※中学生のみなさんへ:
教科書や参考書、問題集には、衆議院の定数が475人と書いてありますが、今回の選挙から465人となったので、気を付けてください。
政治のことを少し。
衆議院が解散されて、世相は総選挙に向けて動き始めています。
多くの識者は、安倍総理大臣が先日衆議院を解散したのは、今が「勝てる」タイミングだと判断したためであると考えているようです。
しかし、もう少し後の時期の方が、与党にとってはより良い状況になっていたように思います。もう数か月もすれば、内閣の支持率は、より上昇していたでしょう。
今回の解散は、「もりかけ隠しだ」と非難されているわけですが、通常国会で数か月間延々この問題を追及してきて、「手詰まり」となっていたわけです。
「北朝鮮問題」が緊迫するさなか、野党が、臨時国会でさらに「もりかけ」に拘泥していたならば、政府よりも、野党が負うダメージの方が大きくなっていたはずです。
それでも、安倍さんは、臨時国会でも「もりかけ」が再演されることを懸念したに違いありません。国会の審議が空転してしまうからです。
その意味では、解散総選挙を行うことで一度国会審議を「リセット」するというのは、妙案だったと思います。
選挙を経て、総理大臣に再度指名されれば、主権者である国民の信任を得ているというロジックを打ち出すことができます。
実際のところ、「もりかけ問題」は、不毛な「自損行為」でした。
「もりかけ」は、政府にダメージを与えながら、野党自身にもダメージを与え続けました。
政府を追い詰めているという高揚感から、野党の議員たちは、客観的に自分たちの「状況」を見ることができなくなっていました。
実は、安倍さん自身も、解散を望んではいなかった可能性があります。
つまり、安倍さんは、積極的に時勢を読んで解散の決断をしたわけではなく、「やむを得ず」解散の「前倒し」を行ったのかもしれないわけです。
解散が取りざたされるようになる直前、安倍総理大臣はトランプ大統領と密にコミュニケーションを取っていました。
数週間前の、国連の動向をレポートするニュースは、現在の日本の首相とアメリカの大統領が、非常に強い信頼で結ばれている様子を報じています。
もしかすると、安倍総理大臣は、トランプ大統領から、北朝鮮に対するアメリカ合衆国の今後の「可能性」を伝えられているかもしれません。
これはただの憶測にすぎませんが、よもやそうであるならば、必ず実行される「計画」ではないとしても、一国の首脳としては万事に備えなければならないわけです。
今年の4月に、内閣は、召還していた韓国駐留大使を帰任させました。
これを韓国に対して「手心を加えた」と勘違いした識者は反射的に内閣を非難しましたが、数日後、「北朝鮮のミサイル問題」が顕在化し、大使の帰任は有事に備えたものであったことが明らかになりました。
これは、まったくの個人的な感想ですが、安倍さんは、思い切りよく合理的な決断ができるという、政治家として特筆すべき資質を有していると思います。
安倍さんは、政治家として大きな挫折を経験しました。
それが、安倍さんの政治家としての「強さ」を形作っているのかもしれません。
それにしても、野党は、突然の解散に、激しく反発しました。
「大儀のない解散だ」という非難が沸き起こりましたが、世論の反応は冷淡でした。
野党は、「打倒安倍政権」を叫び、解散を求めてきたわけです。
衆議院選挙が行われなければ、政権を打倒することはできません。
「もりかけ問題」が紛糾した数か月、野党は、まさしく衆議院の解散を内閣に求めていました。
6月には内閣不信任決議案を提出しています。これは粛々と否決されましたが、もし可決していれば当然、解散、総選挙になっていたわけです。
いざ解散となって野党が困惑する様は、「解散は本意ではない」という腹の底を暴いてしまいました。
(ivy 松村)