「G7」の塾別合格実績

「大手塾」を対象に、今年の都立高校入試の塾別合格実績を調べてみました。

 

最も気になるのは、進学指導重点校、日比谷、西、国立、戸山、青山、八王子東、立川=「G7」の合格者数です。

 

3月の初旬に、各塾の合格者数を調べました。

 

 

 

市進 早稲田

アカデミー

ena Z会進

学教室

河合塾

Wings

臨海

セミナー

栄光

ゼミナール

SAPIX 駿台
日比谷 64 81 11 54 16 39 14 27 21
西 70 52 42 66 24 3 14 19 12
国立 56 49 57 31 13 15 12 5 1
八王子東 43 17 57 8 26 23 9 0 0
戸山 63 46 18 59 21 17 20 5 7
青山 46 32 23 32 34 24 23 0 3
立川 37 31 72 19 18 10 13 0 1
「G7」合計 379 308 280 269 152 131 105 56 45

 

 

 

先日、再度ホームページを確認したところ、合格者数が増加している塾がありました。

 

 

 

市進 早稲田

アカデミー

ena Z会進

学教室

河合塾

Wings

臨海

セミナー

栄光

ゼミナール

SAPIX 駿台
日比谷 65 81 11 55 16 39 14 27 22  
西 72 52 43 67 24 3 14 19 14  
国立 56 49 57 31 13 15 12 5 1
戸山 65 46 18 61 21 17 20 5 9  
青山 47 32 23 32 34 24 23 3 3
八王子東 43 17 57 8 26 23 9 2 0
立川 39 31 72 19 18 10 13 0 2  
「G7」合計 387 308 281 273 152 131 105 61 51
増加人数 8 0 1 4 0 0 0 5 6

 

 

 

なぜ、後になって少しずつ合格者数が増えるのかは、「謎」です。

 

次のようなことがいえるかもしれません。

 

・入試直後に合否を確認できないような「距離感」の生徒の入試結果を、自塾の実績に加えている

 

 

 

それにしても、やはり、教室数の多い塾ほど合格者数が多くなる傾向がありますね。

 

 

 

さて、今回、ちょっと趣向をこらして、「合格者数」以外の指標に注目してみました。

 

 

それぞれの塾の「1教室あたりの合格者数」を出してみました。

 

各塾ホームページを閲覧して、都内に展開している教室の数を数えたのですが、たくさん「出店」している塾の教室の数を数えるのは大変で、しばらくは目がチカチカして困りました。

 

もしかしたら、数えまちがいがあるかもしれません。

たくさん「出店」しているところは、まあ、少し教室数が違っていても、「1教室あたりの合格者数」は大差ない数値になると思いますが、それでも、まちがいはよくありませんから、合格者数や教室数のまちがいに気づいた方は、お知らせくださると大変助かります。

(入試日前後に開校した教室は省きました。)

 

 

 

 

Z会進

学教室

河合塾

Wings

駿台 SAPIX 早稲田

アカデミー

市進 臨海

セミナー

ena 栄光

ゼミナール

「G7」合格者数 273  152 51 61 308 387 131 281 105
都内集団教室数 8 18  8 15 66 38 43 145 153
都内個別教室数 0 0 0 0 15 86 19 34 163
1教室あたり 34.13  8.44 6.38 4.10 3.80 3.12 2.11 1.57 0.33

 

 

 

Z会の「1教室あたりの合格者数」は34.13人となっています。

にわかには信じがたい圧倒的な数字ですね。その中核となる「事業」を思うと、いろいろと考えてしまいますね。

 

 

 

「1教室あたりの合格者数」は、集団指導教室の数と個別指導教室の数を合わせて算出しました。

なぜなら、両者の合格者数を合算した数値が、「塾の合格者数」として記載されているからです。

 

個別指導部門を抱える塾は「合格者数」を「集団+個別」で算出しているのですから、「1教室あたりの合格者数」も「集団+個別」で出さなければならないわけです。

 

 

やはり、広域に展開している塾は、「1教室あたりの合格者数」が少なくなるようですね。

教室によって合格者数にばらつきがありそうです。

 

 

このデータから、塾組織は、広域展開することで指導力が低下することがはっきりとわかります。

 

広域展開することで多くの生徒を集めることができます。

「母数」を大きくすることで、全体の「合格者数」を増やすことができますが、「1教室あたりの合格者数」は低迷していきます。

 

 

 

「大手塾」は、大きく「デパート型」と「コンビニ型」に分けられます。

 

ターミナル駅などに大規模な拠点を構える「デパート型」の塾は、人材を集約的に稼働することができます。

 

他方、広域に小中規模の教室を展開する「コンビニ型」の塾は、人材が拡散することになります。

 

たとえば、「デパート型」は、「英」「数」「国」のそれぞれの「エース講師」を1か所に集めることができますが、「コンビニ型」はそれぞれが「教室責任者」として分散されて配置されることになるわけです。

 

 

 

しかし、「デパート型」の塾も、その教室の運営体制をよく確認する必要があると思います。

 

大規模な教室では、1学年で10クラス以上を設置しているようなところもあります。

 

「デパート型」の塾は、ほぼ全てが学力別のクラス編成を行っているわけですが、下位クラスと上位クラスを同じ「熱意」で指導するようなところがあるかどうか、なかなか難しいと思います。クラス数が増えれば増えるほど、指導に偏りが生じるはずです。

 

 

上のデータは「1教室あたりの合格者数」ですから、拠点が少なく、集約的な教室運営を行っている「デパート型」の塾に有利な「数値」が出ます。

 

たとえば、仮に「クラス数」や「生徒数」などのデータが採取でき、「1クラスあたりの合格者数」や「塾全体の合格率」などを算出した場合には、「デパート型」の塾の「実績」は、上掲の「数値」にくらべて著しく低下することになるでしょう。

 

教室数が少ない「デパート型」の塾が、仮に、それぞれの教室を平均3クラス体制で運営しているとすると、単純に「1クラスあたりの合格者数」は上に挙げた「1教室あたりの合格者数」の3分の1になるわけです。

 

おそらく、実際には、より多くのクラスが設置されているでしょうから、「1クラスあたりの合格者数」は「3人」を下回るのではないかと思います。

 

 

まあ、どこの塾も、だいたい同じくらいの指導力になるのかもしれません。

(おざなりの結論でまとめようとしてみました。)

 

 

しかし、Z会は、・・・いや、まあ、いろんな意味ですごいなあ、と・・・。ちょっと「特殊」な数字ですよね。

 

 

 

「大手塾」はその「スケールメリット」を活かして、「巨大」な合格実績を上げることができます。

そして、その成果を最大の武器として広告宣伝を行います。

 

 

大手にとって「都合のよい数値」ばかりが取り上げられるのもフェアではないように思うので、「1教室あたりの合格者数」を出してみました。

 

 

個人塾や中小塾の人たちは、もっとこういう「リアル」な情報を積極的に発信していくべきだと思います。

 

 

 

最後に、塾の合格者数を調べていて、興味深いデータが得られたので、掲載しようと思います。

 

 

今年の都立西高の塾別合格実績です。

 

 

 

合格者数
市進 72
Z会進学教室 67
早稲田アカデミー 52
ena 43
河合塾Wings 24
SAPIX 19
栄光ゼミナール 14
駿台 14
学志舎 5
志學舎 4
湘南ゼミナール 3
TOMAS 3
臨海セミナー 3
北上田塾 2
茗渓塾 2
セキッズ英会話スクール 2
進学塾キャラベル 2
進学教室ティースリー 1
小倉塾 1
ひのき進学教室 1
青藍学院 1
ユリウス 1
ビクトリア・アカデミー 1
合計 337

 

 

 

西高の今年の推薦入試の合格者は63名でした。

また、一般入試の合格者は266名でした。

 

したがって、今年の西高の合格者は、合計で329名ということになります。

 

しかし、不思議なことに、各塾のホームページで確認できた西高の合格者数の合計は337名となっています。

 

実際に合格した人数よりも多い「合格者数」が確認できるわけです。

 

 

この数字の乖離は、さらに大きくなるはずです。

 

必ず、私が確認していない「実際の合格者」が存在するからです。

 

塾に通うことなく合格した生徒がいるはずです。

また、ホームページに合格実績を掲載しない塾もあるでしょう。

そして、私が見落としている可能性もあります。

 

 

 

これは一般論ですが、「0」を「1」であると言い切るのは、非常に大きな覚悟が必要です。

「無い」のに「有る」と「うそ」をつくことは、大きな心理的負担になります。

 

一方、たとえば「50」を「51」であると言い切るのは、前者にくらべて「ハードル」がかなり低くなります。

 

 

こういった点も、「スケールメリット」のひとつなのかもしれません。

 

 

 

ああ、ひょっとすると、他塾の合格者数をチラチラと見て、あと何人「上乗せ」できる、と計算する役割の人がいる可能性もあるのでしょうか。

 

それで、お互いがギリギリまで「上乗せ」しようとして、それにもかかわらず個人塾や中小の塾の実績までは面倒で確認しないから、結局「上限」を越えてしまって、「合格者数」が飽和してしまうのかもしれませんね。

 

 

 

合格者の「水増し」の問題は、塾業界にとっては古典的な問題です。同時にまた、根の深い問題です。そして、切実な問題であり、同時に、かなり喜劇的な問題です。

 

 

 (ivy 松村)

訂正「平成28年度小石川中の塾別合格実績」

少し前に、都立小石川中等教育学校の今年の塾別合格実績の記事を書きました。

 

訂正と修正があったので、あらためて記します。

 

 

 

小石川中の塾別合格者人数:

 

 合格者数
ena   51
早稲田進学会   37
SAPIX   31
日能研   27
栄光ゼミナール   24
早稲田アカデミー   16
四谷大塚   15
大原予備校   10
Z会進学教室     6
学力開発     3
啓明舎     3
市進     2
TOMAS     2
竹の会     1
ビクトリア・アカデミー     1
啓進塾     1
  計  230

 

 

 

小石川中の今年の一般募集枠は男女80人ずつの計160人です。

今年は特別枠の合格者がいなかったので、160人分の募集枠のすべてが一般募集に当てられました。

 

160人の合格者のうち、手続きを行った合格者は男子67人、女子65人の計132人です。

したがって、入学辞退者は、計28人になります。

 

入学辞退者が生じた場合には、「繰上げ合格」が行われることになっています。

 

入学辞退者数の28人分を「繰上げ合格」させて、入学者が160人になるように調整するわけです。

ですから、小石川中が「合格」を出した人数は、正規の合格160人と「繰上げ合格」28人の計188人になるはずです。

 

ところが、上に挙げたように、各塾がホームページで公表している合格者数を合計してみると、230人になるのです。

 

 

そうすると、42人、余計に合格者が存在していることになります。

 

 

うーん、おかしいですね。

 

 

それで、「繰上げ合格の辞退者」がいたために、追加の合格が増えていったのではないかと思っていたのですが、どうやら、そうではないようなのです。

小石川中の募集要項では、電話等で入学の意志を確認し、入学の意志のあるものに「繰上げ合格」を出すことになっています。

そうすると、「繰上げ合格」となった受験生はぴったり28人となるはずです。

 

 

やはり、どうしても実際よりも合格者数が42人多いわけです。

 

 

これは、謎ですね。

 

 

もしかすると、まちがった数字を載せてしまっている塾があるのでしょうか。

しかし、塾にとって最も大事な数値である「合格者数」をまちがえるような塾があるとも思えませんが。

 

まさか・・・!

 

 

 

・・・ということで、種明かしをすると、ご想像の通り、うそをついている塾があるわけですね。

 

ちょっと、「ヒント」を出します。

いくつかの塾には、小石川中の合格実績を「水増し」する「動機」がありません。

どうしてもやるとするなら、御三家や筑駒を、ということになるはずです。(もしかしたら「そっち」でやっているのかもしれませんが。)

 

ホームページを見ていて、相当怪しい塾を複数特定しています。

 

 

なんだか、せちがらいですね。

 

(ivy 松村)

 

 

都立小石川中学の28年度の塾別合格実績

今年の都立小石川中学の塾別の合格実績を調べてみました。

 

 

小石川中等教育学校の2016年度の一般募集は、男子80人、女子80人で、合わせて160人です。

 

160人の合格者のうち、男子67人、女子65人の合計132人が入学手続きを行いました。

ですから、入学辞退者は28人ということになります。

 

その後、「繰り上げ合格」が行われ、少なくとも28人が追加合格されているはずです。

ですから、外部から確認できる今年の小石川中学の合格者は、188人ということになります。

 

しかし、実際の合格者数はもう少し多くなると思われます。

さらに「繰り上げ合格の辞退者」がいるはずだからです。

 

 

 

以下の数字は、ホームページ等の「インターネットサイト」で直接確認できた人数です。

 

「2016年度」あるいは「平成28年度」と示していないもの、今年の実績であることが特定できないものは含めませんでした。

 

 

1か月以上実績を公表しない塾があったり、数度にわたって合格実績を上乗せしていく塾があったりして、確認にずいぶん時間がかかりました。

 

 

きっと、合格者数が多い塾ほど「集計作業」が大変なのですね。

 

 

 

・平成28年度東京都立小石川中等教育学校の塾別合格者数

 

合格人数
ena    51
早稲田進学会    37
SAPIX    31
日能研    27
栄光ゼミナール    24
早稲田アカデミー    16
四谷大塚    15
大原予備校    10
Z会進学教室      6
学力開発      3
市進      2
TOMAS      2
竹の会      1
ビクトリア・アカデミー      1
     合計  226
       

 

 

合格実績を発表していない塾もあるでしょうし、塾に通わずに合格を果たした受験生もいるかもしれないので、実際の数はあと少し多くなるのかもしれません。

 

 

合計人数がちょっと気になりますよね。

 

 

160人の正規合格と28人の追加合格があったわけですから、188人の合格者が必ずいるわけです。

 

各学習塾が発表している合格者数の合計は226人になるわけですから、その差は38になります。

 

そうすると、「繰り上げ合格の辞退者」が38人いたという計算になります。

 

(TOMASは個別指導塾なので、合格者が、他の塾と掛け持ちをしていた受験生である可能性がありますが。)

 

 

 

それにしても、ずいぶんたくさんの「繰り上げ合格の辞退者」がいたのですね。

 

「66番目の繰り上げ合格」の受験生が、「最後の合格者」だということになります。

 

ぜひ、直接会って、どの塾に通っていたのか聞いてみたいですね。

 

 

(※塾別合格実績の数を訂正したうえで、新しく記事を書きました。→「訂正『平成28年度小石川中の塾別合格実績』」)

 

 (ivy 松村)

 

高校の大学合格実績の話⑤

週刊誌の記載によれば、西高の2015年度の早稲田大学合格者数は192人となっています。これは、驚嘆すべき数字です。しかし、西高校がホームページで公表している早稲田大学の合格者数は184人となっています。

 

つまり、西高は、早稲田大学の合格実績を、大幅に「下方修正」したことになります。

 

通常なるべく高く見積もられるはずの早稲田大学の合格実績が「下方修正」されたことも驚きですが、その数値が「-8」と、かなり大きな変動を示していることにもびっくりさせられます。

 

しかし、184人という合格者数であっても、それは、今年の早大合格者の「高校別ランキング」でトップ3に入る驚異的な実績です。

ちなみに、「インターエデュ」などのインターネットサイトでは、186人という数字も見られます。

 

ここまでの話であれば、週刊誌と高校が公表する合格者数は違っているかもしれないので、気をつけよう(何に?)、という話で終わりなのですが、さらに続きがあります。

 

 

『週刊朝日』の2015年5月8・15日号で、私立大学の「実合格者数」が確認できます。

のべ人数ではなく、1人で複数の学部・学科に合格しても、合格者を1名としてカウントした「実合格者数」を掲載しているのです。

 

 

それによれば、西高の早稲田大学の「実合格者数」は108人です。

 

ですから、184人の「のべ合格者数」のうち76人は、合格者が重複しているのです。

 

「のべ合格者数」にしめる「実合格者数」の割合は、58.7パーセントです。

また、当初の週刊誌の記載されていた192人をもとに計算すれば、56.3パーセントとなります。

 

 

この数字をどうとらえるべきなのでしょう。

 

早稲田大学の合格者数が多い高校のうち、「実合格者数」の把握できない開成高校や神奈川の湘南高校などを除き、主な高校の「のべ合格者数」とそのうち「実合格者数」が占める割合を出してみます。(調査の手間もあるので、週刊誌ベースの「のべ合格者数」を記載します。)

 

 

都立西 192 56.3%
渋谷教育学園幕張 189 85.2%
女子学学院 181 61.3%
豊島岡 181 71.8%
東京学芸大附属 165 75.2%
本郷 156 60.3%
開智 155 64.5%
県立千葉 153 71.2%
浅野 148 75.7%
市川 142 69.0%
県立横浜翠嵐 136 75.0%
桜蔭 129 70.5%

 

 

全体として、いくつかの私立高校で「実合格者割合」が低くなることが見てとれるのですが、都立高校である西高の「実合格者割合」は、やはり、異質です。

 

また、いくつかの高校で「のべ合格者数」が抑えられているのは、別のカウント様式で合格者数を数えているからなのかも知れません。

 

 

 

 

ある可能性について考えてみました。これは、ただの推察です。

 

 

日比谷高校や戸山高校は、早稲田大学の合格者のうち、現役生の占める割合が高くなっています。今年は、日比谷は63.2パーセント、戸山は59.8パーセントです。(国高は54.5パーセントで、ちょっと気になる数字です。)

 

現役生の方が、浪人生よりもたくさん合格しているということです。

それは、ある意味自然なことであるといえます。現役生の人数のほうが、浪人生の数よりも多くなるはずですから。

 

ところが、西高の場合、早稲田大学の合格者のうち、現役生が占める割合が49.5パーセントとなっており、浪人生の「活躍」がみてとれます。

 

さらに気になるのは、西高が公表している昨年の合格者数のデータです。

144人の合格者のうち、現役生は54人となっており、合格者全体に占める現役生の割合は37.5パーセントと、今年以上に極端に低くなっています。これは西高の「伝統」なのでしょうか。

 

 

以下のような考えを導くことができます。

 

西高を卒業した浪人生は、早稲田大学入試おいて、多くの合格をつかんでいます。

 

そして、「のべ合格者」と「実合格者」の差が非常に大きいということは、一人で複数の合格を果たしているケースが多いということがうかがえます。

 

以上のことから、西高を卒業した1人ないし複数の浪人生が、早稲田大学の合格を「稼いでいる」のではないかという「推論」が成り立ちます。

 

これはただの推察です。

もちろん、数値に間違いがあれば、この「推論」は破綻します。

 

 

192人から、184人への「下方修正」が気になります。

昨年の段階で、西高の先生は、「何か」に気づき、さすがに見逃せないと、考えたということもありえるのかな、と思います。(もちろん、ただの集計ミスを修正しただけの可能性もありますが。)

 

 

もし、仮に「推論」通りであったとしても、当然、そうした受験のありかたは、西高校の先生方の指導によるものではないはずです。このことには、強く注意を喚起したいと思います。

 

 

 

私は、塾・予備校の人間が、どのようにして受験生に声をかけるのか、想像がつきます。

 

 

例えば、東京大学を志望している受験生が、センターテストで、まずい状況になってしまったとき。

 

まだ、受験は終わってないぞ。来年あらためて、挑戦しよう。今年は、来年に向けて「合格力」をつけるために、ランクを下げて国公立大学を受けておこう。

 

君は優秀だから、特待生として当予備校に通うことができるようにしてあげよう。合格した大学に進学するより、浪人して苦労したほうがいい。

 

~10ヶ月後~

 

君のために熱心に指導してきた当予備校から、君にお願いがあります。早稲田大学の「センター試験利用入試」を受けてくれませんか。もちろん、受験料はこちらが出します。君は、名前を貸してくれるだけでいいのです。

 

 

 

(このストーリーは、私の豊かな想像力の産物です。テンションが上がって、久しぶりに妄想が爆発してしまいました。)

 

 

 

 

実は、当初は、週刊誌の情報を用いて、私立高校の合格実績について分析してみようと思っていました。

しかし、ちょっと問題がありそうだな、と思ったので、都立高校をサンプルにしていろいろ考えてみることにしました。

 

 

 

受験産業は、本当に「ハリボテ」の山です。

そんな虚無の中でうごめいている身としては、週刊誌の情報はとてもありがたいです。

 

でも、自分も、世の中も、塾の人間も、受験生も・・・「数字」に踊らされているのではないか、と思うことがあります。

 

 

「数字」という情報は「客観的」ですから、とにかく信頼したくなります。

ですが、「数字」には、人に「心」を失わせる効力があると思っています。

 

「数字」の裏側や「外側」を見なければ、ものごとの本当の姿は見えないと思います。

 

高校や大学の価値を「数字」で決めるのは、ちょっと「単純すぎる」かもしれません。

 

 

「数字を見つつ、数字を見ない」というのが、理想なのかな、と個人的には思っています。

 

 (ivy 松村)

 

高校の大学合格実績の話④

『週刊朝日』』『サンデー毎日が毎年特集している高校別大学合格者数の数字は、両紙ともほぼ同じですが、たまに、違っていることもあります。

 

たとえば、本年度の国立高校の東大の合格者は、4月17日号の『週刊朝日』では19人、4月19日号の『サンデー毎日』では20人となっています。

これは、入力ミスなどの可能性もありますが、おそらく、『週刊朝日』の取材が先に行われ、そのときには19人の合格者が確認でき、その後さらに1人の合格者が確認され、合計20人となったあとで、『サンデー毎日』の取材が行われたのではないかと推察できます。

 

ですから、日付通りに、『週刊朝日』の方が早い時期に取材をしているのだと思われます。

まあ、ただ、それだけのことですが。

 

 

 

合格実績の取材時期、あるいは確認時期というのは、なかなか難しいですね。

時期によって、数が「変化」するからです。

「速報」をチェックするだけでは十分ではないときもあります。

 

 

一部の高校では違っているのかも知れませんが、普通の高校では、受験生の報告を受けて、合格者数をカウントします。

ですから、特に、高校と疎遠になっている浪人生がいて、結果の報告をすぐにしなかったような場合には、数日後、ときには数週間後にならなければその結果が実績に反映されないこともあります。

 

 

毎年週刊誌が特集する「出身高校別大学合格者数」は、世間の関心を集めます。

塾・予備校関係者はもちろん、「大学入試ファン」「大学受験マニア」とも呼ぶべき人たちも注目しています。

 

私は、大学は、受験生の出身高校の情報を持っているのだから、それを集計して公表すればいいのに、と思っています。(まあ、そうなると週刊誌と、一部の高校は困ってしまいますが。)

 

 

週刊誌の取材のあとで、ほとんどの高校が実績を修正しています。

ですから、高校のホームページなどで閲覧できる合格者数は、週刊誌に載っていた数字とは違っていることもしばしばあります。

 

さて、上記のような理由で、大学合格者数は「上方修正」されることが多いのですが、ときに、「下方修正」されることもあります。

 

 

青山高校の2015年度の合格者数の推移を見てみましょう。青山は、「上方修正」のみ行われました。

(「修正」のあった国公立大学と早慶上理MARCH)

 

「修正」のあった大学と、高校側が公式に発表している合格者数、そして( )の中に週刊誌に記載されていた数字からの増減を表示します。

 

横浜市立大 7人(+1)

早稲田大 95人(+8)

慶應義塾大 45人(+9)

上智大 15人(+2)

東京理科大 60人(+1)

明治大 119人(+1)

青山学院大 43人(+2)

立教大 75人(0)

中央大 34人(0)

法政大 49人(0)

 

 

基本的には、ほとんどの高校で、週刊誌に掲載されたものと同じ数字か、加算された数字へと「修正」されています。

 

 

日比谷高校は、特殊な事例といえるかもしれません。

昨年もそうでしたが、今年も大幅に「下方修正」されています。

もちろん、「上方修正」もありましたが、それとともに、国公立大学と MARCHの合格実績を自ら下げているのです。

 

 

筑波大 10人(-2)

埼玉大 3人(+1)

千葉大 16人(+3)

東京海洋大 0人(-1)

東京農工大 4人(+1)

首都大学東京 2人(-1)

横浜国立大 9人(-1)

横浜市立大 2人(-1)

早稲田大 155人(0)

慶應義塾大 131人(+9)

上智大 43人(-9)

東京理科大 74人(-8)

明治大 109人(-11)

青山学院大 30人(-2)

立教大 35人(-6)

中央大 37人(-5)

法政大 21人(-3)

 

 

日比谷高校の公表している合格実績は、「5月8日現在」のものとなっています。

どうして「下方修正」がなされるのかはちょっとよくわからないのですが、もしかすると、日比谷高校の先生方が、「合格者」としてカウントするべきではないと判断した「合格」というものがあったのかもしれません。

他の高校とは違う「不利なものさし」で、あえて合格実績を計り直しているのかもしれません。

 

国公立大学で「下方修正」された大学の「ランク」が少し気になりますね。

 

 

 

私立高校では、やはり「上方修正」される傾向が強いです。

 

 

都立高校で、日比谷と同じように今年の実績に「下方修正」があったのは、戸山、国立、西です。

 

戸山高校は首都大と早慶上智で「上方修正」、東京理科大とMARCHで「-43」の「下方修正」がありました。国立高校は、上記の東大「+1」に加え、東京農工大で「+1」、明治大、青山学院大でそれぞれ「-1」がありました。

 

西高校は、千葉大、東京学芸大、横浜国立大でそれぞれ「+1」、慶應大「+12」、上智大「+2」、東京理科大「+3」ですが、早稲田大で「-8」です。

 

 

西高校の早稲田大「-8」は非常に気になります。

他の私立大学の合格実績が「下方修正」されることはたまにありますが、早慶の合格者数が「下方修正」されるのは極めて珍しいケースです。

 

 

 (ivy 松村)

高校の大学合格実績の話②

前回のブログに間違いがありました。

当該箇所を訂正しました。

国公立大学の入試の仕組みについて述べた部分です。

 

その部分を補足しつつあらためて説明します。

 

国公立大学の2次試験は、通常、前期日程と後期日程に分けられています。

前期日程に合格し、入学手続きをした受験生は、後期日程試験に合格することができません。

 

入学手続きの締め切りは、後期日程の試験日の後に設定されているので、手続き前に後期の試験を受けることはできます。

しかし、後期日程の結果が判明する前に、入学手続きをするかどうか判断しなければなりません。

 

入学の手続きを取った場合には、その情報が集められて、後期日程の試験の合否判定の際にチェックされることになっています。

ですから、前期日程で合格した場合、その大学に入学するか、その権利を放棄して後期日程の結果を待つのか、の選択を迫られることになります。

 

ただ、後期日程の試験の後に手続きの締め切りが設定されているので、一応後期日程試験を受けた上で、手ごたえがあれば、前期日程の合格を捨て、後期の結果に望みを託す、というような「戦略」を取ることもできます。

 

後期日程も合格したときには、前期日程、後期日程ともに合格となり、一人で国公立大学を2大学合格したということになります。

 

また、わずかですが、公立大学の中には中期日程(や独自日程)を設けているところがあります。

中期日程は、後期試験の前に設定されていますので、国公立大学の入試は、最大で3回受けることができます。

中期日程の合格発表は、後期日程と同じタイミングで行われます。ですから、中期日程で受けた大学と後期日程で受けた大学のどちらにも受かっていた場合には、どちらかを選ぶことができます。

 

 

普通は、前期日程で第一志望を受験し、合格を果たすことができたなら、そのまま入学手続きを行います。

 

ある資料によれば、国公立大学入試の定員配分は、前期78.9パーセント、後期19.2パーセント、中期1.9パーセントとなっています。

圧倒的に前期日程の比重が大きいことがわかります。

 

ですから、多くの受験生にとっては、勝負をかけるのは前期日程、後期日程は「がけっぷち」という感覚が強いと思います。

 

どうしても志望大学に入りたい受験生は、前期と同じ大学に出願するはずです。

あるいは、どうしても国公立に入りたいという希望を持っている受験生であれば、後期日程でランクを下げるというパターンが一般的だと思います。

 

 

普通の感覚では、前期日程で合格し、その合格を放棄する、ということは考えにくいものです。しかし、世の中には、常識はずれのスリルを楽しむような稀有な人間がいるのかもしれません。

 

 

 

さて、国公立大学は、上記のような入試の制度の元でとり行われているので、合格者の「水増し」や「かさまし」を行うことが、非常に難しくなっています。

 

「合格」を放棄しなければ、2つ目の「合格」を得ることができないのです。

これが、私立大学入試と決定的に違うところです。

 

 

それゆえにこそ、高校や塾・予備校といった「受験産業」において、最も信頼のおけるデータとなり得ます。

そして、だからこそ、何とかその数字を上昇させようと、多くの人が血眼になるのです。

 

 

しかし、それでも、合格者数を「増やす」方法はいくらかありそうです。

高校や、予備校・塾などが、「お願い」をしたときに、引き受けてくれる受験生も、もしかしたら、いるのかもしれません。

 

国公立大学に合格した受験生が入学しない、という場合について、どのようなものがあり得るか、ちょっと、考えてみました。

 

 

①前期に合格し、後期を受け、後期の合格に自信があったので、前期の手続きをしなかった。

②中期と後期で合格した。

③私立大学や海外の大学が第一志望で、併願で国公立大学を受験した。

④合格したが、浪人することにした。(あるいは、浪人をするつもりだが、受験した。)

⑤前期は最初から行くつもりのない大学を受け、後期に第一志望の大学に出願した。

⑥大学に行く気はないが、「合格」が欲しかった。

 

 

①②⑤⑥は比較的稀なケースだと思いますが、④は意外とあるのかもしれません。センター試験で失敗してしまったというケースです。あるいは、前期試験しか行わない大学の合格が得られなかったというケースです。

 

③もわりとよくあるケースかもしれません。

 

 

現実に、東京大学にも入学辞退者は存在しますので、難関の国公立大学への進学以外の選択をする人が必ずいるのでしょう。

さらに、進学するつもりはないが2次入試を受ける、という受験生であれば、リスクなしに前期の合格を捨てて後期を受験し、両方に合格することもできます。

 

「誰か」に「受験料は出してあげるから腕試しをしてみないか」と声をかけられた人が合格を「コレクション」することがあっても、驚きに値しません。

 

 

 

ところで、今、この文章で、トピックとして焦点化しようとしていたのは、国公立大学の合格者数は簡単に増やすことができない、ということでした。

 

しかし、その「抜け道」に考えがおよんでしまいますね。

 

 

入学することを目的とはせず、どこかの国公立大学の2次試験を受けるという行動があり得ます。

あるいは、結果として「余分な合格」が生じてしまうということもあり得ます。

 

一般的には「中堅」の国公立大学よりも、早慶の方が格上であると考えられています。

ですから、志望校に合格したうえで、「余興」のような感覚で入試に行く受験生もいるのかもしれません。

または、入試が終わった後で、国公立大学と私立大学のどちらに進学するか 熟考したうえで、私立大学を選ぶということもあるでしょう。

いずれにしても、難関の私立大学と競合するレベルの国公立大学では、多くの入学辞退者がでます。

 

また、来年に捲土重来を期して、合格を破棄する受験生がいます。

 

より優先順位の高い選択肢があれば、もう一方の選択肢は破棄されるのです。

 

ですから、国公立大学に合格しても入学しないということは、あるレベル以上の受験生にとっては、それほど奇異なものではないのです。

 

国公立大学の合格を増やすのは簡単ではない、ということと、国公立大学に合格しても入学しないということは、矛盾するものではありません。

 

 

ここからは、「国公立大学に合格しても、入学しない」というデータを見てみることにしましょう。

 

 

『週刊朝日』は、毎年「有名大学現役進学者数総覧」という記事を掲載しています。

今年のものは、おそらくあと2ヶ月ほどすれば、載るのではないかと思います。

 

去年のデータを見ることができます。(今年のものではありません。)

 

 

日比谷高校が公表している2014年度の進学実績を見ると、この年度の現役合格者数は、東大20、京大4、北大4、阪大3、東工大5、一橋大5となっています。

『週刊朝日』2014年7月4日号によれば、これらの大学の合格者で入学をしなかったものはいません。

 

一方、日比谷高校から、筑波大に7人が現役で合格していますが、そのうち筑波大に進学したのは5人です。同様に、千葉大は7人が合格し、そのうち進学したものは6人です。

お茶の水大は5人合格3人進学、東京外大は7人合格4人進学、横国大は7人合格4人進学、首都大は7人合格4人進学です。

 

日比谷高校が公表している合格者数と、『週刊朝日』が掲載している進学者数が「正確なデータ」であるとすれば、判明しているだけで、「13人分」、多く合格していることになります。

 

『週刊朝日』が集計した日比谷の2014年度の国公立大学の現役合格者数は97人で、進学者は80人です。ですから、入学辞退者は、17人となり、上記の13人に以外にさらに4人いることになります。(しかし、上記以上の辞退者がいれば、このデータは破たんします。)

 

 

西高校の場合は、首都大6人合格5人進学、横国大6人合格4人進学のみです。

西高は、日比谷に比べて、進学の意思のある大学を受験する傾向があるといえるのかもしれません。

西の2014年度の国公立大学の現役合格者数は89人で、進学者は85人となっています。ですから、入学辞退者は合計4人になります。

 

 

八王子東高校を見てみましょう。

東京外大9人合格8人進学、首都大22人合格15人進学、横国大9人合格7人進学です。

首都大の辞退者が7人と多いですね。この辺りが、ちょうど難関私立大学が優位になるところなのかもしれません。

 

八王子東の2014年度の国公立大学の現役合格者数は、116人で、進学者は103人となっています。ですから、入学辞退者は合計13人になります。

 

八王子東は国公立大学志向が強い高校の印象があるので、116人という数字は説得力がありますが、入学辞退者が13人いるのが気になります。

 

立川高校は、東京外大5人合格4人進学、横国大4人合格3人進学のみです。

立川の上位国公立大学受験者は、受験校を第一志望とする傾向があるのかもしれません。一方で、中期日程の合格者がちらほら見られますので、学力中位層では、「戦略的」な受験パターンを組む受験生が少なからずいたのでしょう。

 

立川の2014年度の国公立大学の現役合格者数は67人で、進学者は63人です。ですから、入学辞退者の合計は4人になります。

 

 

国分寺高校のデータは、非常に気になる部分もあったのですが、明らかな齟齬があり、さらにちょっと信じがたい数値が出ていた部分もあったので、割愛します。

 

一点、興味深いのは、国分寺になると、地方の国立大受験が増え、さらに、中期日程の公立校受験がより多くなることです。

 

 

 

今年の「現役進学者」がわかったときに、またチェックしてみようと思っています。

 

(一応、週刊誌などから集めたデータはエクセルに入力してあるのですが、今回は、ちょっと『週刊朝日』に気を使って、表にはしませんでした。)

 

 

(ivy 松村)

 

高校の大学合格実績の話①

2007年に、前年度の大学入試で、大阪学芸高校のある生徒が、一人で「関関同立」の73学部・学科に合格していたことが発覚し、話題になりました。

同高校は、関西の名門私学群の「関関同立」の合格者の合計を「144人」と公表していました。ですから、その約半数がこの生徒一人の実績だったというわけです。

 

一人で多くの合格を「稼ぐ」受験生は、少なからずいるはずですが、これは尋常ではない、と多くの人に受け止められました。

ある記事によれば、同高校からの「関関同立」の合格者の実数は33人だったそうです。

 

(※「関関同立」・・・関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)

 

 

なぜ、一人で、そのような途方もない数の受験が可能だったのでしょうか。

 

それは、「大学入試センター試験利用入試」を受験したからです。

 

昨今、大学受験制度の多様化が著しくなっていますが、多くの私立大学が、いわゆる「センター試験」の得点のみで合否を判定する入試制度を設けています。

 

この入試制度の利点は、受験生側と大学側の双方にあると考えられています。すなわち、受験生は、わざわざ入試会場に出向く負担を抑えることができ、一方、大学は、試験問題の準備を省き、かつ、受験料収入を得ることができるというわけです。

 

さらに、「高校」にも大きなメリットがあったというわけです。

「センター試験利用入試」は、一人の受験生が大量に出願し、受験することが可能な制度であるため、優秀な生徒が一人いれば、のべ人数の「合格者数」を増やすことができるわけです。

 

 

この制度は、センターテストが必須となる国公立大学を志望する受験生を取り込みつつ、受験料収入の増益を図る、私立大学の戦略の一環です。

多くの場合、難関の国立を狙う受験生が、すべり止めとして出願します。

 

ボーダーは一般的な偏差値基準よりも高くなりますが、構造的に「歩留まり」が悪くなる制度なので、合格者数は思われているよりも抑制されません。そのため、旧帝大等の最難関を受験しようという得点力の受験生であれば、出願しておけば、合格を手にすることが確実になるのです。

(「センター試験」の前に出願するタイプと、後に出願するタイプがあります。後者のほうが、ボーダーが高くなります。)

 

 

 

2007年は、特に関西で、このような「合格実績の荒稼ぎ」の問題がクローズアップされることとなりました。程度の差こそあれ、関西の一部の私学では同様の行為が行われていたようです。

 

 

当然、こうした行為は、受験生本人の希望によって行われるものではありません。

本人の意思による受験ではなく、学校の「依頼」を受けてのものでした。受験費用はすべて学校が持ち、生徒には謝礼として5万円と腕時計を贈っていたのだそうです。

 

上記の高校は、毎年受験のために、数百万円の費用を予算として計上していたようです。

これは、広告宣伝費でもあるわけです。

 

私も、もし、自分が「奨学生」としての恩恵を受けている生徒であったとしたら、学校からの要望を断ることはできないだろうと思います。

 

受験間近の貴重な1日を使い、交通費や受験料を負担して受験しなければならないのであれば、話は違ってきますが、ほぼ、コストがゼロですので、「名義貸し」のような感覚で請け負ってしまうのかもしれません。

 

 

 

さて、首都圏の大学でも当然「センター試験利用入試」を実施していますから、この制度を利用して合格実績を「かさ上げ」しているような高校はきっとあるのでしょう。

 

 

公立高校では、学校側が強くはたらきかけることは難しいと思いますが、少子化の時代に、存亡をかけた競争に生き残らなければならない私立高校には、魅力的な手法です。

また、高校がもちかけなくても、予備校や塾がはたらきかけていた場合には、同じような合格実績の「かさ上げ」が起こります。

 

 

「センター試験利用入試」を使って、合格者数を「稼ぐ」という手法が明るみになってから、より明確な受験指導力の指標を模索する機運が高まり、正確な合格者情報への関心が高まりました。

 

「センター利用入試」を行っている私立大学の合格者数は、鵜呑みにできないということがばれてしまったわけです。

それで、週刊誌などの媒体も、「合格者人数」とは別に、「合格者実数」や「進学実績」の取材に力を入れるようになってきました。

 

上記のような理由のために、私は、早稲田大学、東京理科大学、MARCHなどの「合格者人数」は、それほど重視していません。

(慶應大学は、現在は「センター利用入試」を行っていないので、一応参考にはなると思います。)

 

(※「MARCH」・・・明治大学、青山大学、立教大学、中央大学、法政大学)

 

 

 

(ごくわずかの「戦略的な例外」がありえますが、)基本的に、国公立大学の入試は、一人につき一度の合格だけが結果として残ります。

 

国公立大学の一般入試の2次試験は、前期日程と後期日程の二つの日程がありますが(一部で「中期日程」あり)、前期日程に合格し、入学手続きを行った受験者は、後期日程では合格できない仕組みになっています。

ただ、手続きの締め切りは、後期試験の後に設定されています。

中には、前期日程で合格したうえで、後期日程を受け、試験に手ごたえがあった場合、前期の合格を破棄して、後期試験の合格を待つ受験生もいます。

しかし、それはちょっと特殊な受験パターンです。

 

国公立大学の合格者の数は、通常1人1カウントになります。まれに、1人で2つ(中期日程を含めると3つもありえますが)の国公立大学に合格する人がいます。

私立大学入試と比べて、受験回数に制限があるので、データにある程度の信頼がおけるのです。

 

 

 

「合格者」という情報を通して、私たちは、各高校における大学受験の指導力を知りたいわけですから、私立大学の実績ではなく、国公立大学受験のデータを見なければなりません。

 

国公立大学の合格者を一定数出すためには、総合的、分析的、計画的な受験指導が必要になります。

 

一般的にも、私立単願の受験よりも、国公立大学入試の対策のほうがハードルが高いといえますので、国公立大学の合格者の数は、受験指導のレベルや方向性をそれなりに示す数値であるといえるでしょう。

 

さらに、高度な教務力が必要であることはもちろん、妥協せずに目的に向かって継続的に学習を続けられるような環境の整備やモチベーションの維持も重要です。

 

こうしたバックアップも含めた受験指導体制全体の質が、国公立大学の合格者数によって示唆されるのだといっても言い過ぎではないと思います。

 

 

もちろん、こうした評価は相対的なものです。

 

よく、名門の進学校に通う生徒やその保護者の方から、高校に対する不満を聞くことがあります。

世間で思われているほど良い高校ではない、と。

確かに、外側から見ているだけではわからないことが少なからずあるのだろうと思います。

それでも、大概の高校は、進学実績に相応の指導を行っていると思います。

 

つまり、実績がよりかんばしくない高校は、さらに微妙な指導しか行っていないだろうということです。

内部にいる生徒が、たいした進学指導を受けていないと実感していても、客観的には、「それなり」なのだろうと思います。

 

もちろん、それは、数字の「ごまかし」などにだまされていなければ、の話ですが。

 

(ミスリーディングを誘導したり、実績を誇大に装飾したりするような組織は、やはり「それなり」の組織であることが多いと思います。

私学は、あるときを境に、急激に運営方針、経営方針を変えることがあるので、要注意かもしれません。)

 

 

 

さらに付け加えるならば、首都圏に住む受験生が難関大学の一般入試を突破しようとするならば、やはり、予備校や塾などに通う必要があります。

実情としては、高校の受験指導のみを頼りにハイレベルな受験を考えるのは、あまり現実的ではありません。

 

明らかな傾向としていえるのは、実績の高い高校に通う生徒ほど、実質的な受験指導を担う予備校、塾選びを妥協しないということです。

 

その意味では、高校の「合格実績」をつぶさに調べたとしても、まだ、受験という立体の半分しか観測していないということになります。

 

 (ivy 松村)

学習塾業界を健全化するためには

さて、これまでに、塾の合格実績の問題について、このブログで述べてきました。

 

その一部は、少し前に書いた「学習塾」についての論文の内容と重なるものです。

それを書くために、学習塾や受験に関する資料や文献、記事などを収集し、読みあさりました。

たぶん、100本近くの関連の論文や報告書、記事に目を通しています。

 

私が取り組んだ研究テーマは、 学習塾の営利企業としての性格はいかにして助長されてきたのか、というものです。

 

その中で、学習塾の産業としての発展と、学習塾にまつわる社会問題は、ともに行政や学校が、学習塾を「教育システム」の一部として認めなかったことに起因する、という分析をしています。

 

 

そして、「提言」として、行政や学校が、わずかな手間をかけて塾産業に介入することで、塾業界が今よりも「健全」になる可能性について触れています。

 

 

いろいろと事情があって、納得のいく形にすることができませんでした。

いずれ、時間ができたときに書き直そうと思っています。

 

 

論文の元になった文章の一部を掲載したいと思います。(少し加工しました。)

 

 

 

学習塾企業がより多くの利益を得ようとするならば、人件費の削減が最も効率的で効果的な方策となる。競争が激しくなっている近年は、さらなる人件費の圧縮とともに、従業員に対する業務量の増大が起こっている。特に、広域展開を行って校舎数を増やしている学習塾では、深刻な講師不足が生じている。そのために、教務技術の未熟な学生アルバイトを雇ったり、準備時間を確保できないまま正規従業員に授業を担当させたりするような状況が常態化し、学習指導の質が低下しているのである。

 

サービス産業にとって、サービスの質の悪化は、本来ならば衰亡にかかわる懸念材料となる。しかし、学習塾というビジネス構造には、サービスを受容する顧客である生徒と、対価を支払う需要者である親が、それぞれ別個であるという特殊性が備えられている。したがって、親に対してサービスの質の高さを提示することができれば、顧客を獲得することができるのである。

 

 

一般的に、子を持つ親は、自分の子をなるべく偏差値の高い上級学校に入れたいという希望を持っている。そして、各塾の合格実績は、それぞれの学習塾がどれくらいの進学指導力を持つのかを客観的に示す数字であると信じられている。そのため、学習塾は合格実績を何らかの主観的な判断を通してなるべく高く見積もるのである。

 

これまでにも、新聞や雑誌等で、合格者実績の水増し表示が何度も大きく取り上げられてきた。学習塾業界は多くの粗悪な問題を抱えているが、それらのほぼすべてがこの「ごまかし」に象徴されているといってもよい。

 

 

学習塾業界に蔓延しているさまざまな問題が解決されるためには、まず、「健全な淘汰」が必要である。単純に、劣悪な事業者を失くすことは消費者にメリットをもたらす。また、過当な競争が緩和されることで、従業員に余裕が生まれるだろう。

 

そのためには、消費者である親や子供が、良質な事業者とそうでない事業者を見分け、選択することができる仕組みを構築しなければならない。

 

良質な事業者であることを証明する最も説得力のある情報は、やはり合格実績である。したがって、各学習塾の受験者数・合格者数を透明化することが、健全な産業構造を導く第一歩となる。ごまかしのきかない統計的な合格者数と受験者数がわかれば、各塾の指導力を客観的に図る最有力の指標となるだろう。

 

正確な合格者の情報を集めるために、学習塾業界ではなく、学校が生徒の通塾歴を調査する必要がある。学校側が聞き取りを行ったり、受験票に通塾歴を記入する項を設けたりすることで、受験者数・合格者数を明確に把握することができる。さらに、学校側に行政への報告を義務づけ、行政がそれを公表することで、数字の信頼性を担保するのである。

 

そのデータは、ブランドや屋号によって合算されるのではなく、それぞれの校舎・教室ごとにまとめられる。消費者が通塾を検討する上で、その対象となる地域にある学習塾の、それぞれの校舎・教室の指導力を判断する材料の提供を目的とするものだからである。

 

以上のような措置によって、各学習塾の合格者数と合格率を、消費者が認知することができる。

 

やがて、学習塾の企業努力は、講師の受験指導力の養成、指導体制の構築と整備に向けられることになるだろう。生徒を獲得するためには、権謀的な戦略ではなく、生徒の学力を伸ばすことが必要になるからである。

 

 

上記のように、学校・行政が介入し、合格実績を厳密化することで、学習塾の健全な競争が促されるはずである。それは、消費者だけでなく、学校・行政にとっても好ましいものでありうる。さらに、学習塾業界全体にも結局はよい影響をもたらすものとなるのである。

 

(ivy 松村)

「そんなに合格実績が欲しいのか」と言われたときの話

一度、「そんなに合格実績が欲しいのか」となじられたことがあります。

 

そのときのことを説明しなければならないとしたら、本当にうんざりさせられます。

 

しかし、最近、知り合いの人から、そのときの「噂」を聞いたと言われました。

くだらない話ですよ、といってそのままにしてしまったのですが、どうも落ち着かなくなってしまいました。

 

 

まったくどうしようもない、何の含みもない話なのですが、誤解があるといけないので、説明することにしました。

要するに、これから長々と書かれることは、本当につまらない、時間の無駄にも等しい内容なのです。

 

 

 

以下は、個人的な弁明です。

 

 

私は以前、ある塾で講師の仕事をしていました。その塾をA塾とします。

ある年、そのA塾が、ライバル関係にあったB塾を買収し、B塾をA塾の子会社としました。

私が勤めていた校舎は、最も大きな影響を受けました。

 

私が授業をしていたA塾の校舎と、同じ地域にあるB塾の校舎が「合併」することになったのです。

その後、さまざまな経緯を経て、結果として、翌年の秋に、B塾は消滅し、A塾に組み込まれることになりました。

 

この過程でいろいろと「ごたごた」が起こりました。

元B塾の講師の数人が、12月に入って、数十人の生徒を引き抜いて新しい塾を立ち上げました。

 

B塾のスタッフにも生徒にも「不満」が渦巻いていたので、まあ、仕方がないことなのかもしれないと思いました。

率直にいって、関わっていた人たちのランディングの見通しもやり方も杜撰そのものでした。

 

B塾の名前はなくなってしまい、「元A塾生」も元B塾も、ともにA塾生ということになりました。

そして、元B塾の校長先生はA塾の副校長という形になりました。

しかし、混乱を防ぐために、年度内は、それぞれの授業は別々に、これまで通り行うことになったのです。

 

私は、講師がいなくなった元B塾側に、知り合いの講師を紹介したりしましたが、極力元B塾に関わらないようにしました。

私は一介の講師でしかありませんでしたので、ただ、自分の授業だけに集中しようと考えていました。

 

 

年が明け、受験シーズンとなり、私立高校入試の結果が出るころとなりました。

その年の「元A塾」の受験生はたった6人でした。

「元A塾」の生徒6人のうち、3人が中附を受け、3人とも合格しました。

 

彼らを中附に合格させるために、いったい、どれほどのエネルギーを費やしたことでしょう。

国語だけで12年分の過去問を解き、それぞれに3、4時間の解説授業を行いました。

ギリギリまで追い込んで、徹底的な対策を行って、それでも見通しは非常に暗いものでした。

その結果が、どれほどうれしかったことか。

 

 

 

塾の世界には、「合格短冊」という慣習があります。

合格した高校名と合格者の名前が書かれた短冊を校舎の壁に並べて飾るのです。

毎年、懇願して、その仕事だけはやらせてもらっていました。

 

私立高校受験が一段落したときに、合格短冊を貼り出したいのですが、と元B塾の校長で、当時はA塾の副校長となっていた先生にうかがいました。

元B塾側では、それを準備しようという様子もなかったのです。

 

「ごたごた」のせいで中学受験をした小6生たちの合格短冊も貼られていない状態でしたので、彼らの分も早く貼ってあげたいと思っていたのです。

 

 

それで、全員分の合格短冊を用意し、貼り出したところ、元B塾の受付をされていた女性のスタッフの方に、罵倒されたのです。

 

「そんなに合格実績が欲しいの !?」と罵られました。

 

たぶん、そのときが、私が、塾の教師をしていて、一番頭に血がのぼった瞬間だったと思います。きっと、顔が真っ赤になっていたと思います。

 

 

 

彼女は、「元A塾」と元B塾は「別」の存在で、それぞれの結果を「混ぜる」のは、A塾が元B塾の実績を「盗む」行為であると感じていたようです。

 

もし、「B塾」という塾名が存続していたら、それぞれの短冊を一緒にすることはありませんでした。

秋の時点で、B塾はA塾に統合され、生徒は全てA塾の所属になると、説明されていました。

それに納得のいかない生徒たちは辞めて、元講師たちの立ち上げた塾に移って行きました。

当時残っていた生徒は、A塾の生徒として扱わなければならなかったのです。

 

 

その受付の女性は、その出来事の前に、来年はA塾の受付パートとして働きたいとA塾の校長にお願いをされていました。

だから、その主張はなおさら意味が分かりませんでした。

 

結局、その受付の女性のやりたいようにやらせようということになり、貼られたばかりの短冊はすぐに取り外されました。

 

そして、「元A塾」の生徒の短冊だけが別の場所に貼られることになりました。

なぜか、元B塾の中学受験の短冊は撤去されませんでしたので、その主張はずいぶん恣意的だと感じました。

 

自分の誇らしい結果を貼り出して欲しいと思っていた元B塾の生徒はいなかったのだろうか、と思いました。

 

 

件の受付の女性は、その後、元B塾の元講師たちが立ち上げた塾の受付になったと聞きました。

 

・・・・・・。

 

 

 

「合格実績を欲しがっている」という彼女の言葉のどこが間違っているのでしょうか。

 

 

チェーンの学習塾の社員は、本部の指示で担当の校舎を移動させられます。

まして、末端の講師など、明日をも知れません。

つまり、自分がどれほど望もうと、ひとつの場所にしがみつくことなどできないのです。

 

当然、「合格実績」を持って行くことなどできません。

「合格実績」は校舎に帰属するものです。

さらにいえば、会社が所有するものなのです。

私や、当時のA塾の校長先生が個人的に欲するような性質のものではないのです。

 

もちろん、その栄誉の実体は、受験生のものであることはまちがいありません。

 

 

 

B塾が、法的にA塾に統合されていなかったとしたら、合格実績を合わせて表示することなど、ありえませんでした。

しかし、あの状況で、逆に元B塾の生徒の実績だけを外すことは、「差別」という行為になってしまうのです。

 

 

あのとき、塾の人間は貪欲に合格実績を欲しがるのだという、上辺だけの浅はかな構図のもとに非難をされてしまいました。

何をどう説明しても理解されないのだろう、という苛立ちを今でも感じています。

 

塾の人間が抱えている覚悟と諦念は、そんな単純なものではないのです。

 

 

当時のB塾のスタッフには同情はしますが、納得はしません。

 

 

 

実は、私は「B塾のごたごた」以前に、B塾と同じような立場に立たされたことがあります。

 

 

数年前に、私は、ある問題だらけの校舎を立て直そうとしていました。

半年間3日のみの休みで働きました。

生徒の数が倍に増え、さあ、これから、というときに、「体制」を変えるといわれました。塾の名前が消滅したのです。

 

まあ、いろいろと無茶苦茶なことがあったのですが、最もきつかったのは、夏期講習が終わった2日後に、スタッフの給料を半分にするといわれたことでした。

言葉通り、一字一句そのまま、「嫌なら辞めてもいいよ」と言われました。

それで、何人かの優秀な講師がいなくなりました。

 

私と数人の人間だけが、小6と中3の面倒だけは最後までみると決めて、「頭を下げて」「授業を受け持たせてもらった」のです。

その中に、杉田先生もいました。

 

その年の、2月のことを思い出すたびに、今でも胸が熱くなります。

 

でも、当然、「合格実績」は全て置いてきました。

 

 

私だけではありません。

塾の人間は、みなそういう世界で生きているのです。

 

 

(ivy 松村)

塾の合格実績の話③

塾の合格実績水増しは、基本的に「経営判断」で行われます。

自ら率先して嘘をつきたいと思う人間がいるはずもありません。

 

世の中には、残念ながら合格実績を水増しするような塾がありますが、そのほとんどが大手塾です。

個人塾では、そのような話は今のところ聞いたことがありません。

 

合格者~名を達成するように、という、「上」からの「指示」が発せられるのです。

それを守るために、心を削って「努力」を重ねる従業員たちがいるのでしょう。

 

強靭な命令系統を通してのみ、そのような道義に反する行為が可能となります。

 

実際にその作業に携わらなければならない従業員は、ある意味で被害者であるといえるのかもしれません。

 

 

また、大手になればなるほど「水増し」の敷居が低くなります。

分母が大きいので、「ごまかす数字」がわずかなものであると感じ、罪悪感が希薄になるのでしょう。

心理的な錯覚にすぎませんが、0なのに1であると嘘をつくよりも、100という数字を101であるとごまかすことのほうが、抵抗が少なくなるのです。

 

さらに、教室数、生徒数の多い大手塾の合格者数の合計は、検証することが困難なため、たとえ間違っていても気づかれないで済むことが多いのです。

 

 

 

さすがに全くでたらめな数字を掲げる塾は少ないようです。

完全に架空の数字を使うことに、普通の人間の精神は耐えられないのです。

ですから、こうした背徳的な行為を肯定する何かしらの「根拠」が必要となります。

 

「講習生」「テスト生」「講座受講生」「過去在籍性」など、縁のあった生徒たちの合格は積極的に取り込まれます。

 

こうした行為に、現場の塾の教師が、自ら動機づけられることはあり得ません。

経営者が圧力をかけるのです。

~名の合格者を必ず出します、と「約束」させられるのです。

 

 

 

大手塾の社員はいくつかの類型に分けられますが、「合格実績」へのこだわりは、根本的な資質に関わるものなのかもしれません。

 

 

上司の希望に従って合格実績の水増しに加担するタイプと、そうでないタイプの人がいます。

 

加担するタイプは、さらに、ただ言われたことを仕方なく行う者と、出世のために積極的に行う者に分けられます。

 

出世のために合格者の水増しに加担した人の噂を聞いたことがあります。

ある種の、「土俗的」な企業では、人間性の否定が評価につながります。

倫理よりも服従に価値をおく者は、従者としては一流です。

「泥をかぶる仕事」を率先して行えば、「おぼえめでたい」というわけです。

もちろん、そこには、耐えがたい葛藤があるにちがいありません。

 

 

合格者の水増しに加担しないタイプの塾社員は、さらに、ただ面倒だからやらないという者と、良識、プライドゆえに行わない者とに分けられます。

 

私が見知っている人は、だいたい後者のタイプの人たちだと思います。

多くの塾教師が、これを「一線」であると考えています。

 

 

 

合格者数の公表が、合格発表日から数日かかるような塾は、「なんとかして」合格者数を底上げしようとして、「優秀な社員たち」があらゆるところに電話をかけまくっている塾です。

 

一度問い合わせがあった家、一回模試を受けに来た生徒、退塾した生徒、講習に来たことのある生徒…などなどに「一応」きいてみるわけです。

 

これだけ情報伝達技術が発達した現代に、当日のうちに塾内の合格者の合計人数が把握できないなんて、あり得ない話ですよね。

合格発表の終わった夜に、「これからが勝負だ」などといっている塾の従業員がいたら、ギャグの世界の住人かと思ってしまいます。

 

 

都市伝説のような話を聞いたことがあります。

合格実績を「譲ってもらう」ために、どこかの塾の偉い立場の人が、どこかの個人塾へ出向いて、地面に頭をこすりつけるようにしてお願いしたことがあったのだそうです。

なんでも、社長に、どうやってでも100人の合格者を達成するように、という指示を受けていたのだそうです。まるで、「ホームランのサインを出す監督」のコントのようです。

この話を聞いたとき、2つの矛盾する感情が「ないまぜ」となった、奇妙な感動を覚えました。

嫌悪感と、敬意です。

 

 

世間は、「学習塾全体」が、醜い商売合戦のために、合格者の人数をごまかすのだと思いがちです。

しかし、塾の人間のひとりひとりがみな、主体的に世間をだましてやろうと考えているわけではありません。

 

 

理不尽な指示に反旗を翻す人たちの話も聞いたことがあります。

ある塾の合格実績の表示に異変がみられたときには、その塾に何かしらの変化が起こっているというサインなのかもしれません。

 

 (ivy 松村)