私立高特進クラス(高校受験考察④)

石原都政下での都立高校改革や、高校無償化の追い風を受けて、都立上位高校は、進学校としての地位と機能を有するようになりました。つまり、「ブランド校」化したのです。

近年では、高校受験の中心の地位を築いています。

 

一方、一部の私立校は、生徒の「囲い込み」を行い、大学受験に向けた「指導体制」を整えようと、一貫校への再編を加速させました。そのために、中学受験に特化する方向へ動きました。

 

 

こうして、お互いの「棲み分け」が固まりつつあります。

 

しかし、この流れについていけない私立高校がやがて出てくるでしょう。

 

 

 

中等教育課程には、3本の太いレールが敷かれつつあります。

 

・大学まで「エスカレーター」の私立名門大学の附属校

・6年間の中高一貫校

・3年間の中学校+3年間の高等学校

 

このいずれかのレールの中心にいなければ、衰退を免れることはできません。

 

 

 

現代の教育行政・制度・産業・・・は、「少子化」への対応という究極的な「命題」を突きつけられています。

 

生徒募集は、私立の学校(や塾)にとっては死活に直結する問題です。

経営のためには、学校側が要求する学力に届いていない生徒を入学させることも必要になってきます。

 

 

中学受験は、特に中位・中堅校以下で易化しています。

それは、中学受験の間口が広がった後に、景気の悪化によって志願者が減少し、競争が緩和されたことが要因として挙げられます。

 

2000年の後半くらいまでは空前の中受ブームと呼べるほど、首都圏では中学受験者数が増加しましたが、リーマンショック以降、急激に「中学受験人口」は減少しているというデータがあります。

 

実際に、数年前までは5・6年生でしっかり受験勉強しなければ入ることができないレベルだった中学に、受験勉強をほとんどしていないで合格した生徒を何人も知っています。

 

「私立に行きたい!」と思ったら、取りあえず受験してみれば、それなりに名の知れた中学に合格できるという状況になってきています。

 

 

少子化が進行する中で、学力上位層は都立高校に流れ、私立志向の生徒は上位層だけでなく、中堅層・下位層までが中学受験に奪われているということになります。

 

つまり、私立高校のニーズが下落しているのです。

 

 

そのあおりを受けて、急速に私立高校の二極化が進んでいます。

 

もちろん、これまでにも、「エリート校」、「ブランド校」と呼ばれる高校が人気を集める一方で、「底辺校」、「低ランク校」などと呼ばれる高校がありました。「あまり評判の良くない高校」というのはどの地域にも存在していましたが、そうした高校は、地域の中で社会的な役割を担ってきました。

 

しかし、これからの少子化の時代において、評価の低い高校の意味合いは大きく違ってきます。淘汰される対象となるのです。

世の中に子供があふれていて、待っていれば受験に来てくれる時代は終わってしまったのです。

 

「底辺校」は淘汰され、中堅校は「底辺」へと移行させられていくのです。

 

 

 

多くの中堅校が、「進学校」に変身しようと努力をはじめています。

 

最も大きな流れは、『特進』の設置です。

選抜された少人数の「特別クラス」や「選抜クラス」を鍛えて大学合格実績を積み上げ、高校の地位やブランド力を高めようという戦略です。

 

予備校の衛星授業を取り入れたり、予備校の講師を招聘して授業を行ったりしている高校もあるそうです。

 

 

大学への進学を考えている生徒にとって、こうした『特進』は、都立高校進学の代替校、あるいは併願校としてとして考慮の対象となりはじめています。

都立のトップ校と、こうした新興の『特進』の高校を併願する受験生もかなりいると聞きます。

 

塾の教師としては、「偏差値ランキング」などで、実感以上の上位にランクされているのを見ると、感嘆よりも先に、不思議な気持ちになります。

「いろいろ頑張っていらっしゃるのだろうな」と思ってしまいます。

 

 

伝聞ながら、ちょっと気になる情報がありました。ある高校の『特進』は、「指定校推薦」が受けられないのだそうです。

 

それを聞いたときは、なるほど、と思いました。しっかり大学受験指導を受けた『特進』の生徒たちには「実戦」で成果をあげてもらい、それにプラスして、『普通』のクラスに指定校推薦を出せば、合格実績を底上げできるというわけです。

 

あり得る話だな、と思いました。

 

 

 

大学附属高ではない私立高校のいくつかは、「単独」の3年間の高校として、大学受験指導という機能を先鋭化することで、ブランド価値を高め、生き残ろうとしています。

そのために、『特進』という「売り」を作り出し、生徒を集めています。

 

かつて、学力上位層の受け皿となった私立進学高が高校募集をしなくなりつつある今、『特進』という波が、都立トップ校を蹴ってでも行きたいと思えるほどの魅力ある選択肢になってくれば、受験生にとっても本当に意義のあることだと思います。

 

 

 

 

ちなみに、大学の名前を冠していても、「上の大学」への進学率があまり高くない高校があります。こうしたいくつかの高校は、どちらかといえば「進学校」として運営されています。

 

 

例:ICU(3割ほどがICUに進学)、帝京大学高校、日大二高、国学院久我山、拓大一高、桜美林、東京電機、など

 

このうち、「単独」の高校は、ICUと拓大一高です。

 

 

(ivy 松村)

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