都立高校入試の「漢字」②

何か書いていたほうが、気が紛れるのでいろいろと書いていますが、このブログはあともう少し続きます。

 

 

 

平成に実施された都立高校の入試で、国語の漢字問題で「重複」があったものを見てみましょう。

 

 

〔H31、H11〕 らか(ほが)

〔H31、H17、H9〕 渓谷(けいこく)

〔H31、H12〕 (ただよ)う

〔H31、H5〕  テツボウ(鉄棒)

〔H31、H3〕 トドく(届く)

 

〔H30、H10〕 れる(まぎ)

〔H30、H16〕 惜敗(せきはい)

〔H30、H15〕 舞踊(ぶよう)

〔H30、H6〕 う(つくろ)

〔H30、H1〕 イキオい(勢)

 

〔H29、H22〕 リョケン(旅券)

〔H29、H20、H12〕 アビる(浴びる)

〔H29、H19〕 ゼンセン(善戦)

〔H29、H18〕 ザイゲン(財源)

〔H29、H5〕 てる(へだ)

 

〔H28、H21、H13〕 華麗(かれい)

〔H28、H20〕 い(いこ)

〔H28、H18、H8〕 栽培(さいばい)

〔H28、H18〕 る(降る)

〔H28、H18〕 循環(じゅんかん)

 

〔H27、H20〕 車窓(しゃそう)/ シャソウ(車窓)

〔H27、H18〕 げる(投)

 

〔H26、H8〕 む(富)

 

〔H25、H13〕 陳列(ちんれつ)

〔H25、H4〕 む(はず)

 

〔H24、H14〕 カンゴ(看護)

〔H24、H13〕 バイバイ(売買)

〔H24、H2〕 アラう(洗)

 

〔H23、H20、H8、H2〕 い(うるお)

〔H23、H13〕 ジュクす(熟)

〔H23、H5〕 ウチュウ(宇宙)

〔H23、H2〕 ソウカン(創刊)

 

〔H22、H13〕 みる(かえり)

〔H22、H13〕 アタり(辺)

〔H22、H12〕 沸騰(ふっとう)

〔H22、H9〕 シタしい(親)

〔H22、H3〕 ユソウ(輸送)

 

〔H21、H14〕 ける(か)

〔H21、H14〕 ユメ(夢)

〔H21、H10〕 懇談(こんだん)

〔H21、H8〕 チュウヤ(昼夜)

〔H21、H5〕 ミチビく(導く)

 

〔H20、H5〕 シラべ(調)  *H13 シラベる(調)

 

〔H19、H12〕 える(燃)

〔H19、H11、H4〕 コウカイ(航海)

〔H19、H11〕 げる(告)

〔H19、H6〕 湖沼(こしょう)

 

〔H16、H5〕 る(ひた)

 

 

 

最近の4年間は、慢性的に「再利用」や「再使用」が行われています。

 

市販されている「過去問集」は「7年分」の収録のものが多いので、それより少し遡って「素材」を見つけてくれば、「当年の受験生の目に触れていない問題」として流用できます。

 

 

数年ごとに「重複」が活発になったり、不活発になったりしています。

 

「担当者」の「特徴」があらわれているのでしょう。

もしくは、「方法論」が伝承されたりされなかったりしているのかもしれません。

 

 

近年は、「再出題」が多くなっています。

したがって、都立の過去の漢字の問題をなるべく多く解くことが、最も合理的な入試対策だったわけです。

 

 

しかし、まあ、たとえば、「平成15年」あたりの過去問とか「平成5年」あたりの過去問を所有している塾もあれば、所有していない塾もあります。

 

たまたま古い過去問を所有している塾にいて、それを解くように勧められた生徒は、少しばかり受験に有利だったでしょう。

 

相対的に、古い過去問を所有していない塾の生徒は、その機会を得られないという点で、不利になるといえるのかもしれません。

 

 

しかし、「そういった要素」もまた「受験の一部」なのです。

いいかたをかえるならば、「競争の一部」なのです。

 

 

「公平」という概念を正しく理解していない人はいろいろと言いたくなるのでしょうが、不満をまき散らしたり、恵まれている人を呪ったりする時間も労力も、ただただ無駄なだけです。

 

そんな不毛なことにとらわれている暇があったら、漢字のひとつでも練習したほうが有意義です。

 

 

 

「成果」を出すために、分析をしたり工夫をしたりすることは、合理的な行動であり、正当な努力です。

 

野球やサッカーなどのスポーツで、「データ」や「情報」を集めて相手チームを研究したり、対抗策を練ったりすることは、極めて普遍的な戦略です。

企業や政府機関、あらゆる組織、個人にも同じことがいえます。

 

 

知り合いの塾の方と、お互い持っている過去問や教材を融通しあったり、機会があればブックオフに寄って古い過去問集がないか探してみたり、いろいろしました。

 

(2、3年ほど前に、東京近辺のブックオフでかたっぱしから古い過去問を買い漁った人(達)がいるみたいで、今はブックオフで古い過去問を見かけなくなっていますが。)

 

 

世の中には、ちょっと古くなった過去問を、もう使わないから、と捨ててしまう塾もあるのかもしれません。ちょっともったいないと思います。

今は、デジタルデータで保存することもできます。

 

 

 

さて、今回の記事を書いたのは、ある「思惑」からです。

 

「正しい想像力」を有した人には、伝わると思っています。

 

 

ひとつは、「これからの受験生」へのメッセージです。

 

それから、「業界の人」へのメッセージ。

 

もうひとつは、都立高校入試に対する「一石」です。

 

 

「次の時代」は、どんな入試問題になるのでしょうか。

 

 

(ivy 松村)

 

 

都立高校入試の「漢字」①

本年度の都立高校入試の国語では、以下のような出題がありました。

 

大問1(漢字の読み)

 

(1) 役者の真に迫った演技が喝采を浴びる。(かっさい)

(2) 教室かららかな笑い声が聞こえてくる。(ほが)

(3) 新緑の渓谷を眺めながら川下りを楽しむ。(けいこく)

(4) キンモクセイの香りがう公園を散策する。(ただよ)

(5) 著名な画家の生誕を記念する展覧会がされる。(もよお)

 

大問2(漢字の書き)

 

(1) 古都を巡る計画をメンミツに立てる。(綿密)

(2) 道路をカクチョウして渋滞を解消する。(拡張)

(3) 幼い子が公園のテツボウにぶら下がって遊ぶ。(鉄棒)

(4) 吹奏楽部の定期演奏会が盛況のうちに幕をじる。(閉じる)

(5) 日ごとに秋が深まり、各地から紅葉の便りがトドく。(届く)

 

 

よく知られているように、都立入試の国語の漢字は、過去に出題されたものが再度出されることがあります。

そこで、平成に実施された31回の都立高校入試(共通問題)の国語の試験で出題された漢字を調べてみました。

 

 

 

大問1(漢字の読み)

 

(1) 喝采(かっさい)

(2) らか(ほが)……H11 大問1 (5)

(3) 渓谷(けいこく)……H17 大問1  (2)、H9 大問1 (4)

(4) (ただよ)う……H12 大問1 (3)、H1 大問1 (1)

(5) される(もよお)

 

大問2(漢字の書き)

 

(1) メンミツ(綿密)

(2) カクチョウ(拡張)

(3) テツボウ(鉄棒)……H7 大問2 (5)

(4) じる(閉)

(5) トドく(届く)……H3 大問2 (4)

 

 

5題。再出題の頻度が高いことがわかります。

 

その他、大問1 (5)の「催す」という語ですが、「出題文」によく出てきます。

 

例えば:

 

・H17 大問2 (4) 校舎の落成を祝ってシキテンが催ざれる。

・H7 大問2 (4) 公会堂の落成をイワって、演奏会が催される。

・H3 大問2 (2) 恩師をマネいて、同窓会を催す。

 

 

問題は、太字のカタカナの部分ですが、問題文に「催す」が使われています。

 

 

ところで、本年度の大問1 (3)の問題文ですが、H9の問題と比べてみると、かなり似かよっています。

 

 

・H31 大問1 (3) 新緑の渓谷を眺めながら川下りを楽しむ。

・H9 大問1 (4) 美しい渓谷を眺めながら、川を舟で下る。

 

 

おそらく、「過去問」を参考にして、作問されたのでしょう。

 

同じような例を探してみました。

 

 

 

・H28大問1 (2)  氷上の華麗な舞に拍手が沸き起こる。

・H21大問1 (4)  氷上の華麗な舞いに、観客の拍手が起こる。

 

・H28 大問1 (4) 地域を循環するバスが満開の桜並木を走る。

・H18 大問1 (3) 街を循環するバスが新緑の並木道を走る。

 

・H28 大問1 (5) プランターで栽培したトマトが赤く色づく。

・H18 大問1 (5) 心を込めて栽培したトマトが赤く色づく。

・H8 大問1 (2) 栽培しているトマトが色づく。

 

・H27 大問2 (1) 体力テストで、ハンドボールをげる。

・H18 大問1 (1) 体力測定で、ハンドボールをげる。

 

・H23 大問2 (3) この春、新しい科学雑誌が創刊される。

・H2 大問2 (5) この春、新しい文芸雑誌が創刊される。

 

・H16 大問1 (5) 卒業アルバムを見ながら、なつかしい思い出にる。

・H5 大問1 (4) 卒業も問近になって、二年問の思い出にる。

 

 

 

それから、過去の「読み」の問題を「書き」の問題に「再利用」したものもあります。

また、文中の「別の漢字」を問題にするという「応用」もあります。

 

 

・H27大問2 (2)  バスのシャソウから新緑の山々を眺める。(書きの問題)

・H20大問1 (4) バスの車窓から雪をいただく山々を望む。(読みの問題)

 

・H28 大問1 (1) 額の汗をいながら、山道を歩く。

・H7 大問2 (3) ヒタイの汗をぬぐいながら、山頂を目指す。

 

・H17 大問2 (4) 校舎の落成を祝って、シキテンが催される。

・H7 大問2 (4) 公会堂の落成をイワって、演奏会が催される。

 

・H28 大問2 (3) 外国へ行くために、リョケンの発行を申請する。

・H22 大問2 (1) 海外に行くために、リョケンを申請する。

・H17 大問1 (5) 海外旅行のために、旅券の発行を申請する。

 

 

 

当然、「完全コピー」もあります

 

 

・H30 大問1 (5) 忙しさにれて、妹に頼まれた買い物を忘れる。

・H10 大問1 (5) 忙しさにれて、妹に頼まれた買い物を忘れる。

 

・H29大問1 (2)  垣根をてて、梅の香が漂ってくる。

・H5 大問1 (3)  垣根をてて、梅の香が漂ってくる。

 

・H23 大問2 (2) 庭のかきの実が、赤くジュクしてきた。

・H13 大問2 (1) 庭のかきの実が、赤くジュクしてきた。

 

・H22 大問2 (3) 料理のザッシを見ながら、夕食の献立を考える。

・H14 大問2 (3) 料理のザッシを見ながら夕食の献立を考える。

 

・H22 大問1 (5) 三年間の学校生活をみて、卒業文集の原稿を書く。

・H13 大問1 (5) 三年間の学校生活をみて、卒業文集の原稿を書く。

 

 

 

漢字の問題の「出題パターン」は、5とおりあります。

 

①出題文も問題もほぼ同じ。

②出題文が少し違う。問題は同じ。

③出題文はほぼ同じ。問題は違う箇所。

④出題文は違う。問題は同じ。

⑤出題文は違う。問題も違う。

 

 

①~③は「過去問」を参照して作問されています。

④は、たまたま同じ問題になってしまったのかもしれません。しかし、「過去問」を踏まえた出題だった可能性もあります。

 

 

 

できるかぎり過去問をやったほうがいいという話です。

都立の三十数年分の漢字の問題を解かせた受験生たちは、漢字で点数を落としませんでした。

 

 

 

で、まあ、話のついでに一応ちょっと書いておこうと思うのですが、希少な古い「過去問」を手に入れて利用することを「ズル」だと思う人は、「理性的な思考が苦手」なのだろうと思います。

 

 

私は、「それ」を使うことが塾の人間の「道義」であると確信しています。

 

 

 

 (ivy 松村)

平成30年度 都立高校「自校作成」の国語

進学指導重点校の英数国の入試問題は、本年度から「自校作成」となりました。

各校が、5年ぶりに独自問題を作成するとあって、「業界」でも大きな注目が集まりました。

 

 

私は、各校がリリースしている「出題の方針」に注目していました。

 

これをみれば、各校の出題構成と内容が、かなり精密に把握できると理解していたからです。

 

特に気を配っていたのが、国語でした。

国語の「記述」がどうなるのか、が本年度の入試の大きなポイントでした。

 

 

 

日比谷、西、戸山の3校が、大問3で「記述」を課すことは数か月前から判明していました。

また、国立が、大問3で「記述」を出題しないことも、数か月前から判明していました。

 

 

4校は、「出題の方針」をホームページに掲載し、公表していました。

 

いずれの高校も、入試選抜という「プロジェクト」を周到に準備してきたということがわかります。

 

4校の入試問題は、「出題の方針」に沿って作問されています。

 

 

 

一方、青山、八王子東、立川の3校は、「出題の方針」をホームページに掲載していませんでした。

 

 

青山は、都立の入試日になっても、まだ昨年の「出題の方針」をホームページに掲載したままでした。しかし、意外にも、今年の入試問題を最も早くホームページに掲載したのは青山高校でした。

その際に、今年の「出題の方針」もアップされました。

(ちなみに2番目は日比谷で、3番目は八王子東です。)

 

 

国語の入試問題は、すぐにはホームページ等に掲載できないので、現時点で問題を見ることはできませんが、「解答」と照らし合わせて「出題状況」を確認しました。

 

 

青山は、「出題の方針」で「記述」を示唆しないまま、「記述」を出題しています。

 

まあ、「出題の方針」で示された内容には「出題形式」自体への言及がなされていないので、「記述」が出題されたとしても、「出題の方針」に適合していないとは言えない、という「弁解」が、なんとか可能かもしれません。

 

 

この塾に青山を受ける受験生がいたら、ちょっと困ったことになったかもしれませんが、それでも、私は、青山の問題作りは評価できると考えています。

 

 

私は、一貫して、

 

・「記述」を出すべきである

・難度を上げるべきである

 

という主張をしてきました。

 

 

「解答」を見ただけの印象に過ぎませんが、青山高校の入試問題は、非常に熱が入っていると思います。

 

問題点は、入試選抜、もっといえば「生徒募集」が、ちょっと「ちぐはぐ」になっているということです。

 

英語でも、大問3の文章が、「物語文」なのか「説明文」なのかを明示していません。

おそらく、「出題の方針」は、実際の入試問題を想定しないまま作られたのではないかと思います。

「出題の方針」を出さなければいけないので、「とりあえず」あいまいな形でリリースして、後で問題を作り込んでいったのかもしれません。

 

 

「担当者」どうしの「連携」が取れていないとか、「生徒募集」を総括する人が総合的な指示を出していないとか、そういう部分があったのかもしれません。

 

 

 

そして、八王子東と立川です。

私は、2校の「資料」を手にし、「出題の方針」を確認することができました。

 

八王子東と立川は、ともに「入試説明会」で「グループ作成のものと同じような問題」を作ると説明していました。

 

それで、国語の入試問題で「記述」が出題されないという「予断」を持った受験生や受験関係者は多かったはずです。

しかし、八王子東と立川の「出題の方針」には、大問3について以下のように記されていたのです。

 

 

八王子東「文学的な文章を読み、叙述や描写などに即して、場面、登場人物の様子、心情などを正しく理解する能力及び読み取った内容をまとめ、表現する能力などをみる。」

 

立川「文学的な文章を読み、叙述や描写などに即して、場面、登場人物の様子、心情などを正しく理解する能力及び読み取った内容を適切にまとめ、表現する能力などをみる。」

 

 

ともに大問3で「表現する能力」を検査すると書かれてあります。

したがって、私は、両校は大問3で「記述」を出題すると判断しました。

 

 

 

八王子東は、「記述」を出題しました。これは、まったくの予想どおりでした。

 

一方、立川は、大問3で「記述」を出題しませんでした。

 

 

 

八王子東は、この一年、いろいろな面で非常に精力的な取り組みをしているのが伝わってきました。

とりわけ、今回の入試問題は気合が入っていると思います。

問題作りに「攻め」の姿勢があって、ちょっとグッときますね。

 

八王子東の取り組みが変わってきた理由の1つは、昨年の入試で応募人数を大きく減らしてしまったことでしょう。

また、もうひとつは、このままでは進学指導重点校の指定が危うくなるという危機感だと思います。実は、八王子東は、難関4大学の合格実績が下降し、進学指導重点校の「基準」のひとつを満たしていません。ある意味で、「酌量」されて、昨年の進学指導重点校の再指定を受けたわけです。

 

 

ただ、八王子東も、統率が取れた「生徒募集」になっていなかった印象です。

「説明会」などで、魅力をアピールしきることができていませんでした。

 

「入試説明会」では、国語に関してけっこうユニークな内容のお話しがあったということですが、「記述」については触れられなかったようです。そのうえ、「独自問題」について「グループ作成と同じような問題」を出題すると表明していたそうなので、実際の入試問題を目にして、驚いた人も多かったのだろうと思います。

 

 

 

そして、立川です。「表現する能力をみる」と明言していながら、そのための設問が用意されていません。

 

立川の問題を見ましたが、国語は、ボーダーを押し上げる要因になりそうです。

大問3で苦戦した受験生は少なかったと思います。さらに、決定的なのが大問4で、ほとんどの受験生はここで無難に得点を確保できたはずです。

 

立川の国語の問題は、大問3・4と、大問5の「統一感」がバラバラで、しかも全体の「バランス」がとれていません。

大問5は、古文の先生が作っていると思います。これは「骨」のある問題でした。

しかし、多くの受験生は、大問3・4では時間を取られないので、大問5に十分な時間をかけることができたはずです。

 

 

 

立川は、「入試説明会」で合格者の「内申点」の情報などを明かしています。

たとえば、男子は「オール4」に届いていなくても、入試得点で「逆転」できることなどが、データで示されました。

こうした積極的な「情報開示」が、立川の男子の倍率を高めた要因のひとつとなりました。

 

しかし、入試問題が易化し、入試得点が高得点域で均衡してしまうと「内申点」が乏しい受験生にとっては不利な受験になるわけです。

 

 

青山や八王子東と同様に、立川も、「生徒募集」と「作問」が「ちぐはぐ」だったわけですが、他の2校とは違い、立川の場合、「作問」に対する「意識」がおろそかだったという印象です。

 

 

 

虚飾なしに、端的にいえば、日比谷、西の「情報」は、「信頼」できます。

むしろ、高校が出してくる情報を細部までしっかりと読み取ることが大事です。

 

戸山も堅実です。

 

 

国立は、実はちょっと「気がかり」です。

 

国立高校は、かつては国語の入試問題で「重厚で濃密な記述」を出題することで知られていました。現在は見る影もありません。

 

積極的な「差換え」を行わなかった近年の入試問題に大きな違和感を持っていましたが、今年の「自校作成」でも「守り」の姿勢を崩していません。

 

 

日比谷と西は、問題作りと採点に対して、「覚悟」を持っています。

 

「この御時勢」ですから、「採点ミス」などがあれば、大きな責任問題になるでしょう。

それでも、「記述」を増やしました。

 

それから、戸山、八王子東、青山も前に進む決意をしました。

 

 

でも、国立は、ちょっと「教育庁のほう」を気にし過ぎているような印象を受けます。

 

 

国立高校の「歴史」を調べてみると、この高校は、「立地」を含めて、けっこう「ラッキー」が重なって、進学校としての「地位」を向上させてきたことがわかります。

 

適切な言葉なのかどうか、あまり自信はありませんが、あえていえば、もしかすると「殿様商売」といえるのかもしれません。

 

 

「集まってくる生徒のパワーと能力」を最大限に引き出すことができるのは、伝統の「強み」なのかもしれませんが、逆にいえば、「集まってくる生徒の質」が変われば、一気に「高校の質」も変わってしまう危険性を持った高校だと思います。

 

 

ちょっと「今の方向性」は、怖い気がします。

 (ivy 松村)

「出題の方針」の確認

本年度の入試の出題構成について確認しましょう。

 

 

「グループ作成」、「自校作成」の高校は、「出題の方針」をもとに、入試に備える必要があります。

 

 

 

日比谷高校の「出題の基本方針」の「各問のねらい」を見てみましょう。

 

 

□1 漢字を正しく読む能力をみる。

 

□2 漢字を正しく書く能力をみる。

 

□3 文学的な文章を読み、叙述や描写などに即して、場面、登場人物の様子、心情などを正しく理解する能力、表現する能力などをみる。

 

□4 説明的な文章を読み、叙述や文脈などに即して、語句や文の意味、文章の構成及び要旨などを正しく読み取る能力をみるとともに、考えが正確に伝わるように根拠を明らかにしながら、自分の意見を論理的に表現する能力などをみる。

 

□5 古典に関する文章を読み、古典並びに現代の語句及び文章の内容についての理解などをみる。

 

 

 

日比谷高校の国語の漢字の出題は、「グループ作成以前」とその後で構成が変わっています。

 

以前は「文章題からの引用」でした。私立の入試でよくみられるパターンのもので、文章中からいくつかの語句が取り上げられ、その漢字の「読み」や「書き」を問われるという形式でした。

「グループ作成」となってからは他校と「足並み」をそろえる必要から、大問1が「漢字の読み」、大問2が「漢字の書き取り」という独立した問題構成となりました。

 

 

「自校作成」に回帰した本年はどうなるのか、それは、「出題の方針」に示されています。

本年は、「グループ作成」と同じ構成になることがわかります。

 

 

「出題の方針」を参照せずに、暗中模索におちいっている受験生がいたら、説明会で入手したものを確認するとよいと思います。

 

 

 

さて、本年度の国語の入試を予測するうえで、「記述」がどうなるのか、気になっている人も多いと思います。

 

 

各校の大問3の「出題の方針」を比較してみましょう。

 

日比谷「文学的な文章を読み、叙述や描写などに即して、場面、登場人物の様子、心情などを正しく理解する能力、表現する能力などをみる。」

 

戸山「文学的な文章を読み,叙述や描写などに即して,場面,登場人物の様子,心情などを正しく理解する能力及び読み取った内容を適切にまとめ,表現する能力をみる。」

 

国立「文学的な文章を読み,叙述や描写などに即して,場面,登場人物の様子,心情などを正しく理解する能力をみる。」

 

 

日比谷や戸山は大問3で記述問題が出題されるでしょう。

一方、国立は記述問題が出題されないでしょう。

 

 

また、いずれの高校も、大問5で「記述」は出題されないでしょう。

 

 

受験生向けの説明会や塾向けの説明会で、本年度の入試は「グループ作成と同じような出題」になると説明していた高校があったようです。

それで、たとえば、昨年と同様に「記述」は出題されないと高をくくっていると、当日に驚くことになるかもしれません。

その高校の「出題の方針」を見てみると、ちょっと違った出題になるということがみえてきます。

 

 

 

日比谷は、英語の「出題の方針」の「各問のねらい」も確認しておく必要があります。

 

 

□1 自然な口調で話される英語を聞いて、その具体的な内容や大切な部分を把握したり、聞き取った事柄について英語で表現したりする能力をみる

 

□2 まとまりのある対話文を読み、その流れや大切な部分を把握したり、読み取った事柄などについて英語で表現したりする能力をみる

 

□3 物語文を読み、そのあらすじや大切な部分を把握したり、読み取った事柄などについて英語で表現したりする能力などをみる

 

4 短い対話文を読み、読み取った事柄について、異なる2つの意見を適切に英語で表現する能力をみる

 

 

大問1は、全校共通のリスニングです。

大問2~4が独自問題ですが、それぞれ大問2は「長大な対話文」、大問3は「物語文」、大問4は「短い対話文」の問題であることがわかります。

したがって、「説明文」ではなく、「対話文」や「物語文」を読む「準備」をしておかなければなりません。

 

また、すべての大問で「英語で解答する設問」があることがわかります。

それは「抜き出し」の問題なのかもしれませんが、「英語で解答を記述する」問題である可能性が高いと思います。

 

注目すべきは、大問4で「異なる2つの意見を適切に英語で表現する能力」を検査されるという点です。

ここでは、2つの意見が交換される「対話文」が示され、受験生は、「2つの立場」に立ってそれぞれの意見を英語で要約する、あるいは主張を代理する、というような英作文を課せられるのかもしれません。

 

 

 

他塾の方も見ているでしょうから、このへんで。

 

 

 

都立入試に挑む受験生には、本年度の入試の「概要」を伝えています。

 

みなさんは、これまでの受験勉強、そして私立入試を通して、大きく成長しています。

私が、こんこんと伝えるまでもなく、一人ひとりが自分で「入試」をいうものを理解し、取るべき行動を判断することができるようになっています。

 

当日、思いもよらない問題が出ても、落ち着いて対処できるだけの力をつけています。

自信を持ってください。

 

 

 

みなさんといっしょに勉強してきた日々が、すでになつかしく思えます。

もう、「授業」の必要もありません。

 

私は、採点と問題の準備に追われる日々です。

後は、リスニングの「スタート」のボタンを押す係。

 

そして、くだらない質問に対して、くだらない受け答えをする人。

 

月日が過ぎて、あのくだらないやり取りの断片が、みなさんの記憶にかすかに残っていて、あるとき、ふと思い出して、ちょっとだけ愉快な気持ちになってくれたら、うれしく思います。

 

 

 

受験という「航海」の果てに、英作とリスニング、作文と漢字に立ち返ってきました。

これらが「最後のピース」です。

 

 

 

あと少し。がんばろう。

 

 

 

 (ivy 松村)

 

「学校の怪談」

本日で、平山中と石川中の中間試験が終わりました。

 

石川中の1年生の生徒たちは、中間試験がなかったので、初めての定期テストを経験しました。

陵南中、四中、ひよ中の生徒は、奮闘中です。

 

今回、かなり成績が上がりそうな生徒もいるので、結果が待ち遠しいです。

 

 

 

さて、この3週間ほど、各中学の過去の定期試験の問題を見なおしたり、今回の定期テストの問題をチェックしたり、生徒たちに感想などを聞いたりしながら過ごしました。

 

あらためて気づいたのは、試験問題の「多様性」についてです。

本当に千差万別、いろいろな問題がありますね。

 

 

それにしても、ちょっと複雑な思いを抱かざるを得ないのは、試験問題の「使い回し」についてです。

 

過去問を手に入れることができるかどうか。

それが試験の点数に直結するようなケースが、実技教科で散見されます。

 

 

 

また、ある意味で「亡霊」と呼ぶべき試験問題も存在します。

 

 

 

昨年、中学校の教科書が改訂されました。

そのために、国語の教科書から、姿を消してしまった文章があります。

 

また、教科書の改訂に合わせて、採用する教科書を変更した市区町村があります。

 

 

その影響で、国語の定期試験の問題に、「現在の教科書に載っていない文章」が登場することがあるわけです。

 

つまり、それは、本来なら「現世」には存在し得ないという意味で、「亡霊」なのです。

 

 

「現在の教科書に載っていない文章」が試験に使われるパターンは、2つあります。

ひとつは、学校の先生がプリントなどで、「その文章」を使って授業をし、それを試験に使う場合です。

 

そして、もうひとつは「初見の文章題」として流用される場合です。

 

 

 

これは怖いです。読んだことも聞いたこともない文章が、突然「姿」を現すのです。

 

 

 

「ブルブルッ…」

 

 

身震いしますね。

 

 

 

光村図書の国語の教科書は、巻末に、「旧版」に掲載されていた文章の一部が「付録」のような形で収録されています。これは、非常に行き届いた「配慮」なのでしょう。

この部分を使って、授業をされる先生もいます。

 

これは一応「実体」があるので、「亡霊」とはいえません。

 

 

しかし、新版の教科書には掲載されていない、消え去ったはずの文章が、試験問題として登場することがあるわけです。

 

「亡霊」が、姿を現し、生徒たちを恐怖におとしいれるのです。

 

去年、そして今年も、様々な場所で「亡霊」が猛威を奮いました。

 

 

 

「うわ、わわ…」

 

 

身の毛がよだちますね

 

 

 

「亡霊」は、ある市区町村で採択される教科書の変更があった場合にも「目撃」されることがあります。

 

授業に使う教科書は、学校の先生が自分で決めることはできません。

各市区町村の中学の教科書は、教育委員会によって決められます。

 

教科書が変更になると、学校の先生は大変です。

これまで慣れ親しんでいた授業の「題材」と、離別しなければならないわけです。

 

特に 、規模の小さな中学校の先生にとっては深刻な問題です。

 

学年にクラスが1~2学級ほどしかない中学では、1人の国語教師が3学年すべての授業を担当することもあります。そうすると、1年生、2年生、3年生すべての学年の授業計画を、すべて新しく作成する必要があるわけです。

 

もちろん、試験問題も「新作」しなければなりません。

学校の先生にとって、非常に大きな負担です。

 

 

 

そうです!

 

 

 

学校の先生の「怨念」が!!

 

 

 

恐ろしい「亡霊」を生み出してしまうのです!

 

 

 

 

 

 

「ぎゃ~~!!助けて~~!!」

 

 

 

 

 

同じような「怪奇現象」は、教員の「移動」によっても起こります。

 

当然、別の市区町村から別の市区町村の中学校に転勤した場合に、使用する教科書が変わる場合があるわけです。

 

 

 

やはり、学校の先生の「怨念」が!!

 

…(以下略)。

 

 

 

まあ、「そういった事情」で、教科書に掲載されていない文章が、定期試験で出題される場合があるわけです。

 

 

 

いかにも「夏らしい話」で、背筋がぞっとしますね。

 

 

 (ivy 松村)

 

定期テストの過去問

1学期中間テストの最初の「山場」にさしかっています。

 

火曜日に平山中の中間テストがあり、今日は七生中の中間テストでした。

明日は四中の中間テストです。

 

平山中は、例年、ゴールデンウィークが明けた直後にテストがあります。

ゴールデンウィークに、生徒たちの気を引き締めるためなのかもしれません。

新学年のカリキュラムはほとんど進んでいないので、多くの教科で、全学年で学習した内容が試験範囲に含まれていました。

決して狭い試験範囲のテストではなかったので、大変だったようです。

 

 

七生中は、ちょっと個性的な問題が出される教科があるので、少し心配していましたが、杞憂でした。

問題量が多いテストがいくつかあったようで、その対応が今後の課題でしょうか。

 

 

四中は、本年度から中間考査が行われることになりました。

そのために、運動会(泰花祭)のプログラムが少し変更になってしまったそうです。

今までこの時期に「テスト勉強」をしていなかったので、ちょっと生活のリズムが大変そうでした。明日頑張り抜いたら、少しゆっくりしてください。

 

 

 

ゴールデンウィークに何をしていたのかと聞かれて、寝ていたとか、ダイエットをしていたなどと答えていたのですが、実は、少しばかり手間をかけて、国語の「定期テスト過去問集」を作っていました。

今回は、とりあえず日野市で使われている光村図書の教科書に準拠した「定期テスト過去問集」です。

 

2年生は『アイスプラネット』と『枕草子』、3年生は『握手』を編集しました。

 

 

 

それぞれの中学の問題を比べてみると、なかなか興味深いことがわかってきます。

 

たとえば、『枕草子』では、7校の問題を収録しましたが、7校のうち5校が、

 

春は「  」。 →「  」に入る言葉を答えなさい(→「あけぼの」)

 

という問題を出しています。

 

 

また、7校のうちやはり5校が、「知識の問題」を出しています。

 

作品名→枕草子

作者→清少納言

時代→平安時代

ジャンル→随筆

文学性→「をかし」

 

 

 

まあ、つまり、学校の先生の「出題ポイント」というのは、本来それほど違わないといえるわけです。

「定期テスト過去問集」に何度も出てくる問題は、出題される可能性が高い問題です。

 

 

 

『握手』は、テストによって、意外と「問題に使用される部分」が分散しているので、それほど出題内容が重複していません。

 

また、中3が対象ということもあって、「凝った問題」が目につきます。

 

 

出題される可能性が高くなりそうなのは、下記の部分でしょうか。

 

・「この世のいとまごい」

・「お別れの儀式」

・「ルロイのこの言葉を忘れないでください。」

・「わたしは右の親指を立て、それからルロイ修道士の手をとって、しっかりと握った。」

・「わたしは知らぬ間に、両手の人差し指を交差させ、せわしく打ち付けていた。」

 

あと、作者名を聞く問題(井上ひさし)も、いくつかありました。

 

 

 

3年前の四中の期末テストでは、ちょっと独特の問題が出されています。

 

 

・「日野四中の十戒」を作るとしたら?

・あなたがルロイ修道士だとしたら、天使園に来た「わたし」に何と声をかける?

 

 

 

今回は、どんな問題が出されるのでしょうか。

中3の定期テストでは、記述や作文が「どっさり」と出題されることがあるので、心して挑んでください。

 

 

 

健闘を祈ります。

 

 

 

(テストが終了した人は、「問題」を持ってくるようにお願いします。)

 

 

 (ivy 松村)

 

「音読み」の話④

まずは、「前段」。

 

平安時代の人々は、「はひふへほ」を「ぱぴぷぺぽ」と発音していたといわれています。つまり、昔の日本では、「ハ行」は「パ行」だったわけです。

 

たとえば、「母」は、現代では「ハハ」と発音しますが、古代の日本では、「パパ」と発音していたわけです。

 

また、「はひふへほ」は、安土桃山時代ごろには、「ふぁ・ふぃ・ふ・ふぇ・ふぉ」に近い発音に変化していたことがわかっています。

 

たとえば、当時の人々は、「日本」を「ニフォン」、平戸を「フィラド」と発音していました。

 

 

日本語には、「ぱぴぷぺぽ」→「ふぁ・ふぃ・ふ・ふぇ・ふぉ」→「はひふへほ」という発音の変化があったわけです。

 

 

 

では、「本題」に入りましょう。

 

前回の記事で、漢字には、本来、末尾に[k]や[t]の発音を持つものがあったことを紹介しました。

実は、「末尾の子音」には、もう一種類あるのです。

 

[p]です。

 

古代中国語には、末尾が[k]・[t]、そして[p]の発音となっている漢字が存在していたのだということになります。

これらを合わせて、「入声」と呼びます。

(「入声」は「ニッショウ」とも、「ニュウセイ」とも読みます。)

 

 

「入声」は、現代中国語の標準語(普通語)、いわゆる「北京語」には、存在しません。

モンゴル人の支配を受けた元代までに、華北(中国北部)の口語は大きく変質したといわれています。

 

一方、南方の「方言」には、古代の発音体系の一部が残存しています。

たとえば、香港などで使われている「広東語」には、語末の[k]・[t]・[p]の発音が見られます。同じように、日本語や朝鮮語に取り入れられた「漢語」にも、「入声」の「痕跡」を見ることができます。

 

 

 

ということで、日本語に残る「入声」の[p]の発音を「発掘」してみましょう。

 

 

「納」・「合」・「十」という漢字を使って考えてみます。

 

これらの字は、それぞれ「ノウ」・「ゴウ」・「ジュウ」と読みます。

 

確認してみましょう。

 

 

入(「ノウ」ニュウ)、品(「ノウ」ヒン)

格「ゴウ」カク)、同(「ゴウ」ドウ)

時「ジュウ」ジ)、代(「ジュウ」ダイ)

 

 

これらは、なんの変哲もない普通の漢字の音読みのように思えますが、それぞれを「歴史的仮名遣い」を用いて表記すると:

 

 

・納→「ナフ」

・合→「ガフ」

・十→「ジフ」

 

 

になるのです。

 

ここで、「ハ行」は、以前「パ行」であった、ということを思い出しましょう。

 

古代の日本人は、「プ」という音を、「フ」と表記していたのです。

 

「納」・「合」・「十」の「読み仮名」は、それぞれ「ナフ」・「ガフ」・「ジフ」と書かれたわけですが、それらは「ナプ」・「ガプ」・「ジプ」と発音されていたということになります。

 

つまり、これらの語は、従来、末尾に[p]の発音を持っており、そのために「プ」という日本語の発音があてられ、ゆえに「フ」と表記されたわけです。

 

 

古代中国語では、それぞれ、[nap]・[gap]([kap])・[zip]という発音に近い音だったと考えられます。

 

 

ちなみに、「広東語」では、これらの字を以下のように発音します。

(中国語に存在する「声調」の表記を省きました。)

 

 

・「納」→[naap]

・「合」→ [hap]

・「十」→ [sap]

 

 

末尾に[p]の音があります。

「広東語」は、古代中国語の発音を、よく残しています。

 

 

 

「納」・「合」・「十」は、現代では「ノウ」・「ゴウ」・「ジュウ」と読まれ、「二重母音」の発音に組み込まれています。

そのために、もともと「入声」であったことがわかりづらくなっています。

 

 

しかし、これらが本来「入声」であったことを物語る現象があります。

それが、「促音化」です。

 

以下の熟語を見てみましょう。

 

 

豆「ノウ」(ナプ)→「ナッ」トウ

体「ゴウ」(ガプ)→「ガッ」タイ

階「ジュウ」(ジプ)→「ジュッ」カイ(「ジッ」カイ)

 

 

末尾の「ウ」(プ)が、「ッ」に変化する「促音化」が起こっていることがわかります。

 

これは、古代中国語の「入声」の「残余」なのです。

 

 

 

普段、意識しないで 使っている「表現」の中に、「言葉の歴史」が隠されています。

「面白い」と思うか、「だから、何?」と思うか、さて、みなさんはどちらなのでしょう。

 

 

 

今回の「シリーズ」では「音読み」について見てきました。

これについて書こうと思ったのは、最近の国語の授業で、「漢字の読み」について話す機会が多くなったからです。

 

学年の最初は、どの学年も「語句の知識」の単元があります。

各学年ともに、「漢字の成り立ち」や「漢字の音訓」、「熟語の組み立て」などについて学びます。

 

時間的な制約もありますので、授業では、それほど深く説明しないこともあります。

いろいろと知りたいかたは、過去に書いた以下の記事が役に立つと思います。

ぜひ、参考にしてしてください。

 

 

「呉音・漢音・唐音」

「難しい読みの熟語」

「熟語の読み方」

「漢字の音訓」

「漢字の成り立ち(六書)」

「対義語」「熟語の構成」

 

 

(ivy 松村)

 

「音読み」の話③

漢字の音読みは、ほとんどが「一音節」となっていますが、例外的に「二音節」となっているものもあります。

「二音節」の音読みの漢字は、語末の音が「キ・ク・ツ・チ」となっています。

 

このうち、「キ」と「ク」には「同質性」があり、「ツ」と「チ」にも「同質性」があります。

 

 

古代中国語の発音には、末尾に[k]の音が現れるものと、[t]の音が現れるものがありました。

 

[k]の音は、日本語の発音体系では、「キ」あるいは「ク」と表示されるわけです。

[t]の音は、日本語の発音体系では、「チ」あるいは「ツ」と表示されるわけです。

 

 

ですから、「キ・ク」と「ツ・チ」は、それぞれが同系統の発音の「グループ」であるということになります。

 

 

 

ところで、語末に[k]や[t]の音があらわれるような「末尾の子音」は、英語にもよく見られるものです。

 

以下の単語の発音を確認してみましょう。

 

※ kick、cook、sick、tick、took、neck、knock、hook、luck、lock、rock、back、book…

※ at、cut、sat、sit、set、knit、net、not、hat、hit、foot、hot、mat、met、rat、let、lot…

 

 

これらの単語は、「一音節」です。

実は、音声学的には、(「子音」+)「母音」+「子音」の発音は「一音節」になるのです。

 

たとえば、「knock」の発音は、簡易的に表示すると[nok]となります。

末尾の[k]の音には「母音」が付いていません。

ですから、これは、[o]というひとつの「母音」で完結する「一音節」の発音であるということになります。

 

[nok]は「一音節」です。

 

 

一方、日本人は、「knock」を「ノック」と表記し、[nokku]と発音します。

 

「ノック」の発音には、「母音」が二つ現れています。

[o]と[u]の2つの「母音」を有しているので、この場合の発音は「二音節」となります。

 

[nokku]は、「二音節」です。

 

 

 

日本語の発音体系では、全ての「音」に母音が付属します。

つまり、「子音」だけの発音が存在し得ないのです。(「ん」は例外。)

 

そのため、外来語の「末尾の子音」にも「母音」が付けられ、結果、その語が「二音節」となってしまうわけです。

 

 

 

同様に、漢字の発音も、日本語の特性が作用して、変化してしまうのです。

 

本来、漢字の発音はすべて「一音節」です。

それが、日本語に取り入れる際に、「末尾の子音」に「母音」を付加してしまったために、一部の発音が「二音節」になってしまったのです。

 

 

 

古代中国語の発音がどのようなものだったのか、実は、よくわかっていません。

ですが、たとえば、「国」という字は、本来、[kok]のような音だったと推測することができます。

 

わかりやすく言うならば、ニワトリの鳴きまねをして「コッ・コッ・コッ」というときの「コッ」のような音だったと考えられるわけです。

 

これは「一音節」です。

 

その発音は、「コク」という音読みを与えられて、日本語に「移入」されました。

 

これは、「二音節」です。

 

 

「国」という字は、「国語」(「コク」ゴ)「国民」(「コク」ミン)「国際」(「コク」サイ)などの熟語を構成するときには「コク」という「二音節」の読みになります。

 

ところが、「国家」(「コッ」カ)「国旗」(「コッ」キ)「国境」(「コッ」キョウ)などの熟語を構成するときには「コッ」という「一音節」の読みになります。

 

これは、後ろにあらわれる「音」によって、「国」の「本来の発音に近い音」が出現するためなのです。

 

 

 

実は、現代の中国語の共通語(北京語・普通語)では、末尾に[k]や[t]が置かれる発音は、完全に消失してしまっています。

 

一方、中国語の「方言」には、古代中国語の発音(の一部)を残しているものもあります。

 

その代表は、香港などで話されている「広東語」(粤語)です。

「広東語」には、末尾の[k]や[t]が残存しています。

 

 

「広東語」の「国(國)」の発音を簡易的に表すと、 [gwok]になります。

日本人には、「グォッ」と聞こえます。

 

末尾の[k]は、聞こえるか聞こえないか、くらいの音で、のどの奥を閉めて、音を遮断するようにして発音します。

音声学的には、「声門閉鎖音」と呼ばれるものです。これは、日本語の「促音」(「ッ」の音)に近い音です。

 

 

 

音読みの末尾が「キ・ク・ツ・チ」になる漢字には、同じように、末尾が「ッ」に変化する「促音化」が起こります。(一部、例外がありますが。)

 

 

・石鹸「セキ」→「セッ」ケン

・敵機「テキ」→「テッ」キ

 

・学校「ガク」→「ガッ」コウ

・落下「ラク」→「ラッ」カ

 

・鉄柱「テツ」→「テッ」チュウ

・決心「ケツ」→「ケッ」シン

 

・日記「ニチ」→「ニッ」キ

・吉報「キチ」→「キッ」ポウ

 

 

それぞれの漢字は、「広東語」では以下のような発音になります。(「声調」の表記を省きました。)

 

・石 [sek]

・敵 [dik]

 

・学(學) [hok]

・落 [lok]

 

・鉄(鐵) [tit]

・決 [kuet]

 

・日 [yat]

・吉 [gat]

 

 

やはり、末尾に[k]と[t]が現れていますね。

 

 

 

(ivy 松村)

 

「音読み」の話②

漢字の「音読み」は、基本的には「一音節」ですが、中には、「二音節」の音読みの漢字があります。

 

「二音節」の音読みの漢字の末尾の音は、下のいずれかの音になります。

 

 

「キ」「ク」「ツ」「チ」

 

 

これらの漢字は、「訓読み」と間違えやすいので気をつけましょう。

 

漢字の語末の読みが「キ・ク・ツ・チ」となっているときには音読みの場合が多い、と知っておくととても便利です。

 

 

 

◎音読みの語末が「キ」となる漢字の例:

 

域「イキ」、駅・液「エキ

式・色「シキ」、席・咳「セキ

敵・的「テキ

壁・癖「ヘキ

力「リキ」、歴・礫「レキ

劇・激「ゲキ

直「ジキ

 

 

 

◎音読みの語末が「ク」となる漢字の例:

 

悪・握「アク」、育「イク」、屋・億「オク

各・角「カク」、菊「キク」、国・告「コク

策・柵「サク」、則・足「ソク

宅・択「タク」、竹・築「チク」、特・得「トク

肉「ニク

白・箔「ハク」、福・服「フク」、北「ホク

幕・膜「マク」、目・木「モク

訳・約「ヤク」、欲・翌「ヨク

楽・落「ラク」、陸「リク」、六「ロク

額・学「ガク」、極・獄「ゴク

軸・竺「ジク」、俗・賊「ゾク

濁・諾「ダク」、毒・独「ドク

爆・漠「バク」、僕、墨「ボク

客・脚「キャク」、局・曲「キョク

借・尺「シャク」、祝・宿「シュク」、食・職「ショク

着・嫡「チャク」、直・勅「チョク

若「ニャク

百「ヒャク

脈「ミャク

略・掠「リャク」、力・緑「リョク

逆・虐「ギャク」、玉「ギョク

弱・若「ジャク」、宿・塾「ジュク」、辱「ジョク

白・百「ビャク

 

 

 

◎音読みの語末が「ツ」となる漢字の例:

 

圧「アツ」、逸「イツ」、鬱「 ウツ」、越・悦「エツ」、乙「オツ

活・克「カツ」、喫・詰「キツ」、屈・窟「クツ」、血・決「ケツ」、骨・惚「コツ

冊・察「サツ」、失・室「シツ」、節・設「セツ」、卒「ソツ

達「タツ」、秩・窒「チツ」、鉄・哲「テツ」、突・凸「トツ

熱・捏「ネツ

発・髪「ハツ」、必・筆「ヒツ」、仏・沸「フツ

末「マツ」、密・蜜「ミツ」、滅「メツ」、物「モツ

率・律「リツ」、列・劣「レツ

月「ガツ」、月「ゲツ

雑「ザツ」、実・日「ジツ」、絶・舌「ゼツ

奪・脱「ダツ

罰・抜「バツ」、仏・物「ブツ」、別・蔑「ベツ」、没・勃「ボツ

出「シュツ

術・述「ジュツ

 

 

 

◎音読みの語末が「チ」となる漢字の例:

 

一「イチ

吉「キチ

七・質「シチ」、節「セチ

日「ニチ

八・鉢「ハチ

律「リチ

罰「バチ

 

 

 

訓読みの末尾が「き・く・つ・ち」となっている漢字もあるので注意しましょう。

 

 

◎末尾が「き・く・つ・ち」となっている訓読みの漢字の例:

 

※(  )内は音読み

 

 

息「いき」(ソク)

粋「いき」(スイ)

沖「おき」(チュウ)

垣「かき

柿「かき

茎「くき」(ケイ)

先「さき」(セン)

崎「さき」(キ)

隙「すき」(ゲキ)

関「せき」(カン)

滝「たき

月「つき」(ガツ、ゲツ)

時「とき」(ジ)

軒「のき」(ケン)

牧「まき」(ボク)

巻「まき」(カン)

匹「ひき」(ヒツ)

雪「ゆき」(セツ)

脇「わき」(キョウ)

 

奥「おく」(オウ)

枠「わく」 ※国字

 

厚「あつ」(コウ)

且「かつ

靴「くつ」(カ)

竜「たつ」(リュウ)

筒「つつ」(トウ)

夏「なつ」(カ)

初「はつ」(ショ)

松「まつ」(ショウ)

 

市「いち」(シ)

内「うち」(ナイ)

口「くち」(コウ)

幸「さち」(コウ)

土「つち」(ド・ト)

栃「とち」 ※国字

後「のち」(ゴ、コウ)

蜂「はち」(ホウ)

縁「ふち」(エン)

淵「ふち」(エン)

町「まち」(チョウ)

街「まち」(ガイ)

道「みち」(ドウ)

餅「もち」(ヘイ)

 

 

(ivy 松村)

 

「音読み」の話①

漢字の音読みは、基本的に「一音節」です。

 

たとえば、以「イ」、呂「ロ」、波「ハ」、似「ニ」…というように、漢字の音読みの発音は、ひとつの「母音」を基準にしています。

 

 

漢字の中には、音読みの発音が「二重母音」のものもあります。

しかし、一般的には、「二重母音」は「一音節」として数えますので、これらはやはり「一音節」の漢字ということになります。

 

 

◎「二重母音」の音読みの漢字の例:

 

藍・愛「アイ」、英・永「エイ」、王・桜「オウ

会・回「カイ」、空「クウ」、計・系「ケイ」、甲・項「コウ

再・最「サイ」、水・酔「スイ」、数・枢「スウ」、正・政「セイ」、層・双「ソウ

体・帯「タイ」、対・追「ツイ」、通・痛「ツウ」、帝・亭「テイ」、塔・党「トウ

内「ナイ」、寧「ネイ」、能・脳「ノウ

灰・肺「ハイ」、封・風「フウ」、兵・塀「ヘイ」、報・邦「ホウ

毎・枚「マイ」、明・命「メイ」、毛・網「モウ

唯・遺「ユイ」、有・憂「ユウ」、用・様「ヨウ

来・雷「ライ」、類・累「ルイ」、令・礼「レイ」、郎・老「ロウ

歪・賄「ワイ

 

外・街「ガイ」、偶・宮「グウ」、芸・迎「ゲイ」、号・郷「ゴウ」

在・材「ザイ」、随・隋「ズイ」、税・勢「ゼイ」、象・蔵「ゾウ」

台・題「ダイ」、泥「デイ」、堂・銅「ドウ

倍「バイ」、米「ベイ」、棒・某「ボウ

 

九・旧「キュウ」、凶・京「キョウ

週・州「シュウ」、将・賞「ショウ

中・注「チュウ」、丁・腸「チョウ

乳・柔「ニュウ」、尿「ニョウ

票・豹「ヒョウ

妙・名「ミョウ

竜・流「リュウ」、両・量「リョウ

 

牛「ギュウ」、行・凝「ギョウ

銃・重「ジュウ」、情・条「ジョウ

謬「ビュウ」、秒・病「ビョウ

 

 

 

また、語末が「ン」の発音となっている音読みの漢字もあります。

しかし、語末の「ン」は、それのみを「音節」にカウントしないことになっているので、やはりこれらの漢字も「一音節」の音読みの漢字ということになります。

 

 

◎音読みの語末が「ン」となる漢字の例:

 

安・暗「アン」、印・院「イン」、運・雲「ウン」、演・円「エン」、音・恩「オン

感・勘「カン」、金・菌「キン」、訓・君「クン」、県・件「ケン」、紺・根「コン

三・算「サン」、真・進「シン」、寸「スン」、線・栓「セン」、損・尊「ソン

単・丹「タン」、珍・陳「チン」、点・天「テン」、豚・頓「トン

難・南「ナン」、任・忍「ニン」、年・念「ネン

判・班「ハン」、品・貧「ヒン」、分・墳「フン」、辺・変「ヘン」、本・奔「ホン

万・満「マン」、民・眠「ミン」、面・綿「メン」、門・紋「モン

乱・蘭「ラン」、林・輪「リン」、連・恋「レン」、論「ロン

湾・椀「ワン

 

岸・癌「ガン」、銀・吟「ギン」、軍・郡「グン」、玄・現「ゲン」、権、言「ゴン

残・斬「ザン」、陣・仁「ジン」、全・善「ゼン」、存「ゾン

段・団「ダン」、伝・田「デン」、鈍・呑「ドン

番・晩「バン」、瓶・便「ビン」、文・聞「ブン」、弁・便「ベン」、盆、凡「ボン

 

旬・駿「シュン

順・準「ジュン

 

 

(ivy 松村)