都立高校入試の「漢字」②

何か書いていたほうが、気が紛れるのでいろいろと書いていますが、このブログはあともう少し続きます。

 

 

 

平成に実施された都立高校の入試で、国語の漢字問題で「重複」があったものを見てみましょう。

 

 

〔H31、H11〕 らか(ほが)

〔H31、H17、H9〕 渓谷(けいこく)

〔H31、H12〕 (ただよ)う

〔H31、H5〕  テツボウ(鉄棒)

〔H31、H3〕 トドく(届く)

 

〔H30、H10〕 れる(まぎ)

〔H30、H16〕 惜敗(せきはい)

〔H30、H15〕 舞踊(ぶよう)

〔H30、H6〕 う(つくろ)

〔H30、H1〕 イキオい(勢)

 

〔H29、H22〕 リョケン(旅券)

〔H29、H20、H12〕 アビる(浴びる)

〔H29、H19〕 ゼンセン(善戦)

〔H29、H18〕 ザイゲン(財源)

〔H29、H5〕 てる(へだ)

 

〔H28、H21、H13〕 華麗(かれい)

〔H28、H20〕 い(いこ)

〔H28、H18、H8〕 栽培(さいばい)

〔H28、H18〕 る(降る)

〔H28、H18〕 循環(じゅんかん)

 

〔H27、H20〕 車窓(しゃそう)/ シャソウ(車窓)

〔H27、H18〕 げる(投)

 

〔H26、H8〕 む(富)

 

〔H25、H13〕 陳列(ちんれつ)

〔H25、H4〕 む(はず)

 

〔H24、H14〕 カンゴ(看護)

〔H24、H13〕 バイバイ(売買)

〔H24、H2〕 アラう(洗)

 

〔H23、H20、H8、H2〕 い(うるお)

〔H23、H13〕 ジュクす(熟)

〔H23、H5〕 ウチュウ(宇宙)

〔H23、H2〕 ソウカン(創刊)

 

〔H22、H13〕 みる(かえり)

〔H22、H13〕 アタり(辺)

〔H22、H12〕 沸騰(ふっとう)

〔H22、H9〕 シタしい(親)

〔H22、H3〕 ユソウ(輸送)

 

〔H21、H14〕 ける(か)

〔H21、H14〕 ユメ(夢)

〔H21、H10〕 懇談(こんだん)

〔H21、H8〕 チュウヤ(昼夜)

〔H21、H5〕 ミチビく(導く)

 

〔H20、H5〕 シラべ(調)  *H13 シラベる(調)

 

〔H19、H12〕 える(燃)

〔H19、H11、H4〕 コウカイ(航海)

〔H19、H11〕 げる(告)

〔H19、H6〕 湖沼(こしょう)

 

〔H16、H5〕 る(ひた)

 

 

 

最近の4年間は、慢性的に「再利用」や「再使用」が行われています。

 

市販されている「過去問集」は「7年分」の収録のものが多いので、それより少し遡って「素材」を見つけてくれば、「当年の受験生の目に触れていない問題」として流用できます。

 

 

数年ごとに「重複」が活発になったり、不活発になったりしています。

 

「担当者」の「特徴」があらわれているのでしょう。

もしくは、「方法論」が伝承されたりされなかったりしているのかもしれません。

 

 

近年は、「再出題」が多くなっています。

したがって、都立の過去の漢字の問題をなるべく多く解くことが、最も合理的な入試対策だったわけです。

 

 

しかし、まあ、たとえば、「平成15年」あたりの過去問とか「平成5年」あたりの過去問を所有している塾もあれば、所有していない塾もあります。

 

たまたま古い過去問を所有している塾にいて、それを解くように勧められた生徒は、少しばかり受験に有利だったでしょう。

 

相対的に、古い過去問を所有していない塾の生徒は、その機会を得られないという点で、不利になるといえるのかもしれません。

 

 

しかし、「そういった要素」もまた「受験の一部」なのです。

いいかたをかえるならば、「競争の一部」なのです。

 

 

「公平」という概念を正しく理解していない人はいろいろと言いたくなるのでしょうが、不満をまき散らしたり、恵まれている人を呪ったりする時間も労力も、ただただ無駄なだけです。

 

そんな不毛なことにとらわれている暇があったら、漢字のひとつでも練習したほうが有意義です。

 

 

 

「成果」を出すために、分析をしたり工夫をしたりすることは、合理的な行動であり、正当な努力です。

 

野球やサッカーなどのスポーツで、「データ」や「情報」を集めて相手チームを研究したり、対抗策を練ったりすることは、極めて普遍的な戦略です。

企業や政府機関、あらゆる組織、個人にも同じことがいえます。

 

 

知り合いの塾の方と、お互い持っている過去問や教材を融通しあったり、機会があればブックオフに寄って古い過去問集がないか探してみたり、いろいろしました。

 

(2、3年ほど前に、東京近辺のブックオフでかたっぱしから古い過去問を買い漁った人(達)がいるみたいで、今はブックオフで古い過去問を見かけなくなっていますが。)

 

 

世の中には、ちょっと古くなった過去問を、もう使わないから、と捨ててしまう塾もあるのかもしれません。ちょっともったいないと思います。

今は、デジタルデータで保存することもできます。

 

 

 

さて、今回の記事を書いたのは、ある「思惑」からです。

 

「正しい想像力」を有した人には、伝わると思っています。

 

 

ひとつは、「これからの受験生」へのメッセージです。

 

それから、「業界の人」へのメッセージ。

 

もうひとつは、都立高校入試に対する「一石」です。

 

 

「次の時代」は、どんな入試問題になるのでしょうか。

 

 

(ivy 松村)

 

 

都立高校入試の「漢字」①

本年度の都立高校入試の国語では、以下のような出題がありました。

 

大問1(漢字の読み)

 

(1) 役者の真に迫った演技が喝采を浴びる。(かっさい)

(2) 教室かららかな笑い声が聞こえてくる。(ほが)

(3) 新緑の渓谷を眺めながら川下りを楽しむ。(けいこく)

(4) キンモクセイの香りがう公園を散策する。(ただよ)

(5) 著名な画家の生誕を記念する展覧会がされる。(もよお)

 

大問2(漢字の書き)

 

(1) 古都を巡る計画をメンミツに立てる。(綿密)

(2) 道路をカクチョウして渋滞を解消する。(拡張)

(3) 幼い子が公園のテツボウにぶら下がって遊ぶ。(鉄棒)

(4) 吹奏楽部の定期演奏会が盛況のうちに幕をじる。(閉じる)

(5) 日ごとに秋が深まり、各地から紅葉の便りがトドく。(届く)

 

 

よく知られているように、都立入試の国語の漢字は、過去に出題されたものが再度出されることがあります。

そこで、平成に実施された31回の都立高校入試(共通問題)の国語の試験で出題された漢字を調べてみました。

 

 

 

大問1(漢字の読み)

 

(1) 喝采(かっさい)

(2) らか(ほが)……H11 大問1 (5)

(3) 渓谷(けいこく)……H17 大問1  (2)、H9 大問1 (4)

(4) (ただよ)う……H12 大問1 (3)、H1 大問1 (1)

(5) される(もよお)

 

大問2(漢字の書き)

 

(1) メンミツ(綿密)

(2) カクチョウ(拡張)

(3) テツボウ(鉄棒)……H7 大問2 (5)

(4) じる(閉)

(5) トドく(届く)……H3 大問2 (4)

 

 

5題。再出題の頻度が高いことがわかります。

 

その他、大問1 (5)の「催す」という語ですが、「出題文」によく出てきます。

 

例えば:

 

・H17 大問2 (4) 校舎の落成を祝ってシキテンが催ざれる。

・H7 大問2 (4) 公会堂の落成をイワって、演奏会が催される。

・H3 大問2 (2) 恩師をマネいて、同窓会を催す。

 

 

問題は、太字のカタカナの部分ですが、問題文に「催す」が使われています。

 

 

ところで、本年度の大問1 (3)の問題文ですが、H9の問題と比べてみると、かなり似かよっています。

 

 

・H31 大問1 (3) 新緑の渓谷を眺めながら川下りを楽しむ。

・H9 大問1 (4) 美しい渓谷を眺めながら、川を舟で下る。

 

 

おそらく、「過去問」を参考にして、作問されたのでしょう。

 

同じような例を探してみました。

 

 

 

・H28大問1 (2)  氷上の華麗な舞に拍手が沸き起こる。

・H21大問1 (4)  氷上の華麗な舞いに、観客の拍手が起こる。

 

・H28 大問1 (4) 地域を循環するバスが満開の桜並木を走る。

・H18 大問1 (3) 街を循環するバスが新緑の並木道を走る。

 

・H28 大問1 (5) プランターで栽培したトマトが赤く色づく。

・H18 大問1 (5) 心を込めて栽培したトマトが赤く色づく。

・H8 大問1 (2) 栽培しているトマトが色づく。

 

・H27 大問2 (1) 体力テストで、ハンドボールをげる。

・H18 大問1 (1) 体力測定で、ハンドボールをげる。

 

・H23 大問2 (3) この春、新しい科学雑誌が創刊される。

・H2 大問2 (5) この春、新しい文芸雑誌が創刊される。

 

・H16 大問1 (5) 卒業アルバムを見ながら、なつかしい思い出にる。

・H5 大問1 (4) 卒業も問近になって、二年問の思い出にる。

 

 

 

それから、過去の「読み」の問題を「書き」の問題に「再利用」したものもあります。

また、文中の「別の漢字」を問題にするという「応用」もあります。

 

 

・H27大問2 (2)  バスのシャソウから新緑の山々を眺める。(書きの問題)

・H20大問1 (4) バスの車窓から雪をいただく山々を望む。(読みの問題)

 

・H28 大問1 (1) 額の汗をいながら、山道を歩く。

・H7 大問2 (3) ヒタイの汗をぬぐいながら、山頂を目指す。

 

・H17 大問2 (4) 校舎の落成を祝って、シキテンが催される。

・H7 大問2 (4) 公会堂の落成をイワって、演奏会が催される。

 

・H28 大問2 (3) 外国へ行くために、リョケンの発行を申請する。

・H22 大問2 (1) 海外に行くために、リョケンを申請する。

・H17 大問1 (5) 海外旅行のために、旅券の発行を申請する。

 

 

 

当然、「完全コピー」もあります

 

 

・H30 大問1 (5) 忙しさにれて、妹に頼まれた買い物を忘れる。

・H10 大問1 (5) 忙しさにれて、妹に頼まれた買い物を忘れる。

 

・H29大問1 (2)  垣根をてて、梅の香が漂ってくる。

・H5 大問1 (3)  垣根をてて、梅の香が漂ってくる。

 

・H23 大問2 (2) 庭のかきの実が、赤くジュクしてきた。

・H13 大問2 (1) 庭のかきの実が、赤くジュクしてきた。

 

・H22 大問2 (3) 料理のザッシを見ながら、夕食の献立を考える。

・H14 大問2 (3) 料理のザッシを見ながら夕食の献立を考える。

 

・H22 大問1 (5) 三年間の学校生活をみて、卒業文集の原稿を書く。

・H13 大問1 (5) 三年間の学校生活をみて、卒業文集の原稿を書く。

 

 

 

漢字の問題の「出題パターン」は、5とおりあります。

 

①出題文も問題もほぼ同じ。

②出題文が少し違う。問題は同じ。

③出題文はほぼ同じ。問題は違う箇所。

④出題文は違う。問題は同じ。

⑤出題文は違う。問題も違う。

 

 

①~③は「過去問」を参照して作問されています。

④は、たまたま同じ問題になってしまったのかもしれません。しかし、「過去問」を踏まえた出題だった可能性もあります。

 

 

 

できるかぎり過去問をやったほうがいいという話です。

都立の三十数年分の漢字の問題を解かせた受験生たちは、漢字で点数を落としませんでした。

 

 

 

で、まあ、話のついでに一応ちょっと書いておこうと思うのですが、希少な古い「過去問」を手に入れて利用することを「ズル」だと思う人は、「理性的な思考が苦手」なのだろうと思います。

 

 

私は、「それ」を使うことが塾の人間の「道義」であると確信しています。

 

 

 

 (ivy 松村)

「音読み」の話④

まずは、「前段」。

 

平安時代の人々は、「はひふへほ」を「ぱぴぷぺぽ」と発音していたといわれています。つまり、昔の日本では、「ハ行」は「パ行」だったわけです。

 

たとえば、「母」は、現代では「ハハ」と発音しますが、古代の日本では、「パパ」と発音していたわけです。

 

また、「はひふへほ」は、安土桃山時代ごろには、「ふぁ・ふぃ・ふ・ふぇ・ふぉ」に近い発音に変化していたことがわかっています。

 

たとえば、当時の人々は、「日本」を「ニフォン」、平戸を「フィラド」と発音していました。

 

 

日本語には、「ぱぴぷぺぽ」→「ふぁ・ふぃ・ふ・ふぇ・ふぉ」→「はひふへほ」という発音の変化があったわけです。

 

 

 

では、「本題」に入りましょう。

 

前回の記事で、漢字には、本来、末尾に[k]や[t]の発音を持つものがあったことを紹介しました。

実は、「末尾の子音」には、もう一種類あるのです。

 

[p]です。

 

古代中国語には、末尾が[k]・[t]、そして[p]の発音となっている漢字が存在していたのだということになります。

これらを合わせて、「入声」と呼びます。

(「入声」は「ニッショウ」とも、「ニュウセイ」とも読みます。)

 

 

「入声」は、現代中国語の標準語(普通語)、いわゆる「北京語」には、存在しません。

モンゴル人の支配を受けた元代までに、華北(中国北部)の口語は大きく変質したといわれています。

 

一方、南方の「方言」には、古代の発音体系の一部が残存しています。

たとえば、香港などで使われている「広東語」には、語末の[k]・[t]・[p]の発音が見られます。同じように、日本語や朝鮮語に取り入れられた「漢語」にも、「入声」の「痕跡」を見ることができます。

 

 

 

ということで、日本語に残る「入声」の[p]の発音を「発掘」してみましょう。

 

 

「納」・「合」・「十」という漢字を使って考えてみます。

 

これらの字は、それぞれ「ノウ」・「ゴウ」・「ジュウ」と読みます。

 

確認してみましょう。

 

 

入(「ノウ」ニュウ)、品(「ノウ」ヒン)

格「ゴウ」カク)、同(「ゴウ」ドウ)

時「ジュウ」ジ)、代(「ジュウ」ダイ)

 

 

これらは、なんの変哲もない普通の漢字の音読みのように思えますが、それぞれを「歴史的仮名遣い」を用いて表記すると:

 

 

・納→「ナフ」

・合→「ガフ」

・十→「ジフ」

 

 

になるのです。

 

ここで、「ハ行」は、以前「パ行」であった、ということを思い出しましょう。

 

古代の日本人は、「プ」という音を、「フ」と表記していたのです。

 

「納」・「合」・「十」の「読み仮名」は、それぞれ「ナフ」・「ガフ」・「ジフ」と書かれたわけですが、それらは「ナプ」・「ガプ」・「ジプ」と発音されていたということになります。

 

つまり、これらの語は、従来、末尾に[p]の発音を持っており、そのために「プ」という日本語の発音があてられ、ゆえに「フ」と表記されたわけです。

 

 

古代中国語では、それぞれ、[nap]・[gap]([kap])・[zip]という発音に近い音だったと考えられます。

 

 

ちなみに、「広東語」では、これらの字を以下のように発音します。

(中国語に存在する「声調」の表記を省きました。)

 

 

・「納」→[naap]

・「合」→ [hap]

・「十」→ [sap]

 

 

末尾に[p]の音があります。

「広東語」は、古代中国語の発音を、よく残しています。

 

 

 

「納」・「合」・「十」は、現代では「ノウ」・「ゴウ」・「ジュウ」と読まれ、「二重母音」の発音に組み込まれています。

そのために、もともと「入声」であったことがわかりづらくなっています。

 

 

しかし、これらが本来「入声」であったことを物語る現象があります。

それが、「促音化」です。

 

以下の熟語を見てみましょう。

 

 

豆「ノウ」(ナプ)→「ナッ」トウ

体「ゴウ」(ガプ)→「ガッ」タイ

階「ジュウ」(ジプ)→「ジュッ」カイ(「ジッ」カイ)

 

 

末尾の「ウ」(プ)が、「ッ」に変化する「促音化」が起こっていることがわかります。

 

これは、古代中国語の「入声」の「残余」なのです。

 

 

 

普段、意識しないで 使っている「表現」の中に、「言葉の歴史」が隠されています。

「面白い」と思うか、「だから、何?」と思うか、さて、みなさんはどちらなのでしょう。

 

 

 

今回の「シリーズ」では「音読み」について見てきました。

これについて書こうと思ったのは、最近の国語の授業で、「漢字の読み」について話す機会が多くなったからです。

 

学年の最初は、どの学年も「語句の知識」の単元があります。

各学年ともに、「漢字の成り立ち」や「漢字の音訓」、「熟語の組み立て」などについて学びます。

 

時間的な制約もありますので、授業では、それほど深く説明しないこともあります。

いろいろと知りたいかたは、過去に書いた以下の記事が役に立つと思います。

ぜひ、参考にしてしてください。

 

 

「呉音・漢音・唐音」

「難しい読みの熟語」

「熟語の読み方」

「漢字の音訓」

「漢字の成り立ち(六書)」

「対義語」「熟語の構成」

 

 

(ivy 松村)

 

「音読み」の話③

漢字の音読みは、ほとんどが「一音節」となっていますが、例外的に「二音節」となっているものもあります。

「二音節」の音読みの漢字は、語末の音が「キ・ク・ツ・チ」となっています。

 

このうち、「キ」と「ク」には「同質性」があり、「ツ」と「チ」にも「同質性」があります。

 

 

古代中国語の発音には、末尾に[k]の音が現れるものと、[t]の音が現れるものがありました。

 

[k]の音は、日本語の発音体系では、「キ」あるいは「ク」と表示されるわけです。

[t]の音は、日本語の発音体系では、「チ」あるいは「ツ」と表示されるわけです。

 

 

ですから、「キ・ク」と「ツ・チ」は、それぞれが同系統の発音の「グループ」であるということになります。

 

 

 

ところで、語末に[k]や[t]の音があらわれるような「末尾の子音」は、英語にもよく見られるものです。

 

以下の単語の発音を確認してみましょう。

 

※ kick、cook、sick、tick、took、neck、knock、hook、luck、lock、rock、back、book…

※ at、cut、sat、sit、set、knit、net、not、hat、hit、foot、hot、mat、met、rat、let、lot…

 

 

これらの単語は、「一音節」です。

実は、音声学的には、(「子音」+)「母音」+「子音」の発音は「一音節」になるのです。

 

たとえば、「knock」の発音は、簡易的に表示すると[nok]となります。

末尾の[k]の音には「母音」が付いていません。

ですから、これは、[o]というひとつの「母音」で完結する「一音節」の発音であるということになります。

 

[nok]は「一音節」です。

 

 

一方、日本人は、「knock」を「ノック」と表記し、[nokku]と発音します。

 

「ノック」の発音には、「母音」が二つ現れています。

[o]と[u]の2つの「母音」を有しているので、この場合の発音は「二音節」となります。

 

[nokku]は、「二音節」です。

 

 

 

日本語の発音体系では、全ての「音」に母音が付属します。

つまり、「子音」だけの発音が存在し得ないのです。(「ん」は例外。)

 

そのため、外来語の「末尾の子音」にも「母音」が付けられ、結果、その語が「二音節」となってしまうわけです。

 

 

 

同様に、漢字の発音も、日本語の特性が作用して、変化してしまうのです。

 

本来、漢字の発音はすべて「一音節」です。

それが、日本語に取り入れる際に、「末尾の子音」に「母音」を付加してしまったために、一部の発音が「二音節」になってしまったのです。

 

 

 

古代中国語の発音がどのようなものだったのか、実は、よくわかっていません。

ですが、たとえば、「国」という字は、本来、[kok]のような音だったと推測することができます。

 

わかりやすく言うならば、ニワトリの鳴きまねをして「コッ・コッ・コッ」というときの「コッ」のような音だったと考えられるわけです。

 

これは「一音節」です。

 

その発音は、「コク」という音読みを与えられて、日本語に「移入」されました。

 

これは、「二音節」です。

 

 

「国」という字は、「国語」(「コク」ゴ)「国民」(「コク」ミン)「国際」(「コク」サイ)などの熟語を構成するときには「コク」という「二音節」の読みになります。

 

ところが、「国家」(「コッ」カ)「国旗」(「コッ」キ)「国境」(「コッ」キョウ)などの熟語を構成するときには「コッ」という「一音節」の読みになります。

 

これは、後ろにあらわれる「音」によって、「国」の「本来の発音に近い音」が出現するためなのです。

 

 

 

実は、現代の中国語の共通語(北京語・普通語)では、末尾に[k]や[t]が置かれる発音は、完全に消失してしまっています。

 

一方、中国語の「方言」には、古代中国語の発音(の一部)を残しているものもあります。

 

その代表は、香港などで話されている「広東語」(粤語)です。

「広東語」には、末尾の[k]や[t]が残存しています。

 

 

「広東語」の「国(國)」の発音を簡易的に表すと、 [gwok]になります。

日本人には、「グォッ」と聞こえます。

 

末尾の[k]は、聞こえるか聞こえないか、くらいの音で、のどの奥を閉めて、音を遮断するようにして発音します。

音声学的には、「声門閉鎖音」と呼ばれるものです。これは、日本語の「促音」(「ッ」の音)に近い音です。

 

 

 

音読みの末尾が「キ・ク・ツ・チ」になる漢字には、同じように、末尾が「ッ」に変化する「促音化」が起こります。(一部、例外がありますが。)

 

 

・石鹸「セキ」→「セッ」ケン

・敵機「テキ」→「テッ」キ

 

・学校「ガク」→「ガッ」コウ

・落下「ラク」→「ラッ」カ

 

・鉄柱「テツ」→「テッ」チュウ

・決心「ケツ」→「ケッ」シン

 

・日記「ニチ」→「ニッ」キ

・吉報「キチ」→「キッ」ポウ

 

 

それぞれの漢字は、「広東語」では以下のような発音になります。(「声調」の表記を省きました。)

 

・石 [sek]

・敵 [dik]

 

・学(學) [hok]

・落 [lok]

 

・鉄(鐵) [tit]

・決 [kuet]

 

・日 [yat]

・吉 [gat]

 

 

やはり、末尾に[k]と[t]が現れていますね。

 

 

 

(ivy 松村)

 

「音読み」の話②

漢字の「音読み」は、基本的には「一音節」ですが、中には、「二音節」の音読みの漢字があります。

 

「二音節」の音読みの漢字の末尾の音は、下のいずれかの音になります。

 

 

「キ」「ク」「ツ」「チ」

 

 

これらの漢字は、「訓読み」と間違えやすいので気をつけましょう。

 

漢字の語末の読みが「キ・ク・ツ・チ」となっているときには音読みの場合が多い、と知っておくととても便利です。

 

 

 

◎音読みの語末が「キ」となる漢字の例:

 

域「イキ」、駅・液「エキ

式・色「シキ」、席・咳「セキ

敵・的「テキ

壁・癖「ヘキ

力「リキ」、歴・礫「レキ

劇・激「ゲキ

直「ジキ

 

 

 

◎音読みの語末が「ク」となる漢字の例:

 

悪・握「アク」、育「イク」、屋・億「オク

各・角「カク」、菊「キク」、国・告「コク

策・柵「サク」、則・足「ソク

宅・択「タク」、竹・築「チク」、特・得「トク

肉「ニク

白・箔「ハク」、福・服「フク」、北「ホク

幕・膜「マク」、目・木「モク

訳・約「ヤク」、欲・翌「ヨク

楽・落「ラク」、陸「リク」、六「ロク

額・学「ガク」、極・獄「ゴク

軸・竺「ジク」、俗・賊「ゾク

濁・諾「ダク」、毒・独「ドク

爆・漠「バク」、僕、墨「ボク

客・脚「キャク」、局・曲「キョク

借・尺「シャク」、祝・宿「シュク」、食・職「ショク

着・嫡「チャク」、直・勅「チョク

若「ニャク

百「ヒャク

脈「ミャク

略・掠「リャク」、力・緑「リョク

逆・虐「ギャク」、玉「ギョク

弱・若「ジャク」、宿・塾「ジュク」、辱「ジョク

白・百「ビャク

 

 

 

◎音読みの語末が「ツ」となる漢字の例:

 

圧「アツ」、逸「イツ」、鬱「 ウツ」、越・悦「エツ」、乙「オツ

活・克「カツ」、喫・詰「キツ」、屈・窟「クツ」、血・決「ケツ」、骨・惚「コツ

冊・察「サツ」、失・室「シツ」、節・設「セツ」、卒「ソツ

達「タツ」、秩・窒「チツ」、鉄・哲「テツ」、突・凸「トツ

熱・捏「ネツ

発・髪「ハツ」、必・筆「ヒツ」、仏・沸「フツ

末「マツ」、密・蜜「ミツ」、滅「メツ」、物「モツ

率・律「リツ」、列・劣「レツ

月「ガツ」、月「ゲツ

雑「ザツ」、実・日「ジツ」、絶・舌「ゼツ

奪・脱「ダツ

罰・抜「バツ」、仏・物「ブツ」、別・蔑「ベツ」、没・勃「ボツ

出「シュツ

術・述「ジュツ

 

 

 

◎音読みの語末が「チ」となる漢字の例:

 

一「イチ

吉「キチ

七・質「シチ」、節「セチ

日「ニチ

八・鉢「ハチ

律「リチ

罰「バチ

 

 

 

訓読みの末尾が「き・く・つ・ち」となっている漢字もあるので注意しましょう。

 

 

◎末尾が「き・く・つ・ち」となっている訓読みの漢字の例:

 

※(  )内は音読み

 

 

息「いき」(ソク)

粋「いき」(スイ)

沖「おき」(チュウ)

垣「かき

柿「かき

茎「くき」(ケイ)

先「さき」(セン)

崎「さき」(キ)

隙「すき」(ゲキ)

関「せき」(カン)

滝「たき

月「つき」(ガツ、ゲツ)

時「とき」(ジ)

軒「のき」(ケン)

牧「まき」(ボク)

巻「まき」(カン)

匹「ひき」(ヒツ)

雪「ゆき」(セツ)

脇「わき」(キョウ)

 

奥「おく」(オウ)

枠「わく」 ※国字

 

厚「あつ」(コウ)

且「かつ

靴「くつ」(カ)

竜「たつ」(リュウ)

筒「つつ」(トウ)

夏「なつ」(カ)

初「はつ」(ショ)

松「まつ」(ショウ)

 

市「いち」(シ)

内「うち」(ナイ)

口「くち」(コウ)

幸「さち」(コウ)

土「つち」(ド・ト)

栃「とち」 ※国字

後「のち」(ゴ、コウ)

蜂「はち」(ホウ)

縁「ふち」(エン)

淵「ふち」(エン)

町「まち」(チョウ)

街「まち」(ガイ)

道「みち」(ドウ)

餅「もち」(ヘイ)

 

 

(ivy 松村)

 

「音読み」の話①

漢字の音読みは、基本的に「一音節」です。

 

たとえば、以「イ」、呂「ロ」、波「ハ」、似「ニ」…というように、漢字の音読みの発音は、ひとつの「母音」を基準にしています。

 

 

漢字の中には、音読みの発音が「二重母音」のものもあります。

しかし、一般的には、「二重母音」は「一音節」として数えますので、これらはやはり「一音節」の漢字ということになります。

 

 

◎「二重母音」の音読みの漢字の例:

 

藍・愛「アイ」、英・永「エイ」、王・桜「オウ

会・回「カイ」、空「クウ」、計・系「ケイ」、甲・項「コウ

再・最「サイ」、水・酔「スイ」、数・枢「スウ」、正・政「セイ」、層・双「ソウ

体・帯「タイ」、対・追「ツイ」、通・痛「ツウ」、帝・亭「テイ」、塔・党「トウ

内「ナイ」、寧「ネイ」、能・脳「ノウ

灰・肺「ハイ」、封・風「フウ」、兵・塀「ヘイ」、報・邦「ホウ

毎・枚「マイ」、明・命「メイ」、毛・網「モウ

唯・遺「ユイ」、有・憂「ユウ」、用・様「ヨウ

来・雷「ライ」、類・累「ルイ」、令・礼「レイ」、郎・老「ロウ

歪・賄「ワイ

 

外・街「ガイ」、偶・宮「グウ」、芸・迎「ゲイ」、号・郷「ゴウ」

在・材「ザイ」、随・隋「ズイ」、税・勢「ゼイ」、象・蔵「ゾウ」

台・題「ダイ」、泥「デイ」、堂・銅「ドウ

倍「バイ」、米「ベイ」、棒・某「ボウ

 

九・旧「キュウ」、凶・京「キョウ

週・州「シュウ」、将・賞「ショウ

中・注「チュウ」、丁・腸「チョウ

乳・柔「ニュウ」、尿「ニョウ

票・豹「ヒョウ

妙・名「ミョウ

竜・流「リュウ」、両・量「リョウ

 

牛「ギュウ」、行・凝「ギョウ

銃・重「ジュウ」、情・条「ジョウ

謬「ビュウ」、秒・病「ビョウ

 

 

 

また、語末が「ン」の発音となっている音読みの漢字もあります。

しかし、語末の「ン」は、それのみを「音節」にカウントしないことになっているので、やはりこれらの漢字も「一音節」の音読みの漢字ということになります。

 

 

◎音読みの語末が「ン」となる漢字の例:

 

安・暗「アン」、印・院「イン」、運・雲「ウン」、演・円「エン」、音・恩「オン

感・勘「カン」、金・菌「キン」、訓・君「クン」、県・件「ケン」、紺・根「コン

三・算「サン」、真・進「シン」、寸「スン」、線・栓「セン」、損・尊「ソン

単・丹「タン」、珍・陳「チン」、点・天「テン」、豚・頓「トン

難・南「ナン」、任・忍「ニン」、年・念「ネン

判・班「ハン」、品・貧「ヒン」、分・墳「フン」、辺・変「ヘン」、本・奔「ホン

万・満「マン」、民・眠「ミン」、面・綿「メン」、門・紋「モン

乱・蘭「ラン」、林・輪「リン」、連・恋「レン」、論「ロン

湾・椀「ワン

 

岸・癌「ガン」、銀・吟「ギン」、軍・郡「グン」、玄・現「ゲン」、権、言「ゴン

残・斬「ザン」、陣・仁「ジン」、全・善「ゼン」、存「ゾン

段・団「ダン」、伝・田「デン」、鈍・呑「ドン

番・晩「バン」、瓶・便「ビン」、文・聞「ブン」、弁・便「ベン」、盆、凡「ボン

 

旬・駿「シュン

順・準「ジュン

 

 

(ivy 松村)

 

 

「呉音・漢音・唐音」

土日は定期テスト対策を行っています。

明日、6月19日(日)も2時から校舎を開けますので、是非、テスト勉強に使ってください。

 

 

 

八王子の中学の3年生の国語の期末試験で、「呉音・漢音・唐音」が出題されるようです。

 

 

・呉音…奈良時代以前に伝えられた音読み。長江下流域の発音。仏典などに見られる。

・漢音…奈良時代から平安時代に伝えられた音読み。北方地方(隋唐 洛陽・長安)の発音。

・唐音…鎌倉から江戸にかけて伝えられた音読み。

 

気をつけなければならないのは、「唐の時代」(7~10世紀)に日本に伝えられたのは「漢音」であるということです。また、「宋・(元)・明・(清)の時代」に伝えられたのが「唐音」です。

 

つまり、「漢音」は「漢」が滅びた後に日本に伝わった音です。

そして、「唐音」は「唐」が滅びた後に伝わった音です。

 

「名称」と「伝えられた時代の中国王朝」が異なっていることに注意しましょう。

 

 

 

それぞれの音を比べてみましょう。

 

 

 呉音  漢音  唐音
ギョウ コウ アン
行列(ギョウレツ) 行動(コウドウ) 行脚(アンギャ)
キョウ ケイ キン
東京(トウキョウ) 京阪(ケイハン) 南京(ナンキン)
キョウ ケイ キン
経文(キョウモン) 経営(ケイエイ) 看経(カンキン)
ミョウ メイ ミン
明日(ミョウニチ) 明白(メイハク) 明国(ミンコク)
ズ   トウ ジュウ
頭上(ズジョウ) 先頭(セントウ) 饅頭(マンジュウ)
ガイ ウイ
外道(ゲドウ) 外交(ガイコウ) 外郎(ウイロウ)

 

 

 

 

日本人は、「唐音」に非常に特異な印象を受けるでしょう。それは、歴史の中で中国語が激しく変化したからです。言語は、年月とともに変化していきます。

 

※「唐音の例」・・・扇子(センス)、杜撰(ズサン)、提灯(チョウチン)、胡散(ウサン)、椅子(イス)、箪笥(タンス)、普請(フシン)、瓶(ビン)、鈴(リン)。

 

 

 

中国語の発音は、時代や地域によって変化しています。日本に伝わった音が、いつ、どの地域から伝わったかによって、漢字の読み方が違っているのです。

 

少し乱暴な説明が許されるのであれば、「明」という字の中国語の発音が「ミョウ」→「メイ」→「ミン」という変化をしてきたのだということになります。そして、それぞれの発音が、順次日本にもたれされたわけです。

 

 

「明」という字は「現代中国語」の共通語(北京官語、普通語と呼ばれる)では「míng」と発音します。「míng」は、日本人の耳には「ミン」と聞こえます。

つまり、「明」という漢字を「ミン」と読む「唐音」は、「現代中国語」に最も近い音なのです。

 

一方、「ミョウ」という「呉音」は、古代中国語の発音を模写したものです。

 

言ってみれば日本人は、1000年以上前の中国語の発音を維持しているわけです。

 

もちろん、実際には、日本語の発音システムには存在しない要素(声調)があるので、正確な音を模倣しているわけではありませんが。

 

 

 

「唐」の時代より前の中国語の発音は失われています。古代中国語の「発音」は言語学における「謎」のひとつです。

面白いことに、古代の中国語の発音を再現するのに、日本語の音読みが「ヒント」になることがあるのだそうです。

 

言語は、文化の中心地から遠い場所に、古い形式が保存されることがあります。「呉音」や「漢音」は、その一例であるといえます。

 

 

 

中学3年生は、2学期に、学校で「魯迅」(ろじん)という中国の作家の作品、『故郷』を学習します。

その作品は、日野市の教科書(光村図書)では106ページ、八王子市の教科書(教育出版)では162ページに掲載されています。

 

「中国近代文学の偉大な父」である魯迅は、若いころに日本に留学していました。

日本で魯迅を驚かせたことのひとつが「漢字の発音」だったのだそうです。

 

中国ではすでに失われてしまった古い時代の中国語が、まだ、日本で「活きている」ということを知った魯迅は、大きな衝撃を受けたのでした。

 

 

 

何人かに「呉音・漢音・唐音」の説明のプリントを配りました。他にも欲しい人には差し上げるので声をかけてください。

 

(ivy 松村)

国語 「難しい読みの熟語」

※おまけで、難しい読みの熟語を載せておきます。

 

いくつ知っているでしょうか?

 

 

網代 公家 蔵人 防人 双六 内裏 舎人 初詣
あじろ くげ くろうど さきもり すごろく だいり とねり はつもうで

 

法度 埴輪 判官 勾玉 行脚 稲荷 和尚 帰依
はっと はにわ ほうがん まがたま あんぎゃ いなり おしょう きえ

 

供養 建立 釈迦 神道 般若 菩薩 布袋 弥勒
くよう こんりゅう しゃか しんとう はんにゃ ぼさつ ほてい みろく

 

合羽 刺繍 灰汁 割烹 蒲鉾 惣菜 佃煮 麦酒
かっぱ ししゅう あく かっぽう かまぼこ そうざい つくだに ビール

 

饅頭 味噌 羊羹 硝子 箪笥 暖簾 団扇 剃刀
まんじゅう みそ ようかん ガラス たんす のれん うちわ かみそり

 

炬燵 独楽 財布 石鹸 雑巾 算盤 提灯 結納
こたつ こま さいふ せっけん ぞうきん そろばん ちょうちん ゆいのう

 

許嫁 曲者 下戸 末裔 稲妻 陽炎 夏至 時化
いいなずけ くせもの げこ まつえい いなずま かげろう げし しけ

 

黄昏 氷柱 冬至 生憎 欠伸 胡坐 天晴 如何
たそがれ つらら とうじ あいにく あくび あぐら あっぱれ いかん

 

漁火 所謂 産湯 思惑 気質 闊達 彼方 生粋
いさりび いわゆる うぶゆ おもわく かたぎ かったつ かなた きっすい

 

敬虔 怪訝 健気 流石 洒落 台詞 科白 団欒
けいけん けげん けなげ さすが しゃれ せりふ せりふ だんらん

 

何処 馴染 長閑 黒子 火傷 所以 烏賊 海老
どこ なじみ のどか ほくろ やけど ゆえん いか えび

 

牡蠣 蝸牛 河童 麒麟 孔雀 蜘蛛 海月 蝙蝠
かき かたつむり かっぱ きりん くじゃく くも くらげ こうもり

 

蜻蛉 河豚 時鳥 土竜 山羊 駱駝 栗鼠 南瓜
とんぼ ふぐ ほととぎす もぐら やぎ らくだ りす かぼちゃ

 

胡瓜 胡桃 胡麻 椎茸 西瓜 蕎麦 土筆 茄子
きゅうり くるみ ごま しいたけ すいか そば つくし なす

 

撫子 海苔 薔薇 葡萄 牡丹 蜜柑 百合 山葵
なでしこ のり ばら ぶどう ぼたん みかん ゆり わさび

 

 

(ivy 松村)

 

 

国語 解説「熟語の読み方」(中3中間テスト解説)

2字の熟語の読み方について考えてみましょう。

 

中3の中間テストで、「熟語の読み方」がテスト範囲に含まれている学校があります。

一学期にも解説を書きましたが、あらためて教科書の内容を反映させた解説を載せておきます。

 

 

漢字で構成された単語を「熟語」といいますが、2字で作られた熟語の読み方は2×2で、以下の4通り、さらに+1通りあります。

 

・音読み+音読み

・訓読み+訓読み

・音読み+訓読み (重箱読み)

・訓読み+音読み (湯桶読み)

 

・特別な読み(熟字訓)

 

 

 

①音読み+音読み

 

 

着陸 住居 沸騰 頒布 峡谷 発端 謁見 威嚇
チャクリク ジュウキョ フットウ ハンプ キョウコク ホッタン エッケン イカク
甲乙 崩壊 撲滅 硫酸 人間 空間 機械 親友
コウオツ ホウカイ ボクメツ リュウサン ニンゲン クウカン キカイ シンユウ

 

胃腸 天然 殺生 宿敵 損得 駅長 熱湯 着陸
イチョウ テンネン セッショウ シュクテキ ソントク エキチョウ ネットウ チャクリク

 

 

 

 

②訓読み+訓読み

 

 

着物 居間 外堀 垣根 干潟 浅瀬 繭玉 歌声
きもの いま そとぼり かきね ひがた あさせ まゆだま うたごえ

 

花火 雪国 手紙 浜辺 菜種 上着 水際 小型
はなび ゆきぐに てがみ はまべ なたね うわぎ みずぎわ こがた

 

街角 屋根 常夏 十日 毛糸 山桜 石畳 野原
まちかど やね とこなつ とおか けいと やまざくら いしだたみ のはら

 

 

日本語は、言葉が連なるときに、後ろに連なる語に「〃」が付くことがあります。

「カ行」→「ガ行」、「サ行」→「ザ行」、「タ行」→「ダ行」「ハ行」→「バ行」へと音の変化が起こります。

これを「連濁」といいます。

 

たとえば、「堀」は「ほり」という音ですが、「外堀」のように別の語の後ろに連なるときには「ぼり」という発音になりますね。

 

その他にも語の連なりによって起こる音の変化がありますので、気を付けましょう。

 

 

 

③音読み+訓読み (重箱読み)

 

 

仕事 本物 気軽 別棟 素直 錠前 碁石 客間
シごと ホンもの キがる ベツむね スなお ジョウまえ ゴいし キャクま

 

献立 絵筆 味方 本箱 素顔 地元 番組 毎朝
コンだて エふで ミかた ホンばこ スで ジもと バンぐみ マイあさ

 

両手 額縁 縁側 役場 札束 王様 茶畑 試合
リョウて ガクぶち エンがわ ヤクば サツたば オウさま チャばたけ シあい

 

台所 新芽 本棚 缶詰 雑木 楽屋 客間 献立
ダイどころ シンめ ホンだな カンづめ ゾウき ガクや キャクま コンだて

 

無口 幕内 銀色 両替 蛇口 職場 親身 粗品
ムくち マクうち ギンいろ リョウがえ ジャぐち ショクば シンみ ソしな

 

 

 

④訓読み+音読み (湯桶読み)

 

 

夕刊 手本 荷物 枠内 喪中 切符 見本 合図
ゆうカン てホン にモツ わくナイ もチュウ きっプ みホン あいズ

 

雨具 相性 荷物 野宿 消印 強気 手帳 関所
あまグ あいショウ にモツ のジュク けしイン つよキ てチョウ せきショ

 

湯気 店番 悪気 指図 影絵 古本 稲作 場所
ゆゲ みせバン わるギ さしズ かげエ ふるホン いなサク ばショ

 

屋台 道順 株券 裏門 豚肉 赤字 黒幕 油絵
やタイ みちジュン かぶケン うらモン ぶたニク あかジ くろマク あぶらエ

 

 

 

※複数の読み方をする熟語

 

 

上手 明日 年月 大事 人気 大家 風車 利益
 かみて

うわて

じょうず

ミョウニチ

あす

ネンゲツ

としつき

ダイジ

おおごと

ニンキ

ひとケ

タイカ

おおや

フウシャ

かざぐるま

リエキ

リヤク

 

 国境 生地 生物 色紙 寒気 見物 草原 市場
コッキョウ

くにざかい

セイチ

きジ

セイブツ

なまもの

シキシ

いろがみ

さむケ

カンキ

ケンブツ

みもの

ソウゲン

くさはら

シジョウ

いちば

 

 

 

 

※熟字訓

 

 

明日 今年 五月雨 白髪 梅雨 吹雪 乙女 雪崩
あす ことし さみだれ しらが つゆ ふぶき おとめ なだれ

 

相撲 硫黄 山車 太刀 七夕 足袋 読経 名残
すもう いおう だし たち たなばた たび どきょう なごり

 

雪崩 日和 吹雪 土産 眼鏡 乳母 小豆 海女
なだれ ひより ふぶき みやげ めがね うば あずき あま

 

田舎 河岸 風邪 為替 玄人 時雨 清水 砂利
いなか かし かぜ かわせ くろうと しぐれ しみず じゃり

 

大和 銀杏 桟敷 神楽 投網 寄席 浴衣 仲人
やまと いちょう さじき かぐら とあみ よせ ゆかた なこうど

 

素人 玄人 雑魚 母屋 師走 祝詞 猛者 蚊帳
しろうと くろうと ざこ おもや しわす のりと もさ かや

 

竹刀 景色 数珠 築山 木綿 十重 若人 行方
しない けしき じゅず つきやま もめん とえ わこうど ゆくえ

 

早苗 芝生 野良 老舗 草履 尻尾 鍛冶 固唾
さなえ しばふ のら しにせ ぞうり しっぽ かじ かたず

 

居士 弥生 海原 息吹 稚児 土産 紅葉 上手
こじ やよい うなばら いぶき ちご みやげ もみじ じょうず

 

 

しっかり復習しておきましょう。

 

 

(ivy 松村)

 

 

国語 解説「漢字の音訓」

漢字には主に2通りの発音があります。「音読み」と「訓読み」です。

 

・音読み……昔の中国語の発音を再現した読み方

・訓読み……漢字の意味にそった日本語をあてた

 

 

音読みは、「古代中国語」の発音ですから、いってみれば「外国語」ということになります。

ですから、その発音は「日本語の意味」を表していません。

「読み」から意味を類推することができない読み方が、基本的には音読みです。

 

 

訓読みは、昔からある日本語を書き表すのに漢字を用いたものです。

同じ意味内容を持った日本語と漢字を結びつけて、日本語の発音で漢字を読んでいるものです。

つまり、外国の文字である漢字を、日本語を書き表すのに利用しているということになります。

「読み」から意味を類推することができる読み方が、基本的には訓読みです。

 

 

音読み サン セン ソウ モク・ボク ジン・ニン ニチ・ジツ
漢字
訓読み やま かわ くさ ひと

 

 

「サン」と言われても何のことだか迷ってしまいます。

しかし、「やま」と言われれば、隆起した地形や岩土の盛り上がりのことだと了解できます。

 

音読みは、読みが示す「対象」をイメージすることができません。

一方、訓読みは、読みと意味内容が一致しているということになりますね。

 

 

 

ただし、注意が必要です。

長い歴史の中で、音読みの語彙が、日本の生活や文化の中に根付き、身近なものとなっていることがらについて、音読みであるにもかかわらず、訓読みであると勘違いしてしまうことがあります。

 

たとえば、「茶」という漢字は「チャ」という音読みしかありませんが、これを訓読みであると思い込んでいる人もいるかもしれません。

「茶」という飲み物、あるいは植物は、日本文化あるいは日本人にとって、あまりにも身近なものとなってしまっているので、「日本語の発音」のように感じてしまっているのです。

 

 

反面、音節の短い訓読みなどは音読みと間違えやすいので注意しましょう。

 

 

 

◆訓読みと間違いやすい音読み

 

茶(チャ) 肉(ニク) 本(ホン) 絵(エ) 客(キャク)  気(キ)  服(フク) 券(ケン) 札(サツ)

駅(エキ) 番(バン) 菊(キク) 王(オウ) 台(ダイ) 列(レツ) 席(セキ) 具(グ) 区(ク)

恩(オン) 会(カイ) 経(キョウ) 曲(キョク) 軍(グン) 師(シ) 賞(ショウ) 情(ジョウ) 図(ズ)

税(ゼイ) 象(ゾウ) 台(ダイ) 段(ダン) 敵(テキ) 毒(ドク) 熱(ネツ) 票(ヒョウ) 棒(ボウ)

門(モン) 役(ヤク) 漁(リョウ) 礼(レイ) 列(レツ) 和(ワ)  差(サ) 半(ハン)  損(ソン)

得(トク) 楽(ラク) 苦(ク) 死(シ)  欲(ヨク) 愛(アイ)  徳(トク) 悪(アク)  天(テン) 地(チ)

陸(リク) 脳(ノウ) 肺(ハイ)  胃(イ)  液(エキ) 骨(コツ)  脈(ミャク) 金(キン) 銀(ギン)

鉄(テツ) 年(ネン)  週(シュウ) 晩(バン) 別(ベツ)  逆(ギャク) 式(シキ)  線(セン)

円(エン) 辺(ヘン) 点(テン) 角(カク)  球(キュウ) 劇(ゲキ) 詩(シ)  芸(ゲイ)

一(イチ) 二(ニ) 三(サン) 四(シ) 五(ゴ) 六(ロク) 七(シチ) 八(ハチ) 九(キュウ)

十(ジュウ) 百(ヒャク) 千(セン) 万(マン)

など。

 

◆音読みと間違えやすい訓読み

 

相(あい) 天(あま) 息(いき) 市(いち) 初(うい) 魚(うお) 氏(うじ) 内(うち) 産(うぶ)

上(うわ) 重(え) 小(お) 大(だい) 主(おも) 面(おも) 折(おり) 日(か・ひ) 貝(かい)

角(かど) 門(かど) 金(かな) 株(かぶ) 神(かん) 生(き) 黄(き) 君(きみ) 際(きわ) 毛(け)

小(こ) 木(こ) 粉(こ) 言(こと) 事(こと) 異(こと) 声(こわ) 逆(さか) 酒(さか)

幸(さち) 路(じ) 品(しな) 下(しも) 代(しろ) 州(す) 巣(す) 助(すけ) 背(せ・せい)

関(せき) 銭(ぜに) 手(た) 束(たば) 度(たび) 血(ち) 乳(ち) 常(つね) 角(つの) 面(つら)

十(と) 戸(と) 常(とこ) 共(とも) 供(とも) 問(とん) 名(な) 菜(な) 何(なに・なん) 荷(に)

新(にい) 主(ぬし) 音(ね) 野(の) 羽(は) 葉(は) 歯(は) 場(ば) 畑(はた) 機(はた) 初(はつ)

辺(べ) 火(ほ) 程(ほど) 目(ま) 真(ま) 身(み) 実(み) 群(むら) 室(むろ) 女(め) 矢(や)

屋(や) 家(や) 湯(ゆ) 世(よ) 代(よ) 夜(よ) 我(わ) 輪(わ)

など。

 

 

「音読み」「訓読み」をしっかり見分けられるようになりましょう。

 

(ivy 松村)