平成31年度 高校入試志願傾向分析①

昨年度の高校入試は、いくつかの私立大学附属校の倍率が上昇しましたが、本年度はやや沈静化しています。

 

ただ、東京都西部というか、都下というか、多摩地区というか、「この辺」の「私立志向」はまだ脈動している状態です。

 

しかし、まあ、10年前には、いずれの附属校も現在よりも数百人多く応募者を集めていたわけです。「当時の水準」に立ち戻るためには、まだ、いくつかの「起爆剤」が必要かもしれません。

 

今後の高校受験、そして大学受験の「動向次第」では、再度「私立志向」が加速するかもしれません。しかし同時に、小康状態に陥りそうな気配もあります。

 

 

 

東京都東部と西部とでは、少し「温度差」があります。

 

これは、ひとつは「地域性」によるものです。

それから、もうひとつ、「情報」の差が作用しているかもしれません。

 

 

東部では、附属校よりも、進学校→国立大受験というルートへの「信頼感」が維持されています。

 

大学受験の「全体像」が明らかになるにつれて、不安感が払拭されつつあるからです。

 

そもそも、国立大学に対する「思い入れ」というのか、「意欲」というか「信念」というか、ともかく何かそういうものが、西部よりも強くあるのかもしれません。

 

一方、西部は、相対的に、「安全志向」が作用して、都立よりも私立の附属の人気がやや高まっているという印象を持ちます。

 

また、私立大学附属校が西部に集中しているという地理的な条件も、「私立志向」が醸成される大きな要因のひとつです。

 

 

 

過去3年の進学指導重点校の受験者数を見てみましょう。

 

まずは男子です。

 

 

○進学指導重点校7校の過去3年間の受験者数の推移:男子

 

31年度 30年度 29年度
日比谷 258 237 254
戸山 268 265 237
青山 247 262 225
西 191 230 225
八王子東 159 191 170
立川 200 235 201
国立 202 198 185
 合計 1525 1618 1497

 

 

 

昨年から今年にかけて、7校全体では、受験者数が減少しています。

 

では、東部3校と西部4校に分けて、確認してみましょう。

 

 

○東部3校

 

31年度 30年度 29年度
日比谷 258 237 254
戸山 268 265 237
青山 247 262 225
合計 773 764 716

 

 

○西部4校

 

31年度 30年度 29年度
西 191 230 225
八王子東 159 191 170
立川 200 235 201
国立 202 198 185
 合計 752 854 781

 

 

東部の3校は受験者数が増加しています。

一方、西部4校は減少しています。

また、本年度、東部3校の受験者数の合計は、西部4校の合計を上回っています。

 

 

 

次に女子です。

 

○進学指導重点校7校の過去3年間の受験者数の推移:女子

 

31年度 30年度 29年度
日比谷 223 219 214
戸山 223 198 212
青山 235 230 224
西 172 167 183
八王子東 158 181 164
立川 183 188 177
国立 190 221 176
 合計 1384 1404 1350

 

 

 

やはり昨年から今年にかけて、7校全体の受験者数は減少しています。

 

東部3校と西部4校はどうでしょうか。

 

 

○東部3校

 

31年度 30年度 29年度
日比谷 223 219 214
戸山 223 198 212
青山 235 230 224
合計 681 647 650

 

 

○西部4校

 

31年度 30年度 29年度
西 172 167 183
八王子東 158 181 164
立川 183 188 177
国立 190 221 176
 合計 703 757 700

 

 

男子と同様に、昨年と比べて、東部3校は増加、西部4校は減少となっています。

 

 

 

男子、女子ともに、東京都東部では、都立の最上位進学校の人気は維持されていますが、西部には陰りがみられます。

西部のトップ層の受験生の何人かは、私立附属校に流れているとみられます。

 

ただし、これにはもう少し詳細な分析が必要です。

私立附属校の応募者数のデータなどを見てみると、思われているよりも、応募者が増えているわけではありません。

「私立志向」が膨張しているのは、むしろ、中堅~下位の私立高校です。

 

 

 

東西のグループ分けをする際に、西高をどう位置づけるべきか、というのはちょっと難しいところです。

 

男子は「減」、女子は「微増」でした。

 

男子の応募者の減少は、「大学合格実績」の影響です。昨年の実績で、西は国立に抜かれました。

西と国立は、立地的に募集が競合します。

そのため、本年度、男子の応募者が西から国立へ流れました。

 

 

一方、西高の女子は、本年度はやや受験者数を増やしましたが、近年、低倍率が固定化され、「隔年現象」が発動されなくなっています。

女子も、西の応募者を国立が吸収していると考えられます。

 

西高を西部に組み込んだのは、「全体」の傾向をとらえるために、西と国立の関係を考慮する必要があると感じたからです。

 

 

 

西部4校の中で、国立の男子は唯一、受験者数を維持しています。

上記のように、西高から応募者を奪っているためですが、それだけでなく、立川、八王子東から、応募者を吸引しています。

 

多摩地域全体でみると、国立の「一強体制」が築かれつつあるといえると思います。

 

 

特に八王子東は、大きな「反作用」を被っています。

男子、女子ともに募集が低調となり「最優秀層」を集めることができなくなっているために、大学合格実績が下降しています。そうなると、さらに募集が低調にならざるを得ません。「負のスパイラル」に陥りつつあります。

 

 

 

少し話がそれますが、八王子東を「蘇生」させるためには、教育委員会の「支援」が必要だと思います。学校単体の取り組みだけでは、なかなか再浮上は難しいと思います。

 

 

戸山高校の人気を上昇させた「チームメディカル」という取り組みは、東京都教育委員会の主導で導入されましたが、八王子東にも導入してみたらどうなのだろうと思ったりします。

 

それから、これは文部科学省の案件ですが、現在まだ、「SGH」(スーパーグローバルハイスクール)に指定されている都立高校はありませんが、できるのであれば、八王子東を「推薦」してもらいたいと思ったりします。

 

それから、地の利を生かして、首都大ともっと連携を深める制度を取り入れてみたり。

首都大への「進学枠」を増やしたり。

 

などなど。

 

 

 

八王子東は、確か10年ほど前にも、倍率がとても低くなっていたときがありました。

ちょっとハラハラしながら見守っていたのですが、入ってきた生徒を鍛え上げて送り出し、大学進学実績を落とさなかったのです。

 

私は、八王子東は、「きちん」としている素直な子を、真っすぐに伸ばしていく高校というイメージを持っています。

 

八王子東の強みを活かせるような、積極的な変革が求められていると思います。

 

 

 

 

(ivy 松村)

 

平成30年度 都立高校「自校作成」の国語

進学指導重点校の英数国の入試問題は、本年度から「自校作成」となりました。

各校が、5年ぶりに独自問題を作成するとあって、「業界」でも大きな注目が集まりました。

 

 

私は、各校がリリースしている「出題の方針」に注目していました。

 

これをみれば、各校の出題構成と内容が、かなり精密に把握できると理解していたからです。

 

特に気を配っていたのが、国語でした。

国語の「記述」がどうなるのか、が本年度の入試の大きなポイントでした。

 

 

 

日比谷、西、戸山の3校が、大問3で「記述」を課すことは数か月前から判明していました。

また、国立が、大問3で「記述」を出題しないことも、数か月前から判明していました。

 

 

4校は、「出題の方針」をホームページに掲載し、公表していました。

 

いずれの高校も、入試選抜という「プロジェクト」を周到に準備してきたということがわかります。

 

4校の入試問題は、「出題の方針」に沿って作問されています。

 

 

 

一方、青山、八王子東、立川の3校は、「出題の方針」をホームページに掲載していませんでした。

 

 

青山は、都立の入試日になっても、まだ昨年の「出題の方針」をホームページに掲載したままでした。しかし、意外にも、今年の入試問題を最も早くホームページに掲載したのは青山高校でした。

その際に、今年の「出題の方針」もアップされました。

(ちなみに2番目は日比谷で、3番目は八王子東です。)

 

 

国語の入試問題は、すぐにはホームページ等に掲載できないので、現時点で問題を見ることはできませんが、「解答」と照らし合わせて「出題状況」を確認しました。

 

 

青山は、「出題の方針」で「記述」を示唆しないまま、「記述」を出題しています。

 

まあ、「出題の方針」で示された内容には「出題形式」自体への言及がなされていないので、「記述」が出題されたとしても、「出題の方針」に適合していないとは言えない、という「弁解」が、なんとか可能かもしれません。

 

 

この塾に青山を受ける受験生がいたら、ちょっと困ったことになったかもしれませんが、それでも、私は、青山の問題作りは評価できると考えています。

 

 

私は、一貫して、

 

・「記述」を出すべきである

・難度を上げるべきである

 

という主張をしてきました。

 

 

「解答」を見ただけの印象に過ぎませんが、青山高校の入試問題は、非常に熱が入っていると思います。

 

問題点は、入試選抜、もっといえば「生徒募集」が、ちょっと「ちぐはぐ」になっているということです。

 

英語でも、大問3の文章が、「物語文」なのか「説明文」なのかを明示していません。

おそらく、「出題の方針」は、実際の入試問題を想定しないまま作られたのではないかと思います。

「出題の方針」を出さなければいけないので、「とりあえず」あいまいな形でリリースして、後で問題を作り込んでいったのかもしれません。

 

 

「担当者」どうしの「連携」が取れていないとか、「生徒募集」を総括する人が総合的な指示を出していないとか、そういう部分があったのかもしれません。

 

 

 

そして、八王子東と立川です。

私は、2校の「資料」を手にし、「出題の方針」を確認することができました。

 

八王子東と立川は、ともに「入試説明会」で「グループ作成のものと同じような問題」を作ると説明していました。

 

それで、国語の入試問題で「記述」が出題されないという「予断」を持った受験生や受験関係者は多かったはずです。

しかし、八王子東と立川の「出題の方針」には、大問3について以下のように記されていたのです。

 

 

八王子東「文学的な文章を読み、叙述や描写などに即して、場面、登場人物の様子、心情などを正しく理解する能力及び読み取った内容をまとめ、表現する能力などをみる。」

 

立川「文学的な文章を読み、叙述や描写などに即して、場面、登場人物の様子、心情などを正しく理解する能力及び読み取った内容を適切にまとめ、表現する能力などをみる。」

 

 

ともに大問3で「表現する能力」を検査すると書かれてあります。

したがって、私は、両校は大問3で「記述」を出題すると判断しました。

 

 

 

八王子東は、「記述」を出題しました。これは、まったくの予想どおりでした。

 

一方、立川は、大問3で「記述」を出題しませんでした。

 

 

 

八王子東は、この一年、いろいろな面で非常に精力的な取り組みをしているのが伝わってきました。

とりわけ、今回の入試問題は気合が入っていると思います。

問題作りに「攻め」の姿勢があって、ちょっとグッときますね。

 

八王子東の取り組みが変わってきた理由の1つは、昨年の入試で応募人数を大きく減らしてしまったことでしょう。

また、もうひとつは、このままでは進学指導重点校の指定が危うくなるという危機感だと思います。実は、八王子東は、難関4大学の合格実績が下降し、進学指導重点校の「基準」のひとつを満たしていません。ある意味で、「酌量」されて、昨年の進学指導重点校の再指定を受けたわけです。

 

 

ただ、八王子東も、統率が取れた「生徒募集」になっていなかった印象です。

「説明会」などで、魅力をアピールしきることができていませんでした。

 

「入試説明会」では、国語に関してけっこうユニークな内容のお話しがあったということですが、「記述」については触れられなかったようです。そのうえ、「独自問題」について「グループ作成と同じような問題」を出題すると表明していたそうなので、実際の入試問題を目にして、驚いた人も多かったのだろうと思います。

 

 

 

そして、立川です。「表現する能力をみる」と明言していながら、そのための設問が用意されていません。

 

立川の問題を見ましたが、国語は、ボーダーを押し上げる要因になりそうです。

大問3で苦戦した受験生は少なかったと思います。さらに、決定的なのが大問4で、ほとんどの受験生はここで無難に得点を確保できたはずです。

 

立川の国語の問題は、大問3・4と、大問5の「統一感」がバラバラで、しかも全体の「バランス」がとれていません。

大問5は、古文の先生が作っていると思います。これは「骨」のある問題でした。

しかし、多くの受験生は、大問3・4では時間を取られないので、大問5に十分な時間をかけることができたはずです。

 

 

 

立川は、「入試説明会」で合格者の「内申点」の情報などを明かしています。

たとえば、男子は「オール4」に届いていなくても、入試得点で「逆転」できることなどが、データで示されました。

こうした積極的な「情報開示」が、立川の男子の倍率を高めた要因のひとつとなりました。

 

しかし、入試問題が易化し、入試得点が高得点域で均衡してしまうと「内申点」が乏しい受験生にとっては不利な受験になるわけです。

 

 

青山や八王子東と同様に、立川も、「生徒募集」と「作問」が「ちぐはぐ」だったわけですが、他の2校とは違い、立川の場合、「作問」に対する「意識」がおろそかだったという印象です。

 

 

 

虚飾なしに、端的にいえば、日比谷、西の「情報」は、「信頼」できます。

むしろ、高校が出してくる情報を細部までしっかりと読み取ることが大事です。

 

戸山も堅実です。

 

 

国立は、実はちょっと「気がかり」です。

 

国立高校は、かつては国語の入試問題で「重厚で濃密な記述」を出題することで知られていました。現在は見る影もありません。

 

積極的な「差換え」を行わなかった近年の入試問題に大きな違和感を持っていましたが、今年の「自校作成」でも「守り」の姿勢を崩していません。

 

 

日比谷と西は、問題作りと採点に対して、「覚悟」を持っています。

 

「この御時勢」ですから、「採点ミス」などがあれば、大きな責任問題になるでしょう。

それでも、「記述」を増やしました。

 

それから、戸山、八王子東、青山も前に進む決意をしました。

 

 

でも、国立は、ちょっと「教育庁のほう」を気にし過ぎているような印象を受けます。

 

 

国立高校の「歴史」を調べてみると、この高校は、「立地」を含めて、けっこう「ラッキー」が重なって、進学校としての「地位」を向上させてきたことがわかります。

 

適切な言葉なのかどうか、あまり自信はありませんが、あえていえば、もしかすると「殿様商売」といえるのかもしれません。

 

 

「集まってくる生徒のパワーと能力」を最大限に引き出すことができるのは、伝統の「強み」なのかもしれませんが、逆にいえば、「集まってくる生徒の質」が変われば、一気に「高校の質」も変わってしまう危険性を持った高校だと思います。

 

 

ちょっと「今の方向性」は、怖い気がします。

 (ivy 松村)

「出題の方針」の確認

本年度の入試の出題構成について確認しましょう。

 

 

「グループ作成」、「自校作成」の高校は、「出題の方針」をもとに、入試に備える必要があります。

 

 

 

日比谷高校の「出題の基本方針」の「各問のねらい」を見てみましょう。

 

 

□1 漢字を正しく読む能力をみる。

 

□2 漢字を正しく書く能力をみる。

 

□3 文学的な文章を読み、叙述や描写などに即して、場面、登場人物の様子、心情などを正しく理解する能力、表現する能力などをみる。

 

□4 説明的な文章を読み、叙述や文脈などに即して、語句や文の意味、文章の構成及び要旨などを正しく読み取る能力をみるとともに、考えが正確に伝わるように根拠を明らかにしながら、自分の意見を論理的に表現する能力などをみる。

 

□5 古典に関する文章を読み、古典並びに現代の語句及び文章の内容についての理解などをみる。

 

 

 

日比谷高校の国語の漢字の出題は、「グループ作成以前」とその後で構成が変わっています。

 

以前は「文章題からの引用」でした。私立の入試でよくみられるパターンのもので、文章中からいくつかの語句が取り上げられ、その漢字の「読み」や「書き」を問われるという形式でした。

「グループ作成」となってからは他校と「足並み」をそろえる必要から、大問1が「漢字の読み」、大問2が「漢字の書き取り」という独立した問題構成となりました。

 

 

「自校作成」に回帰した本年はどうなるのか、それは、「出題の方針」に示されています。

本年は、「グループ作成」と同じ構成になることがわかります。

 

 

「出題の方針」を参照せずに、暗中模索におちいっている受験生がいたら、説明会で入手したものを確認するとよいと思います。

 

 

 

さて、本年度の国語の入試を予測するうえで、「記述」がどうなるのか、気になっている人も多いと思います。

 

 

各校の大問3の「出題の方針」を比較してみましょう。

 

日比谷「文学的な文章を読み、叙述や描写などに即して、場面、登場人物の様子、心情などを正しく理解する能力、表現する能力などをみる。」

 

戸山「文学的な文章を読み,叙述や描写などに即して,場面,登場人物の様子,心情などを正しく理解する能力及び読み取った内容を適切にまとめ,表現する能力をみる。」

 

国立「文学的な文章を読み,叙述や描写などに即して,場面,登場人物の様子,心情などを正しく理解する能力をみる。」

 

 

日比谷や戸山は大問3で記述問題が出題されるでしょう。

一方、国立は記述問題が出題されないでしょう。

 

 

また、いずれの高校も、大問5で「記述」は出題されないでしょう。

 

 

受験生向けの説明会や塾向けの説明会で、本年度の入試は「グループ作成と同じような出題」になると説明していた高校があったようです。

それで、たとえば、昨年と同様に「記述」は出題されないと高をくくっていると、当日に驚くことになるかもしれません。

その高校の「出題の方針」を見てみると、ちょっと違った出題になるということがみえてきます。

 

 

 

日比谷は、英語の「出題の方針」の「各問のねらい」も確認しておく必要があります。

 

 

□1 自然な口調で話される英語を聞いて、その具体的な内容や大切な部分を把握したり、聞き取った事柄について英語で表現したりする能力をみる

 

□2 まとまりのある対話文を読み、その流れや大切な部分を把握したり、読み取った事柄などについて英語で表現したりする能力をみる

 

□3 物語文を読み、そのあらすじや大切な部分を把握したり、読み取った事柄などについて英語で表現したりする能力などをみる

 

4 短い対話文を読み、読み取った事柄について、異なる2つの意見を適切に英語で表現する能力をみる

 

 

大問1は、全校共通のリスニングです。

大問2~4が独自問題ですが、それぞれ大問2は「長大な対話文」、大問3は「物語文」、大問4は「短い対話文」の問題であることがわかります。

したがって、「説明文」ではなく、「対話文」や「物語文」を読む「準備」をしておかなければなりません。

 

また、すべての大問で「英語で解答する設問」があることがわかります。

それは「抜き出し」の問題なのかもしれませんが、「英語で解答を記述する」問題である可能性が高いと思います。

 

注目すべきは、大問4で「異なる2つの意見を適切に英語で表現する能力」を検査されるという点です。

ここでは、2つの意見が交換される「対話文」が示され、受験生は、「2つの立場」に立ってそれぞれの意見を英語で要約する、あるいは主張を代理する、というような英作文を課せられるのかもしれません。

 

 

 

他塾の方も見ているでしょうから、このへんで。

 

 

 

都立入試に挑む受験生には、本年度の入試の「概要」を伝えています。

 

みなさんは、これまでの受験勉強、そして私立入試を通して、大きく成長しています。

私が、こんこんと伝えるまでもなく、一人ひとりが自分で「入試」をいうものを理解し、取るべき行動を判断することができるようになっています。

 

当日、思いもよらない問題が出ても、落ち着いて対処できるだけの力をつけています。

自信を持ってください。

 

 

 

みなさんといっしょに勉強してきた日々が、すでになつかしく思えます。

もう、「授業」の必要もありません。

 

私は、採点と問題の準備に追われる日々です。

後は、リスニングの「スタート」のボタンを押す係。

 

そして、くだらない質問に対して、くだらない受け答えをする人。

 

月日が過ぎて、あのくだらないやり取りの断片が、みなさんの記憶にかすかに残っていて、あるとき、ふと思い出して、ちょっとだけ愉快な気持ちになってくれたら、うれしく思います。

 

 

 

受験という「航海」の果てに、英作とリスニング、作文と漢字に立ち返ってきました。

これらが「最後のピース」です。

 

 

 

あと少し。がんばろう。

 

 

 

 (ivy 松村)

 

日比谷、国立、八王子東の「正答率」の比較

私立高校入試が一段落し、次は都立高校入試です。

 

明日から、「都立のターン」です。

 

最後まで、気を抜かず、しっかり頑張っていきましょう。

 

 

 

都立の入試問題について、少し情報を書きます。

 

 

本年度は、「自校作成」が復活します。

 

日比谷、西、戸山、青山、国立、立川、八王子東、それに加えて国分寺、新宿、および墨田川は、それぞれの学校が独自の英数国の入試問題を作成し、実施します。

また、国際高校は英語のみ自校作成、白鷗、両国、富士、大泉、武蔵はグループ作成問題となります。

 

 

昨年度までは、「グループ作成」となっていました。

 

したがって、「差替え」が行われた問題を除いて、各校が「同じ問題」を使っていたわけです。

 

日比谷、国立、八王子東は、過去の入試の「正答率」を公表しています。

そこで、3校の昨年度の入試問題の「正答率」を比べてみました。

 

本年度の入試問題から、こうした比較はできなくなります。

 

3校の「正答率」を比べてみると、いくつかの興味深い事実が明らかになってきます。

 

 

 

まずは、英語です。

 

 

大問1 (リスニング)

 

日比谷 国立 八王子東 共通問題
問題A 1 ほぼ10割 98.6 94.3 72.3
2 ほぼ10割 99.2 99.1 87.8
3 9割強 90.0 84.4 56.6
問題B Q1 ほぼ10割 98.1 97.6 78.5
Q2 8割弱 56.2 53.3 26.1

 

 

 

正答率は、学校の「序列」を反映し、日比谷>国立>八王子東になっています。

 

特に、記述で答える問題BのQ2で、日比谷とそれ以外の2校の「正答率」に大きな差が生じています。

 

 

 

大問2 (会話文)

 

 

日比谷 国立 八王子東
問1 a ほぼ9割 84.8 78.1
b 97.5 97.6
問2 ほぼ10割 94.2 94.0
問3 9割強 81.7 66.1
問4 9割弱 96.4 91.3
問5 ほぼ10割 93.4 83.5
問6 ほぼ9割 82.0 74.6
問7 9割弱 94.5 90.4
問8 ほぼ7割 53.7 41.1
77.6 72.5

 

 

 

問3の「正答率」に差が出ています。

 

日比谷の「正答率」は「9割強」です。受験者のほとんど全員が正解を導いています。

一方、八王子東は、「66.1」です。「正答率」は3分の2程度にとどまっています。

 

この問題は整序(並べ替え)問題でした。

私立によくあるタイプの、「文章題に組み込まれている」整序問題です。

 

明八などによく出題される形式です。

 

 

日比谷を受ける受験生のほとんどが、難関私立高校の入試問題に対応する能力を有していることがわかります。

 

一方、八王子東は、問3のような、典型的な私立入試の問題パターンへの対応力が乏しい受験生が多くいることがわかります。

 

しかも、この問題は、完全な整序問題ではなく、特定の順番に配置される語の組み合わせを選ぶ問題です。つまり、「選択問題」だったわけです。

 

「6択」にまで正解の選択肢が絞られていれば、日比谷の受験生は正答にたどり着くことができます。

しかし、八王子東の受験生は、3分の1が対応できません。

 

 

八王子東は、「併願優遇」を利用した受験パターンを組み、ほとんど「私立型」の受験勉強をしていない受験生が多くいるのだろうと思われます。

 

 

さらに、問5、問6、問8のような、文脈・内容把握、読解の力を問うような問題でも、「正答率」に差が出ます。

 

 

昨年の日比谷の合格者のほとんどが、大問1・大問2をほぼ「全正解」していると思います。

 

 

「差」のつかない入試問題には意味がありません。

 

日比谷は、入試説明会で難度を上げると公言しています。

 

一方、八王子東は、「グループ作成問題」と同程度の難易度であると説明しています。

 

 

 

次に国語を見てみましょう。

 

大問1 (漢字の読み取り)

 

 

日比谷 国立 八王子東
(1) 10割弱 99.2 98.2
(2) 7割5分 66.5 59.6
(3) 9割弱 91.7 84.9
(4) 7割 67.0 58.0
(5) 9割5分 97.2 94.9

 

 

 

大問2 (漢字の書き取り)

 

 

日比谷 国立 八王子東
(1) 10割 99.7 97.3
(2) 9割 91.7 90.5
(3) 5割 42.7 32.1
(4) 8割強 81.4 74.8
(5) 9割弱 88.1 84.6

 

 

 

大問3 (文学的文章)

 

国立は、別問題でしたので、日比谷と八王子東の比較です。

 

 

日比谷 国立 八王子東
問1 7割 62.2
問2 9割 89.8
問3 10割弱 97.0
問4 9割弱 86.8
問5 8割 70.6
問6 8割 68.7

 

 

 

 

大問5 (融合文)

 

 

日比谷 国立 八王子東  
問1 5割 53.5 54.5  
問2 9割 90.0 85.6
問3 9割 86.1 81.3
問4 6割 54.3 49.8
問5 6割弱 52.1 48.8

 

 

 

問1が、わずかですが、八王子東の正答率が最も高くなっています。

また、「5割」という表記になっているので、日比谷がもっとも低くなっているのだと考えられます。

 

この問題は、選択肢「エ」を選んでしまって、不正解になった受験生が多かったのだろうと思います。

 

正答率が「逆転」している理由について、少し考えています。

 

 

 

最後に数学です。

 

(3校の入試問題のうち、「同一の問題」の「正答率」が表示してあります。)

 

 

 

大問1 (小問集合)

 

 

日比谷 国立 八王子東
問1 9割強 87.4
問2
問3
問4 8割強 87.5 80.2
問5 7割5分 63.2

 

 

大問2 (関数)

 

 

日比谷 国立 八王子東
問1 72.3 61.0
問2 (1) 58.1 53.1
(2) 65.7 55.9

 

 

大問3 (平面図形)

 

 

日比谷 国立 八王子東
問1 9割強 81.4
問2 (1) 6割5分 72.0
(2) 4割弱 25.2

 

 

 

問2(1)は証明問題ですが、日比谷と国立の「正答率」が「逆転」しています。

おそらく、日比谷の「採点基準」が厳しいのだろうと思われます。

 

 

 

さて、3校を比較して、いくつかのことがわかってきます。

 

 

ひとつは、受験生の「違い」です。

各校の「得点力」が判明し、それぞれの高校の「序列」があきらかになります。

また、「どのようなタイプ」の受験生が多いのかが、わかります。

 

 

 

もうひとつは、採点の「違い」です。

 

都立高校入試は、以前、「採点の誤り」の問題の影響で、一度「採点基準」を「厳格」に統制しようとする「動き」がありました。

 

たとえば、ある年には、英作文など、「内容」をほとんど考慮せず、「文法的に間違いのない文」であれば、一律「正答」とみなすような採点がなされました。

 

本年度は、「独自入試問題」を実施するわけなので、採点も「独自」の「基準」を用いることができます。

 

「自校作成」が復活するということで、どんな問題が出るのか、大きく注目されています。

しかし、「試験」ですから、どんな採点がなされるのか、というのも見過ごせない重要な「テーマ」ですね。

 

 

(ivy 松村)

高校の国公立大学合格実績②(都立G7)

都立高校「G7」の大学合格実績を比べてみましょう。

 

 

まず、「東京一工」の現役の合格者数です。

 

 

現役 東大 京大 一橋 東工
日比谷 33 3 6 4 46
国立 6 3 18 7 34
西 14 2 7 6 29
戸山 5 3 12 7 27
青山 6 1 4 5 16
立川 1 3 5 1 10
八王子東  0  0 4 5 9

 

 

八王子東と立川の合格実績が、他校に引き離されていることがわかります。

 

 

 

次は、浪人生も加えた「合格人数」です。

 

 

合格人数 東大 京大 一橋 東工
日比谷 45 8 9 5 67
西 27 14 10 10 61
国立 17 6 26 9 58
戸山 10 5 14 7 36
青山 6 1 6 7 20
立川 2 5 7 5 19
八王子東 2 0 7 9 18

 

 

日比谷、西、国立の「特徴」がくっきりと表れています。

 

 

・日比谷→東大

・西→京大

・国立→一橋

 

3校の「ストロングポイント」が明確です。

 

(西に関しては「全方位」に強さを発揮するというという見方もできるかもしれませんが。)

 

 

国立の一橋大合格者26人というのは、特筆すべきものです。

これは、全国1位の「合格人数」となります。

 

よく知られているように、一橋大学は国立高校に隣接しています。

国高は、その「アドバンテージ」を最大限に生かしているということになりそうです。

 

 

 

浪人生を加えると、八王子東、立川と青山の「差」が小さくなっています。

 

青山の「東京一工」の浪人生の合格者は4人しかいませんが、八王子東と立川の浪人生の合格者はそれぞれ9人います。

 

 

 

「条件」をそろえて比べてみましょう。

 

「合格率」を算出します。

 

今年の各校の卒業生数をもとに、「100人あたりの合格者」を求めることができます。

100人のうち何人が合格したのか、を確認するわけです。

 

現役の合格者における「合格率」は、今年の卒業生の人数を用いて「適正な数値」を求めることができますが、浪人をあわせた合格人数を、今年の卒業生数で割って「合格人数の合格率」を求めるのは、少し「微妙」です。

 

それでも、「条件」をそろえて「合格率」を比べることで「見えてくるもの」があります。

精密なデータであるとはいえませんが、「参考」として、各校の「合格率」を算出して、比較してみましょう。

 

 

 

現役の「東京一工」の「合格率」と現役と浪人を合わせた合計の「東京一工」の「合格率」です。

 

 

 

卒業生

人数

現役

合格率 

合計

合格率 

日比谷 321 14.3 20.9
西 328 8.8 18.6
国立 369 9.2 15.7
戸山 357 7.6 10.1
青山 286 5.6 7.0
立川 314 3.2 6.1
八王子東 311 2.9 5.8

 

 

「序列」に変化は生じていないように見えます。

 

 

「東京一工」という指標は、非常に一般化されていて、多くの人がこれを「基準」として高校の「合格力」を測ろうとします。

 

これに基づくならば、日比谷、西、国立の「トップ3」に戸山が続き、青山、立川、八王子東の3校が遅れをとっているという「構図」になります。

 

 

特に、立川と八王子東が「苦戦」をしているという「見立て」になるわけです。

 

 

さらに、別の指標を用いて7校の比較をしてみましょう。

 

 

 

「東京一工」に、以下の大学の合格者数を加えたデータを確認します。

 

・北海道大学

・東北大学

・名古屋大学

・大阪大学

・九州大学

 

・筑波大学

・千葉大学

・横浜国立大学

・東京学芸大学

・東京外語大学

・お茶の水大学

・神戸大学

・東京医科歯科大学

・東京藝術大学

 

 

 

まず、現役の「難関国立大」の合格者数のデータです。

 

 

 

現役

日比谷 46 2 2 0 0 0 7 7 3 2 3 5 1 3 0 81 25.2
戸山 27 2 4 2 1 0 1 14 7 5 7 7 1 1 2 81 22.7
国立 34 7 5 1 0 0 4 5 7 3 8 2 1 0 2 79 21.4
西 29 5 2 2 3 1 5 4 3 1 4 4 1 1 0 65 19.8
八王子東 9 7 6 0 1 0 2 1 8 12 3 4 0 0 0 53 17.0
青山 16 3 0 1 3 0 3 7 2 1 6 1 0 1 1 45 15.7
立川 10 3 5 1 1 1 6 1 1 7 3 0 0 0 0 39 12.4

 

 

八王子東の実績が「上昇」していることがわかります。

 

次に、現役と浪人生を足した「難関国立大」の「合格人数」のデータです。

 

 

合格人数

日比谷 67 3 5  0 1 2 9 8 4 2 4 7 1 5 0 118 36.8
国立 58 11 9 1 2 2 7 11 13 4 11 2 1 1 2 135 36.6
西 61 9 4 2 4 2 7 6 3 2 6 4 1 2 1 114 34.8
戸山 36 6 6 2 1 1 1 16 10 6 7 7 1 1 3 104 29.1
八王子東 18 8 7 2 1 2 3 2 11 16 4 5 0 0 0 79 25.4
立川 19 9 8 3 2 3 8 1 5 12 5 0 0 0 2 77 24.5
青山 20 4 0 1 4 0 4 10 3 4 7 3 0 1 1 62 21.7

 

 

 

青山が遅れをとっていることがわかります。

 

 

立川の「浪人指向」が明確に表れています。

「現役」の数字は厳しくなりますが、現役と浪人を合わせた「合格人数」は他校に迫ります。

 

特に、東大、京大以外の「旧帝大」に強さを発揮しています。

北大、東北、名大、阪大、九大の計25人は、日比谷に並ぶ数字です。

 

 

八王子東は、「最難関」の下の「カテゴリー」で強さを発揮します。

横国10人、学芸16人です。

 

ちなみに、農工大26人、首都大27人です。

 

八王子東の受験指導の「真骨頂」は、校内中位層の学力を、中堅の国公立大学合格までに引き上げるところにあるのかもしれません。

 

 

 

最後に、7校の「国公立大学」の「合格者数」と「合格率」を見てみましょう。

 

まず、「現役」のデータです。

 

 

現役 現役

合格者

現役

合格率

八王子東 120 38.6
戸山 116 32.5
国立 119 32.2
日比谷 100 31.2
西 90 27.4
立川 86 27.4
青山 58 20.3

 

 

次に、現役と浪人を合わせた「合格人数」と「合格率」です。

 

 

合格者 合格

人数

合格率
八王子東 185 59.5
国立 201 54.5
立川 156 49.7
西 162 49.4
日比谷 158 49.2
戸山 158 44.3
青山 85 29.7

 

 

ともに八王子東がトップに立っています。

 

国立は、「母数」が多いということもありますが、国公立大学の合格者数が唯一200を超えました。(その中には、学位の認定されない「航空大学校」の合格者も含まれていますが。)

 

「現役」では6番手だった立川は、浪人生を合わせた「合格率」で、3位に浮上しました。

 

 

多摩地区の3校が「合格率」の「トップ3」を占めています。

 

 

 

おそらく、多摩地区の3校と、日比谷、西、戸山の「受験指導」には「差異」があります。

 

前者のグループは、「国公立大学」という「カテゴリー」で最大限の成果を出そうとしているはずです。

また、「浪人→国公立大学受験」という「路線」が、現実的な選択として、受験の「戦略」に組み込まれているように思います。

 

一方、後者のグループは、校内の学力上位層に対して、医学部を含めた「最難関」へのチャレンジを積極的に「後押し」するような指導体制になっているのではないかと想像します。

 

 

 

多摩地区3校のうち、特徴的な八王子東の「方向性」は、ちょっと評価が分かれると思います。

「東京一工」のような「強力な指標」のもとでは「埋没」してしまい、印象が悪くなってしまうからです。

 

今の「方向性」では、「入口」の「応募者」に対する訴求力が弱まって、じりじりと「出口」の「ターゲットゾーン」が後退しそうです。「学芸に行くなら、八王子東。」というように。

 

そうなると、さらに最難関大学を目指す生徒の受験回避傾向が強まり、「負のスパイラル」に陥る可能性があります。

 

個人的には、「最難関の実績」というのは、やはり「進学校」の宿命だと感じます。

 

 

 

そして、青山は、ちょっと「劣勢」に立たされていますね。

 

それは、「青山高校、今年、現役で東大6人」という「部分」だけを見ていても、わからないわけです。

 

 

 

(ivy 松村)