秀吉のこと①

子供の頃、たくさんの伝記を読んだのですが、その中で、もっとも大好きだったのが、「豊臣秀吉」でした。

 

最近思い出したのですが、私は、秀吉が大好きだったのです。

 

 

小学校4年生ごろ、「伝記シリーズ」を読み始めました。その中で一番わくわくさせられたのが、「豊臣秀吉」でした。

 

低い身分の出身でありながら、織田信長という時代の寵児に見い出され、大出世し、やがて天下人にまで上りつめる……その劇的な生涯に、心を躍らせながら夢中で読みました。

 

 

偉人の生涯が描かれる「伝記シリーズ」。何冊も読破したはずなのに、記憶に残っているのは秀吉、ファーブルなど、ほんのわずかです。たぶん、「お仕着せ」の「立派なエピソード」のパターンにうんざりしてしまったのだと思います。

偉人達の「勤勉さ」や「高潔さ」を見習え、というような「教育圧力」丸出しの無粋な巻もたくさんあって、子供心に食傷させられました。

 

 

戦国武将の「伝記」は、魅力的でした。

エジソンやキュリー夫人や野口英世の人生とは違っていました。

なにしろ、「戦場での活躍」が描かれるわけです。

 

 

信長、秀吉、家康と順番に読んでいきました。

信長の巻に登場する秀吉は、緊張感のない態度で周りを冷やかすお調子者だが、いざというときに頼りになる忠実な部下として描かれていました。

 

秀吉の巻では、そんな秀吉の苦悩や意地や願望など、さまざまな内面が描かれていました。

信長とは正反対の、人間味のある青年が型破りの活躍を続け、功をなし、周りをひれ伏させていく姿は、まったく痛快でした。私は、完全に秀吉に魅了されました。

 

家康の巻を読んで、少年の私は本当にショックを受けました。

秀吉が、「悪者」として描かれているのです。「家康の視点」からみれば、秀吉は「小賢しく、見栄っ張りで強欲な小人物」だったのです。

 

 

今にして思えば、それは、非常に大きな経験でした。

「ものごとは、視点が違えば、その対象の評価や価値が変わるのだ」ということを学んだ最初のできごとでした。

 

 

(ivy 松村)

 

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