都立高校の最終応募倍率について

都立高校の「最終応募」の倍率が発表されています。

 

所感などをいくつか書きたいと思います。

 

 

まず、日比谷高校ですが、男子、女子ともに志願変更後に倍率が下がりました。

 

◎日比谷高校

・男子 2.52(-12人)←2.61  ※昨年3.25

・女子 2.23(-19人)←2.39  ※昨年2.40

 

 

日比谷の男子は、例年に比べて低倍率で推移しました。

昨年度の最終応募では、3倍を超える倍率でした。

本年度の日比谷高校の男子は、昨年度の最終応募人数と比べて「-97」となっています。

 

 

私は、日比谷高校の男子の倍率は、本年度はもしかすると上昇するかもしれないと思っていました。

 

まあ、そういった予想をたてること自体は極めて平凡な行為です。

 

しかし、個人的に、痛恨を感じていることがあって、それは、その予想をこのブログに書いてしまったことです。

それは、もしかすると、志願傾向にやや「影響」を与えたかも知れません。

 

 

いずれにしても、都立高校入試における最大の「挑戦」であるといえる、日比谷の受験が強く抑制されているという、本年度の状況です。

 

これは、都立高校受験全体の「安定志向」を象徴しているように感じています。

 

 

 

立川高校は男子、女子ともに志願変更後に倍率が上がりました。

 

◎立川高校

・男子 1.56(+9人)←1.50  ※昨年2.10

・女子 1.54(+6人)←1.49  ※昨年1.46

 

 

立川は、倍率が上昇すると予想していました。

おそらく、多くの関係者がそう考えたでしょう。

 

 

ところで、志願変更の予想をする際に少し注意が必要なことがあります。

それは、「取下げ」「再提出」の増減によって最終応募人数が確定し、倍率が算出されるという当たり前のメカニズムに対する想像力についてです。

 

本年度の立川の男子は、志願変更によって「+9」となりましたが、これは増減の結果として「9人増えた」ということであって、「絶対数」に「9」が「上乗せ」されたわけではありません。

もちろん、頭では分かっているはずのことですが、私たちは「増えた/減った」という結果が示す数字だけにとらわれてしまいがちです。

 

たとえば、昨年度の立川高校の志願変更の前と後の応募人数について、多くの人は「大きな変化がなかった」と感じたことでしょう。

倍率が2倍を超え、激戦となった昨年度の立川の男子の応募人数は、志願変更前の279人の応募が276人へと推移し、志願変更後に「-3」となりました。

 

しかし、その内実は、取下げを行った受験生が28人、再提出を行った受験生が25人おり、応募人数は「印象」よりも大きく増減していたわけです。

その「結果」として「-3」の「微減」となっていたのです。

 

 

私は、本年度の都立高校入試を「安全志向」という「切り口」からとらえようとしているので、増減の数が気になっています。

 

 

 

都立高校入試の「最難関」に位置づけられている、日比谷、西、国立、戸山、青山、八王子東、立川の「G7」(安易なネーミングですが)全体の応募人数の推移をみてみましょう。

 

 

年度 男子(人数) 女子(人数)
28 1884 1554
27 2188 1629
26 2122 1562
25 2098 1551
24 2180 1599

 

 

 

男子は、昨年に比べて「-304」、女子は「-75」人となっています。

 

女子と比較して、本年度の「学力上位層」の男子の受験生が「G7」の受験を回避する傾向にあることが読み取れます。

 

昨年度の「G7」全体の男子の倍率は2.31です。本年度は2.03と、大きく下降しています。

一方、「G7」全体の女子の倍率は昨年度が1.90、本年度は1.85となっています。

 

女子の志願傾向は、男子と比較して、本年度の都立高校入試制度の変更による影響が少ないといえます。

対照的に、男子は「安全志向」の色彩が強くなっていることがうかがえます。

 

 

また、志願変更の前と後では、男子が「-53」、女子が「-78」となっています。

 

 

 

さて、本年度、志願変更による都立の各高校の倍率の変化を見て私がもっとも興味をかきたてられたのは、大泉高校の男子でした。

 

◎大泉高校

・男子 1.90(-6人)←2.10  ※昨年1.74

・女子 1.26(+7人)←1.03  ※昨年1.48

 

 

中学併設校である大泉、富士、白鷗、両国、武蔵の5校は、おおむね予想通りの倍率の推移を示しました。

これらの高校は、応募倍率が低迷していましたが、志願変更後に上昇がみられました。

(そのうちの何人かは、「G7」からの「流入」であると考えられます。)

 

 

昨年度の中学併設校の最終応募時の倍率は、特に男子が高く、富士、白鷗、両国は2倍を超え、武蔵も最終的には1.81倍となりました。

この学校群の男子のなかで、大泉の1.74という倍率は最も低い数値となっていました。

 

本年度は、昨年度の高倍率の反動で、中学併設校全体の高校の募集が低調となりました。

 

去る12月の中学校長会による本年度の都立高校「志望予定調査」で、ほとんどの中学併設校の志望予定者は、募集人数を下回りました。

倍率が「1」を越えたのは、大泉の男子、富士の男子だけでした。この時点で大泉の男子は1.36、富士の男子は1.31です。

(実はこのとき、大泉の男子は中学併設校全体のなかで最も高い倍率になっていました。)

 

 

その後、大泉の男子の倍率は、推薦入試の応募状況をふまえて、意味深い変化を示します。

 

推薦入試の倍率が発表されたときに、まず、大きな驚きがありました。

大泉の男子の倍率が、0.88となっており、「1」を割ってしまっていたのです。

(一方、富士の男子は3.00倍でした。)

 

 

推薦入試における倍率の「インパクト」が大きく作用して、出願時の大泉の男子の倍率は、2.10と大きく上昇します。

 

「今年の大泉の男子は入りやすくなっている」という反射的な判断があったのかもしれません。

 

・推薦入試の倍率0.88 → 一般入試の倍率2.10

 

 

この推移は、なかなか「芸術的」です。

 

本年度の中学併設校の倍率が全体的に低迷していたので、2.10という高倍率もまた、大きな「インパクト」がありました。

 

 

問題は、この倍率の「行末」でした。

この倍率は大きく下がるのか、それとも高止まりするのか。

 

 

大泉に出願した男子の受験生は、自分も、「まわり」も、「倍率を強く意識していることを意識」しています。

自分自身が「そう」であるように、「まわり」も推薦入試の倍率をみて、「ねらい目」だという判断で出願したのだろうと思っているわけです。

 

 

高倍率の入試は、誰にとっても嫌なものです。

しかし、激戦を嫌って志願変更する受験生が多くいれば、最終応募の倍率は下降するはずです。

 

もしかすると、「降りる」か「受ける」かの、「鶏の我慢比べ」が静かに繰り広げられていたのかもしれません。

 

 

結果的に、応募人数は志願変更によって「-6」となり、倍率は1.90となりました。

意外に少ない数字だと感じました。

 

 

本年度の大泉の男子の倍率の推移は、多くの示唆があって、本当に興味深く思いました。

 

 

 

 

ところで、本年度、私は都立高校受験をする生徒を受け持っていません。

ですので、この都立高校の志願傾向分析は、いってみれば道楽のようなものです。

まあ、少なくとも今年に関しては、切実な必要性はないわけです。

 

では、どうしてこのようなものを発信しているのかというと、結局は私が「数寄者」であるからなのだろうとは思いますが、それでも、少しばかりの「善意」があったりするわけです。

 

思慮深い人にとっては、「それなりに価値のある情報」だと思うわけです。

このブログの情報に触れて、考えを深めたり、行動を変えたりする人が、もしかするといるのかもしれないと思ったりするわけです。

 

 

去年、このブログをはじめたばかりの頃、ときに「批判的」な文章を書くことがありました。

たぶん、「あまりよくわかっていない塾」にいらだっていたのですね。

 

アクセス数の解析などをやったことがないので、いったいどのくらいの人がこのブログを読まれているのか見当もつかないのですが、以前から読まれている方がいらっしゃれば、私の「ニュアンス」が変わってきたことに気づいておられるかもしれません。

 

 

本当に「変化」を求めるのであれば、「変化」が訪れるようなやり方をしなければならないのだと、思うようになったのです。

 

 

不遜ないいかたになってしまうかもしれませんが、生徒たちに学んでもらいたいと思うのと同じように、いろいろな人に「受験」のことや「勉強」のことや「塾」のことについて知ってもらいたいと思うわけです。それが、ひとつのモチベーションになっています。

 

 

究極的には、塾の世界に、自分と同じような感性で物事をとらえている人がいるのかどうかを知りたいという希望があります。

 

 

ただ、「志願傾向分析」は、今後どう展開しようか考えているところではありますが。

 

 

(ivy 松村)

 

 

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