受験校を増やすこと

2月12日の入試について、私自身が考えていることについて書きます。

 

以下は、受験生やそのご家庭と面談をする中で、私自身が新たに考えたことや思い直したことなどをまとめたものです。大部分は面談などでお話しした内容になるかと思ます。これは、1つの意見として参考にしていただきたいと思い、掲載するものであって、主張を言い立てようとするものではありません。

自分はこういう考え方をしているのだなあ、と気付いた点があったわけです。

 

 

2月12日の入試は、ちょっと悩ましい問題です。

 

 

2月10日は「本命」候補の高校が集中しています。

2月11日も目ぼしい高校が並んでいます。

 

もちろん、12日にも慶應義塾、明明、青学、明中、國學院久我山、明学東村山といった主要校の入試が行われます。

 

これらの高校を「本命」とする受験生は、この日に照準を合わせて受験に挑みます。

しかし、10日、11日に重心のある受験生は、さらに3日目にも「勝負」をかけるべきなのか躊躇してしまうでしょうことでしょう。

 

一般的には、たくさんの高校を受験すればするほど、それだけ「負担」が大きくなると考えられています。

10日にA高、11日にB高、13日にC高を受験する予定を持った生徒が、「空いているから丁度いい」といって、12日にD高の受験を決断するのは、やはり、なかなか大変なことに違いありません。

 

費用の面からいっても時間の面からいっても、大きな「負担」になってしまいます。

また、「労力」の面での「負担」を危惧する人もいるにちがいありません。

 

 

 

たとえば、受験生が受験勉強に費やすことができる精神的、肉体的な労力の総和を10として考えてみます。

 

ひとつのモデルケースとして、3校だけの受験をする場合、第一志望のA高に5の労力を割き、第二志望のB高に2、第三志望のC高に1、そして、総合的な対策に2の労力を費やす、というような「労力の配分」が考えられるでしょう。

 

こうした「配分」は受験生によってさまざまですが、持てる力が10なのであれば、その10の力をより有効に活用するしかありません。もし、使える「労力」を増量できるのであれば、最初からそうします。

 

ここに、さらにもう1校、受験校を増やしてD高を受験するとなると、「労力の配分」を変えなければ、D高の入試対策を行うことができなくなります。そうであるならば、他の志望順位の高い受験校の入試対策を行う「労力」を「削る」ことが必要になります。それには、あまりにも大きな勇気が必要になります。

 

すでにC高を「おさえ」として受験パターンに組みこんでいる場合には、C高よりも低いランクの高校の受験を追加するメリットは一切ありません。

また、第二志望のB高と同等のランクの高校であっても、受験を決断する動機とはなり得ないでしょう。

ですから、受験校を増やす場合には、A~Bの間のランクの高校を選ぶことが定石になります。

 

つまり、受験校を増やすかどうかという問題は、多くの場合、高ランクに位置づけられる「チャレンジ校」の受験を既存のラインナップに加えるかどうか、という葛藤に帰結することになります。

 

そうなると、「労力の配分」の問題はよりいっそう深刻化します。

決して合格の可能性の高くない入試を追加するために、他の志望校の入試に費やす「労力」を削らなければならなくなるからです。主観的にはそれは、優先的に選んだはずの他の志望校の可能性を低下させることになるととらえられるはずです。

 

 

 

しかし、上記のような考えには、あるひとつの視点が抜けているように思います。

つまり、受験全体では「1つの合格だけあればよい」ということです。いい換えるならば、「入学するのは結局1校だけである」ということです。

 

受験校すべてに合格すれば、もちろん痛快なことではあるでしょうが、その必要はないのです。

変ないいかたになりますが、「入学するのに納得のいく高校」のうち、どれか1校に合格すれば、それで充分であるという考えもできるわけです。

 

そう考えると、受験校を増やすメリットが見えてきます。

 

すべての受験校に合格しなければならないのだとすれば、確かに、受験する高校の数は少ない方がいいでしょう。しかし、いくつかの受験校のうち、どれか1校に受かればよいと考えるのならば、数多く受験するほうが、その可能性を高めることになります。

 

 

 

不謹慎であることを承知のうえで申し上げるのですが、受験には、多分に「ギャンブル」の側面があります。これは、隠しようのない事実です。

 

「下手な鉄砲も・・・」というようなことわざもありますが、「数」というものも受験の構成を考えるうえで外すことのできない「要素」なのです。

 

 

大学受験や中学受験の一部では、できる限り多くの数の受験をするような受験生が毎年います。たとえば、私立大学の受験では、絶対に○○大学に行きたいと考える受験生が、学部や入試内容を問わず、できる限りの数の出願をするような受験パターンがあり得るわけです。

中学受験でも、「午後入試」や「ダブル出願」なども含めて、ほんの数日の受験期間に7,8校の出願をすることはそれほど珍しいことではありません。

 

 

こうした例はどちらかといえば特殊なものであり、決してお勧めするわけではありませんが、「数」が多いということが、必ずしも不利になるというわけではないということをお伝えしたいと思うのです。

 

 

「労力の配分」という問題に関しては、以下のような対応がセオリーであると考えます。

すなわち、受験パターンの「メイン」の戦略は据え置き、追加する受験には極力「労力」を割かないようにする、というものです。

 

追加する受験は、いわば「オプション」のような位置づけになります。

別のいいかたをするならば、「メイン」に対する「サブ」の受験であるということです。

 

スポーツなどで試合が「苦しい展開」になったときに、逆転をねらって投入される「切り札」や「スーパーサブ」のような存在といえるかもしれません。

本来なら、基本の戦略で勝ち切ればいいわけですが、厳しい状況になったときに備えて、まだ挽回が可能な「奥の手」を用意しておこうというのが、「追加の受験」の意味づけになるかと思います。

ですから、「追加の受験」は、ある意味で、頼らないで済むのならそれが一番いい、というものになると思います。

(ただ、やはり、まったく何も対策をしないわけにはいきませんから、現実的には、2,3年分の過去問を解き、また、必要に応じて対策を講じることにはなると思います。)

 

 

 

入試というものをどのように「定義」するかによって、「12日の意味」が変わってくるのだろうと思います。

 

 

塾は、入試を「チャレンジの機会」であるととらえています。

 

当たり前の話ですが、入試が行われていない高校に進学することは不可能です。

高校からの募集をしていない学校には、どれほどの学力を有していても入れないわけです。また、都外の公立高校に進学することはできません。

 

都内の中学生を対象に高校入試を行っている高校であっても、そのほとんどの高校は、チャレンジすることさえできません。

首都圏には多くの高校が存在していますが、受験できるのはたった数校です。

 

同じ日に入試を行っている高校の中からは、たった1校しか受けられないのです。

 

こう考えると「ドキッ」としないでしょうか?

 

何百校と存在する首都圏の高校の中で、受験可能な高校は、ほんの数校だけなのです。

「チャレンジの機会」は、ものすごく限られているのです。

 

 

 

私自身は、上記のような考えを持っていますが、もちろん、受験に対する考え方、とらえ方には多様なものがあり、どれが正解ということはないと思います。

 

 

中学校の先生の中には、たくさん受けて、全部不合格になってしまったら、精神的なショックがあるから受験校を減らしてはどうか、という方がいるそうです。

世の中には、そういう生徒もいるのだろうと思いますが、少し違和感を覚えます。

「ショック」となるのは不合格が「多くなるから」でしょうか。

たった1校だけの受験であったら、その分「ショック」は和らぐのでしょうか。

いや、そういう人もいるのでしょう。そういう人は、やはり、たくさん受験するのは控えたほうがいいと思います。

 

また、3日も4日も連続で入試を受けるのは、大変だ、と感じる人もいるかもしれません。

たしかに、そういう人もいると思います。そういう人は、やはり体力や精神面を考慮して受験を組み立てる必要があると思います。

しかし、一般的な進学塾に通っている生徒であれば、むしろ、連日10時間以上勉強する夏期講習や冬期講習の方が大変なくらいだと思うかもしれません。

 

 

いずれにしても、受験生全員に合致する絶対の受験パターンは存在し得ないわけですから、それぞれがしっかりと考え抜いて、個人個人の「受験の形」を決めていかなければならないと思います。

 

 

まだ、「決定」まで少し時間があります。

ご相談やお聞きになりたいことがありましたら、校舎の方までご連絡ください。

 

 

(ivy 松村)

 

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