大学浪人生の減少について考える

代ゼミは従来、私立文系の浪人生をおもなターゲットとしていました。90年代半ばごろまでは、私立文系の学生が多くいました。この時期に、代ゼミは多くの受講者を抱え大きく成長しました。

しかし、近年の浪人生の減少によって、代ゼミの経営は苦しくなっていきました。

 

浪人生の減少にはいくつかの大きな流れがあります。ひとつは、少子化が進み大学受験人口の絶対数が減少したことです。

1994年の18歳人口は約205万人でしたが、今年2014年では、約118万人にまで減少しています。受験生の減少は、大学受験指導の需要の低下を意味します。

 

浪人生の減少の要因のもうひとつは、大学の学生収容力が上がったことです。受験者人口は減っているにもかかわらず、大学入学者数は20年前に比べて増えています。

この20年の間、大学の数が増え、さらに既存の各大学も入学者を増やしていきました。特に、首都圏の大学は、郊外へのキャンパスの拡大や建物の増設によって、収容する学生の数を増やしました。

 

受験生の数が減り、合格者が増えたことで競争が緩和されました。浪人をしなくても大学に進学できる時代になったのです。

 

さらに、AO入試や各種の推薦入試など、一般受験ではない現役生対象の選抜方法による入学者の割合が増えました。そのため、予備校を必要としない高校生が多くなったことも一因として挙げられるでしょう。

AO入試が開始された2000年では、一般入試による大学入学者は38万9851人で全体の65.8%でした。推薦入試は31.7%、AO入試は1.4%、その他1.1%でした。

2012年度では、一般入試が56.2%にまで減少しましたが、推薦は34.8%、AO入試は8.5%にまで増加しています。

 

 

 

また、この20年の、社会・経済的な変化によって、現役志向の受験生の割合が増加している点も考える必要があります。

 

 

バブル崩壊後、平成不況を経て、家計の、教育費への支出が厳しくなっています。それが、公立高校、国公立大学に人気が集まる一因となっています。大都市圏から、地方の国公立大学を受験する例も増えています。そして、もはや、浪人を覚悟するような受験のやり方は少なくなっています。浪人には、お金がかかりますから。

 

 

90年代初頭は、バブル経済期と第二次ベビーブーム世代の大学受験期が重なり、浪人がある意味当たり前の状況でした。また、大学の数や、大学が受け入れる学生の数も今ほど多くなかったので、大学受験は激しい争いでした。

 

さらに、世相というか、社会的な雰囲気が「寄り道」や「遠回り」を許していました。当時は、「自分探し」が流行ったり、「夢」を追い求めることがもてはやされたりしました。就職せずにフリーターになることもめずらしいことではありませんでした。つまり、1年、2年浪人したり留年したりすることが人生の大きな遅れになるとは考えられていなかったのです。

 

現在は、堅実で安定した人生を求める傾向が顕著です。若い人は、「ストレート」でライフコースを歩もうとする意識が強くなっています。そのため、現役で確実に大学に入ることを優先し、大学受験に「勝負」をかけることをしないようになっていると思います。

 

 

今の学生の安全志向は、就職に対する考え方にも顕著です。それは、大学生の就職活動の過熱、大企業への就職や公務員を志望する学生の増加などに見て取れます。また、国立大学の、医学部を筆頭とした理系学部の人気の再燃も、その流れの中にある事象だと思います。

 

 

 

浪人生が減少している現状を、検証可能なデータで見てみましょう。

 

文部科学省が公表している「学校基本調査」という統計資料があります。最新の2014年度の速報が8月7日に発表されました。その中の「高校卒業年別入学者数」で、今年大学に入学した学生の高校卒業年別の人口が確認できます。

 

2014年度の大学入学者は、60万8232人です。そのうち、1浪の学生は6万6305人、2浪は9813人、3浪は2707人、4浪以上は4390人です。浪人をして大学に入学した学生の数は、合計8万3215人となります。

大学入学者に占める浪人生の割合は13.7%となっています。

 

最も浪人生が多かった1992年の浪人生の数は18万9136人です。そして、大学入学者に占める浪人生の割合は34.9%でした。約3人に1人が浪人生だったのです。

 

この20年間で、浪人をして大学に入学する学生の数は半分以下に減少しました。またその割合も3分の1にまで減っているのです。

 

今年はいわゆる「最後のゆとり世代」の卒業年でした。浪人をする学生は、来年は新課程で勉強してきた現役生と競争しなければなりません。そのことに心理的な負担を感じ、浪人を選択しなかった受験生が多かったのではないかと思います。そのため、来年度の大学入学者のうちの浪人生の割合はさらに減少するかもしれません。

 

 

現在は、高校進学志望者のほとんどが高校に入学しますが、かつては、「高校浪人」というものが存在しました。同じように、「大学浪人」も、希少になっていくのかもしれません。

 

(ivy 松村)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>