首都大学東京について

先日、センター試験の応援に、試験会場だった首都大学に行ってきました。

 

それで、ちょっと首都大について書こうと思います。

 

 

首都大は、個人的にかなり「お得」な大学だと思います。

ちょっと、くだけた言い方をするなら「コスパ」のいい大学です。

 

特に、日野、八王子に住んでいるのであれば、「立地」の面でも魅力的です。

 

 

また、募集面から考えると、各種の推薦入試が充実しています。

ことに注目すべきなのは、「指定校推薦」です。

「指定校推薦」を実施している国立大学はありません。限られた一部の公立大学だけが「指定校推薦」を行っています。そのうちのひとつが首都大です。

 

首都大は、多摩地区の進学校との連携が強いので、多摩地区には、首都大の指定校推薦枠を多く持っている高校があります。

 

 

 

それから、首都大は、学部の再編を行いました。

「都市教養学部」が、人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部などに再編成されました。

これは、ある意味で、首都大の母体となった「都立大学」の「伝統」の復興といえるのかもしれません。

 

 

90年代、各大学で、学問の「枠組み」を超えた研究を活性化させるために、幅広い学問領域をカバーするような「新しい学部」を設置する動きが広がりました。

そのころから、「国際○○学部」、「人間○○学部」、「文化○○学部」というような多彩な名称の学部の新設が「流行」します。

 

「新しい学部」は、また、学生募集の面で大きな訴求力を発揮し、さらに増殖していきました。結果、各大学に「複雑な名称」の学部が乱立することになりました。

 

もちろん、研究機関である大学として、目的があって組織が編成されている(はずである)わけですが、他方、「外部の人間」からは、一見では何を学ぶところかわからなくなっています。

 

2005年に都が設置する4つの大学を糾合して誕生した首都大学には、そうした「トレンド」の影響が、非常に濃く現れていました。

 

 

そんな首都大が行った「回帰的再編」は、「逆行の一手」です。

もしかすると、「トレンド」は、今後「何を学べるのか」がよくわかる学部の人気が上がっていくという局面に移行するのかもしれません。

 

実際、再編された首都大の学部の倍率は上がると予想されています。

 

 

 

それにしても、首都大は、世間には、パッとしない「地味」な大学のように思われている節があります。

名前は独特ですが、取り立てて特徴のない、存在感の薄い大学であるという印象を持った人は多くいます。

 

しかし、首都大の「すごさ」が世間に見過ごされているからこそ、首都大は「ねらい目」の「お得」な大学であるということができます。

 

 

 

首都大学の中核となった「都立大学」は、ある意味で特別な位置づけの大学でした。

東京という強力な自治体が運営する「都立大学」は、他の大学を補完する重要な役割を担っていました。

 

「都立大学」は、「大学院大学」としての性格が色濃い大学でした。

 

つまり、「研究者を育てる」という使命を帯びた大学であったわけです。

実は、日本の大学教授や研究者のうち「都立大学(首都大学)」出身者の割合は、大学の規模に比してかなり多いのです。

 

現在の首都大学にも、その「伝統」が受け継がれています。

首都大は、大学院進学率が高い大学です。

 

 

現在は、大学をとりまく状況が非常に厳しく、「研究者の道」が非常に険しいものになっていますが、「研究者の道」を志望するのであれば、首都大学進学は、良い選択肢になると思います。

 

 

蛇足ですが、一般的に、大学院にはその大学の学部生が進学するため、院生は自大学出身者が多くなります。しかし、「都立大学→首都大学」には、多くの学生に「研究者の道」を開く、という役割が期待され、他の大学から積極的に大学院生を受け入れています。

大学院進学を考えている大学生は、首都大学を検討してみるとよいかもしれません。

 

 

首都大学は、上記のような性格を有した大学なので、正統な学問体系を学ぶことができます。

一方で、リベラルアーツを重視する「伝統」があり、幅広い多彩な分野を学ぶ機会も充実しています。

 

 

 

そして、首都大学には、もうひとつ特筆すべき特徴があります。

 

それは、公務員になる卒業生が多いということです。

 

首都大学の学生だからといって、そのことが公務員試験に有利になるということはありませんが、自治体が設置する大学であるという特性は、少なからず「アドバンテージ」を形作っていると思います。

 

「公務員に強い」という評判が立てば、必然的に「公務員志望者」が多く集まります。

志望者同士で情報交換を活発に行うことができるし、刺激を受けたり発奮したりするような機会も多く得ることができます。

同じような進路を目指す人が周りにいることは、それだけでプラスの材料となります。

 

また、公務員志望者が多いわけですから、大学側もそれをバックアップしようとします。

教員も、それを意識した指導を行うでしょう。

 

首都大の教員の方は、都の職員の方とコミュニケーションをとることも多いはずですし、都庁出身の方が講義を持つこともあるでしょう。また、学生自身が直接都の職員の方と接する機会もあるでしょう。

 

つまり、「公務員志望者」が、頻繁に「志望先」を意識する機会を持つことができるわけです。

 

「公務員志望者」にとって首都大は、良い選択肢になると思います。

 

 

 

首都大学は「就職」の面であまり有利な大学ではないと思われています。

特に地方では、知名度と大学ランクに大きな溝があり、苦戦することになります。

 

しかし、そういった「表面的な評判」にはあらわれない大学の「実力」というものがあると思います。

 

 

「就職に有利かどうか」という視覚だけで大学を判断していると、さまざまなものを身落としてしまうでしょう。

また、人気企業に就職した学生の「人数」ばかりに目を奪われていると、重要な情報を見失ってしまうでしょう。

 

 

首都大学のように、大学院に進学したり公務員になったりする学生が多い大学の「就職ランキング」は目立たないものになります。

さらに、首都大学のように学生数の少ない大学は、「実績」を示す「人数」が抑制されます。

 

もうすこし付け加えるならば、首都大は様々なレベルの、様々な性格の複数の大学が統合されてできた大学です。

現在でも複数の大学が1つの大学名のもとに併存しているというような部分があります。

そのため、前身の大学の「系統」によって、進路選択にちがいが見られます。

つまり、学科によって、進路の状況が大きく異なっているわけです。

 

 

新しく再編された学部は、「都立大学」をルーツとする学部です。

「都立大学」をルーツとする学部を志望する学生は、その学部の「状況」をみる必要があるでしょう。

 

 

「民間企業への就職」という目線だけで大学を見ていると、大学の本当の「姿」を見誤ってしまうと思います。

 

 

一般的には、たとえば早稲田大学と首都大学では、早稲田大学の方が「格」が上であると考える人が多いと思います。「就職」の際に、「早稲田」という「ブランド」は大きな力を発揮するでしょう。

 

しかし、人生には「別の岐路」もあります。

「進路」はひとつだけではないわけで、別の道を進むのであれば、別の大学のほうががよいということもあるかもしれません。

 

さらにいえば、「学ぶために大学に行く」という人間にとっては、学習・研究の環境についても考慮すべき別の観点がありうるでしょう。

 

 

 

(ivy 松村)

 

 

One thought on “首都大学東京について

  1. うっかりしていましたが、東京工業大学附属科学技術高等学校から、東工大に進学できる特別推薦がありました。失念していました。
    また、愛知教育大学附属高等学校、お茶の水女子大学附属高等学校も連携特別選抜入試(=実質的な指定校推薦)を行っているそうです。

    上の記事で私は「国立大に指定校推薦はない」と述べていますが、それは、「一般の高校」から広範囲に指定校推薦という制度にもとづく学生募集をしていないという趣旨で書かれたものです。

    それに対して、これら3つは、どちらかというと、付属校における「内部進学」に近いものだと思います。

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