平成29年度都立高校入試の社会の平均点

今年の東京都立高校入試の各教科の平均点や得点分布表などが、教育委員会のホームぺージで公表されました。

 

社会の平均点は、58.6点でした。

昨年は59.3点でしたので、昨年と比べて、0.7点下降しています。

 

平均点だけで判断すれば、ごくわずかに「難化した」、ということになりますが、「難易度」の議論は、少し入り組んでいます。

 

得点分布表をみると、昨年に比べて、グラフの「山」がなだらかになっていることに気づきます。

受験者の得点がある得点域に集中するような「高い山」になっていません。

 

つまり、受験者の得点分布が「分散」したわけです。

 

また、「分布のピーク」は、昨年は65~69点でしたが、今年は55~59点に推移しています。

さらに、高得点を取った受験者の割合が増えています。

 

ということは、今年は、高い点数を得た受験生が増え、かつ、低い点数を取ってしまった受験生も増えているということになります。

 

 

 

「単純な見解」に従えば、今年の社会の入試問題は、より機能的に受験生の学力を検査することができたという見立てになります。

 

しかし、話はそう「単純」ではありません。

 

 

 

今年の入試問題は、記述問題が削減されました。

2題減らされたので、10点分が、選択問題に「振り替えられた」ということになります。

 

選択問題は、完全に設問を「攻略」しなくても、点を得ることが可能です。

 

何人かの受験生は、「勘」で、正解となる選択肢を選び、得点を手にしています。

選択問題は、問われている内容を理解していなくても、点数を得る場合があるわけです。

かつ、選択問題は、正解を導いているのにもかかわらず、失点をする受験者を生み出すことはありません。

 

したがって、選択問題の数が増えるほど、「幸運な得点」を得る受験者が多くなるわけです。

 

 

一方、記述問題は、設問に整合する内容を書き記す必要があります。

 

あらためて述べるまでもないことですが、学力をより正確に、適切に測ることができるのは、記述問題です。

 

 

 

そういうわけで、一般的に、選択問題の方が、記述問題よりも「得点の上乗せ」をしやすいといえるわけですから、もし、昨年と同じ「難易度」の選択問題が並べられていたのであれば、今年の平均点はもう少し上がってもよかったわけです。

 

しかし、今年の平均点は、昨年と比べて、下降を示しています。

 

選択問題で、得点を取り切れなかった受験生が多かったわけです。

 

 

そうすると、今年の入試問題の「難易度」は、「実質」的には、さらに下降しているといえるようにも思えます。

 

 

特に低得点域で、「本来の学力」よりも数点、「幸運な得点」を得た受験者が思いのほか多くいるはずです。

そのため、全体の平均点が「実質」よりも押し上げられ、また、得点分布における「上りの勾配」が、「右側」へ押し込まれていると考えられます。

 

 

 

ところが、一方で、高得点を得た受験者が、昨年に比べて増加しています。

また、実際に、都立トップ校の受験者平均のデータは、昨年と比較して顕著な上昇を示しています。

 

ですから、今年の都立の社会の入試問題は、学力上位層ほど得点を取りやすく、学力下位層ほど苦戦をする内容であったということになります。

 

 

私は、今年の都立高校入試の直後に、社会の入試問題の「解説」の記事を書きました。

そこで書いたことが、データで証明された、ということになります。

 

 

平成29年度都立高校入試の社会①

 

 

 

今年の都立高校入試の社会の問題は、受験者の得点分布が「分散」したわけですが、学力上位層に限れば、その得点分布は高得点域に密集しています。

 

つまり、上位校の入試では85~100点の攻防となっているわけです。

 

 

先の記事にも書きましたが、設問あたりの情報量が増えたことが、学力上位層にとって有利に作用しました。

 

また、今年の社会の入試問題は、「幸運な得点」のアシストを得た受験生が、最上位層を追尾することが可能となる「構成」だったわけです。

 

 

 

「全体」の得点分布は「分散」しましたが、学力上位層の得点分布は高得点域に偏り、「飽和」の兆候を見せつつあります。

 

 

その点をふまえて、都立高校入試の理社についても「独自問題」を解禁するべきではないか、という意見が聞かれるようになってきました。

 

確かに、それは魅力的なアイデアですが、現実的にはなかなか困難です。

近年の都立高校入試は、入試問題の質よりも、作問と採点の「効率と正確性」を優先させなければならなくなっているからです。

 

 

しかし、実は、ある有力な「一手」が、私たちの記憶に横たわっています。

 

来年から、英数国の「自校作成」が復活し、「グループ作成」の体制に終止符が打たれるわけですが、「グループ作成」は、もう、「お終い」なのでしょうか。

 

 

理社を「グループ作成」にするというのが、最も賢明な選択であると、個人的には考えます。

 

 

 

ところで、まったく話は変わりますが、都立高校入試の英語で「スピーキング」の検査を導入することが「検討」されるのだそうです。

 

こういう場合、「方向性」は決まっているわけですから、なんとなく、どうなるかは予想がつくものですが、これは、けっこういろいろな問題をはらむことになりそうです。

 

気になるのは、検査されるのが「英語の学力」といえるのかどうか、ということです。

単純に、人前で話すことが苦手な生徒が「不利」になるわけですが、人前で臆することなく話せることを、「高校入試」で検査するべき「学力」の要件に含むということなのか、という「観点」に行きついてしまうと思うわけです。

(もうちょっと「実際的」な指摘をするならば、「日本語を話す能力」の検査は?優先順位、あってますか?となるわけですが。)

 

もちろん、中学生が、「話す力」を養い、発達させていくことは望ましいことです。しかし、それを「英語」の「一般入学試験」で評価するのかどうか。

 

考えられるのは、「そういった部分」も考慮して、「ゆるい内容」に落ち着くことですが、そうなると、それを導入する意味はあるのか、という話になるわけです。

 

 

もちろん、「コスト」の問題があります。

私が反射的に考えたのは、各校で行うのは無理、外部に委託するのも無理、という話になって、「内申」のように、中学校で「検査」を行い、それを数値化して、入試得点に加算する、というものです。

 

 

はたして、どうなるんでしょうね。

 

 

 

あ、そうそう(←わざとらしい)、英検の二次試験が迫ってきましたので、来週から面接の練習を始めますよ。

 

 

今年の入試には「スピーキング」が導入されることはありませんが、英検に向けて、しっかり「スピーキング」の練習をしていきましょう。

 

 

(ivy 松村)

 

 

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