英語の複数形の話②

英語の単数形と複数形の形が違う「不規則変化」は、英語の古い規則が残っているものと、「借用語」(外来語)に由来するものがあります。

「借用語」というのは英語以外の言語の語彙が、英語に取り入れられたものです。

 

特に、ラテン語や古代ギリシア語などに由来する単語の一部は、もともとの単語の形を押しとどめています。つまり、ラテン語や古代ギリシア語における単数形・複数形の形が、そのまま英語に取り入れられたのです。

その多くは、学術用語や専門用語だったのですが、中には、広く世間に浸透していったものもあります。

 

 

単数形 複数形
datum(データ) → data
medium(メディア) → media
phenomena(現象) → phenomenon
analysis(分析) → analyses
oasis(オアシス) → oases
basis(基礎) → bases

 

 

「data」や「media」、「phenomenon」などは正式には「複数形」ですが、これらの語が一般化するにつれて、現在では「単数形」としても使用されるようになっています。複雑な「単数・複数」の区別を無視して、一種の「単複同形」のように使われ始めるということですね。

さらに「英語化」が進行すると、「s」が付けられるようになるかもしれません。

 

 

英語に限りませんが、ある言語に、別の言語から語彙が流入する過程で、もともとの語の性質が変化させられることがあります。

 

最初は、もともとの言語における「単数・複数」の表示がそのまま取り入れられますが、やがて、その言葉が広く一般的に使われるようになると、徐々に英語の「ルール」に組み込まれていくのです。

 

 

 

英語は、日本語の語彙もたくさん取り入れています。

日本語は、「単数・複数」を区別しない言語なので、日本語由来の単語は、最初は「単複同形」として扱われることが多くなります。

たとえば、「samurai」「ninja」「haiku」などは、以前は複数を表すときでも「s」を付けないでそのままの形で表記されていましたが、近年では、「s」を付けた表現も見られるようになりました。

 

語彙がだんだん「英語の単語」として定着するにしたがって、英語の慣例に従って「s」が付けられるようになってきます。

 

 

 

※複数形で使われる単語

 

 

基本的に「ペア」で使うものは、「s」が付けられます。

 

shoes(靴) socks(靴下) chopsticks(はし)
gloves(手袋) glasses(めがね) scissors(はさみ)

 

 

ちなみに、アメリカのプロ野球(メジャーリーグ)に「Red Sox」や「White Sox」という名前のチームがありますが、「sox」(ソックス)は「socks」のことなので、その表記には、複数形の「s」が内包されていることになります。

 

「shoes」などを数えるときには、「one(a) pair of shoes」「two pairs of shoes」・・・と数えます。

 

 

 

中2の授業では、集合名詞の説明もしました。

 

 

※集合名詞

 

 

同じ種類のものや人が集まった「集合」を表す名詞です。

 

family(家族) class(クラス) team(チーム)
club(クラブ) crew(乗組員) government(政府)
company(会社) audience(聴衆) crowd(群衆)

 

 

上に挙げた「集合名詞」は「単数扱い」になるものです。

 

例:

My class is wonderful.

「私のクラスは素晴らしい。」

 

 

「クラス全体」を「1つのもの」として扱う場合は「単数扱い」ですが、個々のものをさす場合には「複数扱い」になります。

「1つのもの」ではなく、「複数の存在」をあつかうことになるからです。

 

例:

My class are all well.

「私のクラスはみんな元気だ。」

 

 

また、集合名詞は、数えられないわけではないので注意してください。

「one (a) class」、「two classes」、「three classes」・・・。

 

 

一方、常に複数扱いをする集合名詞もあります。

 

 

people(人々) police(警察) cattle(家畜の牛)

 

 

例:

The people are running in the park.

「その人たちは公園で走っている。」

 

このなかで、「people」は「人々」という意味のときは「複数扱い」ですが、「国民・民族」という意味のときには単数・複数を区別して使うので注意しましょう。

その場合には、単数は「people」、複数は「peoples」になります。

 

 

 

あとは、不可算名詞について説明しました。

この辺は大丈夫だと思います。

ノートを確認しておきましょう。

 

(ivy 松村)

 

英語の複数形の話①

前回の中2の英語の授業で、「名詞」について説明しました。

 

網羅的な説明をしたかったのですが、あまり時間がなかったので、少しとばしました。

もう少し詳しく説明しておきます。

 

 

英語の名詞には、大きく分けて2種類のものがあります。

 

・数えられる名詞(可算名詞)…「普通名詞」「集合名詞」

・数えられない名詞(不可算名詞)…「固有名詞」「物質名詞」「抽象名詞」

 

 

英語で、数えられる名詞をあつかうときは、常に「単数」か「複数」かを気にしなければなりません。

 

英語は、単数・複数の区別に厳密な言語です。

 

単数か複数かによって、表記が大きく変わるので注意が必要です。

 

①単語の形が変わる

②主語が単数か複数かで「動詞」が変わる

 

 

よく「s」の付け忘れなどで「×」になってしまった答案を見ますが、それを「うっかりミス」だと考えている人は、捉え方を変えなければなりません。

 

見かけでは、ちょっとしたことのように思われますが、そのような「ミス」は、「英語の構造」を理解していないから起きるものです。

つまり、英語の理解度を反映した「不正解」なのですから、決して「うっかり」ではないのです。

 

「数を気にする」という重要な英語のルールが身についていないのですから、英語の学力がまだ十分ではないのだということです。

それではテストの点数が上がらないのも当然だといわなければなりません。

 

 

9月の月例テストで、上位から点数が離されてきた人は、こうした「基本ルール」があいまいなままになっています。しっかり定着させなければ、英語の学力は安定しません。

 

 

 

普通名詞の複数形について、おさらいしていきましょう。

 

 

※基本形→「~s

 

「months」(暦の月)や「mouths」(口)など、「th」の後ろは「es」とはならないので気を付けましょう。

「photographs」(写真)なども「s」を付けるだけです。

 

 

 

※語尾が「sh」「ch」「s」「x」→「~es

 

dishes(皿) wishes(願い) flashes(光)
watches(時計) benches(ベンチ) churches(教会)
buses(バス) classes(教室、授業) glasses(グラス)
boxes(箱) foxes(きつね) taxes(税金)

 

 

「ch」には若干例外があります。

語尾の「ch」を〈ク〉と発音する場合は、「s」を付けるだけになります。

 

「stomach」〈ストマッ〉(胃)→「stomachs」〈ストマックス〉

 

 

 

ちなみに、「ch」が「カキクケコ」の発音になるのは、もともとラテン語やギリシア語だった単語です。

 

例:

chemistry〈ケミストリー〉(化学)

Christ〈クライスト〉(キリスト)

Christmas〈クリスマス〉(クリスマス)

chorus〈コーラス〉(合唱)

anchor〈アンカー〉(最終走者)

echo〈エコー〉(こだま、反響)

technology〈テクノロジー〉(技術)

 

 

また、まれに「ch」は「シャ・シ・シュ・セ・ショ」の発音になります。こちらは、もともとフランス語だった単語です。

 

例:

Chicago〈シカゴ〉(町の名前)

parachute〈パラシュート〉(パラシュート)

machine〈マシーン〉(機械)

 

 

 

※語尾が「o」→「~es

 

tomatoes(トマト) potatoes(じゃがいも) heroes(英雄)

 

 

例外もあるので、注意しましょう。

「s」を付けるだけの単語もあります。

 

pianos(ピアノ) memos(メモ) zeros(ゼロ)

 

 

また、語尾の「o」の前に母音がある場合にも、そのまま「s」を付けることになっています。

 

radios(ラジオ) studios(スタジオ) videos(ビデオ)

 

 

 

※語尾が「子音+y」→「~ies

 

cities(町) bodies(からだ) candies(キャンディー)
babies(赤ちゃん) studies(研究) dictionaries(辞書)
stories(物語) libraries(図書館) countries(国)
hobies(趣味) parties(パーティー) families(家族)

 

 

 

「母音+y」のときには、そのまま「s」を付けます。

 

boys(少年) toys(おもちゃ) keys(鍵)

 

 

 

※語尾が「f」「fe」→「~ves

 

 

leaf(葉) → leaves knife(ナイフ) → knives
wolf〈ウルフ〉(狼) → wolves life(生命) → lives
thief(泥棒) → thieves wife(妻) → wives
elf(妖精) → elves belief(信念) → believes

 

 

例外もあるので注意しましょう。

「s」を付けるだけの単語もあります。

 

roofs(屋根) chiefs(長官) cliffs(がけ)

 

 

 

※複数形と単数形が同じ(単複同形)

 

seep(羊) deer(鹿) carp(鯉)
fish(魚) salmon(鮭) trout(マス)
Japanese(日本人) Chinese(中国人) buffalo(水牛)

 

 

英語では、「群れ」で生活する動物は、一匹(一頭)という捉え方をしないので、単数形と複数形を区別しません。

 

例:

I caught five fish yesterday.

「昨日私は魚を5匹釣った。」

 

 

近年、これらの単語の中で、「s」を付けた表現が使われるものもあるそうです。

 

特に、「buffalos」や「buffaloes」という表記は、かなり一般的になっています。

大阪に本拠地がある日本のプロ野球チームは「Buffaloes」〈バファローズ〉ですね。

一方、広島のプロ野球チームは、「Carp」〈カープ〉ですね。こちらは「s」をつけていません。

 

 

「Japanese」や「Chinese」が載っていますが、日本人や中国人がよく「群れている」というわけで、単数形と複数形の区別がないわけではありません。

語尾が「~ese」の国の人たちは、慣例的に単複同形になります。

 

他には「Portuguese」(ポルトガル人)「Taiwanese」(台湾人)などがあります。

また、「~ese」以外では「Swiss」(スイス人)などが単複同形です。

 

一方、「two Germans」(ドイツ人)、「three Americans」(アメリカ人)というように、複数形に「s」を付けるタイプもあります。

 

 

ちなみに、「fish」は、同じ種類の魚である場合にはそのまま「fish」ですが、違う種類の魚について言及する場合には「fishes」になります。

 

例:

Many fishes live in this river.

「この川にはたくさんの(種類の)魚がすんでいます。」

 

 

あとは、ちょっとマニアックなところでは、「means」(方法)、「species」(生物学上の「種」)、「series」(シリーズ)なども単複同形です。これらは「s」が付いていますが、単数で表すときも同じ表記のままです。

 

 

 

※不規則変化

 

child〈チャイルド〉(子供) → children〈チルドレン〉
man〈マン〉(男の人) → men〈メン〉
woman 〈ウーマン〉(女のひと) → women〈ウィミン〉
tooth 〈トゥース〉(歯) → teeth〈ティース〉
foot〈フット〉(足) → feet〈フィート〉
mouse〈マウス〉(ねずみ) → mice〈マイス〉
goose〈グース〉(がちょう) → geese〈ギース〉
person 〈パーソン〉(人) → people〈ピープル〉

 

 

「person」には、一応「persons」という複数形の表現もありますが、これはあまり一般的ではありません。

それよりも、「people」は「s」はないけれども「人々」を意味する「複数形」である ということをしっかりおさえておきましょう。

 

「one(a) person」、「two people」、「three people」・・・となります。

 

 

(「people」は「人々」という意味のときは「複数扱い」ですが、「国民」「民族」という意味で使われるときには「単数扱い」になるので注意しましょう。その際には、「people」は「単数形」として捉えられることになるので、複数形は「peoples」となります。)

 

 

 

古い英語は、「s」を付けて複数形を表すのではなく、単語内の母音(幹母音)を変化させて複数形を作っていました。あるいは、「children」のように、「en」を付加することで複数形にしていたのです。

ですから、こうした「不規則変化」の方が、実は英語本来の姿に近いといえます。

 

 

ある言語に存在する「例外」は、その言語を擁する文化にとって、「どうしても譲れない部分」であると考えることができます。それは「残されてきたもの」であり「残されていくもの」です。大げさにいえば、それは、その言語の「原風景」なのです。

 

 

しっかり覚えましょう。

 

 

(ivy 松村)