平成31年度 高校入試志願傾向分析①

昨年度の高校入試は、いくつかの私立大学附属校の倍率が上昇しましたが、本年度はやや沈静化しています。

 

ただ、東京都西部というか、都下というか、多摩地区というか、「この辺」の「私立志向」はまだ脈動している状態です。

 

しかし、まあ、10年前には、いずれの附属校も現在よりも数百人多く応募者を集めていたわけです。「当時の水準」に立ち戻るためには、まだ、いくつかの「起爆剤」が必要かもしれません。

 

今後の高校受験、そして大学受験の「動向次第」では、再度「私立志向」が加速するかもしれません。しかし同時に、小康状態に陥りそうな気配もあります。

 

 

 

東京都東部と西部とでは、少し「温度差」があります。

 

これは、ひとつは「地域性」によるものです。

それから、もうひとつ、「情報」の差が作用しているかもしれません。

 

 

東部では、附属校よりも、進学校→国立大受験というルートへの「信頼感」が維持されています。

 

大学受験の「全体像」が明らかになるにつれて、不安感が払拭されつつあるからです。

 

そもそも、国立大学に対する「思い入れ」というのか、「意欲」というか「信念」というか、ともかく何かそういうものが、西部よりも強くあるのかもしれません。

 

一方、西部は、相対的に、「安全志向」が作用して、都立よりも私立の附属の人気がやや高まっているという印象を持ちます。

 

また、私立大学附属校が西部に集中しているという地理的な条件も、「私立志向」が醸成される大きな要因のひとつです。

 

 

 

過去3年の進学指導重点校の受験者数を見てみましょう。

 

まずは男子です。

 

 

○進学指導重点校7校の過去3年間の受験者数の推移:男子

 

31年度 30年度 29年度
日比谷 258 237 254
戸山 268 265 237
青山 247 262 225
西 191 230 225
八王子東 159 191 170
立川 200 235 201
国立 202 198 185
 合計 1525 1618 1497

 

 

 

昨年から今年にかけて、7校全体では、受験者数が減少しています。

 

では、東部3校と西部4校に分けて、確認してみましょう。

 

 

○東部3校

 

31年度 30年度 29年度
日比谷 258 237 254
戸山 268 265 237
青山 247 262 225
合計 773 764 716

 

 

○西部4校

 

31年度 30年度 29年度
西 191 230 225
八王子東 159 191 170
立川 200 235 201
国立 202 198 185
 合計 752 854 781

 

 

東部の3校は受験者数が増加しています。

一方、西部4校は減少しています。

また、本年度、東部3校の受験者数の合計は、西部4校の合計を上回っています。

 

 

 

次に女子です。

 

○進学指導重点校7校の過去3年間の受験者数の推移:女子

 

31年度 30年度 29年度
日比谷 223 219 214
戸山 223 198 212
青山 235 230 224
西 172 167 183
八王子東 158 181 164
立川 183 188 177
国立 190 221 176
 合計 1384 1404 1350

 

 

 

やはり昨年から今年にかけて、7校全体の受験者数は減少しています。

 

東部3校と西部4校はどうでしょうか。

 

 

○東部3校

 

31年度 30年度 29年度
日比谷 223 219 214
戸山 223 198 212
青山 235 230 224
合計 681 647 650

 

 

○西部4校

 

31年度 30年度 29年度
西 172 167 183
八王子東 158 181 164
立川 183 188 177
国立 190 221 176
 合計 703 757 700

 

 

男子と同様に、昨年と比べて、東部3校は増加、西部4校は減少となっています。

 

 

 

男子、女子ともに、東京都東部では、都立の最上位進学校の人気は維持されていますが、西部には陰りがみられます。

西部のトップ層の受験生の何人かは、私立附属校に流れているとみられます。

 

ただし、これにはもう少し詳細な分析が必要です。

私立附属校の応募者数のデータなどを見てみると、思われているよりも、応募者が増えているわけではありません。

「私立志向」が膨張しているのは、むしろ、中堅~下位の私立高校です。

 

 

 

東西のグループ分けをする際に、西高をどう位置づけるべきか、というのはちょっと難しいところです。

 

男子は「減」、女子は「微増」でした。

 

男子の応募者の減少は、「大学合格実績」の影響です。昨年の実績で、西は国立に抜かれました。

西と国立は、立地的に募集が競合します。

そのため、本年度、男子の応募者が西から国立へ流れました。

 

 

一方、西高の女子は、本年度はやや受験者数を増やしましたが、近年、低倍率が固定化され、「隔年現象」が発動されなくなっています。

女子も、西の応募者を国立が吸収していると考えられます。

 

西高を西部に組み込んだのは、「全体」の傾向をとらえるために、西と国立の関係を考慮する必要があると感じたからです。

 

 

 

西部4校の中で、国立の男子は唯一、受験者数を維持しています。

上記のように、西高から応募者を奪っているためですが、それだけでなく、立川、八王子東から、応募者を吸引しています。

 

多摩地域全体でみると、国立の「一強体制」が築かれつつあるといえると思います。

 

 

特に八王子東は、大きな「反作用」を被っています。

男子、女子ともに募集が低調となり「最優秀層」を集めることができなくなっているために、大学合格実績が下降しています。そうなると、さらに募集が低調にならざるを得ません。「負のスパイラル」に陥りつつあります。

 

 

 

少し話がそれますが、八王子東を「蘇生」させるためには、教育委員会の「支援」が必要だと思います。学校単体の取り組みだけでは、なかなか再浮上は難しいと思います。

 

 

戸山高校の人気を上昇させた「チームメディカル」という取り組みは、東京都教育委員会の主導で導入されましたが、八王子東にも導入してみたらどうなのだろうと思ったりします。

 

それから、これは文部科学省の案件ですが、現在まだ、「SGH」(スーパーグローバルハイスクール)に指定されている都立高校はありませんが、できるのであれば、八王子東を「推薦」してもらいたいと思ったりします。

 

それから、地の利を生かして、首都大ともっと連携を深める制度を取り入れてみたり。

首都大への「進学枠」を増やしたり。

 

などなど。

 

 

 

八王子東は、確か10年ほど前にも、倍率がとても低くなっていたときがありました。

ちょっとハラハラしながら見守っていたのですが、入ってきた生徒を鍛え上げて送り出し、大学進学実績を落とさなかったのです。

 

私は、八王子東は、「きちん」としている素直な子を、真っすぐに伸ばしていく高校というイメージを持っています。

 

八王子東の強みを活かせるような、積極的な変革が求められていると思います。

 

 

 

 

(ivy 松村)

 

平成30年度 都立高校「自校作成」の国語

進学指導重点校の英数国の入試問題は、本年度から「自校作成」となりました。

各校が、5年ぶりに独自問題を作成するとあって、「業界」でも大きな注目が集まりました。

 

 

私は、各校がリリースしている「出題の方針」に注目していました。

 

これをみれば、各校の出題構成と内容が、かなり精密に把握できると理解していたからです。

 

特に気を配っていたのが、国語でした。

国語の「記述」がどうなるのか、が本年度の入試の大きなポイントでした。

 

 

 

日比谷、西、戸山の3校が、大問3で「記述」を課すことは数か月前から判明していました。

また、国立が、大問3で「記述」を出題しないことも、数か月前から判明していました。

 

 

4校は、「出題の方針」をホームページに掲載し、公表していました。

 

いずれの高校も、入試選抜という「プロジェクト」を周到に準備してきたということがわかります。

 

4校の入試問題は、「出題の方針」に沿って作問されています。

 

 

 

一方、青山、八王子東、立川の3校は、「出題の方針」をホームページに掲載していませんでした。

 

 

青山は、都立の入試日になっても、まだ昨年の「出題の方針」をホームページに掲載したままでした。しかし、意外にも、今年の入試問題を最も早くホームページに掲載したのは青山高校でした。

その際に、今年の「出題の方針」もアップされました。

(ちなみに2番目は日比谷で、3番目は八王子東です。)

 

 

国語の入試問題は、すぐにはホームページ等に掲載できないので、現時点で問題を見ることはできませんが、「解答」と照らし合わせて「出題状況」を確認しました。

 

 

青山は、「出題の方針」で「記述」を示唆しないまま、「記述」を出題しています。

 

まあ、「出題の方針」で示された内容には「出題形式」自体への言及がなされていないので、「記述」が出題されたとしても、「出題の方針」に適合していないとは言えない、という「弁解」が、なんとか可能かもしれません。

 

 

この塾に青山を受ける受験生がいたら、ちょっと困ったことになったかもしれませんが、それでも、私は、青山の問題作りは評価できると考えています。

 

 

私は、一貫して、

 

・「記述」を出すべきである

・難度を上げるべきである

 

という主張をしてきました。

 

 

「解答」を見ただけの印象に過ぎませんが、青山高校の入試問題は、非常に熱が入っていると思います。

 

問題点は、入試選抜、もっといえば「生徒募集」が、ちょっと「ちぐはぐ」になっているということです。

 

英語でも、大問3の文章が、「物語文」なのか「説明文」なのかを明示していません。

おそらく、「出題の方針」は、実際の入試問題を想定しないまま作られたのではないかと思います。

「出題の方針」を出さなければいけないので、「とりあえず」あいまいな形でリリースして、後で問題を作り込んでいったのかもしれません。

 

 

「担当者」どうしの「連携」が取れていないとか、「生徒募集」を総括する人が総合的な指示を出していないとか、そういう部分があったのかもしれません。

 

 

 

そして、八王子東と立川です。

私は、2校の「資料」を手にし、「出題の方針」を確認することができました。

 

八王子東と立川は、ともに「入試説明会」で「グループ作成のものと同じような問題」を作ると説明していました。

 

それで、国語の入試問題で「記述」が出題されないという「予断」を持った受験生や受験関係者は多かったはずです。

しかし、八王子東と立川の「出題の方針」には、大問3について以下のように記されていたのです。

 

 

八王子東「文学的な文章を読み、叙述や描写などに即して、場面、登場人物の様子、心情などを正しく理解する能力及び読み取った内容をまとめ、表現する能力などをみる。」

 

立川「文学的な文章を読み、叙述や描写などに即して、場面、登場人物の様子、心情などを正しく理解する能力及び読み取った内容を適切にまとめ、表現する能力などをみる。」

 

 

ともに大問3で「表現する能力」を検査すると書かれてあります。

したがって、私は、両校は大問3で「記述」を出題すると判断しました。

 

 

 

八王子東は、「記述」を出題しました。これは、まったくの予想どおりでした。

 

一方、立川は、大問3で「記述」を出題しませんでした。

 

 

 

八王子東は、この一年、いろいろな面で非常に精力的な取り組みをしているのが伝わってきました。

とりわけ、今回の入試問題は気合が入っていると思います。

問題作りに「攻め」の姿勢があって、ちょっとグッときますね。

 

八王子東の取り組みが変わってきた理由の1つは、昨年の入試で応募人数を大きく減らしてしまったことでしょう。

また、もうひとつは、このままでは進学指導重点校の指定が危うくなるという危機感だと思います。実は、八王子東は、難関4大学の合格実績が下降し、進学指導重点校の「基準」のひとつを満たしていません。ある意味で、「酌量」されて、昨年の進学指導重点校の再指定を受けたわけです。

 

 

ただ、八王子東も、統率が取れた「生徒募集」になっていなかった印象です。

「説明会」などで、魅力をアピールしきることができていませんでした。

 

「入試説明会」では、国語に関してけっこうユニークな内容のお話しがあったということですが、「記述」については触れられなかったようです。そのうえ、「独自問題」について「グループ作成と同じような問題」を出題すると表明していたそうなので、実際の入試問題を目にして、驚いた人も多かったのだろうと思います。

 

 

 

そして、立川です。「表現する能力をみる」と明言していながら、そのための設問が用意されていません。

 

立川の問題を見ましたが、国語は、ボーダーを押し上げる要因になりそうです。

大問3で苦戦した受験生は少なかったと思います。さらに、決定的なのが大問4で、ほとんどの受験生はここで無難に得点を確保できたはずです。

 

立川の国語の問題は、大問3・4と、大問5の「統一感」がバラバラで、しかも全体の「バランス」がとれていません。

大問5は、古文の先生が作っていると思います。これは「骨」のある問題でした。

しかし、多くの受験生は、大問3・4では時間を取られないので、大問5に十分な時間をかけることができたはずです。

 

 

 

立川は、「入試説明会」で合格者の「内申点」の情報などを明かしています。

たとえば、男子は「オール4」に届いていなくても、入試得点で「逆転」できることなどが、データで示されました。

こうした積極的な「情報開示」が、立川の男子の倍率を高めた要因のひとつとなりました。

 

しかし、入試問題が易化し、入試得点が高得点域で均衡してしまうと「内申点」が乏しい受験生にとっては不利な受験になるわけです。

 

 

青山や八王子東と同様に、立川も、「生徒募集」と「作問」が「ちぐはぐ」だったわけですが、他の2校とは違い、立川の場合、「作問」に対する「意識」がおろそかだったという印象です。

 

 

 

虚飾なしに、端的にいえば、日比谷、西の「情報」は、「信頼」できます。

むしろ、高校が出してくる情報を細部までしっかりと読み取ることが大事です。

 

戸山も堅実です。

 

 

国立は、実はちょっと「気がかり」です。

 

国立高校は、かつては国語の入試問題で「重厚で濃密な記述」を出題することで知られていました。現在は見る影もありません。

 

積極的な「差換え」を行わなかった近年の入試問題に大きな違和感を持っていましたが、今年の「自校作成」でも「守り」の姿勢を崩していません。

 

 

日比谷と西は、問題作りと採点に対して、「覚悟」を持っています。

 

「この御時勢」ですから、「採点ミス」などがあれば、大きな責任問題になるでしょう。

それでも、「記述」を増やしました。

 

それから、戸山、八王子東、青山も前に進む決意をしました。

 

 

でも、国立は、ちょっと「教育庁のほう」を気にし過ぎているような印象を受けます。

 

 

国立高校の「歴史」を調べてみると、この高校は、「立地」を含めて、けっこう「ラッキー」が重なって、進学校としての「地位」を向上させてきたことがわかります。

 

適切な言葉なのかどうか、あまり自信はありませんが、あえていえば、もしかすると「殿様商売」といえるのかもしれません。

 

 

「集まってくる生徒のパワーと能力」を最大限に引き出すことができるのは、伝統の「強み」なのかもしれませんが、逆にいえば、「集まってくる生徒の質」が変われば、一気に「高校の質」も変わってしまう危険性を持った高校だと思います。

 

 

ちょっと「今の方向性」は、怖い気がします。

 (ivy 松村)

町田市出身の日比谷、西、戸山の合格者数

今日は英検の二次試験でした。

試験のあと、校舎に来た生徒たちにどうだったか聞いてみましたが、みんなかなり良い感触だったようです。

この2週間、しっかり練習してきたので、落ち着いて対応することができたみたいです。

 

準2級は、対策した内容が多く出題されたので、答えやすかったみたいです。

 

3級は、5つ目の質問で、「〜へ行ったことがありますか」というような現在完了の疑問文が使われたようです。

2年生の生徒たちはまだ現在完了を習っていないので、少し戸惑ったそうですが、なんとか答えることができたみたいです。

 

前に英検について記事を書いたときに、現在完了の経験用法を用いた表現について言及した記憶があります。

「~をしたことがあるか」という質問は、極めて自然な話題のひとつだといえます。

ですから、英検がよりいっそう「実用的な英語」を志向するのであれば、こういった表現を試験に組み込むことは必然であるといえるでしょう。

 

今後、中3までに英検3級を目指す生徒には、現在完了について少し触れておく必要があるかもしれません。

 

 

受検したみなさん、おつかれさまでした。

 

これから、期末試験です。

切り替えて、しっかり取り組んでいきましょう。

 

 

 

今日は、期末試験勉強のために、午後から校舎を開けました。

 

中1~中3の生徒たちが集まって、しっかりと勉強をして帰っていきました。

 

特に、中3の生徒たちは、ある意味で、高校受験の最初の「山場」を迎えます。

どうか精一杯頑張ってほしいと思います。

 

 

 

さて、「出身中学別合格者数」の話です。

今回は、特に、町田市について見てみようと思います。

 

以前このブログに八王子東高校の倍率が下がっているという話を書いたことがあります。

その際に、八王子東の応募が低調となっている理由のひとつとして、旧第7学区の一角であった町田市から「人員」が流出していることを挙げました。

 

それで、今年、日比谷高校、西高校、戸山高校に合格した町田市出身者を調べてみました。

 

 

日比谷 西 戸山
町田第一中学校 1
町田第二中学校 2 1
南大谷中学校 1
南中学校 4
つくし野中学校 5 1 2
成瀬台中学校 1
南成瀬中学校 1 1
鶴川中学校
鶴川第二中学校 2 3
薬師中学校 1
金井中学校 1 2 2
忠生中学校 1
     計 15 6 11

 

 

 

本年度は町田市から3校に、計32人が合格しています。

 

 

かつては、学区制という「しばり」があったために、町田市の受験生は区部の都立高校を受けることができませんでした。

ゆえに、町田市に居住する都立高校志望の学力上位者は、八王子東に集中していたわけです。

しかし、学区制が廃止されたことで町田市出身の学力上位者が他のトップ校を受験できるようになりました。

 

 

 

町田市という「後背地」を失ったことは、大学合格実績にも影響を及ぼしています。

 

学区制の時代、八王子東の「高校ランク」は日比谷をもしのぎました。

八王子東は、西高と双璧を成す都立最高峰の地位にあったのです。

 

現在の八王子東は、都立最難関の一角を占めているとはいえ、都立トップ校の後塵を拝しています。

 

今年の八王子東は、都立高校の中で最も多く国公立大学の合格者を出しましたが、「東京一工」のような最難関大学に照準してみると、トップ校にかなりの差をつけられていることがわかります。最難関大学の実績は、かつてよりも落ちています。

 

 

 

八王子東高校は、町田市からアクセクしやすい立地ではありません。

 

特に、鶴川やつくし野など、小田急線や田園都市線の沿線の地域は、電車やバスの乗り換えが煩雑になります。

 

そのうえ、最寄り駅から高校への距離にも苦労させられます。横浜線で八王子駅まで行き、そこからバスに乗るか自転車、あるいは、八王子で乗り換えて北八王子駅か豊田駅で降りて自転車、徒歩などで十数分かけて高校に向かわなければなりません。

 

乗換案内等で調べてみましたが、最寄り駅から高校まで移動する時間を含めると、町田市の南部・東部からは、日比谷や西、戸山に通うほうが、八王子東に通うよりも通学時間が短くなります。

 

 

 

さらに、青山高校についても考える余地がありそうです。

町田市から青山へのアクセス時間は日比谷、西、戸山と同じくらいです。

 

青山のデータが手元にないので正確な人数はわかりませんが、進学実績を公表している町田市にある塾のホームページなどを調べてみると、合計で数人の青山高校の合格者が確認できました。

やはり、一定数の生徒が町田市から青山高校に進学しています。

 

 

 

そして、実は、町田市から立川高校や国立高校へのアクセス時間も、同じくらいなのです。

 

町田市内から立川駅や国立駅への移動時間は、都心のターミナル駅につく時間と変わりありません。

それどころか、むしろ遅い場合さえあります。

 

東京都内の鉄道路線は、東西の輸送を主としています。

したがって、西から東への移動は容易です。反面、南北の輸送力は脆弱です。

 

東京都の南部に突起するように位置する町田市から、公共交通機関を使って北上し、中央線の駅にたどり着くためには、非常に面倒で鈍重な経路をたどらなければなりません。

 

 

 

以上のように、町田市は「特殊な交通事情」を抱えているといえます。

 

日比谷、西、戸山、青山、立川、国立そして八王子東へのアクセス時間が、ほとんど変わりません。

 

そうなると、結果的に、町田市の受験生は、受験校を選択するうえで「通学時間」という要素を排除して検討することができるわけです。

 

 

 

ついでに、3校に合格した町田市出身の合格者の、過去4年間の推移をみてみましょう。

 

 

日比谷 西 戸山
29年度 15 6 11
28年度 10 12 5
27年度 16 15 1
26年度 11 11 6

 

 

 

今年は西の合格者数が減っています。

反面、日比谷、戸山の合格者数が増えています。

 

戸山高校は、「現役の進学」に強い高校です。

その点が、評価されてきたのかもしれません。

また、複々線化によって、小田急線を使った通学経路が見直されているのかもしれません。

 

 

 

ちなみに、今年を含めて過去4年間、日野市、八王子市出身の戸山高校の合格者は0人です。

日比谷は、今年日野市が0人、八王子市が2人です。

西は、今年日野市が1人、八王子市が9人です。

 

 

日野市、八王子市は、八王子東の「お膝元」であるというだけでなく、立川、国立へのアクセスが容易です。また、国分寺高校があります。身近な距離に複数の選択肢がそろっています。

そのため、「安易に」受験校を決める受験生も多く、区部への受験が活性化しません。

 

 

しかし、実は、八王子市や日野市から日比谷高校や戸山高校にアクセスする時間は、1時間程度なのです。

それは、町田市から日比谷や戸山にアクセスする時間とほとんど変わりありません。

 

むろん、西高へは、より短い時間でアクセスすることができます。

 

 

 

この数年、高校受験に関して考えさせられることが多々あるのですが、そのうちのひとつは、多摩地区の高校と区部の高校の、募集に対する「温度差」についてです。

 

うかうかしていると、「差」が広がってしまうような気がします。

 

 

(ivy 松村)

 

 

高校の国公立大学合格実績②(都立G7)

都立高校「G7」の大学合格実績を比べてみましょう。

 

 

まず、「東京一工」の現役の合格者数です。

 

 

現役 東大 京大 一橋 東工
日比谷 33 3 6 4 46
国立 6 3 18 7 34
西 14 2 7 6 29
戸山 5 3 12 7 27
青山 6 1 4 5 16
立川 1 3 5 1 10
八王子東  0  0 4 5 9

 

 

八王子東と立川の合格実績が、他校に引き離されていることがわかります。

 

 

 

次は、浪人生も加えた「合格人数」です。

 

 

合格人数 東大 京大 一橋 東工
日比谷 45 8 9 5 67
西 27 14 10 10 61
国立 17 6 26 9 58
戸山 10 5 14 7 36
青山 6 1 6 7 20
立川 2 5 7 5 19
八王子東 2 0 7 9 18

 

 

日比谷、西、国立の「特徴」がくっきりと表れています。

 

 

・日比谷→東大

・西→京大

・国立→一橋

 

3校の「ストロングポイント」が明確です。

 

(西に関しては「全方位」に強さを発揮するというという見方もできるかもしれませんが。)

 

 

国立の一橋大合格者26人というのは、特筆すべきものです。

これは、全国1位の「合格人数」となります。

 

よく知られているように、一橋大学は国立高校に隣接しています。

国高は、その「アドバンテージ」を最大限に生かしているということになりそうです。

 

 

 

浪人生を加えると、八王子東、立川と青山の「差」が小さくなっています。

 

青山の「東京一工」の浪人生の合格者は4人しかいませんが、八王子東と立川の浪人生の合格者はそれぞれ9人います。

 

 

 

「条件」をそろえて比べてみましょう。

 

「合格率」を算出します。

 

今年の各校の卒業生数をもとに、「100人あたりの合格者」を求めることができます。

100人のうち何人が合格したのか、を確認するわけです。

 

現役の合格者における「合格率」は、今年の卒業生の人数を用いて「適正な数値」を求めることができますが、浪人をあわせた合格人数を、今年の卒業生数で割って「合格人数の合格率」を求めるのは、少し「微妙」です。

 

それでも、「条件」をそろえて「合格率」を比べることで「見えてくるもの」があります。

精密なデータであるとはいえませんが、「参考」として、各校の「合格率」を算出して、比較してみましょう。

 

 

 

現役の「東京一工」の「合格率」と現役と浪人を合わせた合計の「東京一工」の「合格率」です。

 

 

 

卒業生

人数

現役

合格率 

合計

合格率 

日比谷 321 14.3 20.9
西 328 8.8 18.6
国立 369 9.2 15.7
戸山 357 7.6 10.1
青山 286 5.6 7.0
立川 314 3.2 6.1
八王子東 311 2.9 5.8

 

 

「序列」に変化は生じていないように見えます。

 

 

「東京一工」という指標は、非常に一般化されていて、多くの人がこれを「基準」として高校の「合格力」を測ろうとします。

 

これに基づくならば、日比谷、西、国立の「トップ3」に戸山が続き、青山、立川、八王子東の3校が遅れをとっているという「構図」になります。

 

 

特に、立川と八王子東が「苦戦」をしているという「見立て」になるわけです。

 

 

さらに、別の指標を用いて7校の比較をしてみましょう。

 

 

 

「東京一工」に、以下の大学の合格者数を加えたデータを確認します。

 

・北海道大学

・東北大学

・名古屋大学

・大阪大学

・九州大学

 

・筑波大学

・千葉大学

・横浜国立大学

・東京学芸大学

・東京外語大学

・お茶の水大学

・神戸大学

・東京医科歯科大学

・東京藝術大学

 

 

 

まず、現役の「難関国立大」の合格者数のデータです。

 

 

 

現役

日比谷 46 2 2 0 0 0 7 7 3 2 3 5 1 3 0 81 25.2
戸山 27 2 4 2 1 0 1 14 7 5 7 7 1 1 2 81 22.7
国立 34 7 5 1 0 0 4 5 7 3 8 2 1 0 2 79 21.4
西 29 5 2 2 3 1 5 4 3 1 4 4 1 1 0 65 19.8
八王子東 9 7 6 0 1 0 2 1 8 12 3 4 0 0 0 53 17.0
青山 16 3 0 1 3 0 3 7 2 1 6 1 0 1 1 45 15.7
立川 10 3 5 1 1 1 6 1 1 7 3 0 0 0 0 39 12.4

 

 

八王子東の実績が「上昇」していることがわかります。

 

次に、現役と浪人生を足した「難関国立大」の「合格人数」のデータです。

 

 

合格人数

日比谷 67 3 5  0 1 2 9 8 4 2 4 7 1 5 0 118 36.8
国立 58 11 9 1 2 2 7 11 13 4 11 2 1 1 2 135 36.6
西 61 9 4 2 4 2 7 6 3 2 6 4 1 2 1 114 34.8
戸山 36 6 6 2 1 1 1 16 10 6 7 7 1 1 3 104 29.1
八王子東 18 8 7 2 1 2 3 2 11 16 4 5 0 0 0 79 25.4
立川 19 9 8 3 2 3 8 1 5 12 5 0 0 0 2 77 24.5
青山 20 4 0 1 4 0 4 10 3 4 7 3 0 1 1 62 21.7

 

 

 

青山が遅れをとっていることがわかります。

 

 

立川の「浪人指向」が明確に表れています。

「現役」の数字は厳しくなりますが、現役と浪人を合わせた「合格人数」は他校に迫ります。

 

特に、東大、京大以外の「旧帝大」に強さを発揮しています。

北大、東北、名大、阪大、九大の計25人は、日比谷に並ぶ数字です。

 

 

八王子東は、「最難関」の下の「カテゴリー」で強さを発揮します。

横国10人、学芸16人です。

 

ちなみに、農工大26人、首都大27人です。

 

八王子東の受験指導の「真骨頂」は、校内中位層の学力を、中堅の国公立大学合格までに引き上げるところにあるのかもしれません。

 

 

 

最後に、7校の「国公立大学」の「合格者数」と「合格率」を見てみましょう。

 

まず、「現役」のデータです。

 

 

現役 現役

合格者

現役

合格率

八王子東 120 38.6
戸山 116 32.5
国立 119 32.2
日比谷 100 31.2
西 90 27.4
立川 86 27.4
青山 58 20.3

 

 

次に、現役と浪人を合わせた「合格人数」と「合格率」です。

 

 

合格者 合格

人数

合格率
八王子東 185 59.5
国立 201 54.5
立川 156 49.7
西 162 49.4
日比谷 158 49.2
戸山 158 44.3
青山 85 29.7

 

 

ともに八王子東がトップに立っています。

 

国立は、「母数」が多いということもありますが、国公立大学の合格者数が唯一200を超えました。(その中には、学位の認定されない「航空大学校」の合格者も含まれていますが。)

 

「現役」では6番手だった立川は、浪人生を合わせた「合格率」で、3位に浮上しました。

 

 

多摩地区の3校が「合格率」の「トップ3」を占めています。

 

 

 

おそらく、多摩地区の3校と、日比谷、西、戸山の「受験指導」には「差異」があります。

 

前者のグループは、「国公立大学」という「カテゴリー」で最大限の成果を出そうとしているはずです。

また、「浪人→国公立大学受験」という「路線」が、現実的な選択として、受験の「戦略」に組み込まれているように思います。

 

一方、後者のグループは、校内の学力上位層に対して、医学部を含めた「最難関」へのチャレンジを積極的に「後押し」するような指導体制になっているのではないかと想像します。

 

 

 

多摩地区3校のうち、特徴的な八王子東の「方向性」は、ちょっと評価が分かれると思います。

「東京一工」のような「強力な指標」のもとでは「埋没」してしまい、印象が悪くなってしまうからです。

 

今の「方向性」では、「入口」の「応募者」に対する訴求力が弱まって、じりじりと「出口」の「ターゲットゾーン」が後退しそうです。「学芸に行くなら、八王子東。」というように。

 

そうなると、さらに最難関大学を目指す生徒の受験回避傾向が強まり、「負のスパイラル」に陥る可能性があります。

 

個人的には、「最難関の実績」というのは、やはり「進学校」の宿命だと感じます。

 

 

 

そして、青山は、ちょっと「劣勢」に立たされていますね。

 

それは、「青山高校、今年、現役で東大6人」という「部分」だけを見ていても、わからないわけです。

 

 

 

(ivy 松村)

 

 

国語の入試問題の「易化」がもたらすもの

今年の都立高校入試では、共通問題の国語の平均点が70点の「大台」を超えて73.9点となりました。

 

都立高校入試が「易化」すると、「学力判定」への影響が切実になります。

今年は、ちょっと見過ごせないほどに試験の水準が低下しました。

 

 

73.9点という都立共通問題の平均点は、下位の高校も上位の高校も、すべて合同で算出されています。

その平均点が70点を超えているということは、上位校の受験生の点数は、満点に近い高得点で拮抗しているということになります。

 

東京都教育委員会が公表した「得点分布」のデータによれば「分布のピーク」が80~84になっています。実際にグラフを見れば一目瞭然ですが、平均が73.9点で「ピーク」が80~84になっているわけですから、「分布」が高得点域に大きく偏っているわけです。

 

この国語の試験で50点以下の点数をとった受験生は、約10パーセントでした。

 

一方、90点以上を取った受験生は15パーセント以上います。

 

したがって、今年、都立高校の国語の問題を受験した約39,977人の受験生のうち、約6,000人が90点以上を獲得していることになります。(驚くべきことに、さらにそのうちの2,000人以上が95点以上を獲得していることになります。)

 

 

さて、次のような高校が、共通問題を使用する都立上位校です。

小山台、駒場、国際、竹早、三田、小松川、北園、武蔵野北、町田、小金井北、日野台、調布北。

 

12校の高校の今年の受験者数の合計は、4,067人です。

 

全受験生のうち、90点以上を取った受験生が6,000人いるわけですから、共通問題上位校に挑む約4,000人にとっては、90点以上の得点を取ることが「基準」となるでしょう。

 

上記の学校群の入試では、結局のところ、ほとんどの受験生がそれに近い点数を確保していたはずです。

 

 

 

しかし、問題の本質は、試験が「簡単すぎた」ということではありません。

得点差が無くなり、「入試点」が膠着してしまうと、合否を分かつ決定打になるのが、「内申点」となってしまうことです。

本番の入試得点で差がつかないのですから、「持ち点勝負」となってしまうわけです。

 

 

このブログでも、再三にわたって指摘しているとおり、恣意的な指標である「内申点」の比重が高まるほどに、入試の公平性は揺らいでいくわけです。

「簡単すぎる入試問題」は、「内申点」という「しばり」が存在する限り、都立高校入試の「選抜機能」を溶融させてしまいます。

 

 

入学試験が「易化」するほどに、内申点の価値が高まるとういう「メカニズム」は、入試を不安定にさせるある種の「呪縛」なのです。

 

 

その意味では、共通問題と同様に記述問題が激減した「グループ作成」の高校群も、同種の「気がかり」がぬぐえないわけです。

 

西高のホームページを見てみると、同校を受験した受験生の国・数・英の平均点が掲載されています。

 

今年の平均点は、国語が71.3点、数学が51.2点、英語が69.8点です。

やはり、国語の平均点が上昇しています。

また、英語の平均点も高くなっています。

西高の国語の平均点が70点を超えたのは、自校作を導入した最初の年以来です。

 

西高と同様に、「グループ作成校」全体の国語の平均点も上昇していると推測されます。

 

 

今年の入試では、過去の「入試情報」をもとに精度の高い分析を行っていた学習塾ほど、「内申基準」と「ボーダーライン」を読み違えていると思います。

 

 

 

ところで、話は変わりますが、国語の入学試験問題が「簡単」だった場合、「国語が得意な生徒」と「国語が苦手な生徒」のどちらが有利になるでしょうか。

 

多くの場合、「国語が苦手な生徒」に有利になると思います。

 

「簡単」というのは、要するに、得点を取る受験生が多くなるということです。

したがって、「国語が得意な生徒」は、国語の得点で他の受験生に対して「差」を付けることができなくなるということになります。

 

今回の都立共通問題の試験では、「国語の能力」が「抜群の生徒」と「平凡な生徒」に「差」がつかないばかりか、比較的国語を苦手にしていた生徒であっても、「おつりがくるほど」の得点を確保することができたわけです。

 

 

 

「セオリー」をいえば、高校受験の要諦は「数学の強化」です。

 

概して、難関校の入試では最も平均点の低い教科となるのが数学です。

「スペシャルな数学の能力」は、他の全ての不利を力づくで覆すだけの「可能性」を持っています。

 

たとえば、西高の入試では、過去に数学の平均点が30点台だったことが2度ありました。

そのような入試で、自分だけが80点、90点取れるような「能力」を持っていれば、圧倒的に有利です。

 

 

高得点域で受験生の平均的な学力が拮抗する試験では、「得点力」は「宝の持ち腐れ」となってしまいます。一方、低得点域で受験生の平均的な学力が拮抗する試験では、「得点力」を最大限に発揮できるわけです。

 

そして、数学は、後者の試験となることが非常に多いのです。

 

 

そうなると、「ベタな結論」としては、受験勉強は、国語よりも、数学に比重を置いて取り組むほうが「効率的」であるという話になります。

 

 

しかし、国語を「過小評価」する言説を躊躇なく口にする者は、その浅薄で安直な教育観を盛大に露呈させてしまいます。

 

受験の世界にも国語を軽んじる考えの人間が結構多いので、ぞっとすることがあります。

 

 

 

中学受験では、国語は、「核」となる教科として位置付けられています。受験科目としては算数が「最重要」となりますが、算数も含め理科・社会の「学力」を伸ばすためには、まず、「国語の能力」を鍛える必要があると考えられているわけです。「日本語の文章」が理解できなければ、説明を飲み込むこともできないし、問題も解けないからです。

 

大学受験では、「現代文」が「鍵」となります。「現代文」の出来がセンター試験の「結果」を左右することが多くあります。その上、多くの国公立大学の二次試験では、「国語の能力」をバックボーンとした「記述力」が必要となります。また、小論文や作文、あるいは、面接などに対応する「スキル」の土台となるのは「国語の能力」です。

 

 

国語という教科は、言語を扱う力を育むものです。

言語とは、思考とコミュニケーションを司るものです。

そして、「テスト」というものの内実は、「思考すること」と、「作問者や採点者と、問題や答案用紙を媒介にしてコミュニケーションをとること」なのですから、その根幹は「国語の能力」にあるといっても過言ではないわけです。

 

 

 

なぜか、高校受験では、国語は軽んじられる傾向にあります。

 

あからさまに国語の授業時間を削っているような塾もたくさんあります。

大手チェーン塾で、大学生講師が優先的に配置されるのも国語の授業です。

「答えは傍線部の近くにある!」というような、泥水のように低質な指導を行う講師もたくさんいます。

 

 

 

もしかすると、私立一貫校の生徒に比べて、都立高校出身の生徒が国公立大学受験に苦戦する原因のひとつは、「高校入試の国語」にあるのかもしれません。

 

 

来年以降の国語の作問を担当される方には、ぜひ気合を入れて「よい問題」を作っていただきたいと思います。

 

 

 

ちなみに、気づいておられる方も多いと思いますが、一言補足すると、今の方向性だと、都立高校の入学試験はセンター試験に接近していきます。これから消えゆく運命の試験に、近づいていくわけです。

 

 

また、余談ですが、この塾の生徒の国語の力は、他の生徒に比べて伸びていると思います。

その要因ひとつは、このブログを読む機会を持っていることなのかもしれません。

 

ということで、生徒の皆さん 、特に受験生、死ぬ気で数学に食らいついてください。数学が、君たちの未来を切り拓きます。

 

 (ivy 松村)