「入試相談」の話

12月の「三者面談」は、「入試相談」の前に、「推薦」「単願・専願」「併願優遇」などで出願する生徒を確定させるために行うものであるという意味合いが強くあります。

 

「入試相談」の「下準備」として「三者面談」が行われるということになります。また、別のとらえかたをすれば、「三者面談」の「成果」が「入試相談」に結びつくのだともいえます。

 

 

 

中学の「三者面談」は、受験制度をよく知らない保護者・受験生に、その仕組みを丁寧に説明してくれたり、最適な受験校を一緒に考えてくれたりするという「はからい」ではありません。

受験制度をよく知らない受験生に対しては、機械的に「紋切り型」の受験パターンを「割り当てる」ような形になります。先生の立場からしてみれば、相手が「よく知らない」のだから、そうするしかないのです。

 

 

「三者面談」に際して、中学校の先生が最優先に考えるのは、生徒を確実に高校に進学させるということです。

 

中学の先生にとって、「三者面談」は、受験校の選定というよりも、「進学先の確保」という意味合いの方が大きいのです。

 

「三者面談」で、「合格の確約」をもらえる高校を提示し、「受験の意志」を示した生徒に対して「斡旋」を行うわけです。

 

 

要するに、「入試相談」というのは、中学校と高校が、「生徒の受け入れ」について「妥結」をすることであると考えるとわかりやすいと思います。

そして、「三者面談」というのは、実質的に、その「方針」に異議がないことを生徒に確認する場となるわけです。

 

 

中学校は、自校の生徒の進学先を確保したいと思っています。

高校は、多くの「なるべく優秀な」生徒を集めたいと思っています。

 

それで、中学校は、この生徒は「合格の確約」をもらえるのか、というようなことを知りたいわけです。一方、高校は、その生徒の成績を確認したうえで、入学の「約束」を取り付けたいわけです。

 

 

 

「入試相談」は、毎年12月15日以降に行われるということになっています。

 

「そのため」都内の公立中学に通う受験学年の生徒は、「12月15日までに受験校を決定しなければいけない」と言い含められています。

 

 

この説明を「奇妙だ」と気づいた中学生は、なかなか「見る目」があると思います。

 

 

その時点で「推薦」「単願・専願」「併願優遇」等の出願を「決定できる」ということは、そのときまでに「相談」が完了しているはずです。

そうすると、「『その後』の12月15日に相談をする」という「説明」は、よくよく考えてみれば「ちぐはぐ」です。

 

 

そもそも、「入試相談」の「開始」が、すべての私立高校で、12月15日以降にそろえてあるということは、それより前に「入試相談」をしてはならないという「規制」になっているということです。

 

そうすると、12月15日は「規制」が解除される日であって、「締切日」ではないはずです。

 

 

 

実は、高校の入学者募集のスケジュールは、すべて「規制」されています。

入試日も同様に「解禁日」が設定されています。

ですから、都内のあらゆる高校が、同じタイミングで同じ動きをするようになっているわけです。

 

 

それには、「合理的な必要性」もなくはありません。

「教育事業」に、完全な自由競争を導入してしまうと、大きな弊害を招くことがあるからです。

 

「あるタイプ」の私立高校は、なるべく早い段階から生徒を募集し、なるべく早い段階に入学者を確定したいと考えます。「青田買い」を行いたいわけです。

もし「規制」がなければ、各私立高校の競争が過熱し、「入試相談」のタイミングは11月、10月、9月と、どんどん早まっていくことになるでしょう。

 

そうなると、中3の2学期の成績をもとにして「入試相談」をすることができないので、1学期の成績でもよい、といい出す高校も出てくるはずです。

 

教育制度を担う学校教育機関の間で、生徒獲得競争が激化してしまうと、「事業者」にとっても、「利用者」にとっても大きな問題が生じます。

 

私たちの社会では、そのような場合に、行政機関が統制や調停を行ったり、利害関係者の間で調整が行われたりします。

 

 

12月15日というのが、中3の2学期の成績をふまえて「入試相談」を行う上で、中学校と高校が折り合える「絶妙のタイミング」になっているわけです。

 

 

 

さて、「入試相談」の「解禁日」が12月15日となっているということは、12月15日より前に「入試相談」を行ってはならないということです。

 

そうすると、12月15日以降は自由に「入試相談」を行ってよいということになります。

つまり、12月15日は、厳密には「締切日」ではないはずです。

 

 

合理的に思考を働かせれば明らかなことですが、特に、「募集に力を入れたいと考える高校」は、出願の締切直前まで継続して「入試相談」を行いたいはずです。

なるべく多くの生徒の「入試相談」を行って、学力も素行も問題のない生徒が「受験」を希望しているということになれば、受け入れたいと思うはずです。

 

 

では、なぜ、12月15日が「入試相談」の「期限」となっているのでしょうか。

 

答えは単純です。

中学校が、ずるずると「入試相談」を行いたくないからです。

 

中学校の先生は、なるべく「効率的」に中3生の受験校を決定したいと考えます。

 

(念のため:それは、直ちに非難されるようなものではないと思います。極めて人間的で実直な希望であるといえます。私は、学校の先生は、ある種「スーパーマン」だと思っています。膨大な業務を抱え、それを日々こなしておられます。)

 

 

12月15日(以後の数日の間)に「入試相談」を行うということになっているのであれば、そのときに1回行えば十分であるというわけです。何度も何度も行うようなことではないわけです。

 

そして、「入試相談」自体も、できるだけ短時間で終えてしまいたいわけです。だから、12月15日「まで」に「必要な業務」を済ませてしまいたいわけです。

中学校は、12月15日の時点で、あとは高校に出向いて「相談する」という極めて「形式的」な最終業務を残すだけの状態になるように動きます。

 

現在の「入試相談」は、あらかじめ伝えられている「基準」に照らし合わせて、ある程度作業的に受験校を「確定」できるような仕組みになっています。実は 「相談」をする必要も、ほとんどないのです。

「三者面談」をとおして、12月15日「まで」に、そうやって「入試相談への準備」を進めていくわけです。

 

「入試相談」の日には、「受験者のリスト」を手渡すだけの簡素化された業務を行うのみでです。

(実際には、その中身すらも事前にやり取りしているわけですが。)

そこで、お互いが、「規定」となっている12月15日以降に「入試相談」を行った、という「既成事実」を確認するわけです。

 

 

中学校は、「入試相談」を、可能な限り「効率的」に終わらせてしまいます。

「入試相談」は、「解禁」された途端に完了するのです。

そのために、12月15日が「期限」であると説明しているわけです。

 

 

また、そのうえで理解しておかなければならないのは、実質的な「期限」は、実は、「三者面談」の日だということです。

 

 

 

「入試相談」というのは非常にわかりにくい制度です。

 

「入試相談」とは、字面をそのままとらえれば、中学校と高校が「入試」について「相談」をするという「意味合い」になりますが、なにも、両者が膝をつき合わせて「話し合い」を行うわけではありません。

 

 

「入試相談」というものに「実体」はありません。

12月15日以降に、中学と高校の先生が集まって、あれこれ話し合うことなどないのです。

 

むしろ「逆」です。12月15日になったら、何もしないのです。

 

12月15日よりも前にすでに「入試相談」の「実務」は終わっていて、しかも、それは、「相談」というよりも、どちらかというと、「事務的な作業」に近いものなのです。

 

(ivy 松村)

 

 

入試の「加点制度」について

私立高校入試の「加点制度」について考えてみましょう。

 

まず、「加点制度」には、「内申」によって「加点」が与えられるものがあります。

それには、「入試相談」をとおす形式のものと、そうでない形式のものがあります。

 

たとえば、法政大学高校は、「内申」によって入試得点に「加点」を行いますが、「入試相談」の必要はありません。

 

一方、帝京大学高校も「内申」によって入試得点に「加点」を行います。しかし、こちらは「入試相談」が必要です。帝京大学高校の受験は、「併願優遇」の「基準」に届いていれば「加点」がもらえることになっています。

これは、いわゆる「加点タイプの併願優遇」です。「併願優遇」と名の付く出願は、必ず「入試相談」が必要なので、中学校の三者面談の際に「併願優遇」で受験したいと伝えておかなければ、「基準」に届いていたとしても、「加点なし」の受験になってしまいます。

 

 

「併願優遇」は、「優遇の内容」によって、2つのタイプに分けられます。ひとつは、「合格の確約」があるタイプです。そして、もうひとつが「加点」がもらえるタイプになるわけです。

 

また、帝京大学高校の「併願優遇」は、「入学の縛り」もありません。

 

帝京大学高校の「併願優遇」は、内申の高い受験生に「加点」を与えるが、合格しても「入学の縛り」がない、というものになります。

 

つまり、法政大学高校と帝京大学高校の受験は、ほとんど同じ「構図」の受験であるというわけです。その違いは、「入試相談」を行って出願するかどうか、というものです。

 

ただし、その加点の仕組みは大きく違います。

法政大学高校の「加点制度」はその区分が細かく設定されています。

帝京大学高校の場合は、「基準」が一律に設けられていて、しかも、それはなかなか「ハイレベル」です。

 

法政大学高校の「加点制度」はホームページに詳細が載っています。

帝京大学高校の「基準」は、学校か塾に聞いてみるとわかると思います。

 

 

「加点」の要素のひとつとして、「内申」を考慮する高校があるということですね。

 

 

 

次に、「入学の縛り」を受け入れる「対価」として得られる「加点」について考えてみましょう。

 

多くの私立高校は、自校への入学を最優先に考えている受験生を「優遇」する制度を設けています。

典型的に、「専願・単願」と呼ばれる出願形式です。

 

「単願・専願」には、2つのバリエーションがあります。

ひとつは、「合格の確約」が得られるものです。この場合、通常は、出願の「基準」が設けられています。

 

もうひとつは「加点」が得られるものです。

受験生は、「合格すれば、必ず入学する」という約束をすることで、入試に有利な「下駄」をはかせてもらえるわけです。

 

もし、第一志望の高校がこの制度を設けている場合には、これを利用しない理由は見つかりません。

 

 

さらに、「加点タイプの単願・専願」を用意している高校について、考えてみましょう。

 

「単願・専願」で出願する受験生に「加点」を与える高校は、その「序列」に傾向が見られます。「難関校の一歩手前」くらいの「ランク」の高校が目立ちます。

 

あまり「ランク」の高くない高校の場合、「加点」ではなく、「合格の確約」を出して、入学する生徒を多く集めようとします。したがって、「加点タイプの単願・専願」が採用されません。

 

また、「ランク」の高い高校の場合は、その高校を第一志望とする受験生が多く集まるので、「単願・専願」というような「インセンティブ」が、適切に機能しません。

 

したがって、「単願・専願」の出願に対して「加点」を行うのは、中位・中堅という位置付けの高校が多くなるわけです。

 

 

「加点タイプの単願・専願」の「受験」も、「入試相談」が必要な場合とそうでない場合があります。

そのうち、「加点タイプの単願・専願」であるという「建前」になっていても、実質的に「合格の確約」を出すような高校の場合には、必ず「入試相談」をすることになります。

 

 

 

「加点」の3つ目の項目は、「複数回受験」です。

 

MARCHの付属校などの人気のある私立上位校の推薦入試の多くは、ほぼ一般受験と同じ形式の「受験」となります。つまり、受験者のうち、合格点に達した者が合格し、そうでなかった者が不合格になるわけです。

結局のところ、こうした高校の推薦入試は、「複数回受験」の機会として機能します。

 

推薦入試が不合格となり、一般受験を受けることになった受験生に対して、「加点」を行う高校がありますが、これは、「複数回受験」をする受験生に対して行う「優遇措置」であると考えることができるわけです。

 

しかし、こうした高校は、推薦入試を出願することができる「内申」の「基準」を設けていることがほとんどなので、本質的には、「内申」と「専願・単願」(推薦入試には「入学の縛り」があるので)を複合させた二重の「指定条件」を満たした生徒に対して行う「加点」であるとみなすべきなのかもしれません。

 

 

また、一般受験でも、複数回の受験日を設けている高校で、2回目(さらに3回目)の入試得点に、「加点」を与える高校もあります。

 

 

 

まとめてみましょう。

 

入試の「加点」の項目は、以下の3つになります。

 

 

①内申

②単願・専願

③複数回受験

 

 

「加点」は、「受験」において、説明不要の、簡潔明瞭な「アドバンテージ」となりますが、それを得るためには、何かしらの「対価」が必要になるわけです。

 

また、「加点」に関しては、その「情報」を持っていなければ、その「権利」を持っていても活用することができません。

 

学校や塾、高校の説明会などをとおして、詳細な情報を集めたうえで検討することが大切です。

 

 

(ivy 松村)

 

 

「仮内申」について

ひよ中、七生中、二中は、週明けに期末テストがあります。

 

明日、11月20日も14時からテスト対策のために校舎を開けることにしました。

家で勉強が手につかないという人は、ぜひ、お越しください。

 

 

 

受験生は、これから忙しくなっていきます。

来週には、もう、定期テストが返却されはじめます。そして、11月の終わりから12月の頭にかけて、仮内申が伝えられます。

 

その後、12月の前半に中学校の三者面談がありますが、その前に塾の面談を設定させていただきます。

「仮内申」が出たタイミングで、塾とご家庭とで、受験パターンをすり合わせておく必要があるためです。

 

したがって、中3の今後の予定は下記のようになります。

 

・定期テストの答案返却

・「仮内申」の告知

・塾の面談(受験校の決定)

・中学校の三者面談(受験校の確認)

 

 

 

また、中3生には会場模試があります。

そして、私立高校の入試相談に足を運んでいただくこともあるかと存じます。

 

 

すでに、前回の面談およびメールで、それぞれのご家庭に志望校や併願校の推薦、単願、併願優遇の「基準」や都立高校受験の「内申の目安」をお伝えしていますが、「仮内申」が出た後は、その「数字」に則って実際の受験校を決定することになります。

 

もし、「仮内申」が希望の「数字」に届かなかった場合には、受験パターンや日程等を変更することになる可能性もあります。

 

入試の展望や受験パターン、今後の学習計画等につきましては、いずれ面談の際に詳しくお話しさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 

 

 

「仮内申」について、少し書きます。

 

高校入試の内申は、「中3の2学期の評定」が用いられます。

 

しかし、「中3の2学期の評定」が記された成績表が、正式に生徒のもとに届けられるのは、2学期の終業式の日です。

終業式は12月22日ですが、その日に内申の告知を行うとなると、都内私立高校の推薦、単願、併願優遇の受験を確定する「12月15日」(入試相談)に間に合わなくなってしまいます。

 

つまり、高校入試の「日程」に沿って受験校を決めるためには、12月の初旬には必ず内申が判明していなければならないわけです。

そのため、「仮内申」という形で、期末テスト後まもなく、生徒それぞれに伝えられることになっているわけです。

 

 

「仮内申」は、正式なものではないので、「文書」で渡されることはありません。中学校によって伝達方法は違うようですが、一般的なのは、担任の先生が、生徒一人ひとりを呼んで口頭で5科と9科の合計点を伝え、それをメモらせる形式のようです。(受験校によっては、3科の合計がわかっていなければならないので、それも伝えられる場合もあります。)

 

「仮内申」で、各教科の「内訳」は知らされません。ですから、成績表が届けられるまで、どの教科が上がったのか、または下がったのかは、わかりません。

 

 

また、よく、「仮内申」はその後上がったりしないのか、と質問を受けることがあるのですが、残念ながら、数値が変化することはありません。「仮」となっているので惑わされてしまいますが、これは、「確定した内申」です。

「仮内申」が、受験における「内申」そのものとなります。

 

「中3の2学期の評定」=「仮内申」=受験で用いられる「内申」です。

 

 

 

では、「中3の2学期の評定」はどのように付けられているのでしょうか。

 

以前、このブログに書いたことがあるのですが、東京都のある地域では、「仮内申」は、単純に「2学期の成績のみ」に準拠して出されていました。

きちんと言質が取れるような質問文を用意して、そのとき教えていた生徒たちから、彼らの担任の先生に確認してもらいました。

 

 

実は、「2学期の成績のみ」に準拠して成績を付ける中学の生徒は、「内申」が大幅に上がることが珍しくありません。

 

2学期に頑張った分、その分、成績が上がるわけです。

これまで、英語の点数がずっと60点台で、評定が「3」だった生徒でも、3年の2学期の中間・期末テストの2回の平均が95点であれば、「5」をもらえるわけです。

 

 

 

一方、日野や八王子、町田などの中学では、「1学期の成績と2学期の成績」を合わせて「中3の2学期の評定」=「仮内申」を出すようになっています。

 

そのような方法で「内申」を出す中学の生徒は、大幅に「内申」を上げることは難しくなります。

1学期の評定が「3」だった場合は、2学期の定期テストで平均95点を取っても、「5」の評定がもらえるとは限りません。

2学期の成績が「5」だったとしても、1学期の成績の「3」と合わせて「仮内申」が出されるわけです。したがって、その評定は「4」となる可能性が高いわけです。

 

 

「単純な思考の人間」は、後者の中学の生徒は不利だ、と感じるかもしれません。

あえて、多くはコメントしませんが、1学期にも、ずっと、ずっと、ずっと、このことを言い続けてきました。

「結果のすべて」が、「現在の自分」の学力なのだと受け止めなければ、「先」には進めません。後悔も頑張りも、全部背負って前進してください。

 

 

 

このブログを読んでいる1年生、2年生の人たちは、重々肝に銘じてください。

受験の幕は、中3の1学期に開くのです。

 

 

 

さて、中3のみなさんには、「未来」があります。

これから突きつけられる「仮内申」がどのようなものであろうとも、「受験」に向けて、歩を進めていくことには変わりはないわけです。

 

「未来」に向けて、「仮内申」を踏まえて今後の指針や歩み方を決めるために、塾の面談があります。

 

 

まだ、期末テストを戦う人は、最後まで力を振り絞ってください。

定期テストを終えた人は、しっかり過去問演習をこなしてください。

 

やるべきことをやり抜いて、その後で、「未来」についていっしょに考えましょう。

 

 

 

(ivy 松村)

 

受験のランキング表を比べる

高校受験に限らず、学校の「ランキング表」というものが存在していて、受験生はそれを参考にして受験校を決めます。

 

こうしたランキング表のほぼ全ては、偏差値を用いて「難易度」を数値化し、可視化することで、それぞれの学校の序列を定めようとします。

 

 

偏差値については以前から多くの問題点が指摘されていますが、それでも、受験に用いられるデータとして最も有効な指標であるとみなされ、広く世間に受け入れられています。

 

偏差値は、万能ではないとしても、生徒一人ひとりの相対的な「学力」をはかり、また、それぞれの学校の入試の「難易度」を測定することができる最有力の尺度であると考えられているわけです。

(偏差値の問題点については、また別の機会に。)

 

 

 

高校受験のランキング表には大きく分けて「模試系」「塾系」のものがあります。

また、それ以外に「出版社系」のものや独自に作成されたものも数多く存在します。

 

おそらく、データの質、量ともに他を圧倒しているのは「模試系」のランキング表です。

しかし、「模試系」のランキングは、皮肉にも、データに忠実であるがゆえに、「内実」を反映しないことが起こり得ます。

 

偏差値が50の学力があれば十分に合格できるはずの高校に、偏差値60以上の受験生が多数「誘導」されれば、その高校の「偏差値基準」は高騰することになります。

 

私立高校は、さまざまなアイデアを駆使して受験生を集めようとするわけですが、ひたすら多くの受験生を集めればよいというものではありません。

当然、学力の高い生徒を集めたいと考えます。

 

「模試」で高成績を収めている生徒を受験生として多く集めることができれば、結果として、その「模試」によるランキングにおいて、その高校の位置づけは上昇することになるわけです。

 

 

近年、あるタイプの私立高校にとって、非常に効果的な「妙手」が見出されたように見受けられます。

 

 

この数年で、「特進クラス」や「選抜クラス」などを設置する高校が増えていますが、その入試に「スライド合格」の制度が取り入れられるようになってきました。

「特進クラス」に出願し、入試得点で合格点に届いていない場合でも、「特進クラス」よりも下位の「普通クラス」で合格を得られるという制度です。

 

万が一「特進クラス」の入試で力を発揮できなかったとしても、「普通クラス」という「おさえ」があるので「安心」できるというわけです。

 

しかし、「スライド制度」は、必然的に、合格できない可能性のある「ガチンコ」の入試でなければ成立しません。したがって、「普通クラス」で「止まる」かどうか、も結果次第であるということになります。

 

そうすると、当日に大きなミスをしてしまって、最終的に「スライド」の「おさえ」が利かず、「普通クラス」にも引っかからないということもあり得るわけですから、十分な学力を持った受験生であっても一抹の不安を持つにちがいありません。

 

もちろん、「すべては得点次第」という高校もあるでしょうが、おそらく、いくつかの場合、「普通クラス」で「スライドが止まる」という「見込み」があって、受験が成立しているのではないかと思うのです。

 

 

 

いくつかの中学で、「スライド制度」を行っている私立高校と都立高校の「2本立て」の受験を勧められる生徒がいます。

もし「普通クラス」で「スライド」の「おさえ」が利かないという事態が起こり得るならば、別の「おさえ」が必要になるはずです。

中学校の先生は「おさえ」の保証のない受験に主導的な「ゴーサイン」を出しません。

つまり、この受験パターンは、中学校の先生が後見している形式であるということになります。

 

 

端的に、「スライド制度」がシステマチックに機能しているのならば、誰もがみんな「特進クラス」で受験をしたほうがいいということになってしまいます。

「特進クラス」の入試を受けておけば、「普通クラス」の学力しかない生徒でも、運よく「特進クラス」に入れるかも知れないのですから。また、最終的に「普通クラス」に落ち着いたとしても、マイナスは被っていないわけです。

ところが、不思議なことに、中学校の先生は、学力的に厳しい生徒に対して「特進クラス」の受験を控えたほうがいいという場合があるのです。

 

 

 

何の話をしているのかといますと、高校側は「特進クラス」のランキングを上昇させたいと考えているので、できる限り偏差値の高い生徒に「特進クラス」を受験してもらいたいという思惑があるのではないかということについてです。

 

高校側は、「特進クラス」を受験する生徒の「学力」を下げたくないと考えるわけです。「合格者の学力」ではありません。「受験者の学力」を高く保ちたいわけです。

 

 

もし、私が高校の入試担当者であったとするならば、学力の高い生徒に、「特進クラス」の受験を促すように働きかける戦略を取るでしょう。

 

「特進クラスには入れない可能性はあるけれども、スライドで止まるはずだから安心して受けてください。」

 

 

もちろん、これは、あくまで私が高校の入試担当者であったら、という「if」の話です。

「特進クラス」の「難易度」を維持しつつ受験生を多数集めるためには、「選別」と「保険」を同時に用意することが非常に効果的だと思われます。

 

 

学校の成績が良い生徒に対して、「ガチンコ」の入試を受けてもらうために、積極的に「おさえ」を用意するわけです。あるいは、「おさえ」を保証することで、「ガチンコ」の入試のハードルを下げるわけです。

 

また、なんとか「模試」の成績が優秀な生徒に受験してもらいたいと考えるわけですが…、ともかく、学校の成績が良い生徒はたいてい「模試」の成績も良いでしょう。

 

ですから、もし、私が上記のような高校の入試担当であったならば、やはり、中学校の先生と密に「入試相談」を行いたいと考えます。

つまり、中学校の先生を通じて、「成績」の高い生徒が「特進クラス」を受験する「メリット」をアピールしようというわけです。

 

 

 

「スライド合格」の制度を「入試の得点に応じたレベルの合格」が得られるものであると考えると、一見シンプルでわかりやすいと感じられるかもしれません。

 

しかし、一方で、「確約」がもらえる「併願優遇」などに比べて見えづらい部分がありそうです。

 

一般的な「併願優遇」の受験では、「確約」が得られるかわりに、第一志望がダメだったときにその高校に必ず入学する「しばり」が条件づけられます。

 

「スライド制度」は「特進クラス」が不合格になる可能性を「否定できない」ので、原理的に入学の「しばり」を付けることができません。

「普通クラス」にしか進学できなくなくなる可能性はありますが、必ず入学してください、とは、いくらなんでもいえないわけです。

 

ここは、「スライド制度」の「弱点」です。

もし、私が、高校側の入試担当者であったとしたら、中学校の先生が「最少の受験パターン」を生徒に提示してくれる方がありがたいと感じるでしょう。

ですから、必ず「普通クラス」で「止まる」はずなので、「最少の受験パターン」を組むことができるという「メリット」を熱心にアピールすることになるでしょう。

 

逆にいえば、「スライド制度」を軸にした受験パターンは、「しばり」がないので、「入試相談」の日の後になっても、受験校を追加することができるわけです。

そして、それが、一番避けたいことになるわけです。

 

 

 

さて、「塾系」のランキング表では、相対的に「特進クラス」のランクは低めに設定されています。

 

一般的に、大手の進学塾に通っている生徒は、「特進クラス」タイプの高校よりも「附属系」を志望する生徒の割合が多くなるので、その傾向がランキング表に反映されるのでしょう。

 

さらに、塾の、学校の序列に対する「シビアさ」がランキングを決定付けているということも、少なからずあると思います。

塾スタッフは、実際の入試問題や志願者の傾向、あるいはさまざまな「事情」を加味してランキングを打ち出すことがあります。また、ときとして、その塾の指導体制の外側にいる「一般的な受験生の動向」を取り除いてランキングを構成することが必要になることもあるでしょう。

 

要するに、「主観的な調整」が行われるわけです。

受験に関する総合的な知識や情報を持った「専門家」が作成するランキング表には、合理的で整合的なものが多くあります。

 

しかし、そのような操作を行うことには、「根本的な問題」が横たわっているといわなければなりません。

それを許容するのであれば、受験資料に偏差値という「客観的な数値」を用いる「根拠」がなくなってしまうからです。

 

 

「塾系」のランキングの弱点は、「木を見て森を見ず」ではありませんが、自塾の「論理」や「認識」に頼り過ぎてしまい、全体的な傾向を見落としてしまうことが起こり得ることです。

 

いくつかの「塾系」のランキングは、実際の受験の動向をキャッチアップできずに、その構成が現実と乖離した内容になってしまうことがあります。

特に、動きの激しい都立高校のランキングで、客観的な数値とギャップのあるものがいくつか見受けられました。

 

 

一方、「模試系」のランキングは、実際の受験の動向をダイレクトに反映します。

 

たとえば今年、あるランキング表では、立川高校と八王子東の序列に少し変化がみられました。

立川高校に学力上位の生徒が集まっているという「根拠」があるのだと思います。

 

また、倍率や難易度が急上昇している旧学区の2番手、3番手の進学校の実情も速やかに更新されています。

 

「模試系」のランキング表は、毎年、それぞれの高校の志望者の学力分布や合否結果の追跡調査による詳細なデータをもとに作成されます。

 

 

 

受験のランキング表には、それぞれ一長一短があるといえます。

参考にする際には、どれかひとつだけをたよりにするのではなく、いくつかを見比べてみたほうがいいかもしれません。

 

 

(ivy 松村)

 

 

そうだ、相談に行こう。

この時期には、高校の「説明会」が数多く開かれます。

 

その中身は、大きく分けると3つのタイプがあります。

 

①高校の授業内容や進学実績など、「魅力」を伝えて生徒募集につなげようとするもの

②入試の制度や方針、問題へのアプローチなどを解説してくれるもの

③進学についての相談にのってくれるもの

 

単独でこうした内容のイベントが行われることもありますが、これらの3タイプを組み合わせた「説明会」が開かれることが多いようです。

 

 

①は、どんな高校なのかを案内するものです。

共通問題の都立高校の「説明会」は基本的にこのタイプです。

「耳よりの情報」が得られることは、あまりないと思います。

率直にいって、このような「説明会」に時間を費やすのは、ちょっと時間がもったいない気がします。夏までに見学しておきましょう。

 

②は、入試問題の傾向や、作問の方針などを高校がレクチャーしてくれるものです。採点基準や、得点配分などを知ることができれば、今後の受験勉強に反映させることができるでしょう。また、得点や合否に関するデータを知ることができる場合もあります。

こうした情報は、過去問演習を行う際に有効な情報となるでしょう。

 

③は、「個別相談」あるいは「入試相談」「受験相談」「進路相談」「事前相談」などと呼ばれているものです。受験しようと考えている高校が「個別相談」を行っている場合には、基本的に出向かれたほうがいいと思います。

 

「相談」というのは、もちろん、「悩み相談」のようなものではありません。

高校側に「合格できる可能性」があるかどうか、を判断してもらうというものなのです。判断の基準は基本的には学校の成績ですが、検定や模試などの成績も総合的に評価してもらえる場合があります。

また、「ぜひ、お世話になりたい」という思いを示すことが、高校にとっても、さらに、受験生本人にとっても重要であることが多いと思います。「なんとしても行きたい」とう思いを「相手」に受け止めてもらうことは、受験に向けての取り組みによい影響をもたらすかもしれません。

 

推薦や単願・専願での受験を考えている生徒で、複数回「個別相談」に行くような例は結構あります。仮内申が出る前と出た後で状況が変わっていることがあるわけですね。また、12月中に「成績」の状況が変わることもあるわけです。結局、一般入試を受けることになったとしても、それが無駄にならなかったということもあるかもしれません。

 

その他、特待生や奨学生など、授業料の優遇の制度について詳しく聞くことができます。

大学進学の実績を上げようと努力をされている私立高校は、優秀な生徒を多く集めたいと考えています。高校側に、そういった生徒であると評価してもらえたときには、授業料の優遇を受けながら「特進クラス」などで手厚い指導を受けることができるかもしれません。

もしかすると、「微妙な都立高校」に進学するよりも、何倍もよい進路となる可能性もあります。

 

「特待生」などの制度は高校によって大きく違っています。

出願の前に「相談」が必要な場合、出願の際に認められる場合、あるいは、入試の成績がよかった生徒に権利が与えられる場合など、様々な形式があります。

また、その内容や基準、審査の方法などは、やはり高校の入試担当の先生に直接聞く方が、詳細をわかりやすく知ることができると思います。

 

当塾にも、入試担当の先生がお見えになって、「特待生」などの制度を詳しく説明してくださることがあります。話を聞かせていただいて、本当に魅力的だなあ、と思うこともけっこうあります。

 

 

 

12月になると、中学校の三者面談が始まりますが、この三者面談で私立の受験校を固めることになります。都立高校は2月に入ってからでも志願変更が可能ですが、私立の推薦、単願・専願、併願優遇などの「しばり」があるタイプの入試を、中学校をとおして受ける場合には、ここが「制限時間」になります。

 

 

12月15日に中学校と高校の間で「入試相談」が行われることになっています。

中学で配布される「年間行事予定」の12月15日に、「入試相談」と記してある中学校があります。中学校としても、「入試相談」は重要な行事のひとつであると考えられているということになります。

 

 

中学と高校の間で行われる「入試相談」は、ある意味で、中学をとおして行う「受験生・家庭」と高校の「相談」であるといえます。中学校が仲介して「相談」を行っているわけです。

 

一方、高校が「受験生・家庭」に向けて開く「個別相談」は、ある意味で、中学を介さない直接の「相談」であるといえます。

必ず中学をとおして「相談」をしなければいけないというわけではないので、これは制度外のものではありません。「個別相談」の制度は一般的に認められたものです。特に、埼玉県など、慣例的に中学の「入試相談」が行われてこなかった地域では、必要とされるものだったのです。

 

 

 

通常であれば、中学をとおして「入試相談」をする方が安心できますし、変ないいかたになってしまいますが、「経済的」です。

しかし、スポーツ推薦のようなちょっと特殊な受験を希望する場合や、直接訊いてみたいことがある場合には、高校で開かれている「個別相談」を利用したほうがいいのかもしれません。

 

なかには、中学との「入試相談」は行うけれども、「受験生・家庭」向けの「個別相談」は行っていない高校もあります。その場合には、もちろん、中学の先生に「相談」をお願いすることになります。

 

 

 

新聞報道等で明らかにされたことですが、塾が「入試相談」を行うことがあるようです。

 

塾のテストで推薦、単願・専願、併願優遇を取れると説明を受けている場合には、それは文部科学省からの「通知」を意図的に無視した「ルール違反」をおかしているということになります。

 

 

一応触れておくと、これが「メリット」になるのは、ごく限られた一部の生徒だけです。

 

 

①まず、推薦などを「塾の基準」で得られたとしても、そのほとんどの受験生は中学校の基準をクリアしているので、わざわざ塾をとおして「相談」をする意味がない

 

②そもそも、学力的に、一般受験で合格できるランクの高校が対象となっている

 

③生徒(と受験料)を集めるために、そのようなことを行っている高校(と塾)に、魅力を感じるかどうか

 

④まともな塾であれば、もっとよい高校を知っていて、別の受験パターンを勧めるはずである

 

 

ということで、塾の「入試相談」を使える人は、「そういう高校」に受験料をお支払いになればいいとは思いますが、もう少しまともな受験パターンというものも考えてみたほうがいいかも知れません。

(「そういう高校 」の大学合格実績は、「装飾」をはがしてみると、やはり微妙です。)

 

 

 

明日も「説明会」に行ってくる生徒がいます。

よい情報を持って帰ってきてほしいと思います。

 

中3は昼過ぎから授業をすることになっているので、その分勉強に遅れが生じますが、後からしっかり追いついて来てください。

 

明日は文法問題で、明後日は早実の過去問です。

 

では、明日もお待ちしております。

 

 

 (ivy 松村)

「漢検」の結果と再受験について

8月21日に実施した漢検の結果の「速報」を、金曜日、土曜日に校舎に来た生徒に伝えています。

これは、インターネットを通しての「照会」です。正式な通知は10日後に送られてくる予定ですので、しばらくお待ちください。

 

小学生と、修学旅行中の生徒を含む中学生の何人かの生徒にはまだ伝えていませんが、来週の月・火の授業日にお知らせすることができます。

外部生の方は、漢検協会から送られてきた通知を郵送することになっていますので、しばらくお待ちください。

 

 

 

今年度は、これ以上塾内で漢検を実施する予定はありません。

雪辱を期して再度チャレンジを希望する方は、別会場への申込みとなります。

 

 

多くの学校で2学期に漢検を実施していますが、そのほとんどが10月16日(金)を検定日にしていると思います。

 

漢検協会のホームページによれば、10月16日の検定の申込締切りは、9月15日(火)となっています。

 

締切日の設定は会場にごとに決められていますので、もしかすると、もうすでに締切っているところもあるかもしれませんが、従来通りの締切日に設定している中学校であれば、申込がまだ可能です。

 

夏期講習を通して漢検対策に取り組んできた生徒は、一通りの漢字の知識を詰め込んでいます。同一級をもう一度受けるとすれば、なるべく間隔が短いうちに受検したほうが有利になるかもしれません。

 

判定を確認したうえで連続で漢検を受ける場合、今回生徒のみなさんに受けてもらった8月21日と10月16日の受検がもっとも間隔の短い受検期間となります。そのために、合否判定日のすぐ後に申込期日が迫っています。

 

 

 

中3受験生にとっては、12月15日の「入試相談」までに、3級以上を取得しておくことに意味があります。

 

私立高校入試の「推薦」・「単願(専願)」・「併願優遇」などの「内申点を利用して出願する入試制度」を利用する場合に、漢検の取得級に応じて内申点に加点がもらえるケースがあります。

つまり、高校によっては、内申点が基準に足りない場合に、「検定」で補うことができるのです。

 

その場合、「入試相談」の前に行われる12月初旬の、中学校の先生との「三者面談」で検定の取得状況を伝えなければなりません。

 

それに間に合う漢検の検定日は、以下の4回です。

 

・10月16日(金)「学校などで実施」

・10月25日(日)「公開場、準会場で実施」

・10月31日(土)「準会場」

・11月6日(金)「準会場」

 

 

10月16日は、上述の通り、検定日が金曜日になっているので、多くの中学校が実施する日程です。

放課後に、そのまま受けることができるので、受検者の負担が最も軽いと思います。

二中以外の中学は、中間テストが終わってから1週間から2週間後の実施となります。

ただ、その1週間前にあたる10月9日(10月10日)が英検の検定日となっていますので、英検の受検も考えている人は、両方の対策を進めていくことになります。

 

 

10月25日は、「公開場」「準会場」での実施となっています。

「公開場」は、漢検協会が設置した検定会場です。八王子市か多摩市の会場で検定を受けることができます。(準会場」は、学習塾などの会場です。)

10月25日の受検は、会場まで足を運ばなければならないことが負担となりますが、日程的には余裕があるので、しっかり準備できると思います。

 

 

10月31日は、「準会場」のみの実施となっていますので、この日に検定を行っている会場を探さなくてはなりません。

 

 

11月6日は、金曜日の実施となっているので、この日に検定を行う学校もあると思います。今から検定日まで、かなりの余裕を持てますが、2学期の期末テストまで2週間を切ったタイミングでの受検となることを考慮する必要があります。

 

 

 

中3は、2学期以降は過去問演習を中心とした入試対策に本腰を入れていく時期です。

その時期に検定を受けるということは、高校入試に向けた受験勉強の時間を割いて、検定の対策のために時間を使うということになります。

ですから、それなりの覚悟で臨まなければなりません。

 

入試に向けた受験勉強の「効率」を考えると、場合によっては、漢検は「回り道」になることがあります。

たとえば、都立高校入試では、3級以上の漢字や、部首などの知識はほとんど出題されません。

 

まあ、「最低限」の勉強だけをして、「省エネ」で受験を乗り越えようと考てしまうような受験生は、そもそも漢検を受けようとも思わないでしょうから、あまり気にすることもないのかもしれませんね。

 

(一応触れておきますが、このような考えは、本当に危険です。「最低限」の設定を見誤ってしまうと、取り返しのつかないことになるのはもちろんのことですが、勉強の「枠」を低く設定してしまうと、学力の伸びが「枠内」で頭打ちになってしまいます。狭い範囲の出題内容にとらわれてしまうと、多彩な視点からの分析力や多面的な思考力が育たずに、必ず入試の得点力に限界がきます。「学習を減らす」ことで「残り」が伸びるとは限りません。「学習を減らす」ということは「伸びしろを減らす」ということでもあるのです。)

 

 

2学期は、どうしても内申を上げなければならない、という生徒が多いと思います。

定期テストには万全の準備をして挑む必要があります。

検定を受けるかどうかも含めて、優先順位を考えて、入試までのスケジュールを立てるようにしましょう。

 

 

 

中1、中2の生徒は、来年以降もありますので、少しゆっくり考えてもいいかもしれません。

それでも、挑戦したいという人がいたら、受けてみるべきです。

がんばりたい、という気持ちを抑える必要はないと思います。

力を貸しますので、そのときは言ってください。

 

 (ivy 松村)

「受験相談」報道について考えてみる③

8月20日に、関大一高の「受験相談」の記事が掲載されました。

 

その記事は複数の記者の署名記事でしたが、その翌日、同じ「記者チーム」によって、新たな記事が書かれています。

 

<首都圏の私立高5校>模試の結果で合格確約

 

 

全国展開する大手学習塾が、塾内で実施した模試の成績によって、私立高校から合格の「確約」をもらっていたという記事です。

しかも、その塾内模試を生徒に受けさせる前に、出題される問題を生徒に知らせていたという内容です。

 

 

どうやら、「話」は関大一高だけでは終わらないようです。

 

 

学習塾と私立高校の「癒着」に踏み込んで、「不正を暴こう」という、報道機関の「動き」があり、そのうえで、「火付け」を行って、報道の「波」を作ろうとする意図があったのではないかと思います。

「キャンペーン」、といってよいのかわかりませんが、ある種の「プロジェクト」として一連の流れが仕込まれています。

 

 

上掲の新聞記事では、問題の学習塾名を公表していません。

報道機関にもいろいろなしがらみや思惑、制約があり、思うように記事を書けないことがありそうです。

 

 

記事によれば、件の学習塾は関東と東海に展開しているようです。

すると、「名古屋」あたりが拠点となる塾のようですが、その塾と東京と埼玉の私立高校との間で「約束」があったということなので、首都圏の教室で、記事に書かれているような動きがあったのでしょう。なるほど。

 

ところで、昨年、私はこのブログに、上の新聞記事と関連のありそうな内容を書いています。

あわせて読んでいただくと見えてくることがあるかもしれません。

 

塾の「併願優遇」?

 

 

 

さて、今、ここで焦点となっている「受験相談」の報道ですが、以下のように展開しています。

 

 

1.関大一高の「受験相談」が発覚

<大阪・関大一高>入試前に大半「合格」 中学側と調整(前々回のブログの記事)

 

 

2.文部科学大臣が記者会見で「不透明な入試」についてコメント

文科相:関大一高の選抜、不適切と認識

 

 

3.過去に、首都圏の私立高校が塾に合格の「確約」を出していた

<首都圏の私立高5校>模試の結果で合格確約(上掲の記事)

 

 

4.関西でも私立高校と塾の間で「確約」があったことがわかった

<近畿・一部私立高>塾相談会で合格確約 入試2カ月前

 

 

 

これらは、すべて同じ新聞に掲載された記事です。

下村文部科学大臣の記者会見をあつかった「2」以外は、すべて同じメンバーの「記者チーム」による記事です。

こうしてみると、一連の報道の「流れ」が周到に用意されてあったことが分かります。

 

 

「1」の関大一高の記事が「導入」となって、論難の矛先は、徐々に「本題」に近づいていきます。

以降の記事では、特定の塾名や学校名は伏せられたままです。

世間の耳目をひきつけるには、具体的な「対象」が必要です。それゆえに、「先鋒」の記事にはインパクトが求められたのかもしれません。

 

「2」の記者会見は、「1」の記事の翌日に開かれています。

これは閣議後の定例会見ですが、ここで教育行政のトップからコメントをとって、後の「展開」に組み込めるように、最初の記事を出すタイミングを8月20日にしたのかもしれません。

同じ新聞社の記者が質問をしていましたが、あらかじめ質問内容を知らせていたようです。大臣は、ペーパーを読んで答えていました。

 

「3」の記事は、昨年の報道を「蒸し返す」ものですが、合格の「確約」を得るために、塾側が模試の「予習」を行っていたという新しい事実も明るみになっています。

この記事は、「4」の記事を引き出すために据えられたのかもしれません。

 

「4」の記事の舞台は再び「大阪」です。

今年の入試で、大阪の私立高校と塾との間で「談合」があったことを取材しています。

 

 

実は、関大一高の記事が出た8月20日には、別のニュースも報じられています。

大阪府の府立高校入試で、「全国学力テスト」の結果を高校入試に反映させることが、本年度に限り認められることになったのです。

この件で、かねてから大阪府と文科省は「対立状態」になっていましたが、いったん、混乱は回避される見通しとなりました。

 

これが偶然なのか必然なのかはわかりませんが、もしかすると、府立高校の入試制度改革と一連の報道は、裏でつながっているのかもしれません。

 

 

 

「2」の記事の元になった、下村文部科学大臣の記者会見の該当部分をテキストに起こしてみました。

 

(後ろに要点をまとめておきましたので、読むのが面倒であれば、読み飛ばしてください。)

 

 

下村文部科学大臣の発言:

 

大坂の関西大学第一高等学校、今春の入試で、選抜試験の一ヶ月前に、受験生本人たちに知らせず、複数の中学校と受験相談を行い、中学校での成績に基づき、大半の合格者を事実上内定していたため、選抜試験で高い点数を取ったのに、不合格とされた受験生がいたとの報道は承知をしております。

 

当該学校を所管する大阪府によると、報道は概ね事実とのことであり、文科省としては、入学者選抜は、私立学校を含め、入学者選抜要項に示す内容に沿って行われるべきであり、例えば、中学校の成績を重視して入学を許可する方針であれば、一般入試とは別枠で推薦入試を実施することを含め、その方針を明確に反映した選抜方法を対外的に明示することが適切であると考えます。

 

また中学校側も特に、個別の生徒の進路について高校と相談する場合は、保護者や生徒に対して適切な情報提供を行うことが必要であると認識をしております。

 

全国の学校にあっては、保護者や地域の信頼を得られるよう、今後とも入学者選抜の公正・公平な実施に向けた取り組みを進めていただきたいと思います。

 

本来は、高等学校への入学は校長が許可するものであり、また、特に私立高校の入学者選抜については、自主的・主体的な改善が図られるべきものであります。

 

が、改めて文部科学省として、来月、9月30日に行う全国の都道府県の担当者を集めた会議の場で、ひとつは高等学校において、選抜要項における各学校の選抜方針を明確に反映した選抜方法を明示すること、ふたつ目に、中学においては、生徒や保護者に向けた適切な情報提供など、適切な選抜の実施に向けた取り組みを促すことを、この会議の場で文部科学省としても提起していくことによって、徹底を図ってまいりたいと思います。

 

 

要点:

 

・関大一高の報道は知っとるよ

・関大一高は、「推薦」などの別枠の入試を用意するべきやったね

・入試の方針と合格の基準はわかりやすく示さんとあかんよ

・中学校も、高校との「入試相談」の結果を保護者・生徒に伝えんとダメやろ

・まあ、でも、私立高校の入試のやりかたは、本来高校が自分で決めるべきものやからね

(せやから、ホンマはワイらがとやかく言うことでもないんやで)

・来月全国の「担当者」が集まるから、そこで注意しとくんで、それでよろしく

 

あえて「関西弁」でまとめてみました。

 

 

 

下村大臣の会見では、件の新聞社の記者が「3」の記事の内容についても質問していました。

首都圏の塾で、ある塾の塾内テストの結果をもとに、複数の私立高校が合格の「確約」を出していた問題ですね。

これも、質問内容をあらかじめ伝達してあったようで、大臣はペーパーを読んで答えていました。

 

 

下村文部科学大臣の発言:

 

 

ご指摘の点ですが、文部科学省では、平成五年の通知により、高等学校の入学者選抜は公教育としてふさわしい適切な資料に基づいて行われるべきものであり、業者テストの結果を資料として用いた入学者選抜が行われることのないよう要請をしてきております。

 

昨年、同様の指摘があった際、報道された塾および東京都・埼玉県に確認したところ、域内において確約を行っているような事案はないと、認識しているとのことでありました。

 

また、今後とも、通知の趣旨をふまえ、都道府県等に対し、公教育にふさわしい適切な資料に基づいた入学者選抜が実施されるよう要請してまいりたいと思います。

 

 

 

要点:

・文科省は20年前から、塾のテストを使って合格を出してはダメだと言っている

・去年ニュースになったので、塾のテストで合格を出した高校があるか聞いてみた

・東京と埼玉の担当者は、「ないと認識している」と答えた

 

 

 

俗にいう「つっこんだら負け」というやつですね。

 

 

 

高度に発達した文明の社会集団の中で、原則論や基本道徳にもとづいて、社会や組織の矛盾を指摘することは「痛い行動」であるとみなされることがあります。つまり、「野蛮」な行動であるということです。

 

なぜなら、精巧に組み上げられた人為的システムが完成するまでには、長い時間と労力をかけて、さまざまな利害関係の調整や、現実的判断、理想などの取捨選択がなされており、無責任な煽りは、極めて繊細な構造物を破滅させるきっかけになり得るからです。

 

「受験」の中枢にいる人ほど、横行している「入試の実態」を「公の問題」にできないわけです。

 

現在稼働している受験システムが崩壊したとき、どれほどの混乱が起き、どれだけの受験生や関係者が途方に暮れるのか、想像することができる人間にはその引き金を引くことができないのです。

 

 

一方で、多くの人がそのシステムの疲弊を感じ取っています。

「風穴」を開けてくれるような発言者が求められていることも事実です。

 

個人的には、「3」の記事のように、大手塾が特権的に「併願優遇」や「推薦」を出しているのは大きな問題だと思うので、報道機関には果敢に取り上げていただきたいと思います。

 

(「4」の記事にあるように、塾団体が個人塾を集めて「進学相談会」を開くのもそれが原因です。連合して大手のアドバンテージを追尾しなければならなくなるのです。)

 

 

 

さて、今回のブログでは、関大一高に端を発する「受験相談」報道を追いかけてきました。

 

ありきたりなことをいうようですが、メディア情報には、演出や思惑、打算などが反映されることがありますから、そのままを「鵜呑み」にしてはいけません。

 

 

情報を評価・分析・判断する力のことを「情報リテラシー」といいますが、この力は、これからの時代、さらに重要なものになっていくと思います。

 

 

受験は「情報戦」でもあるので、私を含め、塾の教師は特に情報を深く読もうとします。

 

 

ふと思ったのは、関大一高の入試です。

分かりづらい人には分かりづらいのでしょう。

しかし、インターネットを使って、少し情報を収集するだけで、この高校の入試の全容を理解することができました。

 

 

 

「入試の仕組みが分かりづらい」と多くの人が口に出します。

もちろん、分かりやすい方がいいのでしょう。前回の記事にも「入試制度はわかりやすいほうがいい」と書きました。しかし、なんでもかんでも「1から10まで」説明することが果たして全面的に良いことなのかどうか、という疑問もあります。

 

 

将来を左右する入試という一大事に際して、成り行き任せで情報も集めない人間に、豊かな未来があるとも思えません。

 

 

「オトナの世界」では、「全部」を説明してくれることなどあり得ません。

事態や事情を自分で読み取れない人間は、「その程度」だと評価されるでしょうし、事態や事情を読み取れないおかげで、重大な失敗や損失を招くこともあるでしょう。

 

 

まあ、未来のことはともかく、受験に際しては、周りが噛み砕いてくれるのを待っているのではなく、自ら主体的に情報と向き合べきだと思います。

 

 

 (ivy 松村)

 

 

「受験相談」報道について考えてみる②

前回のブログでは、関大一高の新聞記事を取り上げつつ、東京都の私立高校受験には「入試相談」という制度が存在することを説明しました。

 

やはり、大阪にも同様の制度があります。

大阪では「受験相談」あるいは「事前相談」と呼ばれるものです。

 

 

新聞報道によれば、関大一高は、受験生の知らないところで「受験相談」を行い、「内定」を出した生徒は、当日の入試得点で、他の受験生の得点を下回っていても合格させていたということです。

 

高校受験の仕組みをよく知らない人が読むと、以下のような印象を持つに違いありません。

 

・高校と中学が秘密裏に談合で合格者を決めている

・入試得点を基準にして合否を判定していない

・入学試験が「出来レース」であることを受験生は知らされていない

 

総じて、読者は「不公平」な入試選抜が行われていたのだ、と受け止めることでしょう。

 

 

多くの記事やコメントで、憤り、非難、怒りの声が噴出しています。

そうした声に触れる度に、残念な気持ちが湧いてきます。

この高校に同情しているからではありません。

多くの人が「思惑通り」にはめられてしまっているからです。

 

この記事には、ある種の「狙い」があるように思います。

 

 

 

記事には、「関大一高の関係者」が大阪府私学・大学課に指導を要請したと書かれています。

まあ、仰々しくいうと、「内部告発」をしたわけです。

それで、「私学・大学課」は、関大一高に改善を求めた、ということです。

 

ところで、大阪で個人塾をやっておられる方のブログに興味深いことが書かれていました。

「私学・大学課」も「受験相談」のことなど当然知っているのだから、形だけの指導をして終りだっただろう、と。

 

それで、もしかしたら、今度は新聞社に情報提供したのかもしれません。

 

 

 

ともかく、関大一高の入試状況を確認してみましょう。

 

問題となった、2015年度入試の入試データです。

 

 

志願者 合格者 入学者
専願 男子 129 89 89
女子 78 68 68
合計 207 157 157
併願 男子 33 31 3
女子 21 20 4
合計 54 51 7

 

 

「専願」というのは、受験校を第一志望とし、合格すれば必ず入学手続きを取ることを条件に「優遇」を受ける受験カテゴリーです。関大一高の場合、「15点の加点」となっています。

(後述しますが、関大一高の「専願」は、さらに細分化された区分が存在します。しかし、ホームページの資料では合算された「専願」のみのデータとなっています。)

 

「併願」というのは、複数の受験をするという意味になりますが、この場合は、要するに加点のない「一般入試」を受けるということです。

 

 

極端に「専願」の受験者が多いことが分かります。

「専願」と「併願」を合わせた全受験生の約79.3パーセントが「専願」で受験しています。

また、気になるのは、「併願」で受験した受験生のほとんどが合格し、また、ほとんどが入学していないということです。

 

合格率の高さに注目しなければなりません。

「専願」は約75.8パーセントです。

一方、「併願」は約94.4パーセントにのぼります。

 

 

加点がなく、不利な入試となっているはずの「併願」の方が、合格率が高くなっています。

これは、得点力を持った、さらに上位校を第一志望としている受験生ばかりが、関大一高を「併願」するという状況になっているからでしょう。特に、府立の最上位校を狙うような受験生は内申点も持っているでしょうから、内申点を入試点に加点するタイプの関大一高の入試では、その分強みがあるはずです。

 

 

関大一高は、数十人の、最上位に近い学力の受験生が「併願」を受験し、上位中堅学力の受験生のうち、関大一高を第一志望と定めた受験生が「専願」でしのぎを削る、という構図になっています。

 

「専願」が主戦場となっているので、大勢の受験生をかき集めて行われるような入試にはなり得ません。

必然的に、入学の意思を強く持っている生徒を評価、審査するような選抜に傾きます。というよりも、最初からそのような指向があったのかもしれません。

 

 

 

報道によれば、事前に合格を得ている「内定者」は119人おり、「当日枠」での合格者が16人、不合格者が50人となっています。

そして、その50人のうち、47人が「内定者」の合格最低点を上回っていたということになっています。

 

問題となっている「受験相談」は、もちろん「専願」に対して行うものです。

「内定」を出した「専願」の受験生と、「内定」を出さなかった「専願」の受験生がいるということになります。

 

 

 

関大一高のホームページでは、入試結果では「専願」は単一の受験カテゴリーとしてあつかわれています。

しかし、入試区分を説明する「生徒募集概要」のページでは、2種類の「専願」があることを明記しています。

 

・「専願A」・・・生徒会活動や部活動、社会活動、検定などの実績が評価される出願

・「専願B」・・・入試得点に15点が加算される出願(一般専願)

 

 

さらにそのページには、「中学校を通じて提出された活動実績報告書により、専願A枠に該当しないときは、専願Bでの合否判定となります」と書かれています。

 

つまり、「専願A」のほうが「専願B」よりも「優先度」の高い出願であるということになります。「専願A」で出願できなかった受験生が、「専願B」で受験するのです。

 

 

 

前回のブログで取り上げた新聞記事は、「受験相談」問題の「火付け」報道でした。

その後の他紙の記事では、さらに詳細が述べられています。

 

関大一高、入試前に合格内定 「受験相談」と称し面談

 

 

この新聞記事では、「内定者」は全員「専願A」の受験生であったと説明しています。

 

一方、前回紹介した新聞記事は、故意に「専願」の区分に触れずに記事を書いたのではないかという疑いを持たざるを得ません。

 

 

 

関大一高は、「関関同立」の一角を占める関西大学の併設校(付属高)です。評価にかげりが出てきていますが、全国に名の知れた名門大学に、ほとんどの生徒が進学します。

 

関西のことはよく知らないので、あくまでイメージでの話ですが、あえて、首都圏の高校でたとえてみると、もしかしたら法政大学高校が近いのではないかという気がします。

(大学ブランドは法政大学の方が上だと思いますが)

 

もし、関大一高が、「専願」を主体とした入試を行わないとしたら、法政大学高校のように、2~3倍の倍率になると思います。

 

 

関大一高の「専願」の志願者の割合の高さや受験倍率などは、一見特異で不可解に思えます。しかし、それが「受験相談」を通して志願者を絞っているためであることを知れば、この高校の特徴をよく理解できます。

 

関大一高は、明らかに、「学校での成績」がよく、生徒会などで積極的な活動を行っていたり、部活動やコンクールなどで優秀な成績を収めたり、社会奉仕活動などを行ったりしている「優等生タイプ」の生徒を求めています。そのうえで、自校を第一志望とする受験生を求めています。

 

ですから、そういった生徒が目指すべき「専願A」に力を入れています。

 

そうすると、中学校とのパイプを通して「まちがいのない」志願者を集めることが最も合理的です。

 

募集枠のほとんどを「受験相談」を通して集めた生徒に割り当て、残りのわずかな「枠」を、得点力をもった受験生たちが争うという構図になります。

 

 

上に紹介した新聞記事によれば、「専願A」の受験生は全員合格し、それ以外の「専願B」で出願した受験生は、当日の入試得点が「専願A」の生徒を上回っていても不合格となっています。

「専願A」の基準を満たせば「内定」がもらえ、「専願B」は入試得点次第ということですね。

 

 

「専願A」の出願を、高校側が「受理」すれば「内定」です。

高校側が難色を示したときには、「専願B」での受験となるわけです。

 

ある意味で、非常にわかりやすい形になっているのですから、受験生や関係者が「受験相談」というものがあることを知らなかったというのは、ちょっと考え難いように思うのです。

 

 

要するに、「推薦合格」を果たした生徒が、形の上で、一般受験者に交じって入試問題を解くという「儀式」を行っていたのだと考えるとわかりやすいと思います。

 

 

オリンピック出場権を手にしているマラソン選手が、調整のために、出場権獲得を目指す他の選手と一緒に、選考を兼ねている大会に出ると。

それで、結果、順位が他の選手よりも下だったからといって、出場権をはく奪しろ、と叫んでいる輩がいたら、アホだと思いますよね。そんなイメージです。

 

 

一応つけ加えておきますが、私は、入試制度はできるだけシンプルで、わかりやすく、透明なほうがいいと思っています。でも、それと、不実を明かすことは別なのです。

 

 (ivy 松村)

「受験相談」報道について考えてみる①

8月20日の新聞報道で、大阪にある関西大学第一高等学校が、入学試験前に合格の「内定」を出していたことが問題として取り上げられました。

 

<大阪・関大一高>入試前に大半「合格」 中学側と調整

 

記事によれば、「関大一高」は、受験日の約1か月前に、中学校側との「受験相談」を行い、受験生の中学校での成績に基づいて、合格を決め、中学校側に伝えていたのだそうです。

 

合格の「内定」をもらった受験生は、入試得点いかんによらず、全員合格。

そのために、「内定合格者」よりも高い得点を取ったにもかかわらず、不合格となってしまった生徒が出てしまったということです。

 

 

 

この記事を読んだ当初、違和感を覚えました。問題の焦点がわからなかったのです。

私と同じように、ほとんどの塾関係者や学校関係者は、記事の内容について、あまりにも一般的でありふれた高校受験の一幕だと感じたことでしょう。

 

狐につままれたような感覚に居心地の悪さを感じながら、記事を丹念に読んでみることにしました。

それで、やっと少し状況が整理できました。

 

 

 

このニュースに取り上げられている内容は、高校受験に関わる人にとっては既知のものです。

 

 

東京都の私立高校受験のシステムにも、同じような「入試相談」というものがあります。

中学の先生が高校に出向かれて、生徒の「合格の可能性を相談する」というものです。

 

基本的には、推薦・専願(単願)・併願優遇を利用して受験をする生徒が対象となりますが、高校によっては「一般受験」の入試についても相談を受け付けるところもあるようです。

 

 

「入試相談」は、なかば公的な制度となっています。

現在、東京都の公立中学校に通っている生徒や保護者の方は、自分の中学の「年間行事予定」を見てください。

12月15日に「入試相談」と書かれてあるはずです。

本年度は、この日が「入試相談」の「解禁日」となっています。

 

この日から、ようやく中学校と高校は「相談」をしてもよいということになっています。

が、実際には、この日よりも前に根回しは終わっていて、12月15日には、ただ、中学の先生が、高校を回って「受験者リスト」を受け渡していく慣例的、儀礼的行為を行うだけです。

 

中学校は、2学期の三者面談の際に生徒・保護者に受験の意志を確認し、受験の意志のある生徒の「合格の可能性」を高校に問い合わせます。「合格の可能性」の高い生徒には、当該校の受験を容認し、「合格の可能性」が厳しい生徒には再考を促します。

 

ですから、厳密には、12月15日よりも前に「合格の可能性」がとても高い高校を受験するかどうかが決まっています。

 

 

まあ、はっきりいってしまえば「確約」を出すわけです。

 

 

現実には、12月15日の前には「確約」が出されていますから、「入試相談」の実際は、「12月15日」には完了しているわけです。

 

 

このようにして「入試相談」を通して出願した受験生は、「よほどのことがない限り」合格を手にします。

 

中学の先生は、「入試相談」を使って生徒の進学先や、「保険」となる進学先を確保しようとします。一方、高校側は、「入試相談」を多くの受験生を集める「営業ツール」として活用します。

また、受験生・保護者にとっても確実に合格を押さえることができるというメリットがあります。

 

 

一方で、「入試相談」を受け付けていない私立高校もあります。

人気のある私立のブランド校、特に難関大学の付属高や系列校は、中学校と「合格の可能性」について話をすることはほとんどありません。

ですから、私立上位校の入試は、ほぼ「ガチンコ」の本番勝負になります。

 

 

 

対照的に、東京の私立高校には、「入試相談」を積極的に活用しているところがいくつかあります。

受験生が1,000人を超えるようなところもめずらしくありません。

そのうち、「入試相談」を通さずに受験をする場合、極端に「ボーダー」が上昇する高校があります。「入試相談」を通して「確約」を大量に出しているため、「確約」を持たない受験生が競う「一般入試」で、合格者を出す「枠」がとても少なくなっているからです。

 

こうした高校は、「偏差値」と「難易度」がかみ合っていません。

あるいは、状況を利用して「偏差値」を上昇させようという戦略なのではないかとうがった見方をしたくなります。

 

(「ランキング表」を盲信して高校の「格」をはかろうとするのは、危険です。特に、最近の私立高校の「ランキング表」は、あまりにも多くの思惑を反映し過ぎています。)

 

 

しかしそれにしても、たとえ入試以前に「確約」を出していても、上記のような高校をことさら非難する声は起こりません。

「入試相談」はある意味で「平等」な制度です。端的に、当該の高校にどうしても合格したければ、「推薦」「専願(単願)」「併願優遇」を利用して受験をすればいいからです。

 

「入試相談」と「確約」は呼応関係にありますが、無条件ではありません。そこには「基準」があります。

多くの場合、内申点の「基準」を満たしているかどうかで「確約」が決まります。

ですから、こうした制度は、別の見方をすれば、「学校の成績をもとに入試を行っている」ということになります。

 

大枠で捉えれば、生徒の学力を判定するという「入試の機能」と同等であるといえます。

 

「学力が足りないために入試で不利になる」という事態は、極めて普遍的なものであり、問題視するべきものであるとは思われていません。

 

 

 

この制度の是非にも触れたいところですが、ひとまず置いておきましょう。

ともかく、関大一高が行っていた「受験相談」というものは、東京では「入試相談」と呼ばれ、同じように行われているものです。

 

しかし、この件は、文部科学大臣を始め、識者がこぞってコメントを出したり、議論に取り上げられたりして、大きくクローズアップされることとなりました。

どうしてこの件が大きな問題として取り上げられるに至ったのか、次回、もう少し考察してみましょう。

 

(ivy 松村)

「入試相談」は締切ではない

昨日、12月15日から中学校と私立高校との間で「入試相談」が始まりました。

 

お互いの間での話し合いが「解禁」されたのです。

昨日から、中学校と私立高校との間で、「受験について話し合いをしてもよい」ということなったわけです。

 

勘違いをされている方もいらっしゃると思うのですが、「締切」ではなく、「解禁」です。

 

 

12月15日になって、「入試相談」が「解禁」されたので、昨日は、中学校の先生方が、各私立高に出向かれて、推薦や単願、併願で受験する生徒について「相談」されているわけです。

 

 

実際には、すでに、受験生の情報は取りまとめてありました。

 

「確約」で受験できるのかどうか、また「確約」の条件で受験するのかどうかは、すでに三者面談で示され、決定しています。「約束」は、「相手方」に聞いたうえでするものですよね。

 

 

この「入試相談」は儀礼的、形式的な慣例のようなものだと考えるとわかりやすいです。

 

日本人の生活上のならわしや商慣習では、物事を「根回し」などによってあらかじめ決めておくということがよくみられます。

この「入試相談」もまた、できるだけ円滑に受験というイベントを運営するための「現場の知恵」であると考えることができます。

 

競争が過熱しないように「ルール」が設定されると、今度は、合理的・経済的な行動が選択されるようになるのですね。

 

 

「入試相談」はほとんど、1、2日で終わってしまいます。中学校の先生は、高校に足を運ばれて、受験生のリストをお渡して、また、すぐに次の高校に向かわれます。高校の先生は、次々に来られる中学の先生をお出迎えして、リストを受け取られるわけですね。

 

 

それで、「入試相談」が終わってしまえば、もう、中学の先生は、「任務を終えた」ことになります。ですから、もう、これ以上高校の先生と「相談」することはしないわけです。

その後、いくら気が変わった、と言っても、受付けてはくれません。

 

12月15日は月曜日でしたから、受験校の決定の最終期限は12日の金曜日という中学校が多かったようです。

 

それは、もし、中学をとおして「入試相談」して欲しければ、それまでに、申し出なさい、という意味での、「期限」なのです。

 

その後では、中学校は関与しませんよ、ということです。

 

 

文言を、そのままの意味でとらえると、12月15日から「入試相談」が行われるのだということになります。

しかし、実際には、始まった瞬間に終わっているわけです。

ですから、始まる前に決めなければならなかったのです。

 

 

 

「入試相談」というのは、平たくいえば、相手方の「高校」と入学に関する「約束」をすることです。中学校は「保証人」ということになるでしょうか。

 

非常に重いものですから、それを反故にすることはできません。

「約束」を破るなどということは、とんでもないことですから、中学の先生も怖い顔で念を押してきますよね。

 

 

しかし、もし、相手の高校と「約束」をしていなければ、何も制約が生じることはありません。

 

はっきりいってしまえば、これから受験校を増やしても、何の問題ありません。

出願までに中学の先生に調査書を書いてもらうようにお願いすればいいだけです。

(学校の先生は露骨に嫌がるでしょうが。)

 

 

 

確認してみましょう。

 

・「確約あり」の推薦

・「確約あり」の単願

 

原則として、変更はできません。これらは、基本的に入学の「約束」をするものだからです。

 

この場合の受験は、進学先を決定する、ということと同義です。出願を決められた方も、よくよく考えての決断だと思いますので、あとは、気が抜けて変な問題を起こしたりしないように、残りの中学生活をしっかりと過ごしていきましょう。

 

高校に提出する作文などがある人は、信頼のおける大人に添削してもらったほうがいいと思います。生来アホな性分の生徒で、「舐めた態度」が作文からにじみ出てしまって、不合格になってしまったケースを聞いたことがあります。

 

 

・「しばりあり」の併願優遇

 

第二志望の「しばり」の場合には、基本的には2校しか受けられません。第3校を受けることができて受かったとしても、そこに進学することはできません。

 

都立高校と「確約」併願優遇のセット受験である「都立併願」の場合には、都立高校の受験をさしかえることはできます。また、推薦入試を受けることもできます。

 

これから、新たに受験校を増やすことは、学校の先生は認めないでしょう。

 

このタイプの受験を選択した受験生は、もう、後はひたすら都立入試対策をするのみです。

 

 

・「しばりなし」の併願優遇

 

「併願優遇」は、高校によって中身がちがうので、混乱しやすいのですが、入学義務が全く設定されていないタイプの「しばりなし」の高校の場合には、受験校を増やすことができます。

 

 

・「オープン入試」

 

受験校を増やしたり変えたりできます。

 

 

 

 

 

 

えてして、学校の先生は、「受かっても行く気がない高校を受ける意味あるのか」というようなことを言って受験校を減らそうとしますが、ちょっとおかしな質問であることに気づいてください。

 

「どうしても行きたいと思っている第一志望の高校があるけれど、余裕で受かるような簡単なところではない、第一志望に受からないかもしれないから、別の高校を受けておく」のですよ。

 

もちろん、第一志望に受かったら、「その高校」に行きません。

でも、それは「行く気がない」とは違いますよ。

 

どうして、学校の先生が、「その高校に行かなくてすむ」ことを100パーセント保障できるのでしょうか?

 

学校の先生は、「高校」と名の付く「行くところ」があればそれでいい、と考えています。極論すれば、第一志望がダメでもいいと考えています。

ですから、自分でリスクを管理しておかなければならないのです。

 

 

 

 

今お話しさせてもらっている内容は、要は、場合によってはまだ受験校を変更できますよ、という話なのですが、もちろん、土壇場でころころと計画を変えてしまうのはあまりよくないことだと思います。

ただ、場合によっては、臨機応変に行動するべきときもありますから、一応、可能性の話をしているのです。

 

 

いろいろなところから、12月15日を過ぎたら受験校の変更ができない、といういい方をされて、誤解している人が結構いるのではないかと思います。

 

もし、今になって、受験校の変更はできないかと考えている人がいらっしゃったら、よく、自分の受験パターンを思い返してみましょう。

 

 

 

ところで、「解禁」で思い出したのですが、東京都の私立高校一般入試は2月10日から「解禁」になります。ところが、他県では、それ以前に入試日が設定されていることがあります。

 

神奈川の私立高校は東京都と一体的な入試日程なので利用しにくいのですが、千葉、埼玉、山梨は日程がずれています。ですから、受験パターンに組み込むことができるのです。

 

東京西部の日野や八王子、町田の中学の生徒は、さすがに千葉の高校を受けるということにはなりませんが、山梨東部、埼玉南部の高校は、通学可能範囲ですので、選択肢に入ってきます。

 

2月10日以前に、合格を確保しておきたいときには、いくつかの高校を受験することになります。

 

また、東京都の中学生は、他県の「併願推薦」を受けることができるので、基準を満たしている受験生は、推薦と一般のどちらかで、「おさえ」をつくることができます。

 

都外のこうした地域には、「確約あり」で「しばりなし」の「併願推薦」や「併願優遇」の受験ができる高校がいくつかあります。

 

これは、割と知られた話で、多摩地域の進学塾では、一般的に、受験生に同じような話をするはずです。(知らない塾は、ちょっと微妙ですよね。)

 

 

山梨の高校は、基本的には、内申の基準に届いていれば、中学校の「入試相談」で「併願推薦」あるいは「併願優遇」の「確約」をもらえます。

 

 

埼玉の高校は、以前は中学校による「入試相談」を受けつていなかったのですが、現在は対応している高校もあります。確認してみたところ、さすがに遠く、直接中学の先生に「入試相談」に来てもらうのは申し訳ないということで、その場合は、郵送でリストを受け付けてくれるということでした。(そういうと、中学の先生に嫌がられないのですね。)

 

埼玉の私立高校はこれまで、中学校をとおした「入試相談」という制度に対応していませんでした。そのため、「併願」の「相談」をするためには、基本的に、受験生・保護者(あるいは塾)が高校に行き、直接「入試相談」を行うのが通例となっています。「個別相談」と呼ばれるものです。

 

これは、面倒なことのように思えますが、一方でメリットもあります。

 

つまり、埼玉(そして山梨)の私立高校は、東京都の中学校の「入試相談」に対応することはあっても、現在のところ、その枠組みやスケジュールに拘束されないということです。

 

 

内申以外の基準で「併願」を認めてもらえることがあります。

そして、12月15日を過ぎてしまった現在でも、これから、まだ「併願」で受験できる可能性が残っているのです。

 

 

山梨や埼玉の高校では12月後半になっても「個別相談会」などを行っています。(1月までやっているところもあります。)

 

(また、調べてみたところ、東京の高校でも、まだこれから「個別相談会」を行うところがありますね。ただ、東京の高校は・・・)

 

 

 

今はもう、学校をとおしての「入試相談」はできませんが、個別に受験生の「相談」にのってもらう機会がまだあります。

 

 

 

ivyの生徒は、受験パターンをほぼ固め終えて、本番に向かっていくだけです。

 

 

あとは、このブログに何かのきっかけでたどり着いた「だれか」にとって、このブログが何か有用な情報となれば幸いだと思っています。

 

(ivy 松村)