都立中受検の私立併願について①

中学受験における都立中の存在感が年々大きくなっていることを感じます。

国私立か、都立かという初期の二極状態が崩れ、私立中と都立中の併願戦略が活発化、一般化しつつあります。

 

昨年度、「適性検査型入試」を行った首都圏の私立中学は40校以上にのぼるそうです。これらの私立は、「適性検査型入試」を実施することで、都立中の志願者を自校の受験者に取り込もうとしているのです。

 

都立中志願者にとっても、私立中の併願受験は一定のメリットがあると考えられています。

私立中の「適性検査型入試」は2月3日よりも前に集中していますが、これは2月3日に実施される都立中入試の「予行演習」「調整」としての位置づけを、私立中学側が受け入れているためです。

 

私立中学側には2つのメリットが期待できそうです。

ひとつは受験料収入です。私立学校は、授業料、寄付、受験料が収入の柱となります。

 

もうひとつは入学する生徒の確保とレベルアップです。

都立中受検の動機として公立中学への拒否感を強く持っている生徒・保護者の方が多くいます。都立中入試は非常に「間口」が狭いので、優秀な生徒であっても厳しい結果となることがあります。そのなかで、公立中学に行くよりは・・・という選択があり得るのです。いくつかの中学では、「適性検査型入試」の合格者の多くに「特待生」や「奨学生」としての「権利」を出しています。

私立中学側は、6年後の大学入試での「活躍」を期待しているのです。

 

「授業料」が「免除」されるのであれば、公立中学よりも魅力的な進路に思えるので、最初は行くつもりもなかった「併願私立中学」に入学する生徒・保護者の方も意外なほど多くいます。

 

個人的な実感としては、その中の何人かは、高校受験で、偏差値でいえば約20ポイント近くレベルが上の、最上位校を狙えるだけの力を持っているのに、かなり不当な「譲歩」をしてしまっているように思います。

 

これには、塾側が併願を勧めるという状況があるのかもしれません。

私立中学が、学習塾に、「どうぞよろしく」とあいさつをされているのかもしれません。

 

 

 

いずれにしても、いまだに「無理を承知」で都立中を受検する層が多いと考えるのは、ちょっと現実離れしています。ましてや、私立中学との併願受験ができないということはありえません。

 

少し情報を集めればわかることですが、都立中の倍率は下がっています。

一方で、ほとんどの受検生は塾に通って受検勉強を行うようになっています。

そのために、ほとんどの受検生は、私立中受験と相違ないほどの塾費用と、通塾日数を費やしています。

 

 

 

塾、都立中学、私立中学、生徒・保護者、それぞれの思惑を反映して、都立中受検は進化しています。

最前線のトレンドは、私立中受験との「ボーダレス化」であるといえます。

ただし、これは大きな皮肉をはらんでいます。

当初、「都立中受検」は私立中受験との「差別化」をブランド化の基礎としていたのですから。

 

 

めぐりめぐって、「都立中受検」は、私立中との併願戦略を模索するようになりました。

 

これは、「受験」という事象を、形を変えた「投資」であると考えると理解しやすくなります。

 

運を天にまかせて、自分の持つ資金のすべてを費やし、たったひとつの銘柄のみを購入する投資家は極めてまれです。多くの投資家は、「リスクヘッジ」を考えます。つまり、一般的には、投資家は、集中的な損失を回避するために、投資を分散して行うのです。

 

都立中をたった一校のみを受検することは、「リスク」の高いチャレンジになります。

しかも、倍率が高く、問題傾向も不安定な入試ですので、極めて「ギャンブル」に近似する挑戦となります。

 

「私立中併願」は、「リスクヘッジ」として機能します。

 

 

また、一方で、「キャンブル」的傾向ゆえに、都立中受検が「過熱」します。その需要に反応して、塾産業が様々な受検対策の「サービス」を提供しています。

ほんの五年前には、「都立中受検コース」の毎月の授業料は、週1回通塾で月1万円前後でした。

しかし今は、塾によっては、週に3、4日通塾し、3万円以上の授業料のところもあるようです。さらに「オプション講座」を含めると、月に5万円近くになりそうです。

 

そこまで「投資」して、経済的であるという理由で都立中を目指すのは、ちょっと本末転倒なのではないかと感じてしまいます。

さらにもし、私立中への進学も選択肢としてありえるのであれば、なおさら・・・。

 

 

経済心理学の用語で「サンクコスト・バイアス」というものがあります。

 

すでに投資した費用が回収できなくなっているのに「損切り」ができずに、不利な状態を引きずってしまう心理のことをいいます。

わかりやすくいうと、「これだけお金を使ったのだから、今更やめられない、やめてしまうと、今までの費用が無駄になってしまう」という思考のことです。

 

多分に、受験生の保護者の方はこの心理に陥りやすいので注意が必要です。

 

 

 

ivyの都立中受検コースは、かなり明解なコンセプトとなっています。

都立中受検は、高校受験の「準備」という位置づけです。

 

詳しくは過去にブログに書きました。興味のある方はご覧ください。

 

都立中受検の意義

 

(ivy 松村)

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