以前から、日野第四中学校の生徒が、まことしやかに「四中は他の中学に比べて、内申を取るのが難しい」と口をそろえて言っています。
おそらく、学校でも盛んに同様の話題が上がるのでしょう。
日野四中は、三沢中学校に次いで、日野市内で2番目に規模の大きな中学校です。
八王子市高倉町との境に近い日野市旭が丘にあり、八王子東高校、首都大学日野キャンパス、高倉小に隣接しています。
四中周辺は文教地区の趣があって、落ち着いた雰囲気です。
そんな四中には、かなり広範囲から生徒が通っています。
私が知る限りでも、七生中、二中、平山中に通う方が近いけれども、四中に通っている生徒が何人かいました。
成績の評価が厳しいという評判に対して、残念に思われている一方で、好ましく思われている部分もあるのかもしれません。
「厳しい」=「良くない」という考えは、短絡的で幼稚ですよね。
東京都教育委員会が、先日、東京都内の公立中学の内申点を調査し、その結果を公表しました。
このデータを使って、日野市内の中学校の成績評価を分析しました。
日野市内には8つの中学校がありますが、東京都教育委員会が公表した資料には、中学名が記されていません。
ほぼ間違いなく、というところまで、中学を特定しました。
ただ、どうしても、不確定の要素が若干残っています。
また、今回は手作業でデータ処理をおこなったところがあるので、作業のミスがあるかもしれません。
以上のことを含め、「間違っている可能性がある」ことをお見知りおきのうえ、「参考として」お読みくださるようお願いいたします。
3月26日に公表されたのは、昨年の、中学3年生の2学期の内申点のデータです。
つまり、前回の入試において用いられたものです。
なぜ、入試が終わってから公表されるのか、ということについては、おそらくだれもが想像する通りの理由だと思います。
まず、9教科の内申点の割合です。
5 | 4 | 3 | 2 | 1 | |
都内公立中学校 | 12.1 | 24.8 | 47.3 | 12.5 | 3.3 |
日野市立中学校 | 9.4 | 26.0 | 53.2 | 9.9 | 1.6 |
日野第四中学校 | 7.3 | 27.7 | 56.5 | 7.0 | 1.4 |
どうしても、「5」に注目してしまいます。
都内の公立中学校が12.1パーセント、日野にある中学校全体が9.4パーセントですから、日野市の中学生は、他の市区よりも「5」を取る生徒が少ないということになります。
一方で、「3」の評定を受ける生徒の割合が高くなっていますので、データから読み取れることを素直に受け止めれば、日野市には平均的な学力の生徒が多いということになります。
四中のデータを見てみると、「5」と「1」の割合がさらに少なく、「3」に成績評価が集中していることがわかります。
現実に、四中は「平均的な生徒」が特に集まる中学校なのかもしれません。
そのために、実際に「3」の評定が多くなっている可能性は、もちろんあります。
しかし、データのみで判断すれば、他の中学校よりも、「5」が「出にくい」ということになるのかもしれません。
一方で、「1」「2」の割合は少なくなっています。
それを「勉強が苦手な生徒にとっては有利である」ととらえることもできるでしょう。
日野市の中学生の学力は、東京都の他の市区と比べてどれくらいなのでしょうか。
2014年9月20日号の『週刊東洋経済』に、数学の学力テストの結果をもとに、東京都の市と区の順位づけを行った記事が載っています。
2013年度の中3生対象のテストをもとにしたものなので、1学年上の世代のデータですが、一応、参考になると思います。
それによれば、日野市は、東京都49市区のなかで、19位となっています。
ですので、とりあえず、日野市の学力レベルは都内の平均よりは上であると考えてもよいだろうと思います。
数学の内申点のデータを比べてみましょう。
5 | 4 | 3 | 2 | 1 | |
都内公立中学校 | 13.5 | 22.4 | 43.8 | 15.6 | 4.8 |
日野市立中学校 | 10.9 | 22.8 | 50.2 | 12.7 | 3.5 |
東京都全体の平均に比べて、日野市の中学の成績は「抑えぎみ」であるという印象になります。
ちなみに、2013年度では、日野市内のある中学校では、数学の「5」が25.8パーセントの生徒につけられていました。そのせいもあって、今回よりも「5」の割合が高くなっていました。
今回の調査では、日野市の中で、数学の成績評価において、18.5パーセント、17.2パーセントの生徒に「5」を出した中学がある一方で、5.6パーセントの生徒のみに「5」を出した中学もありました。
科目ごとにみれば、「評価のばらつき」は不公平に思えてしまいますが、教科全体の平均では、同じくらいの評定になります。
日野市内の各中学校の内申点の平均(計算の都合で合計が合わないものがあります)
中学校 | 9科平均 | 5科平均 | 4科平均 | 都立内申 |
四中 | 29.9 | 16.4 | 13.5 | 43.4 |
七生 | 29.7 | 16.7 | 13.0 | 42.7 |
大坂上 | 30.3 | 16.8 | 13.5 | 43.8 |
二中 | 29.9 | 16.7 | 13.2 | 43.2 |
平山 | 29.0 | 15.7 | 13.3 | 42.4 |
三中 | 29.9 | 16.5 | 13.4 | 43.3 |
三沢 | 29.6 | 16.2 | 13.3 | 42.9 |
一中 | 30.1 | 16.4 | 13.7 | 43.9 |
(順序はランダムです)
今年度から、都立高校の入試では、実技4教科の内申点が2倍に計算されます。
ここまで計算しておいて、こういうのも何ですが、実は、平均はあまり関係ありませんよね。
受験生の関心は、自分の「位置」の成績にどれくらいの点数がつけられるか、ということだと思います。
「5」がとりづらい、ということは、やはり、都立最上位校を狙っている生徒にとっては、「不利だ」ということがいえるかもしれません。
しかし、そのことがわかっているのだったら、心構えを持つこともできるでしょう。
対策の仕様もあります。
愚かなのは、満足できない成績を、「自分のせい」にしないで、不満をたれ続けることです。
さて、四中の生徒のみなさんには、以下のようなことがいえます。
・日野市は、東京都の他の市区と比べて、成績評価が厳しい
・四中は日野市の中学のなかでは、成績評価が平均よりも厳しく、「5」が取りづらい
・反面、「2」や「1」の生徒の割合が少ない
・他の中学では「2」と「1」の生徒の割合の合計は10パーセントを超えるが、四中は超えない
・総合的に、四中よりも成績評価が厳しいか、同等の中学が日野市内に2,3校ある(特定できています)
自分の通っている学校の成績評価について、詳しく知りたい人は、ぜひ、聞きに来てください。
(まあ、来なくても、こちらから言いますけどね。)
(ivy 松村)