「入試相談」の話

12月の「三者面談」は、「入試相談」の前に、「推薦」「単願・専願」「併願優遇」などで出願する生徒を確定させるために行うものであるという意味合いが強くあります。

 

「入試相談」の「下準備」として「三者面談」が行われるということになります。また、別のとらえかたをすれば、「三者面談」の「成果」が「入試相談」に結びつくのだともいえます。

 

 

 

中学の「三者面談」は、受験制度をよく知らない保護者・受験生に、その仕組みを丁寧に説明してくれたり、最適な受験校を一緒に考えてくれたりするという「はからい」ではありません。

受験制度をよく知らない受験生に対しては、機械的に「紋切り型」の受験パターンを「割り当てる」ような形になります。先生の立場からしてみれば、相手が「よく知らない」のだから、そうするしかないのです。

 

 

「三者面談」に際して、中学校の先生が最優先に考えるのは、生徒を確実に高校に進学させるということです。

 

中学の先生にとって、「三者面談」は、受験校の選定というよりも、「進学先の確保」という意味合いの方が大きいのです。

 

「三者面談」で、「合格の確約」をもらえる高校を提示し、「受験の意志」を示した生徒に対して「斡旋」を行うわけです。

 

 

要するに、「入試相談」というのは、中学校と高校が、「生徒の受け入れ」について「妥結」をすることであると考えるとわかりやすいと思います。

そして、「三者面談」というのは、実質的に、その「方針」に異議がないことを生徒に確認する場となるわけです。

 

 

中学校は、自校の生徒の進学先を確保したいと思っています。

高校は、多くの「なるべく優秀な」生徒を集めたいと思っています。

 

それで、中学校は、この生徒は「合格の確約」をもらえるのか、というようなことを知りたいわけです。一方、高校は、その生徒の成績を確認したうえで、入学の「約束」を取り付けたいわけです。

 

 

 

「入試相談」は、毎年12月15日以降に行われるということになっています。

 

「そのため」都内の公立中学に通う受験学年の生徒は、「12月15日までに受験校を決定しなければいけない」と言い含められています。

 

 

この説明を「奇妙だ」と気づいた中学生は、なかなか「見る目」があると思います。

 

 

その時点で「推薦」「単願・専願」「併願優遇」等の出願を「決定できる」ということは、そのときまでに「相談」が完了しているはずです。

そうすると、「『その後』の12月15日に相談をする」という「説明」は、よくよく考えてみれば「ちぐはぐ」です。

 

 

そもそも、「入試相談」の「開始」が、すべての私立高校で、12月15日以降にそろえてあるということは、それより前に「入試相談」をしてはならないという「規制」になっているということです。

 

そうすると、12月15日は「規制」が解除される日であって、「締切日」ではないはずです。

 

 

 

実は、高校の入学者募集のスケジュールは、すべて「規制」されています。

入試日も同様に「解禁日」が設定されています。

ですから、都内のあらゆる高校が、同じタイミングで同じ動きをするようになっているわけです。

 

 

それには、「合理的な必要性」もなくはありません。

「教育事業」に、完全な自由競争を導入してしまうと、大きな弊害を招くことがあるからです。

 

「あるタイプ」の私立高校は、なるべく早い段階から生徒を募集し、なるべく早い段階に入学者を確定したいと考えます。「青田買い」を行いたいわけです。

もし「規制」がなければ、各私立高校の競争が過熱し、「入試相談」のタイミングは11月、10月、9月と、どんどん早まっていくことになるでしょう。

 

そうなると、中3の2学期の成績をもとにして「入試相談」をすることができないので、1学期の成績でもよい、といい出す高校も出てくるはずです。

 

教育制度を担う学校教育機関の間で、生徒獲得競争が激化してしまうと、「事業者」にとっても、「利用者」にとっても大きな問題が生じます。

 

私たちの社会では、そのような場合に、行政機関が統制や調停を行ったり、利害関係者の間で調整が行われたりします。

 

 

12月15日というのが、中3の2学期の成績をふまえて「入試相談」を行う上で、中学校と高校が折り合える「絶妙のタイミング」になっているわけです。

 

 

 

さて、「入試相談」の「解禁日」が12月15日となっているということは、12月15日より前に「入試相談」を行ってはならないということです。

 

そうすると、12月15日以降は自由に「入試相談」を行ってよいということになります。

つまり、12月15日は、厳密には「締切日」ではないはずです。

 

 

合理的に思考を働かせれば明らかなことですが、特に、「募集に力を入れたいと考える高校」は、出願の締切直前まで継続して「入試相談」を行いたいはずです。

なるべく多くの生徒の「入試相談」を行って、学力も素行も問題のない生徒が「受験」を希望しているということになれば、受け入れたいと思うはずです。

 

 

では、なぜ、12月15日が「入試相談」の「期限」となっているのでしょうか。

 

答えは単純です。

中学校が、ずるずると「入試相談」を行いたくないからです。

 

中学校の先生は、なるべく「効率的」に中3生の受験校を決定したいと考えます。

 

(念のため:それは、直ちに非難されるようなものではないと思います。極めて人間的で実直な希望であるといえます。私は、学校の先生は、ある種「スーパーマン」だと思っています。膨大な業務を抱え、それを日々こなしておられます。)

 

 

12月15日(以後の数日の間)に「入試相談」を行うということになっているのであれば、そのときに1回行えば十分であるというわけです。何度も何度も行うようなことではないわけです。

 

そして、「入試相談」自体も、できるだけ短時間で終えてしまいたいわけです。だから、12月15日「まで」に「必要な業務」を済ませてしまいたいわけです。

中学校は、12月15日の時点で、あとは高校に出向いて「相談する」という極めて「形式的」な最終業務を残すだけの状態になるように動きます。

 

現在の「入試相談」は、あらかじめ伝えられている「基準」に照らし合わせて、ある程度作業的に受験校を「確定」できるような仕組みになっています。実は 「相談」をする必要も、ほとんどないのです。

「三者面談」をとおして、12月15日「まで」に、そうやって「入試相談への準備」を進めていくわけです。

 

「入試相談」の日には、「受験者のリスト」を手渡すだけの簡素化された業務を行うのみでです。

(実際には、その中身すらも事前にやり取りしているわけですが。)

そこで、お互いが、「規定」となっている12月15日以降に「入試相談」を行った、という「既成事実」を確認するわけです。

 

 

中学校は、「入試相談」を、可能な限り「効率的」に終わらせてしまいます。

「入試相談」は、「解禁」された途端に完了するのです。

そのために、12月15日が「期限」であると説明しているわけです。

 

 

また、そのうえで理解しておかなければならないのは、実質的な「期限」は、実は、「三者面談」の日だということです。

 

 

 

「入試相談」というのは非常にわかりにくい制度です。

 

「入試相談」とは、字面をそのままとらえれば、中学校と高校が「入試」について「相談」をするという「意味合い」になりますが、なにも、両者が膝をつき合わせて「話し合い」を行うわけではありません。

 

 

「入試相談」というものに「実体」はありません。

12月15日以降に、中学と高校の先生が集まって、あれこれ話し合うことなどないのです。

 

むしろ「逆」です。12月15日になったら、何もしないのです。

 

12月15日よりも前にすでに「入試相談」の「実務」は終わっていて、しかも、それは、「相談」というよりも、どちらかというと、「事務的な作業」に近いものなのです。

 

(ivy 松村)

 

 

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