平成29年度都立高校入試の社会①

今年の都立高校入試の社会は、「易化」したのか、「難化」したのか、人によって評価が分かれると思います。

 

暗記したことがらを「アウトプット」して解答する「知識系」の問題が減り、資料や選択肢などに組み込まれた「情報」を抽出し、総合して答えを「判断」する「思考系」の問題が増えました。

 

そのため、たとえば、「一問一答」などの問題集をひたすらやり続け、「社会のポイントをがっちりおさえる」ような「馬力」の受験勉強をしてきた受験生は、苦労したかもしれません。

あるいは、その受験勉強の「コスト」に見合った「対価」を得られなかったかもしれません。

 

一方、一部の受験生は、社会の受験勉強をほとんどやってこなかったにもかかわらず、かなりの高得点を取ることができました。

正確に「情報」を読み取ることを「苦」としない受験生にとっては、得点源の多い入試問題であるといえるわけです。

 

 

 

個人的には、「易化」したと思います。

しかし、全体の「平均点」は下がるのかもしれません。

「馬力」の受験勉強をしている受験生は、意外と多いように思います。

 

 

もともと、社会は「馬力」に比重をおいた指導をしていないので、当塾の受験生はうまく対応できたようです。

「記述」で少し減点されても、9割は確保できました。

 

 

 

さらに「構成」について、気づいたことなど。

 

 

まず、経済、現代史、時事問題などの中から、「これまで重視されていなかったトピック」をあえて「メイン・テーマ」に据える問題が見られました。

 

それから、表などから「数値」を読み取るタイプの問題が減り、「情報」を汲み取るタイプの問題が多くなりました。

 

さらに、(歴史だけではなく)地理、公民の分野で、「時代の流れ」や「時代の変化」を読み取ったり、ふまえたりすることを求める傾向が強まったように思います。

 

そして、これは非常に重要なポイントだと考えますが、「設問あたりの情報量」が増えました。そのおかげで、「情報処理能力」の高い受験生は、数多くの「ヒント」を整理、検討することで、正答率を上げることができたでしょう。一方、「情報」の多さが「ノイズ」となってしまった受験生は、対処することができずに失点を増やしてしまったでしょう。

 

 

「形式」の面からは、語句を筆記して答える問題が無くなったこと、「記述」問題が2題に削減されたことが指摘できます。

が、これは、想定されていたことでした。

 

また、4つの選択肢から正答を選ぶ単純な「四択」の問題ではなく、全ての選択肢を整合させる問題が「復活」しましたが、これも、想定どおりでした。

 

「記述」を減らす必要性から、全体の「難度」を上げなければならなかったからです。

そのために、マークシートの「利便性」を活かして、「完全一致型」の問題が組み込まれたわけです。

 

「完全一致型」は、平成26年度以前の問題によく見られた形式です。

 

実は26年度の入試問題で「発覚」した「採点の誤りの問題」について、東京都教育委員会は、「完全一致型」の問題が、その元凶であると見なしていたのです。実際、その設問で、多くの「採点ミス」が起きました。

27年度の入試では、「完全一致型」を撤去しなければなりませんでした。

そして、28年度は、マークシート実施初年度ですから、シンプルな解答形式に揃えたかったのです。

 

で、今年、難易度の調整のために、「完全一致型」を再び登場させたわけです。しかし、これは唐突な「変化」というわけではなく、東京都教育委員会のホームページで事前に示唆されていました。

 

 

個人的には、「完全一致型」の問題の中で、大問4の〔問3〕のような語句を補充するタイプは、都立の社会では珍しい形式だったで、ちょっと気になりました。来年度、さらにこの形式を「発展」させた問題が出されるかもしれません。

 

 

 

(ivy 松村)

 

 

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