「H」の話④

「gh」は、基本的に発音されない「黙字」です。

 

 

weight「ウェイト」(重さ)

eight「エイト」(8)

ought「オート」(~するべきだ)

although「オルゾウ」(~にもかかわらず)

caught「コート」(catchの過去形)

sigh「サイ」(ため息をつく)

sight「サイト」(視界)

straight「ストレイト」(まっすぐな)

through「スルー」(~を通って)

though「ゾウ」(~にもかかわらず)

thought「ソート」(thinkの過去形)

daughter「ドーター」(娘)

delight「デライト」(喜ばせる)

taught「トート」(teachの過去形)

night「ナイト」(夜)

neighbor「ネイバー」(隣人)

high「ハイ」(戦う)

height「ハイト」(高さ)

fight「ファイト」(戦う)

flight「フライト」(飛行)

fright 「フライト」(恐怖)

bright「ブライト」(明るい)

brought「ブロート」(bringの過去形)

bought「ボート」(buyの過去形)

might「マイト」(mayの過去形)

light「ライト」(光)

right「ライト」(正しい、権利、右の)

 

 

 

語末に「gh」が置かれたときに、発音されることもあります。

 

その際の発音は「フ」=[]です。

 

]は、日本語の「ハヒフヘホ」の「フ」ではないので注意しましょう。下唇を軽く噛み、弾くようにして発音します。

 

 

enough「イナ」(十分な)

cough「コ」(咳)

tough「タ」(頑丈な)

laugh「ラ」(笑う)

rough「ラ」(粗い)

 

 

 

昔は、「gh」が発音されていました。

その音は、「強く発音するハヒフヘホ」です。

 

発音記号は[x]です。

慣れないと戸惑うと思いますが、[x]は「ハヒフヘホ」を表す発音記号です。

 

x]の音は消失してしまって、英語からなくなりました。

そのため、この[x]の発音記号は、「現代英語には」みられません。

 

 

古い時代の英語には[x]の発音が存在し、それに「gh」が当てられたのです。

 

英語の「gh」の発音は、

 

x]→[]→「無音」

 

と変化してきたわけです。

 

]の音が残っている単語は、無音化されずに発音が残存したものです。

 

 

 

x]=「強く発音するハヒフヘホ」は、ドイツ語の「ch」の音だったことを覚えているでしょうか。

 

x]の発音を示すのに、ドイツ語は「ch」を用いたわけです。一方、英語は「gh」を代用したわけです。

 

ドイツ語の「ch」と古い英語の「gh」はともに同じ音→[x]を表すということになりますね。

 

(発音体系に少しだけ「ズレ」があって、ドイツ語の「ヒ」の発音は[x]では表さないのですが、まあ、あまり重要ではありません。)

 

両者は、驚くほどに「照応」しています。

英語とドイツ語は、そもそも「親類」の言語だからです。

 

 

 

以下の例を見てみましょう。

 

 

英語 ドイツ語 ドイツ語の発音 意味
eight acht 「アト」 (8)
high hoch 「ホッ (高い)
night Nacht 「ナト」 (夜)
daughter Tochter 「トター」 (娘)
laugh lachen 「ラッン」 (笑う)
light Licht 「リト」 (光)
right recht 「レト」 (正しい)

 

 

 

英語とドイツ語の語彙が非常によく似ていることがわかります。

 

英語は、そもそも「ドイツ語の方言」だからです。

 

5世紀ごろに、ドイツ西部に住んでいた「ゲルマン人」の一派が、ブリテン島(イギリス)に渡り、住み着きました。彼らの話していたドイツ語が、英語の母体となったのです。

 

その後、英語はフランス語などの影響を受け、大きく変化していきますが、日常生活で頻繁に使用される「基本語彙」などを中心に、古い形や発音を残した単語があります。

 

前に、英語をよく知るためにはフランス語を学ぶとよい、と書きましたが、もし、英語の「原風景」を知りたいのなら、ドイツ語を学ぶのもよいと思います。

 

 

 

「gh」の例外も見ておきましょう。

 

Edinburgh 「エディンバラ」(エジンバラ:スコットランドの都市)

 

 

スコットランドは、イギリス=「連合王国」を構成する国(地域)のひとつで、「エジンバラ」はその「首都」です。

 

「Edinburgh」は、語末の「ア」という母音が「gh」で表されているので、ちょっと珍しい単語です。

英語やドイツ語などの「ゲルマン語」には、城や都市を意味する「burg」(バーグ、ブルグ)という語がありますが、それが訛って、「バラ」になっているようです。

 

 

 

前に、「gh」の「h」が無音になって、[g]の発音になる語彙の例として、「ghost」(ゴウスト:幽霊)や「Ghana」(ガーナ)を挙げましたが、それ以外にも、

 

spaghetti「スパゲッティ」(スパゲッティ)

yoghurt 「ヨーグルト」(ヨーグルト)

 

などがあります。

 

「spaghetti」は、もともとイタリア語なので、「h」が発音されません。

 

「yoghurt」は、「h」を書かない表記もありますが、「h」のある表記もよく見られます。

 

 

(ivy 松村)