平成27年度都立高校入試のリスニング③

本年度の都立高校入試、英語のリスニング問題、大問1の「問題B」をみてみましょう。

 

 

平成27年度、「Q1」(正答率?%):

Q1:What are the students studying about?

A:Life in the sea near Tokyo.

 

この問題は、以下の部分に注目することで、解答することができます。

 

They are members of the Science Club of a high school in Tokyo and studying about life in the sea near Tokyo.

 

本年度は、「ラジオニュース」が流されましたが、インタビューなども挿入されたために、内容の把握は非常に難しかったようです。

 

この問題では、「they」=「the students」であることをつかまなければなりません。

「they are」と「studying」が離れているので、構文をつかみ切れなかった生徒も多かったと思います。

 

放送の序盤で、海を清掃する内容が述べられます。そのため、受験生は反射的に「ボランティア活動」に関連した設問を意識してしまいます。

当然、そうした予断は、解答を導くための障害になります。

 

そして、「life」の意味を「生物」ではなく、「生活」であると限定してしまった生徒は、「清掃」→「海の(中の)生活」について「学ぶ」、という関連が不自然に思えて、解答にたどり着けなかったかもしれません。

 

 

 

平成27年度、「Q2」(正答率?%):

Q2:How long does Tanaka Taro want to keep Fishing?

A:Thirty more years.

 

この問題は、以下の部分に注目することで、解答することができます。

 

He wants to keep fishing for thirty more years.

 

 

問題の形式と解答に使う部分の構造が対応しているので、一見簡単なように思えますが、解答部分の前に、「fifty years」「forty years」という「釣り餌」がちりばめられています。これに反応してしまって、解答が示してある後ろの部分を聞き逃してしまうと、正解することができないかもしれません。

 

また、「thirty years」ではなく、「thirty more years」としたことで、聴き取りの難度が上がっています。

 

さらに、「30」ではなく「13」と聴き取ってしまった受験生もいたかもしれません。

 

 

 

本年度のリスニングの「問題B」は、英文の放送がスタートした後で、英語を聴き、「高校生が海岸を清掃している」という話題をつかまなければなりませんでした。

つまり、状況設定をも「英語で」理解する必要があったのです。

これが、まず難度を高くしました。

 

そして、前半では東京の高校の「科学部(理科部)」の部員、後半では「田中太郎さん」と、ニュースの主体となる存在が入れ替わります。

一部の受験生は、これによって内容がつかみ易くなったかもしれません。

しかし、多くの受験生にとっては、扱う情報が増え、より難度が上がってしまいました。

 

そのうえ、上記のように、設問自体に高度な聞き取りが要求されたため、非常に難しい問題として受験生に立ちはだかることとなりました。

 

 

 

 

 

さらに、参考として、リスニングの「問題B」のなかで、過去の、正答率の低かった問題についてもみてみましょう。

 

 

 

平成26年度、「Q1」(正答率13.6%):

Q1:What will Pat Lewis talk about?

A:His life as a player.

 

この問題は、以下の部分に注目することで、解答することができます。

 

A baseball star is going to come to our city and talk about his life as a player. He is Pat Lewis.

 

 

この年度から、英語の放送を聴くまで、「話題」が何なのかわからないという新しい形式になったことでとまどった受験生もいたようです。

状況設定がわからないので、全くの予期のないままで英語を聴き取らなければなりません。

 

「Pat Lewis」という対象人物の名前は、「トークショー」があるというイベントの告知の後になって示されています。

受験生は、「Pat Lewis」の後ろに解答に使う部分があるという先入観を持ってしまうので、直前に気が付かないのです。

 

この構成は、作為的であるといえるでしょう。

 

 

 

平成26年度、「Q1」(正答率9.1%):

Q1:What time will Pat Lewis start to talk next Saturday?

A:Two in the afternoon.

 

この問題は、以下の部分に注目することで、解答することができます。

 

Pat will talk at Old Big Tree High School next Saturday. He will talk for one hour, from two to three in the afternoon.

 

 

後半で、「one」「two」「three」と数字が立て続けに登場し、受験生を困惑させました。

また、「start」という動詞が使われず、2度目の放送時に、生徒が予期しがちな「o’clock」も使われません。

さらに、「two to three」(トゥー・トゥー・スリー)という音のつながりが示す語を特定することも難しかったかもしれません。

 

この問題は、明らかに、「発音」や「構文」からではなく、「内容」を聴き取ることによって正解に至る能力を求めています。

これは、平均的な学力の中学生にとっては、簡単なことではありません。

作問者は意図的に、正答率を下げようとしていると思われます。

 

 

 

平成25年度、「Q2」(正答率7.9%):

Q2:Why was Kate happy when she took the school trip?

A:Because she saw old Tokyo.

 

この問題は、以下の部分に注目することで、解答することができます。

 

I was very happy because I saw old Tokyo. The trip was very exciting for me.

 

 

この問題の文章は、留学生のKateのスピーチであることが知らされています。

ですから、「I」=「Kate」であることを念頭に聴き取りを行います。

 

この問題に受験生が苦戦してしまうのは、この質問の形式だと、2回目の放送時でも、「when I took the school trip」というフレーズを探してしまうからです。

 

また、「the school trip」という大きなヒントとなる語の現れる部分と、解答に使われる部分が離れすぎていることで、特定が難しくなっているようです。

 

 

 

平成22年度、「Q2」(正答率11.1%):

Q2:What is going to use one of Nancy’s new songs?

A:A Japanese movie.

 

この問題は、以下の部分に注目することで、解答することができます。

 

In the concerts, I’m going to sing some new songs. A Japanese movie is going to use one of them.

 

多くの受験生は、whatで聞かれたときに、反射的に目的語(や補語)に解答を求めてしまいます。

つまり、2回目の放送でも、「… is going to use ~ 」の「~」を聞き取ろうとしてしまうのです。そして、「them」の内容が解答であると考えてしまいます。

 

リスニングテストにおいては、代名詞が出てきたときに処理が困難になることも統計的に確認できます。

この問題の場合、「one of them」となっている部分を「one of Nancy’s new songs」と特定することができずに、正解にたどり着けなくなってしまうのです。

 

 

 

 

本年度の入試問題や、その他の情報を分析することで、来年度の入試問題の輪郭がおぼろげながらに見えてきます。

「まともな」学習塾は、それをもとに、一年間の指導内容を練り、実践することになります。

 

 

ところで、どんな入試問題が出てきても大丈夫な本物の学力を身につけさせる!…というような豪語を放ち、入試問題分析を疎かにする塾の人がいたら、ちょっと痛いです。

その人に教わっている生徒は、みんな上位校に進学するのでしょうか。

 

 

入試問題の分析が、塾の教師の本質的な任務です。

 

それをパッケージにして、生徒に伝達することが、私たちの仕事の中心です。

 

 

(ivy 松村)

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