原油の総輸入量も減少した」とあります。

 

これによって、正解は「イ」であると特定できます。

 

また、この時期の後半に「原油の総輸入量は再び増え、中東依存度も上がった」とあるので、やはり当てはまるのは「イ」であると確認できます。

 

 

 

〔問3〕

 

「記述問題」ですが、大問3〔問3〕と同じく、「理由」を述べるだけなので、それほど難しくはありません。

 

「テーマ」は、「国際競争力」です。

 

この設問は一見、新出の「内容」のように思えますが、その「テーマ」は既出です。

平成25年の大問3の〔問3〕と酷似しています。

 

「グローバル化」に対応し国際競争力を高める近隣諸国に対し、日本の「優位性」が相対的に低下しているという「課題」が、設問の「テーマ」となっています。

 

都立の社会の「記述問題」は、日本あるいは世界の「課題」、「問題」を取り上げることが多いので、普段から意識しておきましょう。

(推薦入試を考えている人は、「なおさら」ですね。)

 

 

 

さて、今年の都立の社会ですが、1問ずつチェックしながら、実感したのは、「国語の能力」がなければ得点できない、ということでした。

 

なによりも、設問を「読解」できなければ答えを導けないわけです。

 

それから、「社会の知識」というよりも、むしろ、「広範な一般常識」を持っているほうが「有利」になるような作りになっています。普段から、本や文字媒体を通して「いろいろな知識」に「アンテナ」を張っている受験生は強さを発揮するでしょう。

「読書量」、そして語彙を含む「知識量」は、「国語の能力」に直結します。

 

そして、やはり「記述問題」ですね。

5科の中で、「本格的」な「記述問題」が出題されるのは社会だけになっています。(理科の「記述問題」はシンプルな内容になってしまいました。)

 

 

国語の入試問題が荒廃的な様相を強める一方で、社会の入試問題が「国語の能力」を検査する機能を果たすという、ちょっとねじれた状況になっています。

 

 

 

最後に、このブログを読んで、「勘違い」をする人がいそうな気がしたので、念のため、ちょっとだけ書きます。

 

よく、あちらこちらで、入試問題の「傾向」という話題がとり上げられますが、その本質をとらえ違えている人が割と多くいるように思います。

 

「ある事項」の「出現頻度」だけを見ても、それだけでは、有用なデータとはなりません。

 

また、「出題パターン」のような、表面上の「形式」ばかりにとらわれるのも、ちょっと危ないと思います。特に歴史分野で、過去の「出題パターン」に特化した「マニュアル」に依存しすぎてしまうと、対応力が退化し、新しい形式や新出の内容が出てきたときに困るかもしれません。

 

 

 

重要なのは、入試問題の「構造」をとらえることです。

 

「構造」を理解していれば、新奇の形式や初出の内容がちりばめられた問題が、本当に「新傾向」なのかどうか、見定めることができます。また、それに対応することができるわけです。

 

 

で、その「構造」って何?という話ですが、長くなるので、また、いつか。

 

 

(ivy 松村)

 

 

平成29年度都立高校入試の社会③

○大問3 日本地理

 

 

〔問1〕

 

 

A 山形県、酒田市・最上川

B 千葉県、銚子市・利根川

C 広島県、広島市・太田川

D 宮崎県、宮崎市・大淀川

 

 

 

「ア」のヒント

・三角州

・城下町

→A 広島市

 

「イ」のヒント

・流域面積16840㎢→最大の流域面積

・潮目、漁港

→B 銚子市

 

「ウ」のヒント

・冬期でも温暖な気候

→D 宮崎市

 

「エ」のヒント

・雪解けの時期の水の水量が最も多い→日本海側の豪雪地帯

・銘柄米、穀倉地帯

→A 酒田市

 

 

 

「三角州」といえば、広島市です。

これは「鉄板」なので、覚えておかなければなりません。

 

ちなみに、前回の記事でも触れましたが、以前に時事問題について書きました。

その中で、広島が出題されやすいと述べていました。

 

2016年の時事問題

 

この記事では、他にも「ブラジル」が「ポルトガルの植民地」だったことについて指摘していました。

「選挙」「ブラジル」「広島」について、「ドンピシャ」でした。けっこうな「打率」です。

 

この記事を読んでいた受験生は、今年の入試では、圧倒的に有利でした。

 

 

 

太田川については、22年度の大問3の〔問1〕、平成13年の大問3の〔3〕、平成6年の大問3〔問1〕でも出題されました。

 

また、最上川については、平成15年度の大問3の〔1〕の「ウ」、平成9年大問3の〔2〕で出題されています。

 

 

 

〔問2〕

 

 

P 室蘭港

Q 新潟港

R 名古屋港

S 大阪港

 

 

Ⅱの文章に「南西から北東へ入り込む湾の奥に位置し」とあるので、PとQが消去されます。

 

さらに、「製鉄所」、「家庭用電気製品の工場」というヒントにより、Rの名古屋港が消去されます。名古屋港は、トヨタ自動車で有名な豊田市で生産された自動車の積出港です。

もし、正解がRならば、そのことに触れないはずはありません。

 

よって、答えはSの大阪港になります。

 

ちなみに、「家庭用電気製品の工場」とは、枚方市や門真市にあるパナソニックの工場のことです。また、工場跡地に建設されたテーマパークとは、「ユニバーサルスタジオジャパン」のことです。

 

 

Ⅰを検討します。

輸出額と、輸出品目に占める自動車および関連部品の割合の大きさから、「ウ」がRの名古屋港であることがわかります。

 

「エ」の輸出品目に「鉄鋼」があるので、「エ」を選びたくなりますが、輸出額が少なすぎることと、「鉄鋼」の割合が大きすぎることに気づけば、この選択肢を回避できます。「エ」は、「製鉄所」がある室蘭です。

 

「ア」が新潟で、大阪は「イ」になります。

 

1970年は、日本の高度成長期にあたりますが、この時期の日本は、「鉄鋼」が「花形産業」でした。この年、大阪港や名古屋港からも、盛んに「鉄鋼」が輸出されています。

 

現代の日本は、高度な技術力を活かした高品質の機械工業製品や「ハイテク製品」が輸出の主力になっていますので、「鉄鋼」の割合は大きくありません。

 

ですから、「エ」の室蘭のように、近年も「鉄鋼」の割合が大きいのは、かなり特殊です。

(今も「鉄鉱」が主力であるということは、ある意味で、室蘭は、産業構造が転換されていないということでもあります。)

 

 

この設問では、Ⅱの文章の「製鉄所」にひきつけられて、「エ」を選んで不正解となった受験生が多くいたはずです。

 

大阪という日本有数の港湾のデータとして、「エ」は釣り合わないということに気づくことができるかどうかが、本問の「ポイント」でした。

 

別の考え方としては、「高度経済成長期をけん引する役割を果たしてきた」港であるということなので、1970年に441億円という輸出額は少なすぎるということ、また、「もみ及び玄米」という輸出品目が上位3位に入るのはおかしいということ、それが、「エ」を消去する「決め手」になります。

 

 

「輸出港」という題材を使った出題は、平成12年の大問3の〔問2〕でも見られました。

この設問でも、名古屋港、大阪港がとり上げられています。

 

 

 

〔問3〕

 

Ⅱから、A村では、高齢化が進んでいることを読み取ります。

Ⅲから、唯一のガソリンスタンドが廃業した場合、A村の住人は村外にガソリンを買いに行かなければならなくなるということを読み取ります。

 

 

今年の「記述」は2題でしたが、どちらもそれほど難しい問題ではありません。

「採点」のことを考慮して作られていると思います。

 

 

 

○大問4 歴史

 

 

〔問1〕

 

「ア」は飛鳥時代、「聖徳太子」「推古天皇」「冠位十二階」「隋」

「イ」は平安時代、「平清盛」「平治の乱」「大輪田の泊」「宋」

「ウ」は弥生時代、「卑弥呼」「邪馬台国」「魏」

「エ」は奈良時代、「大宝律令」「唐」

 

 

それぞれの選択肢のトピックが、過去に取り上げられているかどうか調べてみました。

 

「ウ」の「卑弥呼」は、意外にも初出です。

 

「ア」は、平成24年度大問4の〔問1〕。

 

「イ」は、平成23年度大問4の〔問3〕、平成12年度大問4〔問3〕。

ちなみに、平成12年度の問題では、「大和田の泊」という表記でした。

 

「エ」は、平成25年度大問4〔問1〕、平成24年度大問4〔問1〕、平成22年度大問4〔問1〕、平成17年度大問4〔問1〕、平成年度9大問4〔問1〕。

 

 

 

〔問2〕

 

「元禄文化」は、17世紀後半から18世紀前半に栄えた文化です。

そのことを知っていれば、即座に「ウ」を選ぶことができます。

 

ちなみに、私は、過去に以下のような記事を書きました。

 

都立高校入試の社会対策

 

この中で、「絵画の歴史」を取り上げて、歴史の入試対策をレクチャーしています。

この記事を読んでいた受験生は、今年の入試で、圧倒的に有利でした。

 

 

 

「見返り美人図」の作者である菱川師宣は、浮世絵の創始者とされる「画家」です。

 

 

過去に、「画家」や「絵画」が題材となった問題を調べてみました。

 

以下の年度で、「画家」や「絵画」の問題が出ました、

 

 

・平成24年度の大問4〔問2〕(A)

・平成20年度の大問4〔問2〕(B)

・平成13年度の大問4〔問1〕(C)

・平成10年度の大問4〔問2〕(D)

・平成9年度の大問4〔問2〕(E)

・平成9年度の大問6〔問1〕(F)

 

 

その「内容」を「時代順」に並べました。確認してみましょう。

 

 

※「高松塚古墳壁画」(E)

※…踊り念仏などによって修業や布教をする一遍の様子が絵巻物に描かれた。(B)

※一遍が…踊り念仏などによって布教活動を行い、時宗を開いていく「一遍上人絵伝」(C)

※「一遍上人絵伝」(E)

※雪舟は宋や元、明の画風を取り入れ、「破墨山水図」を描いた。(A)

※雪舟は、中国から帰国後、…水墨画を大成した(D)

※雪舟は、自然の風景を墨の濃淡で巧みに表現し「秋冬山水図」を描いた(F)

※狩野永徳は、…城や寺院の襖や屏風に絢爛豪華な絵を多数描いた。(A)

※俵屋宗達は宋の画法を取り入れ、「源氏物語関屋澪標図屏風」を描いた。(A)

※尾形光琳は、はなやかな色彩で「紅白梅図屏風」を描いた。(F)

※葛飾北斎は西洋の画法を取り入れ、「富嶽三十六景」を描いた。(A)

※葛飾北斎は、はっきりした線や強烈な色彩で「富嶽三十六景」を描いた。(F)

※黒田清輝は、明るいのびやかな画調で「湖畔」を描いた。(F)

 

 

 

こうしてみると、「菱川師宣」の「見返り美人」は、「意表を突く」出題だったことがわかります。

 

かねてより、私は、都立高校の社会の入試問題には、出題に「偏り」があることを指摘してきました。

たとえば、上の表を見ると、「一遍」や「雪舟」は3度も出題されていることがわかります。

 

こうした「偏り」をつかむことは、「受験指導」のひとつの「要素」ではあったわけです。

 

ところが、今年から、「傾向」が変わりました。

「歴史」だけでなく、「地理」や「公民」でも「初出」の単元や事項が多く盛り込まれました。

 

もちろん、「これまで出題されなかったものが、ある年に初めて出題された」というようなことはいくらでもあり得るわけですが、今年は、かなりの「量」が「投入」されています。

 

 

これは、意図的なものなのだろうと思います。

 

これまでも、都立高校の入試では、「受験者側の研究」が進むと、出題傾向が変更されるということが何度かありました。

これまでのものは、いってみれば、ちょっとした「マイナーチェンジ」程度のものだったのですが、今回は、かなり「作り込んできた」印象です。「意志」が感じられます。

 

 

今年の入試問題を「基準」にすると、「受験者側」は、今後、「何が狙われやすいか」という観点とは「別の視角」を持つ必要があるわけです。

すなわち、「これまで出題されていないものが狙われる」というものです。

 

 

「これまで出題されていたものが狙われる」+「これまで出題されていないものが狙われる」…。

 

それは、結局、「どれもが狙われる可能性がある」ということです。

 

「出題者側」は、「偏った出題」を修正することで、「受験生側」の「偏った受験勉強」を是正しようとしているわけです。

 

 

昨年までの都立高校入試の社会は、「過去の出題傾向」をおさえる勉強方法が「効果的」でした。

 

しかし、今年の入試の「変化」にともなって、指導方法を変えなければならない塾が出てきそうです。

 

 

ちなみに、当塾は、次年度も、今までどおりの指導を行います。

 

今年都立高校を受験した生徒の得点は、過去問演習時と比べてまったく落ちることはなかったので、一切変える必要がありません。

 

 

 

ついでながら書き添えると、「絵画の歴史」では、過去に出題された「内容」の他に、

 

・国風文化 「絵巻物」「源氏物語絵巻」

・鎌倉文化 「似絵」

・化政文化 「歌川広重」「東海道五十三次」

 

 

などもおさえておく必要が出てきたわけです。

 

 

 

〔問3〕

 

 

グラフから、当時の日本は、「綿花」の輸入が多く、「繭」の輸入が少ないことがわかります。

 

以下の知識を知っておかなければなりません。

 

・「綿花」→「綿糸」→「綿織物」

・「繭」→「生糸」→「絹織物」

 

 

ちなみに、「綿糸」(や「毛糸」)を作ることを「紡績」、「生糸」を作ることを「製糸」といいます。

 

「綿糸」や「生糸」の段階で輸出することもあれば、「綿織物」「絹織物」に仕上げて輸出する場合もあるわけです。

 

 

輸出額(外国に売る額)が輸入額(外国から買う額)を下回ることを「赤字」(損益が出る)といいます。

逆に、輸出額(外国に売る額)が輸入額(外国から買う額)を上回ることを「黒字」(利益が出る)といいます。

 

 

当時の日本は、一般に「綿織物」が普及していました。

国内の需要に対して、原料となる「綿花」の国内生産が追いつかなかったので、「綿花」を輸入していたわけです。

「綿糸」や「綿織物」の輸出も行われていましたが、原料の輸入額が製品の輸出額を上回っていたので、これは「赤字」の状態だったわけです。

 

一方、当時の日本は、国内で「繭」の生産を行っていたので、生産された「生糸」や「絹織物」を輸出すれば、「黒字」となりました。

 

 

 

〔問4〕

 

 

大正時代の出来事を選ぶ問題です。

大正時代は1912年から1926年までの期間ですが、この「期間」を覚えるのではなく、大正時代のトピックと照合させて、Aの期間が大正時代であると特定するわけです。

 

 

大正時代のトピック:

 

・1914年 第一次世界大戦

・1915年 21か条の要求

・1916年 吉野作造が「民本主義」を提唱

・1917年 ロシア革命

・1918年 米騒動、シベリア出兵、原敬内閣成立

・1919年 ベルサイユ条約、三・一独立運動、五・四運動

・1920年 国際連盟

・1922年 ワシントン会議

・1923年 関東大震災

・1925年 普通選挙法

 

 

以上の「年号」のうち、1914年と1919年、1925年を覚えておけば、後は「何とかなる」でしょう。

 

この問題でも、この3つの「年号」を知っておくことで、Aが大正時代であることが特定できました。

 

 

正答となる「ウ」の選択肢のうち、「ラジオ放送」はおさえておく必要があります。

 

平成21年度の大問4〔問4〕の「エ」、平成16年度の大問6〔問1〕の「イ」などの選択肢に、「ラジオ放送」が組み込まれています。

 

 

ところで、私は過去に以下のような記事をかいています。

 

都立高校入試の社会の取り組み方

 

 

都立の「歴史」は、大正時代をおさえることが重要であると説明しています。

その中で、大正時代を特定する「ワード」として、「ラジオ放送」などを覚えるとよいと、述べています。

 

この記事を読んでいた受験生は、今年の入試では、圧倒的に有利でした。

 

 

 

(ivy 松村)

 

 

平成29年度都立高校入試の社会②

昨年に引き続き、都立高校入試の社会の解説をしようと思います。

 

 

その前に、感じたことなど。

 

「作問の方向性」が変わっています。

世界地理分野で「マイナー」な国が積極的に取りあげられています。

また、ちょっとマニアックな構成の設問が見られました。

 

これまでの「流れ」をあえて分断するような構成になっています。

20年分の過去問と対照させてみましたが、その感が強くなりました。

 

おそらく、意図的に、過去に出題されていないトピックを増やしているのだと思います。

 

これは、ちまたにあふれる「マニュアル的な対策」への対抗なのでしょう。

(すごくいいことですね。)

 

 

 

では、各問を見ていきましょう。

 

 

 

○大問1 融合問題(小問集合)

 

 

〔問1〕

 

平成24年度の大問1〔問1〕の類題でした。

 

今年は、「Ⅰ」の地図に経路を書き、そのルートを「Ⅱ」に記入する問題となっています。

解答を記入するまでの「手順」が増えたので、24年度よりも問題が複雑になりました。

 

 

 

〔問2〕

 

 

・奥州藤原氏

・前九年の役、後三年の役

・世界遺産、内部が金で装飾された阿弥陀堂→中尊寺金色堂

 

以上のヒントから、東北・岩手を示す「ア」が正答であると特定できます。

 

中尊寺金色堂に関しては、世界遺産登録される前の平成8年度の大問1〔問2〕で出題されました。

 

 

その他の選択肢:

 

「イ」は富岡製糸場

「ウ」は姫路城

「エ」は石見銀山

 

 

ちなみに、選択肢「ア」が示す「平泉の位置」は、過去に頻出しています。

平成27年度、平成25年度、そして平成24年度の大問1〔問2〕のいずれの選択肢「ア」も、全く同じ平泉を示す地点を指しています。

 

 

 

〔問3〕

 

「時事問題」です。

昨年実施された「18歳選挙」が題材となっています。

 

都立高校の入試では、設問の「周辺」に「時事ネタ」がちりばめられることがたまにありますが、「時事問題」であると言い切れるような設問は、これまで記憶にありません。

 

内容自体は、「選挙の原則」ですから、社会科の知識としては一般的なものですが、質的には、「新傾向」であるといっていいと思います。

 

 

ちなみに、私は昨年、このブログに以下のような記事を書きました。

 

2016年の時事問題

 

記事の中で、「選挙権の拡大」や「選挙の原則」について説明しています。

これを読んでいた受験生は、かなり有利だったでしょう。

 

 

ところで、入試に出る「時事問題」の対策としては、当たり前ですが、入試に出る可能性のある出来事を抽出し、絞り込んでチェックしなければなりません。

あちらこちらで「時事ニュース」を紹介するようなサイトなどを見かけますが、話題となったニュースを羅列しただけのものもありますね。

 

 

 

○大問2 世界地理

 

 

〔問1〕

 

世界地理の問題は、正答を導くのに国名と場所を特定する必要はありませんが、説明のために記号と国名を記します。

 

 

A ナミビア、アフリカ州・南半球

B アイスランド、ヨーロッパ州・北半球

C アルゼンチン、南アメリカ州・南半球

D ドミニカ共和国、北アメリカ州・北半球

 

 

Bに当てはまる記号を選ぶ問題なので、アイスランドについて書かれてある選択肢を選び出すわけですが、当然、「アイスランドに関する知識」の有無をもとめられているわけではありません。

 

 

設問の「テーマ」は、「海流」です。

海流について書かれた部分から「ヒント」をつかんで、それをもとに正答にせまります。

 

また、気候や地形、産物などの記述もまた、「ヒント」となっています。

 

 

「ア」のヒント

・東から西へ暖流

・熱帯低気圧→ハリケーン

・年間を通して高温、雨季と乾季→熱帯気候

・コーヒー

→D、ドミニカ共和国

 

「イ」のヒント

・北上する暖流→北半球

・暖流と偏西風の影響で緯度の割に(高緯度なのに)温暖→ヨーロッパ

→B、アイスランド

 

「ウ」のヒント

・北上する寒流→南半球

・西側にある山脈→アンデス山脈

・大草原→パンパ

・小麦、牧畜

→C、アルゼンチン

 

「エ」のヒント

・北上する寒流→南半球

・砂漠

→A、ナミビア

 

 

アンデス山脈を越えたアルゼンチン西部には砂漠が広がっています。

そのことを知っている受験生はAとCを混同したかもしれませんが、ともに「南半球」に位置することを読み取ることができれば、両者を解答の候補から外すことができます。

 

Bの位置は、かなりの高緯度であり、「年間を通して高温」ではないと判断できれば、答えを「イ」と特定できます。

 

 

海流に関する知識として、赤道付近から流れてくるものを「暖流」といい、極地(北極・南極)から流れてくるものを「寒流」いうことを知っておかなければなりません。

 

しかし、「常識的な発想」のもとに考えれば、一年中気温の高い赤道付近から「あたたかい海の流れ」が発生するはずであると思い当るはずです。

 

 

暖流は、地球上の「熱」を循環させる働きをします。

 

暖流の「通り道」は気温が高くなり、温暖な気候になるということも「社会」では必要とされる知識です。

 

世界地図を見るとよくわかりますが、ヨーロッパはかなり高緯度にある地域です。

たとえば、イタリアの緯度は、北海道と同じくらいです。ですから、イタリアよりも北にあるフランスやドイツなどの国は、冷帯に属する北海道よりもさらに北に位置していることになります。

それほど高緯度にあるヨーロッパの国は、大部分が温帯の気候です。

それは、暖流のおかげなのです。北大西洋海流という暖流によって、「熱」がヨーロッパ近海まで運ばれます。その「熱」を偏西風が陸地に運ぶため、ヨーロッパは高緯度地域であるにも関わらず、比較的過ごしやすい気候となっているのです。

 

実は、ヨーロッパの気候を特徴づける「暖流」と「偏西風」というワードは、社会の入試問題では頻出です。

 

特に有名なのが平成21年度の大問1の〔問1〕です。

それから、平成10年度の大問2の〔問1〕の「ウ」のように、ヨーロッパ西岸の気候を説明するのに、必ず用いられるものです。

 

今年の都立の問題は、「定型を外す」という企画意図を感じます。

あえて、西ヨーロッパの国ではなく、北欧のアイスランドを指定しているわけです。

 

アイスランドが火山国で、魚介類をよく食べる国だと知っている中学生は、ほとんどいないでしょう。もちろん、ポイントはそこではありません。

 

この設問の「テーマ」は「海流」なのです。

 

 

ちなみにCのアルゼンチンですが、都立入試ではよく取り上げられる国なので、基本的な知識をおさえておかなければなりません。

平成27年度の大問2の〔問2〕、平成23年度の大問2の〔問2〕、平成13年度の大問2の〔問2〕などで出題されています。

 

 

 

〔問2〕

 

W モーリタニア、北アフリカ

X ブラジジル、南アメリカ

Y キューバ、カリブ海の島国

Z アメリカ合衆国、北アメリカ

 

 

モーリタニアを知っている必要はありません。

受験生のほとんどは、アメリカ合衆国とブラジルを知っているので、それを足掛かりに考えます。

 

まず、「ウ」がアメリカ合衆国であることがわかります。

ブラジルがポルトガルの植民地だったと知っていれば、「エ」がブラジルであると判断できます。

 

 

そして、西アジア、北アフリカにイスラム教徒が多いこと、また、アフリカの多くの国がかつてフランスの植民地であったことを知っていれば、「イ」をWであると特定できます。

 

鋭い洞察力を持った受験生は、独立した「1960年」に反応するでしょう。

「1960年」は、いわゆる「アフリカの年」です。この年に多くのアフリカ諸国が独立したために、そう呼ばれています。

 

あるいは、なじみの薄い「モーリタニア」という国は、「新しい国」であり、そのために、独立前に使われていたフランス語がまだ使用されていると思いつくことができれば、「イ」を消去できます。

 

 

以上のような解答作業にしたがって、「ア」がYのキューバであると特定できます。

 

しかし、キューバがスペインの植民地であったこと、また、キューバ革命によって社会主義国となったことを知っていれば、よりシンプルにキューバを特定できるでしょう。

 

「キューバ危機」という言葉を、何となく覚えている人もいると思いますが、その内容を簡単に確認しておきましょう。

冷戦のさなか、アメリカのすぐ近くに位置するキューバに革命が起き、新たな社会主義国が誕生しました。キューバは、隣国のアメリカと仲たがいし、社会主義国の「親分」であるソ連と親しくなりました。それで、ソ連は、キューバに核ミサイルを配備しようとしました。それにアメリリカが猛反発し、一触即発で核戦争が起きそうになったのが、キューバ危機です。

地図を見ると、キューバがいかにアメリカに近いか、わかりますね。

 

 

 

ちなみに、キューバについて、「近年、世界各地から観光客を受け入れ、経済を活性化させている」と書かれていますが、私もキューバに行ったことがあります。

 

下の写真は私が、キューバに入国したときのものです。

タラップで、右手を上げているのが私です。

飛行機に乗るとき、「飛行機、ちっさ!」と思ってびびりました。

 

cuba-1

 

 

実は、この飛行機、エアコンがきかないので「ドライアイス」をイスの下に置いて機内を冷やすという素敵なシステムでした。離陸してしばらくして、モクモクと煙が出てくるので、最初、事故かと思って、死ぬほどあせりました。

乗っていた乗客はほとんどメキシコ人とアメリカ人だったのですが、しまいには煙でまわりが真っ白になって、これ、国際線かよ!って、つっこみながら、みんなで爆笑していました。

で、まあ、無事に到着したのですが、空港の、よくわからないへんてこりんなところに降ろされて、困惑しました。

それで、入国手続きをするターミナルまで、テクテク歩かされました。

 

でも、キューバは、いろいろと愉快な国でした。

また行きたいですね。

 

 

 

〔問3〕

 

P 南アフリカ共和国

Q ポルトガル

R ウルグアイ

S カナダ

 

 

ウルグアイは、南米の小国ですが、サッカーの強豪国として知られています。

サッカーファンにはおなじみの国なので、サッカーが好きな人には少しだけ有利だったかもしれません。

 

Ⅲの文章に「大西洋とインド洋を分ける東経約20度の子午線が通っており」とあります。

大西洋はアフリカ大陸の西側、インド洋はアフリカ大陸の東側に広がっています。

また、東経・西経0度の本初子午線がイギリスを通っていますので、Ⅲで述べられているのはイギリスの東側に位置する国であるとわかります。

 

以上のことから、Ⅲの文章で述べられている国はPの南アフリカ共和国であることがわかります。

 

そして、「2013年の日本の輸入額の上位3位の品目の中に…乗用車が入るようになった」という記述をもとに、Ⅰの表の選択肢「イ」と「ウ」を解答の候補にしぼることができます。

 

そして、2013年の貿易相手国に中国が入っていない「イ」が消去されて、「ウ」を選びます。

 

 

余談ですが、世界地理の「貿易」に関する設問に対処するときに、「貿易は、近い国と活発に行われる」という「傾向」を念頭に考察すると正答に近づけることがあります。

 

「貿易相手国」というのは、その国の「立地」を探る手掛かりになるのです。

 

アメリカ、と中国を外して考えてみましょう。

 

日本、イギリス、メキシコと活発に貿易している「ア」はカナダになります。

スペイン、ドイツ、フランスなどと活発に貿易している「イ」はポルトガルになります。

ブラジル、アルゼンチンなどと活発に貿易している「エ」はウルグアイになるわけです。

 

南アフリカ共和国は、ちょっと特殊な国で、アフリカ諸国ではなく他地域の国との貿易が活発です。

 

 

ちなみに、南アフリカ共和国との貿易に関する問題は、平成25年の大問2〔問2〕、平成7年の大問2〔問3〕などで出題されています。

 

また、カナダとの貿易に関する問題は、平成22年度の大問2の〔問2〕、平成9年度の大問2の〔問2〕などで出題されています。

 

 

 

 (ivy 松村)

 

 

平成29年度都立高校入試の社会①

今年の都立高校入試の社会は、「易化」したのか、「難化」したのか、人によって評価が分かれると思います。

 

暗記したことがらを「アウトプット」して解答する「知識系」の問題が減り、資料や選択肢などに組み込まれた「情報」を抽出し、総合して答えを「判断」する「思考系」の問題が増えました。

 

そのため、たとえば、「一問一答」などの問題集をひたすらやり続け、「社会のポイントをがっちりおさえる」ような「馬力」の受験勉強をしてきた受験生は、苦労したかもしれません。

あるいは、その受験勉強の「コスト」に見合った「対価」を得られなかったかもしれません。

 

一方、一部の受験生は、社会の受験勉強をほとんどやってこなかったにもかかわらず、かなりの高得点を取ることができました。

正確に「情報」を読み取ることを「苦」としない受験生にとっては、得点源の多い入試問題であるといえるわけです。

 

 

 

個人的には、「易化」したと思います。

しかし、全体の「平均点」は下がるのかもしれません。

「馬力」の受験勉強をしている受験生は、意外と多いように思います。

 

 

もともと、社会は「馬力」に比重をおいた指導をしていないので、当塾の受験生はうまく対応できたようです。

「記述」で少し減点されても、9割は確保できました。

 

 

 

さらに「構成」について、気づいたことなど。

 

 

まず、経済、現代史、時事問題などの中から、「これまで重視されていなかったトピック」をあえて「メイン・テーマ」に据える問題が見られました。

 

それから、表などから「数値」を読み取るタイプの問題が減り、「情報」を汲み取るタイプの問題が多くなりました。

 

さらに、(歴史だけではなく)地理、公民の分野で、「時代の流れ」や「時代の変化」を読み取ったり、ふまえたりすることを求める傾向が強まったように思います。

 

そして、これは非常に重要なポイントだと考えますが、「設問あたりの情報量」が増えました。そのおかげで、「情報処理能力」の高い受験生は、数多くの「ヒント」を整理、検討することで、正答率を上げることができたでしょう。一方、「情報」の多さが「ノイズ」となってしまった受験生は、対処することができずに失点を増やしてしまったでしょう。

 

 

「形式」の面からは、語句を筆記して答える問題が無くなったこと、「記述」問題が2題に削減されたことが指摘できます。

が、これは、想定されていたことでした。

 

また、4つの選択肢から正答を選ぶ単純な「四択」の問題ではなく、全ての選択肢を整合させる問題が「復活」しましたが、これも、想定どおりでした。

 

「記述」を減らす必要性から、全体の「難度」を上げなければならなかったからです。

そのために、マークシートの「利便性」を活かして、「完全一致型」の問題が組み込まれたわけです。

 

「完全一致型」は、平成26年度以前の問題によく見られた形式です。

 

実は26年度の入試問題で「発覚」した「採点の誤りの問題」について、東京都教育委員会は、「完全一致型」の問題が、その元凶であると見なしていたのです。実際、その設問で、多くの「採点ミス」が起きました。

27年度の入試では、「完全一致型」を撤去しなければなりませんでした。

そして、28年度は、マークシート実施初年度ですから、シンプルな解答形式に揃えたかったのです。

 

で、今年、難易度の調整のために、「完全一致型」を再び登場させたわけです。しかし、これは唐突な「変化」というわけではなく、東京都教育委員会のホームページで事前に示唆されていました。

 

 

個人的には、「完全一致型」の問題の中で、大問4の〔問3〕のような語句を補充するタイプは、都立の社会では珍しい形式だったで、ちょっと気になりました。来年度、さらにこの形式を「発展」させた問題が出されるかもしれません。

 

 

 

(ivy 松村)

 

 

都立の理社について

都立高校を志望する受験生が理社の勉強をどう進めていけばよいのか、というのは、受験生だけでなく、「業界」の人間にとっても気になるトピックのひとつだと思います。

 

「トップ校を目指すなら、理社は90点以上!」というような「目安」も、「界隈」でよく聞かれるものです。

 

 

実際には、日比谷、西、戸山を受験する生徒の平均点は、80点前後に収束します。

したがって、例えば、1問「5点」に統一されている社会の場合であれば、トップ校の、より精緻な「目安」としては「85点」が「ライン」となると思います。(理科は、「80点」を「ライン」としてもいいと思います。)

 

ざっくりと、3問から4問の不正解までは「許容範囲」であるといえます。

もちろんそれは、内申点や他教科の学力によって変わるものであるということは、いうまでもありません。

 

 

また、記述問題の部分点がどのように採点されるのか、その「誤差」を考慮する必要もあるでしょう。

 

記述問題の採点基準は、「採点の誤り」の問題の影響で、一昨年度に一度、統一されました。採点基準の統一は大きな混乱を招き、昨年度は、再度、各校の基準で採点することになりました。

本年度も、各校がそれぞれの基準で採点することになるはずです。

 

そうなると、同じ内容の記述であっても、高校によって得点が変わるかもしれません。

 

たとえば、A校であれば、ある語彙が不足している場合には「-1」とされるが、B校であれば満点の正答であると認められるというようなことも考えられます。

 

ある高校の「基準」では物足りない解答であっても、別の高校の「基準」で測れば、申し分ない解答であるとみなされるというようなことは十分にありえるはずです。

 

 

実は、過去のいくつかの高校の「平均点」を見比べて、学校ごとの採点基準の差を示唆する事例を見つけたのです。

すなわち、2つの高校の学力ランクの序列と、ある年の理社の平均点が逆転していたのです。

 

A校は、B校よりも学力ランクが高く、普通ならば理社の平均点は「A校>B校」となるはずなのですが、ある年の平均点が「A校<B校」となっていたのです。

両校の学力差は、必ずはっきりと現れるべきはずのものだったので、B校の採点基準は「甘かった」のだろうと思われます。

 

 

この2年は、都立高校入試の「採点」に対して、「シビア」な視線が注がれています。

そのため、各校の採点基準の「幅」がどのように現れるのか、気になりますが、ちょっとわかりづらくなっているかもしれません。

 

 

まあ、このように、採点基準にも「ブレ」があることが予想されるわけです。

過去問を解いて「85点」だったとしても、自分の実力が本当に「その点数」に届いているのかどうかは、厳密にはわからないわけです。受験校相応の採点基準で記述問題を採点しなければならないわけですが、塾の指導にはそういった「目利き」も必要なのかもしれません。

 

 

 

こうした「データ」は、受験勉強の「方向性」を定めるうえでの「ヒント」にもなります。

 

受験生のタイプにもよることなので、一概に型どおりにいえないことですが、理社の点数の「目安」を「80点」とするか「90点」とするかによって、受験勉強の「配分」が変わってくるでしょう。

 

社会でいえば、受験勉強がしっかりと習慣化され、指導者のいうことを素直に聞くことができる生徒であれば、安定的に「80点」を取れるようになるのはそれほど難しいことではないと考えます。

 

しかし、「80点」を「90点」に伸ばそうとすれば、そのために必要な労力と時間が激増します。

 

単純に、「80点」を「90点」にしようという努力よりも、「60点」を「70点」にしようという努力のほうが効率的で合理的な場合が多いと思います。

「10点の上乗せ」を試行しようというときには、苦手な教科を強化するほうが「近道」であることが多いでしょう。

 

 

社会で、安定的に「80点」を取れるようになった受験生は、もし、苦手な教科を抱えているのであれば、それらを重点的に鍛えるべきです。

理社で「80~90点」取れるのであれば、トップ校に迫るほどの学力がついています。

その上さらに社会の勉強を重ねても「ロス」が大きすぎるわけです。

 

 

 

よく、理社は点数を取りやすい教科なので理社に労力と時間をかけて勉強するべきだ、という人がいますが、私はあまりそのような考えをしません。

 

私は、都立志望の受験生であっても、社会の指導にあまり時間をかけない方だと思います。

基本的に、週に1回過去問を解かせて、解説をするだけです。

他の教科の勉強時間を奪わないように、なるべくコンパクトな入試対策を行おうと考えているからです。

 

 

受験勉強の「配分」は重要です。

 

社会の勉強をせっせとやり続けるよりも、その分、数学の計算問題を一問でも多く解いたほうがいい場合もあるわけです。

 

 

ということで、都立志望の受験生は、しっかりと苦手な教科に取り組んでいきましょう。

(もちろん、理社が苦手な生徒は、逆に理社を特訓するべきですが。)

 

 

(ivy 松村)

 

 

歴史「年代暗記ゴロ合わせ」④

 

歴史 年代暗記ゴロ合わせ

~世界史(1)~

 

前334年 アレクサンドロス大王の東方遠征。 さ(3)ぁさ(3)ぁし(4)っかり、アレクさんドロ~ス。
前221年 秦が中国を統一。 フー(2)フー(2)言(1)って、始皇帝。
前27年 ローマが帝政に。 船(27)出だ、ローマ、帝政に。
375年 ゲルマン民族の大移動。 み(3)な(7)御(5)一緒に大移動。
395年 ローマ帝国の東西分裂。 柵(39)越(5)しに、東西分裂。
610年 ムハンマドがイスラム教を創始。 路(6)頭(10)に迷わず、イスラム教。
1096年 十字軍の開始。 天(10)空(9)む(6)すぶ、十字軍。
1206年 チンギス・ハンがモンゴル統一。 人(1)に(2)お(0)む(6)かえ、モンゴル帝国。

 

 

歴史 年代暗記ゴロ合わせ

~世界史(2)~

 

1492年 コロンブスが新大陸に。 意(1)欲(49)に(2)燃えるコロンブス。
1498年 バスコ・ダ・ガマがインド到着。 意(1)欲(49)は(8)ずんで喜望峰。
1517年 ルターの宗教改革。 以(1)後(5)否(17)唱える、ルターの改革。
1522年 マゼラン船世界一周。 行(1)こ(5)う!続(2)け続(2)け、マゼランに。
1541年 カルバンの宗教改革。 以(1)後(5)よ(4)い(1)結果のカルバン改革。
1642年 イギリス清教徒革。 ヒー(1)ロー(6)世(4)に(2)出る、清教徒。
1688年 イギリス名誉革命。 一(1)路(6)は(8)ば(8)たく名誉な革命。
1776年 アメリカ独立。 非(1)難(7)な(7)かろ(6)うアメリカ独立。

 

 

史 年代暗記ゴロ合わせ

~世界史(3)~

 

1789年 フランス革命。 い(1)きな(7)りバ(8)キュー(9)ン、フランス革命。
1804年 ナポレオンが皇帝に。 威(1)張(8)れ(0)よ(4)、皇帝ナポレオン。
1840年 アヘン戦争。 アヘン戦争、もう、い(1)や(8)よ(4)ぉ(0)~。
1851年 太平天国の乱。 一(1)夜(8)で合(5)意(1)、太平天国。
1857年 インド大反乱 人(1)は(8)来(5)な(7)いでインド反乱。
1861年 アメリカ南北戦争 人(1)は(8)無(6)意(1)味に南北戦争。
1871年 ドイツ帝国の成立。 い(1)や(8)~泣(7)い(1)たね、ドイツ統一。

 

 

 (ivy 松村)

 

歴史「年代暗記ゴロ合わせ」③

 

 

歴史 年代暗記ゴロ合わせ

~昭和時代(1)〔戦前〕~

 

1929年 世界恐慌。 借金が、ひど(1)く(9)ふ(2)く(9)らむ世界恐慌。
1931年 満州事変。 戦(193)い(1)きなり、満州で。
1932年 五・一五事件。 戦(193)に(2)進む、五・一五。
1936年 二・二六事件。 ひど(1)く(9)寒(36)い日、二・二六。
1937年 日中戦争。 戦(193)長(7)引く日中戦争。
1939年 第二次世界大戦。 戦(193)苦(9)しい世界大戦。
1940年 日独伊三国同盟。 行(1)く(9)よ(4)俺(0)たち、日独伊。
1941年 太平洋戦争。 行く(19)よ(4)一(1)途に、真珠湾。
1945年 ポツダム宣言受託。 ひど(1)く(9)汚(45)れて、ポツダム宣言。

 

 

歴史 年代暗記ゴロ合わせ

~昭和時代(2)〔戦後復興期〕~

 

1949年 中華人民共和国の成立。 い(1)く(9)よ(4)く(9)るよの、毛沢東。
1950年 朝鮮戦争。 遠(1)く(9)号(5)令(0)、朝鮮で。
1951年 サンフランシスコ平和条約。 遠(1)く(9)恋(51)しいサンフランシスコ。
1951年 日米安保条約。 ひ(1)どく(9)強(5)引(1)、安保条約。
1955年 アジア・アフリカ会議。 行く(19)ぞ、GO(5)!GO(5)!バンドンへ。
1956年 日ソ共同宣言。 日ソ国交、うまくい(1)く(9)こ(5)ろ(6)。
1956年 日本が国連に加盟。 そろそろ国連、行(1)く(9)こ(5)ろ(6)だ。
1960年 アフリカの年。 一(1)苦(9)労(60)の後、アフリカで独立。
1962年 キューバ危機。 人(1)の苦(9)労(6)に(2)、キューバ危機。

 

 

歴史 年代暗記ゴロ合わせ

~昭和時代(3)〔高度成長期〕~

 

1964年 東京オリンピック。 一(1)苦(9)労(6)し(4)てオリンピック。
1964年 東海道新幹線開通。 特(1)急(9)無(6)視(4)して新幹線。
1965年 日韓基本条約。 一(1)苦(9)労(6)の後(5)、やっと条約。
1972年 沖縄返還。 行(1)く(9)何(7)人(2)も、沖縄へ。
1972年 日中共同声明。 行(1)く(9)な(7)ら二(2)人で、中国へ。
1972年 第3次中東戦争。 人(1)、苦(9)難(7)に(2)負けるな中東戦争。
1973年 オイルショック。 い(1)く(9)波(73)来たり、石油危機。

 

 

歴史 年代暗記ゴロ合わせ

~昭和から平成へ~

 

1975年 第1回サミット。 ひど(1)く(9)な(7)ご(5)やか、首脳会談。
1978年 日中平和友好条約。 中国の、人(1)の苦(9)難(7)は(8)忘れまい。
1989年 ベルリンの壁の崩壊。 い(1)く(9)ば(8)く(9)の、思いがよぎるベルリンの壁。
1990年 東西ドイツ統一。 ひと(1)く(9)く(9)り(0)にしてドイツ統一。
1991年 ソビエト連邦の崩壊。 低(19)く(9)言(1)われる、ソ連の崩壊。
1991年 湾岸戦争。 行(1)く(9)、悔(9)い(1)残る、湾岸戦争。
1991年 ユーゴスラビア紛争。 ひど(1)く(9)悔(9)い(1)たる、ユーゴ紛争。
1991年 バブル経済の崩壊。 い(1)く(9)ら悔(9)い(1)てもバブルは崩壊。

 

 

歴史 年代暗記ゴロ合わせ

~平成時代~

 

1992年 自衛隊の海外派遣。 遠(1)く(9)の国(92)で、PKO。
1993年 EUが発足。   [ゴロ合わせ思案中]
1995年 阪神淡路大震災。 行(1)く(9)ぞ、救(9)護(5)に大震災。
2001年 アメリカ同時多発テロ。 不(2)幸が多(00)い(1)、同時テロ。
2002年 ユーロの流通。 お礼(0)に(2)ユーロをさしあげる。
2003年 イラク戦争。 おっ(0)さん(3)も行く、イラク戦争。
2008年 世界金融危機。 おや(08)、金融危機ですか?

 

 

歴史 年代暗記ゴロ合わせ

~環境会議~

 

1972年 国連人間環境会議。 トー(1)ク(9)何(72)する、環境会議。
1992年 国連環境開発会議。 トー(1)ク(9)苦(9)に(2)なる、環境会議。
1997年 地球温暖化防止京都会議。 ひど(1)く(9)苦(9)難(7)のCO2削減。

 

 

歴史 年代暗記ゴロ合わせ

~公害・環境関連~

 

1967年 公害対策基本法。 ひど(1)く(9)む(6)な(7)しい、公害対策。
1971年 環境庁の設置。 行(1)く(9)な(7)ら一(1)路、環境庁。
1993年 環境基本法。 遠(1)く(9)がく(9)さ(3)い、そんな環境。
2001年 環境庁が環境省に。 お~(0)い(1)、環境省~。

 

 

歴史 年代暗記ゴロ合わせ

~人権関連~

 

1948年 世界人権宣言。 行(1)く(9)よ(4)初(8)めて、人権宣言。
1965年 人種差別撤廃条約。 行(1)く(9)ぞ向(65)うに、差別は撤廃。
1978年 女子差別撤廃条約。 ひど(1)く(9)悩(78)んだ、女子差別。
1986年 男女雇用機会均等法。 人(1)、悔(9)や(8)む(6)な男女均等。
1989年 子どもの権利条約。 行(1)く(9)約(89)束だよ、子どもの権利。

 

 

 (ivy 松村)

歴史「年代暗記ゴロ合わせ」②

 

歴史 年代暗記ゴロ合わせ

~江戸時代(1)~

 

1600年 関ケ原の戦い。 一(1)路(6)雄(0)々(0)しく、関ケ原。
1603年 江戸幕府。 ヒ(1)ーロ(6)ー?お(0)っさ(3)ん?徳川家康。
1615年 武家諸法度。 広(16)い(1)御(5)殿で武家諸法度。
1639年 鎖国の完成。 異(1)論(6)炸(39)裂、鎖国の完成。
1637年 島原・天草一揆。 人(1)無(6)残(3)な(7)り、島原・天草。
1687年 生類憐みの令。 色(16)華(87)やかな、お犬様。
1716年 享保の改革。 非(1)難(7)い(1)ろ(6)いろ享保の改革。
1772年 田沼意次の政治。 いー(1)な(7)、な(7)に(2)より株仲間。

 

 

歴史 年代暗記ゴロ合わせ

~江戸時代(2)~

 

1774年 「解体新書」出版。 非(1)難(7)な(7)し(4)だよ解体新書。
1787年 寛政の改革。 非(1)難(7)、花(87)咲く寛政改革。
1792年 ラクスマンが来航。 非(1)難(7)で苦(9)痛(2)、ラクスマン。
1825年 外国船打払令。 い(1)や(8)に(2)強(5)引、打払令。
1837年 大塩平八郎の乱。 人(1)は(8)み(3)な(7)、聞いて驚く平八郎。
1937年 モリソン号事件。 人(1)は(8)み(3)な(7)、聞いて驚くモリソン号。
1841年 天保の改革。 人(1)は(8)良(4)い(1)忠邦の天保の改革。

 

 

歴史 年代暗記ゴロ合わせ

~幕末~

 

1853年 ペリーの来航。 い(1)や(8)降(5)参(3)しますよ、黒船に。
1854年 日米和親条約。 一(1)夜(8)越(5)し(4)、2港開いた和親条約。
1858年 日米修好通商条約。 不平等、一(1)番(8)怖(5)い(8)通商条約。
1860年 桜庭門外の変。 一(1)派(8)群(6)れ(0)成す、桜田門(さくらだもん)。
1863年 薩英戦争。 い(1)や(8)、無(6)残(3)なり、薩英戦争。
1864年 4国艦隊下関砲撃。 下関、撃たれた人(1)は(8)、虫(64)の息。
1866年 薩長同盟。 一(1)夜(8)論(6)論(6)、薩長同盟。
1867年 大政奉還。 一(1)夜(8)む(6)な(7)しく大政奉還。
1868年 五か条の御誓文。 五か条で、ひ(1)とつや(8)ろ(6)うや(8)、新政府。

 

 

歴史 年代暗記ゴロ合わせ

~明治時代(1)~

 

1869年 版籍奉還。 人(1)は(8)む(6)く(9)れる版籍奉還。
1871年 廃藩置県。 一(1)派(8)泣(7)い(1)ても廃藩置県。
1872年 学制の発布。 人(1)は(8)何(7)人(2)?学生発布。
1873年 徴兵令。 人(1)は(8)涙(73)の徴兵令。
1873年 地租改正。 嫌(18)な(7)3(3)パー、地租改正。
1874年 民選議院設立建白書。 批(1)判(8)な(7)し(4)でも建白書。
1877年 西南戦争。 火(18)花(7)な(7)がめる西南戦争。

 

 

歴史 年代暗記ゴロ合わせ

~明治時代(2)~

 

1889年 大日本帝国憲法。 い(1)ち(8)早(8)く(9)、憲法決めた伊藤博文。
1890年 大日本帝国議会。 議会、議会で日(1)は(8)暮(9)れ(0)る。
1894年 領事裁判権の撤廃。 一(1)番(8)苦(9)心(4)の陸奥宗光。
1894年 日清戦争。 一(1)躍(89)清(4)に勝利する。
1902年 日英同盟。 遠(1)く(9)を(0)に(2)らんで日英同盟。
1904年 日露戦争。 1(1)つく(9)れ(0)よ(4)、と日露戦争。
1910年 韓国併合。 特(19)等(10)席で韓国に行く。
1911年 関税自主権の回復。 低(19)い(1)位置(1)、小村のおかげで関税回復。
1911年 辛亥革命。 行(1)く(9)人(1)々(1)が清倒す。

 

 

歴史 年代暗記ゴロ合わせ

~大正時代~

 

1914年 第一次世界大戦。 行(1)く(9)意(1)思(4)あるのか世界大戦。
1917年 ロシア革命。 得(19)意(1)な(7)革命、ロシアのレーニン。
1918年 米騒動。 人(1)食(9)い(1)は(8)ぐれて、米騒動。
1918年 シベリア出兵。 行(1)く(9)?嫌(18)じゃ、シベリア出兵。
1919年 ベルサイユ条約。 1(1)Q(9)1(1)Q(9)、ベルサイユ。
1919年 ワイマール憲法。 ドイツ、ビ(1)ク(9)ビ(1)ク(9)、ワイマール。
1920年 国際連盟。 遠(1)く(9)に(2)及(0)ぶ、国際連盟。
1925年 普通選挙法。 行(1)く(9)ぞニ(2)コ(5)ニコ普通選挙。
1923年 関東大震災。 ひど(1)く(9)罪(23)だよ、震災も。

 

 

 (ivy 松村)