英語の語順の話①

英語のテストで出題される典型的な問題形式に「語順整序」があります。

いわゆる「並べ替え問題」です。

 

英語の基本語順は:

 

 

「主語」→「動詞」→「目的語」→「場所・時間」

 

 

になります。

 

このうち、「場所・時間」は、強調したいときなどに文頭に置くことができます。

つまり、「倒置」が可能です。

 

しかし、「主語」→「動詞」→「目的語」の語順を動かすことはできません。

語順を変えてしまうと、文意が変わってしまうからです。

 

 

 

例を見ながら考えてみましょう。

 

My sister saw the cat in the park yesterday.

(私の妹は昨日公園でその猫を見た。)

 

この文は、以下のような「倒置」をすることが可能です。

 

In the park my sister saw the cat yesterday.

(公園で私の妹は昨日その猫を見た。)

 

Yesterday my sister saw the cat in the park.

(昨日私の妹は公園でその猫を見た。)

 

 

「時間・場所」などの修飾要素は文頭に置くことができます。

ですから「語順整序」の問題で、答えを「一通り」にするために、文頭や文末が指定されることがあります。

 

 

 

しかし、以下のような語順操作は許容されていません。

「内容」が変わってしまうからです。

 

 

* The cat saw my sister…

(その猫は私の妹を見た・・・)

 

 

元の文の主語は「my sister」ですが、その位置に目的語である「the cat」を入れてしまうと、「the cat」が「主語」であるとみなされてしまいます。

 

英語は、「主語→動詞→目的語」の語順が固定されている言語です。

 

 

 

一方、日本語は、英語よりも「倒置」の許容範囲が広くなっています。

以下のような語順操作が可能です。

 

 

「私の妹は/その猫を/見た。」

 

→「その猫を/私の妹は/見た。」

 

 

日本語は、文末に述語(動詞)を置くというルールがあるのみで、語順を自由に操作できます。

 

以下のすべての文が許容されます。

 

 

「私の妹は昨日公園でその猫を見た。」

「私の妹は昨日その猫を公園で見た。」

 

「私の妹は公園で昨日その猫を見た。」

「私の妹は公園でその猫を昨日見た。」

 

「私の妹はその猫を昨日公園で見た。」

「私の妹はその猫を公園で昨日見た。」

 

「昨日私の妹は公園でその猫を見た。」

「昨日私の妹はその猫を公園で見た。」

 

「昨日公園で私の妹はその猫を見た。」

「昨日公園でその猫を私の妹は見た。」

 

「昨日その猫を公園で私の妹は見た。」

「昨日その猫を私の妹は公園で見た。」

 

「公園で昨日私の妹はその猫を見た。」

「公園で昨日その猫を私の妹は見た。」

 

「公園で私の妹は昨日その猫を見た。」

「公園で私の妹はその猫を昨日見た。」

 

「公園でその猫を私の妹は昨日見た。」

「公園でその猫を昨日私の妹は見た。」

 

「その猫を昨日公園で私の妹は見た。」

「その猫を昨日私の妹は公園で見た。」

 

「その猫を公園で私の妹は昨日見た。」

「その猫を公園で昨日私の妹は見た。」

 

「その猫を私の妹は昨日公園で見た。」

「その猫を私の妹は公園で昨日見た。」

 

 

 

実際には、述語(動詞)を「倒置」することさえ可能です。

語順操作をしても、文意を損なうことはないからです。

 

 

「見た、私の妹は昨日公園でその猫を。」

「私の妹は見た、昨日その猫を公園で。」

「その猫を私の妹は見た、公園で昨日。」

「公園で見た、昨日その猫を私の妹は。」

「昨日その猫を見た、公園で私の妹は。」

 

 

つまり、厳密には、日本語は、ほぼ全ての「要素」を自由に並べ替えることができるのです。

ですから、「日本語の試験」では「語順整序」の設問が成立しません。

 

 

 

なぜ、日本語にそのような自由な「かき混ぜ」が可能なのかといえば、それは日本語に「助詞」があるからです。

 

「私の妹はその猫を見た。」という文の「主語」は「私の妹は」です。

 

(正確には、「私の妹は」は連文節なので、国文法の説明では「主部」になります。)

 

「私の妹は」という語が、「主語」であると認識されるのは「は」という「助詞」が付属しているからです。そのために、文中のどの位置にあっても、この語は「主語」であると見なされるのです。

 

同様に、「その猫を」が「目的語」であると認識されるのは、「を」という「助詞」の働きによるものです。その機能によって、やはり、文中のどの位置にも置くことができるのです。

 

(国文法では、この語は「連用修飾部」であると説明されます。)

 

 

 

英語は、「位置」によって「主語」と「目的語」を認識します。

 

「my sister」が動詞の前に置かれれば、「my sister」が「主語」になり、「the cat」が動詞の前に置かれれば、「the cat」が「主語」になるのです。

 

 

 

日本語は、文の意味を構成するのに「助詞」に依存する言語です。

 

一方、英語は、文の意味を構成するのに「語順」に依存する言語です。

 

 

 

英語を学習するときには、常に「語順」を意識してください。

 

「語順」が言葉の意味を確定するのですから、英語を読み取ろうとするときには、「語順」を踏まえて考えなければならないのです。

 

 

「語順整序」の問題だけについて述べているのではありません。

当たり前のことですが、英語を読解する際に、常に「語順」を分析する必要があるわけです。

 

 

そして、これは本当に重要な指摘になりますが、実は、リスニングが上達するためには、「語順」を意識しながら聞き取らなければならないのです。

 

 

私たちは、リスニングの際に、つい「音」をクリアに聞き取ろうとしてしまいます。

それは、私たちが日本語話者であることと関係しています。

 

日本語を聞き取るとき、私たちは「助詞」によって意味を把握します。

そのために、私たちは、単語に付属している「助詞」が「が」なのか、それとも「を」なのか、あるいは「に」なのか「の」なのか……集中して聞いているのです。

日本語話者には、「音」を頼りにして「発話内容」を理解しようとする習性があるのです。

 

同じようなアプローチで「英語を聞き取ろう」としても、なかなかうまくいきません。

なぜかといえば、英語話者は、日本人に比べて「音」への意識が希薄なので、非常に散漫な「発音」をするからです。

 

(一応念のためにいっておきますが、私は、英語話者が「いいかげん」であるといっているのではありません。それぞれの言語の「相対的な特徴」についての話をしているのです。)

 

 

英語話者にとって重要なのは「音」に加えて「語順」なのです。

彼らは、私たちがルーズだと感じてしまうような「発音」の意味を理解できます。

それは、文の中で、ある「位置」を占拠するべき語がどのようなものなのか、推測しながら聞き取っているからです。

 

「リスニング」といっても、英語話者は、「音」だけを判断材料にして「内容」を飲み込んでいるのではありません。

「語順」という「フレーム」を前提として発話し、また、聞き取っているのです。

 

 

 (ivy 松村)

 

 

 

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