12月15日に、私立高校と中学校の間で「入試相談」が行われます。
「入試相談」とは、中学校の先生と私立高校の先生が、生徒の成績をもとに「合格の可能性」を「相談」するものです。
具体的には、「推薦入試」「単願」「専願」「併願優遇」などの制度で受験する生徒が「合格するかどうか」を確認するための機会となるものです。あるいは、基準に届かない場合でも出願できるのかどうかをきくことができます。
または、基準に届かない生徒がその高校を受験した場合に、「合格することが可能かどうか」を尋ねることもあると思います。
入試本番のテストだけで合格を判断するのではなく、内申点やその他の基準をもとに、「合格できるのかどうか」を「事前に」高校の先生に教えてもらうわけです。
実は、中学校の先生だけではなく、塾や家庭による「入試相談」を受けつけている高校もあります。一方で、特に難関校などでは、「入試相談」を行わないところもあります。
「入試相談」は、慣例的に行われているもので、公的な制度ではありません。
中学の先生は、生徒の進学先を「確保」することができ、高校の先生は、学力や人物を保証された生徒を入学させることができます。
実際には「合格の目安」は事前に示されてあって、三者面談の段階で、中学校の先生は「合格の可能性」を「ある程度」把握しています。
三者面談を通して、「合格圏内」の生徒に受験する意思があるかどうかの確認を行い、「入試相談」までに、対象となる生徒を確定させておきます。
高校側は、なるべく優秀な生徒を多く集めて、大学の進学実績を上げたいと考えています。ですから、成績上位の生徒に受験してもらいたいという希望を持っています。そのため、高校の先生と話をした中学校の先生が、その意向を汲んで、自分の学校の成績優秀な生徒にその高校の受験を勧めるということがあるのだと思います。
「入試相談」とは、見方を変えてとらえるなら、受験生にとっては「おさえ」の学校を確保するためのものです。
そこでは、多くの場合、「併願優遇」という受験制度を使って受験することが可能かどうか、が話し合われます。
都立高校入試のような、入試本番の点数次第で合否が決まる一発勝負の「ガチンコ」の受験にはリスクがあります。
「併願優遇」を使うことで、「ガチンコ」勝負になるチャレンジ校の受験にそなえて、安全に、「セカンド・チョイス」となる高校の合格を確実に取得することができます。
もし、戦略的に、「併願優遇」を使って「おさえ」を確保しておく方が、高校受験をするうえでメリットになると判断されれば、この制度を活用するべきです。しかし、場合によっては、「併願優遇」という制度はデメリットの部分が大きくなってしまうので、注意が必要です。
注意しておきたいのは、「入試相談」を通して受験を組み立てる場合には、この制度の「理念」をしっかりと理解したうえで、入試というものを考えなければならないということです。
「残念な人」は、「入試相談」のような制度を「ズル」のようなものだと考えがちです。
このような制度の出発点は、受験生への負担を軽減しようという配慮にあるのだと、思い当たることができないのです。
学校の先生は「よっぽどのことがない限り、大丈夫」という含みをもった言い方をします。
なぜそのような言い方をされるのかを理解しないで、「回りくどいな~」とか「めんどくさいな~」と思うアホや、「それって結局落ちないってことでしょ~」とのたまうアホは、高校に行かなくてもいいと思います。
このブログでは、「入試相談」を行って、「合格の可能性が極めて高かった場合」の受験に対して「確約」という表現を用いますが、当然、このことばは「絶対に大丈夫であることを保証するものではない」ということを理解していただきたいと思います。
高校受験における入試の様式を確認しておきましょう。
一.「推薦入試」
Ⅰ.「都立高校推薦入試」(合格すれば入学義務)
Ⅱ.「私立高校推薦入試」
①「確約あり」(入学義務)
②「確約なし」(合格すれば入学義務)
二.「一般入試」
Ⅰ.「私立高校一般入試」
1.単願 / 専願
①「確約あり」(入学義務)
②「確約なし」で「加点あり」(合格すれば入学義務)
③「確約なし」(合格すれば入学義務)
2.併願優遇
①「確約あり」で「しばりあり」(第一志望がダメなら入学義務)
②「確約あり」で「しばりなし」
③「確約なし」(加点あり)で「しばりあり」(合格し、第一志望がダメなら入学義務)
④「確約なし」(加点あり)で「しばりなし」
3.「本来の一般入試」 (「確約なし」)
①加点あり
②加点なし
Ⅱ.「都立高校一般入試」
(その他に国立大学附属高や高専などの入試もあります。)
次回、それぞれの入試スタイルを詳しくみていきます。
(ivy 松村)