平成28年度都立高校入試の社会の問題②

本年度の都立高校入試の社会の「歴史」の解説をします。

 

 

○大問4「歴史」

 

〔問1〕

 

奈良時代の選択肢を選ぶ問題です。

 

ア=弥生時代・・・「稲作」「鉄器」「青銅器」「銅鐸」

イ=鎌倉時代・・・「宋」「道元」「座禅(=禅宗)」

ウ=奈良時代・・・「シルクロード」「聖武天皇」「光明皇后」「東大寺正倉院」

エ=室町時代・・・「明」「倭寇」「足利義満」「勘合」「水墨画」

 

キーワードから、それぞれの時代を特定することができます。

答えは「ウ」になります。

 

この問題の正答率は、かなり高くなると思います。

 

 

〔問2〕

 

伊能忠敬が活躍した時代を特定する問題です。

 

「ア」は、鎌倉時代です。

「イ」は室町~安土桃山時代です。

「ウ」は、安土桃山時代~江戸時代前期です。

「エ」は江戸時代中期~幕末です。

 

伊能忠敬は、江戸時代に精密な日本地図を作製した人物として知られています。

ほとんどの受験生は、答えを「ウ」か「エ」にしぼることができます。

 

年表に登場する新井白石は、5代将軍綱吉と8代将軍吉宗の間の時代に政治を行った人物です。その治世を「正徳の治」といいます。

 

江戸時代に関する「知識」として、綱吉や新井白石は「儒学者」であったということを知っておいたほうがいいでしょう。

その後将軍の座につく吉宗は、儒学に対する「こだわり」が薄かったため、蘭学を認めるという「英断」ができたのだと思います。

 

吉宗以降、蘭学が盛んになります。

 

地図を作成するためには、測量の技術が必要です。そして、伊能忠敬が身につけた測量技術は、ヨーロッパからもたらされたものです。つまり、伊能忠敬は、「蘭学」を学んだ人物であるということになるのです。

 

ですから、この問題の解答は「エ」となります。

 

 

新井白石を知らなくても、「元禄文化」が栄えたのが16世紀後半~17世紀前半であるということは知っておかなければなりません。綱吉の時代です。

(綱吉といえば「生類憐みの令」が有名です。さぞ息苦し時代であっただろうと、思ってしまう人もいるかと思いますが、非常に文化が栄えた時代でした。)

 

選択肢「ウ」は、「安土桃山文化」~「元禄文化」の時代であると読み取ることができます。

 

「化政文化」は江戸時代後期、19世紀のはじめに栄えた文化です。

ですから、選択肢「エ」は、「化政文化」の時代と重なります。

 

伊能忠敬が日本地図を作製したのは、「化政文化」の時期であると知っていれば、その知識から「エ」を選ぶことができます。

 

また、伊能忠敬が作った地図が国外へ持ちだされそうになった「シーボルト事件」を知っている受験生は、伊能忠敬が活躍したのは江戸時代の後半期であることも理解しているはずです。

 

 

それほど難しくもないこの問題の解説に多くの字数を割きました。

都立高校入試の社会の対策として、どのような「勉強方法」が有効なのか、気づく人がいるかもしれないと思ったからです。

 

 

〔問3〕

 

中世の運送業者「馬借」について、資料を用いて説明する「記述問題」です。

 

琵琶湖沿岸の港を拠点としていた「馬借」は、北陸で生産される「物資」を京都などへ運ぶ役割を担っていました。琵琶湖の水運を利用して京都や比叡山に近い「大津」や「坂本」に運ばれた物資を引き上げて、そこから陸路で輸送するのが「馬借」の仕事です。

 

「大津」の馬借に関しては、平成17年の大問4の〔問2〕の選択肢「イ」に記載があります。

 

「延暦寺の門前町としてだけでなく、琵琶湖水運の物資の集散地としても発達し、馬で物資を運ぶ運送業者や酒屋、土倉などの金融業者が多くあつまっていた。」

 

 

この問題に触れたことのある受験生は、有利だったと思います。

 

 

〔問4〕

 

時代順に出来事を並べ替える問題です。

 

ア=明治時代後期・・・「ポーツマス条約」「南満州の鉄道」

イ=昭和時代・・・「所得倍増」「積極的な経済成長策(=高度経済成長)」「東海道新幹線」

ウ=大正時代・・・「普通選挙」「民主主義の風潮」「女性車掌」

エ=明治時代前期・・・「官営工場」「殖産興業」「新橋と横浜間に鉄道」

 

大きなヒントとなるキーワードがちりばめられてあるので、比較的容易に時代を特定できます。

 

 

ところで、私は昨年度の都立高校入試の直前にこのような記事をブログに書いています。

これを読んだことのある受験生は、本年度の大問4の〔問3〕と〔問4〕で、容易に得点できたはずです。

 

都立高校の入試では、中世史では「馬借」などのトピックが、大正時代では「バスの女性車掌」というキーワードが出題される傾向にあるということを指摘しています。

 

一年後に「どんぴしゃ」でした。

 

 

(ivy 松村)

 

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