都立中学の志願傾向分析③

都立中の「入学辞退」のデータを見てみましょう。

 

まず、小石川、白鷗、両国、桜修館、富士、大泉、南多摩、立川国際、武蔵、三鷹の10校すべての都立中の「入学辞退者」の人数です。

 

 

年度 男子 女子 合計
29 31 48 79
28 47 55 102
27 43 41 84
26 55 52 107
25 66 55 121
24 36 56 92
23 42 46 88

22

52 46 98

 

 

 

本年度は、当初、「入学辞退者」の合計は87人であると発表されましたが、後日訂正が入りました。

小石川中の「入学手続人員」の報告に不備があったということです。

 

当初、小石川の「入学辞退者」は37人と発表されました。

しかし、これは誤りで、実際の小石川の「入学辞退者」は29人であるということです。

 

つまり、小石川中の「繰上げ合格者」は37人ではなく、29人だったわけです。

 

「入学辞退者」が出た場合、「補欠番号」の順に、「繰上げ合格」が出されます。「入学辞退者」の数は37人であると発表されていたので、「補欠番号」が37番以内であれば、必ず「繰上げ合格」になるはずだったのです。

ところが、「補欠番号」を得て待機していた受験生に連絡がこない…そこで、保護者が中学に確認をしたところ、「実際に入学手続を行った人数」と「発表された入学手続人数」が違っていたことが発覚したのだそうです。

 

報道によれば、このような「誤り」が起きたのは、「入学手続締切」の時間を過ぎてから手続に来た8人の入学を認めてしまったことが原因だということです。

 

 

どうやら、  記事の書き直しです。

 

 

しかし、ともかく本年度、全ての都立中の「募集人員」と「入学手続者」の「差」は、79人だったということになります。したがって、「入学辞退者」も79人だったということになります。

 

「別の観点」から言及するならば、79人の「繰上げ合格」があったわけです。

さらに言葉をかえて述べるならば、2月9日の合格発表以降、増えた合格者の数は、79人を超えることは、常識的には、あり得ないわけです。もし、そうではないとしたら、それは、多分、きっと、気のせいです。

 

 

 

本年度の、都立中の「入学辞退者」の内わけを見てみましょう。

 

 

小石川中等教育 11

9

26

20

37

29

白鴎高等学校附属 1 3 4
両国高等学校附属 8 3 11
桜修館中等教育 4 8 12
富士高等学校附属 0 0 0
大泉高等学校附属 2 3 5
南多摩中等教育 0 3 3
立川国際中等教育 1 3 4
武蔵高等学校附属 5 4 9
三鷹中等教育 1 1 2
 計 31 48 79

 

 

 

当初の発表から人数が減ったわけですが、それにしても、他の都立中に比べて、小石川の「入学辞退者数」がひときわ多いのがわかります。

 

小石川は、他の都立中とは一線を画した「ポジション」に座しています。

 

多くの入学辞退者が出るということは、人気が薄いということを意味しているわけではありません。

小石川中は、都内(首都圏)のトップレベルの私立(国立)中学と競合する「序列」に位置しています。

 

本年度、都立中の中でもっとも応募者数が多かったのが小石川です。

そして、もっとも「受験欠席」が多く、もっとも「入学辞退者」が多いのが小石川中なのです。

 

 

 

小石川中の「入学辞退者」の推移を見てみましょう。

 

 

年度
29 9 20 29
28 13 15 28
27 11 11 22
26 9 11 20
25 20 11 31
24 7 9 16
23 6 8 14
22 12 11 23
21 9 14 23
20 4 4 8

 

 

つぎに、武蔵中をみてみましょう。

 

 

年度
29 5 4 9
28 5 7 12
27 6 5 11
26 8 8 16
25 9 7 16
24 5 10 15
23 7 5 12
22 6 7 13
21 6 8 14
20 5 6 11

 

 

続いて、南多摩中です。

 

 

年度
29 0 3 3
28 5 1 6
27 4 3 7
26 3 4 7
25 2 1 3
24 1 8 9
23 5 1 6
22 5 0 5

 

 

 

3校の中で、南多摩の「入学辞退者」の少なさが目立ちます。

 

都立中全体で「入学辞退者」は減少傾向にあります。本年度、富士の0人、三鷹の2人は、大きな驚きをもたらしました。

 

例外的に小石川だけが多くの「入学辞退者」を出し続けています。

 

 

 

合格者が「入学辞退」をする理由を考えてみましょう。

 

①都立中入試の後で、より志望順位の高い私立中の合格が得られた

②最初から地域の公立中学に進むつもりだったが、「力試し」で受験し合格した

③合格したが、気が変わり、地域の公立中学に進学することにした

④都立中に合格したら進学するつもりでいたが、気が変わり、合格した私立中学に進学することにした

⑤「本命」の私立中学に進学が決まっていたが、「力試し」で受験し合格した

 

 

 

もっとも一般的で、「まっとう」な理由が①です。

 

 

都立中の進学実績が上がってきたことで、②や③を理由とする「入学辞退」は、もうほとんどみられなくなってきているのではないかと思います。

④も、都立中の評価が上がってきたので、少なくなっているはずです。

 

 

「入学辞退者」が減っているということは、進学するつもりがないのに入学試験を受ける受験生が少なくなってきているということが一因なのでしょう。

 

都立中は、「繰り上げ合格」による欠員の補充が行われるので、「入学辞退」をすることに精神的な負荷がかかりません。

ですから、志望校の合格を得た後で、ある種の「余興」として受験したり、塾の「要請」で受験したりする生徒がみられることがあります。

自分が合格して、「入学辞退」をしても、入学の権利を得る人数は変わらないので、「気楽」に入試を受けることができるわけです。

そうしたケースが減っているのでしょう。

 

(他方、たとえば、都立高校入試のような入試の場合は、「入学辞退者」の補充が行われません。ですから、入学の意志がないのに都立高校を受験し、「入学辞退」をすることは、モラルに反する行為であるといえますが、まあ、いるのでしょう。)

 

 

 

「入学辞退者」の減少は、全体としては、私立中受験を「本筋」としている受験生が、都立中を「本命」にする受験パターンを組むようになったことが原因ではないかと思います。

この傾向は、「東部」で強まっているように思います。

 

一方、「西部」では、「逆の状況」が進展しているのではないかという気がします。

つまり、「都立専願」の「受検生」が増えているのではないかと思われるわけです。

 

 

う~ん、どうなんでしょう。

 

 

 

小石川中と南多摩中の著しい対照性は、非常に興味深く思います。

 

東京都の都市機能の「重心」は、「東側」にあります。小石川中は、その中心に位置します。

 

一方、八王子市の南多摩中は、「その意味」で、東京の「エッジ」に位置します。

 

地理的な条件をベースとして形成される産業的、文化的、そして社会構造的な「文脈」が、受験の「状況」を規定しているわけです。

 

 

 

(ivy 松村)

 

 

One thought on “都立中学の志願傾向分析③

  1. 2月22日、東京都教育委員会のホームぺージで、小石川中の「補欠番号」37番までの「候補者」の繰上げ合格が発表されました。これによって、6人が繰上げ合格しました。

    合格された方、おめでとうございます。

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