学習塾成長の理由(塾の機能③)

雑誌『都市問題』の2007年5月号で、「学習塾の機能と逆機能」という特集が組まれました(「逆機能」というのは、社会への否定的な作用のことです)。その中の記事で、ジャーナリストの前屋毅さんは学習塾の成長の理由について分析しています。

 

前屋さんは、教育行政の矛盾した方針によって、学習塾が成長してきたのだと述べています。

 

受験をめぐる競争を否定し、緩和させようとする施策が行われる一方で、熾烈な学力の競争を行う大学入試制度が維持されてきました。

 

競争を緩和させようと行われた「改革」の例として、かつて東京都立高校入試で実施された「学校群制度」が挙げられます。さらに、記憶に新しいところでは、「失敗だった」という評価が定着しつつある「ゆとり教育」があります。皮肉なことに、これらの試みはかえって競争を過熱させ、学習塾をさらに成長させることになりました。

 

ある意味で、中学受験、高校受験は、大学入試に向けた工程であるといえます。大学入試において「競争力」が必要なのであれば、それ以前の段階で「競争力」を伸ばしておかなければなりません。「良い大学」に入るために、レベルの高い高校、あるいは中学に合格し、大学受験への道筋をできるだけしっかりと整えておくことが望まれているのです。

 

ですから、大学受験よりも前の受験ステージで、熾烈な競争が行われ、そのための準備がすでに必要とされているはずなのです。

 

しかし、教育行政は、公的には競争意識を希薄化しようとしました。そのため、競争を勝ち抜くための対策を指導する、私的な教育機関のニーズが高まったのです。

つまり、公教育の枠組みの中にいては受験を勝ち抜けないので、学校以外で受験対策を行う学習塾が求められることとなったのです。


(ivy 松村)

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