きみやとくらむ

2月になると、ある和歌を何度もつぶやいてしまいます。

 

 

 

袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ

 

 

(夏の日に)袖をぬらすようにして両手ですくえた水が

 

(冬の間に)氷ってしまっているのを

 

春のおとずれの(立春の)今日の風が

 

(今まさに)とかしているのだろうか

 

 

 

紀貫之の代表作です。

 

 

歌に詠みこまれた夏→冬という季節の移ろいを、どうしても夏期講習・冬期講習になぞらえてしまいます。

 

そして、「氷をとかす春の風」というのは、私たちにとって、やはり特別な「隠喩」であると感じずにはいられません。

 

 

 

何度つぶやいたとしても、その度に、この歌のもつ「力」に感じ入ってしまいます。

 

 

貫之は、視覚や聴覚によってではなく、「想像力」によって「春のおとずれ」を知覚しています。

 

 

「風やとくらむ」の「らむ」は現在推量の助動詞です。

 

「今ごろ~しているのだろう」と訳されますが、自分から遠くは離れた場所にいる人や、遠く離れた場所で起こっている出来事について、思いや考えを巡らせるときに使われる表現です。

 

 

「風やとくらむ」・・・今ごろ風が(氷った水を)とかしているのだろうか。

 

 

「想像力」を喚起された私は、ある情景に思いをはせます。

いや、むしろ、ある情景が思い浮かんでしまうからこそ、この歌をつぶやいてしまうのかもしれません。

 

 

・・・生徒たちは、今まさに、入試問題を「といている」のだろうか。

 

 

 

24日は、都立高校の入試ですね。

 

25日に、国公立大学の二次試験がはじまります。

 

 

がんばってください。

 

 

 

「そのとき」に、きっと私は、この歌をつぶやいているはずです。

 

 

(ivy 松村)

 

 

ブログをはじめます

3月21日に、ivyが開校して、4か月がたちました。今は夏期講習中です。

 

より良い塾を目指して、調整し、改善し、廃止し、新設する毎日です。日々、学習塾として進化しております。ようやく学習塾としての設備や体制が恒常的なものに整ってきました。

 

ホームページも開設し、ブログを公開することにしました。

 

何を書こうかと考えました。ふと、紀貫之の『土佐日記』が連想されました。「ブログ」は、「ウェブ」と「ログ(記録)」を合成してつくられた言葉ですが、一般に、インターネット上に書く「日記」であると捉えられています。

 

『土佐日記』は、土佐国(高知県)に赴任した貫之が、土佐から京に帰るまでの船旅の行程を書いた旅日記(紀行文)です。気になって調べてみると、12月21日に門出(出発)したと書かれています。そういえば、ivyの開校(門出)は3月21日でした。

 

また、一般に、「航海」は人生や組織の行く末の比喩となります。その未来に困難が予想されていても、希望と勇気をもって新しい挑戦を始めることを、航海への出発――「船出」になぞらえて表現することがあります。

 

ivyが船出して、4か月が過ぎました。船旅はまだまだ続きます。

 (ivy 松村)