平成30年度の志願変更

G7(進学指導重点校)の志願変更の状況を詳しく見てみましょう。

 

 

まずは、男子です。

 

 男子 倍率 2/7 取下 再提出 2/15 倍率 増減
日比谷 2.38 314 11 10 313 2.37 -1
西 2.09 276 14 10 272 2.06 -4
戸山 2.52 332 22 6 316 2.39 -16
青山 2.01 300 22 26 304 2.04 4
国立 1.75 231 18 7 220 1.67 -11
八王子東 1.67 220 24 9 205 1.55 -15
立川 1.98 261 18 21 264 2.00 3

 

 

 

次に、女子です。

 

 

 女子 倍率 2/7 取下 再提出 2/15 倍率 増減
日比谷 2.05 250 18 11 243 1.99 -7
西 1.48 181 8 7 180 1.48 -1
戸山 1.84 224 17 10 217 1.78 -7
青山 1.86 255 12 8 251 1.83 -4
国立 2.00 244 23 6 227 1.86 -17
八王子東 1.55 189 10 7 186 1.52 -3
立川 1.60 195 14 16 197 1.61 2

 

 

 

「数字」に大きな変化がなかったようにみえても、実は、「取下げ」と「再提出」が活発に行われていた高校があることがわかります。

 

特に、青山と立川の男子です。

 

両者とも志願変更前に約2倍の倍率を示していました。

 

したがって、「再提出」をした人員は、高倍率の受験を覚悟している受験生です。

つまり、その多くが「上から」の「流入」だと考えられるわけです。

 

もちろん、その中には、存外の私立入試の結果が得られたために、「上げてきた」受験生もいるはずです。

 

いずれにしても、「再提出」をしてきた新手は、「手ごわい相手」です。

 

 

日比谷の男子や西の女子も、ほぼ同数の「入れ替え」がありました。

 

 

「数字」に大きな変化がなかったとしても、競争相手は入れ替わり、静かに、戦いはよりハードなものになっているのです。

 

 

気を引き締めていきましょう。

 

 

(ivy 松村)

 

 

平成30年度都立高校最終応募倍率

都立高校の最終応募状況が明らかになりました。

 

 

G7(進学指導重点校)を見て見ましょう。

 

 

まず、倍率の比較です。

 

 男子

本年 昨年

 女子

本年 昨年
倍率 倍率 倍率 倍率
日比谷 2.37 2.47 日比谷 1.99 2.03
戸山 2.39 1.89 戸山 1.78 1.71
青山 2.04 1.98 青山 1.83 2.08
西 2.06 1.96 西 1.48 1.72
八王子東 1.55 1.34 八王子東 1.52 1.39
立川 2.00 1.67 立川 1.61 1.50
国立 1.67 1.57 国立 1.86 1.54

合計

2.01 1.84

合計

1.73 1.71

 

 

 

次に応募者数の推移を見てみましょう。

 

 

 男子 本年 昨年 増減  女子 本年 昨年 増減  
日比谷 313 326 -13 日比谷 243 248 -5  
戸山 316 282 34 戸山 217 233 -16  
青山 304 258 46 青山 251 250 1  
西 272 259 13 西 180 208 -28  
八王子東 205 177 28 八王子東 186 168 18  
立川 264 220 44 立川 197 182 15  
国立 220 207 13 国立 227 186 41  

合計

1894 1729 165

合計

1501 1475 26  

 

 

 

男子の応募者数は、昨年度に比べ、グループ全体で165人増加しています。

倍率は、1.84から、2.01に上昇しています。

 

女子の応募者数は、昨年度に比べ、グループ全体で26人増加しています。

倍率は、1.71から1.73に微増しています。

 

 

男子は、日比谷以外の高校の応募者が増えました。

特に、青山、立川、戸山の応募者が増加しています。八王子東も昨年比で大きく応募者を増やしました。

 

男子は、「チャレンジ」の出願が増えているようにも思えますが、もしかすると、私立との併願が活発化していることが原因かもしれません。

 

今後、入試の「欠席率」を確認することで、本年度の「受験動向」をより詳細につかむことができます。

 

 

女子は、「グループ全体」の状況は昨年と大きく変動はありませんが、「区部」と「多摩地区」で、受験動向に「違い」がみられます。

日比谷、戸山、青山、西の4校の応募者は昨年と比べて減っているのに対し、八王子東、立川、国立の応募者は増えています。

 

グループ内では、西高から国立へ人員の「流出」がみられます。

西の女子は、近年、いわゆる「隔年現象」にはまっているようです。

 

 

 

本年度の志願変更の状況を見てみましょう。

 

 

男子 増減 2/15 2/7 倍率  女子 増減 2/15 2/7 倍率
日比谷 -1 313 ←314 2.37 日比谷 -7 243 ←250 1.99
戸山 -16 316 ←332 2.39 戸山 -7 217 ←224 1.78
青山 4 304 ←300 2.04 青山 -4 251 ←255 1.83
西 -4 272 ←276 2.06 西 -1 180 ←181 1.48
八王子東 -15 205 ←220 1.55 八王子東 -3 186 ←189 1.52
立川 3 264 ←261 2.00 立川 2 197 ←195 1.61
国立 -11 220 ←231 1.67 国立 -17 227 ←244 1.86

合計

-40 1894

←1934

2.01

 合計

-37

1501

←1538

1.73

 

 

 

男子は、戸山、八王子東、国立から、人員が「流出」しています。

女子は、国立が「-17」となっています。

 

日比谷、西の二強には、大きな動きはありませんでした。

 

 

 

戸山の男子は、高倍率を嫌って、「流出」が起こっています。

 

本年度の戸山の高倍率の要因は、ひとつは、昨年よりも応募人数が減らされたことによるものです。さらに、昨年度の合格実績、とりわけ現役の合格状況の良さが訴求力となって、志願者を集めました。また、スーパーサイエンスハイスクール指定校、チームメディカルといったプロジェクトなど、進学指導体制の充実が信頼感を高めました。

 

一方、戸山の女子は、昨年に比べて倍率は微増していますが、応募者数は減少しています。

 

 

国立は、昨年度、目覚ましい大学合格実績をあげました。

本年度、多くの志願者がひきつけられましたが、高倍率を敬遠して、男女ともに人員が「流出」しています。

 

 

八王子東も、耳目を集める大学合格実績が要因となって、応募者を増加させました。

しかし、男子の倍率が例年に比べて高かったこともあって、志願変更による「流出」を招きました。

 

 

 

多摩地区にフォーカスして、本年度の応募状況を整理してみましょう。

 

八王子東の応募者が増加し、男女ともに倍率が1.5以上になりました。

 

八王子東、立川、国立の3校を比較すると、男子の人気は立川、女子の人気は国立に集まっています。

 

また、3校ともに応募者数を増やしています。

昨年に比べて男子が「+85」、女子が「+74」です。

 

特に女子は、区部の4校と比べて、大きな変化がありました。

区部の4校の応募者数は、昨年と比べて「-48」となっています。

区部では、依然として「慎重な出願」が基調となっています。

 

それに対し、多摩地区の3校は大きく応募者を増やしています。

 

 

 

志願変更は、一部、「再提出」を行わない者が出てくるので、「全体」としては「流出」が多くなりますが、ほとんどの受験生は、いったん「再提出」を行います。

 

志願変更は、より合格可能性の高い「下位」の学校に受験校を変更する受験生のほうが多いので、「最上位」の高校群からの「流出」は、相対的に活発になります。

 

人員の「流出」の状況をもう少し詳しく見てみましょう。

 

 

 男子 倍率 増減  女子 倍率 増減  
国立 1.67 -11 国立 1.86 -17  
立川 2.00 3 立川 1.61 2  
八王子東 1.55 -15 八王子東 1.52 -3  
国分寺 1.60 6 国分寺 1.60 3  
武蔵 1.65 -11 武蔵 1.52 15  
武蔵野北 1.46 0 武蔵野北 1.67 -12  
小金井北 1.92 -29 小金井北 1.82 -5  
町田 1.36 5 町田 1.53 7  
調布北 1.55 37 調布北 1.42 12  
多摩科技 1.87 1 多摩科技 1.87 -2  
日野台 1.56 18 日野台 1.33 10  
昭和 1.79 -17 昭和 1.79 -12  
南平 1.77 -7 南平 1.72 -8  

 

 

 

男子は、国立、八王子東、武蔵などから「流出」した人員は、低倍率を示していた調布北、日野台に吸収されました。

 

女子は、国立や武蔵野北から武蔵、町田、または調布北、日野台に「流出」しているようです。

 

本年度は、倍率が高い高校から低い高校へ、積極的な志願変更がみられました。そのため、「全体」の倍率が一定の範囲に収束する傾向が強まりました。

 

 

 

ところで、「進学校」を考えるうえで、南平高校はひとつの「基準」たりえると思います。

 

南平高校を含めた上記の高校群は、応募者数を増やしています。

特に男子は顕著で、全体で231人の増加です。

 

一方、上記以外の旧7学区~旧10学区の高校は、その多くが応募者数を減少させています。

 

 

そのおもな要因を2つ挙げることができます。

 

ひとつは、生徒数の減少です。

もうひとつは、私立高校の「授業料軽減制度」です。「ここ」がこの制度の「ボリュームゾーン」になると思います。

 

 

 

本年度の中学の卒業予定者は、昨年に比べて1685人減っています。

また、志望校調査によれば、都立高校を志望する生徒の割合も減少していることが確認できます。したがって、相対的に私立高校を志望する生徒の割合が高まっていると考えられます。

 

都立高校入試の最終応募者の人数は、その数値に呼応した減り方をしていません。

つまり、都立高校の応募者数の減少は抑制されています。しかし、これは「出願」の数なので、「内実」よりも数字が大きくなります。

 

また、本年度は、私立入試の動向に大きな変化があったので、それがどう影響しているのか、という部分もあります。

 

 

さて、重要な点は、中学卒業予定者および都立志望者は減っているのに、上位校の応募者は増えているという点です。

 

これについては、少し時間をかけて考える必要があります。

 

 

 

それにしても、本年度は、ちょっと「難しい部分」がありました。

実は、その「一部」は「このブログ」なんですよね…。

 

自分が思っている以上に、受験動向に影響を与えているようです。

 

ある理由で、アクセスの解析を全くやっていません。一度も見たことがないのです。それで、どれくらいの人が読んでいるのかも知らないまま書き続けているのですが、自分が思っているよりも多くの人が読んでいるみたいです。ある程度「計算」していたつもりだったのですが、「予想」を上回っているようです。

 

ちょっと確かめてみようと、情報をコントロールしてみたのですが、どうも、やっぱり、そういう気がします。

 

 

それで、この記事もどうしようか考えながら書いてみたのですが、う~ん。

 

どうなんでしょう。

 

 

 

 (ivy 松村)

 

 

都立高校の最終応募倍率について

都立高校の「最終応募」の倍率が発表されています。

 

所感などをいくつか書きたいと思います。

 

 

まず、日比谷高校ですが、男子、女子ともに志願変更後に倍率が下がりました。

 

◎日比谷高校

・男子 2.52(-12人)←2.61  ※昨年3.25

・女子 2.23(-19人)←2.39  ※昨年2.40

 

 

日比谷の男子は、例年に比べて低倍率で推移しました。

昨年度の最終応募では、3倍を超える倍率でした。

本年度の日比谷高校の男子は、昨年度の最終応募人数と比べて「-97」となっています。

 

 

私は、日比谷高校の男子の倍率は、本年度はもしかすると上昇するかもしれないと思っていました。

 

まあ、そういった予想をたてること自体は極めて平凡な行為です。

 

しかし、個人的に、痛恨を感じていることがあって、それは、その予想をこのブログに書いてしまったことです。

それは、もしかすると、志願傾向にやや「影響」を与えたかも知れません。

 

 

いずれにしても、都立高校入試における最大の「挑戦」であるといえる、日比谷の受験が強く抑制されているという、本年度の状況です。

 

これは、都立高校受験全体の「安定志向」を象徴しているように感じています。

 

 

 

立川高校は男子、女子ともに志願変更後に倍率が上がりました。

 

◎立川高校

・男子 1.56(+9人)←1.50  ※昨年2.10

・女子 1.54(+6人)←1.49  ※昨年1.46

 

 

立川は、倍率が上昇すると予想していました。

おそらく、多くの関係者がそう考えたでしょう。

 

 

ところで、志願変更の予想をする際に少し注意が必要なことがあります。

それは、「取下げ」「再提出」の増減によって最終応募人数が確定し、倍率が算出されるという当たり前のメカニズムに対する想像力についてです。

 

本年度の立川の男子は、志願変更によって「+9」となりましたが、これは増減の結果として「9人増えた」ということであって、「絶対数」に「9」が「上乗せ」されたわけではありません。

もちろん、頭では分かっているはずのことですが、私たちは「増えた/減った」という結果が示す数字だけにとらわれてしまいがちです。

 

たとえば、昨年度の立川高校の志願変更の前と後の応募人数について、多くの人は「大きな変化がなかった」と感じたことでしょう。

倍率が2倍を超え、激戦となった昨年度の立川の男子の応募人数は、志願変更前の279人の応募が276人へと推移し、志願変更後に「-3」となりました。

 

しかし、その内実は、取下げを行った受験生が28人、再提出を行った受験生が25人おり、応募人数は「印象」よりも大きく増減していたわけです。

その「結果」として「-3」の「微減」となっていたのです。

 

 

私は、本年度の都立高校入試を「安全志向」という「切り口」からとらえようとしているので、増減の数が気になっています。

 

 

 

都立高校入試の「最難関」に位置づけられている、日比谷、西、国立、戸山、青山、八王子東、立川の「G7」(安易なネーミングですが)全体の応募人数の推移をみてみましょう。

 

 

年度 男子(人数) 女子(人数)
28 1884 1554
27 2188 1629
26 2122 1562
25 2098 1551
24 2180 1599

 

 

 

男子は、昨年に比べて「-304」、女子は「-75」人となっています。

 

女子と比較して、本年度の「学力上位層」の男子の受験生が「G7」の受験を回避する傾向にあることが読み取れます。

 

昨年度の「G7」全体の男子の倍率は2.31です。本年度は2.03と、大きく下降しています。

一方、「G7」全体の女子の倍率は昨年度が1.90、本年度は1.85となっています。

 

女子の志願傾向は、男子と比較して、本年度の都立高校入試制度の変更による影響が少ないといえます。

対照的に、男子は「安全志向」の色彩が強くなっていることがうかがえます。

 

 

また、志願変更の前と後では、男子が「-53」、女子が「-78」となっています。

 

 

 

さて、本年度、志願変更による都立の各高校の倍率の変化を見て私がもっとも興味をかきたてられたのは、大泉高校の男子でした。

 

◎大泉高校

・男子 1.90(-6人)←2.10  ※昨年1.74

・女子 1.26(+7人)←1.03  ※昨年1.48

 

 

中学併設校である大泉、富士、白鷗、両国、武蔵の5校は、おおむね予想通りの倍率の推移を示しました。

これらの高校は、応募倍率が低迷していましたが、志願変更後に上昇がみられました。

(そのうちの何人かは、「G7」からの「流入」であると考えられます。)

 

 

昨年度の中学併設校の最終応募時の倍率は、特に男子が高く、富士、白鷗、両国は2倍を超え、武蔵も最終的には1.81倍となりました。

この学校群の男子のなかで、大泉の1.74という倍率は最も低い数値となっていました。

 

本年度は、昨年度の高倍率の反動で、中学併設校全体の高校の募集が低調となりました。

 

去る12月の中学校長会による本年度の都立高校「志望予定調査」で、ほとんどの中学併設校の志望予定者は、募集人数を下回りました。

倍率が「1」を越えたのは、大泉の男子、富士の男子だけでした。この時点で大泉の男子は1.36、富士の男子は1.31です。

(実はこのとき、大泉の男子は中学併設校全体のなかで最も高い倍率になっていました。)

 

 

その後、大泉の男子の倍率は、推薦入試の応募状況をふまえて、意味深い変化を示します。

 

推薦入試の倍率が発表されたときに、まず、大きな驚きがありました。

大泉の男子の倍率が、0.88となっており、「1」を割ってしまっていたのです。

(一方、富士の男子は3.00倍でした。)

 

 

推薦入試における倍率の「インパクト」が大きく作用して、出願時の大泉の男子の倍率は、2.10と大きく上昇します。

 

「今年の大泉の男子は入りやすくなっている」という反射的な判断があったのかもしれません。

 

・推薦入試の倍率0.88 → 一般入試の倍率2.10

 

 

この推移は、なかなか「芸術的」です。

 

本年度の中学併設校の倍率が全体的に低迷していたので、2.10という高倍率もまた、大きな「インパクト」がありました。

 

 

問題は、この倍率の「行末」でした。

この倍率は大きく下がるのか、それとも高止まりするのか。

 

 

大泉に出願した男子の受験生は、自分も、「まわり」も、「倍率を強く意識していることを意識」しています。

自分自身が「そう」であるように、「まわり」も推薦入試の倍率をみて、「ねらい目」だという判断で出願したのだろうと思っているわけです。

 

 

高倍率の入試は、誰にとっても嫌なものです。

しかし、激戦を嫌って志願変更する受験生が多くいれば、最終応募の倍率は下降するはずです。

 

もしかすると、「降りる」か「受ける」かの、「鶏の我慢比べ」が静かに繰り広げられていたのかもしれません。

 

 

結果的に、応募人数は志願変更によって「-6」となり、倍率は1.90となりました。

意外に少ない数字だと感じました。

 

 

本年度の大泉の男子の倍率の推移は、多くの示唆があって、本当に興味深く思いました。

 

 

 

 

ところで、本年度、私は都立高校受験をする生徒を受け持っていません。

ですので、この都立高校の志願傾向分析は、いってみれば道楽のようなものです。

まあ、少なくとも今年に関しては、切実な必要性はないわけです。

 

では、どうしてこのようなものを発信しているのかというと、結局は私が「数寄者」であるからなのだろうとは思いますが、それでも、少しばかりの「善意」があったりするわけです。

 

思慮深い人にとっては、「それなりに価値のある情報」だと思うわけです。

このブログの情報に触れて、考えを深めたり、行動を変えたりする人が、もしかするといるのかもしれないと思ったりするわけです。

 

 

去年、このブログをはじめたばかりの頃、ときに「批判的」な文章を書くことがありました。

たぶん、「あまりよくわかっていない塾」にいらだっていたのですね。

 

アクセス数の解析などをやったことがないので、いったいどのくらいの人がこのブログを読まれているのか見当もつかないのですが、以前から読まれている方がいらっしゃれば、私の「ニュアンス」が変わってきたことに気づいておられるかもしれません。

 

 

本当に「変化」を求めるのであれば、「変化」が訪れるようなやり方をしなければならないのだと、思うようになったのです。

 

 

不遜ないいかたになってしまうかもしれませんが、生徒たちに学んでもらいたいと思うのと同じように、いろいろな人に「受験」のことや「勉強」のことや「塾」のことについて知ってもらいたいと思うわけです。それが、ひとつのモチベーションになっています。

 

 

究極的には、塾の世界に、自分と同じような感性で物事をとらえている人がいるのかどうかを知りたいという希望があります。

 

 

ただ、「志願傾向分析」は、今後どう展開しようか考えているところではありますが。

 

 

(ivy 松村)

 

 

都立高校応募倍率確定

昨日、都立高校入試の志願変更の再提出が行われました。これによって、都立高校入試の応募倍率が確定しました。

 

昭和高校の倍率がかなり下がりました。

 

男子:1.83 →1.68

女子:1.93 →1.71

 

応募人員の増減をみてみましょう。

 

男子:243名 →224名(-19)

女子:231名 →205名(-26)

 

金曜日に、男子26名、女子28名の願書取下げがあったことがわかっています。

そして、本日、男子7名、女子2名が再提出を行った結果、応募人員と倍率が確定しました。

 

ですから、正確には、

 

男子:243-26+7=224名

女子:231-28+2=205名

 

という増減の経過がありました。

 

男子は去年の経緯をなぞるように推移しました。

女子は、流入する人員が少なくなることが、ある程度予想されていました。

出願時の倍率が、「昭和高校」としてはあまりにも高すぎ、再提出先として候補に考えていた受験生も躊躇するだろうと思われていたためです。

ですが、2名は少なすぎでした。もう何名かいるだろうと思っていました。

 

 

昭和高校の出願・志願変更の倍率の変化

 

出願時 志願変更後 取下げ 再提出 受験倍率
27年度 1.83 1.68 26名  7名
26年度 1.85 1.71 26名  8名 1.59
25年度 1.67 1.50 33名 11名 1.41
24年度 1.36 1.34 12名 10名 1.27
23年度 1.09 1.25 1.22
22年度 1.23 1.31 1.10

 

出願時 志願変更後 取下げ 再提出 受験倍率
27年度 1.93 1.71 28名  2名
26年度 1.49 1.48  8名  7名 1.45
25年度 1.69 1.62 16名  7名 1.60
24年度 1.53 1.48 11名  5名 1.46
23年度 1.21 1.23 1.14
22年度 1.25 1.28 1.19

 

 

 

「倍率をみる」ときには、単純に数字を比べるのではなく、「その高校」に「その倍率」が出ているということは、どういうことなのかを考えなければなりません。また、志願変更のような制度が設けられている場合、その数字がどう推移するのかを考えなければなりません。

 

 

 

もちろん、受験に大切なのは学力です。

 

過度に数字を分析することは、「趣味の領域」と紙一重です。

ものごとには限度というものがあって、倍率などというものは、適度に意識するくらいがよいと思います。

 

 

ですから、受験生には、「志願傾向分析」の100分の1も伝えません。

当然、受験生に必要な情報は、受験校の本年度の倍率(がどうなるか)だけです。

それ以外は、基本的にノイズです。

 

しかし、塾の教師としては、受験全体の見通しを持っていたほうがいいと思います。

倍率が何倍、という小さな事実を取り扱う場合であっても、その背後にある膨大な情報を意識しているほうが、職業人としては上等です。

 

 

 

このブログには、数日間の志願傾向分析の10分の1ほどの内容を書いています。

要点を記さないのは、出し惜しみをしたからではありません。

「企業秘密」のようなことはあまり考えてはいなくて、情報が広まってしまうことのデメリットがあるために、情報を選別したり省略したりしたのです。

 

 

自然科学における実験や観察とは違い、社会科学的なフィールドでは、「フィードバック」が起こってしまって、理論が破綻してしまうことが起こり得ます。

 

受験生の志願行動のパターンを読み切っても、その内容が世の中に知れ渡ってしまうと、その後は、受験生はその理論どおりには行動しなくなるのです。

 

人間は思考する動物ですから、裏をかく、裏の裏をかく、というような背反行動をとることができるからです。

 

 

このブログにそれほどの影響力があるかどうかは、まあ、ともかく、一般論として、余計なことは、まず言わないほうがいいですよね。

 

ですが、もちろん、当塾の生徒、保護者の方には、必要な情報を全てお伝えいたします。

 

 

 

さて、最終の応募倍率をみて気になったのは、西高です。

西は男女とも倍率が上がりました。

都立最難関のひとつである西高は、志願変更後に、志願者を減らすことが多いのです。

 

西高の男子の倍率が上がったのは、23年以来です。

この年度は、「西にしては」出願時の倍率が2.05と低かったのです。

(25年度は、倍率は上がっていませんが、1名の増員がありました。)

 

今年も、出願時の倍率が2.17と、比較的低かったことが原因かもしれません。

しかし、もしかすると、潜んでいた志願者がいたのかもしれません。

例年どおりの志願変更の日程であれば、最初から西に出願するはずの何人かの受験生が、今年は最後に西に「差し込む」という形を取ったということも考えられます。

 

 

中学併設型のグループ作成校は、出願時の倍率が2倍近くになったところがありました。

昨年度の倍率が低く抑えられたため、本年度に「揺り戻し」があることは、予想されていました。

 

その中で、対照的に、本年度出願時の武蔵の倍率は低調した。

しかし、志願変更によって、武蔵の男子の倍率は1.29から1.81にまで上昇しました。女子は、1.10から1.29となりました。

 

じつは、武蔵の男子の倍率が、志願変更後に急上昇することはわかっていました。

もし、ivyに、武蔵を「ねらい目」だと考える生徒がいたら、まず止めていたでしょう。

 

近年の志願変更の傾向をみれば、武蔵の最終倍率が1.6を超えることは、誰もが予想できます。

 

 

武蔵高校の出願時の倍率と志願変更後の倍率の変化

 

出願時 志願変更後
27年度 1.29 →1.81
26年度 0.94 →1.68
25年度 1.56 →1.59
24年度 2.22 →1.96
23年度 1.67 →1.67
22年度 1.75 →1.46

 

 

 

24年度は、前年に、一足早く都立中高一貫校となった学校群が、大学受験で期待以上の合格実績の結果を出した年でした。都立中高一貫校に対する大学進学指導の信頼が高まったのです。

 

そのため、武蔵、白鷗、大泉、富士、両国といった中高一貫校の中学併設型の高校は、24年度に軒並み倍率を上昇させました。

 

その24年度を除いて考えてみると、武蔵の「受験需要」はだいたい募集の1.6倍程度存在することがわかります。

 

志願変更は、出願時の「差異」を調整する機能を果たしています。

 

 

そして、武蔵の高校受験が怖いのは、募集人員が少ないため、志願者のわずかな増加で倍率が急上昇してしまうことです。

 

本年度の武蔵の男子の募集人員は31名で、出願時の応募者は40名、最終応募者は56名です。

ですから、志願変更によって増えた人員は、16名ということになります。

それによって、倍率は1.29から1.81に上昇しました。

 

ところで、青山高校の男子の募集人員は150名です。

青山の倍率を、1.29であると仮定して、そこに16名の増員があった場合、倍率がどうなるか計算してみると、1.39です。

 

 

この数字をどうとらえるのか、はその人次第です。実際の青山の男子の倍率は2.38倍であり、200人以上が厳しい結果となる予定です。

 

しかし、青山の志願者は、非常に高い倍率を覚悟して受験の意思を固めています。

一方、武蔵の志願者のうちの何人かは、「倍率の低さ」をみて出願したはずです。

 

その志願者に、1.81という高倍率がつきつけられることになったのです。

 

 

 

 

青山は、これまで、出願時の倍率が2倍近くなるにもかかわらず、志願変更によってさらに倍率が上がる特殊な傾向のある高校でした。

 

西、日比谷、戸山などの上位校からの「引き下げ」によって志願者が増えていたのです。

 

 

青山高校には、本年度、志願者が増える要因がありました。

昨年度、大学合格実績を残し、引き続き進学指導重点校の一角として存続することになったのです。

 

本年度、青山は募集人員を、男女計250名から286名に増やしました。

 

しかし、募集人員の増加を上回る応募があり、出願時の倍率は、男子2.44、女子2.23という倍率になっていました。

 

この倍率は、青山高校の「限度」を越えています。

そして、本年度は、志願変更によって倍率は下降し、青山の倍率は、男子2.38、女子2.11となっています。

 

 

 

2.10と、出願時に高倍率となっていた立川高校の男子は、応募人員を3名減らしたのみで、最終応募倍率は2.08倍となりました。

 

おそらく、立川の倍率をみて、出願を取下げた受験生はそれなりの人数になると思います。

しかし、それと同じくらいの再提出があったため、倍率が高止まりしているのだと思います。

 

 

立川の男子の応募には、かつてであれば国分寺高校を受験したであろう受験生が流れています。

 

国分寺は男女を分けずに募集する高校ですが、男子の応募の割合が高く、過去には、その割合が65%にせまる年度もありました。

 

26年度を境に、国分寺は倍率を低下させますが、それにともなって、この2年間、男子の応募数を著しく減少させています。それに呼応するかのように、立川の男子の倍率が上昇しています。

 

同じ地域内で、特別選考枠を持つ立川に挑戦しようという受験生が増えているのかもしれません。

 

また、本年度、募集人員を減らした国立高校は、例年よりもやや高い倍率になっていました。

そのため、国立高校から立川に志願変更した受験生が少なからずいたのではないかと思われます。

 

国高の男子の倍率は、2.15から1.98に減少しています。

 

 

 (ivy 松村)

 

 

 

 

 

都立高校入試の志願傾向の分析③(昭和高校)

本年度の都立高校の応募倍率で、注目されるのが、高倍率となった昭和高校です。

男子1.83、女子1.93となっています。

 

昭和の倍率は、この数年間で、大きな変化を示しています。その推移をみてみましょう。

 

 

昭和高校の出願・志願変更の倍率の変化

 

 

出願時 志願変更後 取下げ 再提出 受験倍率
27年度 1.83  ? 26名  ?  ?
26年度 1.85 1.71 26名  8名 1.59
25年度 1.67 1.50 33名 11名 1.41
24年度 1.36 1.34 12名 10名 1.27
23年度 1.09 1.25  -  - 1.22
22年度 1.23 1.31  -  - 1.10

 

出願時 志願変更後 取下げ 再提出 受験倍率
27年度 1.93  ? 28名  ?  ?
26年度 1.49 1.48  8名  7名 1.45
25年度 1.69 1.62 16名  7名 1.60
24年度 1.53 1.48 11名  5名 1.46
23年度 1.21 1.23  -  - 1.14
22年度 1.25 1.28  -  - 1.19

 

 

昭和高校は、23年度までは、倍率が1.2~1.3に抑えられ、志願変更後も大きく変化することがないため、比較的計算しやすい受験校でした。

 

しかし、近年の4年間で、倍率が急上昇しています。23年度では男子の出願時の倍率が1.09でしたが、本年度では1.83となりました。また、女子も、23年度の1.21から、1.93にまで上昇しました。

 

データをみてみると、男女ともに24年度に倍率が顕著に上がっていることがわかります。

 

これは、一種の「玉突き現象」によるものであると考えられます。

 

 

昭和と同じ旧第八学区には、かつて北多摩高校という進学校があったのですが、都立高校改革に伴い、都立中高一貫校の立川国際中学として、改組されました。

その移行期間が22年度に終わり、23年度に北多摩高校の募集が停止されます。

 

つまり、同じ地域内で、生徒の収容力が低下したのです。

 

ところが、この年の昭和の倍率は、上昇するどころか、むしろ低下しています。

 

当時の北多摩高校を受験するのに相応の学力を持った生徒は、昭和をその代替校としてみなしていなかったのです。北多摩高校と昭和は同じ学区でしたので、明確な序列が意識されていました。つまり、昭和は「北多摩の下」として考えられていたので、北多摩高校の学力水準の生徒は、旧学区の外に受験校を求めることになったのです。

 

 

そうすると、昭和は、一見、旧北多摩高校の募集停止の影響を受けていないようにみえます。

 

しかし実は、昭和高校の24年度の倍率の上昇は、23年度の北多摩高校の生徒募集停止の影響が、時間差で、一年後に昭和にもたらされたものであると考えられるのです。

 

 

23年度の旧北多摩高校の募集停止によって、志願者を増加させたのは、男子では小金井北、日野台です。女子は町田、三鷹、南平などです。これらの高校は、この年度の倍率が著しく上昇しました。

 

当然、これらの高校の受験は難化し、厳しい入試になりました。

 

そして、次の年の24年度では、上記の高校は倍率を下げ、昭和の倍率が上昇することになったのです。

 

 

そして、25年度は、北多摩高校と同様に、南多摩高校、三鷹高校が中高一貫校化し、高校の募集を停止しました。当然、立地的にも昭和はその影響を受け、倍率を上昇させました。

(同様に小金井北、武蔵野北、調布北、町田、日野台などがその影響を受けています。)

 

 

以上のような、他の高校の募集状況の影響を受けた「玉突き」によって、まず、昭和は志願者を増加させました。

 

26年度は、女子の倍率はいったん落ち着きますが、男子の倍率はさらに上昇を示します。

 

そして、本年度は、これまでとは逆に、周囲の人気校から志願者を奪い、男女ともに非常に高い倍率となりました。

 

校舎の新築という「追い風」を受けて、男女ともに志願者をさらに増加させたのです。

やはり、きれいな校舎というのは、生徒にとって魅力的です。

 

 

 

数年前に、入試応援で昭和に行ったとき、校庭のすみに、使われなくなった椅子や机が無造作に置かれているのを見て、何やら複雑な気持ちになったのを覚えています。

 

先日、新しい校舎を見ました。まだ工事を行っていましたが、きっと、学校見学に訪れた生徒たちは、大きな魅力を感じたに違いありません。

 

 

さらにまた、志願者増の理由として、本年度の入試で、他校に先駆けてマークシートの実施を行うことが、好印象となっているということも考えられます。これも、新しいもの好きの人をひきつける要素となり得ると思います。

 

立地や校風、制服などに魅力を感じている生徒も多いようです。

 

昭和高校は、今、時代の流れに乗って、新しい校舎とともに、まさに大きく変化しようとしているのかもしれません。

 

 

 

さて、本年度は、さすがにこれほどの高倍率ですから、志願取下げ手続きを行った受験生も多くでました。男子は26名、女子は28名です。

 

「現時点」での昭和高校の倍率は、男子1.63、女子1.69です。

 

 

昭和を受ける受験生にとっては、これから何人が再提出してくるのかが気になるところですね。

 

一応、予測をたててみましたが、今年はちょっと読みづらいところもあります。

 

 

立川の男子の倍率が高いのが気になります。立川の男子は、昨年度も高い倍率でしたが、今年度はさらに倍率を上げてきました。昨年度は、国分寺の志願者の減少が関係していると思います。

本年度は、国高が募集人員を減らしたことも影響しているのかもしれません。

これが、どのような流れを作るのか興味があります。

 

また本年度は、戸山、青山、国際高校などの「成り行き」が気になります。

 

 

(ivy 松村)

都立高校入試の志願傾向の分析②

出願変更は、一般的には、二つの流れが考えられます。

つまり、上位校への「差し込み」と下位高への「引き下げ」です。

 

実は、上位校であればあるほど、二つの流れののうち、圧倒的に「引き下げ」の方が多くなります。

 

 

都立高校のヒエラルキーの頂点である日比谷高校の、本年度の応募倍率は、男子3.29、女子2.46でした。あいかわらず、男子が高い倍率を示しています。

 

これから、この倍率は、志願変更で、一体どのように変化するのでしょうか。

 

 

日比谷の男子の、昨年度の倍率の推移を見てみましょう。

 

26年度の日比谷高校の出願時の倍率は3.05でした。これは、近年では最も低い倍率です。

日比谷高校受験を視野に入れている受験生にとっては、「差し込み」の状況です。

 

ところが、志願変更後の倍率は2.99となりました。

「引き下げ」を行い、他の高校へと志願者が流れたのです。

 

 

それでも倍率が約3倍ですから、他の都立高校と比べてもその高さは群を抜いています。

 

日比谷のような難関校の場合、さらにその倍率は下がります。

出願者のなかで、受験をしない生徒が出てくるのです。

 

日比谷に出願している志望者には、国立大学附属高や私立の難関校との併願受験をしている受験生が多くいます。その中で、都立受験の前に第一志望に合格した受験生は、日比谷の入試を受ける必要がなくなります。

 

受験者はさらに減少するので、実質的な倍率はさらに下がります。

 

日比谷の、受験者を合格者で割った最終的な倍率は2.03となりました。

この年度の男子の最終応募者は400人で、受験者は305人です。約4分の1にあたる95人が受験をしなかったことになります。

 

 

このように、日比谷高校のような難関校では、出願時の倍率はその後下降する傾向にあります。

しかし、もしかしたら、本年度の志願変更後には倍率が上昇するということがあるのかもしれません。

 

 

 

全体的には、都立高校の出願時に、最も行きたいと思っている高校ではなく、最初は安全圏の高校に出願しておくという選択をする生徒は、あまり多くないと思われます。

 

まず、当たり前ですが、出願時に安全策をとることは、志望校に行きたいという気持ちの腰を折ってしまいます。

モチベーションの維持という点から考えても、具体的な理想形を設定したうえで受験の行程を進め、万が一のときに志願変更を行うというのがセオリーであることは間違いありません。

ですが、窮余の処置としては、志願変更を念頭においた出願も、あり得るのかもしれません。

 

 

 

過去3年間の、志願変更による各高校の受検応募者の増減をみてみましょう。

 

 

26年度 25年度 24年度
日比谷 -9 -6 0
-8 -10 -14
西 -6 1 -8
-10 -9 -6
国立 -3 -6 -8
-14 -19 -17
戸山 -4 -22 -7
-7 3 -12
八王子東 3 8 6
-5 1 0
立川 -5 5 14
2 2 0
青山 1 5 8
2 3 1
新宿 2 -5 -21
5 -16 -11
国分寺 -13 -19 -13
5 -8 -2
武蔵野北 -20 -21 -20
2 -12 1
町田 -3 -6 -1
-2 -4 5
小金井北 -26 -17 8
-4 24 -2
調布北 6 17 -21
-4 4 -2
日野台 8 16 0
5 2 7
南平 -14 1 -8
-12 10 -5
昭和 -18 -22 -2
-1 -9 6

 

 

 

国立、西、日比谷、戸山といった最難関校は、基本的に志願者が流出します。

従来は、その流出先は八王子東、立川、青山などだったのですが、昨年度から少し状況が変わってきています。

 

人員の流出をあらわすマイナスは、高校の不人気をあらわすものではありません。

むしろ、マイナスの大きさはある意味で、高校の人気を示す指標とみることができます。

なぜなら、それは、学力的に合格が危うい受験生が、それでもその高校に行きたくて、望みをかけて出願したものであるとみることができるからです。

できればその高校に行きたいという希望を持っていた受験生が、現実的な判断によって志願変更を行ったものなのです。

 

 

この表だけでは読み取ることができませんが、各高校の倍率の推移をみてみると、人員の流出と出願時の倍率には相関があることがわかります。

つまり、出願時の倍率が、ある数値を超えてくると、流出が起こるという現象が確認できます。

 

 

そして、また別の情報と照らし合わせてみると、多くの受験生は、実は「ほとんど倍率しか見ていない」ということもわかってきます。

 

募集人員の設定や増減によって倍率が変動することを考慮していません。

 

また、入試制度の変更、あるいは各高等学校の事情など、倍率の増減をもたらす要因はいくつかあります。

さらに、「玉突き現象」によって、「別の高校」の倍率が大きく変化してしまうこともあります。

 

 

例年、志願変更によって倍率に大きな変化があらわれるのは、旧学区の2番手、3番手の人気校です。

いい方をかえていうならば、共通問題の上位校です。

 

「グループ作成校」の出願から、志願変更で「引き下げ」てくる受験生もいれば、倍率をみて危機感を持った志願者が流出するケースもあります。

 

 

 

 

受験は、本来ならば、心に決めた志望校合格に向けて、邁進していくのが理想なのでしょう。

そして、多くの人が、「大逆転」で合格をつかみ取るという「美しい物語」を期待します。

 

それは、もちろん、それで一つのありかたです。

 

しかし一方で、塾の教師としての経験のなかでは、現実的な判断によって、納得できる終わりの形になってよかったな、と思うことがたくさんありました。

大切なのは確実な結果を残すことです。

 

 

昨日までに、取下げの手続きを行っていない受験生は、もう、覚悟を決めなければなりません。

後はただひたすら、都立入試のために一日一日のなかで、意味ある取り組みを行っていくだけです。

 

 

(ivy 松村)

都立高校入試の志願傾向の分析①

都立高校の出願のデータをみてみましょう。

 

 

まず、近年の出願時の応募倍率で、特徴的な数値を示しているのが、中高一貫校型のグループ作成校の高校です。

 

白鷗、両国、富士、大泉、武蔵などの中学校併設型の高校は、高校入学の募集人員が少ないため、数値の変動が現れやすくなっています。

倍率の変化が如実に反映されるので、出願の心理や動きが読みやすいデータであるといえます。

 

 

これらの学校の中学受検の倍率はすさまじい数値になっていましたが、高校の倍率は相対的に低くなっており、実は、密かに入りやすい「お得な」高校となっています。

 

 

中学併設型グループの出願時の倍率

 

27年度 26年度 25年度 24年度
白鷗 2.16 1.06 1.87 2.47
1.52 1.00 1.42 2.37
1.84 1.03 1.65 2.42
27年度 26年度 25年度 24年度
両国 2.19 1.61 1.89 1.78
1.39 1.61 1.26 1.52
1.79 1.61 1.57 1.65
27年度 26年度 25年度 24年度
富士 1.94 1.19 2.10 1.90
1.55 1.94 1.48 1.75
1.74 1.56 1.79 1.83
27年度 26年度 25年度 24年度
大泉 1.48 1.68 1.87 2.40
1.68 1.06 0.58 1.76
1.58 1.37 1.23 2.10
27年度 26年度 25年度 24年度
武蔵 1.29 0.94 1.56 2.22
1.16 1.00 1.15 1.74
1.23 0.97 1.35 1.98

 

 

このグループの特徴は、募集人員が少ないため、少しの人数の変動で、倍率が乱高下してしまうことです。

倍率が高い年度の次の年は倍率が低くなり、倍率が低い年の次の年は倍率が高くなります。

増減の波がはっきりと出やすいので、倍率の推移が予想しやすいグループです。

 

この傾向は、志願変更にもくっきりと現れます。

26年度の武蔵は、男女ともに「ねらい目」と思われ、志願変更が増加しました。

そのため、最終応募倍率は、男子1.68倍、女子1.23倍となり、やはり男子の応募が急増する結果となりました。

 

 

25年度の大泉の女子も0.58倍から、1.10倍と揺り戻しがありました。

しかし、その実数をみてみると、31人の募集に対し、応募が18人あり、志願変更によって、34人に増加したというものです。また、そのうちの32人が合格となっています。

 

ちなみに、同じ25年度の大泉高校附属中学の女子の倍率は、10.25倍でした。

60人の募集に対し、625人の応募がありました。

 

あまりにも多くのことを考えさせられるデータですね。

 

 

 

このグループの中で、白鷗、武蔵は26年に、出願時の倍率の極端な低下が起こっています。

この年度から、「自校作成」ではなく、「グループ作成」となりました。

 

 

「グループ作成」の導入は、都立高校の序列化を促進しました。

 

これまでは「自校作成」というブランドでまとめられていた高校間に、くっきりと格付けがなされることになってしまったのです。

つまり、心理的に、それぞれの「グループ」を、高校の評価であるとみなす目線が生まれてしまったのです。

 

上位グループ :日比谷、西、国立、戸山、八王子東、立川、青山、

中位グループ :新宿、墨田川、国分寺

下位グループ :武蔵、白鷗、両国、富士、大泉

 

 

 

単位制高校(中位グループ)の倍率の推移をみてみましょう。

 

単位制高校グループの出願時の倍率

 

27年度 26年度 25年度 24年度
新宿 2.08 2.12 2.44 2.65
墨田川 1.65 1.24 1.74 1.76
国分寺 1.66 1.80 2.36 2.01

 

 

いずれも、26年度を境に倍率が下降していることがわかります。

 

特に、国分寺は志願者離れが加速しています。

国分寺の人気低迷の理由は、「グループ化」以外にさらに二つあります。

 

ひとつは、「グループ化」の引き金となった、入試問題の流用の発覚です。

25年度の入試のすぐ後に、国分寺高校の国語の入試問題が、独自作成ではなく、過去に使われた大学入試問題をもとに作られたものであったことが明るみになりました。

その後、速やかに、入試問題作成の負担を軽減するために、入試問題の「自校作成」が停止され、「グループ作成」へと移行した経緯があります。

この事件は、国分寺の評判を貶めることとなりました。

 

また、特別選考枠の廃止も大きな理由です。

国分寺の特別選考は、内申点を加味せず、入試得点のみで合格者を決めるもので、さらに3科を1.5倍で計算するものでした。

要するに、私立型に特化して勉強してきた受験生には有利な受験制度だったのです。

そのために、内申点が乏しいけれども得点力のある受験生の志願先として存在感を示していたのです。

 

 

以上のように、国分寺高校は近年、急速に志願者離れが進み、倍率が低下しています。

したがって、この1、2年の間に、これまでになく「入りやすい」状況が生まれています。

 

国分寺ほどの高校であれば、どの塾であっても、その異変に気付いているでしょう。

 

志願変更がどうなるのか興味深いですね。

 

 (ivy 松村)

都立高校入試の志願変更

私立高校入試のタームが一段落し、いよいよ都立高校入試のタームに突入しました。

 

今年の都立高校入試の志願変更は、13日取下げ、16日再提出になっています。

例年は、願書の取下げ日の翌日が再提出日に設定されていますが、本年度は13日が金曜日となり、翌日、翌々日が、土日となってしまうためです。

 

本年度は、私立高校入試の結果によって、志願変更を行う受験生が多くなるのではないかと予想されます。なぜなら、例年に比べて2日間の余裕が生まれたことによって、志願変更のための判断材料が増えたからです。

 

例年ならば、再提出日前に知り得なかった合否の情報を知ることができるのです。例えば、14日や15日に合格発表がある青学や早大学院、筑駒(・・・は、どうでしょうか)などの入試結果を確認して、16日に都立の受験校を決定することができるのです。

 

そのためには、14、15日の合否結果を確認する前に、13日の段階で願書を取り下げておかなければなりません。

 

そこで、最初は、全く受験する予定のない高校に出願する受験生が出てきます。

最初に出願し、願書の取り下げを行った高校には、もう一度出願することはできないからです。

 

そのため、はじめから、取り下げ・再提出を行うことを前提として、なるべく自宅から近い高校に出願しておいて、13日に取下げを行い、14、15日で合否の確認をしたのち、16日に再提出を行うという計画を立てている受験生が、今年は必ずいるはずなのです。

 

おそらく、今年の都立受験の日程を見た瞬間に、多くの塾関係者が上記のような流れを思い浮かべたはずです。

 

 

上に挙げた高校以外にも、13~15日に入試を行う高校は意外とあります。また、2回目の入試を行う高校もあります。これらの高校で、16日の午前中までに合否がわかるのであれば、上記の「作戦」を取ることができます。

 

慶應義塾や国立大附属高など、16日に合格発表を行う高校は、午後から発表を行うところが多く、残念ながら午前中に行わなければならない再提出には間に合いません。

 

 

いずれにしても、この「作戦」は、好みが分かれるかもしれません。

 

中学受験では、入試日が重なっている中学に同時に出願しておいて、状況に応じて直前に受験校を決めるというような受験パターンがかなり一般的です。

ですから、中受の受験スタイルに慣れている人にはあまり抵抗がないでしょう。

 

一方、高校受験では、正攻法で受験を突破するスタイルが根強いように思います。また、中学の先生が、受験に技巧的なものを持ち込むことを、あまり好まないのではないかと思います。

 

私自身は、この「作戦」は、かなり特殊な受験パターンであると思うので、よほど効果があるという場合でなければ、採用する意味は薄いのではないかと思います。

実際、ほとんどの私立高校は13日までに合否を知ることができます。

 

しかし、こうした「いかにも受験」「受験らしさ」に魅力を感じ、それを実行することがモチベーションになるタイプの人もいるので、そういう人は、その意味で使ってもいいのかなと思います。

 

 

 

さて、問題は、そのせいで、各都立高校の応募倍率の推移が読みづらくなっているということです。

つまり、現在発表されている都立高校の応募人数は、正確な「志望」を反映していないということです。どれくらいの受験生が、「仮の」出願をしているのかもわかりません。

 

例えば、例年であれば、国高から立川、国分寺から八王子東といったような変更が、志願変更の定番のパターンでした。

しかし、本年度は、国高か立川で迷っている受験生が、昭和に出願しておいて、昭和から国高というような変則的な変更を行う例が増えそうなのです。

 

もちろん、一定数、毎年同じような行動をとる受験生はいるのでしょうが、今年は例年以上に多くなりそうです。

 

 

(ivy 松村)