「gh」は、基本的に発音されない「黙字」です。
weight「ウェイト」(重さ)
eight「エイト」(8)
ought「オート」(~するべきだ)
although「オルゾウ」(~にもかかわらず)
caught「コート」(catchの過去形)
sigh「サイ」(ため息をつく)
sight「サイト」(視界)
straight「ストレイト」(まっすぐな)
through「スルー」(~を通って)
though「ゾウ」(~にもかかわらず)
thought「ソート」(thinkの過去形)
daughter「ドーター」(娘)
delight「デライト」(喜ばせる)
taught「トート」(teachの過去形)
night「ナイト」(夜)
neighbor「ネイバー」(隣人)
high「ハイ」(戦う)
height「ハイト」(高さ)
fight「ファイト」(戦う)
flight「フライト」(飛行)
fright 「フライト」(恐怖)
bright「ブライト」(明るい)
brought「ブロート」(bringの過去形)
bought「ボート」(buyの過去形)
might「マイト」(mayの過去形)
light「ライト」(光)
right「ライト」(正しい、権利、右の)
語末に「gh」が置かれたときに、発音されることもあります。
その際の発音は「フ」=[f]です。
[f]は、日本語の「ハヒフヘホ」の「フ」ではないので注意しましょう。下唇を軽く噛み、弾くようにして発音します。
enough「イナフ」(十分な)
cough「コフ」(咳)
tough「タフ」(頑丈な)
laugh「ラフ」(笑う)
rough「ラフ」(粗い)
昔は、「gh」が発音されていました。
その音は、「強く発音するハヒフヘホ」です。
発音記号は[x]です。
慣れないと戸惑うと思いますが、[x]は「ハヒフヘホ」を表す発音記号です。
[x]の音は消失してしまって、英語からなくなりました。
そのため、この[x]の発音記号は、「現代英語には」みられません。
古い時代の英語には[x]の発音が存在し、それに「gh」が当てられたのです。
英語の「gh」の発音は、
[x]→[f]→「無音」
と変化してきたわけです。
[f]の音が残っている単語は、無音化されずに発音が残存したものです。
[x]=「強く発音するハヒフヘホ」は、ドイツ語の「ch」の音だったことを覚えているでしょうか。
[x]の発音を示すのに、ドイツ語は「ch」を用いたわけです。一方、英語は「gh」を代用したわけです。
ドイツ語の「ch」と古い英語の「gh」はともに同じ音→[x]を表すということになりますね。
(発音体系に少しだけ「ズレ」があって、ドイツ語の「ヒ」の発音は[x]では表さないのですが、まあ、あまり重要ではありません。)
両者は、驚くほどに「照応」しています。
英語とドイツ語は、そもそも「親類」の言語だからです。
以下の例を見てみましょう。
英語 | ドイツ語 | ドイツ語の発音 | 意味 | |
eight | acht | 「アハト」 | (8) | |
high | hoch | 「ホッホ」 | (高い) | |
night | Nacht | 「ナハト」 | (夜) | |
daughter | Tochter | 「トホター」 | (娘) | |
laugh | lachen | 「ラッヘン」 | (笑う) | |
light | Licht | 「リヒト」 | (光) | |
right | recht | 「レヒト」 | (正しい) |
英語とドイツ語の語彙が非常によく似ていることがわかります。
英語は、そもそも「ドイツ語の方言」だからです。
5世紀ごろに、ドイツ西部に住んでいた「ゲルマン人」の一派が、ブリテン島(イギリス)に渡り、住み着きました。彼らの話していたドイツ語が、英語の母体となったのです。
その後、英語はフランス語などの影響を受け、大きく変化していきますが、日常生活で頻繁に使用される「基本語彙」などを中心に、古い形や発音を残した単語があります。
前に、英語をよく知るためにはフランス語を学ぶとよい、と書きましたが、もし、英語の「原風景」を知りたいのなら、ドイツ語を学ぶのもよいと思います。
「gh」の例外も見ておきましょう。
Edinburgh 「エディンバラ」(エジンバラ:スコットランドの都市)
スコットランドは、イギリス=「連合王国」を構成する国(地域)のひとつで、「エジンバラ」はその「首都」です。
「Edinburgh」は、語末の「ア」という母音が「gh」で表されているので、ちょっと珍しい単語です。
英語やドイツ語などの「ゲルマン語」には、城や都市を意味する「burg」(バーグ、ブルグ)という語がありますが、それが訛って、「バラ」になっているようです。
前に、「gh」の「h」が無音になって、[g]の発音になる語彙の例として、「ghost」(ゴウスト:幽霊)や「Ghana」(ガーナ)を挙げましたが、それ以外にも、
spaghetti「スパゲッティ」(スパゲッティ)
yoghurt 「ヨーグルト」(ヨーグルト)
などがあります。
「spaghetti」は、もともとイタリア語なので、「h」が発音されません。
「yoghurt」は、「h」を書かない表記もありますが、「h」のある表記もよく見られます。
(ivy 松村)