夢と現実

「夢」には大きく6つのタイプがあるように思います。

 

・現実逃避・物語型

つらい現実、あるいは退屈な現実から抜け出ることを求めるタイプです。生きる活力として、幸運な出来事を思い描いたり、生きる支えとして心の中に救いを思い描いたりするのです。

(「いつか王子様が私を迎えに来てくれる」というような)

 

・回帰・回復型

自分や周りの環境が、何かしらの原因で正常ではないと考え、それをあるべき状況へ戻すこと、失ったものを取り戻すことを希求するタイプです。親や先祖の悲願を叶えたいというような望みもこれに含まれます。

(「幼いころ失くした宝物を見つけたい」というような)

 

・安らぎ・安定志向型

平穏な生活、おだやかな人生を送ることこそが幸福であると考え、ある程度のレベルの生活で満足し、ささやかな暮らしを維持することに人生の意味を見い出すようなタイプです。

(「家族と幸せに暮らしたい」というような)

 

・探求・冒険型

ただ、自分がやりたいこと、手に入れたいものを追い求めるタイプです。何かを極めたい、知りたい、見つけたいといった、純粋な好奇心や研究心を持った芸術家、研究者、職人などがこのタイプにあたります。

(「海の底を探検したい」というような)

 

・出世・自己実現型

自分の人生に意味を与えるために、自らの目標や計画を実現させたいと願うタイプです。社会の中で自分の価値を高めたり、自分の地位を上昇させたりすることに主眼があります。

(「芸能人になって、有名になりたい」というような)

 

・社会変革型

理想の社会や世の中を実現させたいという願望を抱くタイプです。こうした夢を描く人は、世の中の不義や不条理を正すのだという使命感、あるいは逆に、閉塞感や疎外感といった個人的な感情が動機にあります。

(「誰もが教育を受けられる世界にしたい」というような)

 

 

 

さて、どうやら「夢」というのは、「現実ではない」ビジョンを表す言葉のようです。

 

第一義である、「睡眠中に持つ幻覚」はもちろん現実ではありません。

また、「空想的な願望」「将来実現したい願い」といったものも、頭の中に描くものであって、現実化すれば、それはもう「夢」ではありません。現実ではない、という条件において「夢」とみなされるのです。

 

 

「夢」は、「現実」の裏側にあるものです。ですから、「夢」は、「現実」の対義語である「理想」や「虚構」といった概念と親和性を持つのでしょう。

 

「夢」は、いきなり個人の心の中に立ち現れるのではなく、「現実」(=社会=世界=環境)の反射として、あるいは投影として心の中に像を結ぶのだと思います。

自分が「現実」をどうとらえているのか、その「現実」の中で自分がどうありたいのか、が「夢」に反映されるのだと思います。

 

 

 

子供は、誇大な「夢」を抱いても、それをとがめられることは稀です。子供は、いまだ社会的な存在ではないため、「現実」の世界に自己を位置づけることを期待されていないからです。

 

一方、大人は、身の丈に合わない願望を抱くことをたしなめられます。

あるいは、こう言い換えることができるかもしれません。成長するにしたがって、「現実」に照準した将来像を持つことを求められるようになるのだ、と。

 

大人の「夢」のほとんどは、仕事上の目標や出世か、家族に関するものです。そのように経路づけられるのです。

 

子供は、「大人の夢」をつまらないものだと思いがちです。一方、大人は、「子供の夢」は現実化の筋道が乏しく、それを児戯であると考えがちです。

 

 

どちらかに軍配を上げることはできません。「夢」は序列化できないのです。

 

 

 

・・・話が入り組んできました。

 

結局、とどのつまり、私がいいたいのは、ありきたりな内容ですが、「夢」を持って生きよう!ということです。

ただ、自分の「夢」について、深く考えることが大切だということを、念を押して伝えたいと思っているのです。

 

「夢」を早急に、安易に決めないようにしてください。

「夢」は育てるものです。

特に、生徒の皆さんには、成熟した「夢」を抱いてほしいと思っています。

今、自分の未来がぼんやりとしか見えていなくても構わないのです。

 

「夢」を育てるためには「現実」を知らなければなりません。「現実」(世界)を学ぶということは、勉強というものの意義の一つです。

 

「現実」を知って、なお、初心ゆるぎない思いを持ち続けることができれば、それは確かな「夢」です。

あるいは、「現実」を知って、自分のやりたいことを明確に定めることができれば、それはやはり確かな「夢」です。

 

(ivy 松村)

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