外来語の出身 ③(英語について)

帝国主義の全盛期、19世紀の世界は、イギリスが巨大な力を持つ覇権国でした。その後、2度の世界大戦を経て、20世紀にはアメリカ合衆国が超大国として台頭してきます。

つまり、英語を公用語とする2つの国が、近代の世界に大きな影響力を発揮したのです。

 

こうした国際的なパワーバランスの趨勢によって、国際語の地位はフランス語から英語へと移り変わりました。現在、英語は地球上で最も有用な言語とされています。

 

日本は、第二次世界大戦前から英語を重要な外国語として位置付けていましたが、戦後、国際的にアメリカの影響を強く受ける立場であったことから、英語学習の重要性がさらに増しました。

 

日本語の中でも英語は確かな存在感を示しています。外来語の8割以上は、英語由来のものであるとされています。

 

 

日本の中学校では必ず英語を学習します。義務教育で英語学習が課せられているため、英語の基礎的な知識は、コミュニケーション上の前提や常識として扱われます。

 

例えば、「林檎」ではなく「アップル」と表現することは一般的にみられます。英単語の「アップル」が「林檎」を表すことは常識の範疇であると考えられているからです。

 

しかし、フランス語で「林檎」を表す「ポム」という言葉や、スペイン語で「林檎」を表す「マンサナ」という言葉が日常的に使われることはありません。

 

つまり、日本人は、英語の基礎的な知識を持ち、英語に対して親近感を感じているため、英語をもとにした言葉のコミュニケーションを広げていっているのだといえると思います。

そして、そのために、英語から持ち込まれる「外来語」の数は加速度的に増えています。

 

 

さて、それでは、英語に由来する「外来語」が、日本語にどのように定着しているのかを紹介したいと思うのですが、その数はあまりにも多く、枚挙にいとまがありません。ですので、特徴的なものを挙げていくことにしましょう。

 

「外来語」は、日本にもともとある言葉と組み合わされて使われることもあります。

「レポート用紙」「コピー機」「三色ペン」…

 

省略されることもあります。

「テレビジョン」→「テレビ」、「コンビニエンスストア」→「コンビニ」、「エコロジー」→「エコ」…

 

組み合わされて、省略されることもあります。

「筋トレ」「メル友」…

 

また、取り入れられる際に、発音が省略されるなどしたために、由来がわかりづらくなっているものもあります。

 

hearts →「ハツ」(焼き鳥のネタで心臓の部位)

grounder →「ゴロ」(野球用語で、転がる打球)

white shirt →「ワイシャツ」

 

など。

 

 

英語由来の外来語の中には、「二重語」と呼ばれるものがあります。もともと同じ英単語であるけれども、別々の意味の言葉として日本語に取り入れられたものです。

つまり、ある二つの単語の由来をさかのぼれば、ある一つの英語の言葉にたどり着くというものです。

 

iron →「アイアン(鉄の)」「アイロン」

second →「セカンド」「セコンド(ボクシングのコーチ)」

machine →「マシーン」「ミシン」

strike →「ストライク」「ストライキ」

truck →「トラック」「トロッコ」

 

など。

 

 

日本人が、英語をもとにして作りだしたり、英語をかけあわせて作り出したりした言葉があります。そのような言葉を「和製英語」といいます。「和製英語」には、本来の意味とはかけ離れた使われ方をする言葉を含めることもあります。

 

「和製英語」=日本語と「英語訳」の例

 

「アフターサービス」… after-sale(s) service(アフターセールサービス)

「ゲームセット」… game over(ゲームオーバー)

「パトロールカー」… police car(ポリスカー)

「サラリーマン」… office worker(オフィスワーカー)

「ノートパソコン」… laptop computer(ラップトップコンピューター)

「フロント」〔ホテルなどの〕… reception(レセプション)

「クレーム」… complaint(コンプレイント)

「コンセント」… outlet, socket(アウトレット、ソケット)

「ガソリンスタンド」… gas station(ガスステーション)

「オーダーメイド」… made-to-order(メイドトゥオーダー)

「キーホルダー」… key chain, key ring(キーチェイン、キーリング)

「カンニング」… cheating(チーティング)

「タレント」… celebrity(セレブリティ)

「サイン」〔著名人に記念に書いてもらう〕… autograph(オートグラフ)

「ガードマン」… security guard(セキュリティガード)

「ホッチキス」… stapler(ステープラー)

「クラクション」… horn(ホーン)

「オートバイ」… motorcycle(モーターサイクル)

「ジェットコースター」… roller coaster(ローラーコースター)

「ベビーカー」… baby carriage(ベビーキャリッジ)

 

など。

 

 

「和製英語」は厳密には「外来語」とはいえないという見方もできます。

 

日本人が生み出した言葉ですから、当然、英語をもとにした表現であっても、正式な英単語ではありません。ですから、英語話者には通じないので、注意が必要です。

 

 

和製英語の例などを見ていると、あるものやものごとを表すのに、日本語固有の言葉を用いるのではなく、わざわざ英語をもとに造語を行い、名称を作り出していることがわかります。

 

きっと、英語を使うと、カッコよくオシャレな印象になるからでしょう。日本語ではない言葉の響きに、心をひきつける作用があるのかもしれません。

 

「お菓子」ではなく「スイーツ」といったり、「飲み物」ではなく「ドリンク」といったり、「定食」ではなく「ランチ」といったり、「雑誌」ではなく「マガジン」といったりします。

 

 

Jポップなどの歌謡曲でも、題名に英語が使われたり、唐突に歌詞の中に英語のフレーズが挿入されたりすることも珍しくありません。

 

興味深いのは、そのような場合、わざわざ英語を使っていても、文法や語法、意味内容のおかしな表現が頻繁にみられることです。

 

おそらく、ただカッコイイから、という理由で、使いこなせない言葉を強引に使っているからでしょう。そんなときには、ちょっと哀れな気持ちになります。

 

 

私は、もともと日本にある言葉のほうがカッコいいと思います。

 

「クライマックス」よりも「山場」のほうが圧倒的にカッコいいはずだと思うのです。

 

 

(ivy 松村)