都立高校志望予定調査の結果をみる①

1月7日に、都立高校の「志望予定調査」の結果が公表されました。

 

これは、東京都の中学校長会が行った、12月14日時点での中3受験生の都立高校の志望状況の調査です。

 

都立高校の「倍率」は、志望予定調査→出願→志願変更→受験者数→合格者数、という「プロセス」にしたがって推移していきます。

今の時点では「参考」程度に留めておくしかありませんが、それでも、今後の受験を占う「きざし」を少しばかり読み解くことができるかもしれません。

 

 

 

このデータに現時点では反映されていない「要素」がいくつかあります。

 

そのひとつは、「推薦入試」です。

このデータは、推薦入試と一般入試を合計した募集人員で倍率を集計しています。

推薦入試の志願状況やその結果は、顕在的あるいは潜在的に、一般入試に影響を及ぼします。

 

さらに、国私立高校入試の結果によって、出願状況に変化が起こります。

私立高校に合格した生徒の、受験の辞退や志願変更によって、都立高校入試の倍率が上下します。

 

そしてまた、この調査自体が、出願先を決定する「判断材料」となるわけです。

この資料に示された各高校の倍率の高低を見て、当初の予定とは違った高校に出願する受験生が一定数いるはずです。

 

 

 

上記のような事柄を考慮する必要があります。

結局、不確定なことが多すぎて、今後の正確な予測は困難です。

 

しかし、このデータは多くの示唆に富んでいます。

少し分析してみた結果を書いてみようと思います。

 

 

 

まず、何よりも本年度の受験生は、出願に「慎重」になっているといえると思います。

 

もっとも大きな理由は、内申点の算出方法が変わったことで、「ボーダー」が読みづらくなっていることです。

そのために、本来の「志望ランク」より1、2段低い高校を申告している受験生が増えているようです。

 

また、特別選考枠が廃止されたことも、「安全志向」に拍車をかける要因になっていると思われます。

 

 

「志願変更」の際に、私立高校入試の結果によって都立トップ高への「差し込み」を行う受験生は一定数出てくると思われます。最終応募の段階で、いくつかの高校は大きく倍率を上昇させるでしょう。

が、全体としては、「安全志向」が、本年度の都立高校入試の色彩となっていくような気がします。

そして、それは今後の都立高校入試の基調となっていくのではないかと思います。

 

 

実は、この「志望校調査」は「倍率」ではなく、「志望予定者数」を見なければいけないデータです。

「倍率」だけを見ていては、データの「内実」は見えてきません。

 

見落としがちなことですが、各高校で「募集人数」にちがいがあります。

ですから、単純な倍率の比較よりも人数の増減を見て、「実際の」志願傾向を確認する必要があります。

 

受験生の志望動向は、人数の変化を比べなければわからないことが多くあります。

 

 

 

進学指導重点校の志望状況を見てみましょう。

 

 

  28年度 27年度    
増減 志望者 募集 倍率 志望者 募集 倍率    
日比谷 -66 288 166 1.73 354 166 2.13    
 -35 241 151 1.60 276 151 1.83    
     
西 -4 265 166 1.60 269 166 1.62    
 -44 166 150 1.11 210 150 1.40    
     
国立 -9 288 166 1.73 297 166 1.79    
 -5 273 150 1.82 278 150 1.85    
     
戸山 -64 318 166 1.92 382 166 2.30    
 -25 258 150 1.72 283 150 1.89    
     
青山 0 312 145 2.15 312 166 1.88    
50 327 132 2.48 277 151 1.83    
         
立川 -65 237 166 1.43 302 166 1.82    
 40 232 150 1.55 192 150 1.28    
     
八王子東 -15 213 166 1.28 228 166 1.37    
 33 220 150 1.47 187 150 1.25    

 

 

 

日比谷高校は男子「-66」女子「-35」と、合わせて100人以上志望予定者を減らしています。

西高は女子「-44」です。

 

国立はそれほど大きな減少になっていません。

昨年度の大学合格実績が堅調であったことが人気の維持につながっているのかも知れません。

 

戸山は男子「-64」女子「-25」とやはり志望者数を大きく減少させています。

 

そして、ここ数年高倍率だった立川の男子は「-65」となっています。

激戦を避けようという受験生が多かったのだと思います。

 

 

 

特に注目したいのは青山高校です。

 

青山は本年度、募集人数を減らしています。

男子は21人、女子は19人、昨年よりも「定員」が少なくなっています。

 

倍率だけを見れば、男子は「1.88」から「2.15」へと上昇していますが、志望予定者数は、昨年とまったく同じ「312」です。

 

青山の女子は、志願予定者が、昨年度よりも50人増えています。

おそらく、本来であれば日比谷、西、戸山をねらいたいと思っている層の受験生が、青山に「流入」していると思います。

 

これは全くの推測ですが、青山の男子も、日比谷などからの「流入」があり、同時に「流出」が起こっているのではないかという気がします。青山高校は、都立トップグループの「流入」と「流出」の「交錯点」に位置しています。

 

データを見る限り、男子の「安全志向」は顕著です。

 

 

7校全体の志望予定者は、男子は昨年度2144人でした。本年度は1921人となっていますので、223人もの志望予定者を減らしています。

それに対し、女子は昨年度、7校合計1703人、本年度1717人です。むしろ増加しています。

 

青山、立川、八王子東の女子の志望予定者が増加しているためです。

 

特に、立川、八王子東の増加の理由が気になります。

その一部は、西高からの「流入」なのだろうと思いますが、それだけでは説明がつきません。

 

立川国際中、南多摩中の、都立中受検の「リベンジ組」の「捲土重来」なのかもしれません。

都立中受検は、女子の受検者が多く、したがって、「リベンジ組」も女子の数が多いわけです。

 

 

 

いずれにしても、この数字はこれから変化していきます。

 

もう少し後になってみないと、今年の志願傾向はわかりません。

 

 

(ivy 松村)

 

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