平成31年度 高校入試志願傾向分析②

近年の私立大学附属校の「志願傾向」は、慶應義塾高校の入試日の変更に大きな影響を受けました。

 

慶應義塾高校は、もともとは2月13日を試験日としていましたが、神奈川県立高校の試験日変更の余波を受けて、→2月12日に変更され、その後→2月10日となりました。

 

今、とっさにこれを「ケイオウギジュクの大移動」と名付けましたが、この「ケイオウギジュクの大移動」が、近年の他の私立附属校の男子の倍率の乱高下を引き起こしました。

 

 

数年前には、上位の私立附属校を狙う男子の受験生は、以下のような受験パターンを組むことができました。

 

 

2月1日  立教新座

2月7日  慶應志木1次

2月9日  早稲田大学本庄高等学院1次

2月10日 早稲田実業

2月11日 (慶應志木2次)or 早稲田大学高等学院

2月12日 明治大学付属明治 or 青山学院

2月13日 慶應義塾1次

2月14日 (早大本庄2次)

2月16日 (慶應義塾2次)

 

 

「慶應」は、他の高校の「併願校」になるのを嫌うので、慶應志木は早大学院の試験日にあたる2月11日に、2次試験をぶつけます。

 

そして、慶應義塾は国立附属校の試験日である2月13日にぶつけていたわけですが、私立附属志望の受験生にとっては、2月13日はむしろ都合がよかったといえます。

他の私立附属と競合しない日程だったからです。

 

慶應義塾の入試は、附属志望の受験生にとって、入試シリーズ最後の「ラスボス」に挑むという趣向があったわけです。

 

 

ところが、神奈川県の高校受験の事情によって、慶應義塾は2次試験の日程を前倒しする必要に迫られます。結果、慶應義塾の1次試験が2月12日に変更となります。

 

そのインパクトの直撃に見舞われたのが、明大明治、青山学院、そして明大中野といった2月12日を試験日とする私立附属校でした。

 

これらの高校は、一時的に応募者数を減少させます。

が、慶應義塾が平成29年度に再度試験日をスライドさせたことによって、応募者数を回復しました。

 

 

 

○過去4年の慶應義塾、明大中野、明大明治、青山学院の受験応募者数

 

 

31年 30年 29年 28年
慶應義塾 1336 1386 1164 1779
明大中野 1056 1026 1006 861
明大明治 462 463 456 275
青山学院 411 422 343 331

 

 

 

29年度から、明大中野と明大明治の応募者数が大きく増加しています。

ちょうど、明治大学の人気が上昇していることが話題となっていた時期でもあったので、2つの明治大学の付属校の応募者数の増加は、大学人気が高校受験に波及したものであるという分析も見られました。

 

しかし、この2校の応募者数が再び増加した直接の原因は、慶應義塾の入試日の変更であるといえます。慶應義塾との「競合状態」が解除されたために、再び応募者数を増やすことができたわけです。

 

 

 

明治付属の2校に対し、青山学院は応募者数が増加に転じるまで1年の「タイムラグ」があります。青山学院の応募者数が増加するのは、平成30年からです。慶應義塾が入試日をずらして2月12日を退いた翌年です。

 

これは、キリスト教プロテスタントの学校である青山学院の事情が関係しています。

 

平成29年は、青山学院の従来の試験日である2月12日が「日曜日」だったのです。

 

キリスト教の「教義」にもとづき、青山学院はこの年、「安息日」とされる日曜日の入試実施を避け、試験日を2月11日にずらしました。

 

そのため、慶應志木の2次、早大学院、明大八王子、中大高などの試験日と競合することになってしまったのです。

 

平成30年度になって、青山学院の試験日は従来の2月12日にもどります。

これによって、早慶の有力校との「競合状態」が解除され、ようやく応募者数が増加することになったわけです。

 

 

中学入試では、プロテスタント系の学校が日曜日を忌避して試験日をずらす措置をとることがよく知られています。いわゆる「サンデーショック」と呼ばれるものです。

 

高校入試でも、「同様の状況」が起こります。

特定の高校が試験日をずらすために、ある年だけ、特別な併願が可能となったり、逆に、併願が不可能となったりするわけです。

 

高校受験では、青山学院や明治学院の附属校、そして、国際基督教大学高校(ICU)。これらの高校が日曜日を避けて試験日を移動させる年は、「志願傾向」に変化がもたらされます。

 

本年度は、2月10日が日曜日でした。したがって、例年この日を試験日とするICUが日程をずらしました。本年度のICUの入試は2月10日ではなく、2月11日に実施されました。

後述する通り、本年度の高校入試は、ICUの試験日変更に少なくない影響を受けています。

 

 

 

ところで、平成29年度に青山高校が試験日を2月11日に移動させたことは、明治大学のもうひとつの付属校、明治大学中野八王子高校の「志願傾向」を翻弄させることになりました。

 

 

○過去4年の明治大学中野八王子高校(男子)の受験応募者数

 

31年 30年 29年 28年
明八 239 325 228 303

 

 

 

29年度に応募者数が減少し、30年度に増加、そして本年度31年度に減少していることがわかります。

 

まずは、「隔年現象」で説明できるでしょう。

 

そして、29年度の応募者数の減少は、青山学院が明八と同日の試験日である2月11日に移動してきたことも要因のひとつであるといえるでしょう。「お互い」が応募者を奪い合った結果、両校ともに応募者数を減少させたわけです。

 

30年度は、青学が試験日を2月12日に戻したために、明八の応募者は再び増加しました。

 

また同時期に、国立大学の「入試改革」の不透明さなどを要因として、私立附属の人気がにわかに高まったことも、「追い風」となりました。

明八をはじめ、いくつかの私立附属校は推薦入試の応募者を増加させました。

 

 

推薦入試は、「入学のしばり」をともなう受験です。

したがって、推薦入試の応募者の増加は、その高校に必ず入りたい、という「受験熱」の高まりを示しています。つまり、人気の上昇を示唆する「計測機」とみなすことができるわけです。

 

ただし、明八の場合は、少し特殊な事情も作用しています。明八の推薦入試の受験者は、不合格になっても、一般入試での「加点」が得られます。推薦入試の「基準」が比較的ゆるいわりに、一般入試での「メリット」は存外に大きいわけです。

 

推薦入試の応募者が急増したことによって、「加点」を持った一般入試の受験者の割合が高まりました。そのため、明八の昨年度の一般入試は、近年にない激戦となりました。

 

今年31年度は、前年の激戦ゆえに回避傾向が生じて、明八は応募者を減少させました。

 

 

そして、明八の本年度の応募者の減少には、他校の「試験日の移動」も影響していると考えられます。

 

すなわち、本年度は2月10日が日曜日となったことで、2月11日にICUとの競合が生じたわけです。今度は、明八とICUとの間で応募者の奪い合いが起きたのです。

 

 

 

東京と神奈川の入試日は、2月10日、11日、12日の3日間に集中しています。

 

私学の取り決めで、10日より前に試験日を設定することはできないので、10日に入試を行えないときには、試験日を11日に遅らせることになります。

 

また、12日に入試が行えないときには、試験日を11日に前倒しすることになります。13日では、国立附属高校の試験日と重なってしまいます。また、14日の神奈川県立高校の試験日、都立高校の志願変更日などとの兼ね合いから、試験日を「後ろ」にずらしてしまうと、受験者の試験日程を圧迫し、募集に影響が出てしまいます。

 

そのため、ある年の日曜日が、2月10日か12日に重なった場合に、11日に「例年にない競合」が生じてしまい、同日に試験を行う高校の募集が低調になってしまうことがあるわけです。

 

2月11日に試験日を設定している中央大学高校も、やはり明八と同様に、29年度に応募者数を減らし、翌年に増加するという推移をたどっています。

 

 

 

さて、話を戻して、慶應義塾ですが、平成29年度、試験日を2月10日に移動します。

この変遷によって、高校受験の「地図」がさらに塗り替えられることになりました。

 

「ケイオウギジュクの大移動」が、高校受験を激しく揺さぶったのです。

 

 

○過去5年の慶應義塾、早稲田実業、中央大学付属、中央大学杉並の受験応募者数

 

 

31年 30年 29年 28年 27年
慶應義塾高 1336 1386 1164 1779 1732
早稲田実業 691 538 660 996 1115
中央大附属 552 391 331 435 364
中央大杉並 552 465 481 530 536

 

 

 

2月10日は例年、早稲田実業、中央大学付属、中央大学杉並などの試験日となっています。

 

平成29年度、慶應義塾が2月10日に「参戦」してきたために、試験日が競合するこれらの私立附属校は応募者数を減少させました。同時に、慶應義塾自身も、応募者を大幅に失いました。

 

特に大きな打撃を受けたのが早実でした。

27年度を基準として見ると、29年度は、約4割減です。翌30年度もさらに応募者数を減らし、3年で、応募者が半減しました。

 

今年31年度は、早実、中附、中杉が応募者数を伸ばしています。

 

もちろんこれは、直前の2年間の応募者数の低迷、ひいては倍率の低下に触発されたものです。

 

また、同時に、やはり「試験日の移動」という要因も考慮しなくてはなりません。

今年は、ICUが2月10日を回避しています。

 

そのため、2月10日にICUを受けるはずだった受験生は、「別の高校」に応募することになるわけです。

 

ICUと同ランクに位置づけられるMARCH附属校や、倍率の低下した早実への応募者が増加しました。

 

 

 

また、単純に私立附属高の人気が高まりから、これらの高校の応募者が増えました。

特に、推薦入試を受けやすい中附は、推薦入試の応募者を著しく増加させました。

 

 

ただし、注意しなければならないのは、「私立人気」は、現時点では「限定的な範囲」に留まっているという点です。

 

2月10日を試験日とする私立の進学校、つまり、「附属」ではない開成、桐朋などの応募者数に大きな変化は見られません。

また、東京東部の都立難関高校、日比谷、戸山、青山の男子の応募にも変化は見られません。

 

一方、西部の都立難関高校、八王子東、立川、西などは応募者数を減らしています。

 

したがって、東京都西部の、従来都立難関校を第一志望としていた「受験層」が、私立附属校へと流れていると考えられるわけです。

 

 

あとは、日大系の高校の動向も考慮する必要がありそうです。

現時点ではデータが乏しくてわかりませんが、「チャレンジ」をする受験生が増えているのかもしれません。

 

 

それから、近年は2月10日、11日、12日が「とっ散らかってしまった」ので、特に男子は「前受験」から入る王道の受験パターンを組む受験生が増えているように思います。

そのため、立教新座や慶應志木の応募者も増加傾向にあります。

 

 

 

この2、3年、明治大の付属校の応募者数の増加が目立ちました。一昨年は青学。本年は、中央大学の付属校。そして、去年と今年だけを見ると、早実の応募者数も増加しているわけです。

 

しかし、ここまで見てきたように、試験日の変更など、さまざまな要因が重なって「志願傾向」は変化します。

 

「相対的な分析」をしなければ、入試の実像をより鮮明に見ることはできません。

 

 

 

ところで、本稿で取り上げた私立大附属高校のうちのいくつかの学校は、この15年ほどの間に中等部の設置や共学化などの「改革」を行ってきました。

その度に、応募者数の増減、または倍率の上昇、下降が起こり、年度によって合格難易度に「ギャップ」が生じました。

 

しかし、傾向としては、私立大附属高校の受験は年々緩やかに敷居を下げ続けているといえます。

 

10年、20年のスパンで見ると、応募者数は減少しているからです。それにともない、倍率も低下傾向にあります。

 

 

例えば、慶應義塾の応募者数は平成22年度では2041人です。

したがって、当時と比較して本年度はおよそ700人もの応募者数を減らしています。

 

早大学院は、かなり古くなりますが、中学設置前の平成15年では2697人です。

したがって、当時と比較して本年度はおよそ1000人もの応募者数を減らしています。

 

中附も、中学設置前の平成15年の応募者数は男女合わせて1651人です。

したがって、当時と比較して本年度はおよそ800人もの応募者数を減らしています。

 

明大明治は平成20年度、共学化にともない男女合わせて1206人です。

したがって、当時と比較して本年度はおよそ400人もの応募者数を減らしています。

 

 

 

さらに、この10年ほどの間に都立の上位進学校の「復権」が進んだことで、学力上位層が都立に集まるようになりました。

 

昨年から今年にかけて私立附属校が応募者を増やしつつあるのは、その風向きが少し変わってきた、という部分もあるのだろうと思います。

 

これはセンター試験にかわる「新テスト」の導入など、大学受験に対する「不安要素」への懸念から、私立に「避難」する傾向が強まったためです。その中で、「私立志向」を高める直接の引き金となったのは、私立大学の「定員の厳格化」でした。

 

 

文部科学省から「指導」が入るまで、私立の大学受験において、ある意味で合格が「安売り」されていたわけです。

そのため、近年は、上位の学力層にとって早慶MARCHは「大学受験から入るのが最も容易である」という状況が生まれていたのです。

 

そういうわけで、都立に進学して大学受験を目指すほうが、より多くの可能性を残すことができると考えられたわけです。また、大学受験のほうが、いわゆる「コスパ」がいいという判断があったわけです。

 

 

「今の流れ」が続くようであれば、今後はおそらく、高校受験、なかでも推薦入試が見直されることになるのかもしれません。

 

ただ、「本線」の国立大学の入試制度改革が軟着陸しそうなので、まだちょっと読めない部分があります。

 

 

都立高校の場合は、 むしろ、東京都教育委員会に注視する必要があります。

教育庁は、中長期的には、都立高校を「スポイル」してしまうでしょう。

「都立高校改革」とか、あれ、無茶苦茶になりそうな予感しかしません。リリースなどを読んでみると気づきますが、「彼ら」は、大学進学実績とか、どうでもいいと思っています。

 

 

 

いずれにしろ、自校作を受けることを考えている生徒は、私立の上位附属校の受験を想定した勉強をしていくほうがよいと思います。

これは前々からこのブログでも述べてきたことですが、学力上位の生徒であればあるほど、都立と私立を切り分けて、どちらかだけに絞った受験勉強をしていくのはいろいろな意味で非合理だと思います。

 

ただ、結局「中途半端」になってしまうのも危険です。塾の先生などに相談しながら、より良い準備を進めていくようにしましょう。

 

 

 (ivy 松村)

 

 

 

 

平成31年度 高校入試志願傾向分析①

昨年度の高校入試は、いくつかの私立大学附属校の倍率が上昇しましたが、本年度はやや沈静化しています。

 

ただ、東京都西部というか、都下というか、多摩地区というか、「この辺」の「私立志向」はまだ脈動している状態です。

 

しかし、まあ、10年前には、いずれの附属校も現在よりも数百人多く応募者を集めていたわけです。「当時の水準」に立ち戻るためには、まだ、いくつかの「起爆剤」が必要かもしれません。

 

今後の高校受験、そして大学受験の「動向次第」では、再度「私立志向」が加速するかもしれません。しかし同時に、小康状態に陥りそうな気配もあります。

 

 

 

東京都東部と西部とでは、少し「温度差」があります。

 

これは、ひとつは「地域性」によるものです。

それから、もうひとつ、「情報」の差が作用しているかもしれません。

 

 

東部では、附属校よりも、進学校→国立大受験というルートへの「信頼感」が維持されています。

 

大学受験の「全体像」が明らかになるにつれて、不安感が払拭されつつあるからです。

 

そもそも、国立大学に対する「思い入れ」というのか、「意欲」というか「信念」というか、ともかく何かそういうものが、西部よりも強くあるのかもしれません。

 

一方、西部は、相対的に、「安全志向」が作用して、都立よりも私立の附属の人気がやや高まっているという印象を持ちます。

 

また、私立大学附属校が西部に集中しているという地理的な条件も、「私立志向」が醸成される大きな要因のひとつです。

 

 

 

過去3年の進学指導重点校の受験者数を見てみましょう。

 

まずは男子です。

 

 

○進学指導重点校7校の過去3年間の受験者数の推移:男子

 

31年度 30年度 29年度
日比谷 258 237 254
戸山 268 265 237
青山 247 262 225
西 191 230 225
八王子東 159 191 170
立川 200 235 201
国立 202 198 185
 合計 1525 1618 1497

 

 

 

昨年から今年にかけて、7校全体では、受験者数が減少しています。

 

では、東部3校と西部4校に分けて、確認してみましょう。

 

 

○東部3校

 

31年度 30年度 29年度
日比谷 258 237 254
戸山 268 265 237
青山 247 262 225
合計 773 764 716

 

 

○西部4校

 

31年度 30年度 29年度
西 191 230 225
八王子東 159 191 170
立川 200 235 201
国立 202 198 185
 合計 752 854 781

 

 

東部の3校は受験者数が増加しています。

一方、西部4校は減少しています。

また、本年度、東部3校の受験者数の合計は、西部4校の合計を上回っています。

 

 

 

次に女子です。

 

○進学指導重点校7校の過去3年間の受験者数の推移:女子

 

31年度 30年度 29年度
日比谷 223 219 214
戸山 223 198 212
青山 235 230 224
西 172 167 183
八王子東 158 181 164
立川 183 188 177
国立 190 221 176
 合計 1384 1404 1350

 

 

 

やはり昨年から今年にかけて、7校全体の受験者数は減少しています。

 

東部3校と西部4校はどうでしょうか。

 

 

○東部3校

 

31年度 30年度 29年度
日比谷 223 219 214
戸山 223 198 212
青山 235 230 224
合計 681 647 650

 

 

○西部4校

 

31年度 30年度 29年度
西 172 167 183
八王子東 158 181 164
立川 183 188 177
国立 190 221 176
 合計 703 757 700

 

 

男子と同様に、昨年と比べて、東部3校は増加、西部4校は減少となっています。

 

 

 

男子、女子ともに、東京都東部では、都立の最上位進学校の人気は維持されていますが、西部には陰りがみられます。

西部のトップ層の受験生の何人かは、私立附属校に流れているとみられます。

 

ただし、これにはもう少し詳細な分析が必要です。

私立附属校の応募者数のデータなどを見てみると、思われているよりも、応募者が増えているわけではありません。

「私立志向」が膨張しているのは、むしろ、中堅~下位の私立高校です。

 

 

 

東西のグループ分けをする際に、西高をどう位置づけるべきか、というのはちょっと難しいところです。

 

男子は「減」、女子は「微増」でした。

 

男子の応募者の減少は、「大学合格実績」の影響です。昨年の実績で、西は国立に抜かれました。

西と国立は、立地的に募集が競合します。

そのため、本年度、男子の応募者が西から国立へ流れました。

 

 

一方、西高の女子は、本年度はやや受験者数を増やしましたが、近年、低倍率が固定化され、「隔年現象」が発動されなくなっています。

女子も、西の応募者を国立が吸収していると考えられます。

 

西高を西部に組み込んだのは、「全体」の傾向をとらえるために、西と国立の関係を考慮する必要があると感じたからです。

 

 

 

西部4校の中で、国立の男子は唯一、受験者数を維持しています。

上記のように、西高から応募者を奪っているためですが、それだけでなく、立川、八王子東から、応募者を吸引しています。

 

多摩地域全体でみると、国立の「一強体制」が築かれつつあるといえると思います。

 

 

特に八王子東は、大きな「反作用」を被っています。

男子、女子ともに募集が低調となり「最優秀層」を集めることができなくなっているために、大学合格実績が下降しています。そうなると、さらに募集が低調にならざるを得ません。「負のスパイラル」に陥りつつあります。

 

 

 

少し話がそれますが、八王子東を「蘇生」させるためには、教育委員会の「支援」が必要だと思います。学校単体の取り組みだけでは、なかなか再浮上は難しいと思います。

 

 

戸山高校の人気を上昇させた「チームメディカル」という取り組みは、東京都教育委員会の主導で導入されましたが、八王子東にも導入してみたらどうなのだろうと思ったりします。

 

それから、これは文部科学省の案件ですが、現在まだ、「SGH」(スーパーグローバルハイスクール)に指定されている都立高校はありませんが、できるのであれば、八王子東を「推薦」してもらいたいと思ったりします。

 

それから、地の利を生かして、首都大ともっと連携を深める制度を取り入れてみたり。

首都大への「進学枠」を増やしたり。

 

などなど。

 

 

 

八王子東は、確か10年ほど前にも、倍率がとても低くなっていたときがありました。

ちょっとハラハラしながら見守っていたのですが、入ってきた生徒を鍛え上げて送り出し、大学進学実績を落とさなかったのです。

 

私は、八王子東は、「きちん」としている素直な子を、真っすぐに伸ばしていく高校というイメージを持っています。

 

八王子東の強みを活かせるような、積極的な変革が求められていると思います。

 

 

 

 

(ivy 松村)

 

平成31年度都立高校入試 社会

本日、卒業した高校生が顔を出してくれたそうなのですが、ちょうど不在にしていて話すことができなくて、残念でした。

 

元気そうな様子を伝え聞きましたが、もう少し「ハリ」のある生活に切りかえていきましょう。多分、もうすぐ学年末試験だと思います。

 

 

「理系の国公立大学」について少し。

 

東大や東工大はかなりの覚悟が必要ですね。筑波大、千葉大、横浜国立大もハードルが高いですよね。

それ以外の総合大学であれば、(都立大に名前が変わるそうですが)首都大、横浜市立大、埼玉大など。

それから、電気通信大、東京農工大、東京海洋大など。

あとは、東京医科歯科大。準大学(大学校)もあります。

「理系の教師」を考えるのであれば、学芸大も。

 

通学を考えると、電気通信大、東京農工大、首都大などがいいですよね。

文系も視野に入れるなら、学芸大の他、一橋大や東京外語大も近くて通いやすい。

都留文科大も通える距離ですね。

 

地方の国公立大学でも、「寮費」が月一万円以下の「格安」のところもけっこうあると思います。

広い視野で、いろいろな「可能性」を検討してみてください。

 

あっという間に大学受験がやってきます。

今のうちに調べたり確かめたりしましょう。

あと、「新テスト」になりますから、情報を集めたり、対策を練ったりするようにしましょう。

 

 

 

さて、都立高校入試が終わりました。

少し、所感などを書きたいと思います。

 

 

社会が難化しました。

 

 

「完全一致型」の設問や「完答型」の設問が増加しました。

 

さらに、「ヒント」が複雑化し、そのうえ受験者を惑わす「情報」が組み入れられているような設問がみられました。

選択肢を慎重に比較し、より「総合的」な思考力を働かせて正答を導くような問題に立ち向かわなければならなくなりました。

 

内容面では、アフリカ、南米、東南アジアなど、比較的なじみの薄い地域に焦点を当てる設問が増えています。

 

 

 

気になった問題をいくつか挙げてみます。

 

○大問2〔問2〕

 

W ペルー

X サウジアラビア

Y ノルウェー

Z モロッコ

 

 

「ア」を特定させるのは困難です。

「首都が内陸部」、「えびの養殖」という2つの情報が示されていますが、これだけの「ヒント」で、この選択肢を「X」のサウジアラビアに合致させるのは至難のわざです。

 

また、一般的な社会の教材では、「えびの養殖」は東南アジアのトピックとして出てくるので、戸惑った人も多かっただろうと思います。

 

 

「イ」も厄介です。

「東西方向に走る山脈」はアトラス山脈のことです。

「Y」はスカンディナビア山脈、「W」はアンデス山脈ですが、これらは南北に走る山脈です。全体の「ヒント」をうまく整理しないと、混乱するかもしれません。

 

また、「たこ」ですが、私はスペインなどに行ったことがあるので、あの辺りは「たこ」がよく獲れることを知っていますが、多くの中学生にはなじみがないかもしれません。

 

 

「ウ」は、「冬季においても凍らない湾」という表現のとらえ方に注意が必要でした。これを「暖かい地域」を示す「ヒント」であると捉えてしまうと、間違えてしまいます。

 

 

そして問題は、「エ」です。

「首都が乾燥帯」という記述から、反射的にこれを「X」のサウジアラビアに当てはめてしまった受験生が多くいたはずです。

ペルーは、アンデス山脈のイメージが強いので、「高山の気候」であると連想しがちですが、首都のリマは、乾燥帯の気候なのです。

 

一応、説明の後半には「山岳地域」というワードが出てきますが、他の選択肢にアトラス山脈、スカンディナビア山脈があるので、それほど有力な「ヒント」とはなりません。

 

ポイントは、「南から北へ流れる寒流」で、これによって、「エ」が南半球の国であることを特定します。

 

 

この設問は、かなりハードでした。

 

 

 

○大問3〔問2〕

 

W 東京

X 石川

Y 愛知

Z 京都

 

 

京浜工業地帯、中京工業地帯を擁する東京と愛知が、「ア」と「イ」になることがわかります。2都県は、製造業事業所数が多く、製造品出荷額が大きいはずです。

 

石川と京都を比較して、京都の方が産業的に発展していると考えられるので、「エ」が京都であると判断できます。

 

そして、「Ⅱ」の文章の「西陣織」「町屋」などのワードから、「京都」を特定します。

 

ただ、石川の金沢にも「町屋」があります。

さらに、「加賀友禅」と「西陣織」はちょっと混同しそうです。

 

 

ちなに、京都には、京セラ、任天堂、村田製作所といった世界的な機器メーカーの本社があります。また、京都大学、同志社大学、立命館大学をはじめ、多くの大学があります。

 

これも余談ですが、京都には、京都工芸繊維大学という名門国立大学があるのですが、よく知らない人は、それほど高いランクの大学だと思わず、ついあなどって恥をかいたりします。

 

 

 

○大問4〔問2〕

 

江戸初期、朱印船貿易の時代、山田長政という日本人が「タイ」の国王に仕えて活躍したという史実と、「タイ」の位置を知っておかなければならない問題でした。

 

 

 

社会は、得点を取り切れなかった受験生が多かったと思います。

 

社会は、昨年から明らかに作問の「方向」が変わりました。

 

数年前の「入試問題の『改善』」の影響で、記述問題の削減など、問題の「単純化」が進行していました。つまり、易化していたわけです。

 

そのため、特に自校作などの上位校では、得点率が「飽和」して、入試としての「選抜機能」を十分に果たすことができなくなっていました。

 

ちまたで「自校作を受けるなら、理社は90点以上!」などという「目安」が叫ばれたりしていますが、よくよく考えると、入試選抜としては好ましくないわけです。

 

私個人は、上位校は理社を独自作成(グループ作成)すればよいのに、と思いますが、まあ、現行の入試の「難易度の調整」がなされているとみてもいいのかもしれません。

 

 

それから、近年、ネットなどに「都立社会対策」の情報があふれるようになりました。

そういった「小賢しい手引き」に釘を刺すというような思惑もあるのかもしれません。

まあ、このブログも「牽引役」のひとつだったわけですが。

 

いずれにしろ、「安易な対策」が有効ではない入試問題が作られるのは非常に好ましいことだと思います。

 

 

 

最後に、ちょっとした付記を。

 

いずれ本年度の入試問題の「平均点」が公開されると思いますが、過年度の「平均点」と比べる際には注意しなければならない点があります。

 

もちろん、「平均点」は、問題の難易度によって上下します。

 

それだけでなく、「採点」の影響を受けます。

 

過去に、「採点」に多くの「誤り」が見つかったことがありました。また、採点基準が見直されたことがありました。

そうした「事態」は、「得点」を変質させています。つまり、例年の「平均点」と「同質」ではなくなっているわけです。

 

 

それから、母集団の学力が「平均点」を左右します。

 

最近の2年、都立高校の受験者数が減っていますが、特に、学力下位層が都立高校を受けなくなっています。

 

実は、「授業料軽減制度」を頼りに私立に進学する生徒は、あまり上位ランクではない私立高校に多いのです。

 

ちょっと気をつけたいことですが、これには、私立と都立の「学費」はあまり変わらなくなった、という「誤解」も働いています。

 

 

で、最近の都立高校の入試では、学力下位層が「抜ける」ために、どのくらい影響があるのかちょっとよくわかりませんが、ともかく「平均点」が上昇してしまうわけです。

 

 

「平均点」は、単純に「難易度」を示すというわけではないのです。

 

 

(ivy 松村)

 

平成30年度都立高校入試の社会の平均点

今年の都立高校入試の社会の平均点は、昨年と比べて少し上昇しました。

 

◎社会の平均点

 

・平成30年度…「61.5」

・平成29年度…「58.6」

 

昨年と比べて、2.9ポイント上がったことになります。

 

この結果は、少し意外な気がしました。

今年の平均点は、もう少し低くなると感じていたからです。

 

それで、ちょっと子細を確認してみました。

 

 

 

東京都教育委員会が公表している「東京都立高等学校入学者選抜学力検査結果に関する調査」によれば、今年の社会の小問、大問ごとの「正答率」は以下のようになっています。

 

 

大問 小問 小問正答率  大問正答率
1 1 95.7 65.9
2 28.4
3 73.5
2 1 53.8 45.6
2 38.8
3 44.2
3 1 75.7 72.4
2 75.1
3 66.5
4 1 41.6 52.1
2 62.4
3 58.5
4 45.8
5 1 94.5 72.0
2 78.1
3 60.2
4 55.3
6 1 24.4 38.8
2 59.4
3 32.5

 

 

 

このデータは、「抽出調査」によって求められたものです。

そのことには、ちょっと気をつけなければならないと思います。

つまり、これらは、都立高校の受験生のすべての得点状況を集計したものではないということです。

 

平均点と得点分布は、全ての受験者の得点から算出されていますが、「正答率」は、一部の受験生のデータをもとに、「全体」の数値を「推測」する手法で算出されています。

 

 

受験生一人ひとりの得点は、採点の際に、各校ごとにデジタルのデータで入力、保存されます。それを合算すれば、平均点や得点分布を出すことができます。

しかし、さすがに小問ごとにすべての得点を入力するのは手間がかかりすぎるのでしょう。

受験生全体の学力差をふまえて、いくつかの学校を選び、そこで得られたデータを「処理」して「正答率」を出しているのだと思います。

 

調査法が示されていないので、詳細はよくわかりませんが、きっと、「統計学」の理論にもとづいて、「信頼度」が担保できるような方法がとられているのだろうと思います。

 

 

 

「小問正答率」から「平均」を求めると、「58.2」になります。(「大問正答率」から「平均」を求めると、「57.8」になります。)

 

先ほど述べたように、「小問正答率」は全受験生のデータではないので、実際の平均点と齟齬が出るわけです。実際の平均点は「61.5」なので、その差は「3.3」になります。過去10年の「小問正答率」を出して確認してみましたが、今年は、例年に比べて差異が大きくなっています。

 

 

また、「正答率」は、「部分正答も含めた割合」になっています。

 

つまり、「記述問題」などの解答に不備があり、点数を引かれていても、「正答」としてあつかっているわけです。

都立高校入試の社会は全ての問題が5点の配点となっていますが、そのうち、4点や3点、2点や1点しか得られなかった場合でも、その解答を「正答」に含めて「正答率」を出しているわけです。

 

そうすると、「小問正答率」の「平均」は、そうした「満点ではない解答」を「5点」として計算することになります。

 

したがって、「正答率」を算出するのに用いられた「サンプル」の「実際の平均点」は「58.2」よりもさらに低い数値になるはずです。

 

 

 

まあ、ともかく、「正答率」のデータを信頼して読み解いてみましょう。

 

 

 

データをよく見てみると、「正答率」が、90パーセントを超えた設問が、2題あります。

大問1の〔問1〕と大問5の〔問1〕です。「正答率」はそれぞれ95.7パーセント、94.5パーセントになります。

 

この2題が、今年の社会の「平均点」を押し上げました。

 

仮に、この2題の「正答率」が80パーセントだったならば、「小問正答率」の「平均」は、「56.7」まで下降します。

 

 

 

過去10年間で、「正答率」が90パーセントを超えた設問は、3題しかありません。

そのうちの2題が、「今年」だったわけです。

 

ちなみに、「正答率」が90パーセントを超えているもう1題は、平成25年度の大問1の〔問2〕です。「正答率」は、91.0パーセントです。

 

 

今年の都立高校の入試の社会は、ほとんどの受験生が造作もなく答えられる設問が2題あり、約95パーセントの受験生が、10点を易々と確保できたわけです。

 

また、それ以外にも、「正答率」70パーセントを超える設問が、さらに4題ありました。

 

 

 

その一方で、今年は難度の高い出題がみられました。

 

「正答率」30パーセントを下回る設問が、2題あります。

大問1の〔問2〕と大問6の〔問1〕です。

 

 

過去10年間で、「正答率」が30パーセントを下回った設問は、9題あります。

そのうちの2題が、「今年」だったわけです。

 

ちなみに、その9題のうち、5題が、「世界地理/世界史」の問題です。

今年の2題も、「世界地理/世界史」の問題でした。

 

 

また、「正答率」30パーセントを下回った9題のうち4題は「完全一致問題」です。また、2題が「語句筆記」の問題です。残りの3題が、「4択問題」です。

 

 

くじ引きのように、完全に恣意的な選択を行った場合、「4択問題」の「正答率」は25パーセントに収束します。したがって、「4択問題」の「正答率」が30パーセントを切って25パーセントに近似するということは、その設問はことのほか受験生を苦しめる問題だったということになります。

 

 

今年の社会の入試問題の大問1の〔問2〕は、「4択問題」で、「正答率」は28.4パーセントでした。

 

大問6の〔問1〕は「完全一致問題」で、「正答率」は24.4パーセントでした。

 

 

 

今年の社会の入試問題は、正答を求めるのが難しい設問が用意されました。その設問の印象から、私や、何人かの教師は難度が上がったと判断しました。

 

その一方で、ほとんどの受験生が正答できるような、著しく簡単な出題があり、平均点を押し上げました。

 

こうした点が、入試問題に対する「印象」と平均点に乖離をもたらした、というわけです。

 

 

 

今年西高に合格した生徒が、過去問演習時に比べて、入試本番で点数を少し落としていました。

 

得点分布をみても、やはり「95~100点」の割合が、昨年に比べて減っています。

 

 

このあたりは、難度の高かった例の2題の影響ですね。

 

 

 

(ivy 松村)

 

 

平成30年度 都立高校「自校作成」の国語

進学指導重点校の英数国の入試問題は、本年度から「自校作成」となりました。

各校が、5年ぶりに独自問題を作成するとあって、「業界」でも大きな注目が集まりました。

 

 

私は、各校がリリースしている「出題の方針」に注目していました。

 

これをみれば、各校の出題構成と内容が、かなり精密に把握できると理解していたからです。

 

特に気を配っていたのが、国語でした。

国語の「記述」がどうなるのか、が本年度の入試の大きなポイントでした。

 

 

 

日比谷、西、戸山の3校が、大問3で「記述」を課すことは数か月前から判明していました。

また、国立が、大問3で「記述」を出題しないことも、数か月前から判明していました。

 

 

4校は、「出題の方針」をホームページに掲載し、公表していました。

 

いずれの高校も、入試選抜という「プロジェクト」を周到に準備してきたということがわかります。

 

4校の入試問題は、「出題の方針」に沿って作問されています。

 

 

 

一方、青山、八王子東、立川の3校は、「出題の方針」をホームページに掲載していませんでした。

 

 

青山は、都立の入試日になっても、まだ昨年の「出題の方針」をホームページに掲載したままでした。しかし、意外にも、今年の入試問題を最も早くホームページに掲載したのは青山高校でした。

その際に、今年の「出題の方針」もアップされました。

(ちなみに2番目は日比谷で、3番目は八王子東です。)

 

 

国語の入試問題は、すぐにはホームページ等に掲載できないので、現時点で問題を見ることはできませんが、「解答」と照らし合わせて「出題状況」を確認しました。

 

 

青山は、「出題の方針」で「記述」を示唆しないまま、「記述」を出題しています。

 

まあ、「出題の方針」で示された内容には「出題形式」自体への言及がなされていないので、「記述」が出題されたとしても、「出題の方針」に適合していないとは言えない、という「弁解」が、なんとか可能かもしれません。

 

 

この塾に青山を受ける受験生がいたら、ちょっと困ったことになったかもしれませんが、それでも、私は、青山の問題作りは評価できると考えています。

 

 

私は、一貫して、

 

・「記述」を出すべきである

・難度を上げるべきである

 

という主張をしてきました。

 

 

「解答」を見ただけの印象に過ぎませんが、青山高校の入試問題は、非常に熱が入っていると思います。

 

問題点は、入試選抜、もっといえば「生徒募集」が、ちょっと「ちぐはぐ」になっているということです。

 

英語でも、大問3の文章が、「物語文」なのか「説明文」なのかを明示していません。

おそらく、「出題の方針」は、実際の入試問題を想定しないまま作られたのではないかと思います。

「出題の方針」を出さなければいけないので、「とりあえず」あいまいな形でリリースして、後で問題を作り込んでいったのかもしれません。

 

 

「担当者」どうしの「連携」が取れていないとか、「生徒募集」を総括する人が総合的な指示を出していないとか、そういう部分があったのかもしれません。

 

 

 

そして、八王子東と立川です。

私は、2校の「資料」を手にし、「出題の方針」を確認することができました。

 

八王子東と立川は、ともに「入試説明会」で「グループ作成のものと同じような問題」を作ると説明していました。

 

それで、国語の入試問題で「記述」が出題されないという「予断」を持った受験生や受験関係者は多かったはずです。

しかし、八王子東と立川の「出題の方針」には、大問3について以下のように記されていたのです。

 

 

八王子東「文学的な文章を読み、叙述や描写などに即して、場面、登場人物の様子、心情などを正しく理解する能力及び読み取った内容をまとめ、表現する能力などをみる。」

 

立川「文学的な文章を読み、叙述や描写などに即して、場面、登場人物の様子、心情などを正しく理解する能力及び読み取った内容を適切にまとめ、表現する能力などをみる。」

 

 

ともに大問3で「表現する能力」を検査すると書かれてあります。

したがって、私は、両校は大問3で「記述」を出題すると判断しました。

 

 

 

八王子東は、「記述」を出題しました。これは、まったくの予想どおりでした。

 

一方、立川は、大問3で「記述」を出題しませんでした。

 

 

 

八王子東は、この一年、いろいろな面で非常に精力的な取り組みをしているのが伝わってきました。

とりわけ、今回の入試問題は気合が入っていると思います。

問題作りに「攻め」の姿勢があって、ちょっとグッときますね。

 

八王子東の取り組みが変わってきた理由の1つは、昨年の入試で応募人数を大きく減らしてしまったことでしょう。

また、もうひとつは、このままでは進学指導重点校の指定が危うくなるという危機感だと思います。実は、八王子東は、難関4大学の合格実績が下降し、進学指導重点校の「基準」のひとつを満たしていません。ある意味で、「酌量」されて、昨年の進学指導重点校の再指定を受けたわけです。

 

 

ただ、八王子東も、統率が取れた「生徒募集」になっていなかった印象です。

「説明会」などで、魅力をアピールしきることができていませんでした。

 

「入試説明会」では、国語に関してけっこうユニークな内容のお話しがあったということですが、「記述」については触れられなかったようです。そのうえ、「独自問題」について「グループ作成と同じような問題」を出題すると表明していたそうなので、実際の入試問題を目にして、驚いた人も多かったのだろうと思います。

 

 

 

そして、立川です。「表現する能力をみる」と明言していながら、そのための設問が用意されていません。

 

立川の問題を見ましたが、国語は、ボーダーを押し上げる要因になりそうです。

大問3で苦戦した受験生は少なかったと思います。さらに、決定的なのが大問4で、ほとんどの受験生はここで無難に得点を確保できたはずです。

 

立川の国語の問題は、大問3・4と、大問5の「統一感」がバラバラで、しかも全体の「バランス」がとれていません。

大問5は、古文の先生が作っていると思います。これは「骨」のある問題でした。

しかし、多くの受験生は、大問3・4では時間を取られないので、大問5に十分な時間をかけることができたはずです。

 

 

 

立川は、「入試説明会」で合格者の「内申点」の情報などを明かしています。

たとえば、男子は「オール4」に届いていなくても、入試得点で「逆転」できることなどが、データで示されました。

こうした積極的な「情報開示」が、立川の男子の倍率を高めた要因のひとつとなりました。

 

しかし、入試問題が易化し、入試得点が高得点域で均衡してしまうと「内申点」が乏しい受験生にとっては不利な受験になるわけです。

 

 

青山や八王子東と同様に、立川も、「生徒募集」と「作問」が「ちぐはぐ」だったわけですが、他の2校とは違い、立川の場合、「作問」に対する「意識」がおろそかだったという印象です。

 

 

 

虚飾なしに、端的にいえば、日比谷、西の「情報」は、「信頼」できます。

むしろ、高校が出してくる情報を細部までしっかりと読み取ることが大事です。

 

戸山も堅実です。

 

 

国立は、実はちょっと「気がかり」です。

 

国立高校は、かつては国語の入試問題で「重厚で濃密な記述」を出題することで知られていました。現在は見る影もありません。

 

積極的な「差換え」を行わなかった近年の入試問題に大きな違和感を持っていましたが、今年の「自校作成」でも「守り」の姿勢を崩していません。

 

 

日比谷と西は、問題作りと採点に対して、「覚悟」を持っています。

 

「この御時勢」ですから、「採点ミス」などがあれば、大きな責任問題になるでしょう。

それでも、「記述」を増やしました。

 

それから、戸山、八王子東、青山も前に進む決意をしました。

 

 

でも、国立は、ちょっと「教育庁のほう」を気にし過ぎているような印象を受けます。

 

 

国立高校の「歴史」を調べてみると、この高校は、「立地」を含めて、けっこう「ラッキー」が重なって、進学校としての「地位」を向上させてきたことがわかります。

 

適切な言葉なのかどうか、あまり自信はありませんが、あえていえば、もしかすると「殿様商売」といえるのかもしれません。

 

 

「集まってくる生徒のパワーと能力」を最大限に引き出すことができるのは、伝統の「強み」なのかもしれませんが、逆にいえば、「集まってくる生徒の質」が変われば、一気に「高校の質」も変わってしまう危険性を持った高校だと思います。

 

 

ちょっと「今の方向性」は、怖い気がします。

 (ivy 松村)

「出題の方針」の確認

本年度の入試の出題構成について確認しましょう。

 

 

「グループ作成」、「自校作成」の高校は、「出題の方針」をもとに、入試に備える必要があります。

 

 

 

日比谷高校の「出題の基本方針」の「各問のねらい」を見てみましょう。

 

 

□1 漢字を正しく読む能力をみる。

 

□2 漢字を正しく書く能力をみる。

 

□3 文学的な文章を読み、叙述や描写などに即して、場面、登場人物の様子、心情などを正しく理解する能力、表現する能力などをみる。

 

□4 説明的な文章を読み、叙述や文脈などに即して、語句や文の意味、文章の構成及び要旨などを正しく読み取る能力をみるとともに、考えが正確に伝わるように根拠を明らかにしながら、自分の意見を論理的に表現する能力などをみる。

 

□5 古典に関する文章を読み、古典並びに現代の語句及び文章の内容についての理解などをみる。

 

 

 

日比谷高校の国語の漢字の出題は、「グループ作成以前」とその後で構成が変わっています。

 

以前は「文章題からの引用」でした。私立の入試でよくみられるパターンのもので、文章中からいくつかの語句が取り上げられ、その漢字の「読み」や「書き」を問われるという形式でした。

「グループ作成」となってからは他校と「足並み」をそろえる必要から、大問1が「漢字の読み」、大問2が「漢字の書き取り」という独立した問題構成となりました。

 

 

「自校作成」に回帰した本年はどうなるのか、それは、「出題の方針」に示されています。

本年は、「グループ作成」と同じ構成になることがわかります。

 

 

「出題の方針」を参照せずに、暗中模索におちいっている受験生がいたら、説明会で入手したものを確認するとよいと思います。

 

 

 

さて、本年度の国語の入試を予測するうえで、「記述」がどうなるのか、気になっている人も多いと思います。

 

 

各校の大問3の「出題の方針」を比較してみましょう。

 

日比谷「文学的な文章を読み、叙述や描写などに即して、場面、登場人物の様子、心情などを正しく理解する能力、表現する能力などをみる。」

 

戸山「文学的な文章を読み,叙述や描写などに即して,場面,登場人物の様子,心情などを正しく理解する能力及び読み取った内容を適切にまとめ,表現する能力をみる。」

 

国立「文学的な文章を読み,叙述や描写などに即して,場面,登場人物の様子,心情などを正しく理解する能力をみる。」

 

 

日比谷や戸山は大問3で記述問題が出題されるでしょう。

一方、国立は記述問題が出題されないでしょう。

 

 

また、いずれの高校も、大問5で「記述」は出題されないでしょう。

 

 

受験生向けの説明会や塾向けの説明会で、本年度の入試は「グループ作成と同じような出題」になると説明していた高校があったようです。

それで、たとえば、昨年と同様に「記述」は出題されないと高をくくっていると、当日に驚くことになるかもしれません。

その高校の「出題の方針」を見てみると、ちょっと違った出題になるということがみえてきます。

 

 

 

日比谷は、英語の「出題の方針」の「各問のねらい」も確認しておく必要があります。

 

 

□1 自然な口調で話される英語を聞いて、その具体的な内容や大切な部分を把握したり、聞き取った事柄について英語で表現したりする能力をみる

 

□2 まとまりのある対話文を読み、その流れや大切な部分を把握したり、読み取った事柄などについて英語で表現したりする能力をみる

 

□3 物語文を読み、そのあらすじや大切な部分を把握したり、読み取った事柄などについて英語で表現したりする能力などをみる

 

4 短い対話文を読み、読み取った事柄について、異なる2つの意見を適切に英語で表現する能力をみる

 

 

大問1は、全校共通のリスニングです。

大問2~4が独自問題ですが、それぞれ大問2は「長大な対話文」、大問3は「物語文」、大問4は「短い対話文」の問題であることがわかります。

したがって、「説明文」ではなく、「対話文」や「物語文」を読む「準備」をしておかなければなりません。

 

また、すべての大問で「英語で解答する設問」があることがわかります。

それは「抜き出し」の問題なのかもしれませんが、「英語で解答を記述する」問題である可能性が高いと思います。

 

注目すべきは、大問4で「異なる2つの意見を適切に英語で表現する能力」を検査されるという点です。

ここでは、2つの意見が交換される「対話文」が示され、受験生は、「2つの立場」に立ってそれぞれの意見を英語で要約する、あるいは主張を代理する、というような英作文を課せられるのかもしれません。

 

 

 

他塾の方も見ているでしょうから、このへんで。

 

 

 

都立入試に挑む受験生には、本年度の入試の「概要」を伝えています。

 

みなさんは、これまでの受験勉強、そして私立入試を通して、大きく成長しています。

私が、こんこんと伝えるまでもなく、一人ひとりが自分で「入試」をいうものを理解し、取るべき行動を判断することができるようになっています。

 

当日、思いもよらない問題が出ても、落ち着いて対処できるだけの力をつけています。

自信を持ってください。

 

 

 

みなさんといっしょに勉強してきた日々が、すでになつかしく思えます。

もう、「授業」の必要もありません。

 

私は、採点と問題の準備に追われる日々です。

後は、リスニングの「スタート」のボタンを押す係。

 

そして、くだらない質問に対して、くだらない受け答えをする人。

 

月日が過ぎて、あのくだらないやり取りの断片が、みなさんの記憶にかすかに残っていて、あるとき、ふと思い出して、ちょっとだけ愉快な気持ちになってくれたら、うれしく思います。

 

 

 

受験という「航海」の果てに、英作とリスニング、作文と漢字に立ち返ってきました。

これらが「最後のピース」です。

 

 

 

あと少し。がんばろう。

 

 

 

 (ivy 松村)

 

平成30年度の志願変更

G7(進学指導重点校)の志願変更の状況を詳しく見てみましょう。

 

 

まずは、男子です。

 

 男子 倍率 2/7 取下 再提出 2/15 倍率 増減
日比谷 2.38 314 11 10 313 2.37 -1
西 2.09 276 14 10 272 2.06 -4
戸山 2.52 332 22 6 316 2.39 -16
青山 2.01 300 22 26 304 2.04 4
国立 1.75 231 18 7 220 1.67 -11
八王子東 1.67 220 24 9 205 1.55 -15
立川 1.98 261 18 21 264 2.00 3

 

 

 

次に、女子です。

 

 

 女子 倍率 2/7 取下 再提出 2/15 倍率 増減
日比谷 2.05 250 18 11 243 1.99 -7
西 1.48 181 8 7 180 1.48 -1
戸山 1.84 224 17 10 217 1.78 -7
青山 1.86 255 12 8 251 1.83 -4
国立 2.00 244 23 6 227 1.86 -17
八王子東 1.55 189 10 7 186 1.52 -3
立川 1.60 195 14 16 197 1.61 2

 

 

 

「数字」に大きな変化がなかったようにみえても、実は、「取下げ」と「再提出」が活発に行われていた高校があることがわかります。

 

特に、青山と立川の男子です。

 

両者とも志願変更前に約2倍の倍率を示していました。

 

したがって、「再提出」をした人員は、高倍率の受験を覚悟している受験生です。

つまり、その多くが「上から」の「流入」だと考えられるわけです。

 

もちろん、その中には、存外の私立入試の結果が得られたために、「上げてきた」受験生もいるはずです。

 

いずれにしても、「再提出」をしてきた新手は、「手ごわい相手」です。

 

 

日比谷の男子や西の女子も、ほぼ同数の「入れ替え」がありました。

 

 

「数字」に大きな変化がなかったとしても、競争相手は入れ替わり、静かに、戦いはよりハードなものになっているのです。

 

 

気を引き締めていきましょう。

 

 

(ivy 松村)

 

 

平成30年度都立高校最終応募倍率

都立高校の最終応募状況が明らかになりました。

 

 

G7(進学指導重点校)を見て見ましょう。

 

 

まず、倍率の比較です。

 

 男子

本年 昨年

 女子

本年 昨年
倍率 倍率 倍率 倍率
日比谷 2.37 2.47 日比谷 1.99 2.03
戸山 2.39 1.89 戸山 1.78 1.71
青山 2.04 1.98 青山 1.83 2.08
西 2.06 1.96 西 1.48 1.72
八王子東 1.55 1.34 八王子東 1.52 1.39
立川 2.00 1.67 立川 1.61 1.50
国立 1.67 1.57 国立 1.86 1.54

合計

2.01 1.84

合計

1.73 1.71

 

 

 

次に応募者数の推移を見てみましょう。

 

 

 男子 本年 昨年 増減  女子 本年 昨年 増減  
日比谷 313 326 -13 日比谷 243 248 -5  
戸山 316 282 34 戸山 217 233 -16  
青山 304 258 46 青山 251 250 1  
西 272 259 13 西 180 208 -28  
八王子東 205 177 28 八王子東 186 168 18  
立川 264 220 44 立川 197 182 15  
国立 220 207 13 国立 227 186 41  

合計

1894 1729 165

合計

1501 1475 26  

 

 

 

男子の応募者数は、昨年度に比べ、グループ全体で165人増加しています。

倍率は、1.84から、2.01に上昇しています。

 

女子の応募者数は、昨年度に比べ、グループ全体で26人増加しています。

倍率は、1.71から1.73に微増しています。

 

 

男子は、日比谷以外の高校の応募者が増えました。

特に、青山、立川、戸山の応募者が増加しています。八王子東も昨年比で大きく応募者を増やしました。

 

男子は、「チャレンジ」の出願が増えているようにも思えますが、もしかすると、私立との併願が活発化していることが原因かもしれません。

 

今後、入試の「欠席率」を確認することで、本年度の「受験動向」をより詳細につかむことができます。

 

 

女子は、「グループ全体」の状況は昨年と大きく変動はありませんが、「区部」と「多摩地区」で、受験動向に「違い」がみられます。

日比谷、戸山、青山、西の4校の応募者は昨年と比べて減っているのに対し、八王子東、立川、国立の応募者は増えています。

 

グループ内では、西高から国立へ人員の「流出」がみられます。

西の女子は、近年、いわゆる「隔年現象」にはまっているようです。

 

 

 

本年度の志願変更の状況を見てみましょう。

 

 

男子 増減 2/15 2/7 倍率  女子 増減 2/15 2/7 倍率
日比谷 -1 313 ←314 2.37 日比谷 -7 243 ←250 1.99
戸山 -16 316 ←332 2.39 戸山 -7 217 ←224 1.78
青山 4 304 ←300 2.04 青山 -4 251 ←255 1.83
西 -4 272 ←276 2.06 西 -1 180 ←181 1.48
八王子東 -15 205 ←220 1.55 八王子東 -3 186 ←189 1.52
立川 3 264 ←261 2.00 立川 2 197 ←195 1.61
国立 -11 220 ←231 1.67 国立 -17 227 ←244 1.86

合計

-40 1894

←1934

2.01

 合計

-37

1501

←1538

1.73

 

 

 

男子は、戸山、八王子東、国立から、人員が「流出」しています。

女子は、国立が「-17」となっています。

 

日比谷、西の二強には、大きな動きはありませんでした。

 

 

 

戸山の男子は、高倍率を嫌って、「流出」が起こっています。

 

本年度の戸山の高倍率の要因は、ひとつは、昨年よりも応募人数が減らされたことによるものです。さらに、昨年度の合格実績、とりわけ現役の合格状況の良さが訴求力となって、志願者を集めました。また、スーパーサイエンスハイスクール指定校、チームメディカルといったプロジェクトなど、進学指導体制の充実が信頼感を高めました。

 

一方、戸山の女子は、昨年に比べて倍率は微増していますが、応募者数は減少しています。

 

 

国立は、昨年度、目覚ましい大学合格実績をあげました。

本年度、多くの志願者がひきつけられましたが、高倍率を敬遠して、男女ともに人員が「流出」しています。

 

 

八王子東も、耳目を集める大学合格実績が要因となって、応募者を増加させました。

しかし、男子の倍率が例年に比べて高かったこともあって、志願変更による「流出」を招きました。

 

 

 

多摩地区にフォーカスして、本年度の応募状況を整理してみましょう。

 

八王子東の応募者が増加し、男女ともに倍率が1.5以上になりました。

 

八王子東、立川、国立の3校を比較すると、男子の人気は立川、女子の人気は国立に集まっています。

 

また、3校ともに応募者数を増やしています。

昨年に比べて男子が「+85」、女子が「+74」です。

 

特に女子は、区部の4校と比べて、大きな変化がありました。

区部の4校の応募者数は、昨年と比べて「-48」となっています。

区部では、依然として「慎重な出願」が基調となっています。

 

それに対し、多摩地区の3校は大きく応募者を増やしています。

 

 

 

志願変更は、一部、「再提出」を行わない者が出てくるので、「全体」としては「流出」が多くなりますが、ほとんどの受験生は、いったん「再提出」を行います。

 

志願変更は、より合格可能性の高い「下位」の学校に受験校を変更する受験生のほうが多いので、「最上位」の高校群からの「流出」は、相対的に活発になります。

 

人員の「流出」の状況をもう少し詳しく見てみましょう。

 

 

 男子 倍率 増減  女子 倍率 増減  
国立 1.67 -11 国立 1.86 -17  
立川 2.00 3 立川 1.61 2  
八王子東 1.55 -15 八王子東 1.52 -3  
国分寺 1.60 6 国分寺 1.60 3  
武蔵 1.65 -11 武蔵 1.52 15  
武蔵野北 1.46 0 武蔵野北 1.67 -12  
小金井北 1.92 -29 小金井北 1.82 -5  
町田 1.36 5 町田 1.53 7  
調布北 1.55 37 調布北 1.42 12  
多摩科技 1.87 1 多摩科技 1.87 -2  
日野台 1.56 18 日野台 1.33 10  
昭和 1.79 -17 昭和 1.79 -12  
南平 1.77 -7 南平 1.72 -8  

 

 

 

男子は、国立、八王子東、武蔵などから「流出」した人員は、低倍率を示していた調布北、日野台に吸収されました。

 

女子は、国立や武蔵野北から武蔵、町田、または調布北、日野台に「流出」しているようです。

 

本年度は、倍率が高い高校から低い高校へ、積極的な志願変更がみられました。そのため、「全体」の倍率が一定の範囲に収束する傾向が強まりました。

 

 

 

ところで、「進学校」を考えるうえで、南平高校はひとつの「基準」たりえると思います。

 

南平高校を含めた上記の高校群は、応募者数を増やしています。

特に男子は顕著で、全体で231人の増加です。

 

一方、上記以外の旧7学区~旧10学区の高校は、その多くが応募者数を減少させています。

 

 

そのおもな要因を2つ挙げることができます。

 

ひとつは、生徒数の減少です。

もうひとつは、私立高校の「授業料軽減制度」です。「ここ」がこの制度の「ボリュームゾーン」になると思います。

 

 

 

本年度の中学の卒業予定者は、昨年に比べて1685人減っています。

また、志望校調査によれば、都立高校を志望する生徒の割合も減少していることが確認できます。したがって、相対的に私立高校を志望する生徒の割合が高まっていると考えられます。

 

都立高校入試の最終応募者の人数は、その数値に呼応した減り方をしていません。

つまり、都立高校の応募者数の減少は抑制されています。しかし、これは「出願」の数なので、「内実」よりも数字が大きくなります。

 

また、本年度は、私立入試の動向に大きな変化があったので、それがどう影響しているのか、という部分もあります。

 

 

さて、重要な点は、中学卒業予定者および都立志望者は減っているのに、上位校の応募者は増えているという点です。

 

これについては、少し時間をかけて考える必要があります。

 

 

 

それにしても、本年度は、ちょっと「難しい部分」がありました。

実は、その「一部」は「このブログ」なんですよね…。

 

自分が思っている以上に、受験動向に影響を与えているようです。

 

ある理由で、アクセスの解析を全くやっていません。一度も見たことがないのです。それで、どれくらいの人が読んでいるのかも知らないまま書き続けているのですが、自分が思っているよりも多くの人が読んでいるみたいです。ある程度「計算」していたつもりだったのですが、「予想」を上回っているようです。

 

ちょっと確かめてみようと、情報をコントロールしてみたのですが、どうも、やっぱり、そういう気がします。

 

 

それで、この記事もどうしようか考えながら書いてみたのですが、う~ん。

 

どうなんでしょう。

 

 

 

 (ivy 松村)

 

 

平成30年度都立高校の出願状況

都立高校の出願状況が公表されています。

 

 

進学指導重点校(G7)の状況を見てみましょう。

 

 

まず、男子です。

 

 

男子

倍率の推移 応募者数の推移
30年度 29年度 28年度 27年度 30年度 29年度 28年度 27年度
日比谷 2.38 2.48 2.61 3.29 314 328 347 437
戸山 2.52 1.95 2.36 2.90 332 290 314 386
青山 2.01 1.97 2.60 2.44 300 256 340 366
西 2.09 1.98 2.21 2.17 276 262 294 289
八王子東 1.67 1.15 1.40 1.44 220 152 186 192
立川 1.98 1.82 1.50 2.10 261 240 199 279
国立 1.75 1.52 1.93 2.15 231 200 257 286

合 計

2.06 1.84 2.09 2.36 1934 1728 1937 2235

 

 

 

次に女子です。

 

 

女子

倍率の推移 応募者数の推移
30年度 29年度 28年度 27年度 30年度 29年度 28年度 27年度
日比谷 2.05 2.15 2.39 2.46 250 262 289 298
戸山 1.84 1.68 2.06 2.31 224 228 247 277
青山 1.86 2.05 2.60 2.23 255 246 309 303
西 1.48 1.84 1.53 1.74 181 223 184 209
八王子東 1.55 1.40 1.61 1.48 189 169 193 177
立川 1.60 1.50 1.49 1.46 195 182 179 175
国立 2.00 1.59 1.93 2.00 244 192 231 240

合 計

1.77 1.74 1.94 1.96 1538 1502 1632 1679

 

 

 

本年度は戸山高校が1クラス減、青山高校が1クラス増でした。

したがって、グループ全体の募集人数は、昨年と比べて大きな変化はありませんでした(+2)。

 

 

男子の倍率と応募者数は、2年前の水準に回復しています。

女子も若干回復しました。

 

 

減少傾向にあった男子の出願者数が再び増加に転じた理由の1つは、各高校の「ボーダー」となる「内申基準」が明らかになってきたことです。

学校の説明会などで、受験者・合格者の得点や内申の分布などの資料が公開されています。

 

都立入試の制度変更後、慎重な出願が大勢を占めていましたが、「データ」が蓄積されたことで、「戦略的」な出願が可能になってきました。

 

 

もう1つの理由は、「自校作成」が復活したことで、入試問題の難化が想定されていることです。

「内申」が乏しい受験生の「逆転」の「可能性」が高くなったことで、「差し込み」の出願が増えていると考えられます。

 

 

さらに、私立を「本命」とする受験生が増えたことも理由の1つとなっているかもしれません。

私立を「本命」とする受験生は、都立で「大勝負」をすることができます。

私立進学が「本筋」なので、「強気」で都立の出願ができるわけです。

 

 

 

「志望校調査」と比較して倍率が上昇しています。

 

 

それは「推薦入試」という「ファクター」が関与することで引き起こされます。

 

「志望校調査」は、推薦入試と一般入試の「合計の定員」をもとにして倍率を算出しています。

そこから、「推薦入試合格者」を引いて再び計算をすると、志望者数が一定であっても、倍率は上昇するのです。

 

 

推薦入試の定員が30人、一般入試の定員が120人の高校を例にして考えてみましょう。

「合計の定員」は、150人です。

その高校に250人が志望しているとすると、倍率は250÷150=「1.67」になります。

これが、「志望校調査」の倍率です。

 

推薦入試の定員が30人なので、推薦入試後30人が合格します。

単純な計算をすれば、志望者数は250−30=220人となります。

 

今度は一般入試の倍率を算出するわけですが、倍率は、220÷120=「1.83」になります。

 

 

「志望校調査」の時点から、志望者数が変わらなくても、一般入試の倍率は自然に「上昇」するわけです。

 

これが、「志望校調査」と比べて「一般入試」の倍率が「上昇」する第1の理由です。

 

 

 

さらに、都立を第2志望以下に設定している受験生の出願が行われるため、「出願者」は「志願者」よりも多くなります。

これが、2つ目の理由です。

 

私立と都立の両方を受験することを考えている受験生のうち、私立を第一志望とする受験生は、当然ながら「志望校調査」における都立高校の志望者には含まれないわけです。

 

私立の一般受験をする受験生のうち、都立を受験パターンに組み込んでいる受験生は、都立の出願を行います。

ゆえに、「志望校調査」に反映されていない出願が加えられ、倍率が上昇します。

 

ただし、このうち、私立に合格した受験生は、入試を欠席するので、実質倍率は下降します。これは、特に日比谷高校に顕著です。

 

本年度の高校受験の「私立併願」の状況は、受検欠席のデータを分析することで、ある程度明らかになります。

 

 

 

「志望校調査」の志望者数・倍率と「出願状況」における出願者数・倍率を比べてみましょう。

 

 

まず、男子です。

 

 

出願状況 志望校調査
出願者数 倍率 志望者数 倍率 増加
日比谷 314 2.38 276 1.67 71
戸山 332 2.52 355 2.16 9
青山 300 2.01 245 1.48 71
西 276 2.09 293 1.79 15
八王子東 220 1.67 226 1.38 26
立川 261 1.98 289 1.76 4
国立 231 1.75 275 1.68 -12
 合 計 1934 2.06 1959 1.70 184

 

 

次に女子です。

 

 

出願状況 志望校調査
志望者数 倍率 出願者数 倍率 増加
日比谷 250 2.05 254 1.67 26
戸山 224 1.84 238 1.57 16
青山 255 1.86 237 1.56 33
西 181 1.48 202 1.33 9
八王子東 189 1.55 218 1.43 1
立川 195 1.60 210 1.38 15
国立 244 2.00 302 1.99 -28
 合 計 1538 1.77 1661 1.56 72

 

 

上の表の「増減」は、「志望者数」から「推薦入試の合格者数」を引いた数と、一般入試の出願者数を比べたものです。

・「志望校調査の志望者数」-「推薦合格者」=「一般入試に出願するはずの志望者」

・「実際に出願した人数」-「一般入試に出願するはずの志望者」

=「増減」(「志望校調査」時の志願者数と一般入試の出願者の人数差)

 

上の表では、日比谷高校の男子の「増減」は「71」になっています。

これは、「志望校調査時」に日比谷を第一志望としていない生徒が、「計算上」71人、日比谷高校に出願しているということを示しています。

 

 

 

男子に「変化」が大きく現れている高校があります。

 

日比谷は、国私立を第一志望とする受験生の併願が多いため、出願時に応募者が増えます。

 

青山は、「志望校調査」時の低倍率に吸引されて、出願者が増加しました。

同様に、八王子東も応募者を増加させています。

 

一方、国立は、高倍率を避けて撤退した人員が出ています。

 

 

 

女子は、戸山、青山、立川など、「志望校調査」で低倍率だった高校が人員を吸引しています。

 

一方、女子もまた、国立から志望者が流出しています。

 

西の女子の倍率は今のところ抑制されていますが、少し変化があるかもしれません。

 

八王子東は、「倍率」は上昇していますが、「増減」は実は1人増だけです。

八王子東の女子の例に見られるように、「志望者」が増えなくても一般入試の倍率は上昇します。

 

 

八王子東は、志願変更時に女子、男子ともに倍率をさらに上昇させるかもしれません。国立から、まだ人員が流れる可能性があります。

 

 

 

「出願状況」に変化を与えるものは、他にもあります。

 

それは、「推薦入試受験者の動向」です。

 

都内の高校の推薦入試を受ける受験生は、必然的に受験校を第一志望に設定することになりますが、都立高校の推薦入試が不合格だった受験生のうち、出願先を変更する受験生がいます。

 

また、合格の「確約」を出さない私立の推薦入試の不合格者のうち、一般入試の受験パターンに都立を組み込んでいる受験生は、都立高校に出願をします。

そのなかで、実際には積極的に都立への進学を考えている受験生もいるのだろうと思います。

 

本年度の私立高校受験の動向を知るには、もう少し時間が必要です。

 

 

 

本年度は、新宿高校、国分寺高校などが出願者数を減らしています。

したがって、「リスク」を負ってより上位校を狙おうという受験生が増えているのだろうと思われます。

 

 

 

最後に、「多摩地区」の本年度の「状況」を考えてみましょう。

 

 

日比谷、戸山、青山、西の4校と、八王子東、立川、国立の3校の2グループの出願者数を比べてみます。

 

 

 

まず、男子です。

 

30年度 29年度 28年度 27年度
日比谷 314 328 347 437
戸山 332 290 314 386
青山 300 256 340 366
西 276 262 294 289

4校計

1222 1136 1295 1478

 

 

30年度 29年度 28年度 27年度
八王子東 220 152 186 192
立川 261 240 199 279
国立 231 200 257 286

3校計

712 592 642 757

 

 

日比谷、戸山、青山、西の四校の男子の29年度の出願者数の合計は1136人です。30年度の出願者数の合計は1222人です。

したがって、昨年度と比べて、日比谷、戸山、青山、西の4校は、出願者を計86人増やしています。

一方、八王子東、立川、国立の3校の29年度の出願者数の合計は592人です。30年度の出願者数の合計は712人です。

したがって、昨年度と比べて、120人が増加しています。

 

とりわけ、八王子東の増加が顕著です。

 

 

 

次に、女子です。

 

 

30年度 29年度 28年度 27年度
日比谷 250 262 289 298
戸山 224 228 247 277
青山 255 246 309 303
西 181 223 184 209

4校計

910 959 1029 1087

 

 

30年度 29年度 28年度 27年度
八王子東 189 169 193 177
立川 195 182 179 175
国立 244 192 231 240

3校計

628 543 603 592

 

 

日比谷、戸山、青山、西の四校の女子の29年度の出願者数の合計は959人です。30年度の出願者数の合計は910人です。

したがって、昨年度と比べて、日比谷、戸山、青山、西の4校は、出願者を計49人減らしています。

一方、八王子東、立川、国立の3校の29年度の出願者数の合計は543人です。30年度の出願者数の合計は628人です。

したがって、昨年度と比べて、85人の増加です。

 

 

女子は、2つのグループの「差」がより鮮明にあらわれました。

 

 

 

本年度、私立、都立ともに多摩地区の受験の動向に、変化が生じています。

その要因について、ちょっと思いあたるところもあります。

 

 

しかし、まあ、今回は、このへんで。

 

(ivy 松村)

本年度の高校入試の動向

いよいよ入試が近づいてきました。

 

ちょっと、本年度の高校受験について書きたいと思います。

 

ただ、その前に、一言。

 

受験生は読まない方がいいと思います。

 

 

こういう情報を気にする人もいれば気にしない人もいるでしょうが、結局、受験校を決めている人にとっては、ノイズとなるかもしれません。

 

個人的な「思い」として、生徒たちに「強い精神力」を培ってもらいたいという気持ちもありますが、現実を知ることが悪影響になるような人もいるかもしれません。

 

 

私個人は、ある種の「役割意識」のようなものに駆られてこうした記事を書くわけですが、必ず受験生のみなさんに知らせたいものとして書いているわけではないので、無理して目をとおさないでください。

 

 

まあ、そうはいっても、読む人は読むのでしょうから、その場合は、自分の意志で読んでください。

 

 

あと、一点。

ちょっと忙しくて、情報を集めきれていません。

予想や推測も交えて「動向」を書きますが、全てを鵜呑みにしないようにお願いします。

 

 

 

さて、本年度の高校受験ですが、私立を「本命」とする受験生が増えています。

 

私立の推薦入試が終わりましたが、応募者数が分かった高校の、本年度の応募者数と昨年度の応募者数の合計を比較してみました。

 

 

 

2018年度 2017年度 増減
明八 393 304 89
中附 304 231 73
法政 141 84 57
日大二 139 105 34
明明 126 93 33
豊島岡 85 58 27
中杉 268 251 17
青学 198 190 8
慶應女子 109 104 5
中大高 170 189 -19

 

 

本年度の私立高校の推薦入試は、応募者数が増加し、倍率を大きく上昇させた高校があります。

 

特に、明八と中附の人数増が目につきます。

この2校は推薦入試の出願基準が低いために、応募者数がよりいっそう増加しました。

 

 

本年度は、明八、中附、法政など、東京都西部の私立附属校に、推薦入試の応募者の増加が見られました。

一方、都立の推薦入試の応募者が減少しています。

 

もう少し「全体」の状況が見えてこなければ確実なことはいえませんが、少なくとも東京都西部の附属校を対象に、私立志向が伸長しているといえると思います。

 

 

その要因はおもに2つあると考えられています。

 

ひとつは、俗に「授業料無償化」と呼ばれている私立高校の「授業料軽減制度」です。

所得などの「条件」を満たす家庭で、私立高校に通う経済的負担が軽減されるために、私立を志望先に考える受験生が増えていると考えられています。

 

もうひとつは、いわゆる「大学入試改革」です。

本年度の高校受験生は、いわゆる「大学入試改革」が「直撃」する世代です。

そのため、大学受験時に、センター試験にかわる「共通テスト」を受験しなければなりません。不透明感が強い大学受験を敬遠し、附属校を志望する受験生が増えていると考えられています。

 

 

加えて、私は、「好景気」が根本的な要因ではないかと思います。

 

 

統計的な資料がないので実際のところはよくわかりませんが、「授業料軽減制度」を利用して私立に通う生徒は、「併願優遇」などを活発に実施している高校に多いのではないかという気がしています。

 

また、私立高校志望者が増えているのは、都立高校の「訴求力」が弱まっていることの「裏返し」であるともいえると思います。

内申点の換算方法の変更、特別選考の廃止、マークシートの導入など、制度や形式の変更が相次ぎました。

現在の東京都教育委員会は、ある意味で、私立学校を「バックアップ」するような方向性を持っています。

 

 

 

「景気」の影響が強くあらわれる「中学受験」の募集に目を転じてみると、「期待ほど」ではないにしても、順調です。

 

しかし、やはり「都立中」の応募が抑制されていることが見てとれます。

同日に入試日が設定される国立附属中学の応募は「良好」なので、中受は、私国立受験が「盛り返している」ということができそうです。

 

 

中受は、「インターネット出願」が一般化したことで、各校とも「後半戦」の募集に苦戦しています。「状況」を見極めて、ギリギリのタイミングで出願ができるようになったので、「先の受験分」を出願しておく必要がなくなりました。

 

したがって、「中学入試全体」の出願者数は減少するでしょう。

 

 

しかし、2月1日の受験者数は増加しそうです。

 

「状況」をざっくりと見てみると、「人気校」は堅調ですが、中堅校では応募者数が伸び悩んでいる中学もあります。

 

数多くの中学を受験し、合格した中学のうち、「最もよい中学」に入る、というような受験が減ってきているのかもしれません。

 

ある一定ランクの中学に入れなければ、高校受験で「リベンジ」する、という受験が少しずつ増えているように思います。都立高校が、その「受け皿」として機能し始めているからです。

 

そのため、中堅以下の中学の募集が低調になっているのではないかと考えます。

 

 

 

さて、高校入試ですが、ちょっと「難しい部分」が出てきそうです。

 

私立の附属校で、推薦受験者に「優遇措置」を取っている高校がありますが、そういった高校の推薦受験者が増えるということは、そのアドバンテージを持った受験生が多く一般入試に回ってくるので、一般入試は苛烈な戦いになるでしょう。

 

 

また、私立高校受験全体でも、「推薦」や「単願・専願」、「併願優遇」などの制度を活用する受験生が増加すると、「フリー」の受験の「枠」が狭まり、厳しい戦いとなります。

 

 

 

都立高校のことも少し。

 

八王子東の人気が上がりそうだと予想した人は多いと思います。実は、私もそうです。

中学の「志望校調査」では、男子1.38、女子1.43でしたので、「それほど」ではありません。

しかし、会場模試などのデータを見てみると、「潜在的な志望者」はかなり多いと感じます。

 

八王子東の場合は、ここでは書きませんが、「募集」が「あまり上手ではない」ところがあります。

 

おそらく、「人員」は国立に流れています。

国立は、(ちょっとセコいところもありますが)大学合格実績がよかったことが、非常に大きな求心力を発揮しました。

 

これから都立の推薦の合格発表があり、私立の一般入試があります。

その「状況」次第では、八王子東の応募に変化があらわれるかもしれません。

 

(ivy 松村)