平成29年度都立高校の志願傾向分析

都立高校の「倍率」について書きます。

 

日比谷・戸山・青山・西・立川・八王子東・国立の過去3年の倍率の推移を見てみましょう。

 

 

まずは男子です。

 

 

29年度 28年度 27年度
日比谷 2.48 2.61 3.29
戸山 1.95 2.36 2.90
青山 1.97 2.60 2.44
西 1.98 2.21 2.17
立川 1.82 1.50 2.10
八王子東 1.15 1.40 1.44
国立 1.52 1.93 2.15
 計 1.84 2.09 2.36

 

 

 

八王子東が低迷しています。

また、国高も昨年から大きく倍率を下げています。

 

東、国高から「流出」した「人員」は、立川に流れていると思います。

 

国立からの流出は、過酷な競争を避けるためでしょう。

八王子東は、すこし人気が落ちてきているように思います。

 

 

 

続いて女子です。

 

 

29年度 28年度 27年度
日比谷 2.15 2.39 2.46
戸山 1.68 2.06 2.31
青山 2.05 2.60 2.23
西 1.84 1.53 1.74
立川 1.50 1.49 1.46
八王子東 1.40 1.61 1.48
国立 1.59 1.93 2.00
 計 1.74 1.94 1.96

 

 

 

西の女子だけが、倍率を上げています。

昨年の低倍率の「反動」とみてよいでしょう。

 

立川はほぼ横ばい、それ以外の高校は倍率を下げています。

 

 

 

応募者の増減を見てみましょう。

 

男子です。

 

 

29年度 28年度
日比谷 -19 -90
戸山 -24 -72
青山 -84 -26
西 -32 5
立川 41 -80
八王子東 -34 -6
国立 -57 -29
 計 -209 -298

 

 

 

次に女子です。

 

 

29年度 28年度
日比谷 -27 -9
戸山 -19 -30
青山 -63 6
西 39 -25
立川 3 4
八王子東 -24 16
国立 -39 -9
 計 -130 -47

 

 

 

最近の2年で、男子は全体で500人以上も応募者数を減らしています。

女子も、177人の減少です。

 

 

特別選考枠の廃止、内申点の換算方法の変更によって、トップ校へのチャレンジが抑制されました。

さらにつけ加えると、入試問題の易化によって「逆転」が難しくなったことも心理的に作用しているかもしれません。

 

 

従来であれば、トップ校を狙っていた受験層が、より「下位」の高校に流れているわけです。

 

この2年、トップ校から「人員」が流出しているので、その受け皿となる「下位」ランクの高校のうち、集中的に応募者を集めた高校の倍率が急上昇するという現象が見られました。本年度も、その傾向が続いています。

 

同様の理由で、大泉・富士・白鷗・両国・武蔵などの「中学併設校」全体の倍率も回復傾向にあります。

 

トップ校のうち何校かは倍率を下げますが、おそらく、八王子東は倍率を上げてくるでしょう。

また、併設校も倍率を上げる高校があるでしょう。

 

 

 

本年度、トップ校から「下位」の高校に「人員」が流れる傾向は、「区部」に顕著に見てとれます。特に「共通問題上位校」の「倍率」が高まっています。

 

 

29年度 28年度  27年度
小山台 1.61 1.76 1.74
1.84 1.78 1.51
駒場 1.81 1.59 1.94
1.94 1.63 1.80
竹早 2.04 1.57 1.62
2.53 1.95 1.88
三田 2.05 1.78 2.70
2.20 2.17 2.48
小松川 1.36 1.79 1.53
1.07 1.40 1.33
城東 1.57 1.61 1.85
1.55 1.46 1.93
豊多摩 2.41 2.11 2.02
2.40 2.00 1.95
北園 2.20 1.90 1.88
2.18 2.05 2.33
上野 1.89 1.98 1.97
1.58 1.78 1.78
文京 2.03 1.76 1.73
2.05 2.11 1.77
井草 1.49 1.31 1.44
1.47 1.36 1.57

 

 

男女ともに、2倍を超える倍率、2倍近くの倍率の高校があります。

もともと高倍率の人気校もあれば、大きく倍率を上げてきている高校もあります。

 

本来であれば、ある「水準」を超えてくると、倍率は下落傾向に転じるのですが、上掲のうちの何校かは、「上」からの流入が止まらないので、高倍率が維持されているのです。

 

 

 

一方、多摩地区に目を転じると、昭和の下落と、小金井北の上昇が目につきます。

 

 

29年度 28年度 27年度
町田 1.46 1.35 1.49
1.44 1.50 1.36
日野台 1.35 1.47 1.41
1.57 1.34 1.58
武蔵野北 1.39 1.27 1.74
1.92 1.69 1.47
小金井北 1.85 1.07 1.65
2.00 1.41 1.47
調布北 1.32 1.71 1.71
1.37 1.83 1.87
昭和 1.23 2.11 1.83
1.16 2.12 1.93
南平 1.68 1.47 1.80
1.73 1.53 1.30

 

 

前年、「2.11」だった昭和の男子は、「1.23」にまで倍率を落としています。女子は「2.12」から「1.16」と、より大きく倍率を落としました。

人数の増減をみると、男子は「-118」、女子は「-114」の減少です。

 

一方、小金井北は、男子「1.07」→「1.85」、女子「1.41」→「2.00」と、大きく倍率を上げています。

人数の増減をみると、男子は「+78」、女子は「+54」です。

小金井北は、倍率が下降局面を迎えるまでは2倍を超える高倍率でした。

本年度は、人気を回復した形です。

 

 

両校の倍率の推移は、ある一つの単純な「法則」をなぞっています。

すなわち、「高倍率→低倍率」/「低倍率→高倍率」というように、過年度の倍率が当年の倍率に影響するというものです。

 

 

多摩地区では、ここ数年、倍率の「乱高下」に見舞われた高校がありました。

 

その大きな原因は都立中高一貫校の開校です。

 

過去に、多摩地域では、武蔵・立川国際・三鷹・南多摩といった都立中高一貫校が設立されたために、漸次、地域の都立高校の募集人数が縮小され、同レベルの他の高校に受験生が集中し、倍率が高騰するという現象が起きました。

 

町田・日野台なども、一時大きく倍率を上げたことがあります。

 

これらの高校は、「高倍率→低倍率」/「低倍率→高倍率」という「波」を何度か経て、次第に倍率が安定してきました。

 

日野台は、今年は少し倍率が上がるのではないかという予想もありましたが、志願変更前の応募では、大きな変動はありませんでした。(もちろん、これから変動する可能性はありますが。)

 

 

多摩地区の「共通問題上位校」は、「都心」に比べて、倍率の高騰が起こりづらくなってきました。

それは、「高校入試の潮流」が、「都心」よりも多摩地区にいち早く訪れたためではないかと思います。

 

 

一言でいえば、それは「安全志向」です。

かねてからこのブログで指摘してきたように、都立高校入試は、「安全志向の玉突き」が起きつつあります。

 

都立高校入試の制度の変化が影響し、「一か八か」の受験が退潮的になっています。

別のいいかたをするなら、堅実な受験が支配的になってきているということです。

 

トップ校の志願者が激減し、その「あおり」で「二番手校」の倍率が上昇、やがてその「下位」の高校に志願者が流れるという、「玉突き」が進行中です。

 

もちろん、大学の合格実績などを要因として、個々の高校の「直接的な」倍率の変動は起こりますが、全体の「志願傾向」を「玉突き」になぞらえることができると思います。

 

 

 

多摩地区は、中高一貫校の開校によって、早期に「二番手校」の倍率の上昇が誘引されました。

そのために、「都心」に先駆けて、倍率の上昇・下降の「バイオリズム」が起動してしまったわけです。

 

 

多摩地区の「安全志向の玉突き」は、すでに次の段階に移行しつつあるとみることができます。

 

 

「二番手校」を受験する学力水準の受験生は、一時、潜在的な受験者数が膨張することになります。

そのことをよく理解している受験生たちは、同じレベルの高校群の中から、「なるべく合格しやすい高校」を探します。言うまでもなく、「倍率」がその大きな指標となります。

 

結果、過年度に低倍率だった高校に応募者が殺到したり、過年度に高倍率だった高校が極端に避けられたりする現象が起こります。

 

こうした倍率の振幅を経て、やがて、「二番手校」の倍率は、一定の水準に収束していきます。

 

現行の都立高校入試の制度下では、「安全志向」の心理が強く作用するので、倍率が安定すれば、志願者は、より「下位」へと流れます。

 

 

 

都立高校の普通科の平均の倍率は「1.56」、全日制の総合では「1.51」です。

ものすごくざっくりと展望を述べるならば、現行の制度が継続されていくのであれば、私立に流れる受験生も増加するはずなので、やがて、各都立高校の倍率はおおむね「1.4~1.5」程度(上位校に限ればもうすこし高い水準)に均衡することになるでしょう。(もちろん、さまざまな要因がからんでくるので、そんなスパッとはいきませんが。)

 

つまり、何か大きな制度の変更や状況の変化がもたらされない限り、全体の志願傾向が「なだらか」になり、それぞれの高校の倍率の「幅」が小さくなっていくわけです。

 

 

そういうわけで、昭和や小金井北の倍率も、やがて「安定」に向かうのではないかと思います。

 

 

 

さて、志願変更ですが、毎年、気になる倍率の変動が見られる高校がありますが、全体としては、志望校調査→応募→志願変更で、極端に倍率が上下する高校は意外と少ないのです。

 

 

多くの受験生は、過年度の倍率に大きな注意をはらいつつ受験校を決めます。

それなのに、志願変更の際に、倍率を気にして受験校を差し替える受験生はそれほど多くありません。

 

 

それはなぜなのでしょう。

 

 

最近気づいたことなのですが、過年度の倍率がもっとも意識されるのは、入試の半年も前のことなのです。

中3になった生徒は、夏から秋にかけて、複数の高校の見学や説明会に出向いて、いくつかの候補の中から、受験校を絞っていきます。

おそらく、その前の段階で、過年度に倍率の髙かった高校は、候補から外れてしまうのです。

 

倍率をみて委縮してしまい、かなり早い時期に、高倍率の高校は受験する対象ではなくなるのでしょう。

その高校を見学することもないし、その高校の情報も集めないままになってしまうのです。

 

応募倍率が公表されて、低倍率で「ねらい目」であることが明らかであっても、「差し込む」受験生が主流にならないのは、その学校の名前やランクは知っていても、「その学校に通う」というイメージを持てないために、受験をするという決断にいたらないからなのではないかと思うようになりました。

 

 

 

結論としては、1年生、2年生のみなさんは、表面上の「倍率」に惑わされずに、受験校を考えましょう、ということですね。

「間際」になって、その高校を受験することが現実になるかもしれません。

 

 

 (ivy 松村)

 

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