ivyでは、毎週1時間、小6の英語の授業を行っています。
現在、英語の「1月~12月」を暗記しています。
まだ覚えていない中学生の生徒がいたら、危機感を持ってください。
来週には追い越されてしまいますよ。
今日、ちょっと授業の雑談でも触れたのですが、英語のカレンダーの月の名前は、古代ローマ帝国の時代に決まったものです。ですから、もともとは古代ローマ帝国の言葉なのです。
古代ローマ帝国で話されていた言語を「ラテン語」といいます。
ラテン語の7~10は、暦の「月」に使われているのですが、実は、ちょっとおかしいのです。
ラテン語の7~10をみてみましょう。
7=「septem」(セプテム)
8=「octo」(オクト)
9=「novem」(ノヴェム)
10=「decem」(デケム)
それぞれ、
「September」=9月
「October」=10月
「Novenver」=11月
「December」=12月
に対応していることに気づきます。
しかし、変ですね。どうして、
「7」→「9月」
「8」→「10月」
「9」→「11月」
「10」→「12月」
となっているのでしょう。
実は、その昔、ローマでは、3月が新年のはじまりだったのです。つまり、
March=1月
April=2月
May=3月
June=4月
July=5月
August=6月
September=7月
October=8月
Novenver=9月
December=10月
となっていたのです。
ですから、以前は、7~10と「7月~10月」が対応していたのです。
ところが、ローマの権力者だった「ユリウス・カエサル」という人が、新しい暦を導入したのです。
そのとき、新年のスタートが、現在の1月となりました。
そのために、暦の月が2ヶ月ずれてしまったのですが、月の呼び名はそのままにしてしまったので、「数字」と月が一致しなくなってしまったのです。
ちなみに、「ユリウス・カエサル」は自分の名前である「Julius」(Juli)を、新しい暦の7月の名としました。ですから、現在の7月は「July」と呼ばれています。
さらに、その後皇帝となった「アウグストゥス」(Augustus)の名前が、8月につけられました。
(残りの月は 、古代の神々の名前がつけられています。)
こうして、現在の暦が成立したのです。
1月 January
2月 February
3月 March
4月 April
5月 May
6月 June
7月 July
8月 August
9月 September
10月 October
11月 November
12月 December
さて、「数字の話」をもう少し。
古代ローマ帝国の言葉であるラテン語だけでなく、さらに古い時代に栄えた古代ギリシアの言葉もまた、現役です。
生活の中にある、「古代の数字」を発掘してみましょう。
数字と関係が深い「単位」にも「古代の数字」に由来するものが見受けられます。
古代ギリシア語で、「100」は「hecta」(ヘクタ)です。この語は「hecto-」という形にも変形します。
※100=「hecto-」(ヘクト)
「hectare」(ヘクタール)は面積の単位ですね。「are」(アール)の100倍です。
「100」の「アール」だから「ヘクタール」なのです。
ラテン語の「100」は「centum」(ケントゥム)です。古いヨーロッパの言語の名詞は、語形を変化させて使われます。この語は「centi-」(ケンチ)という形で運用されます。「ce」はのちの時代に「セ」という発音に変化しています。
※100=「centi-」(ケンチ→センチ)
「centimeter」(センチメートル)は「meter」(メートル)の100分の1ですね。
「cent」(セント)は、ドルなどの通貨単位の100分の1の貨幣です。
「century」(センチュリー)は西暦を100年で区切ったものです。
古代ギリシア語の「1000」は「kilia」(キラ)です。この語は「kilo-」という形になります。
※1000=「kilo-」(キロ)
「kilogram」(キログラム)は「gram」(グラム)の1000倍ですね。
「kilometer」(キロメートル)は「meter」(メートル)の1000倍。
「kiloliter」(キロリットル)は「litter」(リットル)の1000倍になります。
「kilocalorie」(キロカロリー)という、熱量を計る単位もあります。
ラテン語の「1000」は「mille」(ミッレ)です。この語は「milli-」(ミリ)という形になります。
※1000=「milli-」(ミリ)
「millimeter」(ミリメートル)は「meter」(メートル)の1000分の1です。
「milligram」(ミリグラム)は「gram」(グラム)の1000分の1。
「milliliter」(ミリリットル)は「liter」(リットル)の1000分の1になります。
「millennium」(ミレニアム)は、西暦の1000年区切りを意味しています。
「単位」の話でちょっと注意が必要なのは、アメリカ合衆国の単位系は日本やヨーロッパとは違うということです。
「長さ」は、「メートル」ではなく「インチ」「フィート」「ヤード」「マイル」などが日常的に使われます。
「重さ」は、「グラム」ではなく「オンス」「ポンド」などが使われます。
さらに、古代ギリシア語とラテン語の1~10の「数」のうち、「英語」となったものをみてみましょう。(「接頭語」のみ記します。)
古代ギリシア語の「1」=「mono-」(モノ)
「monorail」(モノレール)・・・(1つのレール)
「monotone」(モノトーン)・・・単調
「monochrome」(モノクローム)・・・モノクロ、単色、白黒(写真)
「monologue」(モノローグ)・・・独白、ひとり言
「monopoly」(モノポリー)・・・モノポリー(ボードゲーム)
ラテン語の「1」=「uni-」(ユニ)
「unit」(ユニット)・・・単位
「unite」(ユナイト)・・・(ひとつに)結ぶ、団結する
「union」(ユニオン)・・・連合、組合
「uniform」(ユニフォーム)・・・制服(ひとつの型)
「universe」(ユニバース)・・・宇宙、世界
「universal」(ユニバーサル)・・・世界の、万物の、宇宙の
「university」(ユニバーシティ)・・・大学
「unique」(ユニーク)・・・独特な、唯一の
ラテン語の「2」=「bi-」(バイ)
「bicycle」(バイシクル)・・・自転車(2つの輪)
「bilingual」(バイリンガル)・・・2つの言語を話せる人
古代ギリシア語とラテン語の「3」は同形です。(厳密には少し違いますが)
古代ギリシア語、ラテン語の「3」=「tri-」(トリ)
「triangle」(トライアングル)・・・(3つの角)
「triple」(トリプル)・・・3重、3倍
「trio」(トリオ)・・・三重奏、3人組
古代ギリシア語の「4」=「tetra-」(テトラ)
「tetrapod」(テトラポッド)・・・(四つ足)
「tetra pack」(テトラパック)・・・(4面体の紙製の容器)
ラテン語の「4」=「quadr-」(クワドロ)
「quarter」(クォーター)・・・4分の1
古代ギリシア語の「5」=「penta-」(ペンタ)
「pentagon」(ペンタゴン)・・・五角形
「Pentagon」(ペンタゴン)・・・アメリカ国防省(建物が五角形であることから)
古代ギリシア語、ラテン語の「8」=「octa-」(オクタ)、「octo-」(オクト)
「octave」(オクターブ)・・・8度(音程)
「octopus」(オクトパス)・・・タコ(8本足)
古代ギリシア語、ラテン語の「10」=「deca-」(デカ)
「decade」(デケイド)・・・10年間
「Decamelon」(デカメロン)・・・(十日物語)ボッカッチョの小説。
「deciliter」(デシリットル)・・・「liter」(リットル)の10分の1
英語には、他の言語から取り入れられた、数多くの「借用語」があります。
最も多いものはフランス語です。
意外に思うかもしれませんが、過去に、イギリスは、「フランス人」に支配された歴史があります。
現在の英語の語彙のほとんどがフランス語から取り入れられたものであるといわれています。
さらに、古代ギリシア語やラテン語から取り入れられた言葉も多く存在します。
古代ギリシア語やラテン語は、フランス語を経由して、イギリスにもたらされることもありました。
そのため、英語の中に、こうした古代の言葉が息づいています。
(ivy 松村)