平成31年度 高校入試志願傾向分析②

近年の私立大学附属校の「志願傾向」は、慶應義塾高校の入試日の変更に大きな影響を受けました。

 

慶應義塾高校は、もともとは2月13日を試験日としていましたが、神奈川県立高校の試験日変更の余波を受けて、→2月12日に変更され、その後→2月10日となりました。

 

今、とっさにこれを「ケイオウギジュクの大移動」と名付けましたが、この「ケイオウギジュクの大移動」が、近年の他の私立附属校の男子の倍率の乱高下を引き起こしました。

 

 

数年前には、上位の私立附属校を狙う男子の受験生は、以下のような受験パターンを組むことができました。

 

 

2月1日  立教新座

2月7日  慶應志木1次

2月9日  早稲田大学本庄高等学院1次

2月10日 早稲田実業

2月11日 (慶應志木2次)or 早稲田大学高等学院

2月12日 明治大学付属明治 or 青山学院

2月13日 慶應義塾1次

2月14日 (早大本庄2次)

2月16日 (慶應義塾2次)

 

 

「慶應」は、他の高校の「併願校」になるのを嫌うので、慶應志木は早大学院の試験日にあたる2月11日に、2次試験をぶつけます。

 

そして、慶應義塾は国立附属校の試験日である2月13日にぶつけていたわけですが、私立附属志望の受験生にとっては、2月13日はむしろ都合がよかったといえます。

他の私立附属と競合しない日程だったからです。

 

慶應義塾の入試は、附属志望の受験生にとって、入試シリーズ最後の「ラスボス」に挑むという趣向があったわけです。

 

 

ところが、神奈川県の高校受験の事情によって、慶應義塾は2次試験の日程を前倒しする必要に迫られます。結果、慶應義塾の1次試験が2月12日に変更となります。

 

そのインパクトの直撃に見舞われたのが、明大明治、青山学院、そして明大中野といった2月12日を試験日とする私立附属校でした。

 

これらの高校は、一時的に応募者数を減少させます。

が、慶應義塾が平成29年度に再度試験日をスライドさせたことによって、応募者数を回復しました。

 

 

 

○過去4年の慶應義塾、明大中野、明大明治、青山学院の受験応募者数

 

 

31年 30年 29年 28年
慶應義塾 1336 1386 1164 1779
明大中野 1056 1026 1006 861
明大明治 462 463 456 275
青山学院 411 422 343 331

 

 

 

29年度から、明大中野と明大明治の応募者数が大きく増加しています。

ちょうど、明治大学の人気が上昇していることが話題となっていた時期でもあったので、2つの明治大学の付属校の応募者数の増加は、大学人気が高校受験に波及したものであるという分析も見られました。

 

しかし、この2校の応募者数が再び増加した直接の原因は、慶應義塾の入試日の変更であるといえます。慶應義塾との「競合状態」が解除されたために、再び応募者数を増やすことができたわけです。

 

 

 

明治付属の2校に対し、青山学院は応募者数が増加に転じるまで1年の「タイムラグ」があります。青山学院の応募者数が増加するのは、平成30年からです。慶應義塾が入試日をずらして2月12日を退いた翌年です。

 

これは、キリスト教プロテスタントの学校である青山学院の事情が関係しています。

 

平成29年は、青山学院の従来の試験日である2月12日が「日曜日」だったのです。

 

キリスト教の「教義」にもとづき、青山学院はこの年、「安息日」とされる日曜日の入試実施を避け、試験日を2月11日にずらしました。

 

そのため、慶應志木の2次、早大学院、明大八王子、中大高などの試験日と競合することになってしまったのです。

 

平成30年度になって、青山学院の試験日は従来の2月12日にもどります。

これによって、早慶の有力校との「競合状態」が解除され、ようやく応募者数が増加することになったわけです。

 

 

中学入試では、プロテスタント系の学校が日曜日を忌避して試験日をずらす措置をとることがよく知られています。いわゆる「サンデーショック」と呼ばれるものです。

 

高校入試でも、「同様の状況」が起こります。

特定の高校が試験日をずらすために、ある年だけ、特別な併願が可能となったり、逆に、併願が不可能となったりするわけです。

 

高校受験では、青山学院や明治学院の附属校、そして、国際基督教大学高校(ICU)。これらの高校が日曜日を避けて試験日を移動させる年は、「志願傾向」に変化がもたらされます。

 

本年度は、2月10日が日曜日でした。したがって、例年この日を試験日とするICUが日程をずらしました。本年度のICUの入試は2月10日ではなく、2月11日に実施されました。

後述する通り、本年度の高校入試は、ICUの試験日変更に少なくない影響を受けています。

 

 

 

ところで、平成29年度に青山高校が試験日を2月11日に移動させたことは、明治大学のもうひとつの付属校、明治大学中野八王子高校の「志願傾向」を翻弄させることになりました。

 

 

○過去4年の明治大学中野八王子高校(男子)の受験応募者数

 

31年 30年 29年 28年
明八 239 325 228 303

 

 

 

29年度に応募者数が減少し、30年度に増加、そして本年度31年度に減少していることがわかります。

 

まずは、「隔年現象」で説明できるでしょう。

 

そして、29年度の応募者数の減少は、青山学院が明八と同日の試験日である2月11日に移動してきたことも要因のひとつであるといえるでしょう。「お互い」が応募者を奪い合った結果、両校ともに応募者数を減少させたわけです。

 

30年度は、青学が試験日を2月12日に戻したために、明八の応募者は再び増加しました。

 

また同時期に、国立大学の「入試改革」の不透明さなどを要因として、私立附属の人気がにわかに高まったことも、「追い風」となりました。

明八をはじめ、いくつかの私立附属校は推薦入試の応募者を増加させました。

 

 

推薦入試は、「入学のしばり」をともなう受験です。

したがって、推薦入試の応募者の増加は、その高校に必ず入りたい、という「受験熱」の高まりを示しています。つまり、人気の上昇を示唆する「計測機」とみなすことができるわけです。

 

ただし、明八の場合は、少し特殊な事情も作用しています。明八の推薦入試の受験者は、不合格になっても、一般入試での「加点」が得られます。推薦入試の「基準」が比較的ゆるいわりに、一般入試での「メリット」は存外に大きいわけです。

 

推薦入試の応募者が急増したことによって、「加点」を持った一般入試の受験者の割合が高まりました。そのため、明八の昨年度の一般入試は、近年にない激戦となりました。

 

今年31年度は、前年の激戦ゆえに回避傾向が生じて、明八は応募者を減少させました。

 

 

そして、明八の本年度の応募者の減少には、他校の「試験日の移動」も影響していると考えられます。

 

すなわち、本年度は2月10日が日曜日となったことで、2月11日にICUとの競合が生じたわけです。今度は、明八とICUとの間で応募者の奪い合いが起きたのです。

 

 

 

東京と神奈川の入試日は、2月10日、11日、12日の3日間に集中しています。

 

私学の取り決めで、10日より前に試験日を設定することはできないので、10日に入試を行えないときには、試験日を11日に遅らせることになります。

 

また、12日に入試が行えないときには、試験日を11日に前倒しすることになります。13日では、国立附属高校の試験日と重なってしまいます。また、14日の神奈川県立高校の試験日、都立高校の志願変更日などとの兼ね合いから、試験日を「後ろ」にずらしてしまうと、受験者の試験日程を圧迫し、募集に影響が出てしまいます。

 

そのため、ある年の日曜日が、2月10日か12日に重なった場合に、11日に「例年にない競合」が生じてしまい、同日に試験を行う高校の募集が低調になってしまうことがあるわけです。

 

2月11日に試験日を設定している中央大学高校も、やはり明八と同様に、29年度に応募者数を減らし、翌年に増加するという推移をたどっています。

 

 

 

さて、話を戻して、慶應義塾ですが、平成29年度、試験日を2月10日に移動します。

この変遷によって、高校受験の「地図」がさらに塗り替えられることになりました。

 

「ケイオウギジュクの大移動」が、高校受験を激しく揺さぶったのです。

 

 

○過去5年の慶應義塾、早稲田実業、中央大学附属、中央大学杉並の受験応募者数

 

 

31年 30年 29年 28年 27年
慶應義塾高 1336 1386 1164 1779 1732
早稲田実業 691 538 660 996 1115
中央大附属 552 391 331 435 364
中央大杉並 552 465 481 530 536

 

 

 

2月10日は例年、早稲田実業、中央大学附属、中央大学杉並などの試験日となっています。

 

平成29年度、慶應義塾が2月10日に「参戦」してきたために、試験日が競合するこれらの私立附属校は応募者数を減少させました。同時に、慶應義塾自身も、応募者を大幅に失いました。

 

特に大きな打撃を受けたのが早実でした。

27年度を基準として見ると、29年度は、約4割減です。翌30年度もさらに応募者数を減らし、3年で、応募者が半減しました。

 

今年31年度は、早実、中附、中杉が応募者数を伸ばしています。

 

もちろんこれは、直前の2年間の応募者数の低迷、ひいては倍率の低下に触発されたものです。

 

また、同時に、やはり「試験日の移動」という要因も考慮しなくてはなりません。

今年は、ICUが2月10日を回避しています。

 

そのため、2月10日にICUを受けるはずだった受験生は、「別の高校」に応募することになるわけです。

 

ICUと同ランクに位置づけられるMARCH附属校や、倍率の低下した早実への応募者が増加しました。

 

 

 

また、単純に私立附属高の人気が高まりから、これらの高校の応募者が増えました。

特に、推薦入試を受けやすい中附は、推薦入試の応募者を著しく増加させました。

 

 

ただし、注意しなければならないのは、「私立人気」は、現時点では「限定的な範囲」に留まっているという点です。

 

2月10日を試験日とする私立の進学校、つまり、「附属」ではない開成、桐朋などの応募者数に大きな変化は見られません。

また、東京東部の都立難関高校、日比谷、戸山、青山の男子の応募にも変化は見られません。

 

一方、西部の都立難関高校、八王子東、立川、西などは応募者数を減らしています。

 

したがって、東京都西部の、従来都立難関校を第一志望としていた「受験層」が、私立附属校へと流れていると考えられるわけです。

 

 

あとは、日大系の高校の動向も考慮する必要がありそうです。

現時点ではデータが乏しくてわかりませんが、「チャレンジ」をする受験生が増えているのかもしれません。

 

 

それから、近年は2月10日、11日、12日が「とっ散らかってしまった」ので、特に男子は「前受験」から入る王道の受験パターンを組む受験生が増えているように思います。

そのため、立教新座や慶應志木の応募者も増加傾向にあります。

 

 

 

この2、3年、明治大の付属校の応募者数の増加が目立ちました。一昨年は青学。本年は、中附と中杉。そして、去年と今年だけを見ると、早実の応募者数も増加しているわけです。

 

しかし、ここまで見てきたように、試験日の変更など、さまざまな要因が重なって「志願傾向」は変化します。

 

「相対的な分析」をしなければ、入試の実像をより鮮明に見ることはできません。

 

 

 

ところで、本稿で取り上げた私立大附属高校のうちのいくつかの学校は、この15年ほどの間に中等部の設置や共学化などの「改革」を行ってきました。

その度に、応募者数の増減、または倍率の上昇、下降が起こり、年度によって合格難易度に「ギャップ」が生じました。

 

しかし、傾向としては、私立大附属高校の受験は年々緩やかに敷居を下げ続けているといえます。

 

10年、20年のスパンで見ると、応募者数は減少しているからです。それにともない、倍率も低下傾向にあります。

 

 

例えば、慶應義塾の応募者数は平成22年度では2041人です。

したがって、当時と比較して本年度はおよそ700人もの応募者数を減らしています。

 

早大学院は、かなり古くなりますが、中学設置前の平成15年では2697人です。

したがって、当時と比較して本年度はおよそ1000人もの応募者数を減らしています。

 

中附も、中学設置前の平成15年の応募者数は男女合わせて1651人です。

したがって、当時と比較して本年度はおよそ800人もの応募者数を減らしています。

 

明大明治は平成20年度、共学化にともない男女合わせて1206人です。

したがって、当時と比較して本年度はおよそ400人もの応募者数を減らしています。

 

 

 

さらに、この10年ほどの間に都立の上位進学校の「復権」が進んだことで、学力上位層が都立に集まるようになりました。

 

昨年から今年にかけて私立附属校が応募者を増やしつつあるのは、その風向きが少し変わってきた、という部分もあるのだろうと思います。

 

これはセンター試験にかわる「新テスト」の導入など、大学受験に対する「不安要素」への懸念から、私立に「避難」する傾向が強まったためです。その中で、「私立志向」を高める直接の引き金となったのは、私立大学の「定員の厳格化」でした。

 

 

文部科学省から「指導」が入るまで、私立の大学受験において、ある意味で合格が「安売り」されていたわけです。

そのため、近年は、上位の学力層にとって早慶MARCHは「大学受験から入るのが最も容易である」という状況が生まれていたのです。

 

そういうわけで、都立に進学して大学受験を目指すほうが、より多くの可能性を残すことができると考えられたわけです。また、大学受験のほうが、いわゆる「コスパ」がいいという判断があったわけです。

 

 

「今の流れ」が続くようであれば、今後はおそらく、高校受験、なかでも推薦入試が見直されることになるのかもしれません。

 

ただ、「本線」の国立大学の入試制度改革が軟着陸しそうなので、まだちょっと読めない部分があります。

 

 

都立高校の場合は、 むしろ、東京都教育委員会に注視する必要があります。

教育庁は、中長期的には、都立高校を「スポイル」してしまうでしょう。

「都立高校改革」とか、あれ、無茶苦茶になりそうな予感しかしません。リリースなどを読んでみると気づきますが、「彼ら」は、大学進学実績とか、どうでもいいと思っています。

 

 

 

いずれにしろ、自校作を受けることを考えている生徒は、私立の上位附属校の受験を想定した勉強をしていくほうがよいと思います。

これは前々からこのブログでも述べてきたことですが、学力上位の生徒であればあるほど、都立と私立を切り分けて、どちらかだけに絞った受験勉強をしていくのはいろいろな意味で非合理だと思います。

 

ただ、結局「中途半端」になってしまうのも危険です。塾の先生などに相談しながら、より良い準備を進めていくようにしましょう。

 

 

 (ivy 松村)

 

 

 

 

平成31年度 高校入試志願傾向分析①

昨年度の高校入試は、いくつかの私立大学附属校の倍率が上昇しましたが、本年度はやや沈静化しています。

 

ただ、東京都西部というか、都下というか、多摩地区というか、「この辺」の「私立志向」はまだ脈動している状態です。

 

しかし、まあ、10年前には、いずれの附属校も現在よりも数百人多く応募者を集めていたわけです。「当時の水準」に立ち戻るためには、まだ、いくつかの「起爆剤」が必要かもしれません。

 

今後の高校受験、そして大学受験の「動向次第」では、再度「私立志向」が加速するかもしれません。しかし同時に、小康状態に陥りそうな気配もあります。

 

 

 

東京都東部と西部とでは、少し「温度差」があります。

 

これは、ひとつは「地域性」によるものです。

それから、もうひとつ、「情報」の差が作用しているかもしれません。

 

 

東部では、附属校よりも、進学校→国立大受験というルートへの「信頼感」が維持されています。

 

大学受験の「全体像」が明らかになるにつれて、不安感が払拭されつつあるからです。

 

そもそも、国立大学に対する「思い入れ」というのか、「意欲」というか「信念」というか、ともかく何かそういうものが、西部よりも強くあるのかもしれません。

 

一方、西部は、相対的に、「安全志向」が作用して、都立よりも私立の附属の人気がやや高まっているという印象を持ちます。

 

また、私立大学附属校が西部に集中しているという地理的な条件も、「私立志向」が醸成される大きな要因のひとつです。

 

 

 

過去3年の進学指導重点校の受験者数を見てみましょう。

 

まずは男子です。

 

 

○進学指導重点校7校の過去3年間の受験者数の推移:男子

 

31年度 30年度 29年度
日比谷 258 237 254
戸山 268 265 237
青山 247 262 225
西 191 230 225
八王子東 159 191 170
立川 200 235 201
国立 202 198 185
 合計 1525 1618 1497

 

 

 

昨年から今年にかけて、7校全体では、受験者数が減少しています。

 

では、東部3校と西部4校に分けて、確認してみましょう。

 

 

○東部3校

 

31年度 30年度 29年度
日比谷 258 237 254
戸山 268 265 237
青山 247 262 225
合計 773 764 716

 

 

○西部4校

 

31年度 30年度 29年度
西 191 230 225
八王子東 159 191 170
立川 200 235 201
国立 202 198 185
 合計 752 854 781

 

 

東部の3校は受験者数が増加しています。

一方、西部4校は減少しています。

また、本年度、東部3校の受験者数の合計は、西部4校の合計を上回っています。

 

 

 

次に女子です。

 

○進学指導重点校7校の過去3年間の受験者数の推移:女子

 

31年度 30年度 29年度
日比谷 223 219 214
戸山 223 198 212
青山 235 230 224
西 172 167 183
八王子東 158 181 164
立川 183 188 177
国立 190 221 176
 合計 1384 1404 1350

 

 

 

やはり昨年から今年にかけて、7校全体の受験者数は減少しています。

 

東部3校と西部4校はどうでしょうか。

 

 

○東部3校

 

31年度 30年度 29年度
日比谷 223 219 214
戸山 223 198 212
青山 235 230 224
合計 681 647 650

 

 

○西部4校

 

31年度 30年度 29年度
西 172 167 183
八王子東 158 181 164
立川 183 188 177
国立 190 221 176
 合計 703 757 700

 

 

男子と同様に、昨年と比べて、東部3校は増加、西部4校は減少となっています。

 

 

 

男子、女子ともに、東京都東部では、都立の最上位進学校の人気は維持されていますが、西部には陰りがみられます。

西部のトップ層の受験生の何人かは、私立附属校に流れているとみられます。

 

ただし、これにはもう少し詳細な分析が必要です。

私立附属校の応募者数のデータなどを見てみると、思われているよりも、応募者が増えているわけではありません。

「私立志向」が膨張しているのは、むしろ、中堅~下位の私立高校です。

 

 

 

東西のグループ分けをする際に、西高をどう位置づけるべきか、というのはちょっと難しいところです。

 

男子は「減」、女子は「微増」でした。

 

男子の応募者の減少は、「大学合格実績」の影響です。昨年の実績で、西は国立に抜かれました。

西と国立は、立地的に募集が競合します。

そのため、本年度、男子の応募者が西から国立へ流れました。

 

 

一方、西高の女子は、本年度はやや受験者数を増やしましたが、近年、低倍率が固定化され、「隔年現象」が発動されなくなっています。

女子も、西の応募者を国立が吸収していると考えられます。

 

西高を西部に組み込んだのは、「全体」の傾向をとらえるために、西と国立の関係を考慮する必要があると感じたからです。

 

 

 

西部4校の中で、国立の男子は唯一、受験者数を維持しています。

上記のように、西高から応募者を奪っているためですが、それだけでなく、立川、八王子東から、応募者を吸引しています。

 

多摩地域全体でみると、国立の「一強体制」が築かれつつあるといえると思います。

 

 

特に八王子東は、大きな「反作用」を被っています。

男子、女子ともに募集が低調となり「最優秀層」を集めることができなくなっているために、大学合格実績が下降しています。そうなると、さらに募集が低調にならざるを得ません。「負のスパイラル」に陥りつつあります。

 

 

 

少し話がそれますが、八王子東を「蘇生」させるためには、教育委員会の「支援」が必要だと思います。学校単体の取り組みだけでは、なかなか再浮上は難しいと思います。

 

 

戸山高校の人気を上昇させた「チームメディカル」という取り組みは、東京都教育委員会の主導で導入されましたが、八王子東にも導入してみたらどうなのだろうと思ったりします。

 

それから、これは文部科学省の案件ですが、現在まだ、「SGH」(スーパーグローバルハイスクール)に指定されている都立高校はありませんが、できるのであれば、八王子東を「推薦」してもらいたいと思ったりします。

 

それから、地の利を生かして、首都大ともっと連携を深める制度を取り入れてみたり。

首都大への「進学枠」を増やしたり。

 

などなど。

 

 

 

八王子東は、確か10年ほど前にも、倍率がとても低くなっていたときがありました。

ちょっとハラハラしながら見守っていたのですが、入ってきた生徒を鍛え上げて送り出し、大学進学実績を落とさなかったのです。

 

私は、八王子東は、「きちん」としている素直な子を、真っすぐに伸ばしていく高校というイメージを持っています。

 

八王子東の強みを活かせるような、積極的な変革が求められていると思います。

 

 

 

 

(ivy 松村)

 

平成30年度の志願変更

G7(進学指導重点校)の志願変更の状況を詳しく見てみましょう。

 

 

まずは、男子です。

 

 男子 倍率 2/7 取下 再提出 2/15 倍率 増減
日比谷 2.38 314 11 10 313 2.37 -1
西 2.09 276 14 10 272 2.06 -4
戸山 2.52 332 22 6 316 2.39 -16
青山 2.01 300 22 26 304 2.04 4
国立 1.75 231 18 7 220 1.67 -11
八王子東 1.67 220 24 9 205 1.55 -15
立川 1.98 261 18 21 264 2.00 3

 

 

 

次に、女子です。

 

 

 女子 倍率 2/7 取下 再提出 2/15 倍率 増減
日比谷 2.05 250 18 11 243 1.99 -7
西 1.48 181 8 7 180 1.48 -1
戸山 1.84 224 17 10 217 1.78 -7
青山 1.86 255 12 8 251 1.83 -4
国立 2.00 244 23 6 227 1.86 -17
八王子東 1.55 189 10 7 186 1.52 -3
立川 1.60 195 14 16 197 1.61 2

 

 

 

「数字」に大きな変化がなかったようにみえても、実は、「取下げ」と「再提出」が活発に行われていた高校があることがわかります。

 

特に、青山と立川の男子です。

 

両者とも志願変更前に約2倍の倍率を示していました。

 

したがって、「再提出」をした人員は、高倍率の受験を覚悟している受験生です。

つまり、その多くが「上から」の「流入」だと考えられるわけです。

 

もちろん、その中には、存外の私立入試の結果が得られたために、「上げてきた」受験生もいるはずです。

 

いずれにしても、「再提出」をしてきた新手は、「手ごわい相手」です。

 

 

日比谷の男子や西の女子も、ほぼ同数の「入れ替え」がありました。

 

 

「数字」に大きな変化がなかったとしても、競争相手は入れ替わり、静かに、戦いはよりハードなものになっているのです。

 

 

気を引き締めていきましょう。

 

 

(ivy 松村)

 

 

平成30年度都立高校最終応募倍率

都立高校の最終応募状況が明らかになりました。

 

 

G7(進学指導重点校)を見て見ましょう。

 

 

まず、倍率の比較です。

 

 男子

本年 昨年

 女子

本年 昨年
倍率 倍率 倍率 倍率
日比谷 2.37 2.47 日比谷 1.99 2.03
戸山 2.39 1.89 戸山 1.78 1.71
青山 2.04 1.98 青山 1.83 2.08
西 2.06 1.96 西 1.48 1.72
八王子東 1.55 1.34 八王子東 1.52 1.39
立川 2.00 1.67 立川 1.61 1.50
国立 1.67 1.57 国立 1.86 1.54

合計

2.01 1.84

合計

1.73 1.71

 

 

 

次に応募者数の推移を見てみましょう。

 

 

 男子 本年 昨年 増減  女子 本年 昨年 増減  
日比谷 313 326 -13 日比谷 243 248 -5  
戸山 316 282 34 戸山 217 233 -16  
青山 304 258 46 青山 251 250 1  
西 272 259 13 西 180 208 -28  
八王子東 205 177 28 八王子東 186 168 18  
立川 264 220 44 立川 197 182 15  
国立 220 207 13 国立 227 186 41  

合計

1894 1729 165

合計

1501 1475 26  

 

 

 

男子の応募者数は、昨年度に比べ、グループ全体で165人増加しています。

倍率は、1.84から、2.01に上昇しています。

 

女子の応募者数は、昨年度に比べ、グループ全体で26人増加しています。

倍率は、1.71から1.73に微増しています。

 

 

男子は、日比谷以外の高校の応募者が増えました。

特に、青山、立川、戸山の応募者が増加しています。八王子東も昨年比で大きく応募者を増やしました。

 

男子は、「チャレンジ」の出願が増えているようにも思えますが、もしかすると、私立との併願が活発化していることが原因かもしれません。

 

今後、入試の「欠席率」を確認することで、本年度の「受験動向」をより詳細につかむことができます。

 

 

女子は、「グループ全体」の状況は昨年と大きく変動はありませんが、「区部」と「多摩地区」で、受験動向に「違い」がみられます。

日比谷、戸山、青山、西の4校の応募者は昨年と比べて減っているのに対し、八王子東、立川、国立の応募者は増えています。

 

グループ内では、西高から国立へ人員の「流出」がみられます。

西の女子は、近年、いわゆる「隔年現象」にはまっているようです。

 

 

 

本年度の志願変更の状況を見てみましょう。

 

 

男子 増減 2/15 2/7 倍率  女子 増減 2/15 2/7 倍率
日比谷 -1 313 ←314 2.37 日比谷 -7 243 ←250 1.99
戸山 -16 316 ←332 2.39 戸山 -7 217 ←224 1.78
青山 4 304 ←300 2.04 青山 -4 251 ←255 1.83
西 -4 272 ←276 2.06 西 -1 180 ←181 1.48
八王子東 -15 205 ←220 1.55 八王子東 -3 186 ←189 1.52
立川 3 264 ←261 2.00 立川 2 197 ←195 1.61
国立 -11 220 ←231 1.67 国立 -17 227 ←244 1.86

合計

-40 1894

←1934

2.01

 合計

-37

1501

←1538

1.73

 

 

 

男子は、戸山、八王子東、国立から、人員が「流出」しています。

女子は、国立が「-17」となっています。

 

日比谷、西の二強には、大きな動きはありませんでした。

 

 

 

戸山の男子は、高倍率を嫌って、「流出」が起こっています。

 

本年度の戸山の高倍率の要因は、ひとつは、昨年よりも応募人数が減らされたことによるものです。さらに、昨年度の合格実績、とりわけ現役の合格状況の良さが訴求力となって、志願者を集めました。また、スーパーサイエンスハイスクール指定校、チームメディカルといったプロジェクトなど、進学指導体制の充実が信頼感を高めました。

 

一方、戸山の女子は、昨年に比べて倍率は微増していますが、応募者数は減少しています。

 

 

国立は、昨年度、目覚ましい大学合格実績をあげました。

本年度、多くの志願者がひきつけられましたが、高倍率を敬遠して、男女ともに人員が「流出」しています。

 

 

八王子東も、耳目を集める大学合格実績が要因となって、応募者を増加させました。

しかし、男子の倍率が例年に比べて高かったこともあって、志願変更による「流出」を招きました。

 

 

 

多摩地区にフォーカスして、本年度の応募状況を整理してみましょう。

 

八王子東の応募者が増加し、男女ともに倍率が1.5以上になりました。

 

八王子東、立川、国立の3校を比較すると、男子の人気は立川、女子の人気は国立に集まっています。

 

また、3校ともに応募者数を増やしています。

昨年に比べて男子が「+85」、女子が「+74」です。

 

特に女子は、区部の4校と比べて、大きな変化がありました。

区部の4校の応募者数は、昨年と比べて「-48」となっています。

区部では、依然として「慎重な出願」が基調となっています。

 

それに対し、多摩地区の3校は大きく応募者を増やしています。

 

 

 

志願変更は、一部、「再提出」を行わない者が出てくるので、「全体」としては「流出」が多くなりますが、ほとんどの受験生は、いったん「再提出」を行います。

 

志願変更は、より合格可能性の高い「下位」の学校に受験校を変更する受験生のほうが多いので、「最上位」の高校群からの「流出」は、相対的に活発になります。

 

人員の「流出」の状況をもう少し詳しく見てみましょう。

 

 

 男子 倍率 増減  女子 倍率 増減  
国立 1.67 -11 国立 1.86 -17  
立川 2.00 3 立川 1.61 2  
八王子東 1.55 -15 八王子東 1.52 -3  
国分寺 1.60 6 国分寺 1.60 3  
武蔵 1.65 -11 武蔵 1.52 15  
武蔵野北 1.46 0 武蔵野北 1.67 -12  
小金井北 1.92 -29 小金井北 1.82 -5  
町田 1.36 5 町田 1.53 7  
調布北 1.55 37 調布北 1.42 12  
多摩科技 1.87 1 多摩科技 1.87 -2  
日野台 1.56 18 日野台 1.33 10  
昭和 1.79 -17 昭和 1.79 -12  
南平 1.77 -7 南平 1.72 -8  

 

 

 

男子は、国立、八王子東、武蔵などから「流出」した人員は、低倍率を示していた調布北、日野台に吸収されました。

 

女子は、国立や武蔵野北から武蔵、町田、または調布北、日野台に「流出」しているようです。

 

本年度は、倍率が高い高校から低い高校へ、積極的な志願変更がみられました。そのため、「全体」の倍率が一定の範囲に収束する傾向が強まりました。

 

 

 

ところで、「進学校」を考えるうえで、南平高校はひとつの「基準」たりえると思います。

 

南平高校を含めた上記の高校群は、応募者数を増やしています。

特に男子は顕著で、全体で231人の増加です。

 

一方、上記以外の旧7学区~旧10学区の高校は、その多くが応募者数を減少させています。

 

 

そのおもな要因を2つ挙げることができます。

 

ひとつは、生徒数の減少です。

もうひとつは、私立高校の「授業料軽減制度」です。「ここ」がこの制度の「ボリュームゾーン」になると思います。

 

 

 

本年度の中学の卒業予定者は、昨年に比べて1685人減っています。

また、志望校調査によれば、都立高校を志望する生徒の割合も減少していることが確認できます。したがって、相対的に私立高校を志望する生徒の割合が高まっていると考えられます。

 

都立高校入試の最終応募者の人数は、その数値に呼応した減り方をしていません。

つまり、都立高校の応募者数の減少は抑制されています。しかし、これは「出願」の数なので、「内実」よりも数字が大きくなります。

 

また、本年度は、私立入試の動向に大きな変化があったので、それがどう影響しているのか、という部分もあります。

 

 

さて、重要な点は、中学卒業予定者および都立志望者は減っているのに、上位校の応募者は増えているという点です。

 

これについては、少し時間をかけて考える必要があります。

 

 

 

それにしても、本年度は、ちょっと「難しい部分」がありました。

実は、その「一部」は「このブログ」なんですよね…。

 

自分が思っている以上に、受験動向に影響を与えているようです。

 

ある理由で、アクセスの解析を全くやっていません。一度も見たことがないのです。それで、どれくらいの人が読んでいるのかも知らないまま書き続けているのですが、自分が思っているよりも多くの人が読んでいるみたいです。ある程度「計算」していたつもりだったのですが、「予想」を上回っているようです。

 

ちょっと確かめてみようと、情報をコントロールしてみたのですが、どうも、やっぱり、そういう気がします。

 

 

それで、この記事もどうしようか考えながら書いてみたのですが、う~ん。

 

どうなんでしょう。

 

 

 

 (ivy 松村)

 

 

平成30年度都立高校の出願状況

都立高校の出願状況が公表されています。

 

 

進学指導重点校(G7)の状況を見てみましょう。

 

 

まず、男子です。

 

 

男子

倍率の推移 応募者数の推移
30年度 29年度 28年度 27年度 30年度 29年度 28年度 27年度
日比谷 2.38 2.48 2.61 3.29 314 328 347 437
戸山 2.52 1.95 2.36 2.90 332 290 314 386
青山 2.01 1.97 2.60 2.44 300 256 340 366
西 2.09 1.98 2.21 2.17 276 262 294 289
八王子東 1.67 1.15 1.40 1.44 220 152 186 192
立川 1.98 1.82 1.50 2.10 261 240 199 279
国立 1.75 1.52 1.93 2.15 231 200 257 286

合 計

2.06 1.84 2.09 2.36 1934 1728 1937 2235

 

 

 

次に女子です。

 

 

女子

倍率の推移 応募者数の推移
30年度 29年度 28年度 27年度 30年度 29年度 28年度 27年度
日比谷 2.05 2.15 2.39 2.46 250 262 289 298
戸山 1.84 1.68 2.06 2.31 224 228 247 277
青山 1.86 2.05 2.60 2.23 255 246 309 303
西 1.48 1.84 1.53 1.74 181 223 184 209
八王子東 1.55 1.40 1.61 1.48 189 169 193 177
立川 1.60 1.50 1.49 1.46 195 182 179 175
国立 2.00 1.59 1.93 2.00 244 192 231 240

合 計

1.77 1.74 1.94 1.96 1538 1502 1632 1679

 

 

 

本年度は戸山高校が1クラス減、青山高校が1クラス増でした。

したがって、グループ全体の募集人数は、昨年と比べて大きな変化はありませんでした(+2)。

 

 

男子の倍率と応募者数は、2年前の水準に回復しています。

女子も若干回復しました。

 

 

減少傾向にあった男子の出願者数が再び増加に転じた理由の1つは、各高校の「ボーダー」となる「内申基準」が明らかになってきたことです。

学校の説明会などで、受験者・合格者の得点や内申の分布などの資料が公開されています。

 

都立入試の制度変更後、慎重な出願が大勢を占めていましたが、「データ」が蓄積されたことで、「戦略的」な出願が可能になってきました。

 

 

もう1つの理由は、「自校作成」が復活したことで、入試問題の難化が想定されていることです。

「内申」が乏しい受験生の「逆転」の「可能性」が高くなったことで、「差し込み」の出願が増えていると考えられます。

 

 

さらに、私立を「本命」とする受験生が増えたことも理由の1つとなっているかもしれません。

私立を「本命」とする受験生は、都立で「大勝負」をすることができます。

私立進学が「本筋」なので、「強気」で都立の出願ができるわけです。

 

 

 

「志望校調査」と比較して倍率が上昇しています。

 

 

それは「推薦入試」という「ファクター」が関与することで引き起こされます。

 

「志望校調査」は、推薦入試と一般入試の「合計の定員」をもとにして倍率を算出しています。

そこから、「推薦入試合格者」を引いて再び計算をすると、志望者数が一定であっても、倍率は上昇するのです。

 

 

推薦入試の定員が30人、一般入試の定員が120人の高校を例にして考えてみましょう。

「合計の定員」は、150人です。

その高校に250人が志望しているとすると、倍率は250÷150=「1.67」になります。

これが、「志望校調査」の倍率です。

 

推薦入試の定員が30人なので、推薦入試後30人が合格します。

単純な計算をすれば、志望者数は250−30=220人となります。

 

今度は一般入試の倍率を算出するわけですが、倍率は、220÷120=「1.83」になります。

 

 

「志望校調査」の時点から、志望者数が変わらなくても、一般入試の倍率は自然に「上昇」するわけです。

 

これが、「志望校調査」と比べて「一般入試」の倍率が「上昇」する第1の理由です。

 

 

 

さらに、都立を第2志望以下に設定している受験生の出願が行われるため、「出願者」は「志願者」よりも多くなります。

これが、2つ目の理由です。

 

私立と都立の両方を受験することを考えている受験生のうち、私立を第一志望とする受験生は、当然ながら「志望校調査」における都立高校の志望者には含まれないわけです。

 

私立の一般受験をする受験生のうち、都立を受験パターンに組み込んでいる受験生は、都立の出願を行います。

ゆえに、「志望校調査」に反映されていない出願が加えられ、倍率が上昇します。

 

ただし、このうち、私立に合格した受験生は、入試を欠席するので、実質倍率は下降します。これは、特に日比谷高校に顕著です。

 

本年度の高校受験の「私立併願」の状況は、受検欠席のデータを分析することで、ある程度明らかになります。

 

 

 

「志望校調査」の志望者数・倍率と「出願状況」における出願者数・倍率を比べてみましょう。

 

 

まず、男子です。

 

 

出願状況 志望校調査
出願者数 倍率 志望者数 倍率 増加
日比谷 314 2.38 276 1.67 71
戸山 332 2.52 355 2.16 9
青山 300 2.01 245 1.48 71
西 276 2.09 293 1.79 15
八王子東 220 1.67 226 1.38 26
立川 261 1.98 289 1.76 4
国立 231 1.75 275 1.68 -12
 合 計 1934 2.06 1959 1.70 184

 

 

次に女子です。

 

 

出願状況 志望校調査
志望者数 倍率 出願者数 倍率 増加
日比谷 250 2.05 254 1.67 26
戸山 224 1.84 238 1.57 16
青山 255 1.86 237 1.56 33
西 181 1.48 202 1.33 9
八王子東 189 1.55 218 1.43 1
立川 195 1.60 210 1.38 15
国立 244 2.00 302 1.99 -28
 合 計 1538 1.77 1661 1.56 72

 

 

上の表の「増減」は、「志望者数」から「推薦入試の合格者数」を引いた数と、一般入試の出願者数を比べたものです。

・「志望校調査の志望者数」-「推薦合格者」=「一般入試に出願するはずの志望者」

・「実際に出願した人数」-「一般入試に出願するはずの志望者」

=「増減」(「志望校調査」時の志願者数と一般入試の出願者の人数差)

 

上の表では、日比谷高校の男子の「増減」は「71」になっています。

これは、「志望校調査時」に日比谷を第一志望としていない生徒が、「計算上」71人、日比谷高校に出願しているということを示しています。

 

 

 

男子に「変化」が大きく現れている高校があります。

 

日比谷は、国私立を第一志望とする受験生の併願が多いため、出願時に応募者が増えます。

 

青山は、「志望校調査」時の低倍率に吸引されて、出願者が増加しました。

同様に、八王子東も応募者を増加させています。

 

一方、国立は、高倍率を避けて撤退した人員が出ています。

 

 

 

女子は、戸山、青山、立川など、「志望校調査」で低倍率だった高校が人員を吸引しています。

 

一方、女子もまた、国立から志望者が流出しています。

 

西の女子の倍率は今のところ抑制されていますが、少し変化があるかもしれません。

 

八王子東は、「倍率」は上昇していますが、「増減」は実は1人増だけです。

八王子東の女子の例に見られるように、「志望者」が増えなくても一般入試の倍率は上昇します。

 

 

八王子東は、志願変更時に女子、男子ともに倍率をさらに上昇させるかもしれません。国立から、まだ人員が流れる可能性があります。

 

 

 

「出願状況」に変化を与えるものは、他にもあります。

 

それは、「推薦入試受験者の動向」です。

 

都内の高校の推薦入試を受ける受験生は、必然的に受験校を第一志望に設定することになりますが、都立高校の推薦入試が不合格だった受験生のうち、出願先を変更する受験生がいます。

 

また、合格の「確約」を出さない私立の推薦入試の不合格者のうち、一般入試の受験パターンに都立を組み込んでいる受験生は、都立高校に出願をします。

そのなかで、実際には積極的に都立への進学を考えている受験生もいるのだろうと思います。

 

本年度の私立高校受験の動向を知るには、もう少し時間が必要です。

 

 

 

本年度は、新宿高校、国分寺高校などが出願者数を減らしています。

したがって、「リスク」を負ってより上位校を狙おうという受験生が増えているのだろうと思われます。

 

 

 

最後に、「多摩地区」の本年度の「状況」を考えてみましょう。

 

 

日比谷、戸山、青山、西の4校と、八王子東、立川、国立の3校の2グループの出願者数を比べてみます。

 

 

 

まず、男子です。

 

30年度 29年度 28年度 27年度
日比谷 314 328 347 437
戸山 332 290 314 386
青山 300 256 340 366
西 276 262 294 289

4校計

1222 1136 1295 1478

 

 

30年度 29年度 28年度 27年度
八王子東 220 152 186 192
立川 261 240 199 279
国立 231 200 257 286

3校計

712 592 642 757

 

 

日比谷、戸山、青山、西の四校の男子の29年度の出願者数の合計は1136人です。30年度の出願者数の合計は1222人です。

したがって、昨年度と比べて、日比谷、戸山、青山、西の4校は、出願者を計86人増やしています。

一方、八王子東、立川、国立の3校の29年度の出願者数の合計は592人です。30年度の出願者数の合計は712人です。

したがって、昨年度と比べて、120人が増加しています。

 

とりわけ、八王子東の増加が顕著です。

 

 

 

次に、女子です。

 

 

30年度 29年度 28年度 27年度
日比谷 250 262 289 298
戸山 224 228 247 277
青山 255 246 309 303
西 181 223 184 209

4校計

910 959 1029 1087

 

 

30年度 29年度 28年度 27年度
八王子東 189 169 193 177
立川 195 182 179 175
国立 244 192 231 240

3校計

628 543 603 592

 

 

日比谷、戸山、青山、西の四校の女子の29年度の出願者数の合計は959人です。30年度の出願者数の合計は910人です。

したがって、昨年度と比べて、日比谷、戸山、青山、西の4校は、出願者を計49人減らしています。

一方、八王子東、立川、国立の3校の29年度の出願者数の合計は543人です。30年度の出願者数の合計は628人です。

したがって、昨年度と比べて、85人の増加です。

 

 

女子は、2つのグループの「差」がより鮮明にあらわれました。

 

 

 

本年度、私立、都立ともに多摩地区の受験の動向に、変化が生じています。

その要因について、ちょっと思いあたるところもあります。

 

 

しかし、まあ、今回は、このへんで。

 

(ivy 松村)

都立中学の志願傾向分析③

都立中の「入学辞退」のデータを見てみましょう。

 

まず、小石川、白鷗、両国、桜修館、富士、大泉、南多摩、立川国際、武蔵、三鷹の10校すべての都立中の「入学辞退者」の人数です。

 

 

年度 男子 女子 合計
29 31 48 79
28 47 55 102
27 43 41 84
26 55 52 107
25 66 55 121
24 36 56 92
23 42 46 88

22

52 46 98

 

 

 

本年度は、当初、「入学辞退者」の合計は87人であると発表されましたが、後日訂正が入りました。

小石川中の「入学手続人員」の報告に不備があったということです。

 

当初、小石川の「入学辞退者」は37人と発表されました。

しかし、これは誤りで、実際の小石川の「入学辞退者」は29人であるということです。

 

つまり、小石川中の「繰上げ合格者」は37人ではなく、29人だったわけです。

 

「入学辞退者」が出た場合、「補欠番号」の順に、「繰上げ合格」が出されます。「入学辞退者」の数は37人であると発表されていたので、「補欠番号」が37番以内であれば、必ず「繰上げ合格」になるはずだったのです。

ところが、「補欠番号」を得て待機していた受験生に連絡がこない…そこで、保護者が中学に確認をしたところ、「実際に入学手続を行った人数」と「発表された入学手続人数」が違っていたことが発覚したのだそうです。

 

報道によれば、このような「誤り」が起きたのは、「入学手続締切」の時間を過ぎてから手続に来た8人の入学を認めてしまったことが原因だということです。

 

 

どうやら、  記事の書き直しです。

 

 

しかし、ともかく本年度、全ての都立中の「募集人員」と「入学手続者」の「差」は、79人だったということになります。したがって、「入学辞退者」も79人だったということになります。

 

「別の観点」から言及するならば、79人の「繰上げ合格」があったわけです。

さらに言葉をかえて述べるならば、2月9日の合格発表以降、増えた合格者の数は、79人を超えることは、常識的には、あり得ないわけです。もし、そうではないとしたら、それは、多分、きっと、気のせいです。

 

 

 

本年度の、都立中の「入学辞退者」の内わけを見てみましょう。

 

 

小石川中等教育 11

9

26

20

37

29

白鴎高等学校附属 1 3 4
両国高等学校附属 8 3 11
桜修館中等教育 4 8 12
富士高等学校附属 0 0 0
大泉高等学校附属 2 3 5
南多摩中等教育 0 3 3
立川国際中等教育 1 3 4
武蔵高等学校附属 5 4 9
三鷹中等教育 1 1 2
 計 31 48 79

 

 

 

当初の発表から人数が減ったわけですが、それにしても、他の都立中に比べて、小石川の「入学辞退者数」がひときわ多いのがわかります。

 

小石川は、他の都立中とは一線を画した「ポジション」に座しています。

 

多くの入学辞退者が出るということは、人気が薄いということを意味しているわけではありません。

小石川中は、都内(首都圏)のトップレベルの私立(国立)中学と競合する「序列」に位置しています。

 

本年度、都立中の中でもっとも応募者数が多かったのが小石川です。

そして、もっとも「受験欠席」が多く、もっとも「入学辞退者」が多いのが小石川中なのです。

 

 

 

小石川中の「入学辞退者」の推移を見てみましょう。

 

 

年度
29 9 20 29
28 13 15 28
27 11 11 22
26 9 11 20
25 20 11 31
24 7 9 16
23 6 8 14
22 12 11 23
21 9 14 23
20 4 4 8

 

 

つぎに、武蔵中をみてみましょう。

 

 

年度
29 5 4 9
28 5 7 12
27 6 5 11
26 8 8 16
25 9 7 16
24 5 10 15
23 7 5 12
22 6 7 13
21 6 8 14
20 5 6 11

 

 

続いて、南多摩中です。

 

 

年度
29 0 3 3
28 5 1 6
27 4 3 7
26 3 4 7
25 2 1 3
24 1 8 9
23 5 1 6
22 5 0 5

 

 

 

3校の中で、南多摩の「入学辞退者」の少なさが目立ちます。

 

都立中全体で「入学辞退者」は減少傾向にあります。本年度、富士の0人、三鷹の2人は、大きな驚きをもたらしました。

 

例外的に小石川だけが多くの「入学辞退者」を出し続けています。

 

 

 

合格者が「入学辞退」をする理由を考えてみましょう。

 

①都立中入試の後で、より志望順位の高い私立中の合格が得られた

②最初から地域の公立中学に進むつもりだったが、「力試し」で受験し合格した

③合格したが、気が変わり、地域の公立中学に進学することにした

④都立中に合格したら進学するつもりでいたが、気が変わり、合格した私立中学に進学することにした

⑤「本命」の私立中学に進学が決まっていたが、「力試し」で受験し合格した

 

 

 

もっとも一般的で、「まっとう」な理由が①です。

 

 

都立中の進学実績が上がってきたことで、②や③を理由とする「入学辞退」は、もうほとんどみられなくなってきているのではないかと思います。

④も、都立中の評価が上がってきたので、少なくなっているはずです。

 

 

「入学辞退者」が減っているということは、進学するつもりがないのに入学試験を受ける受験生が少なくなってきているということが一因なのでしょう。

 

都立中は、「繰り上げ合格」による欠員の補充が行われるので、「入学辞退」をすることに精神的な負荷がかかりません。

ですから、志望校の合格を得た後で、ある種の「余興」として受験したり、塾の「要請」で受験したりする生徒がみられることがあります。

自分が合格して、「入学辞退」をしても、入学の権利を得る人数は変わらないので、「気楽」に入試を受けることができるわけです。

そうしたケースが減っているのでしょう。

 

(他方、たとえば、都立高校入試のような入試の場合は、「入学辞退者」の補充が行われません。ですから、入学の意志がないのに都立高校を受験し、「入学辞退」をすることは、モラルに反する行為であるといえますが、まあ、いるのでしょう。)

 

 

 

「入学辞退者」の減少は、全体としては、私立中受験を「本筋」としている受験生が、都立中を「本命」にする受験パターンを組むようになったことが原因ではないかと思います。

この傾向は、「東部」で強まっているように思います。

 

一方、「西部」では、「逆の状況」が進展しているのではないかという気がします。

つまり、「都立専願」の「受検生」が増えているのではないかと思われるわけです。

 

 

う~ん、どうなんでしょう。

 

 

 

小石川中と南多摩中の著しい対照性は、非常に興味深く思います。

 

東京都の都市機能の「重心」は、「東側」にあります。小石川中は、その中心に位置します。

 

一方、八王子市の南多摩中は、「その意味」で、東京の「エッジ」に位置します。

 

地理的な条件をベースとして形成される産業的、文化的、そして社会構造的な「文脈」が、受験の「状況」を規定しているわけです。

 

 

 

(ivy 松村)

 

 

都立中学の志願傾向分析②

「受験欠席」のデータについて、もう少し考えてみましょう。

 

前回の記事で示した3校のデータを比較してみると、南多摩の「受験欠席者数」が少ないことがわかります。

南多摩中は、自校を「本命」とする応募者が多く集まっているといえるでしょう。

 

八王子周辺で、適性検査型の入試を行う中学が増え、また、その受験者が増えているので、単純に、南多摩中と私立中を併願する受験生は増加しているのでしょう。

しかし、南多摩中と私立中を、「進学先」として「天秤」にかけている受験生が少ないことがわかります。

 

 

 

本年度の南多摩中の「受験欠席者数」は男女計15人です。武蔵はその倍以上となる36人、小石川はさらに倍以上の78人です。

 

南多摩より武蔵のほうが「私立中との併願」をしている受験生が多く、さらに小石川のほうが多いことがわかります。

 

 

 

注目したいのは、武蔵の「受験欠席者数」の推移です。

 

28年度は、男子、女子ともに「受験欠席者」が一時的に減少しています。

 

男子は27年度21人だった「受験欠席者」が28年度10人に減りました。

女子は15人から9人に減っています。

 

29年度の「受験欠席者」は再び増加し、27年度と同数になりました。

男子21人、女子15人です。

 

男子は、28年度、例年の半数以下にまで「受験欠席者」が減ったわけです。

これは、武蔵を「本命」とする受験生の割合が、この年、にわかに高まったことを意味しています。

 

 

進学校の募集は、大学合格実績に大きく影響されます。

特に男子は、「連動している」といってもいいでしょう。

「志願傾向」は、大学合格実績と対照させて分析、考察する必要があります。

 

 

武蔵は、年々順調に大学合格実績を伸ばして来ましたが、27年度は、いわゆる「踊り場」を抜ける、さらなる「ブレイク・スルー」がありました。

そのため、翌年の28年度に、難関大学を志す受験層の進学先として、武蔵の「評価」が高まったわけです。

 

つまり、武蔵への進学を優先に考える受験生の割合が増えたために、「受験欠席」が減少したわけです。

 

本年度は、さらに上位の私立(国立)を志望する受験生にとって、武蔵の併願受験が戦略的に「視野」に入ってきたために、再度「受験欠席」が増加したのだろうと思います。

 

 

 

しかし、武蔵の応募倍率は減少傾向にあります。

 

確認してみましょう。

 

 

    応募人数      応募倍率
年度 男子 女子 合計 男子 女子 合計
29 261 237 498 4.70 4.20 4.45
28 306 258 564 5.27 4.45 4.86
27 318 239 557 5.65 4.23 4.94
26 302 236 538 5.28 4.18 4.73
25 355 340 695 6.32 5.95 6.13
24 362 337 699 6.42 5.98 6.20
23 408 395 803 7.25 6.93 7.09
22 454 416 870 8.10 7.30 7.70
21 690 618 1308 12.05 10.97 11.51
20 864 913 1777 15.27 15.95 15.61

 

 

 

武蔵は、本年度、都立中のなかで、もっとも倍率が低い中学でした。

開校初年度の入試が15倍もの倍率だったことを考えれば、その下落幅の大きさに驚かずにはいられません。

男女合わせて、1200人以上も応募者を減らしています。

 

 

武蔵中は、問題の質、応募者の学力 、ともにハイレベルで、過酷な選抜になることが広く知られるようになり、都立中専願受験者の「敬遠」傾向が強まっています。

 

同時に、大学進学実績の伸長が著しく、難関私立中との併願受験をする受験生増えつつあります。

しかし、データからみれば、まだ、小石川との「差」がかなりあります。

 

小石川の応募者数は例年男女合わせて1000人程度で推移し、かつ、「受験欠席者」は武蔵の倍にのぼります。

 

 

武蔵中は、小石川中とともに、都立中の、双璧をなす最難関校に位置づけられるべき中学だと思いますが、立地や地域性が影響して、小石川ほど多くの難関私立中との併願受験者を集めていません。

 

さらに、都立を「本命」とする受験生が、受験を回避する傾向が強まっている(おそらく立川国際、三鷹に流れているのでしょう)ので、受験者数が減少しているのです。

 

 

 

ところで、前回の記事に示した南多摩、武蔵、小石川のデータには「欠席率」を掲載しましたが、これには注意すべき点があります。

 

まず、「欠席率」は、「応募者数」で「受験欠席者数」を割って算出します。これは当たり前ですね。

 

それから、「率」=「割合」の概念というか、その「数値」が意味するもの、その「本質」を理解したうえで取り扱わなければなりません。

 

両校のデータを確認してみましょう。

 

本年度の武蔵の男子の「欠席率」は7.4パーセントです。

一方、小石川の男子の「欠席率」は7.8パーセントです。

 

「率」だけを見れば、両校の「欠席の状況」は大差ないもののように思えます。

 

しかし、「人数」を見ると、武蔵の男子の「欠席者数」は21人、小石川の男子の「欠席者数」は41人となっています。

小石川は、武蔵の倍近くの数の「欠席者」を出しているわけです。

 

 

自明のことですが、「欠席率」だけでは正しい分析はできません。

 

 

単純に、小石川の「応募者数」が武蔵の倍近い人数になっているために、「欠席率」が近似しているわけです。

 

 

 

受験にまつわる「数値」を扱う際に、――「倍率」などもそうですが――「率」=「割合」に過度にコミットするのは危険です。「率」だけでは情報を正確に読み取ることができないからです。

 

 

「率」=「割合」は、「抽象的な数値」です。

「人数」は、「具体的な数値」です。

 

 

「人数」を把握しなければ、「受験の実像」はつかめないのです。

ですから、「志願傾向分析」は、必ず「人数」のチェックを行います。

 

特に、都立中受験のような「高倍率」の受験では、算出された「率」による「数値」が、「観念的なラベル」になってしまいやすいので、注意しなければなりません。

 

 

 

ところで、南多摩、武蔵、小石川の「私立中との併願」の状況を探る「資料」は他にもあります。

 

国私立中受験指導に定評のある大手進学塾の合格実績です。

 

SAPIX、日能研、早稲アカの本年度の南多摩、武蔵、小石川の合格実績を見てみましょう。

 

 

南多摩 武蔵 小石川
 SAPIX 1 4 30
 日能研 2 16 26
 早稲アカ ? 13 17

 

 

 

もちろん、南多摩中のある八王子市周辺は、上掲の進学塾が注力して展開している地域ではありません。

やはり、南多摩の合格実績は低調になるわけですが、そういった「立地」や「業界の情勢」をもすべて包含して、それぞれの学校の特徴やコンテクストが形成されるわけです。

 

つまり、南多摩中には「都立専願」の生徒が集まる傾向があり、小石川中には私立中受験のための勉強をしてきた生徒が集まっているわけですが、それが、その学校の「カラー」となっていくということです。

 

 

そして武蔵中は、ちょっと「予断をゆるさない時期」なのだろう、と思います。

 

 

(ivy 松村)

 

 

 

 

都立中学の志願傾向分析①

都立中の受験データを比べてみましょう。

 

すべての都立中のデータを分析しましたが、全部扱うと「ゴチャゴチャ」してしまうので、南多摩、武蔵、小石川を比べてみましょう。

 

 

今回は、「受験欠席」のデータです。

 

応募した人数のうち、試験を受けなかった人数です。

 

 

まず、南多摩です。

 

 

年度

   受験欠席

     欠席率

  男   女   計
29   9   6 15 2.5% 1.4% 1.9%
28 10   8 18 2.5% 1.6% 2.0%
27   4   8 12 1.0% 1.6% 1.4%
26   7   6 13 1.6% 1.1% 1.3%
25   7 11 18 1.3% 1.7% 1.5%
24 13 18 31 2.4% 2.8% 2.6%
23   8 19 27 1.4% 2.6% 2.1%
22 12 18 30 1.8% 2.1% 1.9%

 

 

 

次に、武蔵中です。

 

 

年度    受験欠席      欠席率
  男   女   計
29 21 15 36 7.4% 6.0% 6.7%
28 10 9 19 3.2% 3.4% 3.3%
27 21 15 36 6.2% 5.9% 6.1%
26 15 15 30 4.7% 6.0% 5.3%
25 24 17 41 6.3% 4.8% 5.6%
24 23 22 45 6.0% 6.1% 6.0%
23 27 21 48 6.2% 5.0% 5.6%
22 32 22 54 6.6% 5.0% 5.8%
 21 33 40 73 4.6% 6.1% 5.3%
20  52 44 96 5.7% 4.6% 5.1%

 

 

 

そして小石川中です。

 

 

年度    受験欠席      欠席率
  男   女   計
29 41 37 78 7.8% 7.8% 7.8%
28 45 44 89 8.2% 9.4% 8.7%
27 29 27 56 5.8% 7.1% 6.3%
26 27 43 70 4.8% 9.8% 7.0%
25 24 51 75 4.6% 11.2% 7.6%
24 50 36 86 8.1% 7.0% 7.6%
23 53 43 96 7.4% 7.7% 7.6%
22 34 34 68 5.5% 6.7% 6.0%
 21 34 35 69 4.9% 6.5% 5.6%
 20 81 42 123 9.8% 5.1% 7.5%

 

 

 

3校のうちで、もっとも「受験欠席」が少ないのが南多摩です。

もっとも多いのが小石川です。

 

 

受験を欠席する理由として、以下のようなものが考えられます。

 

 

①体調不良、事故、諸般の事情

②受験する気が無くなった

③志望順位の高い中学に合格した

④同日に行われる別の受験を選択した

 

 

 

都立中入試がはじまったころには、とりあえず出願してみよう、というような物見遊山的な応募が見られ、受験者数も膨れ上がりました。それにともなって、気軽に受験を「キャンセル」する応募者が一定数存在しました。現在は、よくも悪くも都立中受験の「シビアさ」が広く知られるようになり、②のような欠席は少なくなりました。

 

 

近年の「受験欠席」の理由のおもなものは③と④になるでしょう。

 

③は、2月3日の朝までに受験結果が判明する「私立中併願受験者」ということになります。

 

私立中入試は2月1日に始まります。

2月1日当日、あるいは、2月2日に「本命」の合格を得た受験生は、「基本的に」都立中の受験を取りやめます。

 

 

また、私立中受験では、「流動的な受験パターン」を組む受験生がいます。

すなわち、2月3日に入試を行う複数の中学にそれぞれ出願をしておき、直前に受験校の「変更」が可能となるように準備しておくような受験パターンです。これは、「ダブル出願」などと呼ばれることがあります。

2月1日、2日の結果などを考慮して、前日や当日に、どの中学を受験するのかを決めるわけです。

 

2月3日は、国立大附属中学の入試日でもあります。

何人かの受験生は、国立、都立、私立の中学を、「同日併願」しているわけです。

 

当然、そのうちの何人かは都立中ではなく別の中学を受験するという戦略を取ることになるので、都立中の「受験欠席」が生じることになります。

 

 

 

以上のような点を鑑みれば、都立中の「受験欠席者数」は、私立中との併願がどれくらい活発なのかを測る指標のひとつであると考えることができるわけです。

 

 

ただし、すこし注意が必要です。

 

「私立中との併願」と一言でいっても、「内実」は様々です。

 

都立中受験者の中には、私立中に進学する意思はまったくないけれども、「調整」のために私立中を受験するようなグループがいます。

また、私立を「本命」とする受験生のなかにも、都立への進学意欲の高い受験生もいれば、万が一の「保険」のひとつと考えている受験生もいます。

 

 

都立中に出願する受験生の中には、たとえば、東海大菅生や八王子学園といった中学と併願受験する受験生がいるでしょう。これらの中学は、「適性検査型」の入試も行っているので、併願のハードルはいっそう低くなります。都立中入試に比重を置いた受験勉強をしていても十分に対応できる併願です。

あるいは、穎明館や桐朋を併願する受験生もいるでしょう。このランクの中学になると、国私立向けの勉強をしていなければかなりきつくなります。

さらに、私立武蔵中あたりになると、今度は都立中入試との親和性が高くなります。

 

 

「都立専願」の受験層が私立に手を広げる、という場合もあるでしょう。

逆に、私立を「本命」とする受験層が、都立に手を広げるという場合もあります。

そして、私立と都立の受験を「一体的」にとらえている受験層があるわけです。

 

こうした多様な受験の「戦略」を、すべてまとめて「私立中との併願」と言ってしまうのは、少し乱暴なのかもしれません。

 

 

私は、このブログで「都立中の私立併願」についての記事を何回か書きましたが、私が「論点」としているのは、どちらかというと、国私立中入試を照準とした勉強をしてきた受験生が都立中受験をどのくらい「視野」に入れているのか、というものです。

 

「正味」の話をしてしまえば、「都立専願」の受験生が私立中を「併願」することについては、都立中の「受験動向」を探るうえで、それほど深い考察や分析にはならないわけです。「併願」してもしなくても、「状況」は変わりません。

 

(こういういい方をすると短絡的な誤解をする人がいるので付け加えますが、「都立中受験」は、非常に重要なテーマであり続けます。)

 

 

 

※都立中の受験は「受検」と表記する慣例があるということなのですが、この種のテーマを論じるときには使いわけが煩雑になってしまうので、 すべて「受験」に統一しました。まあ、正直、もう全部「受験」でいいのではないかと思っていますが。

 

 

 

 (ivy 松村)

 

 

 

都立高校の最終応募状況②

八王子東、立川、国立の3校の応募人数を確認してみましょう。

 

 

まず、男子です。

 

 

 男子 29年度 28年度 増減
八王子東 177 188 -11
立川 220 208 12
国立 207 241 -34
 計 604 637 -33          

 

 

次に女子です。

 

 女子 29年 28年 増減
八王子東 168 187 -19
立川 182 185 -3
国立 186 220 -34
 計 536 592 -56          

 

 

 

男子は、八王子東、国立ではなく、立川を志望する受験生が増えていることがわかりますが、3校全体で志願者をつなぎとめられなくなって、「流出」を招いています。

 

女子は、いっそう全体の志願者数が減少し、より「人員」の流出が大きくなっていることがわかります。

 

その一部は国分寺に流れています。

本年度、国分寺高校の、女子の応募が増加しています。

 

 

国分寺高校の年度ごとの応募状況を確認してみましょう。

 

  男子   女子
年度 倍率 人数合計 人数 割合 人数 割合
29 1.79 451 238 52.8% 213 47.2%
28 1.74 438 248 56.6% 190 43.4%
27 1.67 420 245 58.3% 175 41.7%
26 1.77 446 271 60.8% 175 39.2%
25 2.24 493 289 58.6% 204 41.4%
24 1.94 427 270 63.2% 157 36.8%

 

 

 

国分寺は、男女合同で合格者を出す高校ですが、従来、男子の応募が女子を大きく上回っていました。

上の表を見ると、年々女子の応募人数が増え、本年度は応募者に占める女子の割合が半数近くになっていることがわかります。

 

 

国分寺は、志願変更によって、応募者を減らし、倍率を1.82から1.79に下げています。

内わけを見ると、男子は「-1」、女子は「-6」です。

 

 

 

ざっくりとした「目安」ですが、都立の上位校は、だいたい倍率が1.8を超えてくると流出が活発になります。

また、1.4を下回ると、志願変更が刺激されるようです。

 

 

昭和の倍率上昇や、小金井北の倍率下降は、まったくの予想どおりでした。

 

昭和・男子 1.23→(+10)1.30

昭和・女子 1.16→(+24)1.36

 

小金井北・男子 1.85→(-15)1.70

小金井北・女子 2.00→(-15)1.84

 

 

小金井北を含めた、いわゆる「三北」とよばれる3校は、「都心の影響」を受ける立地なので、来年度の動向が少し気になります。

 

調布北の女子が、1.37→(+16)1.55となっています。

武蔵野北の女子は、1.92→(-9)1.84です。男子との「格差」が出ています。

 

調布北の男子は、1.32→(+1)1.33、武蔵野北の男子は1.39→(+5)1.44でした。

 

 

調布北、武蔵野北の男子の倍率は、大きく変動しませんでした。

特に調布北の来年の倍率は気になります。

 

 

 

「共通問題上位校」を追う位置の高校群になると、倍率1.6後半ぐらいが流出の「目安」になります。

 

 

南平・男子 1.68→(-11)1.60

南平・女子 1.73→(-7)1.67

東大和南・男子 1.69→(-13)1.59

東大和・男子 1.71→(-18)1.53

 

 

 

その他、気になったのは、武蔵の女子、1.58→(+9)1.87です。

 

武蔵は、1.6を下回ると、「ねらい目」だと目されるのかもしれません。

武蔵は、大学合格実績が伸長しています。

今後、トップ校を狙う学力の生徒にとって、特異な位置づけの高校になりそうです。

「受験倍率」がどれくらいになるのか、少し気になりますが。

 

 

(ivy 松村)

 

都立高校の最終応募状況①

都立高校の最終応募倍率が出ました。

 

日比谷・戸山・青山・西・八王子東・立川・国立の最終応募倍率の年度別推移を見てみましょう。

 

 

まず、男子です。

 

 男子 29年度 28年度 27年度
日比谷 2.47 2.52 3.25
戸山 1.89 2.35 2.76
青山 1.98 2.43 2.38
西 1.96 2.12 2.20
八王子東 1.34 1.41 1.50
立川 1.67 1.56 2.08
国立 1.57 1.81 1.98
 計 1.84 2.03 2.31

 

 

 

次に女子です。

 

 女子 29年度 28年度 27年度
日比谷 2.03 2.23 2.40
戸山 1.71 1.91 2.18
青山 2.08 2.34 2.11
西 1.72 1.53 1.75
八王子東 1.39 1.56 1.45
立川 1.50 1.54 1.52
国立 1.54 1.83 1.88
 計 1.71 1.85 1.90

 

 

 

男子も女子も全体の倍率が下がっています。

 

男子は、本年度は2倍を切り、グループ全体で「1.84」となりました。

 

女子は、「1.74」です。

昨年度は倍率を大きく下げることはありませんでしたが、本年度は下落しています。

昨年度は男子に強く「安全志向」があらわれ、本年度は女子に波及しました。

 

 

 

では、本年度、志願変更によって、倍率がどのように変化したのか確認してみましょう。

 

 

まず、男子です。

 

 男子 増減

倍率

志願変更前
日比谷 -2 2.47 ←2.48
戸山 -8 1.89 ←1.95
青山 2 1.98 ←1.97
西 -3 1.96 ←1.98
八王子東 25 1.34 ←1.15
立川 -20 1.67 ←1.82
国立 7 1.57 ←1.52
 計 1 1.84 ←1.84

 

 

 

次に、女子です。

 

 女子 増減

倍率

志願変更前
日比谷 -14

2.03

←2.15
戸山 5 1.71 ←1.68
青山 4 2.08 ←2.05
西 -15 1.72 ←1.84
八王子東 -1 139 ←1.40
立川 0 1.50 ←1.50
国立 -6 1.54 ←1.59
 計 -27 1.71 ←1.74

 

 

 

西高の女子は、昨年の低倍率に引き寄せられていた層が流出しました。

 

八王子東の男子が「+25」、立川の男子が「-20」です。

八王子東の男子は、低倍率に刺激された層が流入しました。

 

おそらく、立川からの志願変更が一定数あったはずです。

 

立川と八王子東は、校風は対照的ですが、学力レベルも、立地も近いので、両校の受験を視野に入れていた受験生のうち、倍率の差に促されて受験校を替えたのでしょう。

 

 

 

本年度は、特に、八王子東、立川、国立の3校の倍率が、「抑制」されているのがわかります。

 

多摩地区は、そもそも「都立志向」が強いということもあって、中学校や学習塾の受験指導は、都立入試に大きく傾いています。

 

また、都立高校に進学しない場合の「リスク」が「都心」に比べて大きくなることも、多摩地区のトップ校の倍率が沈静化される理由のひとつです。地域内に、トップ校を受験する学力層の、国私立の代替校が少ないために、都立入試の「比重」が大きくなるのです。

 

さらに、特別選考枠の廃止、内申点の換算方法の変更などによって、「逆転をねらう受験」の勝算が薄まってしまったわけです。

 

以上のような背景ゆえに、多摩地区では、慎重な出願が主流になりつつあります。

 

 

 

過去3年の志願変更による「人員」の流出と流入を見てみましょう。

 

 

まず、男子です。

 

 男子 29年度 28年度 27年度
日比谷 -2 -12 -5
戸山 -8 -2 -19
青山 2 -22 -9
西 -3 -12 3
八王子東 25 2 8
立川 -20 9 -3
国立 7 -16 -22
 計 1 -53 -47

 

 

次に女子です。

 

 女子 29年度 28年度 27年度
日比谷 -14 -19 -8
戸山 5 -18 -16
青山 4 -30 -16
西 -15 0 1
八王子東 -1 -6 -3
立川 0 6 7
国立 -6 -11 -15
 計 -27 -78 -50

 

 

 

志願変更による流出と流入がどのように起きるのかは、倍率をはじめとする相対的な受験の情勢や、受験生の個々の志願状況に左右されます。

 

28年度、27年度は、取下げ・再提出の日程に「土・日」がからんだために、従来よりも受験のスケジュールに「余裕」ができました。

そのために、志願変更が少しばかり「戦略的」に使われることがあったようです。

一部の高校の合格発表を確認してから再提出することが可能になったことで、志願変更が活発になったのかもしれません。

 

志願変更による「人員」の流入や流出は、その人数の増減「だけ」で判断することはできませんが、トップ校の受験層では、積極的に志願変更を使う受験生が減っているのかもしれません。

 

「入試結果」の予測の精度が高まっているために、どこを受験するか、「ぎりぎりまで悩む必要がなくなってきている」からです。

 

 

ただ、本年度は、八王子東の男子があまりにも低倍率だったために、立川やその他の高校に一旦は応募した受験生の志願変更を刺激しました。

 

 

 

(ところで、私は上掲の高校群を、「グループ作成の7校」ということで「G7」と名付けてみたのですが、来年から自校作成となるので、このネーミングは何だかしっくりこなくなってしまいました。「進学指導重点校」←長い…。何か、いい呼び方はないものなのでしょうか。)

 

 

 

(ivy 松村)