英語になった「古代の数字」

ivyでは、毎週1時間、小6の英語の授業を行っています。

現在、英語の「1月~12月」を暗記しています。

 

まだ覚えていない中学生の生徒がいたら、危機感を持ってください。

来週には追い越されてしまいますよ。

 

 

今日、ちょっと授業の雑談でも触れたのですが、英語のカレンダーの月の名前は、古代ローマ帝国の時代に決まったものです。ですから、もともとは古代ローマ帝国の言葉なのです。

 

古代ローマ帝国で話されていた言語を「ラテン語」といいます。

 

ラテン語の7~10は、暦の「月」に使われているのですが、実は、ちょっとおかしいのです。

 

 

ラテン語の7~10をみてみましょう。

 

7=「septem」(セプテム)

8=「octo」(オクト)

9=「novem」(ノヴェム)

10=「decem」(デケム)

 

それぞれ、

 

「September」=9月

「October」=10月

「Novenver」=11月

「December」=12月

 

に対応していることに気づきます。

 

しかし、変ですね。どうして、

 

「7」→「9月」

「8」→「10月」

「9」→「11月」

「10」→「12月」

 

となっているのでしょう。

 

 

実は、その昔、ローマでは、3月が新年のはじまりだったのです。つまり、

 

March=1月

April=2月

May=3月

June=4月

July=5月

August=6月

September=7月

October=8月

Novenver=9月

December=10月

 

となっていたのです。

 

ですから、以前は、7~10と「7月~10月」が対応していたのです。

 

 

ところが、ローマの権力者だった「ユリウス・カエサル」という人が、新しい暦を導入したのです。

そのとき、新年のスタートが、現在の1月となりました。

そのために、暦の月が2ヶ月ずれてしまったのですが、月の呼び名はそのままにしてしまったので、「数字」と月が一致しなくなってしまったのです。

 

ちなみに、「ユリウス・カエサル」は自分の名前である「Julius」(Juli)を、新しい暦の7月の名としました。ですから、現在の7月は「July」と呼ばれています。

さらに、その後皇帝となった「アウグストゥス」(Augustus)の名前が、8月につけられました。

(残りの月は 、古代の神々の名前がつけられています。)

 

こうして、現在の暦が成立したのです。

 

 

1月  January

2月  February

3月  March

4月  April

5月  May

6月  June

7月  July

8月  August

9月  September

10月  October

11月  November

12月  December

 

 

 

さて、「数字の話」をもう少し。

 

古代ローマ帝国の言葉であるラテン語だけでなく、さらに古い時代に栄えた古代ギリシアの言葉もまた、現役です。

 

生活の中にある、「古代の数字」を発掘してみましょう。

数字と関係が深い「単位」にも「古代の数字」に由来するものが見受けられます。

 

 

 

古代ギリシア語で、「100」は「hecta」(ヘクタ)です。この語は「hecto-」という形にも変形します。

 

※100=「hecto-」(ヘクト)

 

「hectare」(ヘクタール)は面積の単位ですね。「are」(アール)の100倍です。

「100」の「アール」だから「ヘクタール」なのです。

 

 

ラテン語の「100」は「centum」(ケントゥム)です。古いヨーロッパの言語の名詞は、語形を変化させて使われます。この語は「centi-」(ケンチ)という形で運用されます。「ce」はのちの時代に「セ」という発音に変化しています。

 

※100=「centi-」(ケンチ→センチ)

 

「centimeter」(センチメートル)は「meter」(メートル)の100分の1ですね。

「cent」(セント)は、ドルなどの通貨単位の100分の1の貨幣です。

「century」(センチュリー)は西暦を100年で区切ったものです。

 

 

 

古代ギリシア語の「1000」は「kilia」(キラ)です。この語は「kilo-」という形になります。

 

※1000=「kilo-」(キロ)

 

「kilogram」(キログラム)は「gram」(グラム)の1000倍ですね。

「kilometer」(キロメートル)は「meter」(メートル)の1000倍。

「kiloliter」(キロリットル)は「litter」(リットル)の1000倍になります。

「kilocalorie」(キロカロリー)という、熱量を計る単位もあります。

 

 

ラテン語の「1000」は「mille」(ミッレ)です。この語は「milli-」(ミリ)という形になります。

 

※1000=「milli-」(ミリ)

 

「millimeter」(ミリメートル)は「meter」(メートル)の1000分の1です。

「milligram」(ミリグラム)は「gram」(グラム)の1000分の1。

「milliliter」(ミリリットル)は「liter」(リットル)の1000分の1になります。

「millennium」(ミレニアム)は、西暦の1000年区切りを意味しています。

 

 

「単位」の話でちょっと注意が必要なのは、アメリカ合衆国の単位系は日本やヨーロッパとは違うということです。

「長さ」は、「メートル」ではなく「インチ」「フィート」「ヤード」「マイル」などが日常的に使われます。

「重さ」は、「グラム」ではなく「オンス」「ポンド」などが使われます。

 

 

 

さらに、古代ギリシア語とラテン語の1~10の「数」のうち、「英語」となったものをみてみましょう。(「接頭語」のみ記します。)

 

古代ギリシア語の「1」=「mono-」(モノ)

 

「monorail」(モノレール)・・・(1つのレール)

「monotone」(モノトーン)・・・単調

「monochrome」(モノクローム)・・・モノクロ、単色、白黒(写真)

「monologue」(モノローグ)・・・独白、ひとり言

「monopoly」(モノポリー)・・・モノポリー(ボードゲーム)

 

 

ラテン語の「1」=「uni-」(ユニ)

 

「unit」(ユニット)・・・単位

「unite」(ユナイト)・・・(ひとつに)結ぶ、団結する

「union」(ユニオン)・・・連合、組合

「uniform」(ユニフォーム)・・・制服(ひとつの型)

「universe」(ユニバース)・・・宇宙、世界

「universal」(ユニバーサル)・・・世界の、万物の、宇宙の

「university」(ユニバーシティ)・・・大学

「unique」(ユニーク)・・・独特な、唯一の

 

 

ラテン語の「2」=「bi-」(バイ)

 

「bicycle」(バイシクル)・・・自転車(2つの輪)

「bilingual」(バイリンガル)・・・2つの言語を話せる人

 

 

古代ギリシア語とラテン語の「3」は同形です。(厳密には少し違いますが)

 

古代ギリシア語、ラテン語の「3」=「tri-」(トリ)

 

「triangle」(トライアングル)・・・(3つの角)

「triple」(トリプル)・・・3重、3倍

「trio」(トリオ)・・・三重奏、3人組

 

 

古代ギリシア語の「4」=「tetra-」(テトラ)

 

「tetrapod」(テトラポッド)・・・(四つ足)

「tetra pack」(テトラパック)・・・(4面体の紙製の容器)

 

 

ラテン語の「4」=「quadr-」(クワドロ)

 

「quarter」(クォーター)・・・4分の1

 

 

古代ギリシア語の「5」=「penta-」(ペンタ)

 

「pentagon」(ペンタゴン)・・・五角形

「Pentagon」(ペンタゴン)・・・アメリカ国防省(建物が五角形であることから)

 

 

古代ギリシア語、ラテン語の「8」=「octa-」(オクタ)、「octo-」(オクト)

 

「octave」(オクターブ)・・・8度(音程)

「octopus」(オクトパス)・・・タコ(8本足)

 

 

古代ギリシア語、ラテン語の「10」=「deca-」(デカ)

 

「decade」(デケイド)・・・10年間

「Decamelon」(デカメロン)・・・(十日物語)ボッカッチョの小説。

「deciliter」(デシリットル)・・・「liter」(リットル)の10分の1

 

 

 

英語には、他の言語から取り入れられた、数多くの「借用語」があります。

最も多いものはフランス語です。

意外に思うかもしれませんが、過去に、イギリスは、「フランス人」に支配された歴史があります。

現在の英語の語彙のほとんどがフランス語から取り入れられたものであるといわれています。

 

 

さらに、古代ギリシア語やラテン語から取り入れられた言葉も多く存在します。

 

古代ギリシア語やラテン語は、フランス語を経由して、イギリスにもたらされることもありました。

そのため、英語の中に、こうした古代の言葉が息づいています。

 

 (ivy 松村)

外来語の出身 ③(英語について)

帝国主義の全盛期、19世紀の世界は、イギリスが巨大な力を持つ覇権国でした。その後、2度の世界大戦を経て、20世紀にはアメリカ合衆国が超大国として台頭してきます。

つまり、英語を公用語とする2つの国が、近代の世界に大きな影響力を発揮したのです。

 

こうした国際的なパワーバランスの趨勢によって、国際語の地位はフランス語から英語へと移り変わりました。現在、英語は地球上で最も有用な言語とされています。

 

日本は、第二次世界大戦前から英語を重要な外国語として位置付けていましたが、戦後、国際的にアメリカの影響を強く受ける立場であったことから、英語学習の重要性がさらに増しました。

 

日本語の中でも英語は確かな存在感を示しています。外来語の8割以上は、英語由来のものであるとされています。

 

 

日本の中学校では必ず英語を学習します。義務教育で英語学習が課せられているため、英語の基礎的な知識は、コミュニケーション上の前提や常識として扱われます。

 

例えば、「林檎」ではなく「アップル」と表現することは一般的にみられます。英単語の「アップル」が「林檎」を表すことは常識の範疇であると考えられているからです。

 

しかし、フランス語で「林檎」を表す「ポム」という言葉や、スペイン語で「林檎」を表す「マンサナ」という言葉が日常的に使われることはありません。

 

つまり、日本人は、英語の基礎的な知識を持ち、英語に対して親近感を感じているため、英語をもとにした言葉のコミュニケーションを広げていっているのだといえると思います。

そして、そのために、英語から持ち込まれる「外来語」の数は加速度的に増えています。

 

 

さて、それでは、英語に由来する「外来語」が、日本語にどのように定着しているのかを紹介したいと思うのですが、その数はあまりにも多く、枚挙にいとまがありません。ですので、特徴的なものを挙げていくことにしましょう。

 

「外来語」は、日本にもともとある言葉と組み合わされて使われることもあります。

「レポート用紙」「コピー機」「三色ペン」…

 

省略されることもあります。

「テレビジョン」→「テレビ」、「コンビニエンスストア」→「コンビニ」、「エコロジー」→「エコ」…

 

組み合わされて、省略されることもあります。

「筋トレ」「メル友」…

 

また、取り入れられる際に、発音が省略されるなどしたために、由来がわかりづらくなっているものもあります。

 

hearts →「ハツ」(焼き鳥のネタで心臓の部位)

grounder →「ゴロ」(野球用語で、転がる打球)

white shirt →「ワイシャツ」

 

など。

 

 

英語由来の外来語の中には、「二重語」と呼ばれるものがあります。もともと同じ英単語であるけれども、別々の意味の言葉として日本語に取り入れられたものです。

つまり、ある二つの単語の由来をさかのぼれば、ある一つの英語の言葉にたどり着くというものです。

 

iron →「アイアン(鉄の)」「アイロン」

second →「セカンド」「セコンド(ボクシングのコーチ)」

machine →「マシーン」「ミシン」

strike →「ストライク」「ストライキ」

truck →「トラック」「トロッコ」

 

など。

 

 

日本人が、英語をもとにして作りだしたり、英語をかけあわせて作り出したりした言葉があります。そのような言葉を「和製英語」といいます。「和製英語」には、本来の意味とはかけ離れた使われ方をする言葉を含めることもあります。

 

「和製英語」=日本語と「英語訳」の例

 

「アフターサービス」… after-sale(s) service(アフターセールサービス)

「ゲームセット」… game over(ゲームオーバー)

「パトロールカー」… police car(ポリスカー)

「サラリーマン」… office worker(オフィスワーカー)

「ノートパソコン」… laptop computer(ラップトップコンピューター)

「フロント」〔ホテルなどの〕… reception(レセプション)

「クレーム」… complaint(コンプレイント)

「コンセント」… outlet, socket(アウトレット、ソケット)

「ガソリンスタンド」… gas station(ガスステーション)

「オーダーメイド」… made-to-order(メイドトゥオーダー)

「キーホルダー」… key chain, key ring(キーチェイン、キーリング)

「カンニング」… cheating(チーティング)

「タレント」… celebrity(セレブリティ)

「サイン」〔著名人に記念に書いてもらう〕… autograph(オートグラフ)

「ガードマン」… security guard(セキュリティガード)

「ホッチキス」… stapler(ステープラー)

「クラクション」… horn(ホーン)

「オートバイ」… motorcycle(モーターサイクル)

「ジェットコースター」… roller coaster(ローラーコースター)

「ベビーカー」… baby carriage(ベビーキャリッジ)

 

など。

 

 

「和製英語」は厳密には「外来語」とはいえないという見方もできます。

 

日本人が生み出した言葉ですから、当然、英語をもとにした表現であっても、正式な英単語ではありません。ですから、英語話者には通じないので、注意が必要です。

 

 

和製英語の例などを見ていると、あるものやものごとを表すのに、日本語固有の言葉を用いるのではなく、わざわざ英語をもとに造語を行い、名称を作り出していることがわかります。

 

きっと、英語を使うと、カッコよくオシャレな印象になるからでしょう。日本語ではない言葉の響きに、心をひきつける作用があるのかもしれません。

 

「お菓子」ではなく「スイーツ」といったり、「飲み物」ではなく「ドリンク」といったり、「定食」ではなく「ランチ」といったり、「雑誌」ではなく「マガジン」といったりします。

 

 

Jポップなどの歌謡曲でも、題名に英語が使われたり、唐突に歌詞の中に英語のフレーズが挿入されたりすることも珍しくありません。

 

興味深いのは、そのような場合、わざわざ英語を使っていても、文法や語法、意味内容のおかしな表現が頻繁にみられることです。

 

おそらく、ただカッコイイから、という理由で、使いこなせない言葉を強引に使っているからでしょう。そんなときには、ちょっと哀れな気持ちになります。

 

 

私は、もともと日本にある言葉のほうがカッコいいと思います。

 

「クライマックス」よりも「山場」のほうが圧倒的にカッコいいはずだと思うのです。

 

 

(ivy 松村)

外来語の出身 ②(ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロシア語について)

幕末・明治期の開国とともに、これまで日本人が知ることのなかった大量の知識や物品が、欧米から日本にもたらされました。

 

近代化に向けて国づくりを主導した当時の知識人たちは、新しい概念を、言葉を作り出すことで言い表し、日本に定着させていこうと考えました。

 

「経済」「社会」「自然」「科学」「文学」「美術」「物理」「出版」「写真」「図書館」「新聞」「意識」「理論」「空間」「国家」「警察」「工業」…

 

…このような、日本人によってつくられた漢語を「和製漢語」といいます。

 

そういえば、「野球」も「和製漢語」ですね。ということは、「投手」「打者」「盗塁」「三振」なども「和製漢語」ということになります。

 

もともとあった言葉に、日本人が新しい意味を含めた言葉も「和製漢語」に含みます。

 

「革命」「自由」「愛」などです。

 

 

和製漢語は、もちろん江戸時代以前にもつくられていましたが、西洋の文物を早急に吸収しなければならない幕末・明治期に、数多く作り出されました。これらの言葉は、現在の私たちの生活に欠かせない基本的な語彙となっています。

 

 

 

さて、幕末・明治期には欧米の考えや文物が大量に入ってきましたが、当然、すべてに翻訳語を与えることはできません。同時に、多くの「外来語」が日本に定着することになりました。

 

日本が、近代化の過程でお手本と考えていたのは、主にアメリカ、イギリス、ドイツ、そしてフランスでした。そのため、英語、ドイツ語、フランス語から導入された外来語がたくさんあります。

 

注意しなければならないのは、よく使用される、なじみのある外来語で、英語由来のものではない語彙が、意外に多いということです。当然、それらは英語話者には通じません。

 

現在の日本では、圧倒的に英語の影響力が強くなっています。外来語のほとんど、およそ8割以上が英語から導入されたものであると考えられます。

そのため外来語のほとんどは英語由来のものであるという観念が強まり、ドイツ語やフランス語から取り入れられた外来語であるのに、英語由来のものであると誤解されているものが少なくないのです。

 

 

 

ドイツ語由来の外来語…医学、登山、スキーに関するものが多い

 

オブラート、ガーゼ、ギプス、ワクチン、カルテ、ザイル、ピッケル、ゲレンデ、スキー

 

アルバイト、エネルギー、アレルギー、ホルモン、コラーゲン、アクリル、デマ、ディーゼル、エーテル

 

テーマ、ガーゼ、ノイローゼ、セレナーデ、ボンベ、ゼミナール、ナトリウム、カリウム

 

イデオロギー、ヒエラルキー、プロレタリアート、カテゴリ、ワンダーフォーゲル、メタン、

 

カルテル、コンツェルン、タクト、フィルハーモニー、シュラフ、リュックサック、バウムクーヘン

 

グミ、ヨーグルト、ベクトル、メルヘン(Märchen)、ワッペン、ヴィールス(ウイルス)…

 

 

 

フランス語由来の外来語…芸術、料理、服飾に関するものが多い

 

アトリエ、クレヨン、デッサン、レストラン、オムレツ、コロッケ(croquette)、ソース、ズボン、マント

 

デッサン、オブジェ、モルモット、シルエット、バカンス、スイス、リットル、メートル、グラム、コント

 

エチケット、コンクール、デジャヴ、バリカン、ブーケ、レジュメ、ジャンル、カモフラージュ、アベック

 

アンケート、グランプリ、クロワッサン、シュークリーム(chou à la crème )、アンコール、メトロ

 

マヨネーズ、エクレア、カフェ、ピーマン、ピエロ、フォアグラ、ポタージュ、グラタン

 

ブティック、エチュード、アバンギャルド、コラージュ、シュール、ブルジョア、プロレタリア

 

ルサンチマン、ルネサンス、ビバーク、ベージュ、ルポルタージュ…

 

 

ドイツ語、フランス語以外では、イタリア語やロシア語由来のものがいくつかあります。

 

 

 

イタリア語…音楽、食料に関するものが多い

 

オペラ、ソプラノ、アレグロ、フィナーレ、テンポ、マカロニ、スパゲッティ、ピザ

ソナタ、マニフェスト、フレスコ、アカペラ…

 

 

 

ロシア語…やはり革命や労働関係が多いのでしょうか

 

カンパ、コンビナート、ノルマ、インテリ、ツンドラ、ペチカ、トロイカ、ウォッカ

イクラ、アジト

 

 

 

もともと英語だと勘違いしていた言葉もけっこうありますね。

 

 

(ivy 松村)

外来語の出身 ①(ポルトガル語、オランダ語について)

私たちは何となく、外来語=英語のように思いがちですが、実は、英語から取り入れられたのではない外来語も数多くあります。

 

特に、室町後期~江戸初期(16世紀の半ばから、17世紀の半ば)の主な交易の相手国だった、ポルトガルからもたらされた言葉が数多くあります。さらに、江戸時代を通じて交易を行っていたオランダからもたらされた言葉もたくさんあります。

明治時代になって、日本はやっと西洋の文物を取り入れ始めたのだと誤解されている人もいるかもしれませんが、実は、それ以前から日本人は西洋の文物に触れ、その言葉を取りいれていたのです。

 

 

室町時代の終わりごろ、ヨーロッパの船が日本に来航するようになります。

 

日本に来たヨーロッパ人には、2種類の人たちがいました。商人と宣教師です。

 

商人たちは、お金儲けのために訪れました。彼らが求めていたのは、おもに「銀」でした。当時の日本は、世界有数の銀の産出国(石見銀山が有名ですね)であり、金と銀の交換比率が、ヨーロッパに比べてよかったのです。つまり、金を日本にもってきて銀と交換し、その銀を持ち帰って金に交換すれば、それだけで大儲けできたのです。

また、当時から日本は経済力の高い国(地域)でしたから、珍しい物品や、造船や土木工事などの技術を高く買ってもらえたので、商売の上でよい取引先だと考えられていたようです。

 

宣教師たちの目的は、日本にキリスト教を広めることでした。当時のヨーロッパは宗教改革の時代でした。古くから続く儀式を重んじるカトリック(旧教)と、聖書に書いてあることこそが真実であると主張するプロテスタント(新教)が対立していました。

徐々にプロテスタントが優勢になりつつあり、一方のカトリックの勢力は、ヨーロッパではない地域にカトリックを広めて対抗しようと考えたのです。

 

もっとも有名な宣教師はフランシスコ・ザビエルですね。

ところで、生徒の皆さんはよくザビエルさんの髪型を笑いますが、当時の日本の武士がしていた「ちょんまげ」も冷静に考えれば相当変な髪形ですよ。

 

ザビエルをはじめ、日本に来た宣教師たちは、日本人の庶民は友好的で理解が速い人たちであると感じていたようです。彼らは、日本人にキリスト教を広めることの意義を本国への手紙に書き綴っています。

 

 

いずれのヨーロッパの人も、日本に高い関心を抱いていました。そのため、彼らは、当時の日本に深くかかわり、多くの言葉を残したのです。

 

 

最初に日本にやってきたヨーロッパ人は、ポルトガル人でした。ポルトガルは日本に鉄砲を伝えました。戦国時代を迎えていた日本では各地で戦争が行われていたわけですが、鉄砲が伝わったおかげで、戦争の戦略に変化が起き、戦乱の世に収束をもたらすことになったといわれています。

 

そして、彼らはさまざまな珍しい品物とともにポルトガル語を日本に伝えました。約400年前に日本に伝えられたポルトガルの言葉は現在も私たちの生活の中に息づいています。

 

ポルトガル語由来の外来語

 

オルガン、タバコ(煙草)、パン、カルタ、カステラ、カッパ(合羽)、キリシタン、シャボン、ビードロ

 

ミイラ、フラスコ、ブランコ、襦袢、チョッキ

 

ボタン、カボチャ、金平糖(confeito)、テンプラ(temporas)チャルメラ(charamela)、バッテラ(bateira)

 

など。

 

 

江戸時代になって、江戸幕府は鎖国政策をとりましたが、ヨーロッパの国では唯一オランダとの交易は続けられました。そのため、古くからある言葉で、オランダ語から取り入れられた外来語も数多くあります。

 

また、江戸時代の中期以降、ヨーロッパの学問を学ぶことが許されるようになります。オランダがヨーロッパとつながる唯一の窓口だったので、阿蘭陀(オランダ)の学問、「蘭学」と呼ばれました。

特に、杉田玄白や前野良沢といった人たちによって医学の研究が進められました。そのため、医学用語が多くあります。

 

 

オランダ語由来の外来語

 

アルカリ、アルコール(元はアラビア語)、レンズ、メス、ビール、ランドセル、ペンキ、ズック、ブリキ

 

オルゴール、ガラス、カバン、コルク、コーヒー、ゴム、ポンプ、リュックサック、ホース、ペスト

 

スポイト、ピンセット、モルヒネ、サーベル、コップ(ポルトガル語copa)、レッテル

 

カトリック、ヨーロッパ、ドイツ、ベルギー、ビルマ、マホメット

 

お転婆(otembaar)、ドンタク(zondag)、ポン酢(pons)、ポマード

 

など。

 

 

意外なものもたくさんありますね。

 

(ivy 松村)

モールの話

来月に、豊田駅前にイオンモールがオープンします。

雑談をしていて、数学の杉田先生に、「モール」って針金の「モール」と関係があるんですか、と聞かれ、気になって調べてみました。

 

イオンモールの「モール」は「mall」で、遊歩道、商店街という意味です。

 

針金の「モール」は、「mogol」というポルトガル語がなまったものだそうです。

 

まさか、ポルトガル語だとは!それにしても変な綴りです。

ポルトガル語の発音を調べてみると、「モゴル」という発音でした。

「g」の発音は無音になりやすいので、「モゴル」の「ゴ」という音が消失し、「モール」となったのかもしれません。

 

「モゴル」→「モール」

 

さらに調べてみて、驚いたのは、その言葉の由来が「ムガル帝国」だったということです。ムガル帝国というのは、15世紀から19世紀に北インドを支配した大帝国です。

ポルトガルは、大航海時代にインドに拠点を持っていましたから、ムガル帝国と交易があったのでしょう。

 

「ムガル」→「モゴル」→「モール」

 

 

 

地名や国名、都市名(やその形容詞形)などが特産品や加工品の名前になることがあります。

 

・カボチャ(カンボジア)

・フランクフルト(フランクフルト、ドイツ)

・ハンバーガー(ハンブルグ、ドイツ)

・シャンパン(シャンパーニュ、フランス)

・ナポリタン(ナポリ、イタリア)

・ウィンナー(ウィーン、オーストリア)

・デニッシュ(デンマーク)

 

…食べ物が多いですね。

 

また、かつて、室町時代に、ポルトガル人が種子島にやってきて日本に伝えた鉄砲のことを、「種子島」と呼んでいたこともありました。

 

実は、「日本」も特産品の名前なのです。英語で「japan」(最初の文字を小文字で書く)というのは、漆器のことです。

また、英語で「china」といえば、磁器のことです。

 

 

 

さて、ポルトガル語で「ムガル帝国」という意味の「モール」ですが、もともとは豪華な特産品でした。

横糸に絹糸を使い、縦糸に金や銀の糸を使って織り上げた織物を「モール」といったのだそうです。やがて、金糸や銀糸などをより合わせた、装飾に用いるひも状のものも「モール」と呼ぶようになったそうです。

 

さらに現在では、「ひも」として使うのではなく、針金などが芯に入っている、飾りつけに使うものをモールと呼ぶようになっています。

 

 

 

モールの語源は、さらにさかのぼることができます。

 

ムガル帝国の創始者バーブルは、中央アジアに大帝国を築いたティムールの子孫です。

ティムールはチンギス=ハンの血を引くとされた人物で、さらにバーブルの母方もチンギス=ハンの血筋でした。

そのため、バーブルが建国した国はモンゴル帝国の後継とみなされたのです。

「ムガル帝国」は、ペルシャ語で「モンゴル人の帝国」という意味です。

 

「モンゴル」→「ムガル」→「モゴル」→「モール」

 

空前絶後の巨大帝国の「モンゴル」と、100円ショップにある針金の「モール」。

ロマンと哀愁を感じてしまいますね。

 

イオンモールには100円ショップのダイソーが出店するそうです。すると、モールでモールが買える日が来ますね。

 

 

 (ivy 松村)