テストの「オペレーション」

 

一般的な学習塾のカリキュラムでは、中3の1学期までは単元学習が中心になります。学習内容に対して深く理解することが重要です。

2学期になって、過去問演習が始まると、得点を意識して取り組んでいかなければなりません。

 

そのため、中3の生徒たちに、テストを受ける際に、「いかに処理のスピードをあげるか」という話をしています。

 

入試に向けてどんな訓練をして処理のスピードを身につけるのか、という計画の話ではなく、本番でどう振る舞うのかという方法論についてです。

 

もちろん、処理能力そのものを向上させる訓練を行うことで、問題を解くスピードは上がります。問題を正確に、速く解く能力を身につけることは、最も大事なことです。

そのためのノウハウや理論もありますが、ここでは、手順や対処法を統一したり工夫したりすることで処理の時間を短縮するやり方を紹介したいと思います。

 

 

テストで問題に相対するとき、考えたり、解答を導いたり、記入したりするといった実質的な解答作業以外の処理全体を「オペレーション」と呼ぶことにします。

 

「オペレーション」は、その内容に応じて3つの局面に分けられます。

 

・「ルーティーン」…いつも決まったやり方をする

→どう処理するかという判断を省略し、もっとも効率的なやり方を機械的に行う。

 

・「マネージメント」…場合に応じて対処する

→出題される可能性のある問題内容・形式にあわせて対処法を用意しておき、確認とともに自動的に対処法を発動する。

 

・「アドリブ」…自分で考えて処理する

→想定外の事態に対して、その場で判断し、実行する

 

 

さて、入試でより高得点を取るために、なるべく多くの問題を解かなければなりません。したがって、問題を処理するスピードを上げる必要がある、という話でした。

 

そのための方法として、国語の入試問題を解く際の「オペレーション」を例に挙げます。

 

①まず、解答用紙から、情報を読み取ります。

 

生徒には、入試までに、必要な量の過去問を解き、受験校の入試問題の出題形式を脳に刻み込んでもらう

解答用紙を見れば、出題形式に変更があった場合、すぐに気づくことができる

「違和感」を感じたら、開始と同時に該当の設問を確認

また、問題数や、選択問題や記述問題の割合もわかる

 

 

②素早く問題用紙全体に目を通します。

 

文章題の長さや、語句、知識、文法、漢字などの独立問題の有無をチェックする。出題の傾向に変化がないか確認

問題の内容を確認

大問ごとの所要時間の目安を設定し、どの問題から手を付けるのかを判断する(解く順序を「ルーティーン」にしている場合には、素早く次のステップに移行する)

 

 

→文章題を解く。

 

 

➂必ず、冒頭に書かれている「次の文章を読んで後の問に応えなさい。」という指示を確認します。

 

文章に加工がしてあったり、特殊な文章が用いられていたり、複数の文章が使われている場合には、冒頭にその旨が示される

「次の文章を読んで後の問に応えなさい。」という指示のみの場合には、「普通」の文章が使われているということになる

 

※過去に、日本大学第二高校(日大二高)の入試で、バラバラの段落を並べ替えるという問題がありました。そのような特殊な出題がなされるときには、必ず、文章の「状態」が冒頭に記されます。

 

※都立高校の入試問題の「五」は古典(古文、漢文、韻文)を含む「融合文」の問題ですが、ここで、複数の文章が使われることがあります。鑑賞文や説明文、評論などの文章に、古典の原文、書き下し文、現代語訳がなどが付けられます。それに加えて、対談やスピーチなどの文章が使われることがあるのですが、その際にもやはり、冒頭で知らされます。

 

④筆者(作者)と題名を確認します。

 

知っている作者であれば、どのような文章なのか予想がつくので、内容の理解の手助けになる

また、題名が主題を表していたり、読解の手助けになったりする場合もある

 

※たとえば、外山慈比古氏の文章は、よく入試問題に使われます。外山氏が言語学者であると知っていれば、これから読む文章は言語に関する内容であると、心得た上で読むことができます。また、その文体や文章の特徴、思想などを知っていれば、読解に有利です。

 

ちなみに、2010年度の錦城高校の入試問題で、外山氏の「思考の整理学」が使われたのですが、偶然にも、同じ年の八王子東高校の入試問題で、同じ文章の同じ個所が使われました。八王子東高校が第一志望で、錦城高校を併願受験していた受験生には、かなり有利な状況だったはずです。

 

※入試問題によく使われる評論家、学者、作家の文章は、普段の授業でも扱っていきます。

・池内了氏…科学

・河合隼雄氏…心理学、その他

・鷲田清一氏…哲学

・池田晶子氏…評論、随筆

・日高敏隆氏…生物学

・見田宗介氏…社会学

・向田邦子氏…随筆(父親のこと)

 

 

⑤先に問題に目を通します。

 

筆記の問題があれば、抜き出しなのか、記述なのかを確認

指示語、接続語、語句知識、心情、主題、内容把握といった、問のテーマを読み取る

脱文の問題の有無を確認→あれば、挿入箇所を探しながら読む

選択問題の選択肢に読解のヒントやキーワードが埋め込まれている場合があるので、簡単に確認しておく

文章の要旨を選ぶ問題があれば、その選択肢の内容をしっかりと確認しておく

 

問題を解くために文章を読むというのが大前提→問題の答えを探しながら読む

 

 

⑥指示している方法にしたがって文章を読み、問題を解く。

 

学校の傾向や特徴に合わせて調整しておく

 

文章のジャンル、タイプによってアプローチが違います。

授業で、読解法や、線を引いたり図を書いたりといった読解のための補助作業のやりかたを提示しています。

 

 

テストに対する意識がまだ低い生徒には、自分のペースで最初から順番に問題を解き、時間が無くなったので、後ろの問題は全く手がついていない、ということがあります。

「オペレーション」を指示していても、いざテストになると忘れてしまいます。

点数を取りたい、という気持ちがまだ芽生えていないのです。あるいは、真剣に取り組むことを恐れているのかもしれません。

そんな生徒の意識を変えていくのも、塾教師の仕事だと思っています。

 

 

塾で教えるのは「教科の知識」だけではありません。点の取り方を教えています。

 

(ivy 松村)

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