入試の「加点制度」について

私立高校入試の「加点制度」について考えてみましょう。

 

まず、「加点制度」には、「内申」によって「加点」が与えられるものがあります。

それには、「入試相談」をとおす形式のものと、そうでない形式のものがあります。

 

たとえば、法政大学高校は、「内申」によって入試得点に「加点」を行いますが、「入試相談」の必要はありません。

 

一方、帝京大学高校も「内申」によって入試得点に「加点」を行います。しかし、こちらは「入試相談」が必要です。帝京大学高校の受験は、「併願優遇」の「基準」に届いていれば「加点」がもらえることになっています。

これは、いわゆる「加点タイプの併願優遇」です。「併願優遇」と名の付く出願は、必ず「入試相談」が必要なので、中学校の三者面談の際に「併願優遇」で受験したいと伝えておかなければ、「基準」に届いていたとしても、「加点なし」の受験になってしまいます。

 

 

「併願優遇」は、「優遇の内容」によって、2つのタイプに分けられます。ひとつは、「合格の確約」があるタイプです。そして、もうひとつが「加点」がもらえるタイプになるわけです。

 

また、帝京大学高校の「併願優遇」は、「入学の縛り」もありません。

 

帝京大学高校の「併願優遇」は、内申の高い受験生に「加点」を与えるが、合格しても「入学の縛り」がない、というものになります。

 

つまり、法政大学高校と帝京大学高校の受験は、ほとんど同じ「構図」の受験であるというわけです。その違いは、「入試相談」を行って出願するかどうか、というものです。

 

ただし、その加点の仕組みは大きく違います。

法政大学高校の「加点制度」はその区分が細かく設定されています。

帝京大学高校の場合は、「基準」が一律に設けられていて、しかも、それはなかなか「ハイレベル」です。

 

法政大学高校の「加点制度」はホームページに詳細が載っています。

帝京大学高校の「基準」は、学校か塾に聞いてみるとわかると思います。

 

 

「加点」の要素のひとつとして、「内申」を考慮する高校があるということですね。

 

 

 

次に、「入学の縛り」を受け入れる「対価」として得られる「加点」について考えてみましょう。

 

多くの私立高校は、自校への入学を最優先に考えている受験生を「優遇」する制度を設けています。

典型的に、「専願・単願」と呼ばれる出願形式です。

 

「単願・専願」には、2つのバリエーションがあります。

ひとつは、「合格の確約」が得られるものです。この場合、通常は、出願の「基準」が設けられています。

 

もうひとつは「加点」が得られるものです。

受験生は、「合格すれば、必ず入学する」という約束をすることで、入試に有利な「下駄」をはかせてもらえるわけです。

 

もし、第一志望の高校がこの制度を設けている場合には、これを利用しない理由は見つかりません。

 

 

さらに、「加点タイプの単願・専願」を用意している高校について、考えてみましょう。

 

「単願・専願」で出願する受験生に「加点」を与える高校は、その「序列」に傾向が見られます。「難関校の一歩手前」くらいの「ランク」の高校が目立ちます。

 

あまり「ランク」の高くない高校の場合、「加点」ではなく、「合格の確約」を出して、入学する生徒を多く集めようとします。したがって、「加点タイプの単願・専願」が採用されません。

 

また、「ランク」の高い高校の場合は、その高校を第一志望とする受験生が多く集まるので、「単願・専願」というような「インセンティブ」が、適切に機能しません。

 

したがって、「単願・専願」の出願に対して「加点」を行うのは、中位・中堅という位置付けの高校が多くなるわけです。

 

 

「加点タイプの単願・専願」の「受験」も、「入試相談」が必要な場合とそうでない場合があります。

そのうち、「加点タイプの単願・専願」であるという「建前」になっていても、実質的に「合格の確約」を出すような高校の場合には、必ず「入試相談」をすることになります。

 

 

 

「加点」の3つ目の項目は、「複数回受験」です。

 

MARCHの付属校などの人気のある私立上位校の推薦入試の多くは、ほぼ一般受験と同じ形式の「受験」となります。つまり、受験者のうち、合格点に達した者が合格し、そうでなかった者が不合格になるわけです。

結局のところ、こうした高校の推薦入試は、「複数回受験」の機会として機能します。

 

推薦入試が不合格となり、一般受験を受けることになった受験生に対して、「加点」を行う高校がありますが、これは、「複数回受験」をする受験生に対して行う「優遇措置」であると考えることができるわけです。

 

しかし、こうした高校は、推薦入試を出願することができる「内申」の「基準」を設けていることがほとんどなので、本質的には、「内申」と「専願・単願」(推薦入試には「入学の縛り」があるので)を複合させた二重の「指定条件」を満たした生徒に対して行う「加点」であるとみなすべきなのかもしれません。

 

 

また、一般受験でも、複数回の受験日を設けている高校で、2回目(さらに3回目)の入試得点に、「加点」を与える高校もあります。

 

 

 

まとめてみましょう。

 

入試の「加点」の項目は、以下の3つになります。

 

 

①内申

②単願・専願

③複数回受験

 

 

「加点」は、「受験」において、説明不要の、簡潔明瞭な「アドバンテージ」となりますが、それを得るためには、何かしらの「対価」が必要になるわけです。

 

また、「加点」に関しては、その「情報」を持っていなければ、その「権利」を持っていても活用することができません。

 

学校や塾、高校の説明会などをとおして、詳細な情報を集めたうえで検討することが大切です。

 

 

(ivy 松村)

 

 

合格の確約を出す「受験」について考えてみる

「合格の確約」を出す「推薦入試」「単願・専願」「併願優遇」について考えてみましょう。

 

そのためには、便宜的に、「用語」を下記のように定義してみるとわかりやすくなると思います。

(スポーツ推薦や自己推薦等の特殊なものを除いて考えてみます。)

 

 

・「選抜」…入学者を募集し、「合否判定」を行い、合格者に入学の許可を与える

・「受験」…応募した入学希望者の「学力審査」を行う

・「入試」…「学力審査」の方法の一形態、通常はペーパーテストを行う

 

 

今、ここでは、「入試」と「受験」と「選抜」は等式で結ばれる概念ではありません。

「入試」の上位概念が「受験」です。さらに、「受験」の上位概念が「選抜」です。

 

 

「受験」とは、端的に、「学力審査」を課す、あるいは、「学力審査」を受けることをいいます。

 

その「学力審査」の方法は、必ずしも「入試」であるとは限らないということに留意しなければなりません。

 

 

 

「入試」を行わない「受験」が存在します。

 

たとえば、大学受験における「指定校推薦」は、「入試」によって学力を測っているわけではありません。別の形で「学力審査」を行い、合否を判定しているわけです。「指定校推薦」は、学業やその他の活動における「取り組みや業績」を審査し、評価したうえで合格を出すわけです。

 

 

「入試」は、受験生の学力を審査する方法のひとつです。

「学力審査」の方法は「入試」だけではありません。

「入試」とは別の方法で学力を測る「受験」もあるわけです。

 

 

 

「学力」をどうとらえるのか、という問題も絡んできます。「一発勝負のテスト」に強いことが、「学力」の必須条件ではないと考える人も多くいます。また、「運」の要素も入り込んできます。

 

一般的な「入試」である「一発勝負のテスト」では、受験者の総合的な「学力」を適切に測ることができないという考えには、一定の「理」があります。

 

定期テストや授業の課題をしっかりとこなすという「学力」を評価したいと考える高校もあるわけです。もしかすると、「一発勝負のテスト」よりも確かな「学力審査」ができるといえるかもしれません。

 

 

 

「入試」にとらわれない「受験」が想起されます。

形式的に「入試」と名づけられた「試験」を実施しながら、それとは別の基準で「学力審査」を行い、合否を判定する「選抜」です。

 

 

 

よく見渡してみれば、中・長期的な取り組み、積み上げた業績・成果を評価し、合格を与えるような「選抜」は、広く世間一般で行われていることに気づきます。高校受験に即していえば、「中学校の成績」を評価して、「合格の確約」を出すような形態の「受験」です。

 

要するに、「合格の確約」を出す「推薦入試」や「単願・専願」、「併願優遇」などは、「中学校の成績」にもとづいて「学力審査」を行っているといえるわけです。

 

 

さて、ここで重要なのは、これらの形態の「受験」は、「試験」の得点を考慮しないという点です。いわゆる「合格の確約」を出すような「受験」は、「試験」の結果を前提としていません。「中学校の成績」という別の基準を焦点としているからです。

 

また、この場合、「受験」と「選抜」は一体的です。出願資格が、「学力審査」を担っているわけです。そして、出願資格を満たせば、合格が与えられます。

 

「合格の確約」をもらえる「推薦入試」や「単願・専願」、「併願優遇」などは、出願時点で合格を得ることができるわけですが、それは、その時点ですでに「学力審査」を終えて、「合否判定」が完了してしまっているからなのです。

 

これらの形態の「受験」では、一応「試験」を受けることが義務づけられていますが、もちろん、学力を審査することが目的ではありません。

それは、ある種の「儀礼的行為」であると解釈しなければなりません。

 

もしかすると、「受験料」を徴収する名目のためなのかもしれません。

その上で、「試験」という可視的な「儀式」を経て、高校に進学するというプロセスを受験生に提供する意味合いがあるのでしょう。

 

 

 

それでも、釈然としない人もいるでしょう。

それは、「入試」を絶対の基準にして「受験」を考えているからなのだろうと思います。

 

「入試」にもとづいた「学力審査」こそが、もっとも公平な「受験」であり、その結果に準じて「合否判定」を行わなければならないという社会通念が強くあるのも事実です。

 

しかし、上述してきたように、「入試」は「学力審査」の方法のひとつであって、唯一の方法であるというわけではありません。

ですから、「中学の成績」をもとにして「合格の確約」を出すような「受験」に対して、「試験の得点」を論拠にして論難しようとするのは、どちらかというと的外れな考えです。

 

「入試」を絶対視する考え方は、「受験」(あるいは「選抜」)という制度を画一的に捉え過ぎているように思います。

 

「入試」を基準にして「受験」を考えると、さまざまなものを見落としてしまうでしょう。

 

 

 

(ただし、一点、念を押して付け加えなければなりません。「完全に」公的な資金によって運営されている公立学校の「選抜」は、やはり、誰もが納得のいく形を追求しなければならないと思います。ですから、都立高校および国立大附属高校は、「入試」に比重を置いた「受験」を行わなければならないと考えます。)

 

 

 

(ivy 松村)

 

 

受験パターンについて⑦(都立高校「一般入試」)

⑦都立高校+私立「一般入試」

⑧都立高校+私立「併願優遇」

 

 

都立高校入試については、これまでにも多くの記事を書いてきました。

 

過去の記事を読んでいただく方が、伝わるように思います。

ただ、下記の記事を書いた当時と現在で、私の考えや状況が変わっているところもあります。

(お読みいただくとわかると思いますが、今回のシリーズを書くうえで、「言葉づかい」を変えた部分もあります。)

 

 

塾内生のみなさんには、直接「オンタイム」の情報をお伝えします。

 

ブログをご覧の方には、参考となれば幸いです。

 

 

 

高校受験を見渡す②(併願優遇)

高校受験を見渡す③(私立一般入試と都立高一般入試)

 

「塾の視点」(「都立併願」①)

「入試の経験値」(「都立併願」②)

「私立安心校」(「都立併願③)

 

都立志望の生徒が私立高校を受験するべきである理由

 

 

 

(ivy 松村)

 

 

 

そうだ、相談に行こう。

この時期には、高校の「説明会」が数多く開かれます。

 

その中身は、大きく分けると3つのタイプがあります。

 

①高校の授業内容や進学実績など、「魅力」を伝えて生徒募集につなげようとするもの

②入試の制度や方針、問題へのアプローチなどを解説してくれるもの

③進学についての相談にのってくれるもの

 

単独でこうした内容のイベントが行われることもありますが、これらの3タイプを組み合わせた「説明会」が開かれることが多いようです。

 

 

①は、どんな高校なのかを案内するものです。

共通問題の都立高校の「説明会」は基本的にこのタイプです。

「耳よりの情報」が得られることは、あまりないと思います。

率直にいって、このような「説明会」に時間を費やすのは、ちょっと時間がもったいない気がします。夏までに見学しておきましょう。

 

②は、入試問題の傾向や、作問の方針などを高校がレクチャーしてくれるものです。採点基準や、得点配分などを知ることができれば、今後の受験勉強に反映させることができるでしょう。また、得点や合否に関するデータを知ることができる場合もあります。

こうした情報は、過去問演習を行う際に有効な情報となるでしょう。

 

③は、「個別相談」あるいは「入試相談」「受験相談」「進路相談」「事前相談」などと呼ばれているものです。受験しようと考えている高校が「個別相談」を行っている場合には、基本的に出向かれたほうがいいと思います。

 

「相談」というのは、もちろん、「悩み相談」のようなものではありません。

高校側に「合格できる可能性」があるかどうか、を判断してもらうというものなのです。判断の基準は基本的には学校の成績ですが、検定や模試などの成績も総合的に評価してもらえる場合があります。

また、「ぜひ、お世話になりたい」という思いを示すことが、高校にとっても、さらに、受験生本人にとっても重要であることが多いと思います。「なんとしても行きたい」とう思いを「相手」に受け止めてもらうことは、受験に向けての取り組みによい影響をもたらすかもしれません。

 

推薦や単願・専願での受験を考えている生徒で、複数回「個別相談」に行くような例は結構あります。仮内申が出る前と出た後で状況が変わっていることがあるわけですね。また、12月中に「成績」の状況が変わることもあるわけです。結局、一般入試を受けることになったとしても、それが無駄にならなかったということもあるかもしれません。

 

その他、特待生や奨学生など、授業料の優遇の制度について詳しく聞くことができます。

大学進学の実績を上げようと努力をされている私立高校は、優秀な生徒を多く集めたいと考えています。高校側に、そういった生徒であると評価してもらえたときには、授業料の優遇を受けながら「特進クラス」などで手厚い指導を受けることができるかもしれません。

もしかすると、「微妙な都立高校」に進学するよりも、何倍もよい進路となる可能性もあります。

 

「特待生」などの制度は高校によって大きく違っています。

出願の前に「相談」が必要な場合、出願の際に認められる場合、あるいは、入試の成績がよかった生徒に権利が与えられる場合など、様々な形式があります。

また、その内容や基準、審査の方法などは、やはり高校の入試担当の先生に直接聞く方が、詳細をわかりやすく知ることができると思います。

 

当塾にも、入試担当の先生がお見えになって、「特待生」などの制度を詳しく説明してくださることがあります。話を聞かせていただいて、本当に魅力的だなあ、と思うこともけっこうあります。

 

 

 

12月になると、中学校の三者面談が始まりますが、この三者面談で私立の受験校を固めることになります。都立高校は2月に入ってからでも志願変更が可能ですが、私立の推薦、単願・専願、併願優遇などの「しばり」があるタイプの入試を、中学校をとおして受ける場合には、ここが「制限時間」になります。

 

 

12月15日に中学校と高校の間で「入試相談」が行われることになっています。

中学で配布される「年間行事予定」の12月15日に、「入試相談」と記してある中学校があります。中学校としても、「入試相談」は重要な行事のひとつであると考えられているということになります。

 

 

中学と高校の間で行われる「入試相談」は、ある意味で、中学をとおして行う「受験生・家庭」と高校の「相談」であるといえます。中学校が仲介して「相談」を行っているわけです。

 

一方、高校が「受験生・家庭」に向けて開く「個別相談」は、ある意味で、中学を介さない直接の「相談」であるといえます。

必ず中学をとおして「相談」をしなければいけないというわけではないので、これは制度外のものではありません。「個別相談」の制度は一般的に認められたものです。特に、埼玉県など、慣例的に中学の「入試相談」が行われてこなかった地域では、必要とされるものだったのです。

 

 

 

通常であれば、中学をとおして「入試相談」をする方が安心できますし、変ないいかたになってしまいますが、「経済的」です。

しかし、スポーツ推薦のようなちょっと特殊な受験を希望する場合や、直接訊いてみたいことがある場合には、高校で開かれている「個別相談」を利用したほうがいいのかもしれません。

 

なかには、中学との「入試相談」は行うけれども、「受験生・家庭」向けの「個別相談」は行っていない高校もあります。その場合には、もちろん、中学の先生に「相談」をお願いすることになります。

 

 

 

新聞報道等で明らかにされたことですが、塾が「入試相談」を行うことがあるようです。

 

塾のテストで推薦、単願・専願、併願優遇を取れると説明を受けている場合には、それは文部科学省からの「通知」を意図的に無視した「ルール違反」をおかしているということになります。

 

 

一応触れておくと、これが「メリット」になるのは、ごく限られた一部の生徒だけです。

 

 

①まず、推薦などを「塾の基準」で得られたとしても、そのほとんどの受験生は中学校の基準をクリアしているので、わざわざ塾をとおして「相談」をする意味がない

 

②そもそも、学力的に、一般受験で合格できるランクの高校が対象となっている

 

③生徒(と受験料)を集めるために、そのようなことを行っている高校(と塾)に、魅力を感じるかどうか

 

④まともな塾であれば、もっとよい高校を知っていて、別の受験パターンを勧めるはずである

 

 

ということで、塾の「入試相談」を使える人は、「そういう高校」に受験料をお支払いになればいいとは思いますが、もう少しまともな受験パターンというものも考えてみたほうがいいかも知れません。

(「そういう高校 」の大学合格実績は、「装飾」をはがしてみると、やはり微妙です。)

 

 

 

明日も「説明会」に行ってくる生徒がいます。

よい情報を持って帰ってきてほしいと思います。

 

中3は昼過ぎから授業をすることになっているので、その分勉強に遅れが生じますが、後からしっかり追いついて来てください。

 

明日は文法問題で、明後日は早実の過去問です。

 

では、明日もお待ちしております。

 

 

 (ivy 松村)

「合格難易度」を読む

私立高校の「合格難易度」が大きく変化することがあります。

 

 

たとえば、ある高校の入試日程が変更された場合、受験生の分散や集中が起こります。

 

昨年度は慶應義塾高校が、神奈川県の県立高校入試の日程変更の影響で、一次試験日を従来の2月13日から2月12日へ変更しました。

これによって、例年2月12日を入試日に設定している明大明治や青学と日程が競合しました。

逆に、慶應義塾と2月13日に入試を行っている国立大附属高校の併願が可能になりました。

 

今年の入試では、桜美林高校の2回目の入試日が2月12日から2月13日に変更されます。

 

 

また、よく知られている中学受験の用語に「サンデーショック」というものがありますが、同じような例は高校受験にも起こります。

「サンデーショック」というのは、主にプロテスタント系の学校が教義で「安息日」とされている日曜日の試験実施を避けて、その年だけ試験日をずらす処置をいうものです。

本来ならば同一日に入試が行われる学校のうちの一部が、入試日程を変更してしまうために、例年とは違った併願受験が可能となります。

(また逆に、併願が不可能となる場合もあるわけですが。)

 

 

その他、選抜基準や試験科目の変更が影響する場合もあります。

 

(選抜基準という点では、私立高校ではありませんが、本年度、東京都立高校入試の内申点の計算方法が変更され、「特別選考枠」が廃止となったことが挙げられます。)

 

法政二高は、神奈川にある男子校ですが、今年度から女子の募集を行います。

共学化によって人気が高まり、受験者数が増加するだろうと予想されています。

 

私立高校の入試では、優遇制度や加点制度が度々変更されることもあるので注意が必要です。

 

配点や試験内容が変更されることもあります。

この場合、あらかじめ告知される場合と、入試本番にそれに気づかされる場合があります。

「その情報」を高校側が発信している場合には、それを見逃すことがないようにしましょう。

 

 

 

さて、「合格難易度」の変化をもたらすもっとも大きな要因は、募集人員や定員の増減であるといえます。

 

ある私立高校が、「特進コース」や「英語科」のような特別クラスを設けた場合には、募集人員に変化が生じます。

 

あるいは、全体の募集人数が固定されている場合、複数の選抜方式の選抜人数の「配分」によって、結果的に定員が増減することがあります。

たとえば、推薦入試の定員が増やされたときには、その分、一般入試の定員が削減されることになります。

または、推薦入試で予定より多くの合格を出した場合、必然的に、一般入試の定員数が削減されることになるでしょう。

 

 

中学併設校の場合は、中学の生徒数との兼ね合いで、高校の募集人員が増減します。

中学を新しく併設した学校は、当然その分、高校募集枠を減らさなければならなくなります。

また、中学入試で、予想以上の手続きがあった場合には、内部進学生が「超過」状態になってしまうので、高校の募集で「調整」をするために、定員が絞られることになります。

 

 

もちろん、中学を併設していない高校であっても、過去2年の入学者数に応じて、定員を増やしたり減らしたりすることになります。

 

単純化していえば、前の年度で多くの生徒が入学したら、次の年度は合格者数が絞られることになるわけです。

 

各高校で収容できる生徒数は決まっています。一部の高校を除いて、ある意味で「営利団体」でもある私立高校は、限度に近い生徒数を抱えようとします。

ですから、常に生徒数を一定に保とうとするのではなく、「超えてしまったら、減らす」というような対処法的処置を行います。

 

調べてみるとわかりますが、各学年の生徒数が「いびつ」な高校がいくつかあります。

 

高校側は、どれくらいの割合の生徒が入学手続きを行うのか、予測を立てて合格者を出すわけですが、特に、他校の合否結果の影響を強く受ける「位置」にある高校は、「手続率」(歩留まり)を読み間違ってしまうことがあるわけです。

 

 

 

たとえば、ある高校が一般受験で200人の生徒を募集し、「手続率」を4割と予想していたとします。

600人の受験生が集まり、500人が合格を手にします。

500人のうちの4割に当たる、200人が入学する計算でした。

 

ところが、予想以上に「手続率」が高く、5割の生徒が手続きを行い、250人が入学することになりました。

生徒数が「超過」しています。

 

「超過」している「50人」を、次の年で調整しなければなりません。

 

そうすると、次年度、同じように600人が受験した場合でも、150人の入学者となるよう「調整」しなければいけないわけです。

今度は「手続率」を「5割」で考えなければなりませんから、合格者数を300人に絞ることになります。

 

こうして、この高校では、ある年度とその次の年度で、合格者数が「500人」→「300人」へと減少します。

そのため、実質倍率が「1.2倍」→「2.0倍」へと上昇することになります。

 

 

これは、私立高校の「合格難度」が上昇したり下降したりするメカニズムを示すための簡易的なシミュレーションにすぎませんが、実際に起こりうるものです。

 

私立高校の入試は、単純な「高校ランキング」のような指標だけで計るべきではないのです。

 

他の高校の受験状況の影響をうけたり、過年度の入試結果が反映されたりして、「合格難易度」は推移するのです。

 

 

蛇足の話になりますが、学校の「格」や「ランク」を計る一つの目安は、「補欠」や「追加合格」にあると思います。経営や運営に「ゆとり」のある学校は、できる限り合格者数の調整を次年度に持ち越さないようにしているわけです。

 

 

 

さらに、「合格難易度」の話をもう少し。

 

なるべく多くの受験生を集めたい、なるべく多くの生徒を収容したい、と考えている高校は、「併願優遇」を活用します。

 

高校の先生方の「営業努力」が実って、多くの「併願優遇」を利用した受験生を集めることができれば、その分、「フリー受験」の合格者が絞られることになります。

それによって、「合格難易度」が変化する高校があります。

 

 

たとえば、一般受験で200人の募集をしている高校があるとします。

その高校に、合格の「確約」をもらえる「併願優遇」を使って応募した受験生が300人いるとしましょう。

また一方、「併願優遇」ではない「フリー受験」の受験生も同じく300人いるとしましょう。

 

高校側が全体の「手続率」を4割であると予想していたとすると、合格者の合計は500人としなければなりません。

そのうち、「併願優遇」を利用した受験生は300人全員が合格します。

ですから、「フリー受験」の受験生の中から合格できるのは残りの200人ということになります。

 

「入試全体」では600人受験して500人合格ですから、実質倍率は「1.2倍」です。

しかし、「フリー受験」の実質倍率は、300人受験して200人合格ですから、「1.5倍」ということになります。

 

 

さらに、高校の先生方の並々ならぬ努力によって「併願優遇」の受験生がさらに増えると、「フリー受験」はより難化します。

 

次年度、「併願優遇」の生徒がさらに50人増え、350人集まったとします。

「フリー受験」の受験生は前年同様300人としましょう。

「入試全体」の受験生の合計は650人ということになります。

前年と同じように募集人数は200人で、「手続率」の予想は4割です。

 

そうすると、合格する500人のうち、350人が「併願優遇」の受験生ですから、「フリー受験」をする300人のうち、合格者は150人です。

 

「入試全体」の実質倍率は、受験者が増えたために、前年の「1.2倍」から「1.4倍」に上がります。

もちろん、「併願優遇」の実質倍率は「1.0倍」です。つまり、合格率100パーセントは変わりません。

 

一方、「フリー受験」の実質倍率は、「1.5倍」から「2.0倍」へと大きく上昇することになります。

 

「併願優遇」に力を入れている高校の「フリー受験」は、「併願優遇」がより広範に活用されるほどに、厳しい受験となります。

 

 

そのこと自体は、必定のことです。愚痴を言ってもはじまりません。

受験生は、自身の学力や受験制度など、さまざまな葛藤と向き合って自分の「受験パターン」を決めていくのです。それが受験というものの宿命だと思います。

 

 

しかし、仮に、の話ですが、ある私立高校が、「併願優遇」の制度を、特定の受験生だけが参入できるような方法で「極端に拡大」する戦略をとった場合、私は、もう、その高校を生徒たちに勧めることはできません。

 

実際以上に受験が厳しくなるということもありますが、その高校が、生徒たちを大切にしてくれるとは思えないのです。

 

 

(一応念のために 付け加えますが、「併願優遇」という制度そのものは、必ずしも否定的にとらえるべきものではないと思います。この制度が公平に運用されていないのだとしたら、それは問題であるということです。)

 

 

 

私たちのような塾の「ストロングポイント」は、「併願優遇」の安売りを仲介したり斡旋したりすることではありません。

 

しばりのある「併願優遇」に頼らなくても、しっかりとした信頼できる私立高校に、正当な手だてで合格する力と方法を伝えられることです。

 

そして、そのために、可能な限り受験の情報に向き合うのです。

 

(ivy 松村)

都立志望の生徒が私立高校を受験するべきである理由

昨日は、日曜日でしたが校舎を開け、生徒たちにはテスト対策に取り組んでもらいました。

 

今日、明日は、ひよどり山中の中間テスト、明日、明後日は四中、平山中の中間テスト、そして、金曜日には七生中の中間テストがあります。

土曜日は「英検」です。

その次の週の水曜日、木曜日が二中の中間テストです。

 

がんばってください。

 

 

中3は、昨日はVもぎを受けて、その足で校舎に来て、見直し・復習をしていました。

 

模試や過去問の復習の仕方を、かなり細かく説明しました。

今後も継続して取り組むようにしてください。

 

 

 

今週と来週で中間テストが終わります。

 

中間テストをふまえて今後の学習の方針などを、ご家庭と話し合う機会として、ivyで10月の中旬から「保護者面談」を実施することとなっています。

 

 

特に中3受験生のご家庭とは、受験校や受験パターンなどについて、具体的なお話をさせていただきます。

 

このタイミングで、ある程度受験の方向性を固めておかないと、この後で行われる中学校の「三者面談」で、中学の先生が主導する受験パターンに誘導されてしまいます。

 

 

 

10月の終わりから11月の頭にかけて、各中学校では2回目の「三者面談」(または「進路面談」)が行われます。(1回目は7月に行われています。)各中学校の担任の先生、または進路指導の先生と受験校について話し合うものです。

 

そして期末テスト後の 12月初旬の3回目の「三者面談」で、受験校をほぼ決定します。

 

 

こうした「三者面談」を、「どの学校に入れそうか」という相談をするものだと勘違いしている方は、注意が必要かと思います。

 

このブログでも過去に何度も書いてきましたが、学校の先生は基本的に、「どこかの学校に入ってくれればいい」と思っています。

「なるべく良い進路に、」とか「少しでもいい高校に、」という視点ではなく、「必ず進学できる高校を確保する」ということを優先します。

 

学校の先生にとっては、なるべく手短に、なるべく簡潔に、なるべくスムーズに「確約」を得られるような形で話がまとまるのが一番いいわけです。

 

そのため、私立高校で、推薦、単願(専願)、併願優遇で、「確約」がもらえる入試を「軸」にして受験が組み立てられます。

 

 

都立高校を第一志望とする生徒は、基本的には、受けたい都立高校を受けなさい、と言ってもらえます。どれほど可能性が低くても、最終的には好きなところをうけなさい、ということになるはずです。

そのかわり、必ず私立の「併願優遇」を使って、都立がダメだったときに進学する高校を確保するように、念を押されるでしょう。

 

「併願優遇」とは、平たくいえば、高校側が内申点などをもとに合格の「確約」を出すものです。

 

詳しくはこのブログの過去の記事を参照してください。

 

高校受験を見渡す②(併願優遇)

 

 

 

中学校の先生の「進路指導」の重点は、「第一志望合格」ではありません。

中学校の先生は、生徒たちを「高校進学」という形で卒業させれば、それで責任を果たしたということになります。

 

 

学校の先生にとって、「進路」は究極的には「1」か「0」です。

「1」、つまり「高校入学」という結果であれば、「十分」だといえるわけです。

 

第一志望の高校であっても、「併願優遇」の高校であっても同じ「1」です。

その価値は変わりません。

 

これが、塾の「進路指導」との決定的な違いです。

 

 

塾の教師は、そういうわけにはいきません。

生徒の将来を、もっと「綿密」に考え、受験をもっと高度な戦略のもとにとらえます。

 

 

私たちは、高校受験をかなり幅広くとらえます。

「1」か「0」というような二元論ではなく、受験を、重層的な選択域として考えます。

 

 

 

たとえば、都立国立高校を第一志望とする生徒がいるとします。

中学校の先生は、単純に、ある私立高校の「併願優遇」を受けるように言うでしょう。当然「確約」という言葉は使いませんが、その高校に必ず合格できるという「見込み」を持っているわけです。

だから、私立入試は一校だけ受ければいいというわけです。

とりあえず都立の推薦も受けてみなさい、とも言うでしょうから、多くても3回の受験ということになります。

 

 

一方、塾は、より複雑な戦略性で受験と対峙しています。

 

国高への「進学希望度」を、とりあえず「10」で表すとしましょう。

 

中学校の先生は「1」か「0」で受験をとらえていますが、受験生の心情としては、第一志望の国高を「10」とすると、「併願優遇」の受験をする私立高校の「進学希望度」は「3」程度だろうと思います。

 

この「落差」は、その後の人生に大きな影響を及ぼし得る危険なものですが、悲しいことに、多くの人がこれを直視しません。「絶対に合格する!」などと言って、「賭け」に突入してしまうのです。

 

 

 

私たちは、「10」がダメだったときに、たとえば「3」の高校に進学するような事態を看過することができません。

「進学希望度」が「9」や「8」の高校も受験しておくべきだと考えます。

 

 

国高を目指すレベルの受験生であれば、2月10日~2月12日の私立高校入試では、進学先として魅力のある高校を受験するべきだと思います。

たとえば、10日は早実、慶女、ICUなど、11日は豊島岡、早大学院など、12日は慶應義塾、青学、明明などの上位校です。

さらに、2月13日の国立大学附属高校や2月21日の高専を受験することも、選択肢に入ってくるでしょう。

 

そうすると、この日程以外で「おさえ」の高校を確保する必要が出てきます。

そのために、都外の私立高校の受験が視野に入ってくるのです。つまり、都外の私立高校の入試で「確約」を確保して、2月10日からの都内・神奈川の私立高校入試で「勝負」するという流れです。

 

「1」か「0」という受験ではなく、「10」か「9」か「8」か「5」か「3」・・・というような受験です。

 

 

「10」がダメだったときに、「9」の高校に行くのと、「3」の高校に行くのでは、残酷なほどに対照的な結果です。

 

また、これも何度もブログに書いてきましたが、都立高校入試では、私立高校の入試結果をふまえて受験校を変更する「志願変更」という制度が設けられています。

ですから、もし、「9」「8」といった「進学希望度」の高い私立高校入試で良い結果が得られなかった場合は、都立の受験校を再考することもできます。

 

 

 

大学受験で国立大学を考えているご家庭は、なかなか難しい部分もあると思います。

近年は、高校募集をしている私立の進学校が少なくなっています。そのため、上位私立高のほとんどが大学附属高となっています。

 

そんななかで、私立大学に行くつもりがないのでこうした高校を受ける意味がない、と考えるご家庭もあると思います。

 

もちろん、その考えは至極まっとうな意見ではありますが、実は「受験の条理」からずれてしまっていることに注意が必要です。

 

無事国高に合格できれば何も問題ありません。しかし、ここでの話は、「そうならなかったときのために、どのような受験を考えるべきなのか」というものです。

 

端的に、「併願優遇」の高校では、国立大学への進学が遠ざかります。

 

高校受験での「つまずき」による「ダメージ」が一層大きくなってしまうのです。

はっきりいってしまえば、早慶MARCHに進学できる可能性さえ遠ざかるでしょう。

 

 

もうひとつ付け加えるなら、国高の入試問題、つまりグループ作成校の入試問題よりも、上記の私立高校の入試問題の方が「高度」だということも考慮すべきです。

「相性」などもあるので一概にはいえませんが、求められる知識や技能は、私立の最上位校の入試問題のほうが高いのです。

 

一般的に考えるならば、私立の上位校に向けた入試対策を受けた受験生の方が、都立の最上位校の入試においても得点力では有利になります。

 

 

「受験」というものを大きく誤解している人は、なるべく「省エネ」で受験を突破するのが「賢い」やり方だと考えます。

それは、都立高校の入試対策だけを集中的に行えば、得点力を最も効率的に上げることができるというような、短絡的な思考です。

そのために、私立高校は「併願優遇」で「確約」をもらっておけばいいという発想になるのでしょう。

 

つまり、「高校受験」のことしか考えていないわけですが、実は、そのような「目先のこと」だけに対処する方法論にしがみついていては、その先にある「大学受験」を突破することが難しくなります。

 

 

まず、高校に入学した時点で、私立高校入試を戦った受験生との間に学力の「差」がついているわけですが、それは単に知識や情報が足りないというだけではありません。

 

高校の勉強がスタートする前にすでに、学習に対する「意識」や「耐性」で大きく引き離されているのです。

誤解を恐れずにいえば、「学習者としての質」で劣っているわけです。

 

「なるべく楽に」という価値観の人間と、「より多くの努力」を当然のことであると考えている人間が競っていくわけです。

それは結局、大学入試、そしてその先で、目に見える「差」となって現れるでしょう。

 

 

(もちろん、世の中には信じられないほど優れた頭脳を持った人もいます。データや分析の「外側」にいるような人たちです。たまに、そのような人の例を出して「反論」する人がいます。「でも、そうではない人もいますよ・・・」というように。ちょっと考えればわかりますが、その行為は限りなく無意味です。「普遍的な法則」を主張しているわけではないので。例外はいくらでもあります。)

 

 

 

以上のようなことをふまえて、たとえ都立高校を第一志望としている受験生であっても、積極的に私立高校入試を「活用」したほうがいいと考えます。

 

ただし、これはあくまで「塾の論理」であって、受験は、生徒・ご家庭が納得のいくものであるべきだと思います。

 

来週からの面談では、こうした部分も含め、ひざを突き合わせてお話したいと思っております。

 

 

 

今後の高校入試に向けたスケジュールです。

 

※入試まで

 

・中間テスト

(塾の保護者面談①) 10月中旬~

・中学校の「三者面談」① 10月下旬~11月初旬

・期末テスト   11月後半

・「仮内申」の告知 11月下旬

(塾の保護者面談②) 11月下旬~12月初旬

・中学校の「三者面談」②  12月初旬

・中学と高校の「入試相談」 12月15日

 

 

※高校入試

 

・都外私立高校入試(山梨・埼玉等)1月~2月

・私立高校推薦入試 1月22日~

・都立高校推薦入試 1月26日(27日)

・私立高校入試(東京・神奈川等)2月10日~

・国立大学附属高校入試 2月13日

・国立高専入試 2月21日

・都立高校入試 2月24日

 

 (ivy 松村)

 

「受験相談」報道について考えてみる③

8月20日に、関大一高の「受験相談」の記事が掲載されました。

 

その記事は複数の記者の署名記事でしたが、その翌日、同じ「記者チーム」によって、新たな記事が書かれています。

 

<首都圏の私立高5校>模試の結果で合格確約

 

 

全国展開する大手学習塾が、塾内で実施した模試の成績によって、私立高校から合格の「確約」をもらっていたという記事です。

しかも、その塾内模試を生徒に受けさせる前に、出題される問題を生徒に知らせていたという内容です。

 

 

どうやら、「話」は関大一高だけでは終わらないようです。

 

 

学習塾と私立高校の「癒着」に踏み込んで、「不正を暴こう」という、報道機関の「動き」があり、そのうえで、「火付け」を行って、報道の「波」を作ろうとする意図があったのではないかと思います。

「キャンペーン」、といってよいのかわかりませんが、ある種の「プロジェクト」として一連の流れが仕込まれています。

 

 

上掲の新聞記事では、問題の学習塾名を公表していません。

報道機関にもいろいろなしがらみや思惑、制約があり、思うように記事を書けないことがありそうです。

 

 

記事によれば、件の学習塾は関東と東海に展開しているようです。

すると、「名古屋」あたりが拠点となる塾のようですが、その塾と東京と埼玉の私立高校との間で「約束」があったということなので、首都圏の教室で、記事に書かれているような動きがあったのでしょう。なるほど。

 

ところで、昨年、私はこのブログに、上の新聞記事と関連のありそうな内容を書いています。

あわせて読んでいただくと見えてくることがあるかもしれません。

 

塾の「併願優遇」?

 

 

 

さて、今、ここで焦点となっている「受験相談」の報道ですが、以下のように展開しています。

 

 

1.関大一高の「受験相談」が発覚

<大阪・関大一高>入試前に大半「合格」 中学側と調整(前々回のブログの記事)

 

 

2.文部科学大臣が記者会見で「不透明な入試」についてコメント

文科相:関大一高の選抜、不適切と認識

 

 

3.過去に、首都圏の私立高校が塾に合格の「確約」を出していた

<首都圏の私立高5校>模試の結果で合格確約(上掲の記事)

 

 

4.関西でも私立高校と塾の間で「確約」があったことがわかった

<近畿・一部私立高>塾相談会で合格確約 入試2カ月前

 

 

 

これらは、すべて同じ新聞に掲載された記事です。

下村文部科学大臣の記者会見をあつかった「2」以外は、すべて同じメンバーの「記者チーム」による記事です。

こうしてみると、一連の報道の「流れ」が周到に用意されてあったことが分かります。

 

 

「1」の関大一高の記事が「導入」となって、論難の矛先は、徐々に「本題」に近づいていきます。

以降の記事では、特定の塾名や学校名は伏せられたままです。

世間の耳目をひきつけるには、具体的な「対象」が必要です。それゆえに、「先鋒」の記事にはインパクトが求められたのかもしれません。

 

「2」の記者会見は、「1」の記事の翌日に開かれています。

これは閣議後の定例会見ですが、ここで教育行政のトップからコメントをとって、後の「展開」に組み込めるように、最初の記事を出すタイミングを8月20日にしたのかもしれません。

同じ新聞社の記者が質問をしていましたが、あらかじめ質問内容を知らせていたようです。大臣は、ペーパーを読んで答えていました。

 

「3」の記事は、昨年の報道を「蒸し返す」ものですが、合格の「確約」を得るために、塾側が模試の「予習」を行っていたという新しい事実も明るみになっています。

この記事は、「4」の記事を引き出すために据えられたのかもしれません。

 

「4」の記事の舞台は再び「大阪」です。

今年の入試で、大阪の私立高校と塾との間で「談合」があったことを取材しています。

 

 

実は、関大一高の記事が出た8月20日には、別のニュースも報じられています。

大阪府の府立高校入試で、「全国学力テスト」の結果を高校入試に反映させることが、本年度に限り認められることになったのです。

この件で、かねてから大阪府と文科省は「対立状態」になっていましたが、いったん、混乱は回避される見通しとなりました。

 

これが偶然なのか必然なのかはわかりませんが、もしかすると、府立高校の入試制度改革と一連の報道は、裏でつながっているのかもしれません。

 

 

 

「2」の記事の元になった、下村文部科学大臣の記者会見の該当部分をテキストに起こしてみました。

 

(後ろに要点をまとめておきましたので、読むのが面倒であれば、読み飛ばしてください。)

 

 

下村文部科学大臣の発言:

 

大坂の関西大学第一高等学校、今春の入試で、選抜試験の一ヶ月前に、受験生本人たちに知らせず、複数の中学校と受験相談を行い、中学校での成績に基づき、大半の合格者を事実上内定していたため、選抜試験で高い点数を取ったのに、不合格とされた受験生がいたとの報道は承知をしております。

 

当該学校を所管する大阪府によると、報道は概ね事実とのことであり、文科省としては、入学者選抜は、私立学校を含め、入学者選抜要項に示す内容に沿って行われるべきであり、例えば、中学校の成績を重視して入学を許可する方針であれば、一般入試とは別枠で推薦入試を実施することを含め、その方針を明確に反映した選抜方法を対外的に明示することが適切であると考えます。

 

また中学校側も特に、個別の生徒の進路について高校と相談する場合は、保護者や生徒に対して適切な情報提供を行うことが必要であると認識をしております。

 

全国の学校にあっては、保護者や地域の信頼を得られるよう、今後とも入学者選抜の公正・公平な実施に向けた取り組みを進めていただきたいと思います。

 

本来は、高等学校への入学は校長が許可するものであり、また、特に私立高校の入学者選抜については、自主的・主体的な改善が図られるべきものであります。

 

が、改めて文部科学省として、来月、9月30日に行う全国の都道府県の担当者を集めた会議の場で、ひとつは高等学校において、選抜要項における各学校の選抜方針を明確に反映した選抜方法を明示すること、ふたつ目に、中学においては、生徒や保護者に向けた適切な情報提供など、適切な選抜の実施に向けた取り組みを促すことを、この会議の場で文部科学省としても提起していくことによって、徹底を図ってまいりたいと思います。

 

 

要点:

 

・関大一高の報道は知っとるよ

・関大一高は、「推薦」などの別枠の入試を用意するべきやったね

・入試の方針と合格の基準はわかりやすく示さんとあかんよ

・中学校も、高校との「入試相談」の結果を保護者・生徒に伝えんとダメやろ

・まあ、でも、私立高校の入試のやりかたは、本来高校が自分で決めるべきものやからね

(せやから、ホンマはワイらがとやかく言うことでもないんやで)

・来月全国の「担当者」が集まるから、そこで注意しとくんで、それでよろしく

 

あえて「関西弁」でまとめてみました。

 

 

 

下村大臣の会見では、件の新聞社の記者が「3」の記事の内容についても質問していました。

首都圏の塾で、ある塾の塾内テストの結果をもとに、複数の私立高校が合格の「確約」を出していた問題ですね。

これも、質問内容をあらかじめ伝達してあったようで、大臣はペーパーを読んで答えていました。

 

 

下村文部科学大臣の発言:

 

 

ご指摘の点ですが、文部科学省では、平成五年の通知により、高等学校の入学者選抜は公教育としてふさわしい適切な資料に基づいて行われるべきものであり、業者テストの結果を資料として用いた入学者選抜が行われることのないよう要請をしてきております。

 

昨年、同様の指摘があった際、報道された塾および東京都・埼玉県に確認したところ、域内において確約を行っているような事案はないと、認識しているとのことでありました。

 

また、今後とも、通知の趣旨をふまえ、都道府県等に対し、公教育にふさわしい適切な資料に基づいた入学者選抜が実施されるよう要請してまいりたいと思います。

 

 

 

要点:

・文科省は20年前から、塾のテストを使って合格を出してはダメだと言っている

・去年ニュースになったので、塾のテストで合格を出した高校があるか聞いてみた

・東京と埼玉の担当者は、「ないと認識している」と答えた

 

 

 

俗にいう「つっこんだら負け」というやつですね。

 

 

 

高度に発達した文明の社会集団の中で、原則論や基本道徳にもとづいて、社会や組織の矛盾を指摘することは「痛い行動」であるとみなされることがあります。つまり、「野蛮」な行動であるということです。

 

なぜなら、精巧に組み上げられた人為的システムが完成するまでには、長い時間と労力をかけて、さまざまな利害関係の調整や、現実的判断、理想などの取捨選択がなされており、無責任な煽りは、極めて繊細な構造物を破滅させるきっかけになり得るからです。

 

「受験」の中枢にいる人ほど、横行している「入試の実態」を「公の問題」にできないわけです。

 

現在稼働している受験システムが崩壊したとき、どれほどの混乱が起き、どれだけの受験生や関係者が途方に暮れるのか、想像することができる人間にはその引き金を引くことができないのです。

 

 

一方で、多くの人がそのシステムの疲弊を感じ取っています。

「風穴」を開けてくれるような発言者が求められていることも事実です。

 

個人的には、「3」の記事のように、大手塾が特権的に「併願優遇」や「推薦」を出しているのは大きな問題だと思うので、報道機関には果敢に取り上げていただきたいと思います。

 

(「4」の記事にあるように、塾団体が個人塾を集めて「進学相談会」を開くのもそれが原因です。連合して大手のアドバンテージを追尾しなければならなくなるのです。)

 

 

 

さて、今回のブログでは、関大一高に端を発する「受験相談」報道を追いかけてきました。

 

ありきたりなことをいうようですが、メディア情報には、演出や思惑、打算などが反映されることがありますから、そのままを「鵜呑み」にしてはいけません。

 

 

情報を評価・分析・判断する力のことを「情報リテラシー」といいますが、この力は、これからの時代、さらに重要なものになっていくと思います。

 

 

受験は「情報戦」でもあるので、私を含め、塾の教師は特に情報を深く読もうとします。

 

 

ふと思ったのは、関大一高の入試です。

分かりづらい人には分かりづらいのでしょう。

しかし、インターネットを使って、少し情報を収集するだけで、この高校の入試の全容を理解することができました。

 

 

 

「入試の仕組みが分かりづらい」と多くの人が口に出します。

もちろん、分かりやすい方がいいのでしょう。前回の記事にも「入試制度はわかりやすいほうがいい」と書きました。しかし、なんでもかんでも「1から10まで」説明することが果たして全面的に良いことなのかどうか、という疑問もあります。

 

 

将来を左右する入試という一大事に際して、成り行き任せで情報も集めない人間に、豊かな未来があるとも思えません。

 

 

「オトナの世界」では、「全部」を説明してくれることなどあり得ません。

事態や事情を自分で読み取れない人間は、「その程度」だと評価されるでしょうし、事態や事情を読み取れないおかげで、重大な失敗や損失を招くこともあるでしょう。

 

 

まあ、未来のことはともかく、受験に際しては、周りが噛み砕いてくれるのを待っているのではなく、自ら主体的に情報と向き合べきだと思います。

 

 

 (ivy 松村)

 

 

塾の「併願優遇」?

私立高校に「合格の可能性」を直接きくことができる「入試相談」は、家庭や塾がお願いすることもできます。

 

それが、内申の「基準」にもとづいたものであれば、学校が行うものと変わりがないことになります。そうであれば、家庭や塾が別ルートで「入試相談」をする意味はありません。

 

しかし、そこで、「別の基準」を認めてくれる高校が、かなりあると聞きいています。

「Vもぎ」「Wもぎ」「北辰テスト」などの模試の成績によって、「併願優遇」を出してくれるケースがあるそうなのです。

 

公式には、「併願優遇」は内申点にもとづいて実施されなければならないとされているので、中学校の先生は、このような「相談」ができるというということを教えてはくれません。

 

また、高校受験を全体的に組み立てるという意識のない個人塾や、受験の制度をよく知らない塾は、こうした模試の活用の仕方を知らないので、「外部の模試など受けなくてもいい」といった指導を行うこともあるので要注意です。

 

 

秋になって、私立高校の「学校説明会」や「入試説明会」が数多く開催されますが、そこで、直接、模試の成績をもとに「合格の可能性」を聞くことができると思います。

(「説明会」は、第一志望の学校に行って、学校の雰囲気を味わって、やる気を出すものだと考えている人は、どちらかといえば、勘違いをしていると思います。)

 

そこで、例えば、「Vもぎ」の偏差値60以上を2回取っていれば、「併願優遇」措置をとり、「確約」を認めてくれるというような「別の基準」を教えてもらえるでしょう。

 

 

学校の内申がそれほどよくない生徒でも、テストでの得点力があれば、有利な「併願優遇」のカードを手にすることができるのです。

 

模試の成績によって「併願優遇」を認めるというケースは、どうやら一般的にあるということのようです。

 

中3生は、2学期以降は月に1度くらいのペースで会場模試を受けておいた方がいいと思います。そのことが、あとで意味を持ってくることがあるかもしれません。

 

 

さて、しかし実は、このような、模試の成績で「併願優遇」を認めることは、正式なものではありません。もちろん、ホームページや募集要項などにも一切書かれていません。

 

内申以外の「基準」で高校が「併願優遇」の措置を取ることを、行政は快く思っていないのです。

 

ですから、こうした話は、もしあるとすれば、高校側と、家庭や塾などの受験者側が「直接」確認し合うはずなのですが、最近は、かなり大雑把な扱いになってきているのかもしれません。

 

 

先日、河合塾が、「独自」の基準で受験生に「併願優遇」を約束していたことが明るみになって、ニュースになりました。

 

河合塾模試で「入試優遇」? 組合が指摘 文科省通知に反する恐れも

 

河合塾といえば、大学受験予備校のイメージがありますが、中学生が通う高校受験のコースもあります。

今回の「併願優遇」の件も、高校受験のコースでの話です。

 

 

ニュースによれば、河合塾は、塾の模試の成績によって「併願優遇」がとれると、保護者に説明をしていたそうです。

 

これは、もちろんルール違反なのですが、大手チェーンの塾では、よくある話なのかもしれません。

 

私立7校がこれを認めていたということなのですが、多分、私が想像している高校と一致しているのではないかと思います。

「併願優遇」に積極的な高校は少し調べればわかります。

 

 

それにしても、個人的に興味深く思われたのは、これを指摘したのが河合塾の労働組合だということです。

塾独自の基準で「併願優遇」がとれるのであれば、それは塾としての利点です。

その利点を世間に告発して「会社」に不利益を与えているわけです。

こんなことをすれば、従業員である自分たちが困るだけでなく、受験生にも影響が出てしまいます。

 

おそらく、河合塾の組合は、正義感から不正を告発したのではないのでしょう。

組合は、会社側への何らかの警告か報復・意趣返し、あるいは取引の材料として、こうした行為に及んだのだろうと思われます。もしかしたら、何かゴタゴタがあるのかもしれません。

 

 

外部の人間には、もちろん何があったのかは分かりませんが、少し、河合塾には同情してしまいます。ある意味で、組合側の行為は「おきて破り」に近いものだと思います。

 

 

しかし、河合塾はすごいなあ、と思いました。

「高校側が公開した情報を保護者に説明している」というコメントを出しています。「強者の言い訳」ですね。

 

今年、高校側が、河合塾の生徒に「併願優遇」を出すのか、気になりますね。

 

 

 

塾が「併願優遇」を用意するということはどういうことなのか、ということを考えてみました。

 

こういうことは、本来秘匿されるべきことだと思うのですが、ニュースになってしまったので、明るみに出てしまいました。そこで、新聞記事から読み取れることを推測してみます。

 

他の高校を第一志望とする受験生の受験者数を増やすことを、メリットとしてとらえている高校はたくさんあります。

 

高校側としては、「併願優遇」の受験生が第一志望に受かってしまっても、受験料の収入があります。入学することになれば、塾で鍛えられた学力の高い生徒を獲得することができます。見込みよりたくさん入学することになってしまったら、次年度で「調整」するようです。前年の入学者が多かった次の年に、入学者が絞られることがあります。

 

さらに、高校側としては、大手チェーンの塾はたくさんの受験生を抱えているので、一度に多くの受験生と交渉できるというメリットもありそうです。話がまとまれば、何百人もの受験生を一回の交渉で獲得することができます。

 

 

一方、塾側としても、「渡りに船」「魚心」の話になります。学校や本人の事情で、内申が低くて「併願優遇」が取れない生徒にも、「おさえ」を確保させることができるからです。

 

また、想像どおり、それが塾としての大きな「営業」資源になるということが、今回の報道ではっきりしました。

 

保護者に対して、「うちの塾にいれば、受験にこんなに有利になるんですよ」という話しをしてしまったということですね。そしてそれは、本来なら許されないことであり、また、やるにしても隠れてやらなければいけないことだったわけです。

 

そして、このニュースの一番のキモは、「併願優遇」の「基準」に、自分たちで運営している模試の成績を使っていたという点でしょう。

 

もちろん最後は「信頼関係」なのでしょうが、微妙なのは、その模試を実施し、採点するのが、塾のスタッフであるということです。(まあ、今となっては「信頼関係」は、微妙どころの話ではないのかもしれませんが。)

 

そう考えると、実は、有名塾に入ることの最も大きな利益は、塾による「併願優遇」にあるといえるのかもしれません。

(本当にそれが「一番のメリット」だとしたら、塾としてはショボ過ぎるとは思いますが。)

 

 

 

最後に、塾の情報管理について考えてみました。以下は雑記のようなものです。

 

内申以外の基準を用いて「併願優遇」を認めているというような場合、高校側は合格に特別な便宜を図っているわけですから、それが知られたときに、印象が悪くなるのは高校側です。ましてや、文科省の通知を無視して行っていたわけです。

ですから、高校の方は、内密に、という約束をするのですが、そういった「秘密」は塾側から「だだもれ」になってしまうことがよくあります。

 

塾の方は、秘密情報に関して危機意識が薄いのでしょう。

場合によってはアピール材料になるのですから、なおさら秘密にしておくことは難しかったのかもしれません。

高校側からすれば、生徒や保護者を集めて、「密約」をばらされるとは思ってもみなかったのではないかと思います。

 

今後も同じような、塾がらみの「情報流出」「情報漏えい」のニュースが聞かれるかもしれません。

ベネッセのニュースもありました。「進研ゼミ」などの顧客の個人情報が流出した事件です。ベネッセから流出した顧客名簿を買った学習塾もかなりあったそうです。

 

 

そもそも、大手塾の情報管理には杜撰なところがあるのかもしれません。

 

大手チェーンの組織形態が、人員集約的ではないため、情報は基本的に拡散してしまいます。

何十、何百とある校舎・教室間を情報が行きかうような組織構造になっているのです。

プライベートなやり取りと重要な極秘情報が、全く等価に、同じようにメールで送受信されているのではないかと思います。

そのせいで、情報に対する扱いが不用意になることがあるのかもしれません。

 

 

大手塾の宿命として、学生講師で授業を「回す」という営業形態をとっていることにも問題があります。さらに、大手塾の中には、学生アルバイに営業などの電話をさせるようなところもあるそうですが、一般企業では、普通、「外部」の人間は顧客の個人情報にアクセスできないようなシステムになっています。

 

大手学習塾チェーンは、教務や営業といった基幹業務を「アルバイト」にゆだねています。そうしなければ「店舗」を運営できないような、脆弱なビジネスモデルとなりつつあるのだといえるでしょう。

いってみれば、外部の人間がコアな情報に触れることができる、危ない情報管理体制になっているのです。

 

 

 

 

さて、ivyでも、スタッフが私立高校にうかがって、情報交換をさせていただくことがあります。

 

やはり塾としては、受験生には「おさえ」の高校を用意してあげたいですし、本命の高校になんとかして入れてあげたいと思います。

その気持ちは、どんな塾にいようと、変わらないものなのだろうな、と思います。

 

 

私たちは小さな塾ですから、謙虚に、誠実に受験指導していきたいと思います。

 

 (ivy 松村)

「私立安心校」(「都立併願③)

「都立併願」の最大のデメリットは、都立高受験の結果が厳しいものであった場合、自動的に進学先が固定されてしまうことです。

 

これまでにも何度も述べてきましたが、塾教師の目から見て、学校の先生が勧める「併願校」は、受験生の学力に見合ったものでないことがかなり多いのです。

 

見方を変えてみるならば、「都立併願」は、何人かの受験生にとっては、「確約」の見返りに、自分の学力より「ランクの低い高校」に入学する義務を負うというものなのです。

 

 

理想を述べるならば、都立がダメだったときに、進学先として納得のいく、満足できる、愛着の持てる私立高校に入学する権利を得たうえで、都立高校入試に挑むのが望ましいと思います。そのような高校を仮に「私立安心校」と呼ぶことにしましょう。

 

「私立安心校」は、必然的に、「確約なし」の受験になりますから、難しい入試になります。

しかし、「私立安心校」の合格を勝ち取ることができれば、都立入試に向けて弾みにもなりますし、精神的にも余裕をもって都立入試に挑めます。当然、良い結果が出る可能性は高くなりますし、万が一、都立の結果が厳しいものであったときにも、ダメージは最小限にとどめることができます。もしかしたら、かえってよかったという場合もあるのかもしません。

 

都立高校と私立高校では、費用面で大きな差があります。私立高校に入学することになれば、相応の学費を支払うことになるのですが、「私立安心校」に支払うのと「都立併願校」に支払うのとでは、大きな違いがあるように思います。

 

「絶対に都立に受かってほしい」と思うだけで、「私立に入学する可能性」を意識から追いやってしまっていると、「都立に行くのだから、私立は併願で受験すればいい」という発想になってしまいます。

「私立に入学する可能性」を考えれば、少しでも上の私立高校に合格したほうがいいということがわかると思います。

 

 

要は、どこに「リスクをかける」のか、ということだと思います。

 

「都立併願」を選択し、私立入試のリスクを回避した場合は、都立の入試結果によってリスクが生じます。

 

一方、私立入試にリスクをかけて「私立安心校」入学の権利を得ることができれば、都立の入試結果に対するリスクは軽くなります。

 

 

・「都立併願」・・・「ノーリスク」私立入試(「併願校」確保) × 「ハイリスク」都立入試

・「私立安心校」・・・「ハイリスク」私立入試 × 「ローリスク」都立入試(「私立安心校」確保)

 

 

傾向として、中学校の先生は、前者で受験を組み立て、塾の教師は後者で組み立てることが多いと思います。

 

 

しかし、「都立併願」に頼らない受験パターンを組むためには、新たな「リスク」を引き受けなければなりません。

「私立安心校」を受験するために、別の「おさえ」が必要になります。

「併願優遇」がなければ、その「おさえ」も「実力勝負」で取りに行かなければならなくなります。

 

ですから、一般的に、進学塾では、複数の私立高校の受験を提案します。

 

都内の私立高校は、おもに2月10日~2月12日に入試日を設定してありますから、3回の受験が可能です。

また、国立大附属高校を含め、それ以降に受験日を設定している高校もありますので、場合によっては、さらに受験校を増やすことができます。

 

帰結として、

 

・「おさえ」(すべり止め)

・「相応校」(受かっておきたい高校)

・「チャレンジ校」=「私立安心校」

・+都立高校

 

という受験パターンが典型になります。

 

さらに、他県の高校は2月10日以前に受験日が設定されているので、ここで「おさえ」を確保し、「チャレンジ校」の受験を増やすことも考えられます。

 

 

私立の入試結果によって、志願変更を行い、都立の受験校を変更します。

 

「チャレンジ校」合格 → 都立上位校

「相応校」合格 → 都立進学校

「おさえ」合格のみ → 都立進学校 or 都立中堅校

 

 

 

受験校を増やすことで、当然デメリットも生じます。入試対策の面で時間的、労力的に負担感が大きくなってしまいますし、費用の面でも負担が増えてしまいます。

一方、「都立併願」組は、都立受験に集中できるという見方もできます。

 

こうした複数の私立高校の受験を勧める塾の姿勢に、疑念を持たれる受験生や保護者の方もいらっしゃると思います。塾は、合格実績を稼ぐために、多くの高校を受験させようとしているのだと思われてしまうのです。

もちろん、塾によってはそういう意味合いを含めて受験を勧めるところもあると思います。

 

しかし、さまざまな要素を勘案して、「塾の視点」から総合的に「高校受験」全体をデザインしようと考えたとき、上記のような組み立てが、自然と浮かび上がってくるのもまた、事実なのです。

 

 

 

「都立併願」についてまとめてみましょう。

 

「都立併願」のメリット:

 

・「おさえ」の高校を確保できる

・都立高校入試に専念できる

・受験にかかる費用を抑えることができる

 

 

「都立併願」のデメリット:

 

・都立がダメだったときに、思い入れのない高校に進学することになる

・「入試の経験」を積むことができない

・「志願変更」のきっかけがなくなる

 

 

(ivy 松村)

「入試の経験値」(「都立併願」②)

受験生の多くは都立高校を第一志望にしています。そして、都立高校の入試は、当然リスクのある「実力勝負」です。

 

ですから、学校の先生は、万が一都立がダメだったときのために、私立の進学先を「確保」するように動きます。

 

そこで、「都立併願」という、合格を「確約」するかわりに、「しばり」がつけられる受験パターンが示されることになります。

 

この「都立併願」という受験パターンは、学校の先生が得意とする、最も基本的な高校受験の様式です。

 

「都立併願」の受験は、通常は、「おさえ」の私立併願校と「本命」の都立高校の2校のみの受験になります。

 

学校の先生は、用意する調査書を最小限にとどめておきたいと考える方が多いので、極力受験校を減らそうとする傾向があります。

ですから、その意味でも、学校の先生にとっては、このパターンは理想的です。

 

もし、都立に無事合格できれば、言うことはありません。最も効率的で経済的に受験を終えたということになります。

 

 

 

「塾の視点」から都立高校受験を考えたときには、別の受験パターンが典型として浮かび上がってきます。

 

 

「都立併願」は、「入試の経験値」が上がっていかない怖さがあります。

 

このパターンにはめられてしまうと、本番である都立高入試の前までに、1度しか入試を経験できません。しかも、「都立併願校」の入試は、「確約あり」であることを伝えられているので、「真剣勝負」にはならないのです。

 

 

「ガチンコ」勝負の私立入試で結果を出せれば、大きな経験を積むことができるだけでなく、精神的ゆとりと、確かな自信を手にすることができます。

 

「入試の経験値」を積んだうえで都立高校入試を「最終戦」として戦う受験生に比べて、「入試の経験値」の少ない受験生が苦戦する傾向は否めません。

 

そのような観点からみても、実力よりも上の都立高校にチャレンジしたいと思っている受験生には、塾としては、「併願優遇」を勧めたくないのです。

 

 

 

また、「都立併願」の受験パターンを組んでしまうと、都立の「志願変更」の「きっかけ」が失われてしまうというデメリットが生じます。

 

都立高校の入試では、入学願書を提出した後で、一度だけ、願書を取り下げて、受験校を変更することができます。今年度は、取り下げが2月13日、再提出が2月16日になっています。

 

これは、私立高校の入試結果をふまえて都立の受験校を決めなさい、という配慮です。

 

例えば、「私立の上位校に合格したので、都立はさらに上の高校にチャレンジする」といった変更や、「私立で受かっておきたかった高校がダメだったので、都立は、確実に受かる高校に下げよう」といった変更ができるのです。

 

もう少し付け加えるなら、私立入試を経験して、受験生は都立高入試への手応えをつかむことができます。その感触を頼りに、都立の見通しを持つことができます。

 

つまり、都立受験をふまえたうえで私立受験を組んでおけば、私立高校入試の結果を材料として、都立受験を再度組み直すことが可能なのです。

 

一方、「都立併願」組には、そういった志願変更を考え直す「材料」がありません。

 

「都立併願」での受験が決まるのは、12月の三者面談です。そこから、「志願変更」まで2ヶ月間あります。その間に学力が伸びることもあれば、伸び悩むこともあるでしょう。しかし、2ヶ月前に決められた形を崩すことができないのです。

 

過去問演習などの得点が伸び悩んで不安を感じたとしても、思い切って「志願変更」をするだけの明確な理由となりにくいのです。「本番で何とかがんばる」などといって、不安を抱えたままの入試に突入してしまいます。

 

 

「都立併願」という受験パターンは、私立入試を都立入試のために活かすことができないというデメリットがあるのです。

 

(ivy 松村)