1学期、期末テストのラプソディ②

日野のある中学校の中1国語で出た問題は、ちょっと議論になるかもしれません。

 

文法問題で、主語を特定する問題が何問か出されました。

主語が省略されている場合には×を書き入れなさい、という指示がなされています。

 

その中のひとつに

 

「何だこの車!」

 

という文がありました。

 

後で生徒にきいたのですが、テレビCMのフレーズなのだそうです。

(私はテレビを全く見ないので、流行に疎いのです。)

作問された先生のユーモアがあらわれていると思います。

 

生徒は「×」を書き入れたのですが、正解は「車」だということです。

 

先生の説明の通り、この文は倒置文であると解釈できます。

 

そのうえで、「車」という名詞が主語の役割を果たすには、助詞が必要です。

もし、「車は」というように「は」が付けられているのであれば、これを主語であるとみなすことができます。

しかし、この文では、「車」が主語であることを示すべき助詞が省略されてしまっているので、明確に「車」が主語であるとは言い切れません。

 

必ず主語を書き入れなければならないとしたら「車」を指定するしかありませんが、「×」という選択肢がある以上、私もやはり「×」を選ぶと思います。

 

たとえば、この文の場合、「何だこの車の色は!」という原形があって、そのうちの「の色は」が省略されているととらえることもできます。

そうすると、「車」は主語であるとはいえなくなります。

 

 

日本語は、助詞という「機能語」の働きによって、名詞の「格」を決定する「膠着語」というタイプの言語です。

「格」とは、簡単にいえば、文の中での名詞の役割のことであり、主語も「格」の一種です。

 

日本語が助詞の存在によって主語を表示する言語であるということは、逆にいえば、助詞がなければ主語かどうかは判断できないということなのです。

 

もちろん、口語では、助詞は頻繁に省略され、その際には私たちは文脈で「格」を判断します。しかし、これは国語の文法問題なのですから、「厳密な文」が用いられなければならなかったのではないかと思います。

 

(ちょっと混乱させてしまうかもしれませんが、補足しておきます。「は」という助詞は、主語を示すことが多いので「格助詞」だと勘違いしやすいのですが、実は「副助詞」です。このあたりの説明は、知れば知るほど複雑になります。)

 

 

ちなみに、現代英語は「孤立語」というタイプの言語で、「語順」で格を示します。

そのため、語順を操作することができず、倒置を自由に行えません。

だから、英語の文法問題で「整序(並べ替え)問題」というものが成立するのですね。

 

(言語学などを学んだ人で、英語を「屈折語」だと教わった人もいると思いますが、その特性を考慮すると、現代英語は「孤立語」であるとみなすほかはありません。)

 

 

 

文法問題以外では、この中学の試験問題には良問が多くありました。

登場人物の心情を問う記述問題は核心を突くもので、しかも採点基準がしっかりとしていて信頼できるものでした。全体の作りは非常にていねいで、しっかりと生徒の学力を評価できるものになっていると思いました。

 

 

 

その他、日野の中学校の中1英語の問題で、「象形文字(ヒエログリフ)」「トンパ文字」「英漢字」を答えさせる問題が出ていました。教科書に出ていた内容なので、授業で説明しているのでしょう。多分、「サービス問題」なのだと思います。

 

別の中学では、「英語」のテストで、数ある外国語の中で「英語」を学ぶ意義を述べる記述問題が出されました。

 

 

八王子の中学校の中3英語では、受動態の文を含む3文で、日本文化を紹介させる英作文が出題されました。

当然、都立高校入試を想定されてのことでしょう。

 

一方で、そこまで難度が高くはありませんが、私立高校入試によく出てくる「空欄補充」や「整序」「同意文」なども出題されました。

 

作問をされた先生は、 かなり構成に気を使って作られていると思います。

 

 

 

あらためて、中学の先生方は、手間暇かけて試験問題を作っていらっしゃるのだなと感じました。

 

しかしまた、今回に限りませんが、定期テストの内容が、授業での説明と対応していないものもあって、一生懸命勉強した生徒がちょっとかわいそうに思うこともあります。

また、試験範囲の指示があいまいで、テスト勉強に支障が出た生徒もいます。

あるクラスだけ進度に遅れが出てしまい、解説もないままテストを受けなけばならないこともあります。

 

 

なかには、塾でテスト対策しても点数を取れない問題を作る、と宣言する先生もいらっしゃるようです。実際の問題を見ると、「それほど」ではなくてホッとしましたが、ちょっと考え方、見方を変えていただけると、うれしく思います。

塾で勉強を教わることは「ずる」ではありません。

大事なのは、本質的な学力を身につけた生徒に、正当な評価が与えられることです。

それこそが、公正な教育というものではないかと思います。

 

私は、塾は、学校の「敵」として存在するのではなく、学校の勉強を「補完」する役割を担っているのだと思っています。

一人の生徒が、「正統」な学力を身につけて成長していけるのであれば、塾で学ぼうと、親に教わろうと、通信教育で勉強しようと問題ないと思っています。

 

 

とはいうものの、教育に対する考え方や実践方法は、人によって千差万別ですから、なかなか大変です。だからこそ、定期テストの度に、さまざまな問題が生み出されるのでしょう。

 

 

 

「定期テスト対策」と一口に言いますが、中学の先生の指導方針によっては、教材会社の「ワーク」をやるだけでは対応できない場合もけっこうあります。塾の方でも、いろいろ試行錯誤が必要だと思っています。今後も、腰を据えて指導していきたいと思います。

 

 

生徒たちがどんな問題に挑み、何に直面し、何に困惑しているのか、やはり実際のテストを見なければわからないものですよね。

生徒が「どんな問題を正解し、どんな問題を間違えたのか」を知らないまま、ただ得点だけを聞き取って、一喜一憂することのないようにしたいですね。

 

 

(ivy 松村)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。