都立高校入試の「漢字」①

本年度の都立高校入試の国語では、以下のような出題がありました。

 

大問1(漢字の読み)

 

(1) 役者の真に迫った演技が喝采を浴びる。(かっさい)

(2) 教室かららかな笑い声が聞こえてくる。(ほが)

(3) 新緑の渓谷を眺めながら川下りを楽しむ。(けいこく)

(4) キンモクセイの香りがう公園を散策する。(ただよ)

(5) 著名な画家の生誕を記念する展覧会がされる。(もよお)

 

大問2(漢字の書き)

 

(1) 古都を巡る計画をメンミツに立てる。(綿密)

(2) 道路をカクチョウして渋滞を解消する。(拡張)

(3) 幼い子が公園のテツボウにぶら下がって遊ぶ。(鉄棒)

(4) 吹奏楽部の定期演奏会が盛況のうちに幕をじる。(閉じる)

(5) 日ごとに秋が深まり、各地から紅葉の便りがトドく。(届く)

 

 

よく知られているように、都立入試の国語の漢字は、過去に出題されたものが再度出されることがあります。

そこで、平成に実施された31回の都立高校入試(共通問題)の国語の試験で出題された漢字を調べてみました。

 

 

 

大問1(漢字の読み)

 

(1) 喝采(かっさい)

(2) らか(ほが)……H11 大問1 (5)

(3) 渓谷(けいこく)……H17 大問1  (2)、H9 大問1 (4)

(4) (ただよ)う……H12 大問1 (3)、H1 大問1 (1)

(5) される(もよお)

 

大問2(漢字の書き)

 

(1) メンミツ(綿密)

(2) カクチョウ(拡張)

(3) テツボウ(鉄棒)……H7 大問2 (5)

(4) じる(閉)

(5) トドく(届く)……H3 大問2 (4)

 

 

5題。再出題の頻度が高いことがわかります。

 

その他、大問1 (5)の「催す」という語ですが、「出題文」によく出てきます。

 

例えば:

 

・H17 大問2 (4) 校舎の落成を祝ってシキテンが催ざれる。

・H7 大問2 (4) 公会堂の落成をイワって、演奏会が催される。

・H3 大問2 (2) 恩師をマネいて、同窓会を催す。

 

 

問題は、太字のカタカナの部分ですが、問題文に「催す」が使われています。

 

 

ところで、本年度の大問1 (3)の問題文ですが、H9の問題と比べてみると、かなり似かよっています。

 

 

・H31 大問1 (3) 新緑の渓谷を眺めながら川下りを楽しむ。

・H9 大問1 (4) 美しい渓谷を眺めながら、川を舟で下る。

 

 

おそらく、「過去問」を参考にして、作問されたのでしょう。

 

同じような例を探してみました。

 

 

 

・H28大問1 (2)  氷上の華麗な舞に拍手が沸き起こる。

・H21大問1 (4)  氷上の華麗な舞いに、観客の拍手が起こる。

 

・H28 大問1 (4) 地域を循環するバスが満開の桜並木を走る。

・H18 大問1 (3) 街を循環するバスが新緑の並木道を走る。

 

・H28 大問1 (5) プランターで栽培したトマトが赤く色づく。

・H18 大問1 (5) 心を込めて栽培したトマトが赤く色づく。

・H8 大問1 (2) 栽培しているトマトが色づく。

 

・H27 大問2 (1) 体力テストで、ハンドボールをげる。

・H18 大問1 (1) 体力測定で、ハンドボールをげる。

 

・H23 大問2 (3) この春、新しい科学雑誌が創刊される。

・H2 大問2 (5) この春、新しい文芸雑誌が創刊される。

 

・H16 大問1 (5) 卒業アルバムを見ながら、なつかしい思い出にる。

・H5 大問1 (4) 卒業も問近になって、二年問の思い出にる。

 

 

 

それから、過去の「読み」の問題を「書き」の問題に「再利用」したものもあります。

また、文中の「別の漢字」を問題にするという「応用」もあります。

 

 

・H27大問2 (2)  バスのシャソウから新緑の山々を眺める。(書きの問題)

・H20大問1 (4) バスの車窓から雪をいただく山々を望む。(読みの問題)

 

・H28 大問1 (1) 額の汗をいながら、山道を歩く。

・H7 大問2 (3) ヒタイの汗をぬぐいながら、山頂を目指す。

 

・H17 大問2 (4) 校舎の落成を祝って、シキテンが催される。

・H7 大問2 (4) 公会堂の落成をイワって、演奏会が催される。

 

・H28 大問2 (3) 外国へ行くために、リョケンの発行を申請する。

・H22 大問2 (1) 海外に行くために、リョケンを申請する。

・H17 大問1 (5) 海外旅行のために、旅券の発行を申請する。

 

 

 

当然、「完全コピー」もあります

 

 

・H30 大問1 (5) 忙しさにれて、妹に頼まれた買い物を忘れる。

・H10 大問1 (5) 忙しさにれて、妹に頼まれた買い物を忘れる。

 

・H29大問1 (2)  垣根をてて、梅の香が漂ってくる。

・H5 大問1 (3)  垣根をてて、梅の香が漂ってくる。

 

・H23 大問2 (2) 庭のかきの実が、赤くジュクしてきた。

・H13 大問2 (1) 庭のかきの実が、赤くジュクしてきた。

 

・H22 大問2 (3) 料理のザッシを見ながら、夕食の献立を考える。

・H14 大問2 (3) 料理のザッシを見ながら夕食の献立を考える。

 

・H22 大問1 (5) 三年間の学校生活をみて、卒業文集の原稿を書く。

・H13 大問1 (5) 三年間の学校生活をみて、卒業文集の原稿を書く。

 

 

 

漢字の問題の「出題パターン」は、5とおりあります。

 

①出題文も問題もほぼ同じ。

②出題文が少し違う。問題は同じ。

③出題文はほぼ同じ。問題は違う箇所。

④出題文は違う。問題は同じ。

⑤出題文は違う。問題も違う。

 

 

①~③は「過去問」を参照して作問されています。

④は、たまたま同じ問題になってしまったのかもしれません。しかし、「過去問」を踏まえた出題だった可能性もあります。

 

 

 

できるかぎり過去問をやったほうがいいという話です。

都立の三十数年分の漢字の問題を解かせた受験生たちは、漢字で点数を落としませんでした。

 

 

 

で、まあ、話のついでに一応ちょっと書いておこうと思うのですが、希少な古い「過去問」を手に入れて利用することを「ズル」だと思う人は、「理性的な思考が苦手」なのだろうと思います。

 

 

私は、「それ」を使うことが塾の人間の「道義」であると確信しています。

 

 

 

 (ivy 松村)

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